
縁側をご利用いただく際のルール&マナー集を用意いたしました
ユーザーの皆様に楽しくご参加いただけるよう、主に投稿時の注意点などをまとめています。
ご投稿の前には必ずご一読をお願いいたします。詳しくはこちら⇒「縁側 ルール&マナー」
紹介文
デジタルカメラでの撮影は、簡単手軽に楽しめます。勿論、撮影自体を楽しむ事が何より大切ですが、デジタルカメラの仕組みを、初歩的な物理学等を駆使して、解明して行こうと言うのが、この会の目的です。
議論を進める上での根拠は、真っ当な資料に限定します。具体的には、大学の講義資料等を想定しています。大学の講義資料等ですので、専門家から見れば、基本中の基本に相当します。万一、専門家がご覧になられても、「真っ当な」ヨチヨチ歩きだね!と微笑んで頂けるように、「まったり」歩んで行くのが目標です。
皆さん、「エアリーディスク」駅から「真っ当」駅への旅を、ご一緒に「まったり」と楽しみましょう!!
このページのスレッド一覧

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[2182-64] | まったり会の必読図書/指定図書/参考図書 | 0 | 2018年8月26日 18:47 |
[2182-55] | ご意見をお願いします(周波数領域、PSF‥‥) | 10 | 2018年9月5日 09:11 |
[2182-48] | ノイズ駅で途中下車 | 1 | 2018年8月12日 14:29 |
[2182-24] | まったり仮説 | 32 | 2018年8月26日 18:23 |
[2182-8] | エアリーディスク駅から出発進行!! | 15 | 2018年8月12日 11:37 |
[2182-7] | カスタマーセンター (運営、スレ建て等のご要望を受付中です) | 0 | 2018年8月12日 08:49 |

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まったり会の必読図書/指定図書/参考図書/百科事典 (2018/08/12、2018/08/26更新(誤記訂正))
PAMdiracさんの「素晴らし過ぎる」資料は、まったり会の最高のお宝なので、敬意を込め、「お宝・第0号」に指定させて頂きました。
【まったり会・必読図書/お宝・第0号】
●PAMdiracさんの資料
・1次元周期的入力光の像とコントラスト (2018/07/12、最新2018/07/22)
https://www.dropbox.com/s/htat400q0toyys
g/1D-periodic-input-rev3.pdf?dl=0
・MTFに関する理論とテストの比較 (2018/07/22、最新2018/07/24)
https://www.dropbox.com/s/nicq51z8ii7afq
w/theory-test.pdf?dl=0
・Airy Disk とMTFチャートによる解像度の判断の違い (2018/07/24)
https://www.dropbox.com/s/cvoxaz78l6pps9
t/airy-MTF.pdf?dl=0
まったり会では、真っ当な資料を「指定図書」「参考図書」として扱っています。PAMdiracさんの資料と合わせ、これらの資料を基に出発すれば、正しい方向に進むはずです。もし間違った方向に進んでしまったら、間違ってしまった原因は、当然ながら、真っ当な資料ではなく、自分にありますから、真っ当な資料に立ち返って、再出発すれば良いだけの事です。
【指定図書】
・光学(講義資料リスト) (東京大学名誉教授 ・黒田和男氏)
http://qopt.iis.u-tokyo.ac.jp/optics/
・画像工学(講義資料リスト(一部リンク切れがあります)) (慶応義塾大学教授・中島真人氏)
http://keio-ocw.sfc.keio.ac.jp/j/Sc_and_
Tech/06D-002_j/list.html
・ディジタル画像処理(講義資料リスト) (千葉大学教授・羽石秀昭氏)
http://www.cfme.chiba-u.jp/~haneishi/cla
ss/digitalgazo.html
【参考図書】
super-resolutionに主眼の置かれた資料ですが、光学系、画素系、光学系+画素系の取り扱い方は、極めてオーソドックスなので、参考になります。
・Impact of detector-element active-area s
hape and fill factor on super-resolution
(University of Dayton / Professor ・ Russell C. Hardie氏、他、Frontiers in Physics、2015/05/18)
https://www.frontiersin.org/articles/10.
3389/fphy.2015.00031/full
PSF、LSF、ESF、MTF等の基礎的な内容です。
・Diffraction Optics (University of Arizona / Professor Emeri
tus ・ Robert A. Schowengerdt氏)
http://www2.engr.arizona.edu/~dial/ece42
5/notes9.pdf
PSFの具体的なイメージを掴むのに、最適です。
・マシンビジョンにおける被写界深度の考えかた (東芝テリー)
http://www.toshiba-teli.co.jp/products/i
ndustrial/info/t/files/t0008_DOF_j.pdf
デジタルカメラにおける要素技術を幅広く扱っていますので、知識の体系化等に役立ちます。
・光応用技術研修会「デジタルカメラの画像処理」 (京都産業大学教授 ・蚊野浩氏、2017/06/05)
http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~kano/pdf/c
ourse/SP1.pdf
「第05章 イメージセンサ」(p115〜)に、CCDのノイズに関する説明があります。
・光半導体素子ハンドブック (浜松ホトニクス)
第05章 イメージセンサ
https://www.hamamatsu.com/resources/pdf/
ssd/05_handbook.pdf
古い資料ですが、タイトル通り、イメージセンサーの基礎を学べます。
・イメージセンサーの基礎 (東北大学准教授・鏡慎吾氏、2005/04/19)
http://www.ic.is.tohoku.ac.jp/~swk/lectu
re/ic2005/kagami_ic20050419.pdf
ノイズに関して、かなり詳しい説明がなされています。
・画像化プロセスと画像ノイズ (奈良先端科学技術大学院大学准教授・高松淳氏、2010/11)
http://robotics.naist.jp/~j-taka/materia
ls/CVIM2010Nov.pdf
【百科事典】
・Fraunhofer diffraction equation 3. Apertures (Wikipedia英語版)
https://en.wikipedia.org/wiki/Fraunhofer
_diffraction_equation#Apertures
2018/8/26 18:47 [2182-64]



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周波数(MTF)のF値依存性、実測値を計算値で除した商等、中心部 |
まったり会の皆さん
まったり会の方針等へのご意見を大募集します!!
PAMdiracさんは勿論ですが、他の方々からのご意見も是非お伺いしたく思っています。
よろしくお願い致します。
以下では、主に、空間領域、周波数領域、MTF等を中心に述べていますが、これらに限らず、こうした方がいいと言ったご提案や、ここが分かり難いと言った苦情等々、どんな事でも構いません。このスレに限り、話が飛ぼうが何をしようが全てOKですので、忌憚のないご意見をお聞かせ下さい。
事の発端は、またまた、PAMdiracさんからの鋭いご指摘です。スレ「まったり仮説」の[2182-54]にて、
> ミスター・スコップさんが最初に掲げられたように読者のわかりやすさを優先されるのでしたら、全て実空間の量にした方がわかりやすいと思いますが、いかがでしょうか?
> 横軸を空間周波数とするMTFチャートを描くのにFourier変換する必要は全く有りませんので。
とのご指摘を頂きました。当初から申し上げているように、 PAMdiracさんが作成下さった資料は、「まったり会・必読図書/お宝・第0号」です。数式の導出は、全て空間領域でなさっています。ですので、私は、周波数領域じゃないと駄目だと主張している訳ではありません。
スレ「出発進行」で非常に基本的な事柄を説明しました。まず、空間領域と周波数領域との説明から入ったように、空間領域と周波数領域とを意識した説明になっています。空間領域と周波数領域に限らないのですが、(自分では数式の導出等は出来ないのに)出来る限り、本質的なイメージを持って頂きたかったからです。対極的な位置にあるのが、「円と正方形との単なる大きさ較べ」です。スレ「出発進行」で散々ご説明したように、PSFそのものや、入力関数、出力関数との関係への認識が不足したまま、PSFの一つである、エアリー強度分布のさらに裾野部分であるエアリーディスクのみ、独り歩きしているのは、明らかに異常だと思っています。
それは、MTFでも同様です。[2182-14]で、以下のような譬え話をしました。
「単一周期関数は、空間領域と周波数領域とを繋ぐ扉だと見做せます。その為、空間領域からも、周波数領域からも、認識可能です。MTFそのものは、周波数領域に属していますが、MTFを空間領域でも実感出来るのは、コントラスト法で用いられる単一周期関数のお蔭だったと言う訳です。」
・PSF → フーリエ変換 → OTF ‥‥ (1)
・MTF = 絶対値(OFT) [周波数領域] ‥‥ (2)
さえ、ご理解頂くだけで、PSFとMTFとが属す領域が異なるだけの関数同士である事が良く分かると思います。
先にお断りしておきますが、私は、空間領域でPAMdiracさんのように数式が導出出来ないのと同様、フーリエ変換も公式等を見ない限り出来ません(発祥スレでは、ガウス関数のフーリエ変換を解析的に行えましたが、全くの偶然です)。ですので、周波数領域にしろ、空間領域にしろ、天下り的に数式を使う事には、差は殆どないと思います。自慢出来る事では全くありませんが‥。
何回もご紹介していますが、以下の関係があります。計算では、入力関数は、解像度チャート/正弦波等が殆どですが、実際の撮影では、入力関数は皆さんの目の前に拡がる被写体、出力関数は撮影画像です。そう思うと、現実味が湧いて来るのではないでしょうか?
・入力関数f(x,y) * PSF(x,y) = 出力関数g(x,y) [空間領域] ‥‥ (3)
・入力関数F(u,v) × OTF(u,v) = 出力関数G(u,v) [周波数領域] ‥‥ (4)
・MTF = 絶対値(OFT) [周波数領域] ‥‥ (2)
PSFはボケに関わるモノなら全てPSF(数式ではなく、数表になるかもしれませんが)で表現出来ます。
・PSF(x,y) = PSF(回折限界) * PSF(収差) * PSF(手ブレ/被写体ブレ) * ‥‥ * PSF(画素) [空間領域] ‥‥ (5)
・OTF(u,v) = OTF(回折限界) × OTF(収差) × OTF(手ブレ/被写体ブレ) × ‥‥ × OTF(画素) [周波数領域] ‥‥ (6)
↓
・MTF(u,v) = MTF(回折限界) × MTF(収差) × MTF(手ブレ/被写体ブレ) × ‥‥ × MTF(画素) [周波数領域] ‥‥ (7)
空間領域と周波数領域とでは、演算「*」「×」が入れ替わります。つまり、要因別で考える場合には、コンボリューションでの演算となるPSFより、積での演算となるMTFの方が、簡単です。繰り返しになりますが、私の場合は、飽くまで、フーリエ変換は天下りが前提です。
1枚目は、スレ「まったり仮説」の[2182-53]でご紹介したグラフで、式(7)をそのまま使っています。これまた何回も申し上げていますが、私の計算値は胡散臭さ満載であるものの、正しい計算値に置き換えられれば、1枚目のような手法は有効と思っています。
2018/8/15 02:46 [2182-55]

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周波数(MTF)絶対値の画素ピッチ依存性、ボディ×レンズ:延べ81組 | OpticalLimitsとLensTipとの相関性 |
【補足】
PAMdiracさんとのやり取りの切っ掛けは、ImatestのMTF測定方法に関してです。この事に関し、思う所が2つあるので、付記しておきます。
1つ目は、Imatest、あるいは一般的な写真業界は別のようですが、MTFは正しく測定するのが一般的ですし、MTFを正しく求める方法に関する論文等も多数あります。ただし、論文等の分野は、医療関係(X線撮影系等)です。まったり会の画像に関する「指定図書」「参考図書」等も、やはり、医療との関連性が深いモノが殆どです。論文等では、コントラスト法、PSF、LSF、ESFのどの方法を用いるにしても、求めようとしているMTFは、(論文等で用いられた)それぞれの機器での正しいMTFで、用いられた方法毎に如何にして正しいMTFに近付けるのかが議論されています。つまり、(Imatestが採用している)傾斜ESFだから、他の方法と異なった測定結果でOKでは全くありません。
医療関係(X線撮影系等)でも、デジタル化が進んでいますから、画素の取り扱いに留意した測定方法が主流となっているようです(例えば、pre-sampled MTF)。また、医療関係(X線撮影系等)で、執拗に?正しいMTFを求めようとしているのは、「指定図書」「参考図書」等から妄想すると、多分、周波数領域で画像処理を行う為ではないかと思われます。誤った画像処理が行われたら、誤診、すなわち、人命にも関わって来ますので、正しいMTFを求める執拗さ?にも納得です。
2つ目は、1つ目と真逆ですが、私は、実測値が絶対値として正しいかどうかには、関心がありません。世の中のトレンドに合っていれば、仮に間違っていてもOKです。1枚目は、 スレ「まったり仮説」の[2182-39]でご紹介したグラフです。ここにはDPReview、ImagingResource、OpticalLimits、LensTipから得た実測値がプロットされていますが、 OpticalLimitsの実測値のみ、LensTipとの相関性から得られた式により換算しています。2枚目は、OpticalLimits(Imatestのソフトウェアにて測定)とLensTipとの相関性です。1枚目を再度ご覧頂ければ分かりますが、OpticalLimits以外は実測値をそのまま用いても、最小二乗法で求めた曲線から大きくは外れていません。ですので、矩形波を用いたコントラスト法によるMTF測定結果としては、世の中のトレンドに合っているとは言えると思います。しかし、それ以上の事は言えない、つまり、絶対値として正しいのかどうかの判断は、出来ないと思っています。ここが、実測値とドンピシャの理論値を導出なさるPAMdiracさんとの大きな違いですね。
例えば、カラーマネージメントシステムの場合、取引関係では統一されたカラーマネージメントシステムは構築出来るでしょうが、絶対に正しいと言い切れるカラーマネージメントシステムを目指そうとしたら、滅茶苦茶困難なはずです。私が求めているのは「統一されたカラーマネージメントシステム」であって、「正しいカラーマネージメントシステム」なのかどうかの判断等には労力を割かないと言う意味です。こうした考えに至ったのは、様々な実体験に基づいています。
2018/8/15 03:01 [2182-56]

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空間領域と周波数領域との関係 |
「まったり会」は、私の自己満足に過ぎないような気もしますが、私の基本的な考え方を、改めてご説明します。
真っ当な資料に基ずく、体系的な理解を大切にしたいと思っています。これは、私が断片的な知識しか持ち合わせていなかった事を(自覚はしていたものの)、発祥スレ等を通じ、痛感したからです。
ボケの付加/復元に関心を抱いた切っ掛けは、5D4(2016/09/08発売)に初搭載されたDPRAWに関する質問スレに回答しようと、自分なりに調べた事でした。2次元情報しか持たない画像データに加え、(この時初めて知った)depth mapを一緒に取得出来れば、ボケの付加/復元が可能となる事、ボケの関数として、近似的にガウス関数が用いられる事等を知りました。これらの断片的な知識に基づき、以下のような書き込みを行っています。
・【超蛇足】以降をご覧下さい。(2017/12/08の書き込み)
http://bbs.kakaku.com/bbs/K0000920685/So
rtID=21415370/#21415908
発祥スレを建てようとした頃から、やっと体系的な理解が進み、逆にそれまでの理解が文字通り断片的だった事を痛感しました。体系的な理解を端的に示すのが、スレ「出発進行」でも用いた1枚目の図です。たった、この1枚を知っているか知らないかで、体系的か断片的かの大きな違いが生じてしまいます。
今後も学ぶに従い、自分の理解不足を痛感する事が多々あると思います。特に、系統立った教育に接する機会の少ない社会人だと、体系的/俯瞰的な理解を常に意識しないと、どうしても断片的な知識に陥ってしまいます。
別件です。体系的とは言い難いのですし、全くの分野違いですが、私にとって、点が線となった瞬間をご紹介します。昨年(2017年)の5月に発生したランサムウェア(WannaCry)事件に関してです。事件発生当日から、
・NSA(アメリカ国家安全保障局)がハッキングされた事。
・WannaCryには、ハッキングにより流出したNSAの技術が使用された事。
は、「点」として知っていました(1つ目は、事件発生前から知っていました)。しかし、流出した技術は、NSAにとって武器だった事までは考えが及んでいませんでした。
・NSAが脆弱性を探り当て、秘匿したまま、ゼロデイアタック用の武器(注1)をどんどん編み出している事。
が、事件発生から数日後に「点」として加わり、「線」として繋がりました。
(注1)
WannaCryは、ゼロデイアタックではありません。
「線」として繋がると、Microsoft最高法務責任者・Brad Smith氏の発言、「これを通常兵器のシナリオに置き換えれば、米軍の『Tomahawk』ミサイルの一部が盗まれたのと同じことである。」が、非常にリアルに響きます。NSAに関し、色々調べたのは、言うまでもありません。
話を戻すと、式(1)〜(7)の関係を十分理解なさった上で、PAMdiracさんのように空間領域での考察のみから、周波数(MTF)のF値依存性を導出なさる方と、式(1)〜(7)の関係への理解を欠いたまま、 周波数(MTF)のF値依存性を導出なさる方とでは、全く同じ結果が得られたとしても、その意味合いは全く異なると思っています。後者の方の場合、エアリーディスク半径と画素ピッチとの関係を表面的に捉えてしまうと、円と正方形との単なる大きさ較べになってしまうのと同様、MTF測定方法の一つにしか過ぎないコントラスト法によるF値依存性の実測値と計算値との単なる比較で終わってしまう気がしてなりません。
PAMdiracさんは、「1次元周期的入力光の像とコントラスト(最新2018/07/22)」で、以下のご見解を示されています。
> レンズの収差: これは機材に大きく依存し、1 つの機材でもF 値によって出方が異なるのでユニバーサルな議論は不可能。F 値ごとに望遠鏡のようなスポット・ダイグラムのデータが必要か。
MTF(収差(注2))は見積もられるのではないか?と言うのが私の立場です。
このスレの冒頭[2182-55]の繰り返しになってしまいますが、私の計算値は胡散臭さ満載であるものの、正しい計算値に置き換えられれば、複合要素から成り立つMTFの実測値を、MTFの計算値で除せば、計算値には含まれていないMTF(収差)を得られると考えています。勿論、演算を周波数領域の「×」ではなく、空間領域の「*」でも同様の計算は可能ですから、空間領域でもPSF(収差)を得られます。ただ、式(1)〜(7)の関係を十分理解なさっておられれば、MTF(収差)にしろ、PSF(収差)にしろ、実測値と計算値とから得られるとお気付きになると思いますが、 式(1)〜(7)の関係への理解を欠いたままだと、 MTF(収差)/PSF(収差)が得られる事に気付かない可能性が高いのでは?と思われます。つまり、「MTF測定方法の一つにしか過ぎないコントラスト法によるF値依存性の実測値と計算値との単なる比較で終わってしまう」と言う事です。
(注2)
式(7)から、MTF(u,v)を、「MTF(回折限界) × MTF(画素)」で除した商には、「MTF(回折限界) × MTF(画素)」以外のMTFが全て含まれますが、ここではMTF(収差)で代表させています。
2018/8/26 18:36 [2182-61]

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DxOMarkのISO感度測定結果(全体) | DxOMarkのISO感度測定結果(拡大) | DxOMarkによるISO感度測定(オリンパス) | DxOMarkによるISO感度測定(キヤノン) |
2つ上の書き込み[2182-56]で、
> 私は、実測値が絶対値として正しいかどうかには、関心がありません。世の中のトレンドに合っていれば、仮に間違っていてもOKです。
と書きました。暴言かもしれませんが、前述の通り、こうした考えに至ったのは、様々な実体験に基づいています。
PAMdiracさんのご専門分野だと(思いっ切りの想像ですので、間違っていたら、ご容赦下さい)、先立つ理論の立証や新しい発見等に、実測値が用いられるので、絶対値こそが命のような世界だと思います。論文として発表されれば、(査読を含め)他の研究者の方々が、理論/(再現)実験等で検証なさるのでしょうから、絶対値は、研究者の間では、誤差等を除けばほぼ一致するモノだと思います。従って、PAMdiracさんのような方から見ると、まさに暴言なのでは?と推察されます。
つい最近、実体験と似たような事例を見付けました。それが、メーカー間でのISO感度の差異です。1〜4枚目は、クチコミのスレ「メーカー間でのISO感度の差異」(2018/08/17)でご紹介した、DxOMarkのISO感度測定結果です。
「メーカー間でのISO感度の差異」に関心を抱いたのは、CIPAが規定したISO感度には、「標準出力感度」 と「推奨露光指数」の2通りがあり、どちらを用いているのかによって、メーカー間にISO感度の差異があるとの記載を見掛けたからです。具体的には、以下のように分かれており、1〜2枚目では、分かり易いよう、以下に示した色分けを行っています。
・標準出力感度: 富士フイルム、オリンパス、パナソニック、ペンタックス ← 赤系
・推奨露光指数: キヤノン、ニコン、ソニー ← 青系
1〜2枚目で用いたDxOMarkのISO感度測定結果では、メーカー間にISO感度の差異は存在しますが、「標準出力感度」 と「推奨露光指数」とで分かれてはいません。
3枚目はオリンパス機のみ、4枚目はキヤノン機のみのDxOMarkのISO感度測定結果です。
3枚目のオリンパスは「標準出力感度」を採用していますが、E-520(2008/05発売)までと、E-30(2008/12発売)以降とで、オリンパスのISO感度の基準が変わったと判断出来ると思います(ISO感度の基準が変わっていないと見做す事の方が余程不自然です)。 E-M5(2012/03発売)以降でも、オリンパスのISO感度の基準が、再び変わったようにさえ見えます。
4枚目のキヤノンは「推奨露光指数」を採用していますが、多少の上下はあるものの、オリンパスのような明らかな変化はないと判断出来ると思います。
3枚目【オリンパス】
〇(グラフでは赤系):4/3、●(グラフでは青系):m4/3
〇E-410: 2007/04発売、4/3、3648×2736(998万画素)、画素ピッチ4.75μm
〇E-3: 2007/11発売、4/3、3648×2736(998万画素)、画素ピッチ4.75μm
〇E-520: 2008/05発売、4/3、3648×2736(998万画素)、画素ピッチ4.75μm
〇E-30: 2008/12発売、4/3、4032×3024(1219万画素)、画素ピッチ4.29μm
●E-P1: 2009/07発売、m4/3、4032×3024(1219万画素)、画素ピッチ4.29μm
〇E-5: 2010/10発売、4/3、4032×3024(1219万画素)、画素ピッチ4.29μm
●E-M5: 2012/03発売、m4/3、4608×3456(1593万画素)、画素ピッチ3.76μm
●E-M10ii: 2015/09発売、m4/3、4608×3456(1593万画素)、画素ピッチ3.76μm
●E-M1ii: 2016/12発売、m4/3、5184×3888(2016万画素)、画素ピッチ3.35 μm
4枚目【キヤノン】
〇(グラフでは青系):フルサイズ/一眼レフ、●(グラフでは緑系):APS-C/一眼レフ、■(グラフでは赤系):APS-C/ミラーレス
●初代X: 2006/09発売、APS-C、3888×2592(1008万画素)、画素ピッチ5.71μm
〇1Ds3: 2007/11発売、フルサイズ、5616×3744(2103万画素)、画素ピッチ6.41μm
●X3: 2009/04 発売、APS-C、4752×3168(1505万画素)、画素ピッチ4.70μm
●X5: 2011/03発売、APS-C、5184×3456(1792万画素)、画素ピッチ4.31μm
〇1DX: 2012/06発売、フルサイズ、5184×3456(1792万画素)、画素ピッチ6.94μm
●X7i: 2013/04発売、APS-C、5184×3456(1792万画素)、画素ピッチ4.31μm
〇1DX: 2016/04発売、フルサイズ、5472×3648(1996万画素)、画素ピッチ6.56 μm
■M5: 2016/11発売、APS-C/ミラーレス、6000×4000(2400万画素)、画素ピッチ3.72 μm
・メーカー間でのISO感度の差異(2018/08/17)
http://bbs.kakaku.com/bbs/-/SortID=22037
162/
2018/8/26 18:42 [2182-62]

