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「縁側」-みんなが作る掲示板-からのお知らせ
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紹介文

何も言えねぇ!

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この掲示板は運営者が不在のため閲覧専用です。


スレ主&運営者 父の仇さん  

こちらは続きのスレになります。

http://engawa.kakaku.com/userbbs/1631/#1
631-61


辺りから始まった謎の物語、更新者は主に私と幻月朗さんになります。
↑がいっぱいになったらこちらに書き込む予定です。

リレー形式はバトンタッチという名の殴り合いへと変わり、
ギャグ重視のストーリーはいつしか私の裏切りによりシリアスに!

迷走と錯綜を繰り返す書き手、置いてけぼりの読者、そして風呂敷を広げすぎた物語。
もう勝てる気がしない、他の人に読んで欲しくもない、
ただ振り上げた拳はこのままじゃ降ろせない!

そう、これは私の自己満足スレ。引き返すなら今の内です。
これを読んだあなたに霊障や不幸があっても当縁側は一切関知しないです。
ブラウザバック オア デス!

2014/10/29 00:37  [1631-201]   

 幻月郎さん  幻月郎の縁側掲示板WANDERER

山川はオフィスビルから必死で逃げ出し御堂筋線に飛び乗った。
走りだす御堂筋線。
「はあはあ・・なんなんだ?」
気づくと山川は一番前の列車に乗っていた。

しばらく走りだした時、運転士が叫んだ
「な、なんだあれは」
ライトに照らされる異形の者。

ガタンガタン。ガシャ!
窓に張り付き穴を開けた異形の者。
触手が伸びた後運転士の額を貫いた。
すると運転士の身体が炎をあげる。

運転席を覗いた山川が叫んだ!

ゴー!!
次々と駅を飛ばして加速していく列車。
叫びながら必死で後ろの車両に逃げる先頭車両の乗客たち。

逃げるのに間に合わなかった乗客が次々と
触手に刺されそして発火し炎を上げる。

数千度の炎に包まれながら高速で駅を通過していく御堂筋線。
ゴオオオオオオオオ!!!!!
「ギャアアアアア!!!」
駅にいた人は巻き込まれてその炎に飲み込まれていく。

「うわ〜〜!」
「あなたね!ここは女性専用車両よ!」
「ど、どどどけ〜!!!」
「男がここに・・・プス!」
くるんと女性の黒眼が上を向いた。
山川の目の前で女性は額から血を出し身体が炎をあげる。

音にならない叫び声を出して座り込みズリズリと後退りする山川。
もう立つ力もない。異形の者が迫ってくる。

「あああ、だめだ、死ぬのかあ・・死ぬのかあ・・」

無意識に山川は窓を見た。
物凄い炎をあげて先頭車両が燃えている為
炎が窓をかすっていく。

その合間に空が見える。
いつの間にか地下を抜けて地上に出たようだ。

「ああ。終わりだ・・・つまんねえ人生だった・・・」

ドン!!!天井に穴が空き、
山川と異形の者の間にトレンチコートのいかつい男が立った。

ガン!

男の1トン近い衝撃を与えるパンチが異形の者を殴りとばす。
その瞬間、恐ろしいスピードで男は異形の者に跳びかかり、
蹴りを入れるがかわす異形の者。

空を蹴ったケリはそのまま列車の壁を破った。
バランスを崩した男はパイプに掴まったが、
その握ったパイプがグシャッと潰れる。

炎に包まれ高速で走る御堂筋線、めまぐるしく、窓から入る光が明滅する。
その中で対峙する超人と異形の者。

「がああ!」
超人が異形の者に向けてダッシュする。
ダッシュするために足を踏ん張った時に床がバキッとへこみ穴が開いた。

飛び出す触手を手で払いながらタックルする。
ドン!! 超人と異形の者の衝突。響き渡る衝撃音。

超人はコートの背中から細い光るものを取り出した。

「斬!」

縦一文字に刀が振り下ろされ、超人は異形の者にケリを入れる。
ドン!!ドン!!蹴り飛ばされて異形の者が二つになって吹っ飛ぶ。
壁はへこんでベッチャリと妙な肉片を貼り付けた。

口を開けたままの山川。

「俺の背中に乗れ、後ろからも異形の者が来てる。このままジャンプして脱出する」

「あ、ああ。ゴクン。あなたは誰ですか?」

「桃太郎」

背中に山川を乗せて列車外にジャンプ。
普通の人間ならそのまま転がって死ぬだろうが
着地と同時にバランスを崩さず列車と同じ速度で走りだし、やがて減速して足を止めた。

御堂筋線は炎に包まれたままやがてナカモズの駅に突入した。

列車から少し離れた場所にいる二人にも衝撃が来て爆発音が聞こえた。

2014/10/31 00:32  [1631-202]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

山川さん、まさかの続投(笑)


宗司とガキが黒いのに襲われ、塚本のゲス魂に火がついた頃、
チマと騎士の治療が終わった三人は行動を開始していた。

チマ「こっちからガロンの匂いがする。」
騎士「チマ殿は目も耳も鼻も良いのだな。」
魔女「後は頭が良ければよかったんですけどね。」
騎士「全くだ!」

HAHAHAHA!と姉妹二人の息のあったチマいびり!
ギリ、チマの奥歯が鳴る!この短期間で急激に仲が悪くなっていた!

チマ「ん?ここの交番に立ち寄ったみたい。」
騎士「宗司殿の事でも聞いたのだろうか?」
魔女「すいませーん。」

交番の前に立っているおまわりさんに話しかけてみる。しかしガン無視。
宗司の記憶の中のおまわりさんなので、宗司との接点はあまりなかったものと推察される。
なのでこのおまわりさんはあまり仕事をしないおまわりさんに仕上がっている。
だがそんな事は知らない三人は苛立ちを隠せない。

魔女「すいませぇ〜ん、聞いてましゅか〜?」

ボグッボグッ、杖で殴り出す魔女。
公務執行妨害など恐れない魔女の暴挙に姉の騎士は若干引いていた!

チマ「様子がおかしいな、・・・ん?んのおぉぉぉぉぉ!」

何かに気づき、鼻を押さえて倒れこむチマ。

騎士「どうした!?チマ殿って・・・、こ、これは!」
魔女「ひっ!ま、まさか・・・。」

同時に騎士と魔女も気がつく、おまわりさんの靴にはこんもりとう○こがしてあったのだ!
おまわりさんのガン無視に気を悪くしたのは彼女達だけではなかった。
あまり考えたく無い事だが、これは彼女達より早くここに来たものの仕業、すなわち・・・!

チマ「ガロンのだにゃ・・・!」
魔女「ここまでするなんて・・・!」
騎士「ガロン殿が味方で本当に良かった・・・!」

口ではこう言ってはいるもののガロンの株が相当下がっていた!

魔女「ここまでされて無反応だなんて。普通じゃないですね。」
チマ「人に道を聞くのは難しそう。」
騎士「しかし、この状況でどうやって宗司殿を探せるんだ?」
魔女「・・・あの、もしかしてコレを使ったのでは?」

魔女が指したのは地面に落ちている棒であった、それは真っ直ぐ住宅地を指している。

チマ「間違いない・・・、この棒からガロンの匂いがする!」

そう、塚本は棒を倒して進む道を決めたのである!ただの運ゲーだった!
よく見るとその先にも度々棒が落ちている。それを何とも言えない顔で見つめる三人。

チマ「・・・とりあえず、私達は匂いで探そう。」
魔女「それがいいです。あの方法は昨今の幼稚園児でもやりません。」
騎士「ガロン殿のノープランっぷりは、いっそ清清しいな。」
チマ「ただのアホだと思うけど・・・。あ、この店にも立ち寄ってるみたい。」

そこは制服が可愛い事で有名なファミレスであった。三人は嫌な予感しかしていない!

魔女「ここはスルーしません?私、これ以上塚本さんを嫌いになりたくないです。」
チマ「でも、ここに宗司の手がかりがあるのかも。」
騎士「そうだ、あまりガロン殿を疑うのは失礼にあたる。」

三人の内二人はガロンの事を信じ、意を決したようにファミレスに入っていった。
信じる者は救われる。ただそれは、塚本には適用してはいけない言葉だった。
店に入って最初に接客する店員さん、その足元には脱がされたパンティが落ちていた!

チマ「間違いない・・・、このパンティからガロンの匂いがする!」
騎士「ガロン殿・・・!?」
魔女「だから言ったじゃないですか!もう出ましょうよ!」

信用は打ち砕かれた。でも、よくよく考えたら塚本なので仕方ないという気になってくる。
彼女達は更にファミレス内部に侵入する。そこには更なる塚本の悪意があるとも知らずに。

チマ「・・・ま、まさか!?」
騎士「どうしたチマ殿!?」
チマ「テーブルの上に置かれているスプーンとか・・・、全部ガロンに舐められてる・・・!」
魔女「そ、そんな!?」

今この店の中には数十名の客が入っている、その全てが塚本との間接キッスを強要されているのだ!

魔女「むごい・・・、むご過ぎる!」
チマ「あぁ!そ、そんな事まで・・・!?」
騎士「今度はなんだチマ殿!?」
チマ「このドリンクバーとか、スープとか・・・、全部ガロンの唾液が入ってる・・・!」

それは悪魔の所業、その場にいた彼女等は背筋が凍り鳥肌が立つのを止められなった。
メロンソーダを飲む子供、コーヒーを飲むサラリーマン、
ドリンクバーの元を取ろうとジュースを飲みまくる主婦・・・!
それはとても平和的な光景、しかし彼らが飲んでいるものは塚本の悪意なのだ・・・!

魔女「う、うぅ、オエー!」

その惨状に、魔女はたまらず戻してしまった。日替わりスープの具が増えた瞬間だった!
三人はそのままファミレスを出て、ダッシュで塚本の匂いを辿る!
一刻も早く、仲間として、彼の悪行を裁かなければならない!

あっという間に宗司の家に到達した三人!
中に飛び込んだ三人が見たものは、見知らぬ女の子に亀甲縛りをする塚本の姿だった・・・。

塚本「お、お前ら!・・・ち、違う、これは誤解だ!!!」

誤解でもなかった。
この後半殺しにされた塚本でしたが指輪の力で何とか生き延びました。
この件のおかげで三人の仲は良くなったとか変わらなかったとか。

2014/11/1 00:38  [1631-204]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

塚本は簀巻きにされて部屋の隅に転がされていた。
見知らぬ女の子が黒いチマだという情報は塚本から聞かされていたので、
警戒しつつも女の子が目覚めるのを待つ三人。

黒チ「う、ん?」

目を覚ました女の子が見たものは自分を覗き込んでいた騎士と魔女と、そしてチマだった。

黒チ「は、はわわ!猫のお姉さん!その節は大変申し訳ない事を致しましたー!」

彼女の第一声は意外にも謝罪の言葉だった。
その姿は弱弱しく、一時期とはいえチマとタイマンで勝ったとは到底思えない。

魔女「えい。」

ボグッと杖で女の子を小突く魔女!女の子は避けようともせずもろに食らっていた。
とりあえず杖で殴ってみるというスタイルの魔女、姉の騎士よりある意味剛胆だ。

黒チ「あいた!ぼ、暴力はやめて下さい〜。」

涙目で訴える女の子、何か可哀想になってきた。三人は警戒するのを止めた。
その様子を見て、簀巻きにされた塚本だけが興奮していた!

魔女「ごめんなさい、今のは謝ります。」
騎士「体はどうだ?その、色々と大変な事になっていたようだが。」

はっと気づいたように自分の体を確認する女の子。

黒チ「あ、・・・すごい!黒いのが全部取れてる!
   あの変態おじさん、ただの変態だと思っていましたが誤解だったんですね!」
チマ「もっと着衣の乱れとか縄の痕とか気にした方がいいんじゃ・・・。」
騎士「チマ殿、それは知らせぬ方が幸せだろう。」
黒チ「?」
魔女「とりあえず、あなたの事を聞いても良いですか?」
黒チ「そうですね、申し遅れました!と言っても私に名前はまだ無いのですが・・・。
   そこの部分の事も含めてお話します。」

三人は思った、「あぁこれは解説パートだな・・・、寝ないように気をつけないと」と!

黒チ「私、正確には私達なんですけれども、他の世界で生まれた新しい魔物です。
   生まれたてなので自我も薄く、ゴブリンとかスライムとかの種族名も無く、
   名前を付けて個を特定するような事もしてませんでした。
   なので知名度も高くないし、特に強い訳でもない、できるのは影に隠れて人を驚かす事ぐらいです。」
騎士「ビックリするぐらい無害だな。」
黒チ「一度高速道路の車の中でビックリさせたら玉突き事故で大惨事になりました。」
魔女「結構有害ですよ!」
黒チ「そんな私達なのですが、何故かビリーに召還されたんです。
   その時のビリーは目がイっちゃってるわ、鼻血はでてるわで正気とは思えませんでした・・・。
   とりあえず影の世界に逃げ込んだ私達だったのですが、その影の世界に侵入してくるモノがいたんです。」

女の子は一度息を落ち着かせる。ここから先はあまり思い出したくはなさそうだ。
だが聞いて欲しくもあったのだろう、彼女はすぐに話を再開する。

黒チ「その、侵入してきたものは黒かったんです。当時は何がなんだか分かりませんでした。
   黒いのが私達を襲うと私たちまで黒くなってしまい、負の感情が芽生えてきたんです。
   その瞬間から私達は全く別のモノへと変化してしまいました・・・。」
チマ「影から出てきてビックリさせるだけだったのに、影の世界に相手を引きずり込めるようになったのね。」
黒チ「はい、その上相手の力をコピーできたり、相手をこちら側の住人にしてしまう事も可能になりました。
   ・・・負の感情を植えつけられた私達は、この真っ暗な影の世界にいるのがとても寂しかったんです。
   それと同時に、貴女達のいる世界に嫉妬しました。それはもう憎しみに近かったですね。
   私達はたくさんいたけれど、個の概念がまるでなかった。それは孤独と一緒だったんです。
   だから私達は、こっちの世界の住人を増やす事にしたんです。」

2014/11/1 15:25  [1631-205]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

同時刻、女の子と同じような話をガキもしていた。こっちは黒いのから逃げながらなのでかなり深刻だった。

ガキ「僕達はどんどん影の世界に引きずり込んだ、順調にこちら側の住人は増えたんだ。
   ・・・だけど、その人達はあの黒い騎士みたいに異形化して元の世界に戻っていったよ。
   宗司は知らないだろうけど、今あっちの世界はああいうヤツらで溢れかえっているんだ。」
宗司「そう・・・、思い出してきたわ。元の世界で戦った黒い自分、あれはあんただったのね・・・。」
ガキ「・・・うん。」
宗司「でも今のあんたは普通に見えるけど?黒いのは何処いっちゃったのよ?」
ガキ「最初に会った頃、僕は今のままの姿だったんだけど、黒かったの覚えてない?」
宗司「あー、そうだったわね。あれ普通に汚れてたんじゃないの?お風呂でおちたじゃない。」
ガキ「そう、僕もビックリしたよ。宗司が洗ってくれたら黒いのがポロポロ取れたんだ。
   あれで僕は自分を取り戻せた。でも取り戻せなかった方がよかったのかもしれない。
   僕達がやってきた事は酷い事だったんだって、そんな事は知らないままでよかった。」

ごめんなさい、と聞こえるか聞こえないか微妙な小さな声でガキは呟いた。
それは宗司に当てたものだったのか、影に取り込んだ人達に言ったものなのかは分からなかった。

ガキ「今影の世界には僕達は3人しかいない。その内2人、僕ともう一人は黒いモノの呪縛から解放された。
   あの黒い騎士さえ何とかすれば、もう影の世界に引きずり込む者はいなくなるんだ。
   宗司と猫のお姉ちゃん、鎧のお姉ちゃんが帰ったら、この世界はまた何も無い真っ暗な世界になってしまう。
   だけど、それでいい。これ以上人を傷つけるぐらいなら、孤独の方がマシだ。」

ガキが俯いた時、元黒い騎士の黒い触手が伸びてきてガキを掴んだ。
黒い異形に引き寄せられるガキ、その姿が徐々に黒く染まっていく。

宗司「くっ、今助けるわ!」
ガキ「こないで!」

宗司を静止するガキ。その顔は苦悶で歪んでいる。

ガキ「僕はもうダメだ、この黒い騎士と同じ末路だよ。宗司、君の仲間がすぐ近くにきてるんだ、
   その人達と協力してこの異形と僕を倒して!出口には僕の仲間が導いてくれる・・・。
   ありがとう、最期に宗司と過ごせて楽しかった。」

宗司も俯く、その肩は震えていた。

宗司「・・・じゃねぇ。」
ガキ「・・・え?」
宗司「甘えた事ぬかしてんじゃねぇぞ、糞ガキが!!!」

オカマの怒号が響き渡る!
それはいつもの宗司の喋り方ではない、ドスの聞いた低い声は完全にヤンキーのものだ!
肩が震えていたのはマジでキレる5秒前だったからだった!
ガキはビビる、心なしか異形もビビってるように見える!

宗司「自分のしてきた事は酷い事だった、だから知らない方がよかった?
   ふざけるな、てめえのしてきた事に落とし前つけるチャンスだろ!かち割るぞゴラァ!!!」

ズンスンとこちらに近づいてくる宗司、超怖い。ガキは触手を振り払って逃げようとする!

宗司「これ以上人を傷つけるぐらいなら、孤独の方がマシィ?
   てめぇと今まで過ごしてきた俺を前に良くそういう事が言えるな!あぁ〜ん!!!」

ものすごいメンチを切って更に近づいてくる宗司、異形もちょっと逃げ腰になっている!

宗司「後なんかふざけた事言ってたな!僕を倒して?最期に宗司と過ごせて楽しかった?
   てめぇ単車で引きずり回すぞコラ!こちとらここでてめぇと終わりだなんて思ってねぇんだよ!!!」

ガキは触手を振り払って地面に落ちた、が、腰が抜けて宗司から逃げられない!
正直この異形より今は宗司の方が怖かった!胸倉を掴んで立たされる。

ガキ「そ、宗司!ごめん、謝るから・・・!」
宗司「歯ぁ食いしばれぇ!!!」

問答無用の平手打ちがガキを襲う、ガキは黒いのを撒き散らせてすっ飛んでいった!
それは教育的指導とは言えない完全なドメスティックバイオレンス!

宗司「チッ、何が僕はもうダメだ。まだイケるじゃねぇかよ。」

ウゴウゴウゴ、宗司の怒りが収まったので黒い触手が我に返った。

宗司「あらヤダ、こいつの事考えてなかったわ。どうしましょう。」

ヤンキーモードが解除された宗司に襲いかかる異形、その触手の数は接近戦では避けるのが難しい。

宗司「きなさい、私は簡単には諦めないわよ。あいつをこれからも生かさなきゃならないから!」

宗司のその言葉は、この状況ではただの強がりに過ぎない。
だけど近くに仲間がきている、その事実はこの状況でも十分に希望足りえる。

魔女「棘の蔓延、緑精の加護、守って、ブラッディマリー!」

魔女の言葉で地面からニョキニョキと植物の蔓が生えてくる。それは異形の触手を完全に止めていた。

チマ「ここは最近見せ場のない私が。」
騎士「いやいや、ここは私が。」
塚本「あ、じゃあ俺がいこうかな。」
二人「どうぞどうぞ。」
魔女「そんな事やってないで早く助けて下さい!そんなに持ちませんよ!」

見れば植物の蔓はギシギシと今にも引きちぎられそうであった。

塚本「騎士とチマじゃ宗司ごとふっ飛ばしそうだからな。俺が行く!ゴッドハンド!」

塚本の最近お気に入りの技が発動する、ちなみにこれは攻撃の為のものではなく、
夜の営みの為の技だという事は改めて明記させて頂こう!

塚本「ほーれほれ、ここがいいのかぁ〜!」

塚本の手が異形をドンドンすり減らしていく!
その光景に何故か元黒いチマの女の子が恍惚の表情でみつめていた!
塚本が動きを止めた時、そこにはサラサラと風に乗って消えていく黒いモノばかりで、
何も残ってはいなかった。黒い騎士の中の人は完全に消えてしまったようだ。


一回ここで切りまーす。次回、ついに元の世界に戻れるかもしれない!

2014/11/1 16:32  [1631-206]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

やっぱり今回も戻れないかもしれない!


塚本一行は一回宗司の家に戻ってきていた。
宗司と魔女が初対面だったり、騎士の中身が女性だったりと説明しなくちゃならない事が多かったからだ。
そして影の世界の二人をどうするかという一番の問題も残されていた。

宗司「私達の世界に連れてきちゃえばいいでしょ。」

あっけらかんと言い放った宗司であった。

ガキ「まってまって、そう簡単に言うけどね。宗司の世界は僕らには眩しいんだよ、物理的に。」
宗司「3分で慣れなさい。」
ガキ「無茶振り!?いや、まぁ慣れるとは思うけど、その間僕単体のパワーだと保たないよ。」
宗司「一人でお日様の下にいたら蒸発しちゃうって事かしら?」
ガキ「まぁ、そういう事だね。補助電源的なものが必要なんだけど、流石にそこまで甘える訳には・・・。」

スゥっと宗司は自分の右腕の肩に手をかける。それは元の世界で失った作り物の右腕だったが、
ガキが気をきかせてこちらの世界で再現したものであった。

宗司「ふんがぁ!」

それをバキっと取り外す宗司!右腕はそこら辺にポイってする。

宗司「右腕が壊れたわ。あんた私の右腕になりなさい。」
ガキ「無茶苦茶だよこの人!?」
黒チ「いいアイデアです。宗司さんとくっついていればパワー不足の心配もありません。」
塚本「くっくっく、本当に宗司は心配する必要がなかったな。」

左腕でガキを引き寄せる宗司。

宗司「それとあんた、名前忘れたって言ってたけど、本当は無いんですって!?
   早く言いなさいよ!親御さんの付けた名前があると思ってずっとあんたって呼んでた私が馬鹿みたいじゃない!」
ガキ「は、はい!ごめんなさい!」

ヤンキーモードの宗司を知っているガキはすぐに謝罪した!当分トラウマになりそうだった!

宗司「ハル。」
ガキ「え?」
宗司「あんたの名前よ。今度からハルって呼ぶから、呼んだら何処にいても1秒で私の前に平伏しなさい。」
ガキ「なんでだよ!?」
宗司「とにかく、ハルを真っ暗な世界になんて置いておかないから。観念して付いてきなさい。」
ハル「・・・うん。」

シュルンと宗司の右肩にくっついたと思ったら直ぐに右腕の形状へと変化した。ミギー爆誕の瞬間であった!

宗司「ほほほ!これで右腕の代わりを探さなくて済むわ!ちなみにハルって私が昔飼ってた犬の名前だから!」
騎士「不憫な・・・。」
チマ「心なしか右腕が震えているような気がするな。」
魔女「宗司さんって、鬼畜生ですね。」
塚本「さて次は・・・。」

皆の視線が元黒いチマの女の子に刺さる。

黒チ「え、いや、私はそんな!いいんです、一人で大丈夫なんで!」
チマ「大丈夫な訳ないだろう。」
騎士「そうだ、私も部屋に引きこもっていたが家族がいたから平気だった。リアルぼっちは色々と耐えられないぞ。」
塚本「俺等はおせっかいなんだよ、お前も観念しろ。」
魔女「とは言っても、残りのメンバーは宗司さんのようにはいかないですしね・・・。」

うーん、と考え込む一同。

チマ「仕方がない、私の尻尾を引きちぎろう。」
塚本「まてまてまて!それは俺が許さん!自分の体を大事にしろ!」
騎士「仕方がない、私の処女をガロン殿に捧げよう。」
塚本「おーい!話変わってんぞ騎士!それでどこにくっつけばいいんだよ!」
魔女「あ、良いことを思いつきました!」

魔女がメコォっと頭から豆電球を生やして閃く!

魔女「貴女、猫にもなれます?」
黒チ「あ、はい。なれますよ〜。」

そういってドロンと黒猫に化ける女の子。

魔女「黒猫!完璧です!私と使い魔の契約をしましょう!
   そうすれば私の力を貴女に供給する事ができるので補助電源になりますよ!」
黒チ「いいですね!・・・それでお願いできますか?」
魔女「勿論です!さっ、早速契約をしましょう。付いてきて下さい。」

別の部屋の消えていく魔女と黒猫、それを何とも言えない表情で見つめる騎士。

塚本「どうしたんだ?」
騎士「・・・昨今の魔女の使い魔は労働環境の悪化で離職率bPのブラックなのだ。
   魔女のヤツ、それを知らせないで契約書にサインさせる気だな。我が妹ながら恐ろしい・・・。」

ルンルン気分で戻ってくる黒猫と、ニヤァっと最高に悪い笑顔で戻ってくる魔女!

宗司「魔女も相当な鬼畜生なのね・・・。」
魔女「貴女にも名前は必要ですね。そうですね・・・、ジジなんてどうです!」
塚本「やめろぉ!アウトに決まってんだろぉ!」
魔女「今度からは杖をやめて箒かデッキブラシ持ち歩きます!」

何だか宅急便を始めてしまいそうだったので必死に皆で止めました。

魔女「しょうがないです、貴女の名前はこれからはクロです。」
クロ「わーい!私の名前だー!」

それは明らかに犬や猫につける名前であったが皆は黙っていた。ジジよりかマシだからだ!

塚本「さてと、じゃぁ話もまとまったようだし。久しぶりに元の世界に戻りますかぁ。」
ハル「まって。」
宗司「どうしたの?」
ハル「その前に伝えておきたい事があるんだ。」
クロ「そうそう、大事な事だよ。」
塚本「大事な事?」
ハル「そう、僕らを利用して世界を壊そうとしているヤツの正体だよ。」
クロ「あの黒いのが全ての元凶です。恐らく、ビリーですらも操られてるんです。」
塚本「ビリーが、操られてる・・・?」
ハル「ヤツの名前は『這い寄る混沌』、最悪にして災厄の神様だよ。」

塚本達が元の世界に戻った時、戦場は死の焦土と化していた。

黄金のスケベ椅子、機能停止まで残り3日。


無理矢理戻れました!

2014/11/1 18:47  [1631-207]   

 幻月郎さん  幻月郎の縁側掲示板WANDERER

話しは少し過去にさかのぼる。

紳士「気がつきましたか、桃太郎さま。」

桃太「ぅ、お前が助けたのか」

紳士のラボで桃太郎は目が覚めた。

紳士「まだ動かないでください。脳とボディーのニューロンがまだうまく伝達できてません。」

桃太「サイボーグか・・・」

紳士「あの3人のお守り役、ありがとうございました。」

桃太「3人は無事か?」

紳士「はい、元気ですよ。今はガロンの用意した隠れ家にいて、ガロンが帰り次第、総攻撃をかけます。」

桃太「なら、わしも行こう!」

紳士「いえ、実は桃太郎さまには別行動をしていただきたい。」

桃太「 ! 」

紳士「実はビリーはただの傀儡。奴を操ってる真の敵を見つけていただきたい。」

桃太「やはり予言どおりに事が運ぶのか・・」

紳士「レジスタンスも増えたとはいえ、魔獣の召還があればやはり苦しいでしょう。それにビリーは塚本の子供・・・・刺し違えない限り倒すのは無理でしょう。そして、総攻撃で私は死ぬでしょう。」

桃太「ならなおさら!」

紳士「あと3日はまだボディとシンクロしません。・・・先に地獄で待ってます、ご機嫌よう。」

桃太「待て!ロード!せめて背中のかゆいのをかいてくれ! ロードー!!」

2014/11/1 22:23  [1631-208]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

戦場に戻ってこれたはいいが、いきなり黒いのに囲まれて大ピンチの塚本一行であった!

塚本「うお、やっべー!忍者から超着信とメール着てる!」
騎士「やばいのは今の状況だと思うが!」

騎士の赤い髪が真っ赤に光る、その手に大振りの剣が現れた。
それは魔力で精製されたマジックソード、伸縮自在、変幻自在、重さゼロ!
騎士の時でも剣術全般に非凡な才能をみせた。
彼女が振るう剣は美しい光の軌跡を描く芸術のよう。だが敵にとっては無慈悲な死の宣告でしかない。

騎士「アインス!」

槍の形へと姿を変えたマジックソード、騎士の強烈な突きが前方の異形を直線状に貫く。
付与されたのは炎属性、その衝撃波は火炎となって地を走る。

騎士「ツヴァイ!」

次いで凶悪な鎌の形へと姿を変える、現実であればその質量は人の手で扱えるものではない。
しかし重さのない魔力の武器は騎士の最速をもって前方の敵を弧月状に斬り裂いた。
付与されたのは風属性、巻き起こる真空波は周囲の敵にも甚大な被害を与える。

騎士「トライ!」

鎌はそのサイズを小さくし弓へと変わった、だが矢の類は見当たらない。
しかし上空に向かって弓を引き絞ると光が集約される。発射された魔力の弾は周囲に降り注いだ。
付与されたのは氷属性、着弾地点に大きな氷塊があらわれ敵を氷付けにする。

騎士「フィーア!」

マジックソードは元の姿、本来の剣へと戻る。
しかしそのサイズは超大、それを敵にでは無く地面に向かって叩き付ける。
付与されたのは地属性、大地は激震し土塊が噴出する。その攻撃で先程の氷塊は砕け散った。

騎士の四連撃で近くにいた異形はあらかた片付いてしまった。
魔女と騎士のハイブリッドは接近戦もこなせるファイターだったようだ。

しかし敵の数は多い、すぐに新しい異形が近づいてくる。

騎士「負ける気はしないがキリがないな。ガロン殿、一度アジトへ戻らないか?」
塚本「あー。アジトはもう無いみたい、隠れ家の方にいく。先導するから援護頼む。」

そういって塚本は歩きスマホしながら走っていった!どうやら忍者とLINEしてるようだ。

チマ「もう、ガロンは危なっかしいな。露払いは私がする!」

そういって塚本を一瞬で抜き去ったチマは前方の黒い塊に突進する。
パッコーンとボーリングのピンのように弾け飛ぶ黒い異形。

空に浮いた黒い異形は追撃するチマの攻撃により霧散する。
空を移動する手段を持たない異形にとって空中というのは大きなリスク、だがそれはチマも同じ。
上空にいるチマを狙った異形、必中のはずのその攻撃はいとも容易くかわされてしまった。
チマは滞空時間の隙の大きさを知っている。
故に編み出した制空方法、それは空気や音の塊を蹴って移動するという無茶苦茶なもの。
一瞬で地上に回帰したチマは自分を狙った異形を粉砕する。

チマ「があぁぁぁぁぁぁ!」

牙を剥いて吼えるチマに異形は一瞬動きを止める。
だがその一瞬は命取り、彼女ならその隙に10体は仕留められる。
地面を駆ける彼女は巻き上がる砂埃で見えない、空を駆ける彼女は霧散する異形の黒い霧で見えない、
辺りには敵を、地面を、空気を粉砕する破壊音しか響かない。
時折聞こえる見えない彼女の咆哮は敵にとっては恐怖そのものだった。

宗司「私達、いらないんじゃないかしら?」
魔女「そうですね、異形より騎士の攻撃のとばっちりを食わないか心配です。」
宗司「まぁ、一応しんがりだしね。ある程度仕事はしないとね。ハル。」

宗司の右腕は黒い液体状に変化する。それは地面に、宗司の影に入り込む。
宗司の影はウゴウゴと大きくなっていき、近くの黒い異形まで到達する。
ジャキン、地面から飛び出す影の刃に異形は両断された。

魔女「は?」
宗司「ふぅーん、ハルこんな事もできるのね。よーし、どんどんやっちゃいなさい!」

ジャキジャキジャキジャキ!地面から影の刃が乱舞する、その攻撃は地味だが確実に異形を仕留める。

宗司「おーほっほっほ!いいわよ!今日の晩御飯はハルの好きなものにしてあげるわ!」

ジャキジャキジャキジャキジャキジャキジャキ!ハルのテンションがあがった!

魔女「・・・私達は、普通の人間だから見せ場とかいらないもんねー。クロ。」

クロは魔女の肩の上で白目を剥いて寝ていた!
そんなこんなで魔女と塚本以外の活躍でわりと簡単に隠れ家につきました。

2014/11/2 00:51  [1631-209]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

短めに小話挟んどきますー。


塚本「フォッー!とうちゃーく!」

隠れ家に着いた塚本を待っていたのは、アケミの跳び膝蹴りであった。

塚本「ぶべらっ!」

モロに食らって転倒する塚本。

アケ「ふん、忍者からメールがきたから出迎えてやったわよ!この一発で許してやるわ。」
チチ「桃太郎の仇(?)だ!食らえ!」

チチは転倒した塚本の顔に跨り放屁した!それは3日間溜めに溜めた特別製、
ブッパーンととても屁とは思えない破裂音がし辺りを異臭が包み込む!

