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紹介文
ミラーレスの時代になって今後、ますます姿を見る機会が少なくなるであろう、「古き良き時代」の銀塩一眼レフで「これは名(迷)機!?」と言う物を専門家ではなく、ど素人の視点から選んでみたいと思います。
尚、この板に書かれている事の殆どは私の20年以上前の知識を元に書く為、一部事実と異なる点が有るかも知れませんが、そう言う内容が有っても笑って許してください。

「The 迷機 of the 迷機」
「名機の数だけ迷機が有る」
昔、誰かが言っていたセリフだが、銀塩一眼レフカメラも例外ではない。
ここでキヤノンの初代一眼レフカメラであり、それと同時にキヤノン最大の「迷機」とも言える機種、「キャノンフレックス」を紹介しよう。
2023/6/18 22:11 [2461-22]

開発背景:
1950年代、既にキヤノンカメラ株式会社はレンジファインダー機でIVSbなど世界的に高い評価を得た機械を何機種か出していた事もあってカメラ事業は完全に軌道に乗っていた時期でもあったが、ニコン同様、他社が次々と発表する一眼レフ機の急速な進化を目の当たりにし、次世代は一眼レフの時代になるとの予測から一眼レフの開発に乗り出した。
ただ、これは個人的な憶測だが、恐らくレンジファインダー機の売り上げが好調で高評価だった事も有り、ここで一気に一眼レフに時代が変わった場合、キヤノンにとって販売面でそれが吉と出るか凶と出るかが微妙だった事も有って、良くも悪くもニコン程ガチでは無かったと推測される。
その為、良くも悪くも独創的で「頭でっかち」な機種が開発され、その悪影響が1980年代後半まで受ける事になり、その反省がEOSシリーズの設計思想に行かされる事になる。
2023/6/18 22:12 [2461-23]

コンセプト:
基本、ニコンがレンジファインダー機をベースにファインダー光学系を取っ払い、ミラーボックスを換装した仕様なのに対し、キヤノンの場合は完全に一から図面を引き直して作られた機械と解釈している。
クイックリターンミラー、自動絞り、ペンタプリズムと言った近代一眼レフには必要不可欠な機能を網羅すると同時に、それらの機能を独創的にレイアウトすると言う手法が採用されていると言えば聞こえは良いが、要は「研究不足」だったと言う事だろう。
2023/6/18 22:13 [2461-24]

シャッター:
基本、既に定評のある布幕横走りフォーカルプレーンが採用されている。
スペックは1/1000〜1秒 X(1/55) B
断言は出来ないがキヤノン機の流れから考えて恐らく4軸式フォーカルプレーンを搭載していたと推測できる。
当時としては最先端の1軸不回転式シャッターダイヤルを採用している(X、FPは自動切換え)。
ただ、この機種の特異な点はダイヤルのレイアウト場所である。
巻き上げ系のユニットが本来の場所にはなく、その代わりと言っては何だが、その場所に大型のシャッタダイヤルがレイアウトされている。
これは外付け式露出計と連動させるためで、ダイヤル下部にギアみたいなものが有り、そのギアと露出計のギアが連動する仕組みになっている。
ただ、このダイヤル自体の場所や使い勝手に関しては特に問題は感じない。
2023/6/18 22:14 [2461-25]

ファインダー:
ニコンF同様、ファインダーは交換式でアイレベルファインダイー以外にはウエストレベルファインダーの存在は確認できているが、それ以外に有ったかどうかは資料物色中。
アイレベルファインダーに関しては視野率 上下92%左右94% 倍率0.9倍が公称値である。
ちなみにアイピース部分は丸型。
ファインダー交換はニコンFと違って後ろにスライドさせるタイプ。
フォーカシングスクリーンに関しては、私の記憶が正しければユーザーによる交換が出来ないタイプでスプリットイメージの物が装備されていたと思う。
推測だがこのファインダー系の出来が当時同じ価格帯で販売されたニコンFと比べて見劣りする点の一つとして挙げられたのかも知れない。
ちなみにこの機種もホットシューをペンタカバーに搭載する事は考えられてはいない。
2023/6/18 22:15 [2461-26]

露出計:
発売当初から専用の外光式露出計が用意されており、それを固定する為の金具類もボディ前面に用意されている。
シャッターダイヤルは連動されるように設計されているが、ニコンのように絞りには連動していない。
2023/6/18 22:16 [2461-27]

巻き上げ:
このカメラの「ミソ」の部分でもあるのだが、ボディ下部に「トリガー」タイプが装備されている。
これはこの機種の開発当時のレンジファインダー機VTなどに採用された方式で、右手はシャッター、左手は巻き上げと言う使い方で敏速な巻き上げが可能と言うのが売りだったが、短いレンズでの運用が前提のレンジファインダー機なら兎も角、望遠系を多用する一眼レフの場合、左手はレンズにそえながら撮影するスタイルの方が安定する事も有り、逆効果となって酷評となったと聞いている(この機種を保有するコレクター談)。
ちなみにレンジファインダー機の方はこの機種が発売される前年に発売されたVI L型で一般的な巻き上げレバー式に変更されている所を見ると、キヤノンはこの機種を発売する時にはこの過ちに気が付いていた事になる。
このシリーズがコケた理由はこの巻き上げレバーの不出来とマウントの不備に有ったとそのコレクターの方は語っていたのを思い出す。
巻き戻しに関してはオーソドックスなクランク式を採用している。
2023/6/18 22:16 [2461-28]