私の実体験も、一般例のような形でご紹介します。
・製品Z(量産品)を、A社がB社に納品するとします。
・製品Zは、ISO規格化されており、測定機材/測定方法のガイドラインも、ISO規格に明記されています。
・A社、B社は、技術的にはほぼ同等で、2社とも、ISO規格のガイドラインに基づく測定機材を所有しています。この測定機材は、同一メーカー製の同一型番製品です。
・A社、B社の間での技術的なやり取りは、それぞれの設計部門が担当していますが、納品時/購入時の責任元は、それぞれの品質保証部門となります。
・ISO規格のガイドラインに基づく、同一メーカー製の同一型番の測定機材にも拘わらず、同じサンプル品(複数)の、A社とB社の測定値は、良い一致を見ません。
・製品ZのISO規格値には、toleranceが記載されています。従って、A社とB社の測定機材で、大きい数値となる測定機材に合わせ下限値を、小さい数値となる測定機材に合わせ上限値を設定すれば、問題はなくなるはずですが、これでは製造マージンが小さくなり過ぎる→歩留まりが大幅に低下してしまうので、A社としては(歩留まり低下分を価格に転嫁出来ない限り)応じるのは困難です。
・次善の策として、A社の測定値をB社の測定値に換算する方法があり得ます。ただし、歩留まりを考慮すると、A社の測定値(ISO規格値外も認める)→B社の測定値(全てISO規格値内)となります。この次善策で特に困るのが、A社の品質保証部門です。社内測定で、「ISO規格値外も認める」事は、通常あり得ないからです。
・ここから先は、(一番肝心な、納入先のB社はOKとしているので)ISO9000等で問題とならないよう、整合性を担保する話し合いが、A社の設計部門、品質保証部門、場合によっては製造部門等も交えて行われます。
・納品時/購入時に、A社、B社の間で再び測定値に齟齬が発生した場合に備え、規格値の上下限サンプル品を両社で保有し、最終的な合否判定は、上下限サンプル品に依る等の取り決めを行います。
・付け加えると、レンズの特性で出て来るSagittalとMeridional(Tangential)とのような分け方を行うと、A社とB社の測定値との大小関係が逆になる事も珍しくありません。
こうなって来ると、実測値が絶対値として正しいかどうかは重要ではなく(注3)、世の中のトレンド(ここで取り上げた例では、B社の測定値)に合っていれば、OKと言う考え方に傾いてしまいます。
(注3)
製品ZのISO規格策定に多少関わっていましたが、策定段階で既に、各社が同一サンプル品(複数)で行った測定値はバラバラで、ISO規格値は妥協の産物でした。
2018/8/26 18:45 [2182-63]


ミスター・スコップさん、
収差やノイズの話の詳細に入る前に、実空間か波数空間かの捉え方に私と違いがあるような気がしています。
計算を実空間で行うか波数空間で行うかは、互いにFourier変換可能である限りどちらで行っても構いません。Fourier変換の基本ですよね。
PSFが既知である場合、入力関数とのconvolutionを1発だけなら手間は変わりません。つまり(3)と(4)は等価です。
これらを拡張して(5)と(6)と表すことにメリットがあるのか?(そもそも等価なのか?)が疑問です。
例えば画素ピッチの効果をPSFで表されるとされていますが、私はPSFで表さずに、現実の場合に即して光量分布を画素ごとに積分しています。
像面上の連続的な光量分布を画素ごとに積分した結果、画素上で一定値を取る不連続関数になります。(像面上の座標(x,y)を引数と考えています。)
このような結果を与える「PSF(画素)」を作り、それを波数空間に変換するという面倒なことをするよりも、素直に画素ごとに光を集めるという方が簡単だし現実に即しています。
点光源の像が連続的な光量分布に変換されるような効果なら、まだ波数空間で考えることもできます。
例えば、ある種の収差はできるでしょうが、画素ピッチで決まるノイズなどは同じ問題を含みます。
従って、PSFやそのFourier変換(OTF)を具体的に作れるのなら(7)を使って単純な積を使う議論ができるのですが、他にわかりやすい方法があるのなら無理してPSFやOTFを使わなくてもよいのでは?というのが私の意見です。
2018/8/26 23:20 [2182-65]


先の投稿で
> これらを拡張して(5)と(6)と表すことにメリットがあるのか?(そもそも等価なのか?)が疑問です。
と婉曲的に書いたのですが、実空間の2つの関数のconvolutionを波数空間で書いた時に2つの関数のFourier変換したものの積で書けるのこと、つまり(5)が(6)の形に書けるためには条件があります。
私が言いたかったのは、収差や画素ピッチ(特に後者)の影響はこの条件を満たしていないということです。
式をplain textで表すので話を1次元とします。
f(x)とh(x)のconvolution = g(x)
とするとき、実際には
∫_{-∞}^∞ dx' f(x') h(x-x') = g(x)
という積分をしています。h(x)はPSFで、像面上のx=0にあるはずの点像が回折などの影響で広がる様子を表しています。h(x-x')はh(x)を+x'だけ平行移動したもので、点像をx'に置いた場合のPSFということです。積分の中のh(x-x')は一般的に積分変換の核と呼ばれ、K(x,x')などと表さるものの1例です。ここで重要なのは、K(x-x')ではなくK(x,x')と書いたことです。
例えばある種の収差による点像の広がりは光軸から離れると大きさ(実際には方向も)が変わるので、点像の位置に依存していて、原点のPSFを平行移動したh(x-x')ではなく、h(x,x')と書くべきです。核が表現する効果が【並進不変性】を持つ時だけ、K(x-x')という1変数関数で表され、そのFourier変換は1つの波数変数で書けるので、convolutionを波数空間で書くとFourier変換した核とf(x)のFourier変換の積という(波数空間での)局所的な形に書けます。しかし並進不変性が無い時は核のFourier変換は2つの波数の関数になり、convolutionをFourier変換したものには波数の積分が1つ残ります。
もしMTFのテストチャートの画面の中央付近だけに限定するのなら、収差については近似的にPSFが実空間で1変数関数で表しても良いかと思いますが、画素ピッチの効果は広がった像と画素の相対的な位置関係や画素の大きさで変わることから(寧ろ変わることを見てコントラストを計算している)、これを実空間で1変数のPSFで表すことは不可能です。その結果、波数空間ではFourier変換の単純な積になりません。
この縁側のルールの最初に「初歩的な物理学等を駆使して、解明して行く事」と書かれてあるので、(6)の形を前提とする数学的に怪しい操作が気になりました。
一方で、ミスター・スコップさんが多数のテスト結果をまとめられて一定の規則性が見出されたことは素晴らしいことかと思います。ただ、建てられた「仮説」が正しいと思われるのは偶然なのか、何らかの根拠があるのかが私には分かりません。
Imatestフォーマットの結果を、傾斜を考慮してLensTipと同等のMTF50の数値に変換して、ミスター・スコップさんが見つけられた系統的な差を示し、両者のテスト・フォーマットを対等に扱えるようにしたいと思っていますが、時間が無くてできていません。
また、ミスター・スコップさんが「仮説」の中で使われている「相対値」「絶対値」が理解できていません。「周波数(MTF)」というのは、コントラストが50%になる空間周波数(LP/mm)のことですよね?
これは、縞模様のコントラストを縞模様の空間周波数・回折・画素ピッチ・収差などの関数として表したもの=0.5、という方程式(収差を入れない時は私のノートの(30)式のC_{1,max}=0.5)を空間周波数(1/L)について解いた結果ですよね。この方程式は空間周波数について非線形の方程式で、その解を絶対値と相対値に分けて議論できる理由が分かりません。
以上のように私が理解できないことが幾つかあって、多数のデータを説明できたのか? 出来たとすればその理由は何か? がわからない状態です。「説明」されたのではなく、単なるデータ・フィッティングをされたということでしたら、そういうものと理解します。
あと、余計なことかもしれませんが、私はミスター・スコップさんが使われている「空間領域」「周波数領域」という言葉が最初ピンと来なくて、「実空間」「波数空間」と呼んでいます。
「領域」というのは「空間」の一部を指しますし、物理の業界では後者をよく使っています。
2018/9/1 13:40 [2182-66]

PAMdiracさん
私の方からご意見を求めておきながら、レスが超遅くなってしまい、大変申し訳ありません。
PAMdiracさんが疑問を抱かれている、式(5)(6)、あるいは「空間領域」「周波数領域」は、私が考え出した(私のオリジナルの)訳では勿論なく、いくつかの文献からの引用です。ただし、「絶対値」「相対値」のみ、(用語の意味そのものは、一般的に用いられている意味と全く同じはずですが)私のオリジナルです。
8/26の[2182-65]でご意見を頂いた際は、文献をもう一度良く読み直してからご回答しようと思っていたのですが、9/1の[2182-66]を拝見したら、逆に回答しなくて良かったと思いました(*1)。私から回答出来るレベルは、 [2182-66]を拝見した後でも、全く変わりません。私が参考にした文献をPAMdiracさんに改めてご紹介し、PAMdiracさんに真偽の程をご確認頂くのが精一杯だからです。因みに、私が当初参考にした文献は、「まったり会の必読図書/指定図書/参考図書」(そのものズバリのスレも作成済です)に全て含まれています。同様の記載のある文献を、8/26の[2182-65]以降、いくつか見付けたので、それも合わせてご紹介する予定です。
回答が遅れている理由は、思いっ切りの言い訳になりますが、前述の通り、文献を読み直そうと思っていたのに、昨今のフルサイズ・ミラーレスのネタに、完璧に気を取られてしまった為です。自慢には全くなりませんが、私は、まさに「易きに流れる」典型例ですね。
(*1)
いきなり、9/1の[2182-66]のように書かずに、8/26の[2182-65]のようにお書きになられたのは、もしかすると、私へのご配慮だったのかもしれませんが、私が、物理的な事を含め、技術的な事を、PAMdiracさんと対等に話し合えるとは、露程も思っていませんので、9/1の[2182-66]のように、具体的にご教示頂けると幸いです。万一、教育的なご配慮だったとしても、PAMdiracさんの教え子の方々とは天地程の差がありますので、やはり、同様です。
PS.
「波数空間」は、バンド構造等で良く見掛ける「E vs. k」のようなイメージでしょうか?「周波数領域」と「波数空間」とは、分野によって、fieldを場としたり、一部のfieldを界としたりするようなものなのかもしれません。
PAMdiracさんからは、またまた失笑を買いそうですが、もし「波数空間」が、バンド構造のように、格子由来の用語だとしたら(*2)、「波数空間」のみが正解ではないような気はします。「周波数領域」に相当する用語は、文献によってマチマチで(例えば「フーリエ空間」等)、決定打はないようです。ですから、「波数空間」(と「実空間」)でも全く構いません。私の意図は、スレ「まったり会のルール、タグ、用語」で書いたように、
> 空間周波数は、実空間と対で用いられる場合は周波数領域(注:波数空間と同一)を意味し、単独で用いられる場合は空間周波数そのものを意味する場合があると言う曖昧さがあります。
の曖昧さを回避したかっただけですので。
(*2)
・Reciprocal lattice (Wikipedia英語版)
https://en.wikipedia.org/wiki/Reciprocal
_lattice
2018/9/4 14:02 [2182-67]

PAMdiracさん
スレ「エアリーディスク駅から出発進行!!」等はレベルが低過ぎるので、殆ど目を通されておられないような気が、以前からしていました。例えば、スレ「まったり会のルール、タグ、用語」に目を通して頂いていたなら、「実空間」「波数空間」の方が用語としては適切だったとしても、
> 私はミスター・スコップさんが使われている「空間領域」「周波数領域」という言葉が最初ピンと来なくて
とはならないように思われるからです。
1つ上の書き込みで、
> 因みに、私が当初参考にした文献は、「まったり会の必読図書/指定図書/参考図書」(そのものズバリのスレも作成済です)に全て含まれています。
と書きましたが、イチイチ文献をご確認頂かなくても、スレ「エアリーディスク駅から出発進行!!」に目を通して頂ければ、式(5)(6)等をどこから引用したのかは、お分かり頂けると思います。勿論、
> PAMdiracさんの資料と合わせ、これらの資料(注:「指定図書」「参考図書」)を基に出発すれば、正しい方向に進むはずです。もし間違った方向に進んでしまったら、間違ってしまった原因は、当然ながら、真っ当な資料ではなく、自分にありますから、真っ当な資料に立ち返って、再出発すれば良いだけの事です。
なので、文献は正しくても、私が誤解して引用している可能性は常にあり得ます。付け加えるなら、私が「ズル」と称した公式を、学生時代に独自に証明なさったPAMdiracさんですから、文献の間違いに気付かれるかもしれません。
> 私が参考にした文献をPAMdiracさんに改めてご紹介し、PAMdiracさんに真偽の程をご確認頂くのが精一杯だからです。
には、こうした意味合いが含まれています。
2018/9/4 14:27 [2182-68]


ミスター・スコップさん、
この縁側が始まったときに、「ルール、タグ、用語」を読んで「実空間、...の使用を控え」というのにずっと違和感を持っています。
波数空間はバンド理論などの固体物理に限らず広く使われています。(むしろ固体物理は実空間の格子構造が波数空間のBrillouin zoneに対応していて、通常の連続的で無限に広い両空間を扱う場合に比べて特殊ですね。)
Fourier変換の指数関数または三角関数の引数に k x = (2π/λ) x という形で入っているように、x と k がdualな関係で、(空間)周波数1/λよりは波数の方が2πが無いだけ使いやすいという程度です。xが属するのは「実空間」であり「実空間の(中のある)領域」ではありません。「周波数領域」というと周波数の特定の値の範囲を指すのに使うと思っていたのですが、業界では常識が違うようですので、それに従います。(fieldを「場」と「界」の二通りに訳したことと、spaceとその一部であるdomainを同列で扱うのとは違います。)
また、指定図書と参考図書の全てを読んでいるわけではありませんが、指定図書と参考図書の一部は元のスレでご紹介いただいたときに読んでいます。
ただ、それらの文献のPSFを適用する対象が、私が[2182-66]に書いた並進不変性が無い場合にまで拡大されています。直感的にいうと、像面上のあらゆる場所で点像のボケ具合が同じであると仮定しています。黒田さんのノートにある回折の評価でさえ、光軸上のみを考え全方向から来る光の強度が一様であることを前提として導出されていて、光軸からずれると厳密にはあの式では表せなくなります。元スレでは光軸付近にある1つまたは2つの点像を考えていたので、このことは気にしていませんでした。
種々の効果を考えるときに文献で扱うような理想的な状況はわかりやすいし式も綺麗になりますが、実際のレンズやイメージセンサーを考えるときに、例えば場所ごとに大きさや形が違うスポットダイアグラムをPSFとして考えるなら、一様性の仮定は成り立ちません。
画素ピッチの効果についても、Frontiers in Physicsのpaperでは(13)-(15)で"detectorのPSF"を表していますが、私の光量分布のように画素と点像の相対位置を含まない形になっています。(最初にこれを見たときに不自然に見えたので、私のノートのあるような導出法を採りました。私の結果には画素に対する位置xcという変数が含まれますが、上記の文献にはありません。)
ミスター・スコップさんが、
> 私が参考にした文献をPAMdiracさんに改めてご紹介し、PAMdiracさんに真偽の程をご確認頂くのが精一杯だからです。
と仰られるので、文献で使われる理想化の限界を見極めるのは私のタスクだということでしょうね。画素ピッチの方は終わっています。光学系に大きく依存する収差などはスポットを再現するモデルを作って数値計算すればできそうですが、そこまでして現実に合うことを示せても(他に見落とした効果がなければ再現できるはずで)「はい、合いました」で終わって面白みはありません。
元々私が「空間領域で話をした方がわかりやすいのでは」と思った理由は、上記のように最初からFourier変換した後の周波数領域で考えると、何の効果を取り入れて何を落としているのかがわかりにくいと思ったからです。上述のように、「像面上のどこでも点像のボケ方は同じである」という前提に立つことを認めていればよいのですが(逆に言えば、周辺で酷くなる収差は扱えない)、この辺りの計算を知らない人にはピンと来ないでしょう。
あと[2182-66]に書いたようにMTF(周波数)の「相対値」と「絶対値」を分けて考えることができる理由が知りたいですね。よろしくお願いします。
ミスター・スコップさんが実写テストと比較されて収差の効果を取り入れられています。
収差については前に書いていましたし、皆さん写真を撮っていて感じられているように、光学系に大きく依存しています。簡単な場合の幾何光学的収差は計算式がありますが、実際のレンズは単純な球面レンズ1枚ではないですし、色収差まで入ると硝材でも違うしユニバーサルな議論はできないと思っています。もし、何らかの規則性が抽出できるとしたら、その理由を知りたいのです。
2018/9/4 20:29 [2182-69]

PAMdiracさん
詳しくご説明頂き、どうもありがとうございます。
> この縁側が始まったときに、「ルール、タグ、用語」を読んで「実空間、...の使用を控え」というのにずっと違和感を持っています。
[2182-67]でも書いた通り、(私が色々(真っ当な文献以外も含みます)を読んだ限り)感じた空間周波数の使い方の曖昧さ(きっと、PAMdiracさんの周辺では生じていない事象だと思います)を回避したかったからだけですので、今後は、「実空間」「波数空間」に改めさせて頂きます。今後も、ご遠慮なくバシバシご指摘頂ければ、幸いです。
> ただ、それらの文献のPSFを適用する対象が、私が[2182-66]に書いた並進不変性が無い場合にまで拡大されています。直感的にいうと、像面上のあらゆる場所で点像のボケ具合が同じであると仮定しています。黒田さんのノートにある回折の評価でさえ、光軸上のみを考え全方向から来る光の強度が一様であることを前提として導出されていて、光軸からずれると厳密にはあの式では表せなくなります。元スレでは光軸付近にある1つまたは2つの点像を考えていたので、このことは気にしていませんでした。
種々の効果を考えるときに文献で扱うような理想的な状況はわかりやすいし式も綺麗になりますが、実際のレンズやイメージセンサーを考えるときに、例えば場所ごとに大きさや形が違うスポットダイアグラムをPSFとして考えるなら、一様性の仮定は成り立ちません。
> 画素ピッチの効果についても、Frontiers in Physicsのpaperでは(13)-(15)で"detectorのPSF"を表していますが、私の光量分布のように画素と点像の相対位置を含まない形になっています。(最初にこれを見たときに不自然に見えたので、私のノートのあるような導出法を採りました。私の結果には画素に対する位置xcという変数が含まれますが、上記の文献にはありません。)
PAMdiracさんの真意が(まだまだ不十分だとは思いますが)やっと分かりました。私は、まさに「Frontiers in Physicsのpaperでは(13)-(15)の"detectorのPSF"」を一般的に広く受け入れられている考え方/数式だと思っていましたので。文献を読み直そうと思っていたのは、(13)-(15)の"detectorのPSF"の位置付けを、私が勘違いしていないかを確認したかったからです。合わせて、(13)-(15)の元になっている(2)-(3)の引用文献(有名な文献のようです)等含め、関連文献も読もうと思っていました。
(私がエアリー強度分布と呼んでいる)無収差のPSFのフーリエ変換で得られる式(3)は、スレ「出発進行」でも書きましたが、極々当たり前のように、四方八方で見掛けます。
ですので、Frontiers in PhysicsのpaperでのPSFの取り扱いは、かなり一般的に用いられているように感じています。PAMdiracさんが問題視なさっている箇所は、他の文献も全て共通なので、他の文献をご紹介する必然性はなくなりましたが、念の為、後日、紹介させて頂きます。
> 文献で使われる理想化の限界を見極めるのは私のタスクだということでしょうね。
もしお願い出来るのなら、よろしくお願い致します。
> あと[2182-66]に書いたようにMTF(周波数)の「相対値」と「絶対値」を分けて考えることができる理由が知りたいですね。よろしくお願いします。
「相対値」を用い出した切っ掛けは、PAMdiracさんにご紹介した「α7Rii & FE55mmF1.8ZA」で、実測値がLensTipとOpticalLimitsとで大きく異なっていたからです。それぞれの最大値で規格化すると、F値依存性に大きな差異は見られませんでした。実測値を1つの評価機関に絞るのは、(私が絶対値を重視していない理由と重なりますが)避けたかったので、LensTipとOpticalLimitsの(空間周波数の)実測値のF値依存性は、相対値で扱う事にしました。さらに、私が計算値を全て相対値で扱っていた(画素ピッチ、空間周波数等を、エアリーディスク半径(の逆数)によって規格化した)事も大きな理由です。この点は非常に反省しており、次回は絶対値で計算し直そうと思っています。
相対値での実測値と(胡散臭さ満載の)計算値との差は、収差に依るのでは?と思った時に見付けた収差と口径との関係式は、単に比例関係を示すモノでしたが、相対値で推し進めて来たので、却って?好都合でした。
一方、(空間周波数の)実測値を絶対値で扱ったのは、それぞれでの最大値のみです。前述の通り、計算値は全て相対値なので、最大値の画素ピッチ依存性と言うシンプルな形で纏めました。こちらは、光学系(回折、収差)の影響が最も小さい場合が、(空間周波数の)実測値の最大値となるはずなので、定性的には成り立っていても不思議ではないと思っています。
勿論、PAMdiracさんの、
> ただ、建てられた「仮説」が正しいと思われるのは偶然なのか、何らかの根拠があるのかが私には分かりません。
とのご指摘は、ご尤もです。自分でも重々承知していますから、「まったり仮説」と名付けました。
まだまだ、PAMdiracさんから頂いた宿題は残っていますので、後日、回答させて頂きます。申し訳ありません!!
2018/9/5 09:11 [2182-70]