塚本「ぐっほぉぉぉ!」
アケ「ぎゃああああ!」
チチ「ぐえぇぇぇぇ!」

ものすごい大惨事だった!こいた本人も死にそうだった!
異変を感じとったのはまだ隠れ家に入ってきていなかった魔女。

魔女「まさか毒ガス!?クロ、風を起こして!」
クロ「はい!」

そよそよ〜と入り口付近の殺人ガスは奥の方へといった。
奥の方でレジスタンス達が絶叫しているのは気のせいだと思いたい!

ブリ「ふふふ、こんな事もあろうかと用意しておきました!」

殺人ガスをものともしなかったのはガスマスクを被ったブリだった。

ブリ「恨みはないけど、僕も一発だけ!」

ズリっと塚本のズボンを下げたブリ、禁断の技が発動されようとしていた!

ブリ「秘技!ノーパン浣腸!」

それは小学生が良くやる技、大抵はノーダメージに終わる。
だが妥協を許さないブリはこの技を悶絶死寸前の大技まで昇華させたのだ!

ズン!ブリの指が的確に塚本の肛門を射抜く、さすが開業医の妄想とか書いちゃう人だぜ!

塚本「うぼあああああ!」

尻を抑えて絶叫する塚本、地面を転がり回る!恐るべきはその威力!
しかしこの技の問題は、やった方にも恐ろしい精神的ダメージがある事だった・・・!

ブリ「うわぁぁぁ!第二間接まではいったぁぁぁぁ!!!」

ブリは錯乱状態でその指をチチになすりつける!

チチ「うわ、ちょおま!まじふざけんなし!その指でポテチでも喰ってろ!」
アケ「ゲホゲホ!チチ、お前、さっきの屁はどういう了見だい!」
チチ「あ、アケミンジョ様!まじすいませんした!って、だから指を拭くなっちゅーのに!」

続いて隠れ家入りするチマ達が見たものは、
尻を抑えて痙攣する塚本と指をなすり合う二人の男、そしてそれを怒鳴り散らす女の姿であった。

騎士「・・・SM倶楽部?」

宗司がチマと魔女の目を隠した。

2014/11/2 03:33  [1631-210]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

黄金のスケベ椅子、機能停止まで残り48時間。

前日は塚本と紳士による作戦会議にあてられた、今日はその作戦が発表される日であった。

紳士「えー、では、作戦を発表しまーす。」

隠れ家はそんなに広くないのでレジスタンス達を集められる広場はない。
塚本一行、アケミンジョ一行と農民とか班長は紳士の傍にいるが他は館内放送で伝えている。

紳士「基本的にはー、当たった砕けろの全軍突撃です。自分の配置については別紙レジュメをみーてね☆
   でもたぶんそれだと普通に全滅しちゃうので、少数精鋭の別働隊を用意してまーす。」

紳士の喋りはゆるーい感じで緊張感の欠片もない。

紳士「打倒☆ビリー班、塚本、チマ、宗司withふゅーちゃりんぐハル、アケ以上4名。頑張ってねー。」
アケ「ふぁ!?なんで私が!」
紳士「ちゃんと作戦があるから安心してー。要は本隊とは別に塚本達が動いて、本丸を叩いちゃおうって事だね。
   これなら勝機はあるよ。はい、じゃあ次いきまーす。」

なおも何か言いたそうなアケミを置いてけぼりにして話を進める紳士。

紳士「空飛ぶトカゲ☆バハムートぶっ殺班、騎士、ブリ以上2名、死なないでねー。」
ブリ「へぶぅぅぅぅぅ!」

ブリは飲んでいたビールを吹き出した!

騎士「チェンジ!」
紳士「はい、文句は聞きませーん。次いきまーす。」
騎士「ガロン殿が良かったのに・・・。」
ブリ「僕は交代してくれて全然構いませんが!」

その頃、チチは全身全霊で祈っていた!どうか変な役が回ってきませんよーに!明らかな死にポジになりませんよーに!

紳士「死に損ないいっぱい☆隠れ家防衛班、魔女クロ、チチ以上2名、何も言う事はありませーん。」
魔女「ももクロみたいに言われた!?」
チチ「っしゃあ!」

明らかに危険の少ないポジションにガッツポーズで喜ぶ!
アケミとブリの冷たい視線には気づかないチチであった!

魔女「何か、戦力外通告みたいですね。私はもっと前線で戦いたいです!」
紳士「怪我人を守るのも大事な仕事ですー。勝った後の事も考えないとね。それに、ここには切り札がありますー。」
チチ「え?切り札?」
紳士「はい、俗に言う核爆弾ですね。塚本が負けたら自爆して下さーい。以上で作戦発表終わりますー。」
チチ「え?」

プツっと館内放送を切った、そこかしこからどよめきが起きているのは気のせいではない!

塚本「ちょっと待てーい!大丈夫なのかそんなんで!」
紳士「お前も何か喋ればいいじゃん☆」
塚本「何なんだよそのキャラ!あー、もうこういうの苦手なんだよな。」

ポンっと館内放送を再度ONする塚本。

塚本「えー、どうも塚本です。打倒ビリーの目標のもと、集まって頂いた皆様には大変感謝をしております。」
チマ「・・・固いんじゃない?」
塚本「緊張のあまりカチカチになった私の体に猫耳の女は優しく触れた、彼女の指から伝わる熱は途端に私の・・・。」
宗司「官能小説みたいになってるわよ!?」
塚本「ゴホン!あー、今回の戦いだが、負けたら世界が終わっちまう。
   レジスタンスの皆は最初からこうなるとは思っていなかったんじゃないか?
   かくいう俺もそんな事は微塵も考えていなかった!
   だから負けたら終わりだと頭では分かっていても、覚悟が決まっていないヤツはいると思う。
   ・・・一日だけ時間を作る。戦うのも逃げるのも自由だ。たった一日だけど、それで決めてくれ。」
魔女「駆け引きなしですね・・・。」
塚本「作戦は明朝開始だ、俺はビリーを倒す。必ず倒す。核爆弾の心配はしなくていい。
   だけど俺がビリーと戦う機会と時間は、俺だけじゃ作れない。
   それはレジスタンスの皆にしかできない事だ、だから頼む。俺からは以上だ。」

プツっと館内放送を切った、今度はどよめきは聞こえない。ビックリするぐらい静かだ。

紳士「作戦はすぐ開始じゃなかったんかーい!」
塚本「あ、そうだった!やべぇ、ノリと勢いで明日にしちった!」

テヘペロォォォ!っとおぞましい表情で照れ笑いする塚本。皆引いた。

紳士「あぁ、レジスタンス超減ってたらどうしよう・・・。」

頭を抱えて部屋を出て行く紳士、そしてそれに付いていこうとする影が三つ。

アケ「世話になったわね・・・。」
チチ「皆の事、忘れないよぉ・・・!」
ブリ「僕達の事、忘れないでね・・・!」

気がつくとそこには撤退準備を完璧に終えたアケミンジョ一行がいた!

塚本「まてまてーい!お前らは強制参加じゃボケェ!」
アケ「なんでさ!私達なんてレジスタンスに毛が生えた程度の雑魚キャラだよ!代わりに農民使えばいいじゃないのさ!」
農民「!?」
ブリ「僕、役に立つとは思えないです!」
チチ「死を持って感動を与える役なんて御免です!」
塚本「大丈夫だって!そんな時の為のマジックアイテムだ!
   これはどんな雑魚キャラでも効果次第で途端に息を吹き返す優れものだぞ!」

ペカーっと魔女との二人行動の時に集めたマジックアイテムを並べる!
アケミンジョ一行は黄金のマジックアイテムに金銭的価値をみた!

アケ「こ、こここ、これ、頂けるんですか!?」
ブリ「24金じゃないですかコレ!?」
チチ「か、金じゃぁ!女も愛も金で買えるんじゃぁ!」
塚本「ふっ、扱いやすいヤツらで助かったぜ。」

こうして作戦の主要メンバーが金目のもので釣れた!

騎士「何か不安だな・・・。」
宗司「昨日会ったばかりの人なんだけど、大丈夫かしら。」
チマ「私はあの人達、昔会った事ある。・・・お爺さんは老人ホームかな。」
魔女「はぁ、隠れ家防衛かぁ。地味な役割ですねぇ。」

各々自由に1日過ごす事に、各自の行動はちょこっとだけ書きまーす!

2014/11/2 13:12  [1631-211]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

1日自由行動という事で、各自一旦自分の部屋に戻った。
自分の部屋と言っても3、4人で使っているのでプラベートはない。

騎士「チッ、これではガロン殿とあんな事やそんな事ができないではないか。」
チマ「決戦前夜に何を考えてるの・・・。」
騎士「こういうシチュエーションだからこそ燃え上がるのではないか!」
魔女「姉さん・・・、妹がいるのを忘れてやいませんか。」
騎士「我が家はそういう事はオープンだったぞ。リアは小さい頃だから覚えてないか、
   父上と母上は私が寝てるフリをしてる横で毎晩・・・。」
魔女「やめてぇ!」
チマ「・・・今だ!」

姉妹喧嘩が勃発しそうな中、ササーっとチマが部屋を抜け出した。


宗司「あー、広くていいわねぇ。相方があんたってのが気にいらないけど。」

ここは宗司と塚本の部屋、二人だけなので部屋が広々と使えるのだ。
宗司は塚本からの反応があるかと待っていたが無反応。
気になって塚本の様子を見るとスマホを凝視したまま固まっていた。

塚本「そんな、ビリー・・・、生きていたのか・・・。」
宗司「塚本?ちょっと、あんた顔色悪いけど大丈夫?」
塚本「あ、ああ!ちょっと外の空気吸ってくるわ!」

そう言い残して塚本が部屋を出る。

宗司「う〜ん、気になるわね。まぁ心配しなくても大丈夫でしょ。お酒でも飲みにいこ〜っと。」

塚本とは真逆のテンションで隠れ家備え付けのバーへと移動する宗司であった。
だが、途中で魔女に呼び止められる。

魔女「宗司さん、こっちです!」

チョイチョイとカモンカモンする魔女、ノリの良く分からない娘である。

宗司「なによ〜、お兄さんはこれから大人の時間なんだからね。未成年はもう寝なさいな。」
魔女「バーに行こうとしてたんですよね?でも無理ですよ、今超混んでますから。」

そういえば今日は最後の晩餐だ。レジスタンス達もバーに集まってきているのは容易に想像ができた。

宗司「しまった。出遅れちゃったか。」
魔女「私で良ければお付き合いしますよ〜。あ、勿論私はオレンジジュースですが。」

そういう魔女の手にはお酒とグラス、見ればおつまみまで用意してある!

宗司「ど、どうしたのコレ!」
魔女「クロに持ってこさせました、影の中を移動できるのでやりたい放題です。」

ニタリと悪い顔で笑う魔女。年長者としては叱る場面かもしれないが、こと今日に限っては見なかった事にする!

宗司「あぁ素敵!とっても素敵よ魔女!でも、どうして私の事が分かったのかしら?」
魔女「ハルに聞いたんです。クロとハル、話をしたいみたいだったので。」
宗司「あ、そうだったんだ。じゃあ右腕になっていなくていいわよ。」
魔女「クロも、ほら。」

しゅるるーっと人型に変わる黒猫と右腕、久しぶりの人間モード。
だが二人ともその容姿が激しく変わっていた。
具体的に言うと成長していたし、一番の違いはハルもクロも性別が変わっていた。

宗司「え!?あんた女の子だったの!でも最初にお風呂に入った時は・・・。」
ハル「僕等に性別の概念はあまりないんだ。どうも相方によって左右されるみたいだね。」
魔女「な、なんで成長してるんですか!?」
クロ「ご主人様のおかげです!補助電源、しっかり効いてます!」

見た目だけで言えば魔女より大人っぽくなってる二人だった!魔女は複雑な心境だ。

宗司「へぇ〜、便利な体ねぇ〜。で、何の話をしたかったの?」
ハル「僕とクロは今も影の世界で繋がってる、でも最近おかしな事があるんだ。」
クロ「お互いの情報を交換するのに、会話というアクションが必要になってきたんです。」
魔女「ん?それって普通の事じゃないです?」
ハル「前は何もしなくてもお互いの事は分かったんだ、でもここにきてそれが出来なくなってる。」
クロ「もしかしたら、お互いが個として認識し始めてるんじゃないかって、それを確認したかったんです。」

そういってお互いの手やら顔やら触るハルとクロ、その様子は微笑ましいが二人とも大きくなっているので、
男女のカップルがおっぱじめる直前にしか見えない!

宗司「そーいう事なら!」

ドン!とお酒のビンを地面に置く宗司。

宗司「飲んで語るのが一番!ハル、グラス追加よ!」
魔女「ま、ままま、待って下さい!宗司さん以外は皆・・・!」
宗司「明記しなきゃいいの!」
魔女「上で私未成年って書いちゃってますけど!?」

騒がしくなってきた魔女の部屋に更なる珍客が襲来する!

アケ「酒の匂いがするよー!」
チチ「ひゃっはー!アルコールだぜぇ!ってあんた右手無いけど大丈夫!?」
ブリ「うへ、うへへ!女、お、女の子の匂いがするー!って新キャラが増えてるぅー!?」
宗司「やかましいのに見つかっちゃったわね。」
ハル「宗司ー、グラスもってきたよー。」
アケ「ひゃぁぁぁ!影から人間が!」
チチ「あ、あんた右手無いけど大丈夫!?(二回目)」
ブリ「また新キャラが増えたぞー!」
魔女「えぇい、もううるさいですね。クロ、お酒追加です。」
宗司「ハル、もっかいグラスお願い。」

3、4人の部屋で大の大人7人がぎゅうぎゅうに詰まった宴会がはじまった。
そこそこ楽しかったとか楽しくなかったとか。
ちなみに騎士はチマを追いかけてどっかいきました。

2014/11/2 15:23  [1631-212]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

チマは塚本を探していた、別に何か用があるという訳ではない。
ただ何となく嫌な予感がしたのだ。
匂いを辿ると部屋から出て行ったのが分かった、どうも人気の無いところに移動しているようだった。
匂いが途絶えたのは倉庫として使っている部屋、レジスタンスの皆も余程の事が無い限りは来ない。
その中で、備品の間に隠れるようにして体育座りの塚本がいた。

チマ「ぎゃぁぁぁぁぁ!」
塚本「ふぁああああああ!?」

お互いビックリした。

塚本「チマ!?なんでこんな所に!?」
チマ「それはこっちの台詞だニャ!」

しまった、と口を塞ぐチマ。ビックリして猫語を使用してしまった!

塚本「・・・あのな、別に猫語を使用してもいいんだが。」
チマ「で、でも!」
塚本「無理して標準語を喋ってるお前を見るのは辛いものがあるぞ。」

ここまできてまさかのガチダメ出しが塚本の口から飛び出る!

チマ「ふぇ・・・。」
塚本「!?あー!今のは言い過ぎた、俺が悪かった!」

慌ててチマの頭をポンポンしてなだめる塚本、涙目のチマはキっと塚本を睨む!

チマ「そーやって子供扱いするから!猫語を止めたんだニャ!」
塚本「え、そ、そう。子供扱いしてた?」
チマ「ふん、もういいニャ。この土壇場でまた猫語に変えてやるニャ。」

プイっとそっぽを向く、そうやるとオロオロとどうしていいか分からないおっさん。
だけど、今日はどうも様子がおかしい。全体的に元気がない。

チマ「・・・何かあったのかニャ?」
塚本「あー、その大した事ではないんだがな・・・。」

ポンとチマの肩に頭を乗せてくる塚本。こういった甘えた行動は普段絶対にしてこない。

塚本「どこから説明していいか・・・、しばらくこうしてていいか?」
チマ「う、うん。」

チマは左手で塚本の頭を撫でる、これではいつもと立場が逆転だ。
だがチマも塚本も悪い気はしなかった。

騎士「いちゃつくのはそこまでにしてもらおうか!」

バーンと空気をこれっぽちも読む気がない騎士が乱入してくる!

チマ「ぎゃああああ!」
塚本「うおおおおお!」

またまたビックリする二人、驚愕&恥ずかしいところを見られたダブルパンチで絶賛混乱中だった!

塚本「ち、違う!これは柔道の練習をしていたのだ!なぁチマ!」
チマ「お、おう!流石ガロンは良いセンスだニャ!ブラックベルト進呈だニャ!」
騎士「ん?ガロン殿のナニが真っ黒だと?」
塚本「誰もそんな事言っとらんわ!」
騎士「柔道は私も詳しいぞ。さぁガロン殿、立ちバックからの寝技を練習しよう!」
塚本「お前柔道知らねぇだろ!」

羞恥のあまり塚本から不自然に離れたチマ、その隙をついて騎士が一気に詰め寄る。

チマ「あ。」
騎士「ふはは!ガロン殿の肉奴隷は私一人で十分だ!チマ殿は帰ってペディグリーチャムでも食べてるのだな!」

塚本の右腕をとる騎士、その豊満な胸をわざとらしく押し付けるビッチっぷり!

塚本「立てちゃダメだ!立てちゃダメだ!立てちゃダメだ!立てちゃダメだ・・・!」

目をつぶり必死に煩悩と戦う塚本、だがそれはチマの以外な行動により粉砕される!

チマ「に、肉奴隷は何人いたって良いはずだニャ!騎士こそ帰って魚肉ソーセージでも食べるニャ!」

塚本の左腕をとるチマ、それは恥ずかしさが全面に溢れ出るぎこちないものだった!
ふにふにと騎士と良い勝負の二つのクッション。
塚本の腕が動き、そのクッションに刺激がいく度にチマの腕がピクリと震える!
くっついたはいいがどうしていいか分からない!その葛藤がもろに塚本の琴線に触れる!

塚本「っっっかあぁぁぁぁぁ!!!!」

塚本は裂帛の気合とともに海綿体に急激に集まる血液を無理矢理戻した!
行き場を無くした血液は血の涙となり、塚本の頬をなぞる。

塚本「ふぅぅぅぅぅ。」

塚本は理性ではどうにもならない男の欲望を、気合で何とかしたのだ・・・!
ただならぬ気配を感じた女子二人は塚本から離れた。

塚本「チマ、騎士、聞いてもらいたい話があるんだが、いいか?」
騎士「も、勿論だ、ガロン殿。」
チマ「う、うん。チマも大丈夫ニャ。」

以下、塚本の独白が始まる。
が、これまでの話を読んでいれば何となく分かると思うので別に書かなくてもいい気がしてきた!

2014/11/2 18:48  [1631-213]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

塚本はいつか忍者がアケミ一行に話した事を話す。

塚本「えーと、俺が結婚してたのは言ったっけ?」
チマ「ふぁ!?」
騎士「聞いてないぞ!?」
塚本「あれ、そうだったっけ?まぁいいや、それでな子供がいたんだけど。」
チマ「ほえ!?」
騎士「よし、私が真のママだと名乗りでよう!」
塚本「なんでだよ。まぁその子供な離婚した時に母親に付いていって、それから一度も会った事がない、と思ってた(ボソ)。」

塚本の喋りは後半なんだか聞き取りづらかったので、別の気になる質問をするチマ。

チマ「なんで離婚したニャ?」
騎士「いい質問だぞチマ殿!」
塚本「あー、あの頃とにかく冒険に出たくてなぁ。家にほとんどいなかったんだよ・・・。」

ポリポリと頭をかく塚本、若かりし頃の過ちを悔いているようだ。

塚本「で、ここまでが話の前座だ。」
チマ「このパンチの効いた話が前座ニャ!?」
騎士「とりあえず、前妻は糞ビッチだったという事だな。」
塚本「コラコラ、あいつは悪くねぇよ、悪口言うな。」

怒られてしょんぼりする騎士。

塚本「で、時間はちょっと進んでな。
   ある街でいじめられてた子供にな、拳法を教えてた時期があった。
   そいつは才能があって、俺の技をすぐに吸収して強くなったよ。
   俺はそいつの事を別れた女房との子供みたいに可愛がった。」
チマ「本当の息子だったりしてニャ!」

ぐっと言葉に詰まる塚本、だが気を取り直して話を再開する。

塚本「だが、ある時からそいつは道を踏み外したんだ。それはもう盛大にね。
   俺は説得したよ、だけどそれは伝わらなかった。
   その頃のそいつは、周りの人間には手に負えない程強くなってた。
   ここまで育てたのは俺の責任だった。だからこの手で終わりにしたんだ。」
騎士「ガロン殿・・・。」
塚本「この話はここで終わりのはずだった、だけど、続きがあるんだ。
   俺は鉄鋼魔城でビリーを見たとき、内心激しく動揺したよ。
   ビリーはそいつの面影があった。見間違いだと思った、だってこの手で終わらせたんだ。
   でも、確かめるべきだと思った。だから知り合いの忍者に調査をお願いしたんだ。」

塚本はスマホの情報を二人に見せる。

塚本「想定外だったよ・・・、いや、想定はしていたのかもしれないな。」

スマホの情報には戸籍が記されていた、ビリーの父親は「ガロン塚本」と書かれていた。

チマ「本当の息子だったニャ!」
騎士「・・・それでガロン殿はどうする気なのだ?」
塚本「分からへん・・・。」

静かになる三人、しばしの沈黙が流れる。最初に口を開いたのは騎士だった。

騎士「ガロン殿、貴殿は当時と考え方は一緒か?
   今こうやって悩んでいるのは、当時の自分の判断が正しかったか悩んでいるからだろう?
   それは意味の無い事だと思うぞ。だから、ガロン殿は今の自分でもう一度判断すればいい。」
塚本「・・・騎士。」
チマ「・・・私も、ガロンの決めた通りにすればいいと思うニャ。
   私達に対しても、仲間として何ができるか考えてくれた。
   ビリーに対しては、父親として何ができるか考えればいいニャ。」
塚本「・・・チマ。」

塚本は考える、今の自分にできて当時できなかった事、父親としてあいつにしてやれる事。

塚本「・・・そうか。使えるかもしれない!」

ガバ!塚本は立ち上がる。その目には、全身には力が漲っている。
ついでに押さえ込んでいた海綿体にも血液が流れ込んでいた!
それはズボンの上からでも分かるぐらいのギンギンっぷりであった!

塚本「騎士、俺の部屋に行くぞ!」
騎士「い、いや、それはいいのだが、そのガロン殿、何をするつもり・・・。」
塚本「それは部屋についてからだ!ほら、早く行くぞ!」
騎士「きゃ、や、やだ!ガロン殿、乱暴にしないで・・・!」

思わず乙女言葉になってしまった騎士をお姫様抱っこで連行する塚本!
その様を何事かと見ていたチマだったが、

チマ「・・・は!なんでチマを置いていく!ちょっと待つニャ!」

慌てて後を追っていった。
一応書いておくけど、特にHな事は何もありませんでした!

2014/11/2 19:37  [1631-214]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

黄金のスケベ椅子、機能停止まで残り24時間。

まだ日が昇りきらない時刻、隠れ家の近くではレジスタンスが集結していた。
その数は前日と全く変わらない、紳士の心配は全く必要がなかったのだ。
黒い異形は魔女の大規模結界のため、レジスタンスの近くには寄ってこれない。

魔女「即席なので長くは持ちませんよ。」
紳士「十分だ。ありがとう。」

紳士はレジスタンスの先頭にでる。
その姿は参謀ではなくロードのものとなっている、どうやら今回の戦闘に参加するようだ。
それだけで、この戦闘の重要さが相当なものだとレジスタンス達には伝わった。

紳士「言葉は尽くした!後は戦うのみ、この線に私の影がかかったら戦闘開始とする!」

日が昇りはじめる、何とも言えない緊張感が戦場を包み込む。
紳士の影は少しずつ伸びていく、その時間は永遠とも思える程長かった。
だが、時間は進む。自分達も進まなければならない、影は遂にその線へと到達した。

紳士「ゆくぞぉぉぉぉ!」

ウオォォォ!怒号のようなかけ声が鳴り響く!レジスタンスの総攻撃が開始された。

塚本「出るぞ、本隊とは別の角度から攻める。」
チマ「おう!」
アケ「ブリ!死ぬんじゃないよ!」
宗司「騎士も気をつけて!」
騎士「私は心配いらないがな。」
ブリ「あぁ、お腹いたーい。」
魔女「皆さん、お気をつけて!」
チチ「うぃーす!うっすうっす!」

イラっ、チチに対する皆の殺意が上昇した!

騎士「いくぞ、ブリ殿!バハムートの対処は最優先事項だ!」
ブリ「あぁ、何でこんな事に!」

カッ!とブリに装着されたマジックアイテムの首輪が発動した。


 〜 以下回想シーン 〜

塚本「ブリ君、君にはこれを授ける!」
ブリ「なんですか?この首輪は?」
塚本「これは持ち主を一時的に他の生き物に変えるマジックアイテムだ!」
ブリ「わぁ!とっても素敵!実家に帰らせて下さい!」
塚本「ならぬ!」

ガシっと首根っこを掴まれた!

ブリ「これ別に私じゃなくてもいいですよね!?」
塚本「そうはいかないのだよ、これは持ち主の素質によって変化する生き物が違うんだ。」
ブリ「僕はきっとナメクジです!」
塚本「はっはっは、卑下する事はない!君は超レアな生き物だという事が紳士の調査で判明している!」
ブリ「チュパカブラとかですか?」
塚本「そんなチンケなものじゃない。君はドラゴンだ、対バハムートにうってつけだろう!」
騎士「なるほど、私単体でも空は飛べるが、魔力は消費されてしまうからな。」
ブリ「つ、つまり僕は・・・。」
塚本「そう、アッシーだ!」

 〜 回想シーン終了 〜


グググ、ブリの体が変化していく。しょーもない顔が、手が、足が、かっくいいドラゴンへと変貌していく!
光の膜を突き破り、極彩色のオーラをまとったピンク色のドラゴンが誕生した!

騎士「やだ、ちょっと可愛い。」
ブリ「ぱおーん!」

何か鳴き声がおかしかった!

騎士がジャンプすると背に乗せるようにブリが下に潜りこむ!
パンティを見ようと頑張っていたのは気のせいだと思いたい!
騎士が乗れたのを確認すると翼を大きく羽ばたかせ空に向かって急上昇する。
ボッボッボッ、幾重もの雲を突っ切りついに雲の上へと到達する。

そこにはピンク色のドラゴンとは比べ物にならない大きさの竜王がいた。
彼の王は自分の領域に入るものを許さない、騎士とブリは敵認定された。

騎士「流石にすごい威圧感だな。」
ブリ「ぱおん!」
騎士「だが竜退治とは騎士の誉れ。我が力、王にも届き得る事を証明してみせる。」
ブリ「ぱおー!」
騎士「・・・ブリ殿、無理に相槌をうたなくとも良いのだぞ。」
ブリ「ぱ!?」

グオォォォォォォ!バハムートが吼える、超大な翼を羽ばたかせ暴風と共に突っ込んでくる!

騎士「くる!ブリ殿、私の命しばし預けるぞ。」

異色のタッグによるバハムート退治が開始された。

2014/11/2 21:24  [1631-215]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

黄金のスケベ椅子、機能停止まで残り20時間。

塚本達は慎重に戦場を進んでいく、敵のほとんどは本隊に向かっており、
たまに斥候とかち合うが宗司とチマがいれば暗殺可能であった。
目立った戦闘もなく鉄鋼魔城まで近づけたが、流石に城周辺には敵が多い。

塚本「隠密はここまでのようだな。」
アケ「結構敵がいるじゃないのさ。大丈夫なのかい?」
宗司「大丈夫じゃないでしょうね。あの量は骨が折れるわ。」
チマ「しかも魔獣はおかわり可能な鬼畜仕様ニャ、ビリーを倒すしかないニャ。」

一同静まる、一呼吸おいてから切り出す塚本。

塚本「あー、それでな、大事な事を言い忘れてたんだが。」
宗司「ビリーとタイマンするんでしょ。城の中に入れるのが私の仕事、よね?」
チマ「そして城の外で暴れるのが私とアケミの仕事だニャ。」

分かってましたと言わんばかりの塚本の仲間達。しかしここには塚本との絡みが浅い人がいる!

アケ「えぇー!そんな事聞いてないんですけどー!」
塚本「言ったら逃げられると思って!」
アケ「逃げるわボケェ!」

塚本の胸倉を掴んでガクガクするアケミ!

塚本「大丈夫だって、その腕輪があれば百人力だぜ!」


ほわほわほわ〜ん。

 〜 以下回想シーン 〜

塚本「アケミ君、君にはこれを授ける!」
アケ「なんだい?この腕輪は?いくらで売れんの?」
塚本「これは対になった腕輪を親族と一緒に付ける事で、その親族と同等の力を得られるマジックアイテムだ!」
アケ「ふぅ〜ん、でセットでいくらで売れるんだい?」
塚本「君は金の亡者だな。話が進まないのでゴリ押しさせてもらうが、このチマと一緒に付けてもらう!」
チマ「私は別にアケミと親戚じゃないニャ?」
塚本「シャラップ!そこは大丈夫だ、裏はとってある!」
アケ「この猫耳の娘は強いのかい?」
塚本「くくく、そこは心配いらない。若干柑橘類とマタタビに弱いが肉弾戦は我が軍一だ。」
アケ「弱点がしょぼいのが気になるけど、まぁよろしくな!」
チマ「おう!親戚じゃないと思うけどよろしく!」

 〜 回想シーン終了 〜


アケ「くそっ、こうなりゃやってやるよ!女は度胸だ!」

カッ!とチマとアケに装着されたマジックアイテムの腕輪が発動した。

チマ「いくニャ!」
アケ「命令するんじゃないよ!」

ドドン!二つの凶暴な獣が敵軍に向かって放たれた、それを感慨深そうに眺める塚本。

塚本「伯父と伯母かぁ〜、当初はそういう企画だったよね!」
宗司「あんた何言ってんの?私達も行くわよ!」

結局アケミンジョの武器が分からなかったので徒手空拳で突っ込ませる!
物語初期(?)からいた二人組みの戦いが始まる!

2014/11/2 22:30  [1631-216]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

黄金のスケベ椅子、機能停止まで残り16時間。

一方隠れ家の防衛を任されていた魔女とチチ、そこはチチの予想に反して忙しかった!

魔女「怪我人きます!ベッド空けて下さい!」
チチ「はい!」
魔女「弾薬補充です!クロ、倉庫からとってきて!」
クロ「了解!」
魔女「治癒魔術かけます!範囲は広くありません、なるべく集まって!」

怪我人は運ばれてくる、物資の補給はひっきりなし、
この戦いの拠点たる隠れ家が暇な訳はなかったのだ。
今のところ戦闘は起きていないものの、クロ含めて3人というのは人手不足!
唯一の治癒魔術の使い手である魔女なんかワンオペ状態であり。

チチ「魔女さん、少し休んだ方がいいっす!」
魔女「はい、これが終わったら。チチさん・・・、その人ダメでした。」

顔に布がかけられたのは誰とも分からぬレジスタンス、
異形にやられたのか左手、左足が欠けていた。
生きていた怪我人が物言わぬ遺体になる可能性は勿論ある。
その数は決して少なくはない。

チチ「くそっ!」

自分の無力さに歯噛みする、楽なポジションだぜぇとはしゃいでた自分が恥ずかしかった。
その時、隠れ家の搬入口が慌しくなる!そこにはウゴウゴと蠢く黒い塊、異形だった。

魔女「っく!ついにきてしまいましたか!」

ここまで人の出入りが激しいのだ、逆に今まで良く見つからなかったとも思う。

魔女「チチさん、動ける人を集めて逃げて下さい!」

そういって魔女は治癒魔術をかけ続ける、目の前の怪我人を放っておくという選択肢はないようだ。

クロ「どうしよう、私戦闘とか苦手なんですが!」
魔女「クロも逃げるの!」
クロ「でも、でも。」

ウゴウゴ、異形は搬入口近くの応戦していたレジスタンスを頭からパクりといく。
あれがここまで入ってきたら戦う者の少ない隠れ家などすぐに全滅してしまう。

チチ「じ、自分が行きます!」

覚悟を決めてチチは飛び出した、頭に装着されている黄金のリングが光を放つ!


ほわほわほわ〜ん。

 〜 以下回想シーン 〜

塚本「チチ君、君にはこれを授ける!」
チチ「なんですか、この西遊記に出てくる悟空が装着してそうなリングは!」
塚本「これは持ち主の初期設定を思い出させてくれるマジックアイテムだ!」
チチ「なんすか!?その初期設定って!」
塚本「詳しくは以下リンクの最後の方をみてくれ!」

http://engawa.kakaku.com/userbbs/1631/#1
631-105


チチ「こ、これって、まんまサ○ヤ人じゃないんすか!?」
塚本「知らねーよ!俺に聞くなよ!」
魔女「一緒に頑張りましょう、チチさん!」
チチ「チチというより、悟空ですけどねコレ!」

 〜 回想シーン終了 〜

残念ながら今は満月の夜ではない、だが、気合で金髪になって強くなる事は可能!