ミラー:
この時期の他の一眼レフの例に漏れず、クイックリターン式ミラーが採用されている。
この機種にミラーアップの機能が有ったかどうかに関しては記憶になく、現状、資料等を物色中だが断言は避けたい。
後、この機種のミラーの信頼性に関してネット等で記載が数点確認が出来ているが、それが個体的な問題なのか機種的な問題なのかの裏付けが出来ていない為(サンプル数が確認できない)、断言は避けたいと思う。
ミラーの長さ等も資料物色中だが、基本、この機種から始まるキヤノンR系マウント(FL、FDマウントも含む)の自動絞り機構はミラーボックス下部のスペースを大きく確保する事になっており、それと同時にフランジバックが比較的短い事も有り、長いミラーを稼働させる寸法的余裕は無いと想像できる。
この事はこの機種は兎も角、その後F-1やNewF-1を報道やプロ市場向けとして売り込む際、ニコン機と比較して見劣りする点として問題視される事になる。
2023/6/18 22:17 [2461-29]

マウント:
これがこの機種、そしてこのシリーズ最大の「迷機」ポイントでもあり、その後EFマウントが出るまでの30年近く続く「諸悪の根源マウントシステム」である。
マウント有効径 47.9mm、フランジバック42mmのスピゴット式マウントで、バヨネット式マウントと違う点は、バヨネットマウントの場合、レンズをボディに差し込んだ後、レンズを一定角回転させる事で固定するが、スピゴット式の場合、レンズその物は回さず、レンズ根本付近の締め付けリングのみを回転させる事でレンズを固定させる。
このシステムの長所は「マウント基準面等に摺動による摩耗が無い事で高精度、高信頼性を長期間維持できる」と言うのが建前だが、実際の所、レンズ脱着時の回転角の少ないバヨネットマウントの場合、必ずしも消耗の問題が大きいとも言えず(スクリューマウントの場合、レンズ脱着の際に数回転させないといけない関係上、マウント基準面の消耗は誤差の範囲だがネジ山の消耗は多少有る)、消耗云々のメリットよりも、作業性の悪さ(長いレンズなどの場合、第3の手が要る)、、部品点数の増加によるコスト、加工精度上の問題、スペース効率等のデメリットの方が目立つため、カメラのマウントシステムとしては少数派になっている(一眼レフではなくシネマ用のアナモフィックレンズなどを扱うシステムであれば多少話は変わったが…)。
事実、キヤノンはNewFDシリーズに切り替える際、バヨネットマウントと同様の操作性を確保する為にかなり無茶な仕様変更をした(外装、光学系や絞りユニットの一部を事実上の締め付けリング側にレイアウトし、本来、本体側に当たる部分にはカメラ側との連動機構や光学系、絞りユニットの一部だけを残す)が、部品点数や摺動部分の増加、組み立て工程の増加に直結し、低価格路線では不利な状況に追い込まれた(実際にはAE-1開発時に培った合理化に関するノウハウが有ったので表面化していない)。
で、ここからがポイントだが、何故このRマウントが「迷機」ポイント化と言うと、まず一つ目は「自動絞り」システムの出来の悪さである。
何が悪いかと言うと、「自動絞り」用の動力源(バネ)をボディ側ではなく、レンズ側にレイアウトしたと言う事である。
他のメーカーのシステムは基本、ボディ側に動力源(バネ)を用意し、レンズが付いているかどうかに関係なくフィルム巻き上げ時、シャッターチャージ、ミラーチャージと共に行われるため、レンズ側は単にボディ側連動レバー(ピン)の通りに絞りを動作させればいいと言う単純な構造で済む。
それに対し、このシステムはレンズ側に動力源が有って、そちらのバネにチャージされる方式になっている為、既にチャージが終わっているレンズをフィルム巻き上げ前(シャッター、ミラーのチャージがされていない状態)のボディに付けた場合や、その逆にチャージ前のレンズを巻き上げ後(シャッター、ミラーのチャージが終わった状態の)ボディに嵌めると問題が発生する。
このやり方は単純にトラブルが増加するだけではなく、機構の複雑さによる信頼性の低下やレンズ側、ボディ側の設計自由度の制限、チャージトルクの増加を招く結果につながっていて、結果としてシステム全体の「信頼性」「安定性」「使い難さ」に問題を与える結果となった。
この問題は深刻で、このRシステムの「自動絞り機構」はわずか5年で全面設計変更(FLシリーズ)を余儀なくされる結果となった。
ちなみにRマウントのレンズの場合、ボディ側からのプレビュー操作が難しい為、自動絞り用と手動絞り用に絞りリングが二つあり、その二つの絞りリングの手前にピントリングがレイアウトされているのが特徴だが、一部、自動絞り機構は搭載されておらずプリセット絞りのみの仕様のレンズもある。
2023/6/18 22:20 [2461-30]

セルフタイマー:
一応、変わったデザインのセルフタイマーが実装されていて、それがデザイン上の特徴の一つと言えるが、次のモデル以降、スタンダードな物に換装されているので不評だったと想像できる。
2023/6/18 23:12 [2461-31]


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