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DxOMark「SNR 18%」「Screen」、α7Sii、D5、1DX2 | DxOMark「SNR 18%」「Print」、α7Sii、D5、1DX2 | DxOMark「SNR 18%」「Screen」、1Ds、1Ds3、1DX2 | DxOMark「SNR 18%」「Print」、1Ds、1Ds3、1DX2 |
¥ショットノイズ ¥画素ピッチ
PAMdiracさんの露払いには全くなりませんが、発祥スレでの記載内容を、ほぼそのまま、転記しておきます。
フォトダイオードに関連するノイズは、ショットノイズ以外にも、独立事象として扱えるノイズが複数存在します。これらのノイズ(電流)を、エネルギーとして足し合わせて電流に戻し(二乗平均平方根)、トータルノイズが算出されます。
デジタルカメラ用イメージセンサーでは(ノイズが問題となる光量では)、一般的に、ショットノイズは、他のノイズを無視出来る程度に大きいので(shot noise limited)、ショットノイズのみを扱う場合が殆どだと思います。フォトダイオードですから、
・Signal ∝ 光子数
・Shot Noise ∝ √光子数
↓
・S/N ∝ √光子数
画素ピッチとの関係は、当然、
・光子数 ∝ 画素ピッチ^2
↓
・S/N ∝ 画素ピッチ ‥ (あ)
となります。
式(あ)が成り立つ大前提は、イメージセンサーの設計技術/製造技術がほぼ同等と見做せる場合です。
この事を、DxOMarkでの実例にて、ご説明します。DxOMarkの測定では、項目に依らず、バラツキ(標準偏差)が非常に重要な要素で、ノイズや分解能として扱われます。さらに、測定は、等倍鑑賞に相当する「Screen」のみで行い、プリント鑑賞に相当する「Print」は、オリジナルの画素数を800万画素にリサイズした場合の、式(あ)による換算値です。
ここでは、「SNR 18%」での「Screen」「Print」を、3機種×2組、ご紹介します。全てフルサイズですので、「Print」、すなわち、800万画素では、実質的な画素ピッチは全て同じです。
1〜2枚目の機種は、以下の通りです。
[α7Sii]
・発売年月: 2015年10月
・画素ピッチ: 8.40μm
[D5]
・発売年月: 2016年3月
・画素ピッチ: 6.44μm
[1DX2]
・発売年月: 2016年4月
・画素ピッチ: 6.56μm
1枚目が等倍鑑賞相当の「Screen」、2枚目がプリント鑑賞/通常モニター鑑賞相当の「Print」です。
1枚目では機種間に差が生じていますが、2枚目では機種間の差は殆どありません。これは、実質的画素ピッチを揃えたからだと説明出来ます。しかし、大前提条件「イメージセンサーの設計技術/製造技術がほぼ同等と見做せる」場合だからです
次に、「イメージセンサーの設計技術/製造技術がほぼ同等と見做せない」場合を見て行きます。
3〜4枚目の機種は、以下の通りです。
[1Ds]
・発売年月: 2002年11月
・画素ピッチ: 8.76μm
[1Ds3]
・発売年月: 2007年11月
・画素ピッチ: 6.41μm
[1DX2]
・発売年月: 2016年4月
・画素ピッチ: 6.56μm
先程と同様、3枚目が「Screen」、4枚目が「Print」です。3機種とも、キヤノンの1D系なので、センサーもキヤノン製のフルサイズです。しかし、4枚目は、実質的な画素ピッチが同じにも拘わらず、機種間に差が生じています。新しい機種程、換算値は向上しています。これは、発売年月から分かるように、「イメージセンサーの設計技術/製造技術がほぼ同等と見做せない」場合と判断して、間違いないと思います。
【参考図書】
「第05章 イメージセンサ」(p115〜)に、CCDのノイズに関する説明があります。URLを省いた章のPDFは、下に付けた「光半導体関連の技術資料(浜松ホトニクス)」にて、全てダウンロード可能です。
・光半導体素子ハンドブック (浜松ホトニクス)
第01章 はじめに
https://www.hamamatsu.com/resources/pdf/
ssd/01_handbook.pdf
第02章 Siフォトダイオード
https://www.hamamatsu.com/resources/pdf/
ssd/02_handbook.pdf
第03章 Si APD、MPPC
第04章 フォトIC
第05章 イメージセンサ
https://www.hamamatsu.com/resources/pdf/
ssd/05_handbook.pdf
第06章 化合物光半導体 受光素子
第07章 熱型検出素子
第08章 LED
第09章 X線検出器
第10章 高エネルギー粒子用Si検出器
第11章 モジュール
第12章 空間光位相変調 LCOS-SLM
第13章 技術紹介
第14章 品質管理、環境への対応
第15章 用語説明
・ 光半導体関連の技術資料 (浜松ホトニクス)
https://www.hamamatsu.com/sp/ssd/doc_ja.
html
古い資料ですが、タイトル通り、イメージセンサーの基礎を学べます。
・イメージセンサーの基礎 (東北大学准教授・鏡慎吾氏、2005/04/19)
http://www.ic.is.tohoku.ac.jp/~swk/lectu
re/ic2005/kagami_ic20050419.pdf
ノイズに関して、かなり詳しい説明がなされています。
・画像化プロセスと画像ノイズ (奈良先端科学技術大学院大学准教授・高松淳氏、2010/11)
http://robotics.naist.jp/~j-taka/materia
ls/CVIM2010Nov.pdf
2018/8/12 14:28 [2182-48]

¥ショットノイズ ¥画素ピッチ
【補足】
DxOMarkの測定値に関して、簡単にご説明します。
DxOMarkの測定に関する理解が深まったのは、ほぼ100%、じよんすみすさんから有益な情報をご紹介頂いたお蔭です。いつもいつも、ありがとうございます!!
DxOMarkのデータをご覧になる際は、必ず、タブ「Measurements」にある各グラフで良く比較なさって下さい。DxOMarkのデータが誤解を招き易いのは、タブ「Scores」に掲載されているスコアだけが独り歩きし易い為です。
「Measurements」のグラフには、そのものズバリの「SNR 18%」が掲載されていますので、「SNR 18%」のみご説明します。前述の通り、DxOMarkの測定では、項目に依らず(「SNR 18%」に限らず)、バラツキ(標準偏差)が非常に重要な要素で、ノイズや分解能として扱われます。
「ISO Sensitivity」は、カメラで設定されるISO感度(Manufacturer ISO)と、ISO-12232に準拠し測定された、DxOMarkの測定ISO感度(Measured ISO)との相関グラフです。
以降のグラフの横軸は、全て、Measured ISOで統一されるので、メーカー/機種を問わず、同一のISO感度で比較している事になります。
各グラフは、「Screen」と「Print」とを切り替えて表示出来ますが、「Screen」は等倍鑑賞用、「Print」はプリント鑑賞や通常表示でのモニター鑑賞用です。つまり、「Screen」はセンサーの画素数/解像度が反映された評価、「Print」は800万画素相当にリサイズされた評価と見做せます。
DxOMarkは、「Screen」での測定のみ行い、「Print」には「Screen」からの換算値を用いているのは、前述通りです(これも別の方からのご指摘が切っ掛けで分かりました)。
「SNR 18%」では、18%グレーを撮影した時の全画素のデータから、平均値と標準偏差を求めます。そして、SNR=20×log(平均値/標準偏差)により、SNRを算出します。
・DxOMark (比較ページ)
https://www.dxomark.com/Cameras/Compare/
Side-by-side
2018/8/12 14:29 [2182-49]



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周波数(MTF)のF値依存性、(α7Rii & FE55mmF1.8ZA) |
¥MTF ¥F値
発祥スレの終盤頃から、モヤモヤしたモノに悩まされ来ました。しかし、当初は何から手を付ければ良いのかも全く分かっていませんでした。
様々な資料を眺めている内に、モヤモヤとは、このまま計算を続けても、現実の「レンズ+センサー」から得られた結果との乖離が残ってしまうのでは?との漠然とした不安である事に気付きました。そこで、実測値を集め捲くりながら、計算結果との対比を行い、辿り着いたのが「まったり仮説」です。
しかし、(最初から名称は一貫していますが)まったり仮説が、文字通り、胡散臭さ満載である事が、たちどころに判明しました。PAMdiracさんが、実測値とドンピシャの理論値を導出なさったからです。
結局の所、モヤモヤは、自分の外側にあると思い込んで散々探し回った挙句、実は自分の内側にあったと言う、まるで青い鳥の如くのオチとなりました。
ただ、折角、実測値を集め捲くったので、まったり仮説はほらー噺として、一笑に付して頂いて全く構いませんが、実測値のみに着目なさってご覧になれば、満更、捨てたモノでもないと思います??!
1枚目は、PAMdiracさんのドンピシャの理論値(水色)と、お話にならない私の計算値(青色)です。ここで想定しているのは、私が 実測値を集め捲くった4つのサイト全てに、実測値が掲載されていた「α7Rii & FE55mmF1.8ZA」です。実測値は、赤色系の丸がLensTip、四角がOpticalLimitsです。1枚目は相対値での表示となっていますが、 PAMdiracさんの理論値/絶対値(LP/mm)は、LensTipの実測値(LP/mm)とドンピシャでしたので、私の計算値がお話にならないのは、火を見るよりも明らかです。
この事実を重々承知した上で、以降では、まったり仮説に関し、詳しくご説明致します。
まず、周波数(MTF)のF値依存性との関連が深いとされる数式を確認しておきます。
・エアリーディスク半径 = 1.22λF = 2*画素ピッチ ‥‥ (1)
・F = 2*画素ピッチ/(1.22λ) = 画素ピッチ/(0.61λ) ‥‥ (1)’
●まったり仮説
周波数(MTF)のF値依存性に関する仮説です。2項から成ります。
・第1項: 相対値では、周波数(MTF)のF値依存性は、光学的要因(回折、収差)によりほぼ決まり、画素ピッチによる影響は式(1)'によるF値付近でも顕著ではない。
・第2項: 絶対値では、周波数(MTF)の最大値は、画素ピッチのみで決まり、画素ピッチに反比例する。
これをご覧になった方は、例えば、「第2項は当たり前じゃないか」と突っ込みたくなると思います。しかし、約2000万画素の1型センサー(画素ピッチ:2.37μm)、さらには約1200万画素のスマートフォン(画素ピッチ:1.22μm)でも、第2項は成り立っていると思いますか?第2項を成り立たせる為には、画素ピッチに下限を設定しなければならないかもしれませんよね?
第1項の検討でも、実測値と私の計算値とが混同される事はありません。さらに、第2項の検討では、実測値しか用いません。第2項を成り立たせる為に、画素ピッチに下限が導入されたのかとか、導入されたなら画素ピッチの具体的数値はいくつなのかとか、多分、ご興味を抱いて頂けると思います。
2018/8/12 11:44 [2182-24]

¥MTF ¥F値
実測値は、以下の2つのサイトから入手しました。
・LensTip(LTと略す場合があります)
https://www.lenstip.com/lenses_reviews.h
tml
白黒矩形波(解像度チャート)を用い、コントラスト(MTF)=0.5となる周波数(MTF)を求めています。写真業界では最も一般的なコントラスト法ですので、実測値(LP/mm)も、一般的に得られる数値とほぼ一致しています。
・OpticalLimits(OLと略す場合があります)
http://www.opticallimits.com/Reviews
Imatest製ソフトウェアによる測定を行っています。Imatest製ソフトウェアは、MTF測定に、ESF(Edge Spread Function)を用いています。ESFを微分し、LSF(Line Spread Function)を得てから、フーリエ変換を行うと、その絶対値がMTFそのもの(MTF(周波数)=コントラスト)となります。ただし、OpticalLimitsの実測値(注1)は、以下のImatestのコメントから分かるように、コントラスト(MTF)=0.5を基準としているものの、コントラスト法による測定結果とは、かなり異なります。
「The original ISO calculation is performe
d when the ISO standard SFR(Spatial Freq
uency Response) checkbox in the SFR inpu
t dialog box is checked. It is normally
left unchecked.」
・Imatest Documentation (2009年)
http://www.imatest.com/docs/Imatest%20Do
cumentation.pdf
(注1)
・(LW/PH ) / (2*イメージセンサー短辺(mm)) → LP/mm、にて単位は合わせてあります。
私は、以下の数式から計算結果を得ました。
・システムのMTF
= 光学系のMTF × 画素のMTF
= exp(-2*(πkσ)^2) × {sin(πk) / (πk)} ‥‥ (2)
F値は、以下により、式(2)に反映させました。
・σ(F値) = (F値/4)*σ0 ‥‥ (3)
ここで、
・σ0 =32 / (3π*√(2π)*x0)
・x0は、「J1(x0)=0」となるx(エアリーディスク半径)。
つまり、PAMdiracさんの近似式の基準偏差値に、F4を基準としたF値の比率を掛けると言う事です。
2018/8/12 11:46 [2182-25]

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各F値での周波数(MTF)の周波数依存性 | 周波数(MTF)のF値依存性、(α7Rii & FE55mmF1.8ZA) | 仮想計算、実測値と計算値、収差 | 周波数(MTF)のF値依存性、収差補正効果 |
¥MTF ¥F値
1枚目は、1つ前の書き込みでご説明した計算方法にて求めた、各F値での周波数(MTF)の周波数依存性です。各F値の曲線と、コントラスト(MTF)=0.5(赤色の直線)との交点での周波数を、F値依存性に焼き直すと、いつも見慣れた、周波数(MTF)のF値依存性となります。
なお、上記の通り、式(2)(システムのMTF=光学系のMTF × 画素のMTF)に基づき算出していますが、周波数(MTF)のF値依存性ですから、計算値はF値を反映した、回折効果を表しているとして、以降、取り扱います。
2枚目は、2つ前の書き込み[2182-24]でご紹介したグラフです。私の計算値(青色)は、F4を基準としましたので、F4で実測値(LensTipとOpticalLimitsのそれぞれの相対値の平均値)と一致させてあります。F値が大きくなればなる程、周波数(MTF)はどんどん下がっています。
私の計算値を元にした、まったり仮説・第1項は、ほらー噺かもしれませんが、ウソップでもそげキングとかで活躍しましたから、実測値と私の計算値との関係について、考察してみました。私の計算値が正しいとすると(最早、Kelvin Timelineのようなパラレルワールドに突入しています!)、回折の影響を打ち消すだけの大きな補正効果が働いている事になります。この補正効果は、収差補正効果と見做すのが妥当でしょう。しかし、収差に関しては無知だったので、これ程、大きな収差補正効果があり得るのかどうか、不明でした。漸く、辿り着いたのが、以下の2つの資料です。光学顕微鏡では、各収差に対し、
・球面収差 ∝ 口径の3乗
・コマ収差 ∝ 口径の2乗 × 画角の1乗
・非点収差 ∝ 口径の1乗 × 画角の2乗
・像面湾曲 ∝ 口径の1乗 × 画角の2乗
・歪曲収差 ∝ 画角の3乗
との関係があるとの事。ただし、2つの資料のどちらにも記載されていたのは、
・球面収差 ∝ 口径の3乗
のみです。
以下の「実用幾何光学入門」に、上記の関係が記載されています。
・偏光顕微鏡で観察する液晶の世界(液晶学会の1998年度サマースクール向けに書き下ろした資料) (東京工業大学准教授・石川謙氏)
http://www.op.titech.ac.jp/lab/Take-Ishi
/html/ki/hg/micro/mic0.html
余談ですが、こう言う事が好きな方は、少なからずおられるようですね。まったり会にも‥?!
以下には、「「球面収差」は開口数(N.A.)の3乗に比例します」との記載があります。
・技術情報「収差の分類とは」 (オリンパス)
https://www.olympus-ims.com/ja/microscop
e/terms/classification/
そこで、周波数(MTF)のF値依存性の最大公約数的な仮想的な「空間周波数のF値依存性」を仮定、回折効果は「1/F値」に比例、収差補正効果は上記の関係から口径に関わる部分のみ抜き出し、表として纏めたのが、3枚目です。ただいきなり、この表を見ただけでは分かり難いと思いますので、3枚目は、一旦、スキップします。
4枚目は、2枚目と同じ実測値(レンズ中心部)と計算値に加え、実測値と計算値との差(黄緑色)、F4を基準とした場合の「1/F値」(黄色)を追加したグラフです。実測値と計算値との差(黄緑色)が、収差補正効果なのでは?と推察している訳です。
一旦、スキップした、3枚目の表(の中段、FE55mmF1.8の箇所)と4枚目とを見較べて頂くと、表でお伝えしたかった内容が、多少なりともご理解頂けると思います。3枚目の表の意味がある程度、お分かり頂けたなら、口径のべき乗で考察した収差補正効果(注2)と、 実測値と計算値との差が、定性的には類似した傾向にある事に気付いて頂けると思います。なお、 口径のべき乗で考察した収差補正効果と 、実測値と計算値との差が、数値的にも類似しているのは、現時点では、全くの偶然です。収差と、周波数(MTF)のF値依存性との間に、どのような関係があるのか、不明だからです。
(注2)
・NA=1/(2*F値)
・収差補正効果(NA^xに比例する場合)={[1/(2*2)]^x − [1/(2*F値)]^x} / {[1/(2*2)]^x}
により、算出しています。「2*2」の部分は、F2を基準としている事を意味します。
次からは、暫く、実測値のみ、ご紹介します。その後で、再び、ほらー噺、パラレルワールドに戻りますので、乞うご期待???‥
2018/8/12 12:00 [2182-26]

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周波数(MTF)のF値依存性、ボディ×レンズ:延べ63組 |
¥MTF ¥F値
OpticalLimitsとLensTip とから、集め捲くった実測値をご紹介して行きます。
1枚目は、個々の最大値で規格化した、全て(ボディ×レンズ:延べ63組。注3)の実測値です。
・F = 2*画素ピッチ/(1.22λ) = 画素ピッチ/(0.61λ) ‥‥ (1)’
が成り立っているのかどうかを、分かり易くする為に、画素ピッチで大きく2通りに色分けしました。グラフでの色と画素ピッチとの関係は、以下の通りです。
・青系: 6.41μm(5D2)、5.94μm(D3X)
・赤系: 4.52μm(α7Rii)、4.14μm(5DsR)、3.40μm(V1)
λ=550nmとした場合の、画素ピッチ毎の式(1)'で得られるF値は、グラフでは破線で示してあります。式(1)'が妥当かどうかは、黄色の領域で凡そ判断出来ると思います。
2018/8/12 12:02 [2182-27]

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周波数(MTF)のF値依存性、OpticalLimitsのみ | 周波数(MTF)のF値依存性、OpticalLimits、画素ピッチ大 | 周波数(MTF)のF値依存性、OpticalLimits、画素ピッチ小 | 周波数(MTF)のF値依存性、LensTipのみ |
¥MTF ¥F値
実測値を、サイト、画素ピッチで、絞り込んだグラフを、示します。
1枚目は、OpticalLimitsのみの実測値です。
2枚目は、OpticalLimitsのみ、画素ピッチは「6.41μm(5D2)、5.94μm(D3X)」のみの実測値です。
3枚目は、OpticalLimitsのみ、画素ピッチは「4.52μm(α7Rii)、4.14μm(5DsR)、3.40μm(V1)」のみの実測値です。
4枚目は、LensTipのみの実測値です。4枚目のみ、黄色の領域を周波数が小さい側にシフトしてあります。
1つ前の書き込みと合わせ、5枚のグラフを見ると、式(1)'は、やや曖昧さを含みつつも、成り立っていると見做せるように思います。
2018/8/12 12:06 [2182-28]

¥MTF ¥F値
(注3)
実測値として引用した、ボディとレンズの組み合わせ。断りがない限り、レンズの中心部のみ。
[OpticalLimits]
5D2 (画素ピッチ6.41μm)
Canon EF 24mm f/1.4 USM L II
Canon EF 35mm f/1.4 USM L
Canon EF 50mm f/1.2 USM L
Canon EF 50mm f/1.4 USM
Canon EF 85mm f/1.2 USM L II
Canon EF 100mm f/2.8 USM L IS macro
◎Sigma 24mm f/1.4 DG HSM ART
Sigma 35mm f/1.4 DG HSM | Art
Sigma 50mm f/1.4 DG HSM | Art
Samyang 24mm f/1.4 ED AS UMC
Voigtlander Nokton 58mm f/1.4 SL II
Zeiss Planar T* 50mm f/1.4 ZF (ZE)
5DsR (画素ピッチ4.14μm)
Canon EF 35mm f/1.4 USM L II
Canon EF 85mm f/1.4 USM L IS
Sigma 20mm f/1.4 DG HSM ART
◎Sigma 24mm f/1.4 DG HSM ART
Sigma 85mm f/1.4 DG HSM ART
Sigma 135mm f/1.8 DG HSM ART
Tamron SP 35mm f/1.8 Di USD VC
D3X (画素ピッチ5.94μm)
●Nikkor AF-S 24 mm f/1.4G ED
●Nikkor AF-S 24 mm f/1.8G ED
●◇Nikkor AF-S 28 mm f/1.8G
●Nikkor AF-S 35 mm f/1.4G
●Nikkor AF-S 35 mm f/1.8G ED
●Nikkor AF-S 50 mm f/1.4G
●◇Nikkor AF-S 50 mm f/1.8G
●Nikkor AF-S 58 mm f/1.4G
●Nikkor AF-S 85 mm f/1.4G
●◇Nikkor AF-S 85 mm f/1.8G
●Nikkor AF-S 105 mm f/1.4E ED
●Nikkor AF-S 200 mm f/2G ED VR
Nikon 1 V1 (画素ピッチ3.40μm)
1 Nikkor 10mm f/2.8
1 Nikkor 18.5mm f/1.8
◇Nikkor AF-S 28mm f/1.8 G
Nikkor AF-S 35mm f/1.8 G DX
Micro Nikkor AF-S 40mm f/2.8 G DX
◇Nikkor AF-S 50mm f/1.8 G
◇Nikkor AF-S 85mm f/1.8 G
α7Rii (画素ピッチ4.52μm)
●Sony FE 50mm f/1.8 (Sony SEL50F18F)
Sony FE 85mm f/1.8 (Sony SEL85F18)
Sony FE 90mm f/2.8 G OSS macro (Sony SEL
90M28G)
Zeiss Distagon T* FE 35mm f/1.4 ZA (Sony
SEL35F14Z)
●Zeiss Sonnar T* FE 55mm f/1.8 ZA (Sony S
EL55F18Z)
Zeiss Batis 85mm f/1.8
[LensTip]
D3X (画素ピッチ5.94μm)
●Nikkor AF-S 24 mm f/1.4G ED
●Nikkor AF-S 24 mm f/1.8G ED
Nikkor AF-S 28 mm f/1.4E ED
●◇Nikkor AF-S 28 mm f/1.8G
●Nikkor AF-S 35 mm f/1.4G
●Nikkor AF-S 35 mm f/1.8G ED
●Nikkor AF-S 50 mm f/1.4G
●◇Nikkor AF-S 50 mm f/1.8G
●Nikkor AF-S 58 mm f/1.4G
●Nikkor AF-S 85 mm f/1.4G
●◇Nikkor AF-S 85 mm f/1.8G
●Nikkor AF-S 105 mm f/1.4E ED
●Nikkor AF-S 200 mm f/2G ED VRII
α7Rii (画素ピッチ4.52μm)
●Sony FE 50mm f/1.8 (Sony SEL50F18F)
Sony FE 85 mm f/1.4 GM (Sony SEL85F14GM)
Zeiss Sonnar T* FE 35 mm f/2.8 ZA (Sony
SEL35F28Z)
●Zeiss Sonnar T* FE 55mm f/1.8 ZA (Sony S
EL55F18Z)
Zeiss Batis 25 mm f/2
Voigtlander Apo-Lanthar 65 mm f/2 Aspher
ical 1:2 Macro
2018/8/12 12:12 [2182-29]