チチ「・・・クリリンのことかー!!!」

ズキューン!シュオッシュオッシュオッ!あの独特の効果音がなっている、がこの描写で伝わっているか分からない!
あともしドラゴンボールを知らない人がいたら完全に置いてけぼりだけど、そこは気にしない!

チチ「サイヤ人を舐めるなよ!」

それはキャラ的にはベジータの台詞だった!もうキャラがブレブレなのは仕方ない!
ドシューっと異形に突っ込んでいくチチ!

魔女「チチさん、ご無事で!あと伏字使って下さい・・・。」

明らかに自分のハンドルネームからきたキャラを活躍させる事に抵抗がある!
だが、もうしょうがないのでチチの奮闘が始まる!

2014/11/3 11:22  [1631-217]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

黄金のスケベ椅子、機能停止まで残り12時間。

レジスタンス達は戦いながらも時折空を見た。

農民「一体、何時間戦ってるんだすか・・・。」

遥か上空からは爆音が、閃光が、空気の振動が伝わってくる。
雲はすっかり吹き飛ばされ、バハムートの姿は肉眼ではっきり見える。そして竜王の周りを飛び交う赤い軌跡も。

農民「騎士さん、ブリさん、頑張ってけろ。」

その声は騎士の大魔術とバハムートの炎の激突音に掻き消された。
舞台は大空へと戻る。

騎士の衣服は魔力が編みこまれた特別製、並大抵の攻撃で損傷するものではないが、
今では見るも無残な程ボロボロになっている。それはこれまでの戦闘の激しさを物語る。
一方ブリは目立った外傷はない、極彩色のオーラとドラゴンの外皮は極めて高い防御を誇るが、
理由はそれだけではなさそうだった。

騎士「ブリ殿!もっとバハムートに接近してはもらえぬか!?」
ブリ「ぱ、ぱお・・・。」

ブリはバハムートの巨大さにすっかりビビッている、
逃げるのは一級品であったが近づかなければ騎士の太刀が浅くなる。

騎士「バハムートはあの巨躯でとても素早い、私の魔術は避けられるか炎で相殺されてしまうかだ。
   それは今までの戦いで思い知った。だから、まずは私の剣で動きを削ぐ!」
ブリ「ぱお〜ん。」

そうは言っても〜、とブリは完全にチキっていた。

騎士「貴殿にそのようなお願いをするのも酷か・・・。ならば、せめて私が落ちないように援護してくれ!」

叫ぶと同時にブリの背中からジャンプで離脱する騎士。

ブリ「!?」

そのチャンスをバハムートは見逃さない、ブリを無視して騎士に向かって猛襲する!

騎士「『祖が犯せしは氷帝の法、禁忌に触れし罪人に永久の停滞を。氷葬の檻!』

騎士は中空で呪文を詠唱し発動させる。
バハムートの四方に青白く輝く巨大な壁が展開される、それは徐々に間隔を狭めていく。
最終的には対象を閉じ込め異空間に吹き飛ばす魔術、だがそれはバハムートの炎により蒸発する。
立ち込める水蒸気、それに紛れて騎士がマジックソードを展開する。
そのサイズは地上にいるレジスタンスにも見て取れる程巨大なもの、それを騎士はバハムートに振り下ろす!

騎士「これでえぇぇぇぇ!」

ザシュ!騎士の太刀はバハムートの首筋を捉える、それはバハムートの強靭な鱗を切り裂き肉に達する。
断ち切るまでには至らなかった、せめて質量があれば両断できたかもしれないが。
だがこれでは終わりではない、付与されたのは光属性。炸裂する閃光に攻撃力は無い、がバハムートの目を眩ませる。

騎士「どうだぁぁぁぁ!!!」

剣を引き一回転しつつの横から薙ぐ重撃!狙うは翼の根元。目が眩んでいるバハムートに避ける術はない。
ズドン!肉が潰れる音がする。剣は形を変え、凶悪な突起が施されたモーニングスターへとなっていた。
付与されたのは闇属性、纏わり付く闇がバハムートの動きを鈍くする。

グオオ!苦悶の声をあげるバハムート、片翼が上手く動かせないようだ。
そんなバハムートの様子を見て尚も攻撃を続けようとする騎士、だがいつまでもやられっぱなしの王ではない。

騎士「っ!?」

バハムートの長く重い尾の一撃、それは遠心力も合わさり軽々と騎士を吹っ飛ばす!
直前にマジックソードを盾に変えたはいいが、その衝撃は殺しきれるものではない。

ブリ「ぱおーん!」

ものすごい勢いで地面に落下していく騎士、騎士は単体でも空を飛べるようだがその様子がない。
どうやら気を失ってしまっているようだ。

騎士を追い地面に向かって急降下するブリ、同じく止めを刺そうと騎士を追うバハムート。
その速度は体のサイズの違いからかバハムートの方が速かった。
バハムートはブリの事など気にもしていない、ブリは・・・。

ブリ「カーッ、ペッ!」

初めてバハムートに攻撃を加えた!口から放たれるブレスは虹色の衝撃波、発射音が汚いのは仕様である!
そのブレスはバハムートの脇腹を捉える、心配されたその威力だがバハムートを怯ませるぐらいはあった。

ブリ「ぱーーーーーー!」

バハムートの動きを削いだブリは騎士を救助すべく地面に落ちる勢いで急降下する、
ブリは地面スレスレで騎士の救助に成功した!だがドラゴンは急には止まれない。
そのスピードのまま翼の羽ばたきで水平方向にベクトルを変える事には成功する。
結果、激突は避けられたものの地面を抉りながら減速していく事となった。

少し遅れて、バハムートが地面に墜落してきた。騎士の攻撃で翼が機能していなかったのであろう。
ドオオンと凄まじい音を立てて竜王は地に落ちた。砂埃が舞い上がる。
レジスタンス本隊とは距離が離れていたのは幸いだった。

ブリ「はは、やりましたよ!騎士さん!ってアレ?」

見ればブリの姿は元に戻っていた、マジックアイテムの効果時間が切れてしまったようだ。
騎士はまだ気を失っている、落下時のダメージはドラゴンモードのブリのおかげで0だったようだ。

ブリ「一度隠れ家に戻りましょうか、妹さんも心配し、て・・・。」

ブリの言葉は途中で止まった。砂埃の向こう、バハムートがこちらを睨みつけていた。

2014/11/3 14:40  [1631-218]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

バハムートは口を開いて攻撃準備をはじめる。
喉の奥には灼熱の赤い光、それを吐き出す事で10万度の炎と化す。
徐々にその赤い光は大きくなる、それは上空での戦いで何度もみた動作。
ブリが騎士の前に立ちはだかったとて、その炎の前では何も意味を為さない。

ブリ「あー、やばい!もうドラゴンになれないし!」

発射3秒前

ブリ「騎士さん!騎士さん!朝ですよ!」

発射2秒前

ブリ「もー、どうすりゃ・・・!」

発射1秒前

ブリ「あ、あー!塚本さんが全裸でDUBSTEP踊ってるー!」

クワッ!目を醒ました騎士、その目は血走っている!

騎士「ガロン殿はどこだ!」
ブリ「バハムートの後ろです!」
騎士「飛びトカゲが私の邪魔をするな・・・!」

10万度の炎が放たれる!

騎士「『荘厳にして厳格な光の繊維、我が元に折り重なり彼の元に降り注げ。蒼古の雷!』

騎士の手前からバハムートに向かって降り注ぐ蒼い稲妻、攻撃および防御を両立する光のカーテン。
その光の奔流はまたもバハムートの炎と相殺されてしまった。

騎士「くっ、やはり魔術だけでは決定打になり得ないか。」

そういって立ち上がろうとする騎士だが足に力が入らないようだった。

騎士「魔力は無限でも体力はそうはいかないか・・・。参った。」
ブリ「諦めちゃダメっすよ、動けないのはバハムートも同じっす!」

見ればバハムートもその場から動こうとしない、否、ブリの言うとおり動けないのだろう。
騎士の斬撃、および地面に激突したダメージが原因だと思われる。恐らくはその両方。
バハムートは知恵のあるドラゴンだ。
現在唯一の攻撃手段である炎は騎士に届かない。故にお互い動けないのは承知しているのだろう。
睨み合いの末、ふいにバハムートが口角を吊り上げてニヤリと笑った。

『見事なものだな、人間。我の炎が通じぬとは恐れ入る』

ブリ「へぁっ!?」
騎士「テレパシーか、竜の王は人の言葉も解するのだな。」

『人間、名前を聞かせてくれるか』

騎士「セリス・フォン・ラインハルトだ。」
ブリ「僕は・・・。」

『あ、お前はいいや』

ブリ「ガーン!」

『我が誇りの翼は折られた。その時点でセリス、お前の勝ちであったな』

急に話しかけてきたバハムート、その真意が騎士には分からなかった。
だが、直後バハムートの異変に気付く。

騎士「・・・!?バハムート、お前・・・。」

その巨体ゆえ全く見えなかったがその巨体を黒い異形が纏わり付いていた。

『最後の一撃は老人の負け惜しみだったな。かか、年はとりたくないものだ』

ブリ「ちょっと!バハムート、どんどん黒くなってますよ!」
騎士「くそ、竜の王がそんなものに負けてどうする!」

『我を打ち負かしたのはお前だ。故に我が魂、セリスに託す。
 このようなゲテモノにはくれてやらんわ。この身が堕ちたなら、焼き尽くしてくれ』

黒に全てが覆われる直前、バハムートから輝く球が飛び出す。
それは騎士の前にふわりと舞い降りた。騎士の髪と同じ真っ赤な赤、彼の王の魂は彼女と同じ色だった。

ドォォンとバハムートが倒れる、その巨体は黒に塗りつぶされる。
・・・しばらくしてバハムートは活動を再開する、だがそれは決して王ではない。彼の魂はどこにもない。
バハムートは堕ちた竜、ドラゴンゾンビと成り果てた。

デロデロと腐り堕ちる皮膚、それは体内に精製された猛毒のせいだ。骨と腐った肉を纏う醜悪な姿へと変貌する。

騎士「このような決着で納得できるものか・・・。だが王の魂、私が護らせて頂こう。」
ブリ「騎士さん、あいつ動きますよ!そして超くっさいですよ!」
騎士「・・・あぁ、目障りだな。これ以上の醜態は晒させん。」

バハムートの魂は騎士の胸へと吸い込まれていく、その魂は炎と同じぐらいに熱かった。
ドクン!体の内側から叩き付けるような鼓動、それは騎士の鼓動を掻き消してしまいそうな程大きい。

騎士の赤い髪は更に深い赤へと変わる、それは熱を持ったかのように揺らめく。
ドクン!その鼓動を自分のものへと重ねた。全身に送り込まれる血液がマグマに変わってしまったかのような錯覚。

マジックソードを展開する、竜の頭部を模した意匠に赤い刀身。彼の王の魂を具現化した一振り。
ドクン!燃え滾る魂は騎士の中へと収束する。立ち上がる騎士の姿は燃え上がる炎そのものだった。

ドラゴンゾンビが騎士とブリを認識する、腐った肉を撒き散らせながら突進してくる。
脅威なのはその巨体からの体当たり、また避けたとしても接近を許した時点で毒ガスが体を腐らせる。

騎士「ブリ殿、倒れないよう支えててくれ。」

立ち上がる事はできたが騎士の体力が回復した訳ではなかった。

ブリ「ぐへへ、いいんすか?いいんすか?ってあっつ!」
騎士「すぐ済む。」

そういうって騎士が剣を振るった。ブリにはそこまでしか見えなかった。
何が起こったのか分からなかった。
閃光手榴弾を食らったらこんな感じなのかというぐらい目と耳が機能しなくなり、
ようやく視界が戻ってきた頃にはドラゴンゾンビはもうそこにはいなかった。
元からそこには何もなかったかのように。騎士は空を仰いでいた。

騎士「体はそちらに送ったぞ、魂は待っててくれ。改めて私がそちらに届けよう。」
ブリ「な、なにしたんすか?」
騎士「王の炎に私の魔力を上乗せした。・・・こいつはチマ殿との喧嘩に使えるぞ。」
ブリ「喧嘩ってレベルじゃないよ!?」
騎士「あー、しかし疲れた。ブリ殿、皆には悪いがしばし休んでから戻ろう。歩けんし。」
ブリ「そ、それじゃあ僕の妄想話聞きます?」
騎士「いらぬ。」
ブリ「ガーン!」

バハムート退治終了!ここから騎士の出番はたぶん無い!

2014/11/3 21:46  [1631-219]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

黄金のスケベ椅子、機能停止まで残り8時間。

塚本はまだ城内部に入れずにいた、原因ははっきりしている。アケミが役に立っていないのだ!

アケ「くそっ!」

アケミの身体能力は確かに向上している、一撃で魔獣、異形を葬る体術を見ればそれは明らかだ。

塚本「あぶねぇ!」
アケ「分かってるよ!」

しかし体の機能に感覚が追いつかない、一撃を繰り出す度にバランスを崩す、転倒する。
それはこの乱戦では大きな隙、敵を一匹倒してやられてしまっては意味がない!

宗司「危ないわよ!」
アケ「分かってるちゅーの!」

それは一般ピーポーが急にF1マシンに乗るかのようなもの、
ちょっと加速するつもりでアクセル踏んだら100キロに到達するような感覚。

アケ「こんなの、どうすりゃいいんだい!」

自分が足を引っ張っているのが分かっているアケミ、が、どうにも慣れない!

チマ「危ないニャ!」

ドン!とチマに押され異形の一撃から逃れる、しかし変わりにチマが攻撃を受けてしまった。

チマ「にゃにゃ!」

それは別の魔獣が放ったスモッグによる地味な攻撃、効果は一定時間の暗闇。いわば目潰しだった。

塚本「宗司、ちょっとの間だけ俺とチマの分も働いて!」
宗司「分かったわ!ハル、頑張りなさい!」
ハル「僕かよ!」

宗司の影から放たれた巨大な影の刃が辺り全てを切り裂く、強力な一撃ゆえ乱発はできない。
ハルのおかげでちょっとだけ休憩時間ができたが、すぐにまた囲まれてしまうだろう。

塚本「チマ、ちょっと見せてみろ。」
チマ「あー、見事に何にも見えないニャ。これは困ったニャ。」
アケ「全然困ってそうには見えないけどねぇ。」
塚本「うん、角膜に傷が付いている訳ではなさそうだな。一時的なものだろうが・・・。」
宗司「しばらく私と塚本でやるしかないんじゃない?チマに無理はさせられないわよ。」
チマ「いや、私は大丈夫だニャ。塚本と宗司は早くビリーの元へ行くニャ!」
塚本「だが・・・。」
チマ「私達の目的は何ニャ?私を守る事じゃない、目的を見失うニャ。
   私は大丈夫だと言った。ガロン、宗司、ビリーを倒すニャ。」

そう言われては何も言い返す事ができなかった、正しいのはチマだ。
重苦しい空気が辺りを包む、その中で一番先に口を開いたのはアケミだった。

アケ「湿っぽい空気は勘弁しておくれ!加湿器かあんた達は!
   チマがこう言ってんだい、信じて先に進むのが男ってもんだろう!ちなみに私も大丈夫だ!」

えっへんと根拠の無い自信に満ちたアケミ!今まで数百回と死にかけているので説得力は皆無だった!
ここで目の見えないチマと役に立つとはいえないアケミを置いていく事、それは見捨てるのと同義だ。
だが決断の時間は長くない、こういう時の判断はやっぱりオカマが早かった。

宗司「塚本、行くわよ。チマを信じて。」

苦渋の決断、その表情はヤンキーモードの時のように険しい。

塚本「お、おう。チマ、ビリーのところに行ってくるが、死ぬなよ!絶対死ぬなよ!」

塚本は振り切るように前を見て、一度も振り返る事無く走っていった。

アケ「どうでもいいけど、私の名前も呼びなさいよ。」
チマ「アケミ、ガロンはどんな顔してた?」
アケ「泣きそうな顔してたわよ!大の男がみっともない!」
チマ「ふふ、大体想像がつくニャ。これは死ねないニャー。」

言って腕をブンブン振るチマ、その行動は強がりのようにも見えるが滲み出る闘志はアケミにも伝わった。

アケ「目が見えないってのに、どうするつもりさ?」
チマ「私の耳は、鼻は、普通の人間よりいいニャ。今日は視覚に頼らない、それだけニャ。」

辺りには先程と同程度の魔獣と異形、チマとアケミはすっかり囲まれてしまっていた。
魔獣と異形は二人を殲滅すべく一斉に襲い掛かった。

チマは五感を澄み渡らせる。やはり一番の情報量は自慢の猫耳、敵の息遣いが分かり距離が測れる、
空気を切り裂く音で攻撃のタイミングが分かる、心臓の鼓動で攻撃すべき場所が分かる!

ドッ!それはいつものチマの攻撃からすると何とも気の抜けたもの、だが敵は一撃で命を絶たれた。
襲い掛かる魔獣の攻撃をかわし、効果的な一撃を持って打ち倒す。
それは突進していく今までのチマの戦闘スタイルとは大きく異なる。
俗にいうカウンター、恐ろしいまでの精度で急所を射抜いていく。

アケ「ふぅ〜ん、それ使えそうだねぇ!」

大きな動作の必要無いその動き、それはアケミにも出来そうだった。
チマを見る、キマイラに対しては右の胸を打つ、コカトリスは首の根元を、異形は良く分からないので全力で!
チマの傍にいればフォローもしてくれる、いつしか二人は背中合わせで戦っていた。

城まで到着した塚本はチマ達の方をみる、そこにはバッタバタと敵を倒す二人組みが見えた。

宗司「大丈夫そうね。良かったじゃない。」
塚本「チマ、任せたぞ。」

宗司と塚本は一度影の世界に入り、城の内部へと侵入した。
塚本の言葉はチマに・・・。

チマ「任せるニャ!」

聞こえていた。

2014/11/4 00:57  [1631-220]   

幻月郎 さん  

2014/11/4 04:35  [1631-221]  削除

 幻月郎さん  幻月郎の縁側掲示板WANDERER

書き直し・・・でもシリアスな路線で本当にいいの?
堀川くんいつ登場だろ???


桃太郎はパリ8区のセーヌ川の横にあるその昔貴族が住んでいた屋敷の中にいた。
青白い顔の執事に案内されて廊下を進むと重たい扉の前についた。

執事「ma maitre attend. entrez」
(ご主人様がお待ちです。どうぞ)

桃太「・・oui」

扉が開けられ中に入るとロココ調な様式の部屋。
桃太郎のアイセンサーが瞬時に大きさを計測する。
15・5メートルの長さに11メートルの幅、天井の高さは6メートル。

5メートル程の重そうなテーブルの上には
ろうそくや花と綺麗にテーブルコーディネートされていた。

その端に白い顔に赤いガウンを着て頭に毛のない痩せて30代ぐらいの男が
座って、横の若いメイドに話しかけていた。

桃太「伯爵か・・・」

伯爵「bien venu M.Momotaro」
(よくぞ来られた、桃太郎さん)

苦笑いする桃太郎
桃太「・・・Comment va vous?」
(おまえら、景気はどうだ?)

伯爵「ban,asseyez vous Momotaro,
   je prends un repas justment.
    ben.. vous mangez aussi? 」
(まあ桃太郎さん、座ってください、ちょうどお昼ご飯時です。君も食べるだろ?)

後ろから別のメイドが来て椅子を引く。
無言で座る桃太郎。

やがて二人のメイドが焼いた肉塊を載せたお皿を二人の前に置く。
はっとして凝視する桃太郎。
高性能レンズの目の絞りが開く。

桃太「Qu!・・quest ce que cest?」
(こ、これは何だ?)

伯爵「fu fu fu c'est une parisienne est execel
lent
C'etait une tres tres tres hahaha! joli fille」
(ははは、パリジェンヌは素晴らしいね。とてもとてもとっても可愛い娘だったよ)

桃太郎が鬼の形相に変わる。

桃太「ふざけるなあ!!くそヴァンパイア!!」

言うと同時に200キロはあるテーブルの端をつかみ伯爵の方へひっくり返す。
素早く伯爵は飛び上がり天井へ張り付く。

後ろからメイドが飛びかかり背中にメイドの爪がめり込むが
回転しながら手の甲で殴り壁まで吹っ飛ばす。
ゴキっという音と共に壁にぶつかりメイドの身体が砕けると同時発火する。

その後ろから執事が長い爪の出た手を振りまわす。
執事の腹を蹴り執事は燃えるメイドに重なるように吹っ飛ぶ。

前からもう一人のメイドが飛びかかってくるが、背中からダマスカス鉱で
出来た長刀を取り出し、下から突き上げるように身体を切り裂く。
腰から上半分に切られたメイドが炎を上げて燃える。

スプリンクラーが作動して天井から水が吹き出し、濡れた桃太郎の身体から湯気がでる。
マッスルシリンダがヒートアップしてる。

天井にぶら下がっていた伯爵が桃太郎に向けて飛びかかる。
後ろに下がってよけるはずが燃えて骨化した執事が抱きついてきた。
燃える執事を掴んで放り投げるが伯爵の長い腕が左手の肘から先を飛ばした。
その場で回転しながら刀を水平に振るが伯爵は交わしてまた天井に張り付く。

伯爵「キシャー!」
目を充血させ、長い犬歯をむき出しにして吠える伯爵。
天井に腕を突っ込みその破片を桃太郎に投げつける。

ダンダンダンと走り出し穴を開けながら壁を駆け上がる桃太郎。
腕を伸ばし桃太郎に飛びかかろうと宙を舞う伯爵。
駆け上がり、天井近くの空中で側転の格好で落ちながら桃太郎が刀を振る。

キン!と音がしてダマスカスブレードが折れる。

グチャ!ビチャ!ドタン・・
スプリンクラーの水で水たまりができた床に落ちる二人。
すぐ後に伯爵の首が落ちてくる。

スプリンクラーの水が止まった。
息が上がった桃太郎。桃太郎の身体からもうもうと湯気がわく。
マッスルシリンダーがかなりヒートアップしている。

片膝立ちになった桃太郎は伯爵の頭を掴む。
ぎろっと睨む頭だけの伯爵。

胸から5本の曲がったワイヤのようなものが伸びて伯爵の頭に刺さる。
しばらくして桃太郎は立ち上がり、グシャッと伯爵の頭を握りつぶした。

ワイヤによって脳から情報を取り出し湯気を上げながら屋敷から出てくる桃太郎。
門の所でオーバーヒートして倒れてしまう。


桃太郎が目を覚ますと機械に囲まれたベッドの上だった。
時々上下左右に小刻みに揺れる。

桃太郎は走行中である移動簡易ラボのトラックに載せられていた。
失った右手はすでに新しいのに付け替えられている。

起き上がる桃太郎。
壁の脳波計のスピーカーがピピピと鳴る。

スピーカーから声が聞こえた。

「気が付きましたか、桃太郎様。
 背中が何かの衝撃を受けてどうやら冷却装置が止まってしまったようです。
 これは改良をしなければなりませんね。
 もうすぐカーボンプロテクトスキンが完成しますからその時に。」

桃太「ありがとう。また死ぬかと思った」

「試作のダマスカスブレードはやはり折れましたね。
 新しいカーボンダマスカスブレードは明後日に届きます。
 勿論御用達の刀鍛冶が作った名品ですよ。おそらく最強の刀になるでしょう
 それからセラミックショートブレードも2本、その他の武器も用意出来てます」

桃太「頼んでいたものはいつ頃仕上がる?」

「それはもう完成してテストも済んでます。後はラボに帰ってボディの改良と調整と・・・」 

桃太「・・・それより、塚本や子供の所に行かなくていいのか?」

「・・・危険が及ばないようにと子供を手放した時に母を捨て
 塚本が子供のビリーを殺した時に夫婦もやめました。」

「恨みましたけど、 ビリーの暗黒面をすでに塚本は見てたのかもしれません。。。
 復活したビリーはもはや私の知ってるビリーではありませんが
 私が会ってしまったら裏切って助けるかもしれませんね。。。」

トラックはドゴール空港へ向かっている。

桃太「あっちの戦況は?」

「まだ連洛がつかないんです・・それより、ラボに戻ったあと、我々はどこへ?」

桃太「南極へ向かう」

2014/11/4 04:34  [1631-222]   

 幻月郎さん  幻月郎の縁側掲示板WANDERER

左手には巨大な長い鉄の塊。
その先端から十字の火花が散る。
メキメキと音をたて倒れる原生林。
富士の樹海で12ミリ機関砲の試し撃ちをしている桃太郎。

行くとこがないのでずっとついてきた山川は後ろで音がする度にびくびくしている。

「どうですか?12ミリ機関砲は?」

トランシーバーから声。

桃太郎は片手で機関砲を持っているが実は30キロある。がサイボーグで自重200キロの体にとってはかなり軽い。

桃太「かなり軽量化されてるな」

「照準は目のセンサーに連動してます。後は自動で左腕がうごきます。グリップを離せばコントロールは戻ります。」

桃太「弾は?」

「八幡神社とお伊勢さんで清め済みの炸裂弾です。バンパイアでも1発で粉々ですよ。」

桃太「ご苦労様、ありがとう。」

山川「あの、桃太郎さん」

桃太「なんだ」

山川「俺、小学校の頃、先生に二人一組になりなさいと言われたら、いつも最期まで残って
最終的に相手は先生でした。」

桃太「友達いなかったてこと?」

山川「家、何回か引っ越したから・・・」

無言の二人。

山川「桃太郎さん!弟子にしてください!」

しばらく考える桃太郎。
やがてにっこり微笑み、

桃太「よし、弟子にしてやろう!」

山川「ありがとうございます!」

桃太「まず、名前を変えるがいいか?」

山川「?」

桃太「ゲロシャブかフーミン・・・」

山川「どっちも嫌です。」

桃太「クロレッツとアクオ・・・」

山川「ま、まだアクオの方が・・・」

桃太「よし、先ずは挨拶が基本だ。俺に続いて言ってみろ」

山川「はぃ?」

桃太「リンゴねえさん、お早うございます!」

山川「り、リンゴねえさん、お早う・・ございます・・・」

桃太「サブロー兄さん、なるみねえさん、お早うございます!」

山川「サブロー兄さん、なるみねえさん、お早うございます!」

桃太「シルクねえさん、今日もきれいです!!」

山川「シルクねえさん、今日もきれいです!!」

桃太「で相方はどうする?」

山川「え?」

桃太「まあそれは後で決めてもいいが、先ずは突っ込みの練習からだ!」

山川「あの、」

桃太「俺に突っ込み入れてみろ!」

山川「・・・弟子と言ってもそっちの弟子じゃねーよ!!」

桃太「うーん、まだまだ突っ込み甘いなあ。」

2014/11/4 18:13  [1631-223]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

チマとアケミのカウンター戦法によって戦いは有利に進められていた。
だが、ここで問題が発生する。

チマ「・・・!?アケミ、右へ飛ぶニャ!」
アケ「うわ、いきなり引っ張るな!」

チマの目はまだ見えないが、耳が接近する何かを感知した。
謎の飛来物は二人がいた場所に着弾すると火柱をあげて燃え盛る。

アケ「なんだいありゃ!?」
チマ「何か違う魔獣がいるニャ!アケミ、初めて見るヤツはいないか?」
アケ「んん、・・・あの黒い犬みたいなの。アイツじゃないかい?」

黒い犬みたいなのの正体は地獄の番犬ケルベロスであったが、学のないアケミには分からない!
ケルベロスは口から火炎弾を吐く、だがそれはバハムートの脅威に比べたら屁でもない。
問題はケルベロスは群れで行動するという事だった。

アケ「わんさかいるよ!?」
チマ「また撃ってきたニャ!」

複数のケルベロスが一斉に火炎弾を撃ってくる、それは目の見えないチマだろうとかわす事は可能。
しかしこうも遠距離攻撃ばかりされるとカウンター戦法は使えない。
一匹また一匹とケルベロスが増えてくる。
チマは逡巡する。チマ一人であれば火炎弾を吐く瞬間に距離を詰め打倒はできる。
だがそれをした場合は、アケミが黒焦げになってしまうだろう。

チマ「くっ、このままじゃ、どうすればいいニャ!どうすれば・・・!」

??『笑止!この程度で慌てるとは片腹痛いわ!』
??『ああ、もう今更出てきても分かる人いないでしょ。』

チマ「ふぁ!?」
アケ「なんだい!どうしたんだい!」
チマ「いや、幻聴かニャ・・・?」

??『こんな事もあろうかと控え室で待っておった!幻聴ではない!』
??『ほら、もう邪魔になるから戻るよ。』

フギャー、シャーとか何だかリアル猫とバトルするような音が聞こえてくる!

チマ「一体何なんだニャ!」
アケ「あかん、チマが壊れた・・・!」

アケミにはこの声は聞こえていないようだった。

??『マジックアイテムの副作用か。是非も無し!
   聴覚に神経を研ぎ澄ます事で一時的に我らが声を拾ってくれたようだな。』
??『会話できたのは嬉しい誤算だね。』

正直あまり会話にはなっていなかった!
チマは思い出す、何だかこの声は影の世界に囚われていた時に聞いたような・・・。

??『我からはアドバイスだ。音は、空気は見えないが使いこなせれば立派な武器になる。
   精進してキャット神拳をマスターしてくれ。』

チマ「キャット神拳!?」
アケ「何それ強そう!?」

??『この音とこの音、同じ音はね共鳴するんだ。色々試してごらん。』

チマ「すっげー雑な助言だニャ!」
アケ「あんたに何が聞こえてんの!?」

??『そろそろ老猫は去るとする、お前はまだこっちに来なくていいぞ。我が子よ。』
??『あー、もうせっかちだな。待ってよタマ〜。』

チマ「!?ま、待ってニャ!」

チマは火炎弾を避けながらも更に耳を澄ませる、だがもう謎の声は聞こえなかった。
それは本当に幻聴だったのか、あるいは・・・。

チマ「伯父とタマだったのかニャ・・・?」

その答えは誰も知らない。だがやるべき事は決まっている。
チマは立ち止まり深呼吸をする。五感総動員で音を空気を大気を感じ取る。

チマ「音は、空気は見えないけど武器に・・・。」

その言葉はしっくりと体に染み渡る。そうチマは既に音や空気を利用した戦い方を知っている。
それは自分で編み出した制空術、音や空気の塊を蹴って空中を移動していた。
要はその応用、大気は繋がっている。ならば自分の拳や蹴りは、遠くのものにも届きえるのではないか?

シュッ。チマのジャブ、それは何も無いところに放たれた。
だがアケミは見た、そのジャブは迫りくる火炎弾を霧散させ遠くのケルベロスの頭部を砕いた。

アケ「え?」
チマ「この音とこの音、同じ音は共鳴する。・・・〜〜〜〜♪」

音にならない声を口にする、その歌は誰にも聞こえない。
そのはずなのに、それは美しい旋律を奏でているようだった。
無害の筈のその歌声は、迫る火炎弾の勢いを殺し、遂には消し去ってしまった。

チマ「にゃは、なるほどニャ〜。〜〜〜〜〜♪」

共鳴という言葉の意味は知らなくとも、感覚で感じとったのであろう。
チマはクルクルと踊り出す、その声で、両の手で、一定の周波数を奏でる。
火炎弾は消え、ケルベロス達はガクガクと膝を付く、周囲の魔獣も同じような状態だ。
無事なのはチマとアケミだけ。

アケ「な、何がどうなってんだい?」

チマの踊りにステップが加わる、クルクル、トン、クルクル、トントン。
可愛らしいその動き、その動きに合わせて魔獣の頭が爆ぜる。クルクル、パン、クルクル、パンパン。

器用に指を使い様々な周波数の音を発生させる、それは魔獣の自由を奪った。
その可愛らしいステップ、それはステップに見せかけたチマの蹴り、大気を貫いて届く衝撃波は魔獣の生を奪った。

チマ「にゃ〜♪のってきたにゃ〜♪」

チマの踊りが激しさを増す。
クルクル、メキョボキョグゴ、クルクル、バチャベチャボギギ、クルクル、ゴギガゴグチャグチョ!
観客はチマが踊り疲れるか、自身が死ぬまでそれを眺め続けるしかない。

戦場は最早ただのメンチ製造工場と化していた!

アケ「えっぐぃよ、チマ・・・。」

アケも戦闘に参加したが、身動き取れない魔獣の処理は何だか微妙な気持ちだった。
結局、チマはこの戦闘が終わるまで踊り続ける。城の外での囮役は完璧に果たしたのであった。


最終決戦なので過去の人物を登場させたかっただけパート終了!以後チマの出番はたぶん無い!

2014/11/5 01:26  [1631-224]   

 幻月郎さん  幻月郎の縁側掲示板WANDERER

鳴り響くアコーディオンの音、
雨上がりの路地裏の石畳に街頭の光が反射する。

「ログイン、Cモード」

昨日桃太郎はブエノスアイレスに到着した。
そこから専用機で南極へ向かう。

専用機へ機材を詰め込み明日の準備を終え、桃太郎は街に出ていた。
そこで偶然ラテンダンサーのアリシアと再開した。
昔の面影が残っていない桃太郎をアリシアは直感で見ぬいた。

「アリシア、俺はもう人間ではないましてや機械でもない」

「Usted es quien」

「もうこの俺は死んだと思って欲しい。さよならアリシア」

「Usted es usted!Por que tiene que olvidar?」

桃太郎に近づこうとするアリシア。
その時アリシアの胸から手が出てきた。
驚いてその手を見る二人。

その手が後ろに抜かれると血を吹き出しながら崩れ落ちるアリシア。
アリシアの後ろには、革ジャンとジーンズを履いた若者が立っていた。
目が充血し、顎は思い切り開かれその中の歯は全て尖っていた。

「ケケケケ」

後ろから別の者が走ってきて右手を出し桃太郎を襲う瞬間、
モモタロウはその場で男の頭上まで飛び上がった、そのままボールを蹴るように
左足を振り、男は壁に激突して黒い血をまき散らした。
着地と同時に桃太郎は走る。跳ねるように追いかけるバンパイア。

「ログインCモード」

桃太郎とボディ内OSが直結する。
普段は日常に差し支えないモードで動くようにリミットをかけているが
リミットを外したミッションモードに切り替える。
リミットを外すことにより、走る速度は80キロを超える。

「人気のないところを探してくれ」

衛生と通信してすぐに眼の中の知覚ディスプレイに地図が出、港への道筋が出る。
ビショップの簡易ラボトラックにもその情報は同時に発信される。

「港で落ちあいましょう桃太郎、それまで頑張って」

急発進するトラック。
港まで約30分。

桃太郎は何も武器を持っていない。
桃太郎を追うように200体以上のバンパイアが街の中を動き出した。

2014/11/7 01:00  [1631-225]   

 幻月郎さん  幻月郎の縁側掲示板WANDERER

物凄いスピードで路地を走り抜ける桃太郎。

前方から口を開けたバンパイアが迫る。
拳を振り上げ殴る。
そのままバンパイアの顔が粉砕して消失する。
がその後ろの車の影から別のバンパイアがいた。

ぶつかると同時に丸まった姿勢になりそのまま40メートル程宙を飛ぶ。
地面に落ち、盛大な火花を散らしながら転がり、体制を整えてまた走る。
カーボングラファイトスキンで強化されたとはいえ、何度もぶつかれば内部機構が壊れてくる。
港まで後3キロ。

ビルの上から飛びかかってくる。
停まってる車を踏み台にジャンプする。高さは30メートルに達する。
空中で回し蹴りで粉砕。ドンと着地するとマッスルシリンダーからシュッと音がする。
ふと後ろを振り返ると遠くにうごめく者達が見える。

「きりがない」

通信が入る。
「後5分で港につきます。落ち合う場所はそちらに送ったライブビューで確認ください」

「こちらも港まであと少しだ。刀と、それと機関砲を使えるようにしてくれ」

「わかりました。照準は打ちながら調整してください」

人気の少ない港に猛スピードの後ろのドアを開けたトラックが侵入してくる。
走るトラックの後ろに飛び乗る桃太郎。

ベイの端まで走り、やがて止まるトラック。
その後ろから機関砲を持った桃太郎が出てきた。

2014/11/7 02:01  [1631-226]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

ビリー鉄鋼魔城への潜入に成功した塚本と宗司、最上階の鬼頭インザスカイを目指して駆け上がる。

ビリー鉄鋼魔城の中央部は螺旋階段になっている、1階上がる毎に大きなフロアがあり、
そこに大体雑魚が待ち受けている。

中ボス「待っていたぞ、ガロン塚本!ビリー様を倒したかったら、まずこのワシを倒すのじゃな!
    ちなみにワシの能力は未来予知!簡単に倒せると思うなYO!」

ちなみに塚本は「待っていたぞ」辺りの台詞で中ボスに飛び掛り、「YO!」の辺りでは既に目の前にいた。
中ボスの未来予知が発動する、が未来は1つしか見えなかった。

中ボス「あ、ダメだ。これ死んだわ。」

ドズン!塚本のヤクザキックが炸裂する、中ボスという名の雑魚は壁まで吹っ飛んでいってめり込んだ。
中ボスが壁にめり込んだ訳ではなく、壁が中ボスにめり込んだ形だ。

宗司「絶好調みたいね。」
塚本「ようやく勘が戻ってきたみたいだ、それでも全盛期には及ばないな。」

トーン、トーンとジャンプしてコンディションを確認する。
こんな感じで通算20体ぐらいの憐れな中ボスを倒してきた、中にはノーパン浣腸で倒された憐れなヤツもいる。
どうでもいい情報だが階段ではなくエレベーターももちろんある、だが空気を呼んで徒歩にしている!

塚本「しかし今みたいな雑魚に何回も勝っても意味ないんだよなぁ。ビリーか、それ以上のヤツと戦いたい。」
宗司「この感じだと期待できそうにないわね。次はビリーと直接対決じゃない?」
塚本「そうなりそうだな。負けるつもりは無いが、今の自分がどの程度やれるのか確認はしときたかったな。」

その時、階下が騒がしくなる。大勢が階段を登ってくるような音、増援だろうか。
だとするならば・・・。

宗司「ビリーが近いって事ね。」
塚本「だな。宗司、頼めるか?」
宗司「任せなさい、ここから上の階には誰も通さないわ。」
塚本「おう、任せた。ちょっと行ってくる。」

コンビニ行ってくるぐらいの気軽さでお別れをする塚本。次のフロアへの階段を駆け上る。

宗司「死ぬんじゃないわよ。」

何気に宗司が塚本の心配をした台詞を言うのは初めてかもしれない。
が、別に過去の話を読み返した訳ではないので適当かもしれない!
そうこうしている内に、城の兵士がワラワラと集まってきた。
兵士達は大きな機械を持参している、それはどうやら強力な光を放つライトのようであった。

宗司「あらあら、私対策って事かしら?」

兵士達が半円状に宗司を取り囲み機械のスイッチを入れる、中心に向かって放たれる光で宗司の影はほぼ無くなってしまった。

ハル「うわ、これはキツいね。」
宗司「肌が焼けちゃうわー。」
兵士「げははははー!その余裕、いつまで持つかな!これで終わりじゃー!」

ザザザザザ、兵士達が一斉に銃を構える。影が伸びない宗司に攻撃のチャンスを与えない気だ。
容赦の無い銃火器の一斉掃射が宗司を襲う。

兵士「ってー!」

ズガガガガガガガガガガガガガガガ!

宗司は左手を頭の前で掲げ、半身の体勢をとる。右手は銃弾から守るように体で隠した形だ。
兵士達はたっぷりの銃弾をばら撒いてくる。

ガガガガガガガガガガガガガガガガ!

それは明らかにオーバーキルな弾の量、もろに食らっていれば宗司の体はボロキレになるはずだった。
だが兵士達は目を疑った。

兵士「んん!?」

宗司はそこに変わらず同じ体勢で立っていたのだ。
その体の回りにはふよふよと、今しがた放った銃弾が浮いていた。
良く見るとそれは宗司の服の間、掲げた左手からの伸びる影で止められている。

宗司「光がいくら強くてもね、上手くやらなきゃ影は消えないの。光が強ければ強い程、影が色濃くなる事もあるしね。」
ハル「宗司、僕を銃弾から隠してくれたの?」
宗司「これはただのカッコイイポーズよ。」
ハル「何その言い訳!?」
宗司「ハル、反撃よ。」
ハル「はいはい。」

影が受け止めた銃弾を同じスピードで弾き返す、だがそれを兵士達に当てるつもりはない。
ハルが狙ったのはこのフロアの全ての光源、辺りは一気に暗闇に包まれる。
兵士達に動揺が走る、慌てて逃げようとするものがいたが、このフロアは既にハルのものだ。

宗司「ショータイムね。」

天井、床、壁、あらゆるところから影の刃が飛び出してくる。
この暗闇の中、動揺している兵士達に影の刃は視認できない。

ハル「ミキサーって、知ってる?」

そうハルが言うと、このフロアは巨大なミキサーと化した。
数百本、否、数千本の影の刃が暴れまわる。床から壁、壁から天井、天井から床。
縦横無尽に走り回る影の刃、その切れ味は障害物などものともしない。
悲鳴は上がらなかった。銃火器、武器の類、ライト等は一瞬で粉々になってしまった。
だが宗司と兵士達は無事だった。

ハル「沸いてきた異形は全部処理したよ。」
宗司「兵士は殺さなかったのね、えらいわ。」
ハル「代わりに僕の世界に招待してあげようかと思って。」
宗司「え!?あ、あのファンキーなハルの世界に?」
ハル「うん。影の世界、改め、僕の世界にだ。」

それは宗司とくっついている事で発見した新しい世界、現実と影の世界の合間にできたそれはハルのインナースペースだ。
ドプン。黒い液体が兵士達を飲み込む。兵士達はハルの世界に強制転移させられる。

ハル「いらっしゃい。宗司以外の初めてのお客様だ。」

この後囚われの兵士達がハルの世界でラーメン対決とかけん玉対決とかしますが、それはまた別のお話!

2014/11/7 03:28  [1631-227]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

どうでもいい小話をぶっこんでおきます。


兵士達が目を醒ました時、元の世界とは大きくかけ離れた世界にいた。
まず空がピンク色。物理的にもデザイン的にもあり得ない。
空を泳いでいるのはシーマンみたいな人面魚達、怖い。
そして浮かんでる太陽は宗司の顔、何故か満面の笑み。

兵1「何なんだ、ここは!頭がおかしくなりそうだ!」

空を見ただけで異常な点が多々見つかる、地面付近はお察し下さいと言うしかない!
兵達の前にスゥっとハルが姿を現す、その姿は何故かメイド姿。もう普通に女の子しちゃってる。

ハル「皆さん、こんにちわ。僕はハル、皆さんには悪いけどビリー打倒まではここにいてもらうよ。
   適当に暇を潰せるものは用意しておいたから、ごゆっくり。」
兵1「お、おい!元の世界に戻る方法はないのか!?」
ハル「あるよ。ただ元の戦場には戻してあげられないよ?」
兵2「それで構わん!こんな世界にいてたまるか!」
ハル「・・・ここの世界は楽しくない?」

見ればハルがものすごいションボリしていた。兵達は別に悪い事はしていない、だが罪悪感が半端ない!

兵3「え、えーと。まだ来たばっかりだから分からないなぁ!」
兵4「見た目は面白いと思うよ!」

何故かフォローを入れ出す一部の兵達!基本的には悪いヤツ等ではないのだった!
パァァァっと笑顔になるハル、花が開いたかのようなその笑顔で大多数の兵は落ちた。

ハル「そうだ、新しいアトラクションがあるんだ!感想を聞かせてよ。」

そういうとゴウンゴウンと背景が動きだす、まるでテレビのセットが動いているような感覚。
ハルの世界はその名の通りハルの思い通りに動かす事ができる、兵達はハルの思い通りには動かないが、
この世界にいる時点でハルの腹の中である事に変わりは無い。
例えチマや騎士だとて、ハルの世界からの単独脱出は困難だろう。

ハル「じゃーん、ジェットコースター!」

いつの間にかハルの目の前にはジェットコースターのマシンが用意されていた、
しかし肝心のコースがないようだ。
若干身構えていた兵達だったが、おままごとレベルなのかもと胸を撫で下ろす。

兵5「あ、じゃあ俺乗ろうかな。」

俺も俺もとぞろぞろ兵達がマシンに乗り込んでいく。

ハル「ありがとう、ちょっと待ってて。今コース考えるから。」
兵5「・・・ん?」

何だか聞き捨てならない台詞が聞こえてきた気がする。
兵達がザワザワする中、突如マシンの先にコースが出現し始めた!
メコメコメコ、ボコボコボコ!その全貌が明らかになり兵達は絶句する。
まず角度がおかしい、高度がおかしい、なにより途中でコースが途切れているのは何の冗談か。

兵6「あ、あの。ハルちゃん?あれ、その、このコース完成してるの?」
ハル「バッチリだよ。最終的にはスプラッシュマウンテンになるよ!」
兵7「いや、いやいや!僕達別にスプラッシュを望んでる訳じゃないから!」
ハル「いやぁ、大迫力に仕上がったよ!安全基準とか考えなくていいからね!」

サーっと兵達の顔が青ざめる、無言でガチャガチャと安全バーを外しにかかる!

ハル「ダメだよ、危ないから!」
兵8「う、うん!でも、これに乗ってる方が危ない気がしてな!」
ハル「もう出発するよ。はい、ゴー!」

ドキュンっといきなりトップスピードになるジェットコースタ!
ゆっくり上がっていく時の高揚感とかがまるでない!兵達の叫び声はあっという間に聞こえなくなった。
その様子を遠めに見ていた兵達、アトラクションには手を出すまいと心に誓った!

ハル「じゃあ戻ってくるまで他の事をしてようか。」

戻ってこれるのかよ!と兵達は心の中で突っ込みを入れた。
またしても背景がゴウンゴウンと動く、兵達には嫌な予感しかしなかった。

まさかの続く!

2014/11/8 12:54  [1631-228]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

ジェットコースターはそのままで、今回の変化は割と小規模なものだった。
ハルと兵達の間にソファとでっかいサイコロが現れる、その後方にはライオンの気ぐるみを着た誰か。
良く見るとサイコロには「恋の話」とか「今日の当たり目」とかがかかれている!

兵1「こ、これはまさか!?」
兵2「馬鹿野郎!間違っても番組名とか言うんじゃねぇぞ!」

問題は無いと思うけど慎重な兵2であった!

ハル「はい、君からだよ。」

言ってサイコロを渡される。ニコニコとするハル。くそっ、投げない訳にはいかないじゃないか!
兵1は意を決してサイコロを投げた。

ハル「なにが出るかな?なにが出るかな?」
兵2「まるで隠そうともしていないな・・・!」
ハル「恋の話ー!略してー?」
兵達「こいばなー!」

ノリの良い兵達であった!
こうして兵1のトークが始まる、特に芸能人でも無くトーク能力の低い兵1の話は面白くなかった!
それが兵2、兵3と続く。MCのハルが特に話を広げてくれる訳でもなく、終わった頃にはお葬式の後みたいな雰囲気になっていた!
気付くのが遅すぎた、この企画は一般ピーポーがやったとて面白くとも何ともないのだと!

ハル「よぉし、じゃあ次にいこうか!」

ハートの強いハル、今の雰囲気で仕切りなおせる度胸は宗司譲りか。

ハル「るーるる、るるる、るーるる、るるる、るーるーるーるーるー♪」

そうメロディを口ずさみながらセットを移動させるハル。
兵達は戦慄した、そのメロディは聞いた事がある。自分達の聞き間違いでなければ、それは徹子の部屋!
そう、ハルは先程の大失敗にもめげず、またトーク番組をやる気なのだ・・・!

ハル「はい、じゃあ本日のゲストはー・・・。」

頼む、俺に当たるな。あんな公開処刑みたいなトーク、仲間内で晒させないでくれ!

ハル「兵1と兵2のお笑いコンビ、「ビリー抱腹絶倒隊」のお二人です!」
兵1「また俺かよぉぉぉぉ!」
兵2「しかもお笑いコンビだと!?勝てる気がしねぇぇぇぇ!」
ハル「えー、お二人はアヘよー、アヘアヘ!とかいうギャグで今大ブレイクですとか?」
兵1「そう、そうっすね!めっちゃパクりですけど!」
ハル「大爆笑必須のギャグを他にもお持ちだとか?見せて頂ける?・・・見せて頂ける!」
兵2「くっそ、こうなりゃヤケクソだ!兵1、見せてやろうぜ!」

兵1が床に仰向けに寝た上に兵2が同じく仰向けに寝る、そして兵2のみ上体を起こす!

兵2「幽体離脱〜。」
ハル「それ、何が面白いんですぅ?」
兵2「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」
兵1「落ち着け!兵2、兵2−−−−!!!」

こうして徹子の部屋も大失敗に終わった。
遠くの方ではスプラッシュマウンテンから放り出される兵達の姿、それを太陽の宗司が満面の笑みで見ていた。

2014/11/8 12:57  [1631-229]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

ナオミがブエノスアイレスの近くにいそうなので、塚本とのバトルは難しいと判断。
なので他の強キャラ出しておきます〜。


ウゴウゴウゴ、黒い異形は強い人間を探す。確実にガロン塚本を倒せる駒が必要だった。
対象はアケミ、ブリ、チチ、宗司、騎士、チマ、魔女、塚本の8人。再度解析を行う。

『アケミ』
ジョブ、女王様。
マジックアイテム、絆のリング装着。
総合ランクはS。
ただしマジックアイテムの再現は不可、コピー時のランクはB。

『ブリ』
ジョブ、変態妄想作家。
マジックアイテム、進化の系譜装着。
総合ランクはSS。
ただしマジックアイテムの再現は不可、コピー時のランクはC。

『チチ』
ジョブ、サイヤ人。
マジックアイテム、ときめきメモリアル装着。
総合ランクはS。
ただしマジックアイテムの再現は不可、コピー時のランクはC。

『宗司』
ジョブ、影使い。
マジックアイテム、なし。
能力の大部分はハルに依存、現行の魔術形態に属さない強力な攻撃が可能。
総合ランクはSS。
ただしハルのコピーおよび再現は不可、コピー時のランクはB+。

『騎士』
ジョブ、ドラグーン。
マジックアイテム、なし。
能力は赤い髪による大規模魔術の行使、マジックソードにおける接近戦、王の炎の体現者。
ランク付け不可。
現在の騎士のコピーは不可。

『チマ』
ジョブ、クレイジーキャットダンサー。
マジックアイテム、絆のリング装着(チマ自体に恩恵はなし)
能力は人間離れした身体能力における直接攻撃、および空気を介した遠距離攻撃。
優れた聴覚を利用した共鳴現象も実行可能。
総合ランクはSSS。
ただしコピーできるのは身体能力のみ、コピー時のランクはS。

『魔女』
ジョブ、魔女???
マジックアイテム、???
能力、解析不能。
ランク付け不可。
エラー、コピーは不可と判断。

『塚本』
ジョブ、NINJA
マジックアイテム、四字の指輪装着
能力は驚異的な身体能力における直接攻撃、合気道や柔術などの格闘技も習得。
高い戦闘センスにより一度戦った相手には無類の強さを発揮する。
総合ランクはS。
ただしコピーできるのは身体能力のみ、コピー時のランクはA。

ウゴウゴウゴ、異形は逡巡する。上記データからいけばチマをコピーするのが妥当な線だ。
だが塚本は黒いチマを圧倒している、現在のチマと黒いチマは違うがベースが同じなら勝率は高くない。
その時、異形に外部からアクセスする者がいた。
それは新しい情報。・・・素晴らしい、これであれば確実に塚本を打倒できる。

ウゴウゴウゴ、異形が形を変えて人の形を為す・・・。

チマ「!?」
騎士「!?」
宗司「!?」

敏感な3人は感じ取る、突如現れたその気配を。
冷や汗が流れ落ちる、感じた事のないプレッシャー、それは今まさに塚本と対峙しようとしていた。
階段を駆け上がり、ソレと直面する塚本。

塚本「・・・悪い冗談だな。」

そこにいたのは真っ黒な塚本、だがそれは今の塚本ではない。
15年前、自他共に認める最強だった頃の、全盛期のガロン塚本だった。

黒ガ「・・・。」

黒い塚本は喋らない。丸太のような両腕を掲げて、一直線に突っ込んでくる。
その速度はチマと同等かそれ以上、単純な身体能力だけでランクはSSSをマークしていた。

塚本「うおぉぉおおお!?」

かつての自分が襲いかかる。鬼神と呼ばれたその力、確実に今の自分とビリーを上回る!
ドゥゥン!ビリー鉄鋼魔城を、この日一番の振動が襲った。

2014/11/8 15:59  [1631-230]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

黄金のスケベ椅子、機能停止まで残り4時間。

魔女とチチが守る隠れ家の戦闘は更に激しくなっていた。
搬入口が異形にバレてしまったため、効率の良い怪我人の搬入や物資の補給が困難になり、
隠れ家の機能としては半分以下まで落ちていた。

チチ「界王拳20倍だー!」

その台詞に特に意味はない、気合を入れたかっただけ!
ドドドドド!異形一匹にパンチキックのラッシュを叩き込む。

チチ「ギャリック砲!」

チュドーン!ここまでやってようやく異形が一匹倒せた。
それは元からの能力が低い事もあるが、一番の大きな原因は疲れだ。

チチ「ぜぇぜぇ!魔女さん、仙豆をくれ!」
魔女「はい!無茶しないで下さいね!」

魔女が放り投げたものを口に入れてモグモグする、それは勿論仙豆ではなくチョコボール。

チチ「うご!これキャラメルじゃないっすか!?」
魔女「ピーナッツは全部クロが食べました!」
クロ「魔女も食べてましたよね!?」
チチ「もー、歯にくっつく!・・・っげ!またきたよ、波ーーーー!!!」

チチの放ったかめはめ波が異形を外に追い出した、だが倒すに至っていない。
金髪になって強くなったはいいが、こちらも体力は枯渇するのだ。
必殺技の元○玉であれば外部の力を借りられる、だがチャージをしている時間がない!

チチ「くそ、太陽拳で異形が蒸発してくれればいいのに!」
クロ「私にハルみたいな戦う力があればよかったのに・・・。」

クロは影を刃にする力を持たなかった、それは相方の意向も少なからず関係しているのだろう。
攻撃を好まない魔女の使い魔であるクロも攻撃手段をほぼ持っていなかった。

突如隠れ家の内部からも悲鳴があがった、そこは怪我人が休んでいる部屋。
どこから入ってきたのか異形が入り込んでいた。

魔女「な、なんで!?」

見れば搬入口ではなく隠れ家の正面入り口が破壊されたようであった、そこは戦闘中は出入り禁止になっていた場所。
誰かがそれを破って出入りしたのであろう。そこからぞろぞろと異形が入り込んでくる。

魔女「ブラッディマリー、触手で異形を引き離して!」

深緑の蔦が異形に絡みつき部屋から引きずりだす、その間に怪我人が休んでいる部屋に駆け込む魔女。

クロ「ま、待って下さい!」
チチ「そんなとこに入ったら袋のネズミですよ!」

慌てて後を追うクロとチチ、中に入ると立ち込める血の臭いに一瞬たじろいでしまう。
半分近くの怪我人は先程の異形に惨殺されていた。魔女はその光景を呆然と見ている。

クロ「そんな・・・!?」
チチ「くっそぉぉぉ!ここから先は通さない!」

チチが部屋の前に陣取り異形の相手をする。チチは奮戦する、が、消耗した体は限界に近かった。

魔女「そうだ、クロ!貴方の力で皆を影の世界に移動できません!?」
クロ「ごめんなさい。私の力だと生き物は自分だけしか・・・。」
魔女「仕方ないです。でも良かった、いざとなったらクロだけでも・・・。」
クロ「いい加減にして下さい!良い訳ないでしょ、そんな事できる訳ないでしょう!」

クロに怒鳴られてビクってする魔女。

クロ「どうして毎回自分が助かるって選択肢がないんですか!
   今回の戦いでも怪我人優先、私達優先!普通じゃないですよ!」
魔女「そんなつもりは・・・!ただ、私は・・・。」

ドン!何か大きな塊が転がってきた、それはチチだった。
胸を貫かれたチチは金髪から黒髪に戻っていた。指先がピクピク痙攣しており、生死は分からない。

魔女「チチさん!?今治癒魔術を・・・!」
クロ「!?危ない!」

異形から伸びてきた鋭く尖った触手が魔女を襲う、だがそれは魔女をかばったクロに突き刺さる。
ズシュ、肉を裂く嫌な音が響き渡る。

クロ「っい、痛いですねぇ。こんなものが魔女に刺さんなくてよかったです。」
魔女「クロ!何で!?二人共、治療を・・・!」
クロ「こんな事言ったら怒られるかもしれませんが、私は怪我人なんてどうだっていいんです。
   魔女が、魔女が無事であれば・・・!」

ドプン!魔女の足元が黒い液体状になる。それはクロの最後の力。
良く見れば怪我人も黒い液体に沈んでいっていた。

魔女「クロ!?」
クロ「魔女はどうして皆に公平で、平等であろうとするんですか。そんなの歪です、無理がきます。
   わた、私には理解できません。」

ズブブ、抵抗しているのか徐々に沈んでく魔女。

魔女「クロ!私は、私は皆を守れるような!そんな人間に・・・!」
クロ「お、お父上のようにですか?ふふ、ファザコンだったのは騎士さんだけではなかったんですね。」
魔女「あ・・・。」
クロ「魔女、み、皆の中に自分が入っていなかったら、守られる方も、し、しんどいんですよ?」

クロの言葉にハッとする、それは身を持って理解した。だって今自分がこんなに悲しい。

クロ「・・・分かってもらえたようですね。影の世界、お迎えはハルにお願いしておきますね。」
魔女「クロ、クロー!」

バチャン、魔女とレジスタンスの怪我人達は影の世界に沈んでいった。

2014/11/8 20:31  [1631-231]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

騎士とブリのちょっとした会話。
流石の騎士も大魔術の連発でかなりの体力を消耗していたようで今だ回復には至っていない。
幸いな事に本隊との距離が遠いせいか、それほど異形が現れない。
騎士の弓に変形させたマジックソードで十分対処が可能であった。

ブリ「しかし魔術の詠唱とかカッコイイですよね〜。」
騎士「ああ、あれは私が中学の頃に考えたものだ。」
ブリ「そんなんでいいんすか!?」
騎士「イメージが精霊に通じれば問題はない。この厨二病的な詠唱で私の魔術は格段に威力を増した。」

何かあまり知りたくない情報だった!

ブリ「精霊って?」
騎士「精霊に限らないが、世界にはその力を統べる守護者みたいなのがいるんだ。
   魔女はそれらにイドを払い、代わりの対価として魔術が発現する。」
ブリ「あ、これは解説パートっすね?」
騎士「そういう事だ。例えば火の精霊でいえばイフリートが有名だがな、
   他にも火を統べるものがいて、それがバハムートだったりする。」
ブリ「その分野で強ければ精霊でもドラゴンでもいいって事っすか?」
騎士「乱暴な言い方をするとそれでいい。
   精霊に頼むか、バハムートに頼むかは派閥とかによるな。肝心なのは払うイドの量とその対価だ。」
ブリ「あ、あ〜!思い出した!そんな話、魔女さんもしてましたね〜!」

それはアケミ一行と宗司と魔女、ハルとクロが戯れた宴会の席での話。

ブリ「騎士さんの事、底無しの化け物みたいに言ってましたよ!
   私も今日の戦いで全くの同意見になりましたがね!」
騎士「う〜ん、そうか・・・。」
ブリ「あ、すいません。化け物扱いしてしまって・・・。」
騎士「あぁ、いや、いいんだ。ブリ殿に悪気はないのは分かっている。
   ただ、魔女に化け物扱いはされたくないなと思ってな。」

ん?それはどういった意味か、騎士の真意を測りかねるブリ。

騎士「魔女の魔術を見たことはあるか?ブリ殿。」
ブリ「いや、無いと思いますよ・・・?」
騎士「あいつはな、精霊に『お願い』しているだけなんだ。そこにイドのやり取りは発生していない。」
ブリ「うん?それって・・・?」
騎士「愛されてるんだよ魔女は。精霊に自然霊に、熱烈にね。
   だから彼女はあまりお願いをしない、フェアじゃないと分かっているからだ。
   使用するのは自分で作ったゴーレムとブラッディマリーぐらいなもの。でももしも魔女が本気になったとしたら。」

騎士は想像する、世界の全ての力の根源を操る事ができたとしたら・・・。

騎士「それはもう神様の所業だな。」


その頃、隠れ家では動くものが異形以外にはいなくなっていた。
厳密にいえば、動かなくなってはいるもののまだ生きている人間が二人いる、チチとクロであった。
ウゴウゴウゴ、異形はチチとクロに近づきトドメをさそうと黒い触手を近づける。

ピシピシ、どこからともなくヒビが割れる音がする。
そこは魔女が影の世界に沈んだ場所、影が割れて中から光が漏れてきていた。

2014/11/9 00:41  [1631-232]   

 幻月郎さん  幻月郎の縁側掲示板WANDERER

う〜・・シリアス物は少しつかれます・・・



開け放したトラックの後ろで機関砲を構え撃とうとした時、
バンパイアとトラックの間にパトカーが停まった。
降りてくる警官二人。

「武器を捨てろ」

一瞬躊躇する。

すると突然発砲してくる警官。
カーボンスキンの下の強化チタン装甲わずかにへこむ。
跳弾が跳ねる音。
一つがトラックの中の壁にめり込む。

「桃太郎、熱感知生命反応を見てください」

赤と黄色と青が写る世界に切り替わる。
赤く染まったパトカーのボンネット、その後ろにサーモグラフィで捉えられた真っ青な警官達。
体温12度。外気温より冷たい。

「人まねバンパイアが!」

パトカーに向けて射つ。

ボコンとタンクに命中する炸裂弾。
バーンと音をさせて爆発。衝撃で浮く車体。

炎の中から燃えながら跳ねるように向かってくる警官。

ドン!