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---|---|---|---|
周波数(MTF)のF値依存性、3×3通り、中心部 | 周波数(MTF)のF値依存性、3×3通り、最周辺部 | 周波数(MTF)のF値依存性、3本の仮想レンズ、中心部 | 周波数(MTF)のF値依存性、3本の仮想レンズ、最周辺部 |
¥MTF ¥F値
1つ前の書き込み[2182-29]の(注3)に、実測値として引用した、ボディとレンズの組み合わせを記載しました。名称の前に、記号が付されているレンズがありますが、同一のレンズが、異なるサイト、あるいは同じサイトでの異なるボディにて測定されている事を示しています。この内、◇を付した以下のレンズでは、3通りの測定が行われています。
[レンズ]
◇Nikkor AF-S 28mm f/1.8 G
◇Nikkor AF-S 50mm f/1.8 G
◇Nikkor AF-S 85mm f/1.8 G
×
[サイト、ボディ]
・OpticalLimits、D3X(5.94μm)
・OpticalLimits、V1(3.40μm)
・LensTip、D3X(5.94μm)
この9通りの実測値を見較べると、何らかの傾向等が分かるかもしれないと思い、同一のグラフにプロットしてみました。
1枚目はレンズ中心部、2枚目はレンズ最周辺部での実測値です。
同じレンズには同じ色を用い、同一の「サイト、ボディ」には同じ記号を用いました。
1枚目(レンズ中心部)では、「OpticalLimits、V1」のみ、F11の周波数(MTF)が下がっています。
2枚目(レンズ最周辺部)では、実測値が大きくバラついています。「サイト、ボディ」毎に差が生じているように見えますが、バラツキが大きい為、明確には判断出来ません。バラツキが大きい原因は、恐らく、個体差に依るのでは?と推察してます。
そこで強引に、同一の「サイト、ボディ」での3本の実測値の平均値を、以下に示す3本の仮想レンズの実測値と見做してみました。
[仮想レンズ]
・OpticalLimits、D3X
・OpticalLimits、V1
・LensTip、D3X
3枚目は仮想レンズの中心部、4枚目は仮想レンズの最周辺部での実測値(平均値)です。
3〜4枚目を見ると、「LensTip、D3X」のみ、F値が大きくなっても、周波数(MTF)が小さい傾向にあります。特に、4枚目(レンズ最周辺部)で顕著です。
「OpticalLimits、V1」は、「LensTip、D3X」と若干似た傾向で、周波数(MTF)が「OpticalLimits、D3X」と同一になる(に迫る)のは、F1.8側から見て、F4になった段階です。一方、「OpticalLimits、V1」は、F11では、 (OpticalLimitsとLensTip、それぞれの)D3Xと較べ、周波数(MTF)が明らかに低下しています。 OpticalLimitsはF11までしか測定していない場合が多い為、断言は出来ませんが、F16の実測値があれば、周波数(MTF)の低下はより顕著である可能性が高いと推察されます。
2つ前の書き込み[2182-28]で、「5枚のグラフを見ると、式(1)'は、やや曖昧さを含みつつも、成り立っていると見做せるように思います」とコメントしました。ここで示した「OpticalLimits、V1」でも、やはりやや曖昧ですが、式(1)'が成り立っていると見做せるように思います
2018/8/12 12:26 [2182-30]

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周波数(MTF)のF値依存性、(FE55mmF1.8ZA) | 周波数(MTF)のF値依存性、収差補正効果、中心部 | 周波数(MTF)のF値依存性、収差補正効果、最周辺部 |
¥MTF ¥F値
ほらー噺、パラレルワールドの、まったり仮説・第1項に戻ります。
ここまで見て頂いた実測値の内、3例に着目し、検討を進めます。
最初は、「α7Rii & FE55mmF1.8ZA」です。実測値には、OpticalLimitsとLensTipのそれぞれの相対値の平均値を用いています。
1〜2枚目は、[2182-26]で既に示しています。
1枚目は、レンズの中心部と最周辺部での実測値、及び、計算値です。
2枚目は、レンズ中心部での実測値、計算値、実測値と計算値との差(黄緑色)で、この差が収差補正効果ではないかと推察しています。
3枚目は、レンズ最周辺部での実測値、計算値、実測値と計算値との差(緑色)です。
最周辺部での実測値は、中心部での実測値の最大値で規格化していますから、周波数(MTF)は、中心部より低下しています。しかし、 実測値と計算値との差、すなわち、収差補正効果は、中心部でも最周辺部でも、ほぼ同程度です。また、収差補正効果は、中心部ではF8、最周辺部ではF11で、ほぼ飽和に達しています。
なお、式(1)'が成り立っているようには、見えません。
2018/8/12 12:31 [2182-31]

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周波数(MTF)のF値依存性、(Voigtlander65mmF2) | 周波数(MTF)のF値依存性、収差補正効果、中心部 | 周波数(MTF)のF値依存性、収差補正効果、最周辺部 |
¥MTF ¥F値
次は、「α7Rii & Voigtlander Apo-Lanthar 65mm
F2 Aspherical Macro」です。
LensTipは、レビューの「Image resolution」にて、以下のコメントを残しています。
「At the time of the announcement the Cosi
na company claimed the Voigtlander 2/65
would be one of the sharpest lenses avai
lable on the market. The results of our
test show they didn’t exaggerate even a bit.」
1枚目は、レンズの中心部と最周辺部での実測値、及び、計算値です。
2枚目は、レンズ中心部での実測値、計算値、実測値と計算値との差(黄緑色)です。収差補正効果ではないかと推察している、 実測値と計算値との差は、 FE55mmF1.8ZAと較べ、F8では、明らかに小さくなっています。 Voigtlander65mmF2では、収差がかなり抑えられている事を示唆していると思われます。
3枚目は、レンズ最周辺部での実測値、計算値、実測値と計算値との差(緑色)です。最周辺部では、中心部より、周波数(MTF)が低下しているので、収差が十分には抑えられていないと推察されます。実際、 実測値と計算値との差は、中心部とは異なり、F8では、FE55mmF1.8ZAとほぼ同等となっています。
実測値と計算値との差の大小が、収差の大小の裏返しであると解釈出来るなら、実測値と計算値との差を、収差補正効果と見做す事は、妥当と思われます。
なお、FE55mmF1.8ZAと同様、式(1)'が成り立っているようには、見えません。
Voigtlander65mmF2に関しては、後で再び、触れます。
2018/8/12 12:34 [2182-32]

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周波数(MTF)のF値依存性、3本の仮想レンズ、中心部 | 周波数(MTF)のF値依存性、3本の仮想レンズ、最周辺部 | 周波数(MTF)のF値依存性、収差補正効果、3本の仮想レンズ、中心部 | 周波数(MTF)のF値依存性、収差補正効果、3本の仮想レンズ、最周辺部 |
¥MTF ¥F値
3つ前の書き込み[2182-30]で、
[レンズ]
◇Nikkor AF-S 28mm f/1.8 G
◇Nikkor AF-S 50mm f/1.8 G
◇Nikkor AF-S 85mm f/1.8 G
×
[サイト、ボディ]
・OpticalLimits、D3X(5.94μm)
・OpticalLimits、V1(3.40μm)
・LensTip、D3X(5.94μm)
の実測値から、以下の3本の仮想レンズを想定しました。
[仮想レンズ]
・OpticalLimits、D3X
・OpticalLimits、V1
・LensTip、D3X
1〜2枚目は、3つ前の書き込み[2182-30]で既に示していますが、再掲します。
1枚目は仮想レンズの中心部、2枚目は仮想レンズの最周辺部での実測値(平均値)です。
3枚目は、レンズ中心部での実測値、計算値、実測値と計算値との差です。
4枚目は、レンズ最周辺部での実測値、計算値、実測値と計算値との差です。
なお、計算値は、α7Riiを想定した計算値をそのまま流用しました。
中心部、最周辺部での実測値と計算値との差(収差補正効果)は、ボディやレンズが異なるにも拘わらず、「α7Rii & FE55mmF1.8ZA」とかなり類似しています。
2018/8/12 12:41 [2182-33]

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仮想計算、実測値と計算値、収差 |
¥MTF ¥F値
ここまで、実測値の内の3例(2本の実在レンズ、実質1本の仮想レンズ)における、実測値、計算値、実測値と計算値との差を見て来ました。1枚目は、[2182-26]では、実例としてFE55mmF1.8の中心部のみ掲載した表に、3例での中心部、最周辺部を追加した表です。この表に代表されるように、実測値と計算値との差は、収差補正効果と見做せると判断しました。従って、まったり仮説・ 第1項は、成り立っていると結論付けられると思います。
●まったり仮説
周波数(MTF)のF値依存性に関する仮説です。
・第1項: 相対値では、周波数(MTF)のF値依存性は、光学的要因(回折、収差)によりほぼ決まり、画素ピッチによる影響は式(1)'によるF値付近でも顕著ではない。
【補足】
今回用いた計算値は、ボディに依らず、全て同じです。従って、もし、周波数(MTF)相対値のF値依存性がほぼ同じ「ボディ+レンズ」を比較すれば、実測値と計算値との差もやはりほぼ同じとなります。この場合、「実測値と計算値との差がほぼ同じ」は、「周波数(MTF)相対値のF値依存性がほぼ同じ」と述べている内容は全く同一で、付加された情報はありません。
このような場合も含め、実測値と計算値との差に何らかの意味を見出せるとしたら、それは、収差のF値依存性との定性的な類似が(大雑把には成り立っている事が)支えとなります。ただし、収差のF値依存性はF8辺りで飽和に達しますが、実測値と計算値との差では、F8で飽和に達しているように見える場合も飽和に達していないように見える場合もありますので、更なる検証が必要と思われます。
2018/8/12 12:45 [2182-34]

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OpticalLimitsとLensTipとの相関性 | 周波数(MTF)絶対値の画素ピッチ依存性、ボディ×レンズ:延べ63組 |
¥MTF ¥画素ピッチ
続いて、絶対値(=最大値)に対する、まったり仮説・第2項に関して、検討して行きます。検討では、実測値のみ用います。
まず、相対値でも引用した、OpticalLimitsとLensTipの実測値による検討です。ボディ×レンズ:延べ63組における周波数(MTF)絶対値を検討する為には、まず、OpticalLimitsとLensTipの実測値を、どちらかに換算する必要があります。前述の通り、LensTipは、写真業界では最も一般的なコントラスト法を用いているので、実測値(LP/mm)も、一般的に得られる数値とほぼ一致しています。そこで、OpticalLimitsとLensTipとで、全く同じ「ボディ+レンズ」が用いられた([2182-29]の(注3)で●が付された)実測値にて、OpticalLimitsの実測値(LW/PH )を、OpticalLimitsの実測値(LP/mm)に換算した上で、相関性を求めました。結果を、1枚目に示します。相関性が高いとは言えないものの、最小二乗法により、
・LensTip(LP/mm) = 0.529 × OpticalLimits(LP/mm) ‥‥ (4)
が得られました。
式(4)を用いて、ボディ×レンズ:延べ63組における周波数(MTF)絶対値の画素ピッチ依存性を求めました。結果を、2枚目に示します。最小二乗法による曲線(水色)は、周波数(MTF)絶対値が画素ピッチに反比例するとして、算出しました。LensTipでのα7Riiの実測値と、OpticalLimitsでのV1の実測値が、最小二乗法による曲線(水色)からやや外れています。特に後者は、画素ピッチが小さい場合でも、まったり仮説・第2項が成り立つのかどうかの見通しを占う意味では、気になる兆候です。
なお、2枚目を、スレ「出発進行」の[2182-23]で、「周波数(MTF)の画素ピッチ依存性」として引用しました。
2018/8/12 12:57 [2182-35]

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DPReviewにおける解像度チャートの使用箇所 | ImagingResourceにおける、解像度チャートの使用箇所 | 5DsRと1DX2との解像度チャート画像、DPReview | 5DsRと1DX2との解像度チャート画像、ImagingResource |
¥MTF ¥画素ピッチ
ここからは、以下の2つのサイトから入手した解像度チャートによる検討結果をご紹介して行きます。
・DPReview (比較ページ)
https://www.dpreview.com/reviews/image-c
omparison
・ImagingResource (比較ページ)
https://www.imaging-resource.com/IMCOMP/
COMPS01.HTM
1枚目はDPReviewにおける、2枚目はImagingResourceにおける、解像度チャートの使用箇所です。
ここでの解像度チャートの使用方法は、通常とは異なります。これから示す図では、ボディとレンズとの2つの組み合わせを比較しています。片方のボディとレンズとによる解像度チャート画像から、コントラスト(MTF)が1でも0でもない中間的な箇所を、まず見い出します。次に、もう片方のボディとレンズとによる解像度チャート画像を用い、見い出された箇所とドット・バイ・ドットで、ほぼ一致する箇所同士を接続します。この際、接続の都合で、画像の左右を反転させる場合があります。ドット・バイ・ドットでほぼ一致する箇所は、画素ピッチのみで決まりますので、それぞれの周波数(LW/PH)は、互いに、画素ピッチの比率から、算出出来ます。図では、画素ピッチの比率から算出した、画素ピッチが大きい側から小さい側への周波数(LW/PH)換算値を示しました。ドット・バイ・ドットでほぼ一致する箇所で接続出来ている場合、換算値は、 実測値とほぼ一致します。従って、ドット・バイ・ドットでほぼ一致する箇所で接続されているかどうかの目安になります。
コントラスト(MTF)を、1でも0でもない中間的な箇所としたので、「MTF=0.5」のような正確性はありませんが、これから示す図では、ドット・バイ・ドットがほぼ一致する箇所で、コントラスト(MTF)が概ね一致していると見做しました。従って、この接続箇所にて、周波数(LW/PH)を求め、周波数(LP/mm)に換算した数値を、それぞれのボディとレンズにおける、周波数(LP/mm)絶対値として、以降では扱います。
3〜4枚目は、5DsR(画素ピッチ4.14μm)と1DX2(画素ピッチ6.56μm)との解像度チャート画像で、3枚目はDPReviewによるEF85mmF1.8USMを用いた撮影、4枚目はImagingResourceによるSigma Macro 70mmF2.8 EX DGを用いた撮影です。
2018/8/12 13:09 [2182-36]

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D800EとD5 との解像度チャート画像、DPReview | D800EとD5 との解像度チャート画像、ImagingResource | α7Riiとα7Sii との解像度チャート画像、DPReview | α7Riiとα7Sii との解像度チャート画像、ImagingResource |
¥MTF ¥画素ピッチ
1〜2枚目は、D800E(画素ピッチ4.88μm)とD5(画素ピッチ6.44μm)との解像度チャート画像で、1枚目はDPReviewによるAF-S85mmF1.8G(推定)を用いた撮影、4枚目はImagingResourceによるSigma Macro 70mmF2.8 EX DGを用いた撮影です。
3〜4枚目は、α7Rii(画素ピッチ4.52μm)とα7Sii(画素ピッチ8.40μm)との解像度チャート画像で、3枚目はDPReviewによるFE55mmF1.8ZA を用いた撮影、4枚目はImagingResourceによるFE55mmF1.8ZA を用いた撮影です。
2018/8/12 13:35 [2182-37]

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J5とα7Sii との解像度チャート画像、DPReview | J5とα7Sii との解像度チャート画像、ImagingResource | iPhone X とα7Sii との解像度チャート画像、DPReview |
¥MTF ¥画素ピッチ
1〜2枚目は、J5(画素ピッチ2.37μm)とα7Sii(画素ピッチ8.40μm)との解像度チャート画像で、1枚目はDPReviewによる1 NIKKOR 32mmF1.2とFE55mmF1.8ZA を用いた撮影、2枚目はImagingResourceによる1 NIKKOR 18.5mmF1.8とFE55mmF1.8ZA を用いた撮影です。
3枚目は、DPReviewによるiPhone X(画素ピッチ1.22μm)とα7Sii(画素ピッチ8.40μm)との解像度チャート画像で、iPhone X 4mmF1.8とFE55mmF1.8ZA を用いた撮影です。iPhone Xの解像度チャート画像では、コントラスト(MTF)が低めに見えますが、露出がオーバー気味の為だと思われます。
なお、iPhone X のレンズは、スマートフォン用カメラレンズ最大手、大立光電(Largan Precision)製で間違いないと思います。
【補足】
解像度チャート画像のオリジナルサイズは、「1575×1050」です。スレの画像と較べ、大幅に解像度が上がる訳ではありませんが、オリジナルサイズでご確認なさりたい方は、以下に計9枚をアップしておきましたので、ご利用なさって下さい。
・OneDrive
https://1drv.ms/f/s!As0Dqr29GPyccVuOFLBS
O7dG0fU
2018/8/12 13:40 [2182-38]

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周波数(MTF)絶対値の画素ピッチ依存性、解像度チャート | 周波数(MTF)絶対値の画素ピッチ依存性、ボディ×レンズ:延べ81組 |
¥MTF ¥画素ピッチ ¥F値
1枚目は、DPReviewとImagingResourceの解像度チャートから求めた周波数(MTF)絶対値の画素ピッチ依存性です。最小二乗法による曲線(黄緑色)は、OpticalLimitsとLensTipの実測値の場合と同様、周波数(MTF)絶対値が画素ピッチに反比例するとして、算出しました。解像度チャートから求めた周波数(MTF)絶対値は、最小二乗法による曲線(黄緑色)にほぼ乗っていますから、画素ピッチに反比例していると見做せます。
また、OpticalLimitsとLensTipの実測値では、OpticalLimitsとLensTipとの相関性が高くなく、ボディ×レンズ:延べ63組における周波数(MTF)絶対値の画素ピッチ依存性でも、ここに示した1枚目程、最小二乗法による曲線に乗っていませんでした。しかし、ここに示した1枚目では、OpticalLimitsとLensTipの実測値から求めた最小二乗法による曲線(水色)が、解像度チャートから求めた最小二乗法による曲線(黄緑色)とほぼ一致しています。この事は、ある意味、かなりの驚きだと思われます。
2枚目は、DPReview、ImagingResource、OpticalLimits、LensTipによる「ボディ×レンズ:延べ81組」における、周波数(MTF)絶対値の画素ピッチ依存性です。最小二乗法により、
・周波数(MTF)絶対値[LP/mm] = 240 / 画素ピッチ[μm] ‥‥ (5)
が得られました。これだけの広範囲の画素ピッチに亘り、実測値が最小二乗法による曲線(水色)に乗っていますので、周波数(MTF)絶対値が画素ピッチに反比例すると結論付けても異論はないと思います。従って、まったり仮説・ 第2項は、成り立っていると結論付けられると思います。
●まったり仮説
周波数(MTF)のF値依存性に関する仮説です。
・第2項: 絶対値では、周波数(MTF)の最大値は、画素ピッチのみで決まり、画素ピッチに反比例する。
2018/8/12 13:43 [2182-39]

¥MTF ¥画素ピッチ ¥F値
【補足】
しかしそれでも、J5(画素ピッチ:2.37μm)やiPhone X(画素ピッチ:1.22μm)の周波数(MTF)まで、まったり仮説・ 第2項が成り立つ事が腑に落ちない方もおられると思います。ここで登場するのが、スレ「出発進行」で取り上げた、以下の「魔法の関係式」です。
・ Q=λF/画素ピッチ≒1 ‥‥ (6)
DPReviewやImagingResourceでは、式(6)に基づき、解像度チャート撮影時のF値を決めていると思われます。式(6)より明らかに画素ピッチが大きい場合には、F5.6で統一されています。OpticalLimitsやLensTipの実測値を散々見て来ましたから、F5.6で統一されていても、何ら不思議ではないと思います。画素ピッチが小さくなると、式(6)から求められるF値がF5.6より小さくなります。以下に、DPReviewとImagingResourceでの解像度チャート撮影時のF値を示します。式(6)では、λ=550nmとして、F値を求めました。
[GX8等: 画素ピッチ:3.35μm、式(6):F6.09]
・DPReview: F5.6
・ImagingResource: F5.6
[V2等: 画素ピッチ:2.86μm、式(6):F5.20]
・DPReview: F5.6
・ImagingResource: F5.6
[V3等: 画素ピッチ:2.52μm、式(6):F4.58]
・DPReview: F5.6
・ImagingResource: F4.0
[J5: 画素ピッチ:2.37μm、式(6):F4.31]
・DPReview: F4.0
・ImagingResource: F4.0
[iPhone X: 画素ピッチ:1.22μm、式(6):F2.22]
・DPReview: F1.8
以上から、DPReviewやImagingResourceが、式(6)(あるいは類似の関係式)に基づき、解像度チャート撮影時のF値を決めていると推察は可能だと思います。因みに、iPhone Xの最も低い(ベース)ISO感度は、ISO32です。F値が大きくならないよう、敢えてこのようなベースISO感度が採用されたのでは?と思われます。
2018/8/12 13:48 [2182-40]

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周波数(MTF)のF値依存性、ボディ×レンズ:延べ63組 |
¥F値 ¥MTF ¥PSF ¥ボケ
風景写真では、F8〜11が非常に良く使われているとの印象を抱いています。
1枚目は、[2182-27]の再掲です。レンズ中心部における周波数(MTF)のF値依存性のみ考えれば、1段小さいF5.6〜8の方が好ましいと思われます。恐らく、被写界深度と周辺部での周波数(MTF)とのバランスから、結果的に、F8〜11が非常に良く使われる傾向になっているのだと思います。
ただ、フルサイズで4000万画素(画素ピッチ4.65μm)以上の高画素機の使用が増えて来れば、F11からF8への明らかなシフト現象が、今後、生じるかも?と妄想しています。
2018/8/12 13:52 [2182-41]

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ボケの説明:(上)回折限界、(中)アポダイゼーションフィルター、(下)球面収差 |
¥F値 ¥MTF ¥PSF ¥ボケ
発祥スレ以降、ここまで、周波数(MTF)は大きい方が好ましいとの立場で議論して来ましたが、一方では、好まれる「ボケ」への大きな支持が存在します。そこで、数値的な裏付け等は一切ないのですが、ボケに関して考えてみます。
まず、カメラメーカー2社のコメントを取り上げます。
1社目は、パナソニックです。以下は、ボケを重視して設計されたライカ銘42.5mmF1.2に関するインタビュー記事からの抜粋です。
「――今回のレンズはおっしゃるようにボケ味の評判が非常に良いのですが、ボケ味を良くするための工夫点はどんなところにありますか?
宮崎:望遠レンズや中望遠レンズでは使用される機会の少ない非球面レンズを今回は2枚使用しているのですが、これを採用した理由の1つはボケ味を良くする目的でした。もう1つは解像性能を向上させる目的がありました。
ボケ味をきれいにしたい場合、通常は球面収差をあえて残し、解像性能はやや下げる方向で設計する場合が多いのですが、非球面レンズを使用することで、球面収差を立てつつ(補正しつつ)ボケ味も悪い方向に行かないようにして、画面周辺部まで高い結像性能を維持することができました。
――ボケの濃度分布はどうなっていますか?
宮崎:球面収差を立てていますので、ボケの濃度はほぼ一様ですが、後ボケは輪郭に近い周辺部の濃度が若干薄くなると思います。この傾向を強くしすぎると、前ボケに二線ボケ傾向が目立ったり中央部の解像感が落ちて来たりしますので、この収差のバランスには気をつけています。
――理想のレンズに近いボケで、前後ともボケ味がきれいということでしょうか?
宮崎:そうですね。後ボケだけでなく前ボケにも配慮した収差バランスにしてあります。」
「朴:例えば、ボケにはいろいろな収差が関連してきますが、この収差をこうしたほうがボケ味がソフトになって良いという風に、具体的なアドバイスが入ります。(略)
――ということは、ライカの技術者は設計データを見ただけで、だいたいどんな描写になるかわかるということなのでしょうか?
宮崎:先方の技術者は、経験によってどのような描写になるのか、把握されていると思っています。」
・パナソニックに聞く「LEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2」のこだわり − 明るさだけでなく美しいボケも実現 − (デジカメWatch、2014/02/24)
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news
/interview/633945.html
2社目は、富士フイルムです。以下は、アポダイゼーションフィルター(APDフィルター)の原理と効果の説明ページからの引用です。1枚目は、このページに掲載されいる図を纏めたモノです。
「図3 球面収差でボケ味を制御するレンズ
球面収差のコントロールで後側のボケ像を柔らかくした例です。大きく柔らかなボケ像が得られる反面、ジャスピンの解像力が低下し、さらに逆側のボケ像は周辺部が明るくエッジが強調されるボケ像になってしまい、2線ボケの要因となってしまいます。
※球面収差とは、レンズ中心部と周辺部を通った光が1点に集まらない現象。」
・アポダイゼーションフィルター(APDフィルター)の原理と効果 (富士フイルム)
http://fujifilm.jp/support/digitalcamera
/knowledge/lens/apd/index.html
2018/8/12 13:55 [2182-42]

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周波数(MTF)絶対値のF値依存性 | 周波数(MTF)相対値のF値依存性 | PSFのF値依存性とDefocus依存性 (組み合わせ) |
¥F値 ¥MTF ¥PSF ¥ボケ
パナソニック(ライカ)、富士フイルムの説明で共通しているのは、(アポダイゼーションフィルターを用いていない)通常のレンズでは、ボケ味は収差、特に球面収差を利用して設計される事が多いとのコメントです。一方、ライカ銘42.5mmF1.2では、(解像性能を下げる)球面収差を非球面レンズで補正しつつ、ボケ味は、やはり収差を利用して味付けしているようです。
先に見たように、Voigtlander65mmF2は、特に中心部で、収差がかなり抑えられており、結果的に、周波数(MTF)が大きくなっていると考えました。一方、Voigtlander65mmF2は、ボケ味でも高い評価を得ています。
そこで、ライカ銘42.5mmF1.2とVoigtlander65mmF2との周波数(MTF)のF値依存性を比較してみます。
1枚目は周波数(MTF)絶対値での比較、2枚目は周波数(MTF)相対値での比較です。
1枚目の絶対値では、Voigtlander65mmF2の最大値が、F2.8の78.4LP/mmであるのに対し、ライカ銘42.5mmF1.2の最大値は、F4の82.7LP/mmと、Voigtlander65mmF2を上回っています。まったり仮説・ 第2項を適用すると、
・Voigtlander65mmF2の78.4LP/mm → 82.2LP/mm
となりますので、2本のレンズの最大値の差は、画素ピッチの差がそのまま反映していると見做せます。Voigtlander65mmF2の最大値は、「ボディ×レンズ:延べ81組」から得られた、式(5)をかなり上回っていますから、2本とも、周波数(MTF)絶対値は、平均的なレンズと比較すると、かなり高いと判断出来ます。
2枚目の相対値で比較すると、2本のF値依存性は、酷似しており、特に中心部ではほぼ一致しています。従って、収差は、2本とも、特に中心部ではかなり抑えられていると推察出来ます。
ライカ銘42.5mmF1.2とVoigtlander65mmF2とは、メーカーが異なるにも拘わらず、設計思想(もっと踏み込んで言えば、収差等の個々の目標値)はほぼ共通であると見做せます。収差を抑えれば、解像性能は伴うはずですが、同時に、好ましいボケ味まで達成していますから、特に、ポートレート向けとして、この2本のレンズは、終着点に近い存在なのかもしれません(他にも、終着点に近いレンズが存在しているのかもしれませんが、今回はそこまで調べていません)。
【補足・その1】
3枚目は、スレ「出発進行」でも引用しましたが、PSFのF値依存性とDefocus依存性との掛け合わせです。
周波数(MTF)は大きい方が好ましいとの立場では、(暗黙的に)「Defocus=0」におけるPSFのみで考察して来ました。この場合、回折限界のみでは、F値が大きくなる程、周波数(MTF)は低下、すなわち、ボケます。しかし、好ましいボケ味は、Defocusが大きく、被写界深度外となる場合に生じるボケを対象にしています。従って、3枚目のDefocusが大きい領域が対象となりますから、F値は、先程と逆に小さい程、ボケます。
・入力関数f(x,y) * PSF(x,y) = 出力関数g(x,y) [空間領域]
・入力関数F(u,v) × OTF(u,v) = 出力関数G(u,v) [周波数領域]
・MTF = 絶対値(OFT) [周波数領域]
ですから、収差のPSF/OTFを導入すると、
・PSF(x,y) = PSF(回折限界) * PSF(収差) * PSF(画素)
・OTF(u,v) = OTF(回折限界) × OTF(収差) × OTF(画素)
となります。順序を入れ替えましたが、「OTF(回折限界) × OTF(画素)」の箇所が、このスレで計算に用いて来た、
・システムのMTF = 光学系のMTF × 画素のMTF ‥‥ (2)
に相当します。
現時点では、収差そのものを殆ど理解していませんし、収差とボケ味との関係は光学シミュレーションソフトでも使わない限り得られそうにもありません。その為、ボケ味に強い関心はあるものの、ボケ味に関しては、一旦、ここで終了とします。
【引用文献】
・3枚目:マシンビジョンにおける被写界深度の考えかた (東芝テリー)
http://www.toshiba-teli.co.jp/products/i
ndustrial/info/t/files/t0008_DOF_j.pdf
2018/8/12 14:05 [2182-43]

¥ボケ
【補足・その2】
アポダイゼーションフィルターの説明は、富士フイルムのサイトが分かり易いのですが、評判では、
ミノルタ(現在はソニーが継承)の「STF 135mmF2.8[T4.5](Aマウント)」やソニーの「FE 100mm F2.8 STF GM OSS [T5.6-8] (Eマウント)」が、富士フイルムの「XF56mmF1.2 R APD」をかなり上回っています。
XF56mmF1.2 R APDの評判が低い理由を(余計なお世話ですが)憶測してみます。
アポダイゼーションフィルターは、透過率が、中心部から周辺部に向けて透過光量がなだらかに低下する光学エレメントです。
同じ効果をもたらす仮想的な絞りとして、F値を無段階に設定出来る、常に円形状の絞りを考えてみます。開放F値がF2.8のレンズの場合、F2.8からF5.6まで無段階にF値を変化させ、1枚の合成写真を得るとします。露出は、単純加算で合成して、適正露出が得られるとします。F2.8からF5.6までF値の頻度は、F値が大きくなる程、大きくなるとします。この合成写真では、アポダイゼーションフィルターによって得られる効果と全く同一の効果が得られます。
合成写真の成り立ちから考えれば、実効的なF値は、開放F値より大きくなります。ボケ味が最大の優先事項ですから、ポートレート用として35mm判換算焦点距離は85mmが最適だったとしても、焦点距離は85mmより大きくする必要があります。ところが、XF56mmF1.2 R APDは、半年前に発売したXF56mmF1.2 Rの光学系をそのまま流用したので、35mm判換算焦点距離が84mm(メーカー公称値85mm)と、アポダイゼーションフィルターの効果を引き出すには、短い焦点距離となっています。
アポダイゼーションフィルターを搭載すると、レンズ全体での透過率も下がります。その為、F値ではなく、シネマレンズで用いられるT値が用いられます。
・T値 = F値 / 平方根(透過率)
開放F値に対応するT値から求めた透過率は、以下の通りです。
・STF 135mmF2.8: 38.7%
・FE 100mm F2.8 STF: 25.0%
・XF56mmF1.2 R APD: 49.8%
XF56mmF1.2 R APDは、3本の中では、透過率が最も高くなっています。ソニーが、焦点距離を135mmから100mmに短くした際、透過率を38.7%から25.0%に下げた事とは、対照的な設計です。
他にも口径食等が低評価の要因となっているようですが、XF56mmF1.2 R APDが折角のアポダイゼーションフィルターを活かし切っていないのは、確かだと思われます。
2018/8/12 14:08 [2182-44]

¥画素ピッチ
【ご参考】
式(1)'や式(6)では、λ=550nmとして、画素ピッチに応じたF値を求めていますから、画素ピッチを細かく算出する必要はないかもしれません。しかし、ImagingResourceでさえ、画素ピッチを正確に求めていないようなので、画素ピッチの「正しい」算出方法をご紹介しておきます。
・画素ピッチ = 平均(センサー長辺長さ/長辺画素数, センサー短辺長さ/短辺画素数) ‥‥ (7)
・画素ピッチ = 平方根([センサー長辺長さ×センサー短辺長さ] / [長辺画素数×短辺画素数]) ‥‥ (8)
α7Riiを例として、式(7)、(8)にて算出してみます。なお、私は式(7)のみ用いています。
[α7Riiの仕様]
・センサーサイズ: 35.9×24.0[mm]
・画素数: 7952×5304[pixels]
式(7)だと、
・画素ピッチ = 平均(35.9/7952, 24.0/5304)[mm] = 平均(4.5146, 4.5249)[μm] = 4.5197[μm]
式(8)だと、
・画素ピッチ = 平方根([35.9×24.0] / [7952×5304])[mm
] = 4.5197[μm]
以上から、式(7)、(8)のどちらで求めても、α7Riiの画素ピッチは、4.52μmとなります。
ImagingResourceでは、α7Riiの画素ピッチが4.51μmとなっています。このズレは、式(8)において、画素数に、「7952×5304」ではなく、42.4[Megapixels]を用いた為です。有効画素数は、全く同一のセンサーでも異なる場合があります。つまり、アテに出来ません。過去に、有効画素数をアテにし過ぎて、痛い目に遭っているので、有効画素数ではなく、必ず、記録画素数(長辺画素数×短辺画素数)に基づき、画素ピッチ等を求めています。
2018/8/12 14:12 [2182-45]

$まったり $蛇足
【超蛇足】
原案では、3つのスレに分散していた「超蛇足」をこのスレに集結しました。何と言っても、「まったり仮説」のスレですからね。
私は音楽も雑食性です。Classical(全くの初心者です)もPopularも、それぞれ未聴のCDが(激安に釣られ買い漁った為)1500枚以上、あります。生きている間に、全て聴き終えられるのかどうか、かなり心配になって来ました。と言う訳で、スレに強引に音楽ネタを持ち込みます(笑)‥
スレ「出発進行」で、空間領域と周波数領域とを結び付ける際、周期的な波形を正弦波と余弦波との組み合わせで表すフーリエ級数から、話を始めました。しかし、空間領域に限らず、時間領域、例えば、音楽にも、周期性はありそうで、やっぱりあまり見当たらないような気がします。こんなループばかりの音楽でさえ‥。
・N(Full Album) / にせんねんもんだい (39:58)
https://youtu.be/CNg9Ojfw4a0
因みに、「Bolero / Ravel」は長年嫌いだったのですが、 「にせんねんもんだい」の作品と同様、ループだったんだと(漸く!!)気付き、意外といいかも?と思えるようになりました‥。
発祥スレでは、メロディの思い出せない懐かしのメロディとの再会が頻発しました。さらに、長年ひたすら避けて来た数式の解析的な算出にさえ挑みました。と言う訳で?、Math Rockをご紹介します。
・孤独の発明 / Toe (3:23)
https://youtu.be/AC3VxLejszQ
ループが売りの「にせんねんもんだい」にさえ周期性が見当たらないように、Math Rockで括られる事の多い「toe」にも数学はきっと見当たらないと思います。Math Rockの大きな特徴の一つが、変拍子です。Math Rock(Wikipedia英語版)では、変拍子の具体例に続き、
「This rhythmic complexity, seen as mathem
atical in character by many listeners an
d critics, is what gives the genre its n
ame.」
との説明があります。
なお、自分が気に入っているバンドには、変拍子を多用しているバンドが多い事には気付いているのですが、音楽的素養も全くないので、聴いていても変拍子を意識する事は殆どありません。ただ単に、物凄く気持ちがいいだけです。
2018/8/12 14:16 [2182-46]

$まったり $蛇足
最適な画素ピッチは、MTFだけでは求められません。少なくともノイズの影響を考察する必要がある為、スレ「ノイズ駅」を建てました。議論そのものは、他の方に主導して頂く積りです‥。
ここまで取り上げて来た曲は、周期性にしろ、数学にしろ、無理やり感満載でしたが、ノイズは全く異なります。正真正銘の音楽用語であり、音楽ジャンルでもあります。
ただ、音楽におけるノイズとは何か?でいきなり壁にぶつかります。Wikipediaでは、日本語版、英語版に、音楽ジャンルとしての「Noise Music」が取り上げられていますし、英語版には、更に核心に迫るはずの?「Noise in music」と言う項目さえありますが、どうもしっくり来ません。最大の理由は、ノイズを美し過ぎると感じているからだと思われます。
余りにも有名なノイズは、「I Feel Fine / Beatles」の冒頭を深く印象付けたフィードバック(audio feedback)です(注4)。
ノイズの発生方法に決まり事は当然ありませんが、サンプリングは一般的な方法の一つだと思います。サンプリングの対象は、通常はサウンドなのでノイズとは限りませんが、以下でのサンプリングは、サウンドも映像も町工場で行っていますから、心地良いノイズに浸る事が出来ます。
・坂本製作所 × Cherryboy Function 「SAKAMOTO Metal」 (5:38。レーベル[INDUSTRIAL JP])
https://youtu.be/LSm1yFQv6QM
「INDUSTRIAL JP」は、工場の純粋な音と映像の美しさを表現するとともに、日本の町工場の技術力を発信している、「工場音楽レーベル」です。ご紹介した動画で、字幕をオンにすると、製造工程の詳しい解説が表示されます(製造用機械は、コンピューターに接続されておらず、制御は、何と、カム等による機械式/アナログ式!!)。
邦楽は、殆ど聴きません。しかし、ここでご紹介したように、(頭にJ-が付く、邦楽の外側に)素晴らしい日本人アーティストが多数存在する事は確かですし、日本人として誇らしく感じています。
極め付けは、Japanoiseの草分け、帝王にして、今なお君臨を続けるMerzbowです‥‥!!?
・Requiem / Merzbow (7:22)
https://youtu.be/FgOg6aYqASY
(注4)
ハウリングは、フィードバックの一種ですが、通常は、非常に嫌われている不快音(ノイズ)です。
しかし、Steve Reichの手に掛かれば、ハウリングさえ、美し過ぎる音楽に変貌してしまいます。発想から何から何まで、流石、大御所としか形容のしようがありませんね!
私には全く分かりませんが、理論に基づいていると言う点では、Wassily Kandinsky等と通底しているのかもしれません。
・Pendulum Music (1968) / Steve Reich (0:17から再生開始。全9:28)
https://youtu.be/fU6qDeJPT-w?t=17s
Sonic Youth は、フィードバックに 「Pendulum Music / Steve Reich」の手法も加え、ノイズの最高峰を極めたバンドです。以下で、その一端を堪能出来ます。Sonic Youth をご存知ない方が、以下のパートだけお聴きになると、ノイズだけのバンドと思われるかもしれません。しかし、この曲を冒頭から通して聴くだけで、(歌詞は別として)ポップさを併せ持ったバンドである事が分かると思います。
(画面が真っ黒なのは、Lyricsがない箇所だからです)
・The Diamond Sea / Sonic Youth (14:20から再生開始。全19:36)
https://youtu.be/e6bqziyXO6Y?t=14m20s
今回はここまでです。お疲れ様でした。
2018/8/12 14:19 [2182-47]


1つ質問があります。
OpticalLiimtsの実測データをLensTipのものと比較をされています。空間周波数の単位の換算式は[2182-25]に明示されていますが、画素ピッチは1つのセンサーについては共通のものを使われたのでしょうか?
私はこれまで実写テストの結果としてImatestフォーマットのものを使うのを避けてきました。
http://www.imatest.com/docs/sharpness/
にあるように、ImatestではSlanted-edge法(傾斜エッジ法)を使っていてます。そのページの"Brief summary of Imatest slanted-e
dge modules"の囲み記事の最初には「約5.7度の傾いたエッジを使う」とあります。
実際のテストの詳細を見ると角度にばらつきがあり6度前後です。仮に傾きが垂直から6度とすると、
1/tan(π/30) = 9.5
から、【理想的には】1つの画素の1/9.5倍刻みで光量を測ることに相当します。
つまり、画素ピッチdを d/9.5 とすることに相当し、それだけコントラストは上がります。
傾向としてコントラストが大きくなりますが、定量的にこの単純な換算が妥当であるかに自信がないために、Imatestフォーマットの結果を使うのを避けてきました。
質問した意図は、2つの実写テストの系統的な差が、この換算をされた後なのか、する前なのかを確認したかったからです。もし前者(画素ピッチ換算をしていない)ならば、その系統的な差の中に傾斜エッジ法によるコントラスト向上の影響が入っていると考えられます。
2018/8/13 09:13 [2182-50]

PAMdiracさん
> OpticalLiimtsの実測データをLensTipのものと比較をされています。空間周波数の単位の換算式は[2182-25]に明示されていますが、画素ピッチは1つのセンサーについては共通のものを使われたのでしょうか?
傾斜に対する考慮は、特に行っていません。ただし、OpticalLimitsとLensTipの換算式では、結果的に含まれていると思われます。
周波数(MTF)相対値は、特に問題ないと思います。
周波数(MTF)絶対値に関しては、[2182-35]にて、LensTipとOpticalLimitsのどちらにも実測値が掲載されている「ボディ+レンズ」([2182-29]で●が付されている組み合わせ)を用い、
・LensTip:実測値(LP/mm)
・OpticalLimits:実測値(LW/PH) → 実測値(LP/mm)
での相関性を求めました。結果は、[2182-35]の1枚目のグラフと式(4)の通りです。
・LensTip(LP/mm) = 0.529 × OpticalLimits(LP/mm) ‥‥ (4)
PAMdiracさんにご指摘を頂くまで、傾斜の影響は全く考えていなかったのですが、式(4)の係数が何故、こんなに小さいのかは、疑問でした。逆に言えば、傾斜の影響等は、式(4)で吸収されていると思われます。
【蛇足】
[2182-39]でもコメントしましたが、[2182-35]の、相関性が高いとは思えない、1枚目のOpticalLimitsとLensTipの周波数(MTF)絶対値の相関性、さらに、式(4)に基づく2枚目の周波数(MTF)絶対値の画素ピッチ依存性で得られた、最小二乗法による曲線が、[2182-39]のDPReviewとImagingResourceの解像度チャートによる周波数(MTF)絶対値の画素ピッチ依存性で得られた、最小二乗法による曲線とほぼ一致しているのは、かなりの驚きでした。まさに、結果オーライですね??!
なお、PAMdiracさんは良くご存じの事と思いますが、OpticalLimitsのMTFは、[2182-25]等で説明したように、
・ESF → 微分 → LSF → フーリエ変換 → OFT
にて算出されています。Imatest自ら、ISOに準拠したMTF(コントラスト法)とは、数値が異なる事は明言しています(ISO準拠のMTFへの換算を推奨していません)。
2018/8/13 10:26 [2182-51]

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3つの Spread FunctionとOTFの関係(X軸方向での例) |
¥MTF ¥PSF
PAMdiracさん
私は、昨日(8/13)、PAMdiracさんの以下のコメントを拝見した際、傾斜は本来「0」、すなわち「ない」はずなのに、傾斜が設けられている事を、問題視なさっているものだと思っていました。
> 実際のテストの詳細を見ると角度にばらつきがあり6度前後です。仮に傾きが垂直から6度とすると、
> 1/tan(π/30) = 9.5
> から、【理想的には】1つの画素の1/9.5倍刻みで光量を測ることに相当します。
> つまり、画素ピッチdを d/9.5 とすることに相当し、それだけコントラストは上がります。
しかし、傾斜を本来の「0」にすると、コメントで用いられた式からは、PAMdiracさんが避けたいとおられる(はずの)方向、すなわち、画素ピッチが「0」になってしまいます。
PAMdiracさんのお考えに、疑問を呈するのは蛮行に等しいのですが(そもそも、PAMdiracさんのお考えを誤解している可能性が非常に高いですし‥)、失礼を承知で申し上げます。失礼な言動に関しては、予め、深くお詫び致します。もし、PAMdiracさんが(あり得ない事ですが)誤解なさっていたとしたら、多分、周波数領域に属すMTFを、空間領域の感覚で捉えておられるからではないか?と思われます。
スレ「出発進行」の[2182-14][2182-15]、特に[2182-15]で詳しく説明させて頂きましたが、MTFと各SFとの間には、ここに再掲した1枚目の関係が成り立っています。
フーリエ変換によりOTFを直接求められるのは、入力関数を、面積を持たない点、幅を持たない線とした場合の、出力関数しか(私の知る限り)ありません。すなわち、
・面積を持たない点 * PSF = PSF [空間領域]
・幅を持たない線 * PSF = LSF [空間領域]
・PSF → フーリエ変換 → OTF
・LSF → フーリエ変換 → OTF
一方、入力関数が傾斜を持たないエッジの場合は、
・傾斜を持たないエッジ * PSF = ESF [空間領域]
となりますが、傾斜を持たないエッジには不要なDC成分が含まれている為、以下にて、OTFを求めます。
・ESF → 微分 → LSF → フーリエ変換 → OTF
ただし、
・傾斜を持たないエッジ → 微分 → 幅を持たない線
である事は当たり前ですが、SFでの微分でも、
・ESF → 微分 → LSF
となる事を、私は、数学的には示せません。説明しておきながら、大変恥ずかしく思っています。
傾斜を持たないエッジではなく、 傾斜を持つエッジを用いている理由は、以下を読むと納得です。
「Why a slanted edge?
MTF results for pure vertical or horizon
tal edges are highly dependent on sampli
ng phase (the relationship between the e
dge and the pixel locations), and hence
can vary from one run to the next depend
ing on the precise (sub-pixel) edge posi
tion. The edge is slanted so MTF is calc
ulated from the average many sampling ph
ases, which makes results much more stab
le and robust.」
・Sharpness: What is it and how is it meas
ured? (Imatest)
http://www.imatest.com/docs/sharpness/
全体を通して読む場合には、Webサイトより、以下のPDFの方が分かり易く纏まっていると思います。
・[再掲] Imatest Documentation (2009年)
http://www.imatest.com/docs/Imatest%20Do
cumentation.pdf
ググると、傾斜エッジ法から得られた測定結果を本来のエッジ法の結果に補正する手法が、色々ヒットします。以下は、信憑性があるのかどうか良く分かりませんが、傾斜エッジ法に対する補正としては、とても分かり易い手法だと思います。
・MTF 推定における斜めエッジ法の改良 (電気通信大学(多分、学生)柏木秀敏氏、映像情報メディア学会冬季大会 2013年)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ite
wac/2013/0/2013_8_2/_pdf/-char/ja
2018/8/14 21:35 [2182-52]