発射音と同時に足と手だけ残して粉砕する。
更にその上からもう一人の火だるまが飛びかかってくる。

拳で殴って飛ばす。

「このまま空港まで走ります」

桃太「上に乗る。ドアを閉めてトラックは装甲モードに」

「了解。気をつけて」

桃太「大丈夫だ」

ボコン。カーゴの上にジャンプする
スピン音を立ててトラックが走り始める。

殴り飛ばした警官が炎を後ろになびかせて走ってくる。
燃える警官が目前にまで飛び上がり、新生ダマスカスブレードが首を跳ねる。

走り始めると一斉に飛びかかるバンパイア達。

眼の照準と連動して正確に命中する炸裂弾。
破裂し、炎を一瞬吹き出し灰になる。

角を曲がるとバンパイアが跳ねながら近づいてくる。

「前方から20体以上です!」

ドンドンドンドン・・機関砲を連射。
口径は12ミリだが破壊力は20ミリに匹敵する。
異常な速さで狙いを定めトラックに近づく前に殆どを粉砕する。

助手席側の屋根からガトリングが飛び出す。ブーンという音。
桃太郎の撃ち漏らしたバンパイアは穴だらけになり燃え散らす肉塊となる。

ドン。前方に気を取られた桃太郎の後ろにバンパイアが立つ。
前を向いたまま左手で機関砲を撃ちながら、
右手で脇のホルスターの50口径のデザートイーグルを抜き
手をねじり肩ごしからバンパイアの額を撃ちぬく。

空港のゲートを破り侵入するトラック。
専用機の前まで走り抜ける。

トラックから降りる桃太郎。
すぐにパワースーツを着た山川が専用機から降りてきて武器弾薬をおろし積み替える

「私は機内の本体に人格を移動させます。しばらく通信できませんがまた後で!」

山川が荷物を積み込んでる間に迫るバンパイア達を機関砲で粉砕していく。
荷を積み終え、タービンを回す。後は桃太郎が乗るだけである。

バンパイアの動きがピタッと止まった。

不思議に思い目を凝らす・・と恐ろしい速さで一体が迫ってきた。

咄嗟にダマスカスブレードを抜き水平に振る。

が桃太郎の頭を踏み台にして飛び、バンパイアは後ろに降り立った。

全ての指から伸びる1m程の長い爪が、金属の様に光る・・を認めた瞬間に機関砲を連射。
 
「シャア!!!」

バンパイアの周りの空気が信じられない程の恐ろしく重い気圧になり
弾は全てそれ、地面に火花を散らして炸裂する。

「空気の鎧をつけた戦闘型のバンパイア。ヴァンパイアロードか。
 塚本と一緒にいた時に一度会ったな」

「そうかお前は桃太郎か。ワードナの傀儡として働いてた時だったな。
 その時に、ビショップの首を切ったなあ。。。」

「覚えていたか、死に損ない」

「そうだ、思い出したwwwお前らは全員死にかけてww
 首を持ってロクトフェイト(帰還魔法)して逃げたんだww
 身体のほうは俺が生かして随分楽しんだものだww
 で、その後お前らがまたやってきて、NINNJAが俺の首を跳ねて・・ 
 復活する・・のに・・随・・分・・時間がかかったぞ!!キシャア!!」

突進するヴァンパイアロード。
桃太郎は機関砲を投げ捨て、左手はセラミックソードに持ち替える。
走ってきたバンパイアは目の前で手を地面につけてそのまま空へ飛び上がる。
桃太郎も飛び上がり直立の姿勢で空中で側転する。

桃太郎のいた場所に降り立つバンパイア。
その上から切りつけようと構えた桃太郎。

がバンパイアは腕を伸ばし桃太郎の頭を掴み振り下ろす。

ダン!重さ200キロのボディが地面にたたきつけられる。
身体からスパークが飛び出す。

マッスルシリンダーが何本か折れたかもしれない。
跳ね起きる桃太郎。
と同時に目の前に伸びたバンパイア右の腕をセラミックソードが切りつけ、
ダマスカスブレードが左の足を切断。

「本体とリンクしました。出発しますからすぐに乗ってください」

フルスロットで動き出す専用機。
全速力で追いかける桃太郎。

その後ろを一本の足と両手で犬のように走って迫ってくる。
更にその後ろを無数のバンパイアが追いかけてくる。

専用機が地面から離れる瞬間、桃太郎はジャンプして扉にしがみつく。
一本足のバンパイアもジャンプ、デザートイーグルが迎え撃つ。
空気の壁を作るために手を前にかざす。そのまま落ちていくバンパイア。

機内に入り扉を締める。
そのまま仰向けに倒れてしまった。

「お疲れ様でした。もう大丈夫でしょう。
 機関砲は機内にもう一丁あります。今は修理を兼ねて休んでください。」

女が歩いて近づいてくる。
若い時のビショップそのものだ。
機械の手が差し伸べられる。

桃太「長い夜だった・・すこし疲れた・・脳を眠らせてくれ・・」








2014/11/9 04:58  [1631-233]   

 幻月郎さん  幻月郎の縁側掲示板WANDERER

機内で修理を受ける桃太郎。
脳は休んでいるが、ある男と通信をしている。

「ガロン塚本、聞こえるか?」

一瞬驚くガロン塚本。
が身体は別の行動をして、顔は普通に宗司と話している。
脳内だけで会話する。

「生きていいたんですか?まああんたが死ぬわけ無いでしょうし」

「それにしても。。ガロン塚本ってwwプッww変な名前ww」

「いやいやいや、スネークってかっこいいネームにしようとしたら、
 ガロン塚本と抜か八どっちがいい?って言うからだなあ・・」

「そうそう、笑っちゃうわww」

「笑えないっすよ、おこぷんぷんです」

「でも1リットル出るんだろ?」

「でないっすwwその半分です。久々に何の嫌がらせ?」

「ナイアルラトホテップが眠りから覚めてヴァンパイアを呼び寄せた」

「知ってます。おかげでビリー相手に苦労して・・・ヴァンパイア死んだんじゃないっすか?」

「ヴァンパイアは復活した」

「・・・・そうっすか」

「ナイアルラトホテップが眠りから覚めたということはクトゥグアも眠りから覚めたということだ」

「兆候は?」

「別府温泉の地下で異常な熱源を感知している」

「それはヤバイですね」

「だからさっさとビリーとか言う小物を倒してそっちを調べてこい」

「!・・・NINJA扱いひどいっしょww」

「いやNINJAだろ?調べるの好きだろ?それにジャンプの定番だろ?」

「・・・・・・でもビリーは召喚獣を呼び出して結構大変なんすよ」

「大丈夫」

「ナニを根拠に?」

「それは内緒♪」

「お前昔からそういう性格悪い所あるよな」

「とにかく俺は今、南極へ向かっている、何にしてもあいつはヤバイものだから、
 お前はビリー倒したら別府温泉へ迎え!」

「ちょwwおまww」ブチ「勝手に切られた・・・そういうの、俺メンタル弱いのに・・」


2014/11/9 11:59  [1631-236]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

子供の頃から私の周りは賑やかだった。私の周りをフワフワと妖精さんが浮かんでいた。
それは赤、青、黄、と様々な色でとてもカラフルだ。
私はこの子達が好きだったし、この子達も私の事が好きなようだった。
不思議なのは父上にも母上にも見えなかった事、姉だけは私と同じように見えていた。

他にも不思議な事があった、姉と雨上がりの庭先でドロ遊びをしていると、土でできた人形が動き出したのだ。
私はその人形に名前を付けた。

『あなたのなまえはゴーレムです』

それは私の後ろを歩いて付いてきた、しかし村の人が怖がるという理由で普段は土の中にいてもらっている。
ゴーレムとはその日からずっと一緒だった、ブラッディマリーも確かこの辺りの時期に出会っている。

ある日の事、街が盗賊団に襲われた。彼らは街の人達に酷い事をする、だから妖精さんにお願いをした。

『おねがい、あいつらをおっぱらって』

結果、盗賊団は皆死んでしまった。街の建物にも被害が出てしまい、街の皆が怒っていた。
私は妖精さん達を悪く言われているみたいでショックで寝込んでしまった。
その後、目が覚めてから妖精さんは私の前から姿を消した。

妖精さんが、精霊などの類である事は後で気付いた事だった。


魔女「・・・私は馬鹿です。」

真っ暗な影の世界に沈んだのに、私の体は見えていた。
それは内側から、私の体の中から照らしてくれているから、彼らが。

魔女「あの時姿を消したのは、私に嫌われたくなかったからなんですね。」

盗賊団を一瞬で亡き者にしてしまった妖精さんを、私は怖がってしまった。
だから彼らは姿を消したのだろう。良くも悪くも純粋なのだ、それが今になってよく分かる。

魔女「ごめんなさい、自分勝手なのですけれども、また姿をみせてくれますか?」

魔女の体から数々の光が飛び出してくる、光は嬉しそうに魔女の周りを飛び回る。
那由他の光で影の世界は光に満ちた世界へと変わってしまう。

魔女「クロを、チチさんを置いてきてしまいました。間に合うなら守りたいんです。
   でも、それをするには自分を守れるぐらい強くならなくちゃいけない。だから・・・。」

影の世界全体が悲鳴をあげる。膨張した光が世界を内側から食い破ろうとしていた。

魔女「力を貸して下さい。」

魔女の言葉に光が嬉々として反応する、魔女の体に光が再度入り込み世界は闇に戻る。
だがそれは一瞬の事。
魔女の内側から発せられる光は先程の那由他の光を上回る程強力だった。
その光は容易く影の世界を打ち砕く。
影の世界に亀裂が入る。
ボロボロと黒い殻が剥がれ落ち、剥がれ落ちた破片は光に飲まれ蒸発する。
魔女の背中から光翼が展開する、1対、2対、3対、4対、それは騎士のマジックソードと同じ類のもの。
魔女は上を見上げた。

魔女「折角、影の世界に隠してくれましたけど。・・・もう出ます。」

ビシビシビシ、天井に亀裂が走る。
今にも影の世界は崩壊しそうであったが、魔女のダメ押しの一言が放たれた。

魔女「開け。」

ここで影の世界は完全に終わりを告げる。後々ハルとクロが愕然とした事は言うまでもない。
雛が卵を破って生れ落ちるように、新生魔女が爆誕した。

2014/11/9 17:08  [1631-237]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

クロにトドメをさそうとした異形が異変に気付く。
死にかけだったはずのクロが目を開けて体を起こしたのだ。

クロ「・・・あれ?」

クロ自身も困惑する、先程まであれ程苦しかったのに今は何ともない。
という事はアレか、死んじゃったけど気付かないで今霊魂の状態なんです的展開かと思ったがそうでもないようだ。
なんせ体にはちゃんと触れる。どうも傷も塞がっているようだった。

クロ「魔女・・・?」

そこで気がつく、魔女からの力の供給が半端ない事になっている。
とっくにタンクは満タンなのにガンガン石油をぶち込まれているような感覚。

ここで異形の触手が再度クロを襲ってきた、だがその攻撃は届かない。
クロの周りを覆う薄い光みたいなものが触手を完全に消し去っていた。
その薄い光はタンクからあふれ出したエネルギー、魔女による光の魔力であった。

クロ「え?何コレ、どゆこと?」

絶賛混乱中のクロを尻目に、光翼を纏った魔女が影の世界から帰還してきた。
バァァンと影を盛大に突き破って飛び出してきた魔女は天井に頭をぶつけていた!

魔女「あだぁ!」
クロ「魔女!?」
魔女「あぁ〜ん、もう帽子の形が変わってしまいます。」

頭部へのダメージより自慢の三角帽子を気にしていた!

クロ「ど、どうして戻ってきちゃったんですか!?っていうか良く戻ってこれましたね!?」
魔女「ごめんなさい、影の世界は私が滅ぼしてきました。」
クロ「どゆこと!?」

再び現れた魔女に異形は襲い掛かろうと幾重もの尖った触手を展開する。
それに反応した1対の翼が羽ばたくような動きを見せた。
その範囲は前方180度、交差する純白の翼に攻撃力はないように見える。
事実、攻撃範囲にクロもはいっていたがクロにダメージはなかった。ただ異形だけは掻き消されていた。

魔女「とりあえず、隠れ家内の異形は全部倒してしまいましょう。
   私はチチさんの手当てをしますので、クロにお願いします。ちょっと持って下さいね。」

そう言って魔女は自身の4対の翼の内1対を両手で掴み・・・。

魔女「ふん!」

ブチブチィ!と引き千切った!

魔女「はい、これ使って下さい。」
クロ「え、えぇぇ!?な、何か色々と大丈夫なんですか!?」
魔女「大丈夫です!はい、背中向けて下さい。」

大人しく背中を向けるクロにペタペタと翼を貼り付ける。
ライトなそのノリはダンボールでできたハリボテの翼をガムテープで付けているような感じだった。

クロ「なにか、紅白の小○幸子さんの衣装みたいで恥ずかしいです。」
魔女「・・・あの人はこんなもんじゃないですよ?さ、行ってきて下さい。」
クロ「えぇぇ!私一人ですか。・・・しょうがないです、行ってきます!」

トテテテと小走りで部屋の外に向かうクロ。

魔女「飛べるはずなんですけど・・・、今まで猫でしたから仕方ないですかね。」

チチへと向かう魔女、心臓は止まっており息もしていない。ただ魂はかろうじて留まっている。

魔女「よかった、これなら・・・。
   冥界の王、魂の収集者、ハデス。原子の鼓動、最小の命を織りなす者、マクスウェル、力を貸して。」

ガシ!魔女はチチの魂を手で掴み、乱暴に傷口にぶち込む!ドグチャ!と嫌な音が響く!

チチ「ぐっへーーーー!!!」

激痛と共に意識を取り戻す!だがこのままでは死んでしまうので治癒魔術をかけながら、損傷の激しい傷口を再構成する。
メリメリメリ、あっという間に傷口は塞がった。

チチ「はへ?ここは何処だ?」
魔女「脳に一時期酸素がいっていなかったため元からあまり良くなかった頭が更に悪くなってしまったようです!
   ここは一度脳漿をぶちまけてマクスウェルに再構成してもらった方がいいかもしれません!」
チチ「何不穏な事言ってんすか!正常運転してますよ、魔女さん!」

立ち上がりハッスルポーズをするチチ!

魔女「はい・・・、無事でなによりです。」
チチ「そういえば、ピンチだったんじゃなかったでしたっけ!?クロさんは何処に?」
魔女「あの子は大丈夫です。それよりも隠れ家を安全な場所に移動させて、機能を取り戻します。
   チチさんは危ないのでここに居て下さい。」
チチ「それはいいんすけど、そんな事可能なんですか?」
魔女「はい。もうこれ以上、ここの人は誰も傷つけさせません。」

ニコリと笑って魔女は部屋を出て行く。
部屋の外はクロがちょうど異形を片付けた後であった。

クロ「魔女!この光ってるの強いです!クロダブルハチェットトマホークと名づけて良いですか!」
魔女「名づけるのは構いませんけど、それ・・・。」
クロ「ワーイワーイ!クロダブルハチェットトマホークだー!」

もうクロは飛べそうもなかった!魔女も何も言わなかった!

魔女「ちょっと席を外しますね。クロは引き続き異形処理をお願いします。」
クロ「お花摘みですね!チチさんには黙っておきます☆」

バッチコーン!とウィンクをするクロ、どうやら脳みその再構成が必要なのはこっちの方のようだった!

魔女「・・・揺れたらどこかにしっかり捕まるんですよ。」

3対計6枚の翼を展開する、魔女はあっという間に搬入口から飛び出して隠れ家上空へと昇った。
その際すれ違った異形は光翼に触れただけで3枚に下ろされ消滅した。

魔女「さて、上手く行くかは分かりませんが、気合入れていきましょう!」

遥か下に見える隠れ家、そこに向かって何かを呟く。
ゴゴゴゴゴ、地面が脈動し隠れ家を内蔵した巨大なゴーレムが地面から生えてきた。

2014/11/9 19:54  [1631-239]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

徐々にゴーレムが出来上がっていく、そのスピードはその巨大さ故か緩慢だ。
驚異なのは材料となる土が生成されている事、魔女の魔術はもはや創造の領域にまできている。

魔女「この光翼、姉の髪と同じみたいですね。」

ゴーレムは彼女が創り出した使い魔のようなもの、故にその関係は対等でありイドのやり取りは少なからず発生する。
しかし、これほど大きな術式にも関わらず魔女のイドは全く減る気配がない。
どうもこの光の翼がマナを変換し、魔女にイドを送り込んでいるようだった。
魔女が気を使わずに他の精霊達も使役できるようにとの、彼らからの贈り物なのかもしれなかった。

魔女「ふふ、お互いの妥協点を探り合ってるみたいですね。
   こうまでして一緒に居たいというのは、プロポーズを受けている気分です。」

しゃらん、と空中で一回転する魔女。真っ黒なロングスカートがふわりと宙を舞う。
その出で立ちは黒を基調としているが、翼を纏う彼女は魔女というより天使に近かった。

ここで魔女は上空にバハムートがいない事に気がついた。
あの姉ならやってくれるだろうとは思っていたので驚きはしなかったが。
ただ、バハムートがいない代わりに空の魔物が新しく追加されているようだった。
ここにきてビリーの召還が激しさを増している。

飛竜ワイバーン、バハムートより遥かに小さいが腐っても竜族。強い。
悪霊レイス、浮遊霊が集まり悪霊化したモンスター。臭い。
混獣グリフィン、鳥の頭を持つモンスター。でかい。

それは空を覆い尽くさんばかりにワラワラいた。空飛ぶ魔物の群れは魔女を発見し襲いかかってくる。

魔女「気付かれてしまいました。攻撃は苦手などと言ってもいられませんか。」

今の魔女であれば騎士のような大魔術は実行可能ではあったが、
あれほどコンパクトにまとめた呪文詠唱、かつ高威力の大魔術を連発できるセンスは無い。
その上自身が非力なため、騎士のような剣術、接近戦も望めそうもなかった。

魔女「我が姉ながら無茶苦茶高スペックですね・・・。私ではこの光翼、宝の持ち腐れです。」

騎士は参考にならない、彼女は彼女なりに人を守る為の爪と牙を研いできたのだ。
それは騎士が編み出した戦闘スタイル、余人に真似のできる道理は無い。
だけど、いや、だからこそ・・・。

魔女「魔術で騎士に負ける訳にはいきません。私は私のやり方で姉の魔術を超えてみせます。」

既存の術式で姉を超えられないならば、創りだしてしまえばいい。

魔女の光翼から小さな光が射出される、その光は尾を引いて空中に光を残しながら移動する。
何も無い空に魔方陣が描き出されていく、この世界のどの魔術書にも記されていない形。
魔女のオリジナル魔方陣、それは例外でもなければ何の効力も持たない落書きに過ぎない。
しかし今の彼女は例外中の例外だった。

魔女「イメージはいつも頭の中にありました。」

魔女が思い出すのは妖精さんだと思っていた頃の彼ら。
それは毎夜視た、幼い頃の奇跡。
例え雲に覆われた真っ暗な空でも、空に無数に浮かぶ妖精さん達が煌く星空に変えてくれた。
だから、彼ら一人一人が、きらきらのお星様なんだと思っていた。

そんな彼らをイメージした星空、魔女が創りだそうとしているのは星の精霊。
この世界にはまだ存在しない命。

魔女「ふわふわ浮かぶ彼らは小さくて優しい星の光のようでした。とても可愛くて綺麗。
   それを私だけが見れる事に少し罪悪感を感じていたんです。」

魔女の手に小さな光が戻ってくる。いつの間にか魔方陣が完成していたようだ。
虚空に浮かんだそれに魔女が手を触れると、より複雑な文様が浮かび上がり文字が浮き出てくる。
魔物達は魔方陣を消そうと突っ込んでくるが見えない壁に阻まれるように近づけない。

魔女「君が生まれてくれば、世界中の人達が優しい光の君を見る事ができる。
   だけど、優しいだけじゃダメですよ。皆を、自分を守れるぐらいに強くなってね。」

それは誰に対して向けられた台詞だったのか、だがその台詞に反応して魔方陣は輝き出す。
その光は魔女の光翼とリンクし、魔物はその光に当たっただけで消滅してしまう。

魔女「夜空に落ちる光、宙が奏でる旋律、君の名前はアルドラです、おいで。」

ガゴン!と音を立てて崩壊する魔方陣。
魔方陣からは膨大な量の魔力が迸る。それは生まれてくる子供の為の栄養、魔方陣は胎盤の役割を担っていた。
魔本陣が完全に消え去った後、そこには淡い光を纏った小さな球体。
まだまだ小さいそれは魔女が新しく生み出した星の精霊、アルドラが産み落とされた瞬間であった。

2014/11/12 02:02  [1631-240]   

 幻月郎さん  幻月郎の縁側掲示板WANDERER

専用機の中で山川は仮眠を取っていた。

南極まで7時間。
その間、山川は不思議な夢を見ていた。

昆虫と植物しかなかった地表に、魚類が陸を登り始め、やがて爬虫類、恐竜が現れた。
同時に哺乳類が現れその中のある種は異常に早い速さで進化していく。
それは小さな猿となりまだ小さい他の哺乳類に噛み付き、肉を頬ばる。
特徴的なのは異様に伸びた牙と自由に出し入れできる長い爪。
その小さな猿はやがて大きく進化していき、恐竜を集団で襲い始めた。

やがて猿達は人間のような姿に進化していった。
基本的に狩りで生活してるようだが恐竜相手に狩りをするためか
身体能力は人間を超えている。
自らの身体を武器として狩りをするため、狩りの道具にあまり頼らないようだ。
ただ、抵抗力が弱いらしく疫病や怪我ですぐ死ぬことが多いため、
人口は中々増えないようだった。

ある子供が肉食恐竜に襲われてる。
無残に殺されたようだ。
そいつらは復讐の儀式みたいなことをやって、その一帯の襲った肉食恐竜を絶滅させた。
結束力は高いらしい。

やがて集落を作り、文化的な生活を送り出した。
基本的には争いをせず平和に暮らしてるらしい。

向こうから同じような姿の種族が近づいてくる。
だが先の種族の2倍は体長差がある。
進化が違ったのかもしれない。

これといった争いがなく平和に共存してるようだ。
先の種族が後から来た巨人族に色々と文化や技術を教えてるようだ。

そこまでのビジョンをビデオの早回しのように山川は見ていた。

突然カメラが引くように地球全体の映像が見える。

太陽系外の方から黒い塊が、太陽の方から赤い塊が地球に飛んできた。

赤い塊は地中深くめり込み、
黒い塊は浅く落ちたため、先の種族に拾われたあと神として扱われるようになった。
黒い塊は生きてるのか?ブヨブヨと動き、鳴動して見える。

それからその種族同士はおかしくなった。
先の種族は怪我をしても自然に回復して寿命も伸びたようだ。
不死に近いような体だ。
噛み付き、体内のウイルスを送り込むことでその生き物を支配する力も持つようになった。
ただ頭を粉砕されるとさすがに死ぬようだが、死ぬ時に燃えてしまうのが不思議だ。

(もしかしてこいつらはヴァンパイア・・・)
夢の中で山川は思考する。

それぞれの塊は生きていた。
その固まりが吐き出すウイルスが変化しておかしくさせるようだ。
思考を重ねる生き物。
しかも高等生物をコントロールし、しかも思い通りに進化させる力がある。

恐れた巨人族が先の種族を攻撃しだし、戦争になった。
しかし身体能力が上回る先の種族が優勢だった。
巨人族が劣勢になった。

声が響く。
「力を貸そう、私の力を使えるように契約をしよう」
言葉は違うのにそう感じれた。
脳内で勝手に翻訳されたのだろうか?

巨人族は明らかに身長が伸びた。
4メートルはあるだろうか。
魔法だろうか?手を振りかざすと炎を吹き出す。

戦争は壮絶だった。
それが1000年ほど続いたろうか・・
やがて両族は疲弊し、先の種族、ヴァンパイアは南に。
巨人族は北に移動し始めた。

両方の種族はそれぞれその地で、黒と赤の塊の力を借りた魔法の品を創りだした。
黄金で出来たスケベ椅子のようなものも作っている。
そして力を借りる事のできる手順を研究、すなわち魔術の起こし方の本を作り始めた。

しかし繁栄を極めるかと思った両種族は突然停滞することになった。

隕石の落下、そして氷河期である。

先の種族、ヴァンパイアは地下深くで冬眠することになった。
後の種族、巨人族は別の平行世界に移動することに成功した。

しかし地殻変動は激しく、ヴァンパイアはほとんどが絶滅した。
激しい地上の変化は二つの塊さえ冬眠させた。
大陸は移動し、黒い塊は今の南極で眠る事になった。

その後人類が地上の征服者となった。

そして500万年経った。

ヴァンパイアの一部は生き残り、何人かは早くに目覚め人類に潜り込み生活し、
一部は人類に殺され、一部は人類に混じっていき、
人類とヴァンパイアのハイブリッドを創りだした。
黒い塊の影響が無ければ基本的に彼らは平和だ。
見た目も人と変わらない。

しかし純粋ヴァンパイアの一人が目覚め、
黒い塊を南極の地下から掘り出した。

(こいつは・・ヴァンパイアロード・・・)

黒い塊は眠りから覚めた。
以前より大きく、しかも以前よりも力があるように感じた。

そのヴァンパイアは黒い塊に叫ぶ。
「この地表は我々のもの、どうか力をお貸しください!
 我々の世界を取り戻させてください!!!」

ノイズのような声が響く。
「私はニャルラトテップ。混沌を司るもの」

山川は夢の中で思った。
こいつは神だ。
神に人類は勝てない。

バンパイア達の身体に潜むニャルラトテップのウイルスも呼応して目覚める。

ニャルラトテップは宇宙の果てから仲間を呼び寄せた。
それは最初に見た異形の者達である。
そして未だ冬眠中のヴァンパイア達を眠りから覚めさせた。

そこで声が響く。
「これがわれわれの歴史だ。人間とヴァンパイアのハイブリッドよ。
 我らの側につけ。この世界は元々は我らのものだ。我らの世界を取り戻すのに手を貸してくれ」



ビーーーーーーーー
「後1時間で南極に到達します」

はっとして山川は目が覚めた。
汗をびっしょりかいている。

顔を洗いに行く。

鏡に写った顔を見る。
眼は充血し、長い牙が伸びていた。

桃太「山川、そろそろ点検と降下準備をしろ!」

山川「は、はい!」

はっとして頭を振りもう一度鏡を見る。

そこに写っていたのはいつもの自分の顔だった。

2014/11/12 03:06  [1631-241]   

 幻月郎さん  幻月郎の縁側掲示板WANDERER

「Ready? rear hatch Open」

後ろのハッチドアが開かれ、機内に眩しい光が刺す。
ゴオっと風を切る音がして機内に冷たい突風が廻る。

雪目防止のゴーグルを装着する。

「Ok! Bishop! Yamakawa! Pack is dropped,W
e will fuckin down! in 1 sec!!」

「Ye! I do!」

先ずスノーモービルが2台スルッと落とされ、すぐにパラシュートが開く
続けざまにコンテナのような大きさの荷物をリアハッチから落とす、
又すぐにパラシュートが開く。

「Go!Yamakawa!Go!」

一瞬躊躇すると後ろから蹴り落とされた。
よく考えると山川はパラシュートで降りるのは初めてだった。

「ああああああ!!!!」
仰向けになって落ちていき、あたふたする。

頭から落ちるような姿勢で猛スピードで桃太郎が近づく。

「降り立ったら!直ぐにパラシュートを外せ!」

パラシュートのザックを掴み、無理やり降下体勢にさせパラシュートを開かせた。

ボン!上に飛び上がるように離れる山川。
それを見て桃太郎もパラシュートを開く。
桃太郎は思った。
「俺いつからこんなアクションキャラになったんだろ?」

ドサ。

スノーモービル、荷物コンテナ、そして二人が降りてくる。

ぐるりと見渡す。
白い地面、白い山、青い空しか無い。

山川「ウヒャー真っ白、なんにもない世界だあ!」

桃太「早速仕事だぞ、箱を開けて小屋を設置しろ」

コンテナの壁を解体すると中から梱包された武器、弾薬、通信装置、レーダーの機材、
暖房装置、エネルギパック、食料、歯ブラシ、お茶碗、しば漬け、それらがぎっしり詰まってる。
壁は他の機材合わせて再び組み立てられ、仮の住まいとなる。

機材の梱包を外して設置し、武器弾薬のチェック。

それだけで時間を取られて気づけば午後8時。
白夜なので日が落ちないので夜になった気がしない。
風も今は吹いていない。

自ら動かなければ無音の世界。

狭い小屋に入り熱いコーヒーを飲みながら一息つく。

「桃太郎さん、もし俺がヴァンパイアだったらどうします?」

山川が壁を見ながらつぶやくように言う。

「俺の敵になれば殺す。味方であれば殺さない。それだけだ」

マダガスカルブレードを磨きながら桃太郎が表情を変えずに言い放つ。

風が強くなったのか壁がガタガタ言っている。
山川は持ってきたラジカセにCDを入れてスイッチを押す。

Rolling stonesのsympathy for the devilが流れた。
https://www.youtube.com/watch?v=FRGrKGFB
2DY


2014/11/12 23:37  [1631-242]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

アルドラは今のところ不定形のようであった、球体であったり星型になったりと落ち着きがない。
新しい精霊の誕生など誰も見たことも聞いた事もないので、これでいいのかは魔女にも分からなかった。

『ぴきぃ!』

今はただの丸にしか見えないのであんまし強そうには見えない!

魔女「金平糖みたい・・・、おいしそう(ボソ)」

『!?』

第一印象は最悪に近かった!

魔女「さて、生まれたてで悪いですが、早速お仕事をしてもらいますよ。」

『ぴ、ぴい!』

何だか新入社員をいきなり営業にいかせるみたいな空気だった!

魔女「アルドラ、君の力の根源、星空は出せますか?」

『ぴぃ?』

は?なんやそれ?といった雰囲気のアルドラ。
精霊とはいえ生まれたてでは右も左も分からないのだろう。
言葉は通じているようだが、自分が何なのかすら良く分かっていないのかもしれなかった。
少しの間考える魔女、そして閃く。

魔女はアルドラにそっと手を伸ばして胸に抱く。その様は母親が我が子を抱くようであった。
しかしいかんせん成長が足りてないので、
小学生ぐらいのお姉さんが弟を抱っこしているみたいなイメージの方がしっくりくるかもしれない!

魔女「最初は手伝ってあげます。私の中を見て下さい・・・、イメージが見えます?
   トゥインクル、トゥインクル・・・。今日はこれで我慢して下さいね。
   今度は本当の星空を見せてあげますから。」

『ぴぃ・・・。』

アルドラは気持ちよさそうに魔女に抱かれる。
魔女の見せるイメージ。それは魔女の家の屋根の上、アルドラは今と同じように魔女の胸でそれを見る。
世界中で魔女とアルドラしかいないかのような錯覚、ただ頭上には無数に輝く星があった。

やがて魔女の後ろの空間が、そこだけ切り取られたかのように真っ暗になっていく。
魔女の夜空が広がる、それは現実を侵食するイメージ。
アルドラは星の精霊、故に星空の下が一番効力を発揮する。
ならば星空さえも創りだす。
魔女の強さは、こういった無茶苦茶は発想を実現させてしまう事なのかもしれなかった。

何も無い夜空に光が灯る、1つ、2つ、3つ・・・。

魔女「トゥインクル、トゥインクル。いいですよ、もっとたくさん。」

ぶぁーっと加速度的に光は増えていく。いつしかそれは満天の星空へと変わっていた。

魔女「ありがとう、もう十分です。さ、ここから先は私の仕事ですね。
   詠唱は騎士に考えてもらうとして、とりあえず試運転といきますか!」
   
魔女の光翼が大きくなる、面積を大きくする事で変換できるマナの量を劇的に増加させているのだ。
それは騎士にもできない芸当。魔女の背後だけだった星空は瞬く間に地平線まで到達する。
その異常事態は、目下戦闘中のレジスタンスも目撃する事となる。勿論、騎士もそうであった。

騎士「あぁ、なんだ。やっぱり化け物は私じゃないな。」

騎士の呟きはブリぐらいにしか聞こえなかった。

魔女「いきます!キラキラ綺麗な流れ星、シューティングスター!」

頭上の星が一辺に落ちてきた。
流れ星は1つ見えたら得をした感じになる、2つ見えたらテンションが上がる。
10つ見えたらお腹一杯、100を超えたら逆に怖い。満天の星空の星は一体幾つあるだろう?
ズドドドドド!光は尾を引き魔物を貫く。
貫いた光は地上に落ちる前に消滅する、が、その威力は凶悪。
魔物は1つの光に貫かれただけで、散弾銃でも食らったかのようにごっそりとその部分が蒸発する。
星の数は無量大数、跡形も無くなるのは当然の帰結であった。

魔女の言う優しい星の光とは一体なんだったのだろうか?
塵も残らぬ空、破壊の痕を感じさせない暴力の嵐であった。

魔女「ふぅ、なかなか良い感じですね。お疲れ様です。」

アルドラは疲れてしまったのであろうか、魔女の腕の中でスヤスヤと眠っていた。

2014/11/13 01:24  [1631-243]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

魔女が破壊の限りを尽くし、イメージの夜空が剥がれた頃。すっかり忘れていたゴーレムが完成していた。
ゴーレムの顔の辺りに窓があり、チチがそこから顔を出してゲロを吐いていた。

チチ「ふぐぅぅぅ、おえぇぇぇぇ!」
クロ「もう、だらしないですねぇ。しっかりして下さい!」
魔女「あーあー、大丈夫ですか。だから揺れるって言ったじゃないですか(チチには言ってない)」

魔女が空を飛んでゴーレムの顔付近に近寄る。

チチ「と、とんでる!パンティウォッチチャンスきたコレ!」
クロ「えぇぇぇ!?こ、これトマホークじゃなかったんですか!?」
魔女「・・・クロ、あなたもやろうと思えば飛べますよ?」
クロ「まじですか!?ヒャッハー!いざ大空へ!I Can Fly!」

バッと窓から勢いよく身を投げるクロ。

クロ「んのぉぉぉぉぉぉぉ!」

馬鹿が落ちていった。

チチ「大変だ、助けないと!」
魔女「チチさんもサイヤ人なので舞空術が使えるはずですが?」
チチ「そうだった、だったらイケるぜ!スパーキング!」

バッと窓から勢いよく身を投げるチチ。

チチ「ひゃああああぁぁぁぁ!」

馬鹿がもう一人落ちていった。

魔女「ブラッディーマリー、回収してあげて。」

助かりました。

クロ「ぜぇぜぇ!練習しないと無理かもしれません・・・!」
チチ「やべぇ、う○こ漏らしたかもしれない(迫真)」
魔女「・・・私はもう一仕事ありますので、ここで大人しくしてて下さいね。」

フヨンとまたまたゴーレムの頭上まで移動する魔女。

魔女「ゴーレムごめんなさい、少し体を変えさせてもらいますね。
   マクスウェル、ゴーレムの体を再構成したいのです。手伝って下さい。」

魔女の光翼が輝くとゴーレム全体が振動をはじめた、振動に耐え切れないのか表面の土にヒビが入っていく。
ボロボロと土が落ちている、どうも内部は金属性になっているようであった。

チチ「うおおお、こ、これって!?」
クロ「なんだかロボットアニメのコックピットみたいですね!」

察しのいい方は既にお気づきかもしれない!
土が剥がれて中から出てきたものは、太陽系戦士ガルダンの最強戦士ドンであった!
バハムートに無残にも破壊されてしまったが、その勇士が今ここに!
ちなみに太陽系戦士ガルダンの最強戦士ドンって何?って人は家に帰ってママのおっぱいでも吸ってな!

魔女「ふぅ、これで安全な隠れ家として運用できるはずですね。
   チチさん、クロ、引き続き私達はここを守りましょう。私達がいる以上、もう誰も傷つけさせませんよ。」

魔女がドヤ顔で防衛宣言をする中、二人は全く別の事に気を取られていて聞いちゃいなかった。
二人がいるのはコックピットの中、そこには・・・。

クロ「あ、あなた誰ですか!?」
チチ「ま、まさか・・・!ドンホフマンさんじゃないっすか!」
ドン「アレェ?僕って死んだはずデース?」

ドンホフマンもついでに再現されていた!恐るべきは魔女、そしてキャラ崩壊気味なドンホフマン!

クロ「今更どうでもいいキャラっていう事だけはヒシヒシと伝わってきます!」
チチ「あー、コックピットの中の方が気になるわー。」
ドン「もしかして今、酷い事言われてマス?」

ドンホフマンそっちのけでコックピット探検を開始するチチとクロ、ちなみにまだ魔女はドヤ顔をしている!

クロ「おぉ?何か写真飾ってありますよ?これは何処でしょう、大阪?」
チチ「ふぅーん、綺麗な写真だね。誰が飾ったんだろう?」
ドン「あ、それは私が撮った写真デース。ハンドルネーム幻月朗でwebに載せたりしてマース。」

とんでもねぇタイミングでぶっこんでやったぜ!ドンホフマン君が活躍をする場はもう無い!


くっそ長かった魔女編が終わりました。次回から塚本の出番になります。

2014/11/13 01:27  [1631-244]   

 幻月郎さん  幻月郎の縁側掲示板WANDERER

ドンホフマン・・俺かよwww


「なんなんだ、なんなんだ・・・」
祐一は森の中の小道をオフロードバイクで走っていた。
今日は土曜日なので泊まりに温泉に来てたはずだった。
恋人の優子を後ろに乗せて。

優子と辺りを散策してたはずだ。
おみやげ屋さんで温泉まんじゅうを見てたはずだ。

遠くで悲鳴が聞こえた。
外に出てそちらを見れば、黒い髪が長くて色の白い外人の女がいた。
その女は口を大きく開け、長い牙を出し、中年のおばさんに噛み付いていた。

悲鳴。

その後おばさんが他の人を襲いだした。
襲われた人は又人を・・

「はあ、はあ、はあ・・・」
「来るよ!早く!早く!」

ヴァンパイアウイルスに感染すると人間のリミッターを外れ、
更にミトコンドリアが活性化し、
強烈な有酸素運動を可能にする。
後ろから跳ねるように元人間たちが追いかけてくる。

祐一達は突然広けた場所に出る。
切ったままの丸太が積まれて、木材の集積所だと認識する。

「何処だ?道は?何処だ?」
キョロキョロと急いであたりを見回す。

「ギャア」

振り返ると優子がスーツ姿の男にかまれていた。

「うわああ」

バイクが倒れた。足をくじく。
必死に立ち上がり5,6歩歩いた所で影に覆われた。

ふと前を見た。

4−メートルはある大きな人間が3人立っている。
3人共鎧のような赤い服を着ていた。

「・・・!!!!!」

前に立っていた巨人は長い棒のようなものを前に突き出し祐一の横を通り抜ける。
振り返る祐一。
バイクの下で優子とスーツの男が蠢いている。
その向こうには何人もの人間・・元人間が迫ってくる。

巨人がバイクに近づき、蠢いてる二人を叩き潰す。

もう一人の巨人が銃のようなものを撃つ。
爆発音が聞こえる度に、跳ねながら迫ってくる元人間たちが
血しぶきを上げ炎を出して消滅していく。

巨人の上から黒髪の女が落ちてきた。
1mはある長い爪で銃を持った巨人の鎧の接合部から腕が切り落とされる。
「オオオオオ」
気づいたもう一人の巨人が棒を振り回して女の左足が無くなる。

女は吹き飛ばされた勢いで空中をコマのように廻るが
片手が先ほど腕を落とした巨人を引っ掛けた。

巨人の首の後に瞬時にまわり。鎧の隙間から爪を差し入れた。

女が叫ぶ!

「帰れ!プロメテウス!」

巨人の首が落とされた。

棒を持った巨人は両手で棒をもちクルクルと振り回す。
女が飛びかかる。

ガン ガン ガン!。
音がする度に女がバラバラになりながら空中を回転する。
女は木っ端微塵になった。

後方にいた巨人が祐一に近づく。

「お前がいた所まで案内して欲しい」

大きい声だがこれは女の声だった。
祐一は目を開いて口を開けたままだった。

祐一の頭をまるで犬の頭を撫でるかのように優しく撫でる巨人。

「我々がお前たちに火を与えたのを忘れたか?我々は今はこの世界で1時間しか存在できない。
 なので我々がこの世界に帰るためにはクトゥグアを探さなければならない。わかるか?」

「は・・・はひ?」

「案内しろ」

「は・・え?いやだー!いやだー!俺は戻らないぞ!!」

「大丈夫だ。我々が守ってやる」

「絶対いやだ!こ、怖いんだよー」

泣きじゃくる祐一。

巨人の女は撫でていた祐一の頭をぐっと掴む。
そのまま持ち上げて・・・・

メキ ゴキ メキ・・・

巨人の拳が炎を出し、祐一の身体が燃え上がる。
そのまま横に投げ捨てた。

巨人たちは別府温泉へ歩き出した。





2014/11/14 05:05  [1631-246]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

塚本はビリーの手前まできている、それは本当に後一歩という距離。しかしその一歩が恐ろしく遠く感じる。
原因は目の前の黒い自分、そいつは鉄鋼魔城の分厚い壁を素手でぶち破っていた。

塚本「嘘だろ・・・!?」

間一髪で回避した塚本であったが、回避した攻撃が直撃した部分の惨状に目を疑う。
昔の自分は確かに強かった記憶がある。だがこんなにとんでもない筋肉お兄さんだとは思っていなかった!

塚本「ビル解体でもする気だったんかな俺?」

黒ガロンはすぐに攻撃を再開する、今度は身を低く屈めての下段攻撃だ。
頭が地面スレスレの位置にあり、高さが塚本の膝より下。地を這う黒い影が襲ってくる。

昔の自分はこんな気持ち悪い攻撃をしていたのか?記憶にはないがこの低い位置からの攻撃は厄介である。
今の自分では攻撃は2択、サッカーの要領で頭部を蹴り抜くか、下段突きで頭部を打ち抜くか。

迎撃体制、右拳を引きタイミングを見計らう。塚本が選択したのは下段突きだ。

ダンッ!黒ガロンが塚本の目の前で飛んだ。

塚本「!?」

タイミングがズレたどころの話ではない、この体勢では黒ガロンの続く攻撃を避けきれない。
ギャボッ!という音がして、黒ガロンは空中で回し蹴りを放ってきた。空気が摩擦で焼ける臭い。
塚本は両腕でガードをし衝撃を殺す為にバックステップをする。

塚本「っ!」

直撃は避けられたものの塚本は吹っ飛ばされる、先程黒ガロンが空けた穴の反対の壁。
そこに盛大に叩きつけられた。

だがこれだけでは黒ガロンは止まらない。

黒ガロンは壁際まで追い詰めた塚本を更に追撃する、塚本は叩きつけられた際の衝撃で上手く息ができていない。
が、今は呼吸を整えている暇はない。呼吸を気にしていては息の根が止まってしまう。

黒ガロンは天井まで飛び上がり、天井を床代わりに塚本に飛び掛る。
その猛襲は猛禽類の狩りを思わせる。確かに自分はNINJAであったが、こんな動きしてたんだっけ?

ギャン!塚本目がけて重力+落下スピードが加算された拳が振り下ろされる。
速いは速いが軌道は読みやすい、これまた間一髪でかわす塚本。
しかしその拳は今度は床を盛大にぶち破り塚本の足元を崩す。

塚本「マズイ!?」

バランスを崩す塚本。
本来の狙いはこれだったのかもしれない、体勢を崩した塚本を黒ガロンの右腕が掴む。
掴まれたのは左腕。
バキバキバキ!握られただけで塚本の左腕の骨は粉砕した。

塚本「ぐがぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

黒ガロン塚本を掴んだまま大きく振りかぶる。そのモーションは野球のピッチャーのようであった。
実際これから豪快な投球をする気なのだろう、ただし投げるのはボールではなく人間だ。
狙いは先程自信で空けた壁の穴、この最上階付近の鉄鋼魔城から落ちれば命はない。そこに落とせば勝敗は決まる。
バオッ!黒ガロンの手から開放された塚本は一直線に穴に向かう。

塚本「っんのやろぉぉぉぉ!」

グルグル回る視界の中、何とか右腕を伸ばし掴める部分を必死に探す。
結果、穴の開いた壁のふちに右手がひっかかる。
投げられたスピードの慣性が右手一本に集中してしまう。
肩や指先に激痛が襲うが離す訳にはいかない。根性で何とか持ちこたえた塚本だった。

左腕が使い物にならなくなった塚本は右腕一本でよじ登る、その動きは迅速とはいえない。
この隙を襲われるかと身構えていた塚本、だが・・・。

黒ガ「・・・」

黒ガロンは今回は追撃してこなかった。
壁の穴を警戒したのであろう、実際には今の塚本にそれを利用するという発想(余裕)はなかったのだが、
意外と慎重な黒ガロンに助けられた形となった。
ゆっくりと城内部に戻る。ぜぇぜぇと既に息は上がっている。
左腕は肘から先が紫色だ。たった一回の攻防で左手を失うとは思っていなかった。

黒ガロンは今までの敵と格が違う。
殴られれば骨が軋む、蹴られれば肉が削がれる、掴まれれば握り潰される。

安易な接近戦は命取り、だがこの閉じられた空間でのタイマン勝負は接近戦以外ありえない。
圧倒的に不利な状況である。

塚本「はぁはぁ、・・・うおぉぉぉぉぉ!」

それにも関わらず、塚本の方から攻撃を仕掛けにいった。黒ガロンもそれに対応する。
両者ホールの真ん中でぶつかり合う。血を撒き散らして吹っ飛ばされたのは塚本の方。
それはあまりにも当然の結末、実力差は何よりも本人が自覚している。

塚本「はぁ!はぁ!はぁ・・・・!」

追撃を開始する黒ガロン、その力強いストロークを見る、攻撃の瞬間の動作を見る。
命を懸けて昔の自分の動きを詳細に観察する。
そこから予測される動きで攻撃を読む、回避する。だがやはり目が追いつかない。
唸りをあげる黒ガロンの右拳、それは轟音と共に塚本の頭部を掠める。
避けたはずのその攻撃、しかし空気を揺るがす衝撃が塚本に軽い脳震盪を引き起こす。

塚本「うぉ!?」

黒ガロンは右の拳を開き、動きが鈍くなった塚本の頭部を掴もうとする。
それは掴まれたら終わりの即死攻撃、塚本には万力で頭部を砕かれるイメージしか湧かなかった。
これも何とか頭を振ってかわす。

極限の攻防、少しの判断ミスが命取りになりかねない。そんな状況の中で・・・。

塚本「はぁ!はぁ!・・・ははっ!」

塚本は笑っているように見えた。

2014/11/15 00:44  [1631-247]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

ビショップの独白、特に面白い事はない!


真っ暗な場所でビショップは塚本と黒ガロンの対峙を見る。
ビショップの現在位置は不明であるが、鉄鋼魔城から遠く離れている事は確かだった。
ではどうやってその対決を見る事ができるのか?
鉄鋼魔城内にはビショップとリンクしている小型の監視カメラが何台か存在していたのであった。

映像はクラックする事でビショップの脳内に直接流し込まれる。
戦局を見る限りでは黒ガロンの圧倒的優勢、ビショップにとって喜ばしい事だった。

何を隠そう、黒い異形に塚本の過去データを送ったのはビショップだからだ。
それは桃太郎にも秘密の行為、完全にビショップの独断であった。

「黄金のスケベ椅子崩壊の話は聞いています。
 黒い異形もニャルラトホテプ・・・、這いよる混沌を打倒すれば対消滅します。
 そうであるならば、塚本がビリーを倒す理由は何処にもありません。」

その独白は誰に聞かせるでもなく、自分に言い聞かせているのだろう。
その腕は震えていた。未だ自分が行った行為が正しいのか分からないからだ。

「二度も、親子の殺し合いはしなくていい・・・。
 どちらにも生きていて欲しいなど虫のいい考えは捨てます。
 塚本は次は確実にビリーにトドメをさすでしょう。完膚なきまでに、徹底的に。」

ビショップは見てしまったのだ。
それは監視カメラが偶然捕らえた映像(何かこの台詞って世界丸見えとかで良く使われるよね。どうでもいいけど!)
ビリーの姿が映し出されていたのだが、ビリーはおもちゃの人形を眺めていた。
それは幼い頃ビリーに買い与えた物だった。それを、ビリーはじっと見つめていた。
監視カメラではそれ以上の情報は入ってこない、ビリーの感情は読み取れなかった。
だからこそ、芽生えてしまった淡い期待。
もしかしたらビリーは、自分の事を恨んでいないのかも知れない。

「もし、そうなら、もう一度会って話しがしたい。だから・・・。」

ビショップは塚本を始末する事に決めたのだ。

監視カメラの映像を確認する。塚本は左腕が完全に機能していない状態で黒ガロンを戦っている。
もう勝敗は決したようなもの。ビショップは終わりの瞬間を見届けなければならないと映像に集中する。

掴まれて脳漿をぶち負けるか、拳で体に風穴が開くか、蹴りで胴体が二分されるか。
いずれにせよグロ映像の覚悟は必要だろう。

「・・・?」

だが、すぐに着くと思っていた決着はまだ訪れない。
それどころか塚本に反撃を行える余裕が出てきたようにも見える・・・。

「まさか・・・。」

ビショップは思い出す。過去の塚本を、彼の強さの本質を。
塚本は、誰もが分が悪いと思うような相手と戦い、いくつもの勝利をもぎ取ってきた男なのだ。

「まずいですね、完全に裏目に出てしまったかもしれません。」

塚本の『一度戦った相手には負けない』、その能力は本来であれば『一度受けた攻撃は二度と受けない』というものであった。
しかし体力の衰えや、ビリーを一度手にかけた事での拳の封印が原因でそのスキルは失われていた。
それが、自身を超える強敵との戦いで復活しつつあるようだ。

「そういえば塚本は根っからの戦闘狂でしたね・・・。」

映像の中の塚本は、口角を吊り上げてハッキリと笑っていた。

2014/11/16 00:00  [1631-248]   

 幻月郎さん  幻月郎の縁側掲示板WANDERER

白い世界に二つの動く点。

桃太郎と山川がスノーモービルで走る。

「山川、衛星が捉えた穴はこの辺りのはずだ。もう見えるはずだが」

「そうですね。GPSで見る限りあと少しのはずですね」

ヘッドセットマイクを通じて会話を交わす。

なだらかな斜面を登り切った所で桃太郎は急ブレーキをかけた。

「山川!止まれ!」

後ろから山川のモービルがゆっくり近づく。
手前で降りて桃太郎の横に並んで一緒に眼下を見下ろして絶句する。

「・・でかいですね・・・」

前方には直径200メートルはあるすり鉢状の穴があった。
穴の壁は黒い土と岩が見えて、深さは30メートルはあるだろうか。

桃太郎はその中心にヴァンパイアから絞りとった血を入れたビニール袋を投げ入れる。
穴の中心へ飛んでいき地面に落ちて、ぴしゃと音がした。

それから10分程何もなかったのだが、桃太郎はじっと穴の底を見つめていた。

地面が小さく振動する。
ゴゴゴゴゴ!
やがて真っ直ぐには立っていられない程の揺れになってきた。

穴の中心の土が噴水のように吹き上げる。
そこから金属のような石の塊のような不思議な人工的な煙突のような棒が穴から伸びてきた。
ゴゴゴゴ・・・

「でかいな・・山川、離れるぞ!」

桃太郎と山川はスノーモービルに乗ってそこから逃げるように走る。

ゴゴゴゴゴゴ・・・

音が止む。

二人がモービルを止め振り返る。

さすがに桃太郎も絶句する。

さっき見た穴が無くなって、
代わりに幅200メートル、高さ50メートルの神殿が現れた。
アンデスの遺跡のようなピラミッド形をしてるが、材質は鈍い青色を放つ金属である。
最下層の真ん中に。アーチ型の穴がぽっかり開いている。

山川の感情は複雑だった。
怖い・・・でも中に入りたい。
怖い・・・でも戦いたい。

山川の鼓動が早くなる。
鼓動の音が頭に響く。
ドンドンドンドンと心臓が打つ。

目が充血して痛い。
遠くを見ると、まるでアイフォンで拡大したかの様にはっきりと見える。
ギギギと犬歯が伸びる。
皮膚がギシギシと音を立てて固く角質化する。
防寒具の袖を突き破って角質化した皮膚が飛び出る。
一角獣の角のような槍のような物が両手に1本づつ。

ぎょっとした桃太郎だがすぐさま腰の刃渡り30センチのセラミックソードを抜いて
山川の首に斬りつける。

が、それより早く山川が身をかわす。

「お前、ヴァンパイアか!」

「ちょ・・何いってんすか・・お、おれ人間ですよ・・・」

ザザザっと神殿の上にたまった泥が落ちて音を立てた。

ギギギと山川の体内で音を立てると、両手の袖から飛び出した槍と口の牙は短くなり
赤い目から人間の目に戻る。

しばらく睨み合っていたが桃太郎はセラミックソードを腰に収めた。

「お前・・ハイブリッドだな」

「わからないです。でもそうかもしれません。夢の中で誰かが通信してきます。
 ヴァンパイの歴史を見せてきます。でも本当は何者か分からないです」

腕を組んでしばし考える桃太郎。

「お前をここから小屋に返すつもりだったが、俺と一緒にこの中に入って戦え」

「え〜〜!無理っすよ!!だって突っ込みしか教えてもらってないじゃないですかあ!」

「お前の求めてる答えはこの中にある」

「で、でも俺、戦い方とか知らないし・・・」

「恐らく、お前の中のヴァンパイアのDNAが戦い方を教えてくれるだろう」

30秒の沈黙。

「行きます!。なぜだか血が騒ぎます!理由はわからないけど・・」

・・・・

入口の前に立つ桃太郎と山川。
アーチの門の向こう、奥の方は壁全体がぼうと光ってわずかだが見えるようだ。

桃太郎の背中には弾丸が入ったバックパック。
バックパックにはカーボンダマスカス鋼で出来た刀、ダマスカスブレード2振りが収納。
左手には機関砲。腰には50口径のデザートイーグル。

山川の右手にはセラミックソード。
背中にはバックパック。

「入るぞ」

「はい!」



眠いの今日は終わり。










2014/11/16 04:37  [1631-250]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

夜遅くまですいませんなぁ。
山川はやってくれる子だと信じてました(大嘘)


塚本は黒ガロンの攻撃をギリギリで避ける。しかし拳や蹴りにもれなく付いてくる衝撃波は軽微なダメージを与えてくる。
しかし、それも積み重なれば大きな一撃をもらう起点になってしまうだろう。

ジリ貧である。このような状況であれば大抵の人間であればパニックを起こして自滅する。
だが塚本は冷静だった。その目は黒いチマや黒い騎士と戦った時と同じ、諦めの色は微塵も無い。

黒ガロンの右フック、塚本は身を屈めてかわそうとするが、違和感を感じてバックステップ。
右フックは軌道を変えてアッパーへと変化した。変則的な動きにもかかわらずその威力は何ら変わらず殺人級だ。
空振りは想定していなかったのであろうか、黒ガロンの上体がブレて大きな隙ができる。

それは塚本の初めての攻撃チャンスとなった。
黒ガロンの空いた右脇腹に左のミドルを叩き込む。
塚本の蹴りは甲冑を砕く威力は持っている、過去の自分とはいえ体は普通の人間だ。
これが反撃の足がかりとなれば・・・!

ガンッ!

塚本「!?」

鋼鉄を蹴ったかのような感触、塚本は足を掴まれないように素早く戻して距離を取る。
黒ガロンにダメージは無いようだが、一撃をもらった事に驚いたのかすぐに追撃はこなかった。

塚本「硬い・・・?」

ゆらり。黒ガロンの姿が揺らめいたかと思うと、すぐ目の前に現れた。
一瞬虚をつかれたがすぐに対応する塚本。
黒ガロンの攻撃を見て確信する、スピードが上がっている。
さっきの一撃で本気になったという事だろう。

塚本「っは!冗談は顔だけにしとけよ・・・!」

怒涛のラッシュで攻めてくる黒ガロン、左、左、右、右、右、左。ジャブとストレートの嵐。
ストレートは言うまでもないが、ジャブとてもらう訳にはいかない。塚本は直撃を避けつつ後ろに下がる。
すぐに塚本は壁際にまで追い込まれてしまった。

しかしジャブとストレートの違いは連発のおかげで見極められた、ならば壁際でも回避可能。

ボゴ!ボゴ!ドゴン!ボゴ!ボゴ!

塚本の後ろの壁が面白いようにヘコんでいく。
ストレートだけではなく、ジャブでも鋼鉄製の壁がヘコむ様に塚本は違和感を感じた。
さっきの左ミドルの時もそうだったが、黒ガロン自身の体が硬くなっているのか、もしくは昔の自分の力だったのか・・・。

塚本「・・・あ。そうだ、思い出した!」

そうだった、それは過去に封印した自身の技術の一つ。闘気による自己身体能力の強化であった。
自転車に乗る技術が体に染み付いているのと同じ事、昔の塚本は息をするように当然の如くこの力を使っていた。
黒ガロンはそれを再現できていたのだ。

そして塚本は、そんな過去の自分と戦う事で自身の力を思い出した。
敵を打倒する力、仲間を身を持って攻撃から守る力。

体中から闘気が溢れ出す、だが溢れ出してはいけない。
体内に留め充満させる、張り詰めた闘気が身体能力を大幅に高める。
ギチギチギチ、闘気が皮膚を突き破り外に放出してしまうような感覚。

確かに体力、筋力共に今の自分は劣っている。しかし今だろうが昔だろうが、自分に負ける訳にはいかないのだ!

塚本「っ・・・おっらぁ!」

ズン!

黒ガロンの左ジャブが塚本の顔面に炸裂する。
それはジャブにも関わらず人間の頭部など跡形も無く潰す一撃。

黒ガ「!?」

黒ガロンが後ろに退いた、この戦いが始まってから初めての黒ガロンの後退であった。
塚本は顔面で攻撃を受けた訳ではなかった、闘気を込めた頭突きで黒ガロンの左拳を狙ったのだ。
闘気を込めた事で塚本の頭は鋼鉄製のボーリングの玉と化していた。
黒ガロンの左の拳は、指の骨が砕けて拳が握れなくなっていた。

塚本「はっ!これで条件は一緒だなぁ!」

思い出したのは闘気だけではない、黒ガロンを観察する事で攻撃の最適化が行えている。
右ストレートのモーションを思い出す、昔の自分が編み出したものに改変、改良を加えて放つ。

撃鉄を起こせ。

照準を定めて発射する。

塚本「おおぉぉ!」

大きく踏み込んだ足は床を踏み砕き鉄片を撒き散らす、腰の高さの右拳に体重を載せ黒ガロンに向かって放つ。
それは闘気を込めた一撃、この動作にかけた時間は0.1秒にも満たない。
黒ガロンは塚本のこの攻撃を、認識すらできていなかったかもしれない。

ドゴォォ!!!

黒ガロンの胸の吸い込まれたその右拳によって、黒ガロンが胸部が拳の形にヘコんだ。
なおかつ吹っ飛ばされた黒ガロンは反対側の壁に叩きつけられた。

ガホッと血ではなく黒い何かを吐き出す黒ガロン。

塚本「ようやくお返しができたな。決着を着けようぜ。」

塚本の反撃が始まった。

2014/11/16 13:06  [1631-252]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

黒ガロンに焦りが見える、だが塚本も手負い。おまけに体力の消耗も激しいときている。
であるならばゴリ押しで塚本を粉砕する。

壁際にいた黒ガロンは壁を蹴る事で水平方向に急加速する。
クラウチングスタートを直角で行うとこうなるのだろう、勿論普通の人間は真似できない。
一瞬で塚本に肉薄する、スピードを活かした右拳を叩き込む。

塚本「右拳だな。」
黒ガ「!?」

読まれていた、攻撃変更をしようとするが急加速が仇となった。
塚本の間近で下手な事をすれば命取りだ。
塚本は落ち着いてこれをかわし、黒ガロンの腹部にアッパーを叩き込む。

ズドムッ!メキメキメキッ!

衝撃は背中まで突き抜ける、肋骨が何本か折れたようだった。
その攻撃で今度は天井に叩きつけられる事になった黒ガロン。

このまま落ちたら下で待ち受ける塚本の格好の的だ、黒ガロンは右の指を天井に食い込ませて落下を防止する。

塚本「何それ、サンドバッグの真似?」

塚本は追撃してきていた、さっきまでとまるで正反対の状況。
攻撃のターンは黒ガロンから塚本へと完全に移行していた。

撃鉄を起こせ。

照準を定めて発射する。

塚本「かぁああああ!」

闘気を極限まで高めた後ろ回し蹴り、空中バージョン。
地に足が着いていない為その威力は半減してしまうが、空気を引き裂くその一撃は十分過ぎる威力を誇る。
キュドッ!塚本の足の先端が音速を超えたのだろう、ソニックブームが発生している。

バガン!

黒ガロンは左腕を犠牲にしてガードする。左腕は潰れてダメージは胴体にまで及ぶ。
天井から引き剥がされた黒ガロンは再度反対側の壁まで吹っ飛ばされた。

塚本「そんなものかぁぁぁぁ!俺のコピーがよぉぉぉ!!!」

追撃する塚本、有利対面になったのですっかり調子に乗っている!
天井に足を突き刺して激走する。その行動に特に意味は無い!

ヨロヨロと立ち上がる黒ガロン、天井から落ちてくる塚本を迎撃する構えを見せる。

塚本「右足!蹴り上げだな!」
黒ガ「・・・!?」

黒ガロンの攻撃パターンが読まれている。しかし中空にいる塚本にこの対空攻撃を避ける術はないはず。
完璧なタイミング、闘気が互角であるならばこの蹴りが通れば勝機はある。

すかっ。

黒ガロンの攻撃は空振りに終わった。塚本は・・・、何と中空で止まっていたのだ。
種明かしは馬鹿らしい程簡単、ここは壁際だった。壁に足を突っ込んで重力に逆らっただけ。

塚本「ちょうどいい!昔の自分を殴りたかったとこだったんだよ!」

壁の足を抜き放ち、床に安全に着地した塚本。
黒ガロンの攻撃は今や塚本にとって驚異ではなくなっていた。
後ずさる黒ガロン、だがここは壁際だ。最早逃げ場などなかった。

塚本「なんでビショップの事、もっと大事にしてやらなかった!」

塚本の不条理極まりない拳が炸裂する!
黒ガロンの顔面は元々良くないのに更に歪んで悪化してしまった!
それは黒ガロンでは無く自分を殴れよというビショップの遠距離ツッコミが入ったのも忘れずに記載しておこう!

塚本「なんでビリーの事、あの時簡単に諦めちまった!」

塚本の不条理極まりない蹴りが炸裂する!
左の太ももにヒットする。
本来であれば分厚い筋肉に阻まれて骨が折れる事は無い部分、そこが簡単にくの字に折れ曲がる。

塚本「なんで俺は、二人が大丈夫だと思いこんで放っておいたんだ!」

塚本の不条理極まりない手刀が炸裂する!
大きく振り下ろすようなそれは通常であればまず当たらない、しかし今の黒ガロンに意識はなかった。

ゾンッ!

左肩から入った手刀は肉と骨を断ち、塚本の手の分黒ガロンにめり込んだ。
それは闘気を刃状に変化させた一撃、塚本が本気であればこれで黒ガロンは左右に分かれてしまっていただろう。

塚本は監視カメラを探す、そこに向かって呟やいた。唇の動きが読めるようにハッキリと発音する。

塚本「俺だってビリーを殺すつもりはねぇよ。だから、信じて待ってろ。」

黒ガロンに向き直る。既に闘える状態ではない黒ガロンに更なる攻撃を加えるつもりだろう。
それはきっと、昔の自分との決別の為の儀式。

激鉄を起こせ。否、用意するのは大砲だ。

照準を定めて粉砕する。

3・2・1

塚本「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」

目に見える程の練られた闘気、一撃必倒の神速の右拳が炸裂する。
黒ガロンの体は跡形も無く消し飛び、鉄鋼魔城の壁が大きく爆砕した。

ビリー鉄鋼魔城の今日一番の振動を更新した瞬間であった。

2014/11/16 14:54  [1631-253]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

短めに一本。


塚本はゆっくりと鉄鋼魔城の階段を登る。
それは疲れのせいではない、満身創痍の体のせいではない、気持ちが中々前に進まないのだ。

ズキンズキン。

左腕が疼く、痛みには慣れているので我慢できない事はない。
しかし、今は怪我のせいにして正直逃げたい気分であった。
昔手をかけた自分の息子に再会する父親の気分と言えば分かってくれるであろうか?
たぶん分からないだろう!

とりあえずブルーというかアンニュイというかメランコリックな気分であった。

その時、塚本の脳内にアクセスしてくる人物がいた。

『・・・・・』

塚本「ビショップか・・・、もう閉経した?」

『貴方は本当に糞最低な人間ですね。体はご存知の通りです。』

塚本「そうだったな、ワリ。で、何の話だ?」

『大した話ではないのですが、やはり慰謝料と養育費を頂きたいと・・・。』

塚本「大した話だよ!?ちょっと待って、優秀な弁護士さん探すから!」

『既に貴方の尻の毛まで引き抜く準備は整っています。次に会うのは法廷ですね。』

塚本「お、落ち着け!その話はちゃんと決着がついているはずだ!」

『そうですね、表面上は。でも私の中ではまだ決着はついていません。
 貴方が無様に私に泣きすがって許しを請う姿を見るまでは止まれません。』

塚本「お前そんなに性格悪かったっけ!?ちゅかそもそも養育費って・・・!」

『信じて待っていてよいのでしょう?ビリーは私が引き取ります。』

塚本「・・・ビショップ。」

もうそんなビリー小さくないけどな!っていう突っ込みを塚本は自分の中に押し込んだ!

『勘違いしないで下さい。別に貴方を元気付けるための通信ではないのですから。』

ここにサイボーグ元嫁ツンデレという良く分からないキャラが完成した!

塚本「・・・行ってくるよ。」

『はい、気をつけて。』

ブチッと通信が切れた、少しだけ気が楽になっていた。
そうだ、ウダウダ考えている時間は無い。今この瞬間も皆が、レジスタンスが闘っている。
自分のやるべき事は変わらない。

最後の階段を駆け上がる。一段一段上がる度、左腕が振動で痛む。
その左腕の指には黄金の・・・、いつもの指輪ではなく真っ赤な指輪が装着されていた。
塚本は今回の戦闘で一度も指輪の力を使わなかった。それは何かの伏線なのだろうか?


そうこうしている間に塚本は最上階に来てしまっていた。

レッドカーペットが伸びていく先に、黄金のスケベ椅子に腰掛けるビリーがいた。
ワインをクリンクリンしながら塚本の登場待っていたのだろう。

ビリ「久しぶりだな我が師よ・・・。」
塚本「ビリー・・・。」

親子の再会、しかしビリーには塚本はただの拳法の師匠でしかなかった。

ビリ「いや、もう師ではないな・・・。ガロン塚本!私の野望の実現に貴様は、貴様らは邪魔だ!
   昔のようにいくと思うな、最後に立つのは俺だ。」
塚本「・・・ふん。黄金のスケベ椅子を手に入れて、いきがってるだけだろう?その慢心、ここで一緒に砕いてやるぜ。」
ビリ「ふはは!その体で、どこまでやれるか見ものだな!砕かれるのは貴様だ、老兵は散りゆくのみ!」
塚本「ガキが!そのおもちゃ取り上げて、おしりペンペンしてやるわぁ!」

ようやく最終決戦が開始した。

黄金のスケベ椅子、機能停止まで残り0時間??分。


ゆっくぞー!塚本の勇気が世界を救うと信じて!
ご愛読ありがとうございました!(嘘)

2014/11/16 18:40  [1631-254]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

ゴゴゴゴゴ!黄金のスケベ椅子から何やらピンク色のオーラが流れ出す。
座った状態のビリーが黄金のスケベ椅子と共に宙に浮く、その光景はシュールの一言!
しかし流れ出すピンクのオーラは魔力の奔流、召還か、それ以外か?塚本には判断が付かない。

ビリ「ゆっくぞー!」

シュオッとビリーの姿が掻き消えた。黄金のスケベ椅子はそのままだ。

塚本「!?」

塚本の目にも止まらぬ速さ、否それはありえない。であるならばコレは瞬間移動の類、塚本は周りを見渡す。

ビリ「こっちだ!おぉぉぉぉぉぉ!!!」

ビリーは塚本の背後に移動してきていた。やはり空間をワープしているようだ。

塚本「しまっ・・・!?」

ガオン!ビリーの魔力の篭った蹴りが炸裂する。
それは塚本の闘気と相殺され、純粋な蹴りのダメージだけが通る。

だが直撃をもらう程今の塚本は鈍くはない。
ミートポイントをズラしてダメージを最小に留め、返す刀で反撃に出る。
唸りをあげる塚本の右の裏拳。しかしそれは当たる事はなかった。

シュオッ。ビリーの姿がまた消えた、塚本の攻撃が当たる前にワープしたのだ。
見ればビリーの姿は黄金のスケベ椅子に元へと戻っていた。

塚本「っち!面倒臭え!」
ビリ「・・・今ので終わりだと思っていたが、ノーダメージか。では、これならどうだ!」

またしてもビリーの姿が掻き消える。
だがもう種は分かっている、そのような手品が何度も通じる塚本ではない。
目を閉じ闘気を体外に張り巡らせる。

見つけた、ビリーの数は3つ!真ん前、右後ろ、左後ろだ!