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---|---|---|---|
周波数(MTF)のF値依存性、実測値を計算値で除した商等、中心部 | 周波数(MTF)のF値依存性、実測値を計算値で除した商等、最周辺部 | 周波数(MTF)のF値依存性、実測値を計算値で除した商等、中心部 | 周波数(MTF)のF値依存性、実測値を計算値で除した商等、最周辺部 |
¥MTF ¥収差
何回もお断りしていますが、この「まったり仮説」では、以下の問題を抱えています。
・私の計算が(物凄く)怪しい事。
・(付随的でもありますが)私の計算が相対値で行われいる事。
これらの事は重々承知していますが、実測値に対する向き合い方等に関しては、それ程、頓珍漢な手法だとは思っていません。つまり、計算を正せば(計算結果だけ入れ替えれば)、何かが見えて来るのではないか?と言う事です。
前振りが長くなってしまいましたが、ボケは、好ましくても好ましくなくても、数式的な扱いは同じと言う肝心な事に今更ながら気付きました。好ましいボケ味に関してコメントした[2182-43]で、
・PSF(x,y) = PSF(回折限界) * PSF(収差) * PSF(画素)
・OTF(u,v) = OTF(回折限界) × OTF(収差) × OTF(画素)
を示しました。従って、
・MTF(トータル) = MTF(回折限界) × MTF(収差) × MTF(画素) ‥‥ (9)
です。表記が異なりますが、式(2)は、
・MTF(システム)= MTF(回折限界) × MTF(画素) ‥‥ (2)'
なので、(9)の両辺を(2)'で除せば、
・MTF(収差)= MTF(トータル) / {MTF(回折限界) × MTF(画素)} ‥‥ (10)
となります。何故、今までこんな単純な事に気付かなかったのか?と言う程の、シンプルかつ(多分)本質的な関係式です。実測値に置き換えると、
・MTF(収差?)= MTF(実測値) / MTF(計算値) ‥‥ (10)'
となります。
早速、グラフにしてみました。用いた実測値は、[2182-31][2182-32]等で示した実測値と同一です。
1〜2枚目は、「α7Rii & FE55mmF1.8ZA」です。実測値等は、OpticalLimitsとLensTipとを全て分けて示しました。
1枚目は、 レンズ中心部での実測値、計算値、実測値を計算値で除した商、商の対EV値比率です。周波数(MTF)相対値のF値依存性は、OpticalLimitsとLensTipの差は殆どないので、商でもやはり殆ど差がありません。この商が、収差起因だとすれば、F値のべき乗に比例すると予想しました。しかし、EV値、すなわち、F値の2を底とする対数に(ほぼ)比例していると見做せると言う結果に落ち着きました。商の対EV値比率、すなわち、商の対「F値の2を底とする対数」比率は、約0.25でほぼ一定です。 商の対EV値比率がほぼ一定である、つまり、商がEV値に(ほぼ)比例している事になります。
2枚目は、レンズ最周辺部での実測値、計算値、実測値を計算値で除した商、商の対EV値比率です。レンズ中心部程、周波数(MTF)相対値のF値依存性が、OpticalLimitsとLensTipとで一致していない為、商でもやはり差が生じています。商の対EV値比率は一定とまでは言えませんが、大きな変動は見られません。商が中心部より0.3前後も大きく低下している事は、商を収差起因と考えれば、収差が中心部より最周辺部の方が大きい事を示しますので、妥当な結果です。商の対EV値比率が約0.25を下回っていますが、収差起因と片付けて良いのかどうかは、不明です。
3〜4枚目は、「α7Rii & Voigtlander65mmF2」です。実測値は、LensTipのみです。
3枚目は、 レンズ中心部での実測値、計算値、実測値を計算値で除した商、商の対EV値比率です。Voigtlander65mmF2もFE55mmF1.8ZAも、商は(結果的に)中心部のF4で規格化されているにも拘わらず、中心部の商でも、Voigtlander65mmF2の方が、FE55mmF1.8ZAより、F2〜2.8で大きくなっているのは、([2182-43]でご紹介したライカ銘42.5mmF1.2と同様)F値が小さい領域での収差を抑えた結果だと思われます。商の対EV値比率は、約0.25前後にて、僅かながら単調に減少しています。
4枚目は、レンズ最周辺部での実測値、計算値、実測値を計算値で除した商、商の対EV値比率です。FE55mmF1.8ZAの最周辺部と同様、商が中心部より0.3前後も大きく低下しています。商の対EV値比率も、FE55mmF1.8ZAの最周辺部と同様、約0.25を下回っています。
式(10)'は、実測値と計算値との(収差起因かどうか別としても)差異をもたらしているMTF算出に有効な手法だと思われます。
2018/8/14 21:44 [2182-53]


私が気にしているのは難しいことではなく、簡単なことです。
傾斜エッジ法を用いるのは、Imatestのdocumentにあるようにstable and robustであることもありますが、本来はsub-pixelのsamplingが可能なことです。
これによりeffectiveに小さな画素ピッチを使うことになります。
従って、傾斜エッジ法を使わないテスト結果と使う結果とを画素ピッチが同じだとして単純に比較できないということです。
傾斜=0は画素ピッチ=0を意味しません。現実のセンサーでは傾斜を小さくするのに限界があります。
傾斜=0にすると、単に私がまとめノートに書いたような画素ピッチの大きさの影響をまともに受けるというだけのことです。傾斜することで画素ピッチを小さくするのと同等の効果が得られるというだけです。
実空間で評価するかFourier変換して考えるかはこのことと全く関係がありません。
変換が可逆である限り、どちらで考えても結果は同じはずですし、傾斜させているのは実空間の話なのであえてFourier変換する意味がありません。
ミスター・スコップさんが最初に掲げられたように読者のわかりやすさを優先されるのでしたら、全て実空間の量にした方がわかりやすいと思いますが、いかがでしょうか?
横軸を空間周波数とするMTFチャートを描くのにFourier変換する必要は全く有りませんので。
2018/8/14 22:09 [2182-54]

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画素ピッチ=2.0*AD半径での、光学系、画素、システムの各MTF | 画素ピッチ=1.0*AD半径での、光学系、画素、システムの各MTF | 画素ピッチ=0.5*AD半径での、光学系、画素、システムの各MTF | システムの周波数(MTF)の画素ピッチ依存性 |
¥MTF
私が引用した実測値に限れば、
●レンズを評価(同じマウントには、可能な限り同じボディを用いる)
・LensTip
・OpticalLimits
●ボディを評価(同じマウントには、可能な限り同じレンズを用いる)
・DPReview
・ImagingResource
に2通りに分ける事が出来ます。
何故、改めて、こんな事を書くのかと言うと、PAMdiracさんのコメントが気になっていたからです。
> 傾斜エッジ法を用いるのは、Imatestのdocumentにあるようにstable and robustであることもありますが、本来はsub-pixelのsamplingが可能なことです。
> これによりeffectiveに小さな画素ピッチを使うことになります。
純粋にレンズの評価を行おうとした場合、
・MTF(実測値)=MTF(光学系)
が求められれば、その方が望ましいはずです。1〜3枚目は、スレ「出発進行」の[2182-21][2182-22]で用いた図で、式(2)にて、画素ピッチを、エアリーディスク半径の2倍、1倍、0.5倍と場合です。
・システムのMTF
= 光学系のMTF × 画素のMTF
= exp(-2*(πkσ)^2) × {sin(πk) / (πk)} ‥‥ (2)
同様の事は、PAMdiracさんの「1次元周期的入力光の像とコントラスト(最新2018/07/22)」では、p.16辺りで述べられています。言うまでもありませんが、数式的には正しいのは、PAMdiracさんです。
エアリーディスク半径の2倍は謂わば「『detector limited』 limited」で、エアリーディスク半径の0.5倍は謂わば「『diffraction limited』 limited」と見做せます。従って、
・MTF(実測値)=MTF(光学系)
を得たいのであれば、Imatest製ソフトウェアが傾斜エッジ法で実効的な画素ピッチを小さくする事は、一般的なコントラス法とは異なる事さえ了解しさえすれば、非常に理に適った測定方法だと思います。
4枚目は、 スレ「出発進行」の[2182-23]で用いた図で、コントラス(MTF)を0.2〜0.6と変化させた場合の、周波数(MTF)の画素ピッチ依存性です。縦軸、横軸とも相対値なので、私の計算方法を見直す際、絶対値に改めたいと思っています。
2018/8/26 18:02 [2182-57]

¥F値 ¥MTF ¥PSF ¥ボケ
ボケ味に関しては、[2182-42][2182-43]で取り上げました。たまたま、ボケ味と収差等に関する、ニコンへのインタビュー記事を見付けたので、ご紹介します。
「――カメラ用交換レンズの全ての収差を測定できるとのことですが、具体的にはどのような収差を測定しているのですか?
稲留:いわゆるザイデルの5収差と呼ばれる、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差をはじめ、軸上と倍率の色収差などはもちろん、スポットダイヤグラム(点像強度分布)からMTFに至るまで、計算によって導き出すことができます。」
「――実際の計測には例えばチャートを用いるのでしょうか?
田中:いいえ、チャートではなく、点光源を用います。」
「――OPTIAで、過去に評判の良かったレンズの収差を分析したとありますが、評判の良かったレンズをいくつか挙げて頂けますか?
佐藤:いわゆる銘玉と言われるレンズは、自社、他社を含めていろいろと計測しています。自社レンズでは例えば、「Ai AF Nikkor 85mm F1.4 D IF」(1995年発売)と、「AF-S NIKKOR 85mm F1.4 G」(2010年発売)をOPTIAで比較評価してみました。
――それはおもしろいですね、収差にどういう特徴がありましたか?
佐藤:シャープネスなどは最新設計のGレンズのほうが良いのですが、一世代前のDレンズが良くないのかと言えばそうではなくて、三次元的な特性などはむしろDレンズのほうが優れていると思われる部分もありました。Gレンズのほうが残存収差は全般に小さくなっているのですが、Dレンズは収差をうまく残すことでバランスの良い描写を実現している。そのような様子がOPTIAから得られたデータを解析することで理解できます。
レンズの収差測定は、古くはアスカニア光学ベンチという大型の光学機器を用いました。この光学機器は熟練したオペレーターによってはじめて球面収差やコマ収差、非点収差などの計測が可能でした。しかし、今ではOPTIAで波面収差を測定するだけで、すべての収差がすぐに計算できるようになり、非常に効率が良くなりました。
――Ai AF Nikkor 85mm F1.4 D IFの収差の残し方が良かったということですが、具体的にはどんな収差だったのですか?
佐藤:例えば、球面収差はマイナス方向に膨らませて残しているところですとか、コマ収差も若干残っていたりするのですが、MTFベースで考えても、点像の形状ベースで考えても破綻のない収差の残し方をしています。特に三次元的なMTF特性が優れていて、ピントの合ったところから手前にボケはじめる部分のMTFの落ち方と、後ろ側にボケはじめる部分のMTFの落ち方がよく似ていて、前後のボケのようすが両方とも類似し、バランス良く見えます。Ai AF Nikkor 85mm F1.4 D IFのボケ味が良いとされるユーザーが結構多いのですが、その理由がデータからもわかります。
――それに対して現行のAF-S NIKKOR 85mm F1.4 Gはどうなのですか?
佐藤:現行のGタイプは特に後ろ側のボケをよりきれいにしようと意識しています。前側よりもより後ろ側のボケがなだらかになるように設計しております。
――前後にボケを入れるような構図をとる場合はDタイプ、後ボケを優先する場合はGタイプがいい?
佐藤:好みにもよりますが、そうなります。」
「――「解像力」、「ボケ味」といったレンズの味には、それぞれどのような収差が関連しているのですか?
佐藤:解像力に関しましては歪曲収差を除く、すべての収差が関わってきます。ボケ味に関してもすべての収差が関わってきますが、とりわけ球面収差、コマ収差、非点収差の3つが重要ですね。よく、ボケ味の話をするときに球面収差についてだけ語る方が多いのですが、あれは説明しやすく、聞く側も理解しやすいからであって、実際には球面収差だけがボケ味に影響しているのではありません。
球面収差によるボケ味の説明で画面の中央に集まる光の例を使いますが、実際には画面の中央付近には主要被写体があって合焦している場合が多く、むしろ画面の周辺部のほうがボケる場合が多い。画面周辺部では、コマ収差などの横収差の影響が大きくなってきますので、結像点のすべての収差を見たほうが良いのです。しかも、二次元ではなくピントの合ったところから、三次元的にボケがどう変化するかをつぶさに見るというのが、いいボケを作り出す秘訣になってくると思います。
稲留:レンズの味はどの収差によって決まるかというような単純な構造になっているのではなく、ボケ味ひとつとっても多くの収差が複雑に絡み合っているというのが実状です。逆に言うと、従来はレンズの味を解析する有効な手だてはなかったのですが、OPTIAによってレンズの味にはどのような収差が関わっているかが徐々に明らかになってきました。
田中:OPTIAでは、さまざまなレンズの測定をしているのですが、例えば現代の基準ではボケボケのソフトな描写のレンズを測定してみますと、なるほどこういう収差の残し方をしているのかという、興味深い結果が続々と出てきていますので、将来はかつて銘玉と言われたレンズの収差特性を取り入れたレンズ設計も可能になってくるでしょう。」
・ニコンが考える“レンズの味”とは? − AF-S NIKKOR 58mm F1.4 Gの設計に見るレンズ計測装置「OPTIA」の活躍 − (デジカメWatch、2013/11/08)
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news
/interview/621449.html
2018/8/26 18:19 [2182-58]

¥F値 ¥MTF ¥PSF ¥ボケ
【蛇足】
スレ「ご意見をお願いします」でも触れますが、2次元情報しか持たない画像データに加え、depth mapを一緒に取得出来れば、ボケの付加/復元が可能となります。従って、お馴染みの以下の式にて、PSF/MTFを、銘玉のPSF/MTFに置き換えれば、「画像データとdepth map」から様々な銘玉による画像を、計算のみで算出出来ます。きっと関数への置き換えが難しいPSF/MTFとなるでしょうから、関数ではなく数表を用いる方が簡便だと思われます。
・入力関数f * PSF = 出力関数g [空間領域]
・入力関数F × OTF = 出力関数G [周波数領域]
・MTF = 絶対値(OFT) [周波数領域]
2018/8/26 18:21 [2182-59]

¥MTF ¥F値
このスレ「まったり仮説」で用いた実測値全てを掲載した、Excelファイルを以下にアップしました(アップしたのは、8/16です‥‥(汗))。ご自分の計算結果の検証や、実測値による解析等を行い方は、ご自由にご利用なさって下さい。
ただし、注意事項があります。
・2枚のシート、「実測値」「相関性」があります。
・シート「実測値」は、列方向では、大きく「OpticalLimits」と「LensTip」に分かれています。
・シート「実測値」は、行方向では、大きく「LP/mm」「相対値」「OpticalLimitsの実測値(LW/PH)」「解像度チャート」に分かれています。
・「LP/mm」の内、黄色で示された「OpticalLimits」の箇所は、[2182-35]で得られた式(4)による「換算値」です。
・「LP/mm」の内、「LensTip」の箇所は、「LensTip」の実測値をモニター表示のドット数から算出しました。
・万一、他の実測値から見て不自然なデータがあった場合には、「OpticalLimits」「LensTip」の掲載グラフにて、ご確認の上、間違っていたら、訂正をお願いします(アップしたファイルは、もしかすると読み取り専用に設定したかもしれません‥)。
・シート「実測値」は、式(4)を求める際に用いた実測値です。「OpticalLimits」の実測値は、「(LW/PH ) / (2*イメージセンサー短辺(mm)) 」 → 「LP/mm」にて、「LensTip」と単位を合わせてあります。
・元々数式だったセルにも、数値が貼り付けられています。
・LensTip(LP/mm) = 0.529 × OpticalLimits(LP/mm) ‥‥ (4)
・ファイル名「レンズMTF実測値-アップ用」
・OneDrive
https://1drv.ms/f/s!As0Dqr29GPyccVuOFLBS
O7dG0fU
2018/8/26 18:23 [2182-60]



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60D(画素ピッチ4.31μm)、F16、レタッチ、リサイズ、自宅から撮影 | 60D(画素ピッチ4.31μm)、F16、レタッチ、リサイズ、自宅から撮影 | 60D(画素ピッチ4.31μm)、F16、レタッチ、リサイズ、自宅から撮影 | G5(画素ピッチ3.76μm)、ND8使用(←NG?)、F6.3、以下同 |
信じられない位の時間が経過してしまいましたが(大変申し訳ありません)、遂に、エアリーディスク駅から出発進行!!パチパチパチ!!
まずお願いですが、「最初にお読み下さい」「まったり会のルール、タグ、用語」を未読の方は、まず、これら2つのスレに目を通して下さい。
「まったり会のルール、タグ、用語」で説明したように、まったり会では読み手の方の使い勝手を優先します。スレの細分化もその一環です。今回、同時に立ち上げたスレは、以下の通りです。
[まったり会の趣旨やルール等に関するスレ]
・最初にお読み下さい
・まったり会のルール、タグ、用語
[まったり会の通常スレ]
・エアリーディスク駅から出発進行!! ← このスレ
・ノイズ駅で途中下車
・まったり仮説
[まったり会のサポートスレ]
・まったり会の必読図書/指定図書/参考図書
・きっちりかっちり相談室
通常スレの流れを妨げない目的で設置しました。数式の導出等々、通常スレの流れには乗らないものの、疑問等があれば、「きっちりかっちり相談室」にご相談下さい。詳しい方から「きっちりかっちり」と解説/説明が頂けるかもしれません。なお、詳しい方が解説/説明して下さるのは、ご厚意からなので、解説/説明して下さる方への感謝の気持ちをお忘れにならないよう、お願い致します。
・カスタマーセンター (運営、スレ建て等のご要望を受付中です)
まったり会の運営等へのご意見/ご提案等があれば、(年中ほぼ休み、稀に気が向いた時だけ営業の)カスタマーセンターまで、お願い致します。至らぬ事だらけだと思いますが、可能な範囲で対処致します。
スレ建て等に関しても、事前に、カスタマーセンターへご連絡頂ければ幸いです。スレは、読み手の方の使い勝手を考えながら、新設、統廃合等を臨機応変に行っていきたいと思います。新設は、スレを建てたい方が一番、熱意/知識等をお持ちだと思いますので、基本的には、スレ建てをご提案なさった方に建てて頂きます。
2018/8/12 09:23 [2182-8]

¥エアリーディスク ¥エアリー強度分布 ¥PSF ¥MTF
ここから暫く、発祥スレ「エアリーディスクと画素ピッチを「まったり」語り合う会」の復習等を行います。
大まかな流れは、次の通りです。
資料をご紹介し、「空間領域と周波数領域」「点拡がり関数(以降、PSF)とMTF」の基本な説明を行います。発祥スレでの「甘酸っぱい想い出」と皆さんからの書き込みに触れます。
最後に、「まったり仮説」には含まれていない、発祥スレ以降の簡単な検討結果をご報告します。
まず、PAMdiracさんが作成して下さった「素晴らし過ぎる」資料を熟読下さい。PAMdiracさんの資料を熟読なされば、以降の私の拙い説明は全く不要と思いますので、スキップ頂くのが、オススメです!!?
なお、PAMdiracさんの「素晴らし過ぎる」資料は、まったり会の最高のお宝なので、敬意を込め、「お宝・第0号」に指定させて頂きました。
【まったり会・必読図書/お宝・第0号】
●PAMdiracさんの資料
・1次元周期的入力光の像とコントラスト (201/807/12、最新201/807/22)
https://www.dropbox.com/s/htat400q0toyys
g/1D-periodic-input-rev3.pdf?dl=0
・MTFに関する理論とテストの比較 (2018/07/22、最新201/807/24)
https://www.dropbox.com/s/nicq51z8ii7afq
w/theory-test.pdf?dl=0
・Airy Disk とMTFチャートによる解像度の判断の違い (2018/07/24)
https://www.dropbox.com/s/cvoxaz78l6pps9
t/airy-MTF.pdf?dl=0
まったり会では、真っ当な資料を「指定図書」「参考図書」として扱っています。PAMdiracさんの資料と合わせ、これらの資料を基に出発すれば、正しい方向に進むはずです。もし間違った方向に進んでしまったら、間違ってしまった原因は、当然ながら、真っ当な資料ではなく、自分にありますから、真っ当な資料に立ち返って、再出発すれば良いだけの事です。
【指定図書】
・光学(講義資料リスト) (東京大学名誉教授 ・黒田和男氏)
http://qopt.iis.u-tokyo.ac.jp/optics/
・画像工学(講義資料リスト(一部リンク切れがあります)) (慶応義塾大学教授・中島真人氏)
http://keio-ocw.sfc.keio.ac.jp/j/Sc_and_
Tech/06D-002_j/list.html
・ディジタル画像処理(講義資料リスト) (千葉大学教授・羽石秀昭氏)
http://www.cfme.chiba-u.jp/~haneishi/cla
ss/digitalgazo.html
【参考図書】
super-resolutionに主眼の置かれた資料ですが、光学系、画素系、光学系+画素系の取り扱い方は、極めてオーソドックスなので、参考になります。
・Impact of detector-element active-area s
hape and fill factor on super-resolution
(University of Dayton / Professor ・ Russell C. Hardie氏、他、Frontiers in Physics、2015/05/18)
https://www.frontiersin.org/articles/10.
3389/fphy.2015.00031/full
PSF、LSF、ESF、MTF等の基礎的な内容です。
・Diffraction Optics (University of Arizona / Professor Emeri
tus ・ Robert A. Schowengerdt氏)
http://www2.engr.arizona.edu/~dial/ece42
5/notes9.pdf
PSFの具体的なイメージを掴むのに、最適です。
・マシンビジョンにおける被写界深度の考えかた (東芝テリー)
http://www.toshiba-teli.co.jp/products/i
ndustrial/info/t/files/t0008_DOF_j.pdf
デジタルカメラにおける要素技術を幅広く扱っていますので、知識の体系化等に役立ちます。
・光応用技術研修会「デジタルカメラの画像処理」 (京都産業大学教授 ・蚊野浩氏、2017/06/05)
http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~kano/pdf/c
ourse/SP1.pdf
【百科事典】
・Fraunhofer diffraction equation 3. Apertures (Wikipedia英語版)
https://en.wikipedia.org/wiki/Fraunhofer
_diffraction_equation#Apertures
以降では、主に「指定図書」「参考図書」に基づきながら、復習して行きます。
繰り返しになりますが、PAMdiracさんの「素晴らし過ぎる」資料には(畏れ多くて)触れませんので、必ず読んで下さいね!
2018/8/12 09:33 [2182-9]