塚本「ん!?3つ!?」

目の前から迫りくるビリー、目視で確認、本物に見える。ならば迎撃。
タイミングを合わせた右のフックを叩き込む、それは的確に顔面を捉えビリーは消滅した。
人間ではない、目の前のビリーはただの幻影。
ならば後ろの二人も同じように対処するのみ。

フックの勢いで体を回転させる、しかし今度は拳ではない。
二人同時攻撃にリーチが必要、故にこの勢いのまま右の蹴りを放つ。

バオッ!

塚本の蹴りは後方のビリー2人を確実に捉える、しかしその2体のビリーは消滅した。
双方共に幻影、ならば本物は何処にいるのか?

塚本「!?上か!」
ビリ「ぬうぅぅぅぅぅん!」

上空からの手刀の一撃、それは塚本の教えた技。敵を真っ二つにする兜割り。
黄金のスケベ椅子の魔力を借りたそれは一撃必殺の攻撃だ。
だが、自分の技であれば塚本に通じる事はない!

撃鉄を起こせ。

照準を定めて発射する。

塚本「がぁああああ!」

裂帛の気合、弾ける闘気、両足で地を蹴る衝撃が鉄鋼魔城全体に伝わる。
めくれ上がる床の建材、その爆心地は塚本。
右拳に込められた闘気は超スピードで上空に向かって迸る。
ライジングドラゴン、塚本は天へと向かう凶悪な竜へと化した。

ゴシャン!名状し難い衝突音、発生した衝撃波が鉄鋼魔城の壁と天井を吹っ飛ばした。

ビリ「んな!?」

空中でぶつかり合うビリーと塚本、お互いの手刀と右拳がせめぎ合う。
黄金のスケベ椅子の魔力、塚本の闘気、両者共に互角。

ビリ「馬鹿な!ただの人間が至高のマジックアイテムの魔力と渡り合うというのか!?」
塚本「分身の術か、俺より忍者らしいな。だが、そんな物に頼ってるから!俺の方が強いんだよ!」

ゴッ!更に塚本の闘気が増大する、位置的には上を取っているビリーが有利。
しかし、この男に位置の有利など何の意味も持たない。
ビリーの手刀が徐々に押し返される!

ビリ「うおぉぉぉぉ!何故だ、この数年間俺も強くなっていたはず!」
塚本「自分より弱い者を倒して何になるってんだ!だからガキだっつってんだゴラァァァ!!!」

ドッパーン!!!

手刀を完全に押し返され塚本の右拳はビリーの顔面を捉える!
ビリーの魔力が、塚本の闘気が、全て上空に向かって放出される。

ビリ「のおおおおおお!?」

暴れまわる魔力と闘気の奔流がビリーの体をズタズタに切り裂く、
成層圏にまで届くのではないかと思われる程上空に吹っ飛んだビリーは無防備のまま落ちてくる。

ふわり、宙に浮かぶ黄金のスケベ椅子に落ちてきたビリーの落下ダメージは皆無だった。
それは塚本がそこに落ちてくるように計算して吹っ飛ばしたからであった。

ビリ「く、ぐ・・・!な、何故?」

それはビリーにも通じたのであろう、今の一撃、塚本が本気であれば消し飛んでいたはず。
実力に関しては闘えばビリーにも分かる。

塚本は圧倒的であった。

塚本「約束してんだよ。お前を心配してるヤツもいるんだ。」
ビリ「ば、馬鹿な。そのような人がいるはずは・・・!・・・がぐ!?」

ビリーの様子がおかしい、白目を剥き、鼻血を垂らして痙攣する。
目は真っ黒に濁っていた。
ニャルラトホテプに操られている状態になってしまったようだ、劣勢とみての行動だろう。

塚本「ちっ、タイミングの悪いヤツだ・・・!」

ビリーが手を広げて呪文を詠唱する。
黄金のスケベ椅子が召還の輝きを放つ。

そこら中に大量の魔物と異形が召還された。
空を覆いつくす影、地平線まで続く魔物の群れ。

塚本の傍には黒い騎士(甲冑)、黒いチマ(子供)、黒ガロンが大量に召還される。
世界は絶望に包まれた。

2014/11/16 21:45  [1631-255]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

ビリーは召還の呪文詠唱を続ける。絶えず魔物が召還される。
それは黄金のスケベ椅子の魔力だけでは補えない程の召還量。
恐らくはビリーの生命力を削って召還しているのであろう。

ニャルラトホテプはビリーを使い捨てる気だ。

塚本「世話のやける坊ちゃんだ!」

塚本は襲いくる黒い軍勢を薙ぎ倒して突き進む。
どれもこれもが急ごしらえの劣化模造品、塚本が戦ったオリジナルの4割程度の実力しかない。
そんなものが束でかかろうと、今の塚本の敵ではなかった。

強いていうなら黒いチマを殴るのにものすごい罪悪感があるぐらいだ!

ビリーも心配であるが、他の仲間も心配であった。
塚本は戦いながらも周囲を確認してみる、現在の鉄鋼魔城の最上階は先のビリーとの戦いで屋上と化している。

遠くの方で巨大な火柱が上がる、良く見ればピンク色のドラゴンの背に乗る騎士が大暴れしていた。
うん、あの子は問題なさそうだ。

続いて隠れ家の方、肉眼でも分かる程の巨大なロボットが大暴れしていた。
良く見ればいつの間にか翼を纏った魔女も空の魔物を殲滅している。
うん、あいつらも心配なさそうだ。

階下にいるであろう宗司。
耳を澄ませば宗司の鼻歌と兵士達の悲鳴が聞こえてくる。
うん、あいつはもう放っておこう。

一番心配だったのは目が見えなかったチマ。
この下で戦っているはずなのだが・・・、その時下で戦っていたであろう魔物が宙に逃げてきた。
コカトリスという石化ブレスを吐く厄介な魔物、そいつは下から発生した謎の衝撃波により粉砕された。
うん、こういう芸当ができるのは間違いなくチマだ。無事だな。

胸のつかえがスッとなくなった。これでビリー救出に専念できる。
塚本がパンツの中から取り出したのは小さな宝石のような物体だった。


 〜 以下久々の回想シーン 〜

これはこの戦い前夜の話。

塚本「騎士、こいつをみてくれ。こいつをどう思う?」
騎士「すごく・・・、大きいです。」
塚本「いやいやいや、さっきから視線を外しているだろ?ちゃんとこっち見てくれ。」
騎士「しかし、私が言うのもなんだが、ムードとかそういうものもな。・・・大切だと思うんだが。」

騎士は顔を真っ赤にしてこちらを見ようともしない、塚本にはさっぱり理由が分からないので強制執行。
グイっと騎士の顔をこちらに向ける。

騎士「・・・っっ!?」

ぎゅっと目を瞑る騎士。可愛かった。しかし塚本の目的はそーゆー事ではなかった!

塚本「ほら、これだ、このマジックアイテムだよ。」
騎士「・・・は?」

塚本が手に持っていたのはトリビアの泉に出てきそうなデザインのマジックアイテム。
読者の皆さんはもう忘れていると思うが一回だけ出てきたヤツだ!

塚本「これのな、中身が見たいんだよ。しかし力じゃこじ開けられない。そこで騎士の出番という事だ。」

騎士はしばらくポカーンとした後。

騎士「ふふ、そうであったな。ガロン殿はこれだから・・・。」

ガシッとマジックアイテムを掴んだ騎士は髪を真っ赤に光らせて何か呟く、
マジックアイテムはボガンと破裂した。

騎士「中身だ。はい!」
塚本「あ、ちょちょちょ、・・・何か怒ってない?」
騎士「怒ってなどない!」

激オコだった。

塚本「そ、そう?しかし、これ何だろうなぁ。宝石・・・、の欠片?」
騎士「・・・それは退魔の宝珠の欠片だと思うぞ。」

オコでも解説してくれる優しい騎士であった。

騎士「効能はその名の通り、魔を退けるものだ。一般的に悪いとされる物、行為、様々なものに恩恵がある。
   しかしその大きさだと効果範囲は狭いだろうな。効力は一緒だと思うが。」
塚本「ふーん、じゃあ俺の勃起キャンセルは魔だと認識されたって事か?」
騎士「・・・その時の状況が分からないが、恐らくそういう事であろう。」
塚本「状況なら再現できるぞ?」

ズリズリーっと塚本がズボンを下ろしたところでチマが乱入してきて大惨事になりました。

 〜 回想シーン終了 〜


塚本は空中に浮かぶ召還マシーンと化したビリーに向かって走り出す。
黒い軍勢が立ちはだかるが時間稼ぎにもならない。
タックルで分厚い肉の壁をぶち破る。ジャンプ、ビリーに一気に肉迫する。

塚本「目を覚ませ!ビリー!」

ズカッ!

退魔の宝珠の欠片をビリーの額に打ち込む、途端にニャルラトホテプの支配から逃れた。
目は白く戻り、鼻血も止まったようだ、白目を剥いているのは単純に気絶しているだけであろう。
黄金のスケベ椅子から召還の光が止まる。これ以上の召還を防ぐ事に成功したようだ。

ビリーを抱えて着地する塚本、そこで黒い軍勢に囲まれてしまった。

塚本「・・・まずいな、俺一人ならともかく、ビリーを守らねば・・・。」

この黒い軍勢も多少なりともニャルラトホテプの制御下にあるのであれば、
退魔の宝珠を取り除こうとするであろう、しかし劣化模造品のこいつらはビリーを殺してしまうかもしれない。

その二つの心配は後者の方が正解であったようだ。

一斉に飛び掛ってくる黒い軍勢、それは塚本もろともビリーを殺す気でいるようだった。

塚本「くっ!闘気の鎧でしばらくは持つが・・・!万事休すか・・・!」

ビリーを抱えて身を丸める塚本。
黒い軍勢の魔の手が塚本に襲いかかる瞬間に、黄金のスケベ椅子が力を失ったように空から落ちてきた。

カラン。乾いた音が辺りに響いた。

2014/11/17 01:04  [1631-256]   

 幻月郎さん  幻月郎の縁側掲示板WANDERER

「桃太郎さん、俺さ、学校にいた頃にさ、もしこの時テロリストが教室に入ってきたら
 どうやって敵を倒すとか考えていたんですよ。」

辺りに警戒しながら神殿の中を歩く二人。
青くぼんやり光る冷たい金属の壁がずっと続く。

「でもそんな事ありえないし、気がついたら普通のそれも出来損ないのサラリーマン
 になってたんすよ。結局平凡な人間だったんだって。そんな俺がヴァンパイアだなんて」

桃太郎はGPSを見ながら迷路のような通路を確認する。

「俺も人間じゃないかもしれない。俺はピーチプロジェクトで生まれたからな」

「なんすか?美味しそうですねw」

「Particle Evolution Amplifier Compete Horizontal Project」

「・・・え?ww」

「気にするな。ピーチだから桃太郎と名前が付いた。俺は何歳に見える?」

「30代ぐらいかなあ?」

「90歳を超えている」

「えええ!うそ!」

「俺は一人で1000人を殺すために作られた人工遺伝子チャイルドだ。
 俺が第一世代、第二世代まで作られた。そして特別な訓練を受けて育てられた」
 (塚本、ビショップ、紳士の顔が浮かぶ)

 
「ある日、とある国に出撃命令が出てたった四人で軍隊を殲滅していった。
 しかし最後に俺たち、あのビショップと俺は空港で見たあいつに首を落とされた。
 すぐに脱出して俺とビショップの首は生命維持装置に繋げられ生かされた。
 戦闘経験は何よりも大事だからな。」

「なんか現実味ないっすね・・・」

「それから後は、おれはメンバーの男により機械の老人のボディに入れられ、
 同じく機械の身体のビショップとその国から脱出した」

「でも90歳っておじいちゃんじゃないすか」

「俺達は細胞が癌化しているので脳細胞が老化することはない。
 爺のふりをするのは得意だw。しかし、そのぶん嫌な記憶も忘れられない」

「そう言えば、あいつが言ってた塚本っ誰ですか?」

「あの空港のヴァンパイアはたった一人の男に倒された、それが塚本だ。
 ガロン塚本、奴が切れた時は俺でも倒せない」

「へ〜〜〜怖い人もいるんですね」

返事はない。遠い目をして歩く桃太郎。

「おしゃべりはここまでだ」

二人は広い回廊に出た。航空機のハンガーような大きさ。

ぼんやりした明るさで目を凝らすと、左右の壁一面に人が張り付いたようなオブジェ。

「ヤバイぞ、入り口まで引き返せ!!」

言い終わる前に壁が動き出す。

「壁から人が出てきたっすよ!!!」

囲むように一斉に二人を追いかけるヴァンパイア。
その数3000。
狭い回廊に戻り敵の攻撃を一方だけにする。

「キキキキイイ!!!」
悲鳴のような鳴き声が大音量で迫る。

機関砲のトリガーを引く。
迫ってくるヴァンパイアは火を噴き粉砕されていく。
一秒で5匹のヴァンパイアが消えていく。
中の一匹が猛烈な速さで弾を避けた。

「避けやがったあ!!行ったぞお!やまかわあ!!」

長い爪が山川に迫る。
セラミックソードで受け流す。
山川の回し蹴りを受け、ヴァンパイアの顔がゆがむ。
その頭に、腕から伸びた槍が刺さる。

「うひょ〜〜〜なにこれ!喧嘩もしたことないのにww」
次々に迫るヴァンパイアを倒していく山川。

「それがヴァンパイアのDNAだ!」
目の前に迫るヴァンパイアの額を右手のデザートイーグルが撃ちぬく。




別府では道を警察車両がバリケードを作っていた。
向かってくる巨人に向けて発砲するが全く歯がたたない。
巨人が棒を前に向ける。
棒の先が火花を散らし、光が放たれると警察車両が爆発する。

「ダメです、警部!刃が立ちません!」

「早く!自衛隊を!出動要請を!!早くし・・・!」

棒の先から光が放たれる
爆発、巨大な真っ黒い煙、その煙の中から巨人が出てきた。

「人間よ、火を教えた恩をお前達は忘れたようだな」

目の前の機動隊員が棒でふっ飛ばされる。
後ろから銃のようなもので撃つもう一人の巨人。

「あそこだな・・・我らの神が眠っている場所は・・」

2014/11/17 03:21  [1631-257]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

塚本達に襲い掛かっていた黒い軍勢の動きが止まる。
否、動きが止まった訳ではない。見えない力に引っ張られるように落ちた黄金のスケベ椅子へと収束する。

塚本「な、なんだ!?」

見れば戦場の魔物全てがもの凄い勢いで吸い寄せられていた。ダイソンもビックリの吸引力である。
ドゴゴゴゴゴ。
黒い異形も合わさって黒い大きな竜巻に見える。
それは巨大なトグロを巻いて黄金のスケベ椅子へと還っていく。
黄金のスケベ椅子へと言うよりかは、その上の空間にポッカリと空いた穴へへとだ。

塚本「召還された魔物が、元の世界に戻っていくのか?でも、何で?」

ふいに桃太郎の意味深な言葉と態度を思い出す。
ビショップの行動の意図も考えると答えは自ずと導き出せた。

塚本「黄金のスケベ椅子崩壊までは手を打っていたのか・・・、早く教えろよ・・・。」

塚本はあっけない戦いの終わりの光景をポカーンと眺めていた。


場面は変わって宗司。

宗司「あらあら、外は大惨事だこと。ねぇハル?」
ハル「なんだい?宗司。」

ニョキっと床から顔だけ出すハル。

宗司「あんた、元の世界に帰らなくていいの?これ逃したら最後よ。」
ハル「僕は宗司のそばにいる。」

それだけ言うとニュルっと床の中、もといハルの世界に戻っていくハル。

宗司「そう、じゃまぁ、これからもヨロシクって事で。」

そういう宗司の顔は嬉しそうであった。


次に騎士。

騎士「ガロン殿がやってくれたようだな。」
ブリ「ぱおーん!」

ドラゴンになれたのでドラゴンになっているブリ。そのおかげで台詞が少ない!

騎士「バハムートの魂は・・・、まぁ無理に今返さなくともよいか。」
ブリ「ぱお!」
騎士「しかし、私が持っている間は転生もできないだろう。正直、扱いに困るな。」
ブリ「ぱおぱお。」
騎士「ブリ殿、うるさい。」
ブリ「!?」

最後まで扱いの酷いブリであった。


チマ。

チマ「おー、終わったかニャー。」
アケ「ぜーぜー!死ぬかと思った!」

本当に良く生きてたと思う!

チマ「・・・目が見えるニャ!あー、・・・アケミ皺増えたニャ?」
アケ「今日の戦いで一気に老化したよ。あー、しんどかった。」

ポンポンと腰を叩く姿はおばちゃんそのものだ。

アケ「はぁ、このリングもう外しちまうよ・・・。ってグギャー!!!」
チマ「ど、どうしたニャ!?」
アケ「か、体中が!き、筋肉痛のような状態に!?のぉぉぉああああ!」
チマ「あ、アケミー!」

マジックアイテムの恩恵がなくなった途端、地獄の筋肉痛がアケミを襲う!
最後のギャグまでパッとしないアケミだった!


魔女。

クロ「うわぁぁぁぁ!吸われるーーーー!」
魔女「ファイトですよ、クロ!」

クロも元は異世界の住人なのでダイソンに吸われかけていた!
魔女が腕を捕まえてあげてるので何とかなっている。
ハルとは大違いの貫禄の無さ!雑魚キャラポジションであった!

ドン「しかし、あれデースねー。」
チチ「ん?何の話ですか?」
ドン「黄金のスケベ椅子崩壊がタイミング良すぎましたネー。もう少し捻りが欲しいところデース。」
チチ「ダメ出しはやめてくれませんか!?」
クロ「うわぁぁぁん!ズボンが吸われたーーー!」
魔女「もう手を離していいですか?クロ!」

賑やかだった。


戻ってきて塚本。

ビリ「んぉ?・・・っは!俺は一体・・・!?」
塚本「気付いたか、身体はどうだ?おかしなところは無いか?」

目の前に塚本がいたのでビックリして離れるビリー。
体はズタボロだが元気そうではある。流石塚本の息子といったところであろうか。

ビリ「妙な倦怠感があるが・・・、しかし、それより何だ、この気持ちは!?」

ボロボロと涙が流れ落ちるビリー。
退魔の宝珠の効果により完全にニャルラトホテプの呪縛から逃れた今、まず負の感情が消え去った。
憎しみで自身の行いを正当化していたが、それができない。
罪悪感などの人間として極めて一般的な感情も戻ってきている。
ビリーを襲っているのは蓄積された、そういった感情の波であった。

ビリ「お、俺は!俺はなんて事を!?うおおおおおおおおおおおお!!!」

そこにいたのは自身の過ちを後悔する心優しいビリー、彼の本来の姿。
しかし、今まで行ってきた悪事を思い返すとビリー自身、どっちが本当の自分なのかが分からなくなっていた。

塚本「ビリー、まず落ち着け。落ち着いて俺の話を聞け。」
ビリ「こ、これが落ち着いていられるか!うわぁぁぁぁ!あ、頭がおかしくなりそうだ!」

ガンガンと頭を床に打ち付けるビリー、その自傷行為をすかさず止める塚本。

塚本「やめろ!ニャルラトホテプを受け入れちまったのはお前の責任だけじゃない!だから落ち着け!」
ビリ「しかし、しかし!それでも俺がやった事は変わらない!ううぅぅぅぅ!」

フラフラと歩いていくビリー、その先は・・・。

塚本「おい、おい止まれビリー!どうする気だ!」
ビリ「こ、これしか。もうこれしか罪を償う術がない・・・!」

ビリーは鉄鋼魔城の壁際まできていた。
今では壁がなくなっているので、そこは絶好の身投げポイント。
ビリーは自決をする気だった。

塚本「やっぱり、こうなっちまうよな・・・。」

塚本は左手の指輪を見る、本来であれば使いたくなかったが仕方がない。
禁断の4文字を口にする覚悟を決めた。

2014/11/18 01:31  [1631-259]   

 幻月郎さん  幻月郎の縁側掲示板WANDERER
ニャルラトテップさん。

機関砲のバレルが赤く熱せられる。
機関銃のように連写される炸裂弾。

人間技では無い正確な射撃。
機関砲で撃ち漏らしたヴァンパイアは山川が異様な動きで仕留めていく。

ドンドンドン、カシャ!

機関砲が最後の薬莢を吐き出すと同時に後ろに投げ捨て
デザートイーグルを抜く

パンパンパン・・
10秒ほどで全弾を撃ち尽くすとマガジンを排出、
すぐに新しいマガジンを突っ込みスライドを引く。
それを2回繰り返したあとデザートイーグルをヴァンパイアに投げつける。

「やまくぁあ!冷却用ジェルの予備は持ってるなあ!」
何故か笑ってる桃太郎。

「はい!背中しょってますよー!」

桃太郎はバックパックを捨て、防寒具を脱ぎ去り、上半身があらわになる。
ダマスカスブレード2振りを両手にもち軽くクルクルと振り回す。
身体は人間の肌のようだが、ところどころ金属の部分が見える。

今いる回廊から広い回廊に走りだす。

手近なヴァンパイアを斬っていく。
笑いながら、まるで踊ってるかのように動く桃太郎。
ヴァンパイアを1匹、2匹、3、4、5678・・・

段々と桃太郎の動きが加速していく。
ビョービョーと刀を振る音のみが聞こえる。

あまりにも動きが早くて山川の目にも追いつかない。
ヴァンパイアも切られたことを分からない。動いてる途中で身体が分かれていくヴァンパイア。

悲鳴をあげるヴァンパイア達。
まだ子供ぐらいの年齢に見えるヴァンパイアもいる。
女のようなヴァンパイアもいる。
桃太郎が踊る度にバラバラになり燃えて消えていく。
ヴァンパイアに成りきれない山川は思わず目を背ける。

山川は桃太郎に恐怖を覚える。
鬼が剣を両手に持ってダンスしてるようにみえる。
阿修羅ってこんなだったんだろうか?
なにか夢の様な、見てはいけない、とんでもない怪物を見てしまった罪悪感を感じる。

最後のヴァンパイアを切った後、桃太郎はその動きのまま止まってしまった。

静かだ。

ゴオオ!シュー・・
桃太郎の背中のファンが蒸気を吹き出す。
マッスルシリンダーがオーバーヒートし桃太郎の周りの空気が揺らめく。
山川が近づくと熱気を感じた。

桃太郎の背中の2重のカバーが開き、ポンと冷却ジェルユニットを排出。
そこに予備のユニットを差し込む。

桃太郎の全身から蒸気が噴き出す。

シュー!
ようやく動き出す。

「マッスルシリンダーはまだ改良の余地があるな」

恐怖の目で桃太郎を見つめる山川。

「世の中にはもっと悲惨な物がある。行くぞ」

大きな回廊の端に小さな入口、そこをくぐると大きな真っ暗な部屋に出た。
懐中電灯を頼りに山川がバックパックから円筒形の物を壁につける。
円筒形は光を放つ。

部屋の真ん中には異形の者が見えた。
それも見たこと無いぐらい気持ち悪い。
動かない。・・・彫像?

その下に石棺がある。
石棺を覗くと真っ黒い液体が入っていた。

2014/11/19 01:39  [1631-264]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

1話を短めにする作戦。


 〜 以下いきなり回想シーン 〜

前回と同じく決戦前夜の話。
チマ乱入後、半殺しにされた塚本が指輪の力で回復した後の事。

騎士「しかし、すごい力のマジックアイテムだな。」
塚本「あぁ、使い方次第で化ける。ある意味黄金のスケベ椅子より汎用性は高いかもな。」
チマ「それは何回でも使えるのかニャ?」
塚本「持ち主の魔術適性によるな。俺が使うと効果の大小によるけど、1日3回ぐらいかな?」

ちなみに「強制脱衣」は乱発可能、しかし「絶対零度」や「起死回生」は頑張って2回ぐらいだ。

塚本「騎士や魔女が持ってたら強力なメインウェポンになるんだけど。」
騎士「少なくとも、私には必要ないがな。」
チマ「人間兵器みたいなもんだからニャー。」
騎士「チマ殿も似たようなものだぞ?」
塚本「こらこら、喧嘩するなよ。それで本題なんだが、今の俺だと更に効果の大きな言葉は発動すらしないんだ。
   だから騎士には指輪の強化をお願いしたい。」

指輪を外して騎士に手渡す塚本。

騎士「それは構わないが・・・、私の魔力を織り込んだら一回の使用で壊れかねないぞ?」
塚本「ビリーへの切り札というか、保険になればいい。それで頼む。」
チマ「ちなみにどんな効果が発動されるニャ?」
塚本「あー、この指輪の文献が残っていてだな。
   『使うな危険ワード☆』にあった言葉なんだが、簡単に言えば対象を異空間に飛ばす事ができるんだよ。」
騎士「・・・それ、ガロン殿も巻き込まれるのではないか?」
塚本「戻る方法も書いてあったよ、でなきゃ文献なんて残ってないだろ?」
チマ「それもそうニャ。」
騎士「ならば良いのだが・・・。」

女の勘だろうか、騎士は魔力を籠めるのを渋っていた。
騎士の勘が当たっていた事は後で知る事となる。塚本は肝心な事を黙っていた。
文献では異空間に飛ばされたのは10人、その内戻ってきたのは1人だけだったのだから。

騎士は最後には魔力を籠めてくれた、黄金の指輪は真っ赤に輝く指輪へと変化したのだった。

 〜 回想シーン終了 〜


塚本「ビリー!」
ビリ「師よ・・・、今なら分かる。俺を更正しようとしてくれていたんだな・・・。
   こんな事になるまで気付かないなんて、出来の悪い弟子だったな。」
塚本「お前、死んで楽になるんじゃねぇぞ!生きて罪を償うんだ、ビリー!」

駆け出す塚本、あまりビリーを刺激したくは無いが仕方がない。
指輪の力は本当に最後の最後まで使いたくはなかった。
指輪の力で飛ばされる異空間は、確実にビリーには死ぬよりも辛い事になるだろうから。

ビリ「・・・どう償えと?今じゃ俺は歴史に名を残す大罪人だ。これから一人で向き合っていけと・・・?
   とてもじゃないが無理だ。俺は師のように強くはない。」
塚本「俺だって強くはねぇよ。ただ俺には仲間がいたからやってこれた!ビリー、お前にだっているはずなんだ!」

スっとビリーが手を前に出した。止まれの合図、塚本は仕方なく停止する。

ビリ「いないよ。俺は師と決別したあの日から、誰も信じずに生きてきた。
   そんな自分に、信頼できる関係の人間などいない。師の気持ちは嬉しい、それだけで十分だ。」

目を閉じて体を倒していくビリー、行き着く先は遥か下の地面だ。

塚本「させるかよ!今度こそ!可能性がある限り!てめぇの事は諦めないって決めてんだよ!
   だから、後悔しても知らねぇからな!」

塚本が折れた左手を掲げて叫ぶ。
禁断の4文字、真っ赤に輝く指輪が最初で最後の光を放つ。

塚本「無限回廊!」

パァァンと指輪が弾けて壊れる、後には何も残らなかった。
ビリーと塚本の動きが一瞬止まる、その後回りの空間全てに亀裂が走った。

ピシピシピシ、縦横無尽にヒビが入る。
それは魔女が影の世界を内側から食い破った状況と酷似している。
しかしここは現実世界、たかだかマジックアイテムで現実を侵食する事はできない。
これは、この現象は、塚本とビリーのいる空間がごっそりと切り取られているだけ。

コピー&ペースト、貼り付け先は知らない世界。
パリン、と世界が崩れる音がした。

2014/11/19 02:27  [1631-265]   

 幻月郎さん  幻月郎の縁側掲示板WANDERER

黒い液体がゆらゆらと波打つ。
ピチョン。

石棺の真ん中から真っ黒な赤ちゃんの姿が現れる。
黒い液体が流れ落ちると、人間の肌の赤ちゃんが現れる。

赤ちゃんは見てる間に成長する。
小さな女の子になる。
やがてすぐに少女となり、大人になった。
その姿は人間だった時の裸のビショップの姿だった。

石棺から降りてくるビショップ。
あまりの異様な光景に固まる山川に近づき抱きつく。

途端に肌が黒く液体化し、鼻、耳、口から侵入した。

「お前達がなぜ私に反抗しようつするのかわからない」
山川が目をくるんと上にむけてしゃべりだす。

「私はお前達の想像付かない大きな世界にいる。
 お前達の言う神などと言う物より遥かに大きい存在だ。
 アリが人間を認識できるか?それと同じことだ」

桃太郎がブレードを構える。
まだ復活出来てないのかそれ以上の動きはない。

「よく喋る神だな。お前は何やっても死なないというのはわかっている」

桃太郎がブレードを背中に収め、ポケットから小さな瓶を取り出した。
その瓶に黒い液体をすくってフタをする。

「そうだ、ニャルラトテップ。お前に良い知らせがある」

ニヤリと笑う桃太郎。

「クトゥグアが復活したようだぞ」




「キャアアアアアアア!!!!」

山川が叫ぶ。
黒い空間に吹き飛ばされる二人。





山川が気がつくと、部屋のかで立っていた。
人間が居住する為に作った部屋。
なんだか懐かしい。

「だれにゃ?」

女の子の声がした。
振り向くと猫耳の女の子がいた。

2014/11/19 02:30  [1631-266]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

一瞬にしてビリー鉄鋼魔城の最上階が元の姿に戻る。
破壊された壁や天井、塚本が蹴り抜いた床も最初に来た時の状態になっている。

結果、ビリーの自決は阻止された。

ビリ「な、何をした!?」
塚本「指輪の力で別の世界に飛んできた。
   無限回廊、ここは無限に存在する平行世界へのターミナルとなる場所だ。」

と言われてもビリーには何のことだか分からない。
とりあえずビリーは辺りを見回して見る、それはいつもと変わらない世界のようであるが・・・。

塚本「俺はこの後別のターミナルに飛ばされる。けど、まだ時間がある。
   注意点を幾つか説明するからちゃんと聞けよ?」

塚本が淡々と説明を開始する。それはここの世界のルールだった。

塚本「1つ、この世界では死ねない。元の世界と違って時間の流れがゆっくりなんだ。
   その為今の俺とお前の体は時間が止まっている。故に生から死へと状態が移行する事がない。ここまでは分かるか?」
ビリ「何となく分かるが・・・、そ、そんな事よりどうやったら元の世界に戻れるんだ!?」
塚本「順を追って説明する。2つ、この世界の扉の類は全部他の平行世界に繋がるゲートだ。
   平行世界の様子を見る事はできてもそこに入る事はできない。入る事ができるのは元の世界への扉だけだ。」
ビリ「扉の類って、全部で幾つあるんだよ!?」
塚本「平行世界の数だけあるな、つまり無限だ。」

事も無げにサラっと言う塚本。そんな中から元の世界への扉を見つけるのは不可能に近い。

ビリ「そんな!?それじゃあ俺も師も、元の世界に戻れないじゃないか!」
塚本「時間はたっぷりある、いつかは帰れるんだ。それまでに頭冷やしておけよ。」

確かに死ぬことは無いだろうが、一人ぼっちで先の見えない帰路を探すのは気がおかしくなりそうだった。

塚本「しかし安心しろ、元の世界に戻る方法がまだある。」
ビり「そ、それは!?」
塚本「3つ、元の世界から扉を開けてもらう事が可能だ。
   扉を開けられるのはビリー、お前の事を心から心配する第三者だ。」
ビリ「・・・え?」
塚本「その人がいる心当たりの場所を探せ、そこの扉なら元の世界に繋がってるはずだ。
   他の世界に繋がる扉は無限にあるが、元の世界に繋がる扉もお前次第で増えるんだよ。」

サーっとビリーの顔が青くなる。そんなの、一人だっているものか。

塚本「さて、そろそろ時間のようだな。」

見れば塚本の周りの空間が歪んでいる、別のターミナル世界に飛ばされるのだろう。
確かにこの世界の性質上、ソロでなければならないのだろう。

ビリ「ま、待ってくれ!他には、他には戻る方法はないのか!?」
塚本「ない。」

バッサリだった!

塚本の姿が揺らいでいく、肩を落としたビリーに言葉を投げかける。

塚本「俺としては死ぬために元の世界を探すんじゃなくて、生きる為に元の世界を探して欲しいところだな。」
ビリ「・・・こんなの、戻れる訳がない。」
塚本「大丈夫だよ。心配するな。」
ビリ「っ!根拠もないのに気休めは止めろ!」
塚本「根拠ならあるよ、だってお前は俺の息子なんだから。」
ビリ「・・・は?」

突然のカミングアウト!