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フーリエ級数 | 矩形波のフーリエ級数による最初の4項までの近似 |
¥空間領域 ¥周波数領域 ¥空間周波数 ¥無収差
暫くの間、エアリーディスクと言えば連想ゲームなら、真っ先に思い浮かぶ、
・エアリーディスク半径 = 1.22λF = 2*画素ピッチ ‥‥ (1)
・F = 2*画素ピッチ/(1.22λ) = 画素ピッチ/(0.61λ) ‥‥ (1)’
を、(エアリーディスクに関し、深くご理解なさっている方を除き)頭から消去して下さい。「PSFとMTF」「空間領域と周波数領域」の基本な説明をすんなり受け入れて頂く為です。「PSFとMTF」「空間領域と周波数領域」の基本な内容をご理解頂ければ、再び式(1)(1)'を、頭にインプットして頂いて全く構いません。
この消去案に関して、PAMdiracさんにご相談した所、作成して下さった資料が「Airy Disk とMTFチャートによる解像度の判断の違い」です。消去案の理由には全く触れなかったのに、非常に的確な資料を作成頂いたので、PAMdiracさんには、(この資料に限りませんが)感謝の言葉もありません。ただ、PAMdiracさんのご意向に反するようで、大変申し訳ありませんが、兎に角、式(1)(1)'は一旦、(エアリーディスクに関し、深くご理解なさっている方を除き)頭から消去して下さい。
式(1)(1)'を頭から消去する理由ですが、この式に拘るあまり、「画素ピッチ●●μmの時の回折限界F値は〇〇」と言う議論に終始なさっている方々が多数おられるからです。発祥スレを読み返したら、私も同様の表現を使っていました。
「画素ピッチ●●μmの時の回折限界F値は〇〇」と言う議論が、回折への根本的な理解の妨げになっていると感じているのは、以下の2点からです。
・エアリーディスクと画素とを、円と正方形に見立て、単なる大きさ較べに陥ってしまっている。
・回折限界の意味を取り違えている。
1つ目に関しては、詳しい説明は不要と思います。
2つ目に関してですが、「限界」と言う用語自体が誤用されている訳ではありません。フォトダイオードでは、独立事象として扱えるいくつかのノイズがありますが、露光量が小さい場合は、ショットノイズが支配的となり、shot noise limitedと表現されます。F値が大きい場合、解像度は、画素ピッチではなく エアリーディスク半径(の1/2)が支配的となっていますから、shot noise limitedと同様、回折限界と表現しても、可笑しくはないように感じられます。しかし、diffraction limitedを、この意味で用いる事はないはずです。diffraction limitedは、光学系が理想的/無収差の事を指します。エアリー強度分布が、まさに、diffraction limitedそのものです。画素ピッチとは、全く独立した事象です。
渋々ながらも、式(1)(1)'を、頭から消去して頂けたとして、話を続けます。
本論に入る前に、「空間領域と周波数領域」に関して、見て行きます。
殆どの方は、「時間領域と周波数領域」なら、何となくにせよ、イメージが湧くと思います。と言うのは、時間領域では、光を含む電磁波にしても、音波にしても、周波数を持つ「波」に対して、周波数領域が対応しているからです。
ところが、空間領域には、「波」と言われても、思い浮かぶモノがありませんよね?
ここでは、最初から「空間領域と周波数領域」ありきで話をしていますので、空間領域に「波」はある事になっています。
無理やり、「波」を生み出してしまうのが、1枚目の、フーリエ級数です。フーリエ級数は、周期的な波形を正弦波と余弦波との組み合わせで表現する手法です。
2枚目は、矩形波のフーリエ級数による最初の4項までの近似です。たった4項までで、早くも矩形波らしくなってしますね?恐るべし、フーリエ級数!
空間領域の「波」は、 フーリエ級数をイメージして頂ければ、「波」があっても、何となくいいような気がして来ましたよね?
しかし、皆さんの周りを見回しても、周期性のあるモノは、多くはないと思います(周期性と言えば、例のアレです)。非周期関数の場合は、周期は無限大と見做され、ここで、フーリエ級数は、フーリエ変換にバトンタッチされます。
【引用文献】
・1枚目:「ディジタル画像処理(講義資料リスト) (千葉大学教授・羽石秀昭氏)」から
http://www.cfme.chiba-u.jp/~haneishi/cla
ss/digitalgazo.html
・2枚目: Wikipedia日本語版
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%
E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%A8%E7%B4%9A%E6%9
5%B0
2018/8/12 09:45 [2182-10]

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16QAM | OFDM |
$まったり $蛇足 ← 勿論、こんなタグはありません!!
【蛇足】
> 「時間領域と周波数領域」なら、何となくにせよ、イメージが湧く
と書きましたが、通信/放送関係で思い浮かぶのは、多分、搬送波だと思います。MTF(『Modulation』 Transfer Function)繋がりで、変調方式の内、16QAMの概念図を2枚目に、 OFDMの概念図を3枚目に付けておきます。以下からの引用です。
・きっちり知りたい無線LANの変調技術の基礎 (ASCII、2009/09/17)
http://ascii.jp/elem/000/000/458/458953/
・Concepts of Orthogonal Frequency Divisio
n Multiplexing (OFDM) and 802.11 WLAN (Keysight Technologies)
http://rfmw.em.keysight.com/wireless/hel
pfiles/89600b/webhelp/subsystems/wlan-of
dm/content/ofdm_basicprinciplesoverview.
htm
2018/8/12 09:51 [2182-11]

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---|---|---|
空間領域と周波数領域との関係 | PSFによる出力関数の違い | PSFによる出力関数の周波数依存性 |
¥PSF ¥MTF ¥空間領域 ¥周波数領域
空間領域では、以下が成り立ちます。
・入力関数f * PSF = 出力関数g [空間領域] ‥‥ (2)
周波数領域では、以下が成り立ちます。
・入力関数F × OTF = 出力関数G [周波数領域] ‥‥ (3)
それぞれの関数には、以下の関係が成り立ちます。
・入力関数f → フーリエ変換 → 入力関数F ‥‥ (4)
・PSF → フーリエ変換 → OTF ‥‥ (5)
・出力関数g → フーリエ変換 → 出力関数G ‥‥ (6)
・入力関数F → フーリエ逆変換 → 入力関数f ‥‥ (7)
・OTF → フーリエ逆変換 → PSF ‥‥ (8)
・出力関数G → フーリエ逆変換 → 出力関数g ‥‥ (9)
・MTF = 絶対値(OFT) [周波数領域] ‥‥ (10)
発祥スレ同様、ここでも、画像処理は扱いませんが、式(2)(3)(5)(8)(10)の関係は、いつも意識するようにして下さい。これらの関係を、1枚目に示しました。至って、シンプルな関係だと思います。
式(1)(1)'を、頭から消去して頂いた、最大の理由は、式(2)(3)(5)(8)(10)の関係に全く無頓着のまま、円と正方形との単なる大きさ較べをなさっている方が多いように感じているからです。言い換えると、エアリー強度分布は、理想的な/無収差の光学系のPSF、すなわち、diffraction limitedの光学系のPSFですから、PSFとして意識すべきなのに、PSFとしての意識が希薄な方が多いのでは?と言う事です。
そこで、ここでは、PSFを詳しく見て行きます。PSFですから、勿論、空間領域です。
2枚目は、同一の入力関数と、3通りのPSFによる、出力関数の例です。PSFによる出力関数の違いが、良く分かると思います。
3枚目は、同一のPSFと、6通りの周波数の入力関数による、出力関数の例です。出力関数に周波数依存性が生じているのは、PSF起因である事が、良く分かると思います。
【引用文献】
・1枚目:画像工学(講義資料リスト(一部リンク切れがあります)) (慶応義塾大学教授・中島真人氏)
http://keio-ocw.sfc.keio.ac.jp/j/Sc_and_
Tech/06D-002_j/list.html
・2〜3枚目:Diffraction Optics (University of Arizona / Professor Emeri
tus ・ Robert A. Schowengerdt氏)
http://www2.engr.arizona.edu/~dial/ece42
5/notes9.pdf
【ご参考】
[コンボリューション]
コンボリューション の演算子は、単に * のみを用いる場合が多く、他に、「〇の中に*」「〇の中に×」等が用いられます。
コンボリューションのイメージは、以下の簡単なアニメーションをご覧になると掴めると思います。以下の上のグラフで、黄緑色の矩形波が入力関数です。赤色の曲線は、このケースでの、PSFに相当する、応答関数です。入力関数(黄緑色)と応答関数(赤色)とのコンボリューションを行うと、下のグラフに示される、出力関数が得られます。
・Wikipedia日本語版「畳み込み」より
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%
E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Convolucion_d
e_entrada_con_respuesta_al_impulso.gif
2018/8/12 09:59 [2182-12]

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PSFのF値依存性とDefocus依存性 (単独) | PSFのF値依存性とDefocus依存性 (組み合わせ) | コントラストAFの高速化におけるPSF活用 |
¥PSF ¥F値
PSFを、さらに見て行きます。
1〜2枚目のPSFは、全て、エアリー強度分布(理想的な/無収差の光学系のPSF)です。
1枚目の上は、良くご存じの、PSFのF値依存性です。
1枚目の下は、PSFのDefocus依存性です。
これらから分かるように、PSFに変化を与える要素は、F値に限ません。ボケに関わる要素、すなわち、F値、Defocus、ブレ(手ブレ、被写体ブレ)等は、全てPSFで表現可能です(注1)。PAMdiracさんに依ると、天体写真では(大気の揺らぎ等によって生じる)シーイングを、PSFに取り込み、デコンボリューションを行うそうです。
式(1)(1)'を、頭から消去して頂いている最中ですが、ご自分の中にはまだ再インプットせず、式(1)(1)'に対しては傍観者として、1枚目を再度、ご覧下さい。1〜2枚目のPSFは、全て、エアリー強度分布(理想的な/無収差の光学系のPSF)でしたね。
1枚目の上の裾野部分、すなわち、X軸のプラス側/マイナス側で初めて0となる、それぞれの点を結んで直径とする円が、エアリーディスクです。
PAMdiracさんは、F値に応じたエアリーディスク半径を、(光学系を担っている)ガウス関数の標準偏差に反映させておられ、周波数(MTF)のF値依存性では、実測値とドンピシャの理論値を算出なさっています。PAMdiracさんのように、エアリーディスクに関し、深くご理解なさっている方々は、PSFを思い描いた上で、エアリーディスクは、PSFの裾野部分である事を十分に認識なさっておられます(使いこなされておられます)。
shot noise limitedと対比させ、diffraction limitedに関して述べました。shot noise limitedは、ショットノイズが支配的である状態を指します。一方、diffraction limitedは、理想的な光学系なので、収差は削ぎ落されていますが、回折からは逃れられない状態を指します。1枚目の上の、最も小さいF値、F2.0は勿論、さらに小さいなF値でも、回折により、PSFは決定されます。どのF値でも、回折からは逃れられない、すなわち、diffraction limitedである事を、改めてご確認下さい。
1枚目の下のように、Defocusしている場合、PSFの裾野部分をエアリーディスクとは呼ばないと思いますが、疑似的にエアリーディスクと呼ぶ事にすると、 Defocusしている場合には、最早、エアリーディスクで云々する事に意味がない事がお分かりになると思います。
ボケに関わる様々な要素で変化するPSFに、裾野部分は(極論的に言えば)付随しているに過ぎません。この事を十分に認識頂きながら、2枚目をご覧になって下さい。
2枚目は、1枚目の上下で示された、PSFのF値依存性とDefocus依存性との掛け合わせです。PSFの裾野部分ではなく、PSF自体にご注目なさっていると思いますが、1つ前の書き込み[2182-12]の2〜3枚目でご紹介した実例に、これらのPSFを当て嵌めれば、式(2)のイメージが、より鮮明に掴めると思います。
・入力関数f(x,y) * PSF(x,y) = 出力関数g(x,y) [空間領域] ‥‥ (2)
(注1)
以下のpp.21〜24に、複数の要因によるPSFと取り扱いに関する説明があります。特にp.24を、演算子を含め、良くご覧下さい。
【再掲:参考図書】
・光応用技術研修会「デジタルカメラの画像処理」 (京都産業大学教授 ・蚊野浩氏、2017/06/05)
http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~kano/pdf/c
ourse/SP1.pdf
話題を変えます。
PSFは、写真撮影においては、撮影画像そのものにしか関わっていないと思われている方が多いと思います。しかし、コントラストAF命のパナソニックは、PSFを活用する事により、コントラストAFの高速化を実現しています。
コントラストAFは、位相差AFと異なり、合焦位置をDefocusの状態で把握する事が出来ません。コントラストの頂点を通り過ぎて、初めて、コントラストの頂点が合焦位置だと認識する仕組みです。その為、最初から、合焦位置付近にてコントラストの頂点を探す作業を始められれば、かなりの高速化が図れます。合焦位置付近の見当を付けるのに採用されたのが、Depth From Focus(DFD)です。DFDは、Depth Mapの取得にも用いられているので、Depth Mapの簡易版と言った感じでしょうか?
パナソニックのDFDでは、最初にフォーカス位置をズラした複数枚(最低2枚)の画像を取得します。自社レンズであれば、PSFを正確に把握していますから、フォーカス位置のズレで生じたボケ像の変化と、PSFのDefocus依存性とをマッチング出来れば、DFDを取得出来ます。目的の合焦位置を凡そ把握出来た事になりますから、すぐに「合焦位置付近にてコントラストの頂点を探す作業」に移れます。
3枚目をご覧になれば、PSFが活用された技術である事がお分かり頂けると思います。
【引用文献】
・1〜3枚目:マシンビジョンにおける被写界深度の考えかた (東芝テリー)
http://www.toshiba-teli.co.jp/products/i
ndustrial/info/t/files/t0008_DOF_j.pdf
・3枚目:LUMIX GH4の「空間認識AF」は何が凄い? (デジカメWatch、2014/05/30)
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news
/interview/649605.html
2018/8/12 10:11 [2182-13]

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正弦波を用いたMTF測定方法 | コントラスト(MTF)と周波数(MTF)との関係 |
¥MTF ¥コントラスト法
ここからは、MTFに関して、見て行きます。PSF、OTF、MTFの関係は、以下の通りです。
・PSF → フーリエ変換 → OTF ‥‥ (5)
・MTF = 絶対値(OFT) [周波数領域] ‥‥ (10)
まったり会の用語として、MTFの単独使用は原則禁止としました。MTFの単独使用で、何が問題となるのかを含め、コントラスト法によるMTF測定方法を確認します。
コントラスト法は、フーリエ変換を行わずに、MTFを得る事が出来ます。ただし、入力関数は正弦波です。矩形波での測定では、厳密なMTFは得られませんが(注2)、説明では正弦波を用い、実測値では矩形波を用いた測定結果を認める/用いると言う変則的な手法で、話を進めます。
1枚目は、正弦波を用いたMTF測定方法の概念図です。この図では、周波数u1での、入力関数と出力関数のそれぞれでの最大値/最小値から、MTF(u1)を求める数式が示されています。最大値/最小値を用いる数式の左辺側に記入したように、(「平均' / 平均」を省いた)「振幅' / 振幅」が、この測定方法の本質的な部分です。入力関数の振幅と出力関数の振幅との比率から、MTF(u1)が求められていますから、MTF(『Modulation』 Transfer Function)と言う関数名にも納得が行くと思います。
MTFは、本来、入力関数と出力関数とのコントラスト比/振幅比であって、空間周波数はパラメーターです。ところが、MTFそのものが解像度の指標だと思い込んでいる方が少なからずおられる為、MTFそのものが解像度/空間周波数との勘違い等がしばしば見受けられます。そこで、混乱を避ける為に、まったり会の用語として、MTFの単独使用は原則禁止とし、代わりに、コントラスト(MTF)、周波数(MTF)を用いて頂くよう、ルール化しました。
2枚目を見て頂ければ、コントラスト(MTF)と周波数(MTF)とを明確に区分する意図を、汲み取って頂けると思います。
なお、1枚目では、出力関数の「平均」が、入力関数の「平均」と異なる記載となっています。しかし、少なくとも、出力関数の「平均」は常に一定でないと、正確な測定とは言えないと思うのですが、如何でしょうか??
(注2)
X線撮影系では、コルトマン補正等を用いて、正弦波のコントラストに変換し、MTFを求めています。
フーリエ級数を取り上げた際、
> しかし、皆さんの周りを見回しても、周期性のあるモノは、多くはないと思います(周期性と言えば、例のアレです)。
との説明を行いましたが、「例のアレ」は、もうお分かりですよね?コントラスト法で用いられる、正弦波/矩形波(解像度チャート)の事です。コントラスト法で用いられる、正弦波/矩形波は、連続的に周期が変化する、単一周期関数の集まりです。単一周期関数は、空間領域と周波数領域とを繋ぐ扉だと見做せます。その為、空間領域からも、周波数領域からも、認識可能です。MTFそのものは、周波数領域に属していますが、MTFを空間領域でも実感出来るのは、コントラスト法で用いられる単一周期関数のお蔭だったと言う訳です。
【引用文献】
・1枚目:ディジタル画像処理(講義資料リスト) (千葉大学教授・羽石秀昭氏)
http://www.cfme.chiba-u.jp/~haneishi/cla
ss/digitalgazo.html
・2枚目:Diffraction Optics (University of Arizona / Professor Emeri
tus ・ Robert A. Schowengerdt氏)
http://www2.engr.arizona.edu/~dial/ece42
5/notes9.pdf
2018/8/12 10:17 [2182-14]

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PSFを用いたMTF測定方法 | LSFを用いたMTF測定方法 | ESFを用いたMTF測定方法 | 3つの Spread FunctionとOTFの関係(X軸方向での例) |
¥MTF ¥フーリエ変換 ¥F値
引き続き、MTFを見て行きます。ここでは、フーリエ変換を用いたMTF測定方法を取り上げます。いずれも、特定の物体/光源の像(拡がり関数/Spread Function)を得て、フーリエ変換を行い、その絶対値を取る手法が用いられています。
[Point Spread Function]
・点物体/点光源から、PSF(Point Spread Function)を得て、フーリエ変換を行い、その絶対値を取ります。概念図を、1枚目に示します。PSFであるエアリー強度分布には、勿論、この方法が用いられます。
[Line Spread Function]
・線物体から、LSF(Line Spread Function)を得て、フーリエ変換を行い、その絶対値を取ります。概念図を、2枚目に示します。
[Edge Spread Function]
・エッジから、ESF(Edge Spread Function)を得ます。次に微分を行い、LSFを求めます。LSFのフーリエ変換を行い、その絶対値を取ります。概念図を、3枚目に示します。
これら3つの Spread FunctionとOTFの関係(X軸方向での例)を、4枚目に示します。4枚目をご覧になれば分かるように、3つの Spread Functionは、微積分による関係で結ばれています。OTFとは、フーリエ変換/フーリエ逆変換による関係で結ばれています。
交換レンズのレビューを行っているサイトでは、周波数(MTF)のF値依存性の測定を行っています。LensTipとOpticalLimitsとは、コントラスト(MTF)=0.5を基準としている点では共通ですが、測定方法は異なります。
LensTipは、1つ前の書き込みで説明したコントラスト法にて測定しています。正弦波ではなく、矩形波(解像度チャート)を用い、コントラスト(MTF)=0.5となる周波数(MTF)を求めています。一般的な測定方法なので、測定結果も、一般的に得られる数値と類似しています。
OpticalLimitsは、Imatest製ソフトウェアによる測定を行っています。Imatest製ソフトウェアは、MTF測定に、ESFを用いています。[Edge Spread Function]で説明したように、ESFを微分し、LSFを得てから、フーリエ変換を行うと、その絶対値がMTFそのもの(MTF(周波数)=コントラスト)となります。ただし、OpticalLimitsの測定結果(注3)は、以下のImatestのコメントからも分かるように、コントラスト法による測定結果とは、かなり異なります。
「The original ISO calculation is performe
d when the ISO standard SFR(Spatial Freq
uency Response) checkbox in the SFR inpu
t dialog box is checked. It is normally
left unchecked.」
・Imatest Documentation (2009年)
http://www.imatest.com/docs/Imatest%20Do
cumentation.pdf
(注3)
「(LW/PH ) / (2*イメージセンサー短辺(mm)) → LP/mm」により、単位は合わせてあります。
ここまで、
・入力関数f * PSF = 出力関数g [空間領域] ‥‥ (2)
・入力関数F × OTF = 出力関数G [周波数領域] ‥‥ (3)
・PSF → フーリエ変換 → OTF ‥‥ (5)
・OTF → フーリエ逆変換 → PSF ‥‥ (8)
・MTF = 絶対値(OFT) [周波数領域] ‥‥ (10)
のイメージを、しっかりと掴み、頭の中に植え付けて頂けるよう、説明して来ました。
PSFに関しては、格段にイメージが拡がったのではないでしょうか?エアリー強度分布に対しては、格段にイメージの拡がったPSFの1つである事を再認識して頂けたはず。
MTFに関しては、「PSF → フーリエ変換 → OTF」「MTF = 絶対値(OFT)」と言う最も重要な原点が身に付いたと思いますし、コントラスト(MTF)と周波数(MTF)とを明確に区分する必要性にもご納得頂けたかと思います。
冒頭で、
・エアリーディスク半径 = 1.22λF = 2*画素ピッチ ‥‥ (1)
・F = 2*画素ピッチ/(1.22λ) = 画素ピッチ/(0.61λ) ‥‥ (1)’
を、一旦、頭から消去して頂きました。今は、上記の関係やイメージがしっかりと植え付けられたと思いますので、式(1)(1)'を、再びインプットして頂いて、全く構いません。円と正方形との単なる大きさ較べをなさる事は、二度とないでしょうから。
なお、実測値と式(1)'との対比は、「まったり仮説」でたっぷりとご覧頂けます。問題ありありの「まったり仮説」ですが、問題なのは私の計算結果と強引に導いた仮説のみです。集め捲くった実測値限定なら、十分、ご参考になると思います。
2018/8/12 10:22 [2182-15]

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---|---|---|---|
点光源間隔と画素ピッチとの関係 | 点光源を等間隔で並べた場合の強度分布 | 「明区間」「暗区間」のそれぞれの平均値の差を規格化した数値 | 「お宝・第1号」、PAMdiracさんの計算結果 |
$甘酸っぱい想い出 ← 勿論、こんなタグは、ありません!!
私がエアリーディスクの世界に本格的に足を踏み入れたのは、2018/06/26での書き込みで、黒田和男先生の近似式による簡単な計算結果を示した頃からです。黒田和男先生の近似式に出会ったのは、多分、その数日前。
そして、まったり会の発祥スレを、2018/07/01に建てました。
度々申し上げていますが、今年の6月下旬以降、メロディの思い出せない懐かしのメロディとの再会が頻発しました。不思議な事に、メロディの思い出せない懐かしのメロディとの再会では、学生時代とは比較にならない程、具体的なイメージが沸きます。コンボリューション、サンプリング定理等々。
と言う事で、既に甘酸っぱい思い出となってしまったものの、私の変遷を振り返ります。
エアリーディスク半径と画素ピッチとの関係は、黒田和男先生の近似式の内、円形レンズにおける近似式を用いました。
1枚目が、点光源間隔と画素ピッチとの関係で、2枚目が、1枚目に対応した計算結果です。
3枚目は、1枚目に記した「明区間」「暗区間」のそれぞれの平均値の差を規格化した数値です。画素ピッチがエアリーディスク半径付近であれば、2〜3枚目でも目安となるはずですから、
「光学系が理想的な(収差なし=回折限界の)場合、解像度は、エアリーディスク半径と画素ピッチの大きい方で決まる」
は妥当と、当時は考えていました。
しかし、この計算方法では、点光源間隔が、エアリーディスク半径の2倍より小さくなればなる程、本来の数値からどんどん離れてしまいます。
この事を、的確にご指摘下さったのが、PAMdiracさんです。4枚目は、PAMdiracさんが画素毎に積分して得られた強度分布です。この時の心境は、以下の通りです。
> 特に今回、計算/作図頂いた結果は、私が欲しくて堪らなかったのに、私にとっては、考えただけでも、滅茶苦茶大変そうだったので、半ば諦めていました。ですので、超感動モノです!!
PAMdiracさんのこの計算結果は、まったり会の「お宝・第1号」に指定させて頂き、まったり会の象徴として、テーマ画像にも使用させて頂きました。
PAMdiracさんが、まったり会の本格始動に先立ち、発祥スレでのご発言等を踏まえた、「素晴らし過ぎる」資料を作成下さった事は、冒頭で述べた通りです。PAMdiracさんの一連の資料は、まったり会の「お宝・第0号」に指定させて頂きました。
2018/8/12 10:47 [2182-16]

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---|---|---|
MTFの算出に用いた、PSF (エアリー強度分布とガウス関数) | PAMdiracさんの近似式とエアリー強度分布 | MTFとPSFとの関係 |
$甘酸っぱい想い出 ¥エアリー強度分布 ¥ガウス関数 ¥PSF ¥MTF
PAMdiracさんからは、発祥スレでも多大なる貢献を頂きました。その1つが、エアリー強度分布のガウス関数による近似式です。
以下では、表現方法が、私風になっていますが、ご容赦下さい。
[黒田和男先生の近似式]
●円形レンズのエアリー強度分布(r) = [2*J1(r)/r]^2 ‥ (11)
・J1は、1次の第1種ベッセル関数。
・rは、中心からの距離。
(注意!)
・rは、「J1(r0)=0」となるr0(エアリーディスク半径)=1で規格化。
・r0 = 1.22*λF ‥ (12)
[PAMdiracさんが導出なさった近似式]
●正規化されたガウス関数(x) =[1/√(2π*σ^2)] * exp(−x^2 / (2*σ^2)) ‥ (13)
・σ(標準偏差)=32 / (3π*√(2π)*x0)
・x0は、「J1(x0)=0」となるx(エアリーディスク半径)。
1枚目は、MTFの算出に用いたPSF(エアリー強度分布、標準偏差を変化させたガウス関数、PAMdiracさんの近似式)です。MTFの算出は、PAMdiracさんから近似式のご提供を頂く前から検討を開始していました。
2枚目は、PAMdiracさんの近似式とエアリー強度分布のグラフです。PAMdiracさんの近似式が、非常に優れた近似式である事が良く分かると思います。
3枚目は、算出して得られたMTFのグラフです。エアリー強度分布のみ、コントラスト法(正弦波とのコンボリューション)、フーリエ変換とも、表計算から求めました。PAMdiracさんにご指導頂いたお蔭で、PSFをガウス関数で近似した場合は、コントラスト法(余弦波とのコンボリューション)、フーリエ変換とも、解析的に算出しています。
まだ、この頃は、基準偏差値をエアリー強度分布の標準偏差としていました‥(汗)
【補足】
PAMdiracさんから、発祥スレで、真っ先にご指摘を受けたのが、式(11)のrを、エアリーディスク半径で規格化していた事です。PAMdiracさんは、三角関数を用いてご説明下さいました。
以下は、私なりの説明です。
式(11)では、「エアリー強度分布 = 0」となるr(中心からの距離)を「エアリーディスク半径=1」としています。従って、
・2π ・ NA ・r / λ =π ・(1 /F) ・r / λ = 3.83200‥
↓
・r = (3.83200‥/ π) ・ λ ・ F = 1.21976‥ ・ λ ・ F = 1.22 ・ λ ・ F ‥ (9)
ここで、以下の関係式を用いました。
・F=1 / (2 * NA)
私は、相対的に扱うのが大好きなので、未だ、悪癖に悩まされています‥!!?
2018/8/12 10:52 [2182-17]

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空間周波数とコントラストの関係図 | 画素の大きさによるコントラストの低下 | MTF=0.5 (コントラスト(MTF)の閾値の評価用) | MTF=0.1 (コントラスト(MTF)の閾値の評価用) |
¥MTF ¥解像度チャート ¥エアリー強度分布 ¥フーリエ変換
発祥スレでは、多くの方々から、とても有益な、情報のご提供/コメント等を頂きました。
ここでは、「素晴らし過ぎる」資料を作成頂いたPAMdiracさん以外の方々からの情報のご提供をご紹介します。
●お気楽趣味人さんからの情報
1枚目は、「光点ではなく面積のある一般的な画像での、空間周波数とコントラストの関係をプロットした」との事です。
・横軸:空間解像度、1/λFで規格化
・縦軸:周波数0でのコントラストを1とした時のコントラスト値
お気楽趣味人さんが計算に用いられた数式
「0 <= ν < 1」の時、
OTF(ν) = 2/π * {arccos(ν) − ν * sqrt(1 - ν^2)} ‥ (14)
「ν >= 1」の時、
OTF(ν) = 0 ‥ (14)'
は、(お気楽趣味人さんは以前から良くご存知だったと思いますが)
エアリー強度分布(r) = [2*J1(r)/r]^2 ‥ (11)
をフーリエ変換すると得られます(導出は、勿論、私には、絶対に無理です)。お気楽趣味人さんから情報を頂いた時は、まだ、この関係に気付いていませんでした。一旦気付くと、式(14)は、頻繁に見掛けますので、
・エアリー強度分布 → フーリエ変換 → 式(14)のOTF ‥‥ (15)
・MTF = 絶対値(OFT) [周波数領域] ‥‥ (10)
にて、MTFを求めるのは、常道なのだと思います。【参考図書】に挙げた、例のsuper-resolutionに主眼の置かれた資料でも、(正方形)画素のMTF(sinc関数)と組み合わせて、用いられています。
お気楽趣味人さんがご紹介下さった書籍とWebページ
・ユーザーエンジニアのための光学入門 (岸川利郎氏)
https://www.amazon.co.jp/dp/4900474304
・Diffraction and Optimum Aperture (Imatest)
http://www.imatest.com/docs/sharpness/#o
ptimum_aper
●じよんすみすさんからの情報
2枚目は、PAMdiracさんと同様の試み(画素の大きさによるコントラストの低下)を、じよんすみすさんが、独自に算出なさった計算結果です。独自にここまで算出なさっているのは、凄いと思います。
3〜4枚目は、じよんすみすさんが、コントラスト(MTF)の閾値の評価用/検討用に作成下さった画像です。ここでは引用していませんが、MTF=1(=入力関数)は正弦波です。3枚目はMTF=0.5、4枚目はMTF=0.1に相当するそうです。
●みみろっぷさんからの情報
ここでは引用しませんが、みみろっぷさんからは、ご自身で撮影なさった解像度チャートの画像を多数、ご提供頂きました。みみろっぷさんは、カメラを多数所有なさっているので、画素ピッチの異なるカメラで、解像度チャートを撮影して下さいました。ご協力、どうもありがとうございます。
●その他の方々からの情報/コメント
ここでは取り上げませんでしたが、その他の方々からも有益な情報/コメントを頂戴しました。改めて、御礼申し上げます。
2018/8/12 11:00 [2182-18]

$蛇足 $ほらー噺
【久し振りの蛇足】
以下は、数学的でも、科学的でも、論理的でさえ、全くありません。ほらー噺です。
まったり会関連で、sinc関数とjinc関数とを良く見掛けますよね?その理由に迫ります??!
係数を省くと、1次元では、sinc関数とjinc関数とは、以下のように記述出来ます。
・sinc関数 = sin(x) / x
・jinc関数 = J1(x) / x
(注4)
J1は、1次の第1種ベッセル関数。
sinc関数は極当たり前に使われる関数名ですが、 jinc関数と呼ぶのは珍しいと思います。ただ、これだけ、対称性の高い関数同士ですので、jinc関数と言う呼び方を、個人的には物凄く気に入っています!
常道的に、まず、マクラから。
sinc関数とjinc関数とには、必須事項?があります。それは、
・sinc関数は、角ばったモノでの演算(積分、フーリエ変換等)で出現します。例えば、正方形レンズ、正方形画素、(底面が正方形の直角柱)、矩形波等。
・jinc関数は、丸っこいモノでの演算(積分、フーリエ変換等)で出現します。例えば、円形レンズ、円形画素、円柱、(半円波←があったとしたら)等。
(注5)
( )内のモノに関しては、まだ確認が取れていません‥(汗)
sinc関数では対称性を意識して、正方形を例に挙げましたが、長方形でもsinc関数となります。
まったり会関連で、sinc関数とjinc関数とを良く見掛ける理由ですが、一番怪しい?のが、周波数との関連性です。角ばったモノや丸っこいモノでのフーリエ変換では、必ず出て来ますし、周波数領域やサンプリング定理でも良く見掛けますから、何となく、そんな気がしますよね???
回折強度分布は、周波数と一見関係なさそうですですが、屁理屈を見付けました??!
皆さんが、回折現象を意識的に初めて目の当たりにしたのは、多分、回折格子にレーザー光を入射させ、美しも妖しい?干渉模様を観察した時でないでしょうか?コヒーレンスの高いレーザー光を用いていますから、干渉が際立ちますが、回折格子で回折しているからこそ、干渉する訳ですよね?
この干渉模様って、周期性に着目すると、何かに似ていませんか?そうです。例のアレ、解像度チャートです。干渉まで動員した屁理屈によって、回折強度分布も周波数と関係がありそうだと思えて来ましたよね‥???
2018/8/12 11:11 [2182-19]

¥MTF ¥ガウス関数 ¥周波数領域
・入力関数f * PSF = 出力関数g [空間領域] ‥‥ (2)
・PSF → フーリエ変換 → OTF ‥‥ (5)
・MTF = 絶対値(OFT) [周波数領域] ‥‥ (10)
の重要性に関しては、度々触れて来ました。従って、PSFからMTFに関心が移るのは、自然な流れです。
(注6)
もしかすると、当初は、式(1)(1)'のみから、周波数(MTF)のF値依存性にご興味を抱かれた方がおられたかもしれません。しかし、このスレで、式(1)(1)'を一旦消去、再インプットと言う、一見、回り道のような道を通って、ここに辿り着かれていますから、空間領域のPSFと周波数領域のMTFとが、属する領域が異なるだけで、根本的には同じ関数である事(注7)は、十分にご理解頂けていると思います
(注7)
MTFは、OFTの絶対値ですが、その点も十分にご了解なさっていると思います。
ここからが、「まったり会」本来の出発です。
まったり会本格始動に至るまで(本格始動の約半月前まで)、個人的に、計算の続行と実測値収集に注力して来ました。特に、実測値は、前述の通り、集め捲くりました。ただ、残念ながら、計算結果が定性的には合っているような気がするものの、定量的には(定性的にでさえ?)合っていない事がほぼ確実なので、ここでは、定性的には合っていると思われる計算結果のみ示します。その他は、「まったり仮説」でご紹介します。繰り返しになりますが、「まったり仮説」が問題ありありなのは、飽くまで私の計算結果のみで、集め捲くった実測値は、皆さんのお役に立つと思いますので、「まったり仮説」も(実測値のみで構いませんから)、是非、ご覧下さい。
MTFでは、光学系のMTFと画素のMTFを合わせて考えるのが一般的です。
・システムのMTF = 光学系のMTF × 画素のMTF ‥‥ (16)
PAMdiracさんは、式(16)に相当する数式として、「1次元周期的入力光の像とコントラスト」で、式(31)(32)を導出なさっています。「MTFに関する理論とテストの比較」「Airy Disk とMTFチャートによる解像度の判断の違い」でも、式(31)(32)を基本に据えておられます(と思います?)ので、PAMdiracさんの資料は、何度も申し上げている通り、必ず、お読み下さい。
私は、
・光学系のMTF = 絶対値{「PAMdiracさんの近似式・(13)」のフーリエ変換} ‥‥ (17)
・画素のMTF = Hardie氏等の参考図書の式(16) ‥‥ (18)
から、
・システムのMTF = exp(-2*(πkσ)^2) × {sin(πk) / (πk)} ‥‥ (19)
ただし、
基準標準偏差(基準σ)は、PAMdiracさんの近似式・(13)の標準偏差
kは、「1 / エアリーディスク半径」で規格化
にて、計算を行いました。PAMdiracさんが導出なさった式と式(17)とは、「ガウス関数×sinc関数」と言う点では同じなのですが、PAMdiracさんが「Airy Disk とMTFチャートによる解像度の判断の違い」で示されたドンピシャの結果とはほど遠いのが実情です。
【再掲:参考図書】
・Impact of detector-element active-area s
hape and fill factor on super-resolution
(University of Dayton / Professor ・ Russell C. Hardie氏、他、Frontiers in Physics、2015/05/18)
https://www.frontiersin.org/articles/10.
3389/fphy.2015.00031/full
2018/8/12 11:14 [2182-20]

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---|---|---|---|
計算結果と参考図書との比較 (エアリー強度分布の場合) | 計算結果と参考図書との比較 (PAMdiracさんの近似式の場合) | 画素ピッチ=2.0*AD半径での、光学系、画素、システムの各MTF | 画素ピッチ=1.5*AD半径での、光学系、画素、システムの各MTF |
¥MTF ¥ガウス関数 ¥エアリー強度分布 ¥空間周波数
以降、計算結果を簡単にご紹介して行きます。これらの計算には、式(19)だけでなく、
・光学系のMTF = 絶対値{「PAMdiracさんの近似式・(13)」のフーリエ変換} ‥‥ (17)
を、
・光学系のMTF = 絶対値{「エアリー強度分布・式(11)」のフーリエ変換} ‥‥ (20)
に置き換えた計算も行いました。{「エアリー強度分布・式(11)」のフーリエ変換}は解析的に行ったのではなく、表計算にて行いました。[2182-17]の3枚目のグラフの水色の曲線が、式(20)に相当します。
式(17)を用いても、式(20)を用いても、計算結果に大きな違いはありませんでした。
まず、Hardie氏等の掲載グラフとの対比を示します。私が「画素ピッチ=1.639*エアリーディスク半径」を用いたのは、掲載グラフと条件を合わせる為です。
1枚目は、式(20)を用いた場合
2枚目は、式(17)を用いた場合
です。画素のMTF の式(18)は、Hardie氏等の式(16)をそのまま拝借しているので、イメージセンサー(detector)のMTFは、完全に一致しています。一方、光学系のMTFは、式(20)、式(17)のどちらの場合も、Hardie氏等の掲載グラフから、ズレています。現時点では、ズレの要因は不明です。
なお、1〜2枚目を含め、私のグラフに「回折限界(エアリー強度分布)」「PAMdiracさんの近似式(基準標準偏差)」との表記がありますが、それぞれ、式(20)、式(17)を意味しています。
3枚目からの計5枚は、画素ピッチを大→小と変化させた場合の計算結果です。
3枚目は、画素ピッチを2.0*エアリーディスク半径とした場合
4枚目は、画素ピッチを1.5*エアリーディスク半径とした場合
です。どちらも、システムのMTF(赤)は、ほぼ、画素のMTF(青)により、決定されています。画素ピッチが小さい方が、画素のMTF(青)がより高い周波数にシフトしています。システムのMTF(赤)は、画素のMTF(青)との差はやや開くものの、同様に、より高い周波数にシフトしています。
2018/8/12 11:24 [2182-21]

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画素ピッチ=1.0*AD半径での、光学系、画素、システムの各MTF | 画素ピッチ=0.5*AD半径での、光学系、画素、システムの各MTF | 画素ピッチ=0.25*AD半径での、光学系、画素、システムの各MTF |
¥MTF ¥空間周波数
引き続き、
・システムのMTF = 光学系のMTF × 画素のMTF ‥‥ (16)
・システムのMTF = exp(-2*(πkσ)^2) × {sin(πk) / (πk)} ‥‥ (19)
による、画素ピッチを大→小と変化させた場合の計算結果を示します。
1枚目は、画素ピッチを1.0*エアリーディスク半径とした場合
2枚目は、画素ピッチを0.5*エアリーディスク半径とした場合
3枚目は、画素ピッチを0.25*エアリーディスク半径とした場合
です。
1枚目では、画素のMTF(青)が、殆どのコントラス(MTF)の範囲で、光学系のMTF(緑)より、高い周波数にシフトしています。
2枚目(画素ピッチ=0.5*エアリーディスク半径)では、画素のMTF(青)が、完全に、光学系のMTF(緑)より、高い周波数にシフトしています。結果的に、 システムのMTF(赤)は、ほぼ、光学系のMTF(緑)により、決定されています。1つ前の書き込み[2182-21]の特に3枚目(画素ピッチ=2.0*エアリーディスク半径)では、システムのMTF(赤)は、ほぼ、画素のMTF(青)により、決定されていましたから、システムのMTF(赤)の決定要因が、完全に入れ替わっています。
3枚目では、画素のMTF(青)は、グラフの周波数範囲内で、コントラスト(MTF)が高いまま(1.0〜0.8)です。従って、 システムのMTF(赤)は、ほぼ完全に、光学系のMTF(緑)により、決定されています。謂わば、「『diffraction limited』 limited」です。
1つ前の書き込み[2182-21]からの計5枚のグラフのみで判断すると、画素ピッチは小さければ小さい程良く、「『diffraction limited』 limited」となる程度まで、画素ピッチを小さくするのが理想的となってしまいます‥??!
2018/8/12 11:29 [2182-22]

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システムの周波数(MTF)の画素ピッチ依存性 | システムの周波数(MTF)の画素ピッチ依存性、仮想ノイズを適用 | MTF=0.5での、周波数(MTF)の画素ピッチ依存性、実測値 | MTF=0.5での、周波数(MTF)の画素ピッチ依存性、計算値と実測値 |
¥MTF ¥空間周波数
引き続き、画素ピッチと システムのMTFとの関係を見て行きます。
システムのコントラスト(MTF)を0.2〜0.6まで0.1刻みで変化させた場合の、システムの周波数(MTF)の画素ピッチ依存性を求めてみました。結果の算出には、ニュートン法を用いましたが、画素ピッチが1.2*エアリーディスク半径を超えると、(初期値を変えても)収束しない場合が殆どなってしまった為、画素ピッチの範囲は、エアリーディスク半径比で、0.2〜1.2としました。
1、2、4枚目では、横軸の画素ピッチは「エアリーディスク半径=1」で、縦軸の周波数(MTF)は「1/エアリーディスク半径=1」で、それぞれ規格化しています。
1枚目は、上記の計算結果そのままに加え、ナイキスト周波数と仮想ノイズを合わせて、掲載してあります。仮想ノイズは、√(画素ピッチ)に反比例すると仮定し、目立つように、画素ピッチがエアリーディスク半径の時(横軸で「1」の時)、-20dB(=0.1)と設定しました。上記の計算結果(とナイキスト周波数)に着目する限り、「画素ピッチは小さければ小さい程良い」は、継続されています。
Hardie氏等の参考図書では、以下の文献から
「many imaging systems are designed for Q≒1, as this tends to be a good compromise
between aliasing and other factors, suc
h as signal-to-noise ratio.」
を引用しています。
・Image quality and λ FN/ p for remote sensing systems (Rochester Institute of Technology / Pro
fessor ・ Roger L. Easton, Jr.氏、Optical Engineering (1999) 38:1229-40)
(Abstractのみ無料で閲覧可能)
http://spie.org/Publications/Journal/10.
1117/1.602169
この「「Q=λF/画素ピッチ≒1」の時がgood compromiseの傾向にある」は、業界に浸透しているらしく?、私は、「λF/画素ピッチ≒1」を魔法の関係式と(ちょっと大袈裟に)呼ぶ事にしました。詳しくは、「まったり仮説」をご覧下さい。1、2、4枚目に、「Q=λF/画素ピッチ≒1」の箇所を明示したのも、魔法の関係式だからです。
2枚目は、1枚目の計算結果に仮想ノイズを適用してみました。仮想ノイズを目立つように設定したにも拘わらず、「画素ピッチは小さければ小さい程良い」を大きく覆すには至らず、仮想ノイズの適用が妥当と見做した場合でも、2枚目からは、「画素ピッチはエアリーディスク半径の約1/2が良い」との結論に落ち着きます。
3枚目は、「まったり仮説」からの引用です。ここでは詳細は省きますが、コントラスト(MTF)=0.5における実測値での、周波数(MTF)の画素ピッチ依存性です。
4枚目は、1枚目と「3枚目+α」を合体したグラフです。1枚目は縦軸横軸とも相対値ですので、3枚目のD3Xの平均値が、1枚目の外挿値と一致するよう、「3枚目+α」の実測値を規格化しました。実測値は、計算値と外挿とを跨ぐように散らばっていますが、「計算値+外挿」は、(D3Xの平均値により規格化した)実測値と、大雑把には一致しているように見えます。
「画素ピッチは小さければ小さい程良い」を覆せる要因は、ノイズであろうとの推察の域から出る事は、結局、出来ませんでした。
今回はここまでです。お疲れ様でした。
2018/8/12 11:37 [2182-23]



まったり会の運営等へのご意見/ご提案等があれば、(年中ほぼ休み、稀に気が向いた時だけ営業の)カスタマーセンターまで、お願い致します。至らぬ事だらけだと思いますが、可能な範囲で対処致します。
スレ建て等に関しても、事前に、カスタマーセンターへご連絡頂ければ幸いです。スレは、読み手の方の使い勝手を考えながら、新設、統廃合等を臨機応変に行っていきたいと思います。新設は、スレを建てたい方が一番、熱意/知識等をお持ちだと思いますので、基本的には、スレ建てをご提案なさった方に建てて頂きます。
2018/8/12 08:49 [2182-7]