塚本「大丈夫だって、いざとなったら先に俺が帰って迎えにきてやるから。
   まぁその心配は無いと思ってるけどな。じゃあな、しっかりやれよ。」
ビリ「ま、まて!今のは一体どういう・・・!?」

ブオン・・・、塚本の姿が消えた。

ビリ「と、父さん?あの変態が・・・?嘘だろ?」

心底嫌そうな顔をしているビリーであった!


飛ばされた先の塚本は、何だか大変なところにいた。

塚本「・・・砂漠?」

一面砂だらけ、鉄鋼魔城から大分離れたところである事には違いない!
鳥取砂丘とかだったら良いのにとか考えている塚本!

塚本「まじか・・・、海泳いで渡らないとかな・・・。」

呆然と立ち尽くしていたが、やがてノロノロと歩き出す塚本。

塚本「別府温泉かぁ・・・、行くか。・・・徒歩で。」


そして元の世界のビリー鉄鋼魔城の最上階、そこには姿を眩ませた塚本を探しに来た仲間達がいた。
彼らはくっそ汚い字で書かれたメモを見つける、そこには「べっぷおんせん、くとぐわ」とだけ書かれていた。


まさかの現地集合、そして更にまさかの第二部開幕のお知らせ。
この後ビリーのその後を書いて第一部完となります。疲れた・・・。

2014/11/19 03:28  [1631-267]   

 幻月郎さん  幻月郎の縁側掲示板WANDERER

「あのさ・・・君誰?」

山川がきょとんとして尋ねました。

「さあ?多分塚本の妄想の中の人物でしょうねえ?
 世界の橋渡しをする案内人ってとこでしょうか?」

「なにそれ?」

「さあ?幻月郎さんもこの辺よくわかってなくてどういう状況なのかは・・」

「だれそれ?」

「え?いま誰か言いましたか?」

部屋の壁に大きな猫の顔が浮かび、ニヤッと笑ってすぐ消えた。

「いやげんげつ・・」

「何も言ってませんよ。頭おかしいのですか?」

「あのさ・・まあいいや。とりあえずここどこ?」

部屋の奥の椅子に巨大な芋虫が水タバコを吸って煙を出すと消えていきました。

「多分・・塚本と同じ目的であなたの中の何かと塚本の魔法とシンクロしたみたいね」

猫耳の女の子がスマホを見ます。

「あ、遅刻遅刻!女王様に叱られる!」

女の子はふと窓を見ると、ものすごい速さで光が明滅してます。
あまりの明滅の早さに段々外はグレーになってきました。

「遅刻しちゃうわ」

そう言ったかと思うと女の子は部屋の扉を開けて出て行きました。

「うーん・・・どうなってんだろ?なんでここにいるんだろ?」

山川もあとを付いてドアを開けて外に足を踏み出した途端、

「うわああ」

真っ暗な世界に落ちていきます。
気が付くと砂漠の中に立ってました。

シーンとした音のない世界。
夜とも昼とも分からない世界。

が、やがてサササと風が砂を運ぶ音がして、気が付くと昼間になってました。

山川は遠くに何か動く物体を発見。
しかしよく見ると人間。
それも短い破れたTシャツ。

「へ・・変態かも・・」

すると向こうも山川を見つけたようです。

「おーい!」

山川はヤバイと言う気持ちでいっぱいでした。


2014/11/20 02:48  [1631-270]   

 幻月郎さん  幻月郎の縁側掲示板WANDERER

桃太郎はどこかの研究室にいた。
はっと気がついて身を起こす。

懐かしいピーチプロジェクトのラボ。
研究員と作業員が作業をしているが、動画の一旦停止をしたように止まっていて、
何故か向こうが透き通っていた。

ビショップがいつの間にか横に立っていた。

「ビショップ・・・どうなっている?戦況は?A地区への追加攻撃は?」

「わかりません」

「わかりません?分析はどうした!」

ビショップの肩をつかもうとしたが手が空を切った。
何か色のついた空気の中に手を入れたようだ。

「私はあなたの中の私です」

「わけがわからん」

「あなたがわからないのなら私もわかりません」

「すぐ作戦に戻る。塚本と紳士の戦闘準備はできているか?」

「まだ戦っているのですか?バカなやつだ」

その言葉使いに呆然とする桃太郎。

「・・・そうか・・俺はニャルラトテップに対峙して、クトゥバを倒すために・・・」

「やっと正気に戻りましたね。私の案内はここまでです」

そう言ってビショップはドアから出て行った。

「まて!待ってくれビショップ!なぜお前は・・」

追いかける桃太郎。

はっと気づくと原生林の中にいた。
目の前にビックリしたグリズリ。
思わずグリズリを殴って気絶させる。

「そうか、あいつ・・・塚本!お前だな!こんな訳の分からん所に飛ばしやがって!!」

脳と直結したCPUがGPSを呼び出す。
グーグルマップのビジョンが出る。

「がああ!こんな所に飛ばしやがって!後で脳内嫌がらせメールを大量に送ってやる!!!」

第一部 完?


2014/11/20 03:08  [1631-271]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

正直2部の構想が完全に無いのでビリーのその後を長く書いてお茶を濁す作戦。


ビリ「どのぐらい経った・・・?」

時間の感覚が無くなっている。ビリーはひたすら歩き続けて元の世界への扉を探した。
塚本はビリーと親しい第三者が元の世界への扉を開いてくれると言っていたが、
ビリー自身はその可能性は皆無だと思っている。
だからしらみ潰しに探す。

最初は道が無くなるまで北に向かってみた。
最終地点は流氷漂う極寒の海。
引き返そうと思ったが、その前に本当に死ねないのか確認するために海に飛び込んだ。

事前に体には傷一つつかない事は確認できている。
ならば窒息死や凍死はどうであろうか?
海の水は刺す様に冷たかった。
痛覚等はちゃんと機能しているようで、痛みと寒さは未経験のものだ。
呼吸に関しては苦しいとは感じなかった。酸素の供給はあまり必要でないのかもしれない。
しばらくすると寒さで体が徐々に動かなくなり感覚も無くなってきた。
深く深く沈んでいく中でふと思った。
もしこのまま体だけが動かなくなり、意識だけは冷たい海の底でハッキリしていたら?

ゾっとして必死に海から這い出した。

ビリ「はぁ、はぁ!うぅぅぅぅぅ!」

ビリーは泣いた、自身の覚悟の無さに。
誰かの助けが期待できないこの世界で、そんな事になったら永遠にそのままだ。
罪を償う気ではいたが、そんな永遠の苦しみを味わう覚悟は無かった。
死に逃げるのは、楽な選択肢だったのだと痛感する。

同時に思う。ここ、無限回廊は思ったよりもたちが悪い。

ビリ「師め・・・、とんでもないところに招待してくれたな。」

ビリーは塚本が父と分かった今でも師と呼んでいる。
父親に対しては何も感情が無かったのだが、正直今は困惑していた。感情が全然追いついていない。

そんなこんなでビリーは元の世界探しを続行する事にした。
元の世界に戻る大きな理由は死ぬためだったのだが、海での一件でもう死ぬ気は無くなっていた。
ある意味塚本の狙い通りではある。
今のビリーの目的は、とにかくこの無限回廊から脱出をしたい、それのみだ。

ビリ「しらみ潰しは現実的ではないか・・・。」

塚本の言葉を再度思い返す。

自分の事を心配してくれている人がいる場所を探せ。

ビリーは避けていた場所、自身が過去にいじめられていた場所、そいつらに報復をした場所、
昔住んでいた街を目指すことにした。
正直、恨みを買った覚えしかない。元の世界に戻れる可能性は皆無だと思うが、とにかく目的地が欲しかった。

電車の走っていない線路を歩いて目的の駅まで到着した。
普段であればどの時間帯も比較的人が多いところなのだが今は誰もいない。
線路を横断して駅から出てもよかったのだが、何となく階段を登って自動改札を出ようと考えた。

その行動に何ら意味はない、どうせ自動改札なんぞジャンプで無視するつもりだった。
しかし何の因果か自動改札の先には、見た事の無い女性がいた。

ビリ「・・・え?」

おかしい、ここには現在ビリーしかいないはず。
長期間の間一人でこの世界にいたせいで幻覚でも見ているのではないだろうか?
ビリーが自身の正気を疑っている間にその女性は口を開いた。

??「うわ、あんた、筋肉ダルマになってるじゃん。ひくわー。」

何か知らないけど罵倒された!

2014/11/23 10:35  [1631-283]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

謎女「私の事覚えてる?」

ビリーは女性の事を目を凝らしてよーく見てみる。ショートカットで若干童顔。

ビリ「胸は控えめだが、全体的なバランスはとてもいい。ショートパンツから伸びるカモシカのような脚は・・・。」
謎女「声に出てる、声に出てる。」

しまった。最近人と喋ってないせいか独り言が多いのだ。

謎女「で、私の事は覚えているのかな?」

問題はそこだった。なんとなーく見た事がある気もするのだが、正直全く何も覚えていない!
というかもうほぼ知らない人だった!

ビリ「も、勿論覚えている!えー・・・、あー!おっぱいパブのカナタちゃんだ!Bカップ担当の!」
謎女「殺すぞ。」

すげぇドスのきいた声ですごまれた。めっちゃ怖い。

ビリ「あのー、水商売の人で間違いないんだよな?」
謎女「いや、間違いだよ。少なくともそっち方面の仕事じゃない。」
ビリ「・・・じゃあ、分かんねぇよ。」
謎女「もう分かんないの!?」

結構ショックを受けているようだった。
その様子を見ると若干申し訳なくなってくるが、実際問題覚えていないのだから仕方がない。

謎女「はぁ、覚えてないのか・・・。まぁ昔の話だから仕方ないのかもしれないけれど・・・。」

昔?昔というのはどれくらい前の事であろうか?
そういえば過去の記憶は恨みつらみの学生時代ぐらいしか無い気もする。
謎の女性はその件には触れずに話を先に進める。

謎女「ねぇ、あんたどうせ暇でしょ。その子の面倒見てあげてくんない?」
ビリ「その子?」

謎の女性が指差した方を見てみる、が、そこには誰もいない。
怪訝に思い女性に視線を戻す。

ビリ「おい、その子ってどこに・・・、ってあれ?」

ビリーが振り向いた時には、そこには誰もいなくなっていた。
近くに身を隠す場所などはないようだ、離れた場所に物陰があるといえばある。
しかし今のちょっとの隙に音も立てずにそこまで移動できるとは思えなかった。

ビリ「どうなってる?やっぱり俺の幻覚か?」

再びビリーが自身の正気を疑い出したその時、ガシっと何者かに足を掴まれた。

ビリ「へ!?」

ビックリして下を見る。
警戒心の強いビリーがそこまで接近を許すはずはない。だがそこには幼稚園児ぐらいの子供がいた。
ビリーの足をガッチリ掴んでいる。背はビリーの太ももぐらいまでしかないようだ。
ここまで身長差があれば先程見逃していたとも考えられるが、何となく腑に落ちない。
そんな事を考えているビリーにはお構いなしで幼女は話かけてくる。

幼女「おっさんだー。」
ビリ「いや、おっさんって・・・、っていうかお前どこから?」
幼女「ぐんまー。」
ビリ「そういう事じゃなくて。今まで何処にいた?」
幼女「ちゅうしょうてきなしつもんですな?」
ビリ「別に抽象的ではないと思うが・・・。」
幼女「いちからか?いちからせつめいしないとダメか?」

憐れな生き物を見るかのような幼女の視線!
ビリーの額に青筋が浮かび上がる!

ビリ「おぉぅ上等だ!一から説明してもらおうじゃねぇか!」
幼女「ふー・・・、おっさんはバカだなぁ。」
ビリ「バカって言う方がバカなんですー!バーカバーカ!」

低レベルな争いが始まってしまった!
不要な会話はスキップするが、何とか糞生意気な幼女とコミニュケーションをとる事には成功した。

ビリ「ええと、つまり迷子という事でいいんだな?」
幼女「ベタなせっていでもうしわけない。」
ビリ「いや、別にベタとは思わんが・・・。」
幼女「とりあえず、わたしをおうちにつれていって。あんだーすたん?」
ビリ「それはいいんだけどよ。お前、自分の家分かるの?」
幼女「ぎゃくにきくけど、わかるとおもった?」
ビリ「うおー!こいつめっちゃ腹立つ!」

こうして半強制的に幼女の家探しという良く分からないイベントが追加された!

幼女とビリーはとりあえず歩き出す。
とは言っても歩幅が全然違うので普通にビリーが歩いたらぶっちぎってしまう。
ビリーは先を急ぐでもないので幼女の歩幅に合わせてやる事にした。

幼女「こっちのようなきがする。」

ポテポテと幼女が歩いていく後をビリーが付いていく。何ともシュールな光景。

ビリ「はぁ・・・、まぁ一人でいるよりかは大分マシか。」

ビリーと幼女の小規模な冒険がはじまる!

2014/11/28 00:39  [1631-299]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

ビリーと幼女は特に会話するでも無く道を歩く。
一般的な民家が立ち並ぶその区画はこの街に住んでいたビリーも見た事がない。
ぶっちゃけ友達とか皆無だったので、特にスーパーとかがある訳でもないここら辺には来る用事がなかったのだ。

そんなビリーでも分かる事がある。
ここの道はさっきも通ったという事だ!

ビリ「・・・なぁ。」
幼女「まて、そのさきはいうな。」

人差し指を口の前で立ててシーっとする。
なんでだろう、幼女の行動がすごいムカつく。

幼女「おっさん、これからじゅうようなおしらせがある。」
ビリ「・・・おぉ、なんだ?」
幼女「どうやら、わたしたちはみちにまよったみたいだ!」
ビリ「おう!知ってたぜ!大分前からな!」
幼女「おかしいなぁ、めじるしのわんわんがいなくなっちゃった。」

どうやら犬を目印にしていたようだ。だがしかし今のこの世界では犬や猫は見かけない。
幼女の家探しはいきなり暗礁に乗り上げてしまったようだ。

ビリ「お前んちはここら辺なのは確かなのか?」
幼女「・・・。」
ビリ「ん?どうした?」
幼女「つかれた、もうあるけない。」
ビリ「はぁ?」
幼女「あと、おなかへった。」
ビリ「ちょ、ちょっと待て、お前ってお腹減るの?」
幼女「?へるが?はらぺこりーにゃだが?」

ハラペコリーニャは良く分からなかったが、その事実にビリーはビックリする。
この世界に来てビリーは食事どころか水分補給もしていない、空腹や渇きを感じなかったからだ。
しかしこの幼女に至っては普通に生理現象があるらしい。

幼女「もうおっさんちでいい。ごみやしきでもがまんする。」
ビリ「人の家を勝手にゴミ屋敷にするな。ちゅーか何でお前を我が家に案内せにゃならんのだ。」
幼女「おっさん、よくみたらかっこいいな。」

幼女のあざといゴマすり作戦がはじまった!

ビリ「ふっ、具体的にどのぐらいカッコイイ?」
幼女「じんるいいがいにだいにんき。」

もう終わった!

ビリ「意味ねーなオイ。はぁ・・・、まぁいいか。10分ぐらい歩くが、そこまで頑張れるか?」
幼女「おう。」

そう言いながらビリーの元にフラフラと寄って来る幼女、その足取りはおぼつかない。
演技のようには見えなかったし、ビリーは小さい子の面倒など見たことなかったので少し心配になった。

ビリ「・・・しょうがねぇな。」

ガシっと幼女の両脇を掴んでそのままお姫様抱っこ。幼女の体はビックリする程軽かった。

幼女「・・・もう、およめにいけない。」
ビリ「何でだよ!?」
幼女「こんなところを、つっくんにみられたらごかいされちゃう。」
ビリ「じゃあ降りるか?」
幼女「このままでいい。つっくん、ごめんなさい。」

誰だよつっくんって。

余程疲れていたのか幼女はビリーの腕の中で大人しくしている。
とりあえずビリーは自宅に向かう途中のコンビニに寄ってみた。自分はともかく幼女の食べ物を確保しなければ。

ビリ「・・・よかった。商品は普通にあるんだな。」

安心すると同時にビックリした、少し前のビリーであれば子供の一人や二人平気で放っておいたであろう。
しかし今の自分は食べ物を確保できた事に心底安堵していたのだ。

ビリ「・・・どっちが、本当の俺なんだ?」

その答えは未だに出ていない。

幼女「あー、○リキュアのパンだー。」

幼女が○リキュアに反応する。
それはシールのおまけが入ったパン。子供をターゲットに絞った小賢しい販売戦略。
しかしそれが売れるのは○ケモンや妖怪ウォッ○などで実証済みだ!

ビリ「これだけだと体に悪い気がするが・・・。」

あとちゃんと食べられるか心配だった。毒味をしなければならないだろう。

幼女「あと、こーんすーぷのみたい。」
ビリ「インスタントコーナーだな、・・・クルトンが入ってねぇヤツしかない。」
幼女「わたしはとうもろこしでもいい。」
ビリ「俺は断然クルトン派なんだが・・・、別にいいか。」
幼女「しまった、ぷりんをわすれていた。」
ビリ「お前いつもそんな偏った食生活してんの?」
幼女「ぷりんはかんぜんえいようしょくひんだから。」
ビリ「それ卵だろ!?」

食い物が絡むと良く喋る二人だった。この後飲み物やらアイスやらも回収した。
ビリーは黙って商品を持っていくのが気が引けたので、持っていった商品を紙に記載してレジに置いてきた。

ビリ「請求先はガロン塚本っと・・・。」

異世界で地味な嫌がらせをする息子だった!

2014/11/30 18:58  [1631-308]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

ビリーと幼女はようやくビリーの家に着いた。
買い物袋を片手に持つ必要があったので、今は幼女はおんぶで背負っている。

ちなみにここは実際にはビリーの家ではなく、ビリーを引き取った親戚の家にあたる。
ビリー自身、ここに戻ってくるのはめっちゃ久しぶりだった。

ビリ「嫌な事思い出しちまった。」

ここに来て記憶が蘇る、親戚の叔母とは折り合いが悪かった。
学校でも居場所が無いビリーだったが、この家にも居場所は無かった。
だから家を出るとき、叔母を・・・。

ぶんぶんと頭を振って昔の記憶を振り切る。
今はそんな事よりも早くこの幼女を休ませなければならない。
寝ているのかさっきから全く動かない。
ついでに何か冷たいものがビリーの肩を垂れてきている、ヨダレかもしれない。

ビリ「勘弁してくれよ・・・。」

ガラガラと玄関を開ける、鍵はかかっていなかった。

裸足で今まで歩いていたので足の裏がめっちゃ汚い。ビリーは来客用のスリッパを履いて中に入った。
居間に幼女を置く。おんぶから上手く寝かせる事ができず、若干乱暴になってしまったが幼女は無反応。
スカースカーと寝息を立てていた。起きる気配はなさそうだ。

念のため一通り家の中を見てまわる。
電気も付くしガスも使える、トイレの水も流れるし家としてちゃんと機能していた。
当たり前なのだが、叔母の姿はどこにもなかった。それに安堵する。

ビリーは来客用の布団を出してきて居間に敷く。
幼女はもうガン寝だ、起こさないように抱きかかえて布団に突っ込んだ。

ビリ「風呂、歯磨き、着替え・・・。必要だろうな明日考えるか。えと、靴下だけ脱がしておくか。」

布団をまくって靴下を脱がせる、その足は靴擦れで若干出血していた。

ビリ「あー、無理させちまってたのか・・・。ってかこいつ怪我もすんのか、気をつけないとだな。」

この世界ではビリーは怪我もしないし腹も減らない、人間らしい事は何一つしていなかった。
しかし目の前のこの幼女は普通に人間だった。腹も減るし怪我もする。ビリーがしっかり見てあげないといけないようだ。

ビリ「寝てる隙に消毒して絆創膏でも貼ってやるか。ちゅかこいつの足、すげぇ小さいのな・・・。」

足の指、手の指なんかは特に小さい。
ビリーは子供を持ったことはなかったが、何だか妙な感動を覚える。

ビリ「これが大きくなって、そこら辺の女子高校生みたいになるんだろ?すげぇよな・・・。」

例えが女子高校生というのが何だかいやらしかった!

ビリ「俺みたいな人間が面倒みていいのか・・・?」

『何か難しい事考えてる?』

頭に声が響く、この声はつい最近聞いた覚えがある。

ビリ「自称水商売の謎の女か。」

『だから違うっての、自称もした覚えないっつの。・・・で、何を考えていたの?』

何故か姿は見えないが会話可能なようだ、もう幻聴の類でもいいので心境を吐露させてもらおう。

ビリ「いや、こーゆー子供の世話したりだとかはさ、大変だと思うんだ。
   だけど、上手く言えないが、それって親にとっちゃすっごい幸せな事なんだろなって。」

『それで自分が面倒みていいのか?とか言ってたの?』

ビリ「それもあるが・・・、俺みたいなたくさん悪さしてきた人間が、そんな事思っちゃいけない気がしてな。
   こういう幸せって善良な一般人に許された特権っていったらいいのか・・・。」

『ふぅ〜ん、考えすぎだと思うけどね。』

ビリ「とにかく、早く親御さんのところに帰してやらないとな。」

『それはもうちょっと待っててくれないかな。その子の両親、離婚して親権を押し付けあってるところだから。』

ビリ「え?」

『善良な一般市民でもね、子供が邪魔って事あるのよ。あんたなら分かるんじゃないの?』

ビリーも両親から離れて暮らしていた身ではある、しかし何故離れなければならなかったのか?
理由は教えてもらえなかった、しかしビリーが邪魔だった可能性もなくはないのだろう。

『その子が邪魔な善良な一般人と、その子の事を考えてる悪人のあんた。
 私としてはあんたに任せておきたいの。そゆことなんで、しばらくお願いねー。』

ビリ「あ、おい!ちょっと待てよ!」

謎の女性の声はもうしなかった。居間にはスースーと寝息を立てる幼女の音だけが残った。

ビリ「こいつが・・・、邪魔?」

確かに生意気な糞ガキではある、しかし寝顔は可愛いかったりする。
こんな顔を見てしまったら、自分の子供が誇らしくはないのだろうか?
ビリーには良く分からなかった。
睡眠も必要としないビリーは寝ることもできず、ただ幼女の傍で考え事をしていた。

2014/11/30 19:01  [1631-309]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

翌朝、幼女が目を覚ましてからが大変だった。

幼女「あさはゴハンがいい。」

と言い出して○リキュアのパンに一切口を付けなかった!
ご飯も炊いてないので仕方なくコンビニまでレトルトのライスを買いに、もとい頂戴しにコンビニへと走る。
少しの時間だからと子供を一人残してはいけない、その言葉を身を持ってビリーは知ることになる。

ビリ「んん!?ガスくさっ!」

ガスの元栓が開けられていた!何故ピンポイントでそこを狙ったのかと言いたくなる!
そして肝心の幼女は、風呂場でバッチャバッチャ遊んでいた。服を着たまま。

ビリ「なんで!?」
幼女「ちく20ねんはたっていますな?」
ビリ「なんで分かるの!?」
幼女「これだとかいてはつきませんよ?」
ビリ「ほっとけよ!そんな事より早く出ろ、風邪ひくだろ!」

無理矢理風呂から引っ張り出して服を剥ぎ取る。水分吸ってめっちゃ重い。

幼女「・・・もう、およめにいけない。」
ビリ「大丈夫だ、つっくんとか言うヤツがもらってくれるだろ。」
幼女「・・・そうかな?」
ビリ「おー、そうそう。だから胸を隠すな!拭けねぇだろ!」
幼女「あぐねすにおこられる。」
ビリ「これで怒られたらその法が間違ってんだよ!」

とんでもないところに喧嘩を吹っかけるビリーだった!

ちなみに朝ごはんは、

幼女「やっぱりパンたべる。」

という幼女の爆弾発言により事なきを得た。
ビリーは、

ビリ「ばっびょーん!」

という謎の奇声と共に壁に頭突きをかまして怒りを抑えていた!

次にやる事は洗濯に脱水、乾燥だ。幼女の着るものが本格的に無くなってしまった。
どうせ誰もいないのでバスタオルで巻いてそのまま買い物(略奪)に行ってしまってもよかったが、流石にそれは気が引けた。
年中半裸なビリーでも一般常識みたいなものはあるのだ!

幼女「ひまー、ひまひまー。」

足をバタバタさせて暇アピールをする幼女。
残念ながらテレビは番組が放送されていなかった。どのチャンネルも砂嵐。
ビリーにはこのぐらいの年齢の女の子が喜びそうな娯楽を知らない。

ビリ「ううーん、映画でも見るか?」
幼女「なにがある?あなゆきか?」
ビリ「そんなに新しいのはねぇよ、あー、ト○ロとか見た事ある?」
幼女「ないー。」
ビリ「じゃあこれでも見てろ。」

DVDは普通に再生できた、食い入るように画面を見つめる幼女。
画面に近づき過ぎないように注意をし、幼女が見える範囲で家事をこなすビリー。
風呂掃除に洗い物、洗濯物を干してからついでにトイレも掃除して・・・。

ビリ「久しぶりにやったが・・・、やっぱ大変だぞ!主婦の皆さんは毎日こんな事やってんのか!?」

これで幼稚園の送り迎えとかご近所付き合いとかあると思うとゾっとする。
そんな事を考えていたら幼女がとことこと近づいてきた。

幼女「おわったー。」

目をキラキラさせている。流石ジ○リだぜ!感想は聞かないでも分かったが、とりあえず聞いてみる。

ビリ「面白かったか?」
幼女「うん!ネコのバスがねー、こうやって・・・。」

何やら身振り手振りで説明してくれるが、何をやっているのかさっぱり分からなかった!
とりあえず、うんうんと適当に相槌をうちながら話を合わせるビリー。

ふと時計を見てみると時刻は昼をとうに過ぎていた。

ビリ「なぁ、腹空かないか?」

自身は全然分からなかったので話の合間を見て幼女に聞いてみる。

幼女「うん、すいた。」
ビリ「ですよねー!くそ、もう服乾いたかな。出かける準備するぞ。」
幼女「あいあいさー。」

割と大人しく言う事聞いてくれた。ジ○リ効果かもしれない。流石ジブ○だぜ!

そこそこ乾いた服を着させて、近所の後部に子供が乗れる自転車を借りてきた。
靴擦れしちゃってたし、遠出するので仕方ないと言い聞かせてパクってくる。幼女は大喜びで乗っていた。

目的地は市外の割と大き目のデパート、日常生活に必要な物は片っ端から持っていく。
その日は疲れないはずのビリーもクタクタで、幼女と一緒に布団で休んだ。


そんな平和で平凡な毎日が続いていった、昼は幼女の世話をしつつも一緒になって遊ぶ。

風呂場での巨大シャボン玉作り、アニメDVD鑑賞、買い物カートでのデパート爆走、
公園での遊具遊び、ねずみ花火大量着火による擬似う○こ作り。

ビリーも童心にかえれたのだろうか、すっごい年の差はあったが普通に楽しんでいた。

夜は夜で謎の女性との会話。
主に幼女の話題がほとんどだったが、それはそれでビリーにとっては楽しみの一つではあった。

二人だけしかいない世界でこんな毎日が続けばいいと、半ば本気でビリーは思い始めていた。
しかし、終わりはいつだって唐突にやってくる。


ある日からビリーは幼女が寝た後、ずっと台所にこもっていた。
生鮮食品が全く傷んでおらず、食用できる事に気づいてからビリーは料理の練習していたのだ。
包丁の使い方や味付けは謎の女性が教えてくれる。はたから見るとビリーは完璧に主夫と化していた。

ビリ「よし、そろそろ起こすか。」

朝日が昇ってきたので幼女を起こしにいくビリー。

ビリ「おい、そろそろ起きろ。朝飯の時間だ・・・、って熱い?」

幼女の顔が赤く火照っている、呼吸ははぁはぁと苦しそうだ。

ビリ「・・・熱、結構あるぞ。おい、大丈夫か!しっかりしろ!」

ゆさゆさと揺すってみたが、幼女からの反応は無かった。

2014/11/30 19:04  [1631-310]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

ビリーはダッシュでコンビニまで行き、ダッシュで自宅に戻ってきた。
持ってきたのは大量のポ○リやアク○リアス等の飲み物、水分補給用だった。

一度目を離した隙に大惨事になっていた事がある、今回もそうなっていないか期待した。
ビリー的にはそうなっていて欲しかった。
しかし幼女は布団の中から動いてはいなかった。出てきた時と同じ状態だ。

ビリ「このままじゃ冷たいか・・・?」

とりあえず水分補給用の飲み物を常温になるように暖めた。
幼女の体を起こしてコップを口まで持っていく、コクコクと少し飲んでくれた。

ビリ「よかった・・・、って全然状況は改善されてねぇんだよな。おかゆもあるが、食べられそうにないよな・・・。」

ビリーにはどうしていいのか分からなかった。
薬も持ってきているが、空腹時は避けて下さいとか書いてある。
小さいお子様には〜的な注意書きもあり、本当に飲ませていいのか判断が付かない。
医者なんて勿論いるはずもなく、誰かの助けは期待できない。

ビリ「くそ!インターネットも使えから調べられねぇし、どうすりゃいいんだよ!」

何もできない苛立ちがビリーを焦らせる。このままじゃ最悪の場合、死んでしまう事だってあり得る。

・・・死ぬ?こいつが?

ゾワゾワっとビリーの背筋を得たいの知れない感覚が襲った。
ガタガタと体が震える。別にビリーまで体調を崩したという事ではない、それは恐怖からくるものだった。

怖い。目の前の幼女が死んでしまう事が、いなくなってしまう事が、怖くて怖くてたまらなかった。

少し前までは自分を殺してしまう事も考えたビリーであった。
その時も恐怖は感じてはいたが、ここまでの感覚ではなかった。全くの別次元。
目の前の自分以外の人間が死ぬという事が、こんなにも怖いなんて!

ビリ「うううううう!」

ビリーはパニック寸前であった、幼女を布団に包んで抱きかかえる。
まるで大切な宝物を扱うかのように慎重にゆっくりと。
ビリーはそのまま外に飛び出していってしまう。

ビリ「はぁはぁはぁ!」

全力疾走、目指すは近くにあった小児科だ。
それは冷静な判断とは言えなかった、行ったところで誰もいないし治療をビリーが行える訳でもない。
だけど、ジッとしてはいられなかったのだ。

目的の小児科に到着したビリーは、扉を蹴破って中に入る。

ビリ「誰かいませんかー!」

勿論反応は無い。受付に人はいないし、奥に行っても誰もいない。
ただ病院独特の臭いがするだけだった。

ビリ「くそ!何かねぇのか!」

幼女を診察室のベッドに横たわらせ、ガチャガチャと物色するビリー。
色々な医療器具があるが、ビリーに分かる訳はなかった。

ビリ「ん?これは・・・?」

それは深夜でもやっている病院のリストであった、住所も記載されている。
ビリーはその中で一番近い大きな病院に行く事にした。

ビリ「ダメ元だ・・・、もう少し我慢してくれな?」

幼女に話しかけてみるが相変わらずの無言、それよりか更に具合が悪くなっているようにも見える。

ビリ「畜生、こんな事になるんなら!こいつだけでも元の世界に帰しとけば良かったんだ!」

俺の馬鹿!と壁に頭突きをかますビリー、ボコンっと壁には大きな穴が空いてしまった。
ここの小児科にとっては大迷惑である。

自身の行いを後悔するビリーだったが、その後悔は意味のないものかもしれない。
幼女を元の世界に帰せたかどうかは置いておいて、ビリーが幼女と一緒にいる事を望んでしまったのだ。
帰せたとしても、帰さなかった可能性はある。
こんな世界で、縋れるものがこの子しかいなかったのだから。

ビリ「ぜぇぜぇぜぇ!」

幼女を抱えて休む事無くビリーは爆走する。
目的の病院に着いたが外から見ても分かるぐらい、そこにも人の気配はなかった。

ビリ「まだだ、中に人がいるかもしれない!」

ビリーが病院内に入っていこうとしたところで、夜でもないのに謎の女性の声が聞こえてきた。

2014/11/30 19:06  [1631-311]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

謎の女性の声はビリーと違って落ちついている。

『ストップ、そこにも医者はいないよ。少し落ち着きな、その子を助ける方法がある。』

ビリ「本当か!?どうすればいい!」

『元々その子をこっちに連れてきたのは私だからね。単純な話、その子を元の世界に帰せばいい。』

ビリ「できるのか!?どうすればいい!」

『だから落ち着きなって、今から元の世界への扉を開けるよ。だけど、その扉は一人用だ。』

ビリ「つまり、幼女は助かるという事だな!さぁ開け、早く開け!」

『・・・あんたは帰れないって言う事なんだけど、それでいいの?』

ビリ「・・・言うなよ、そういう事をさ!覚悟が鈍っちまうだろ!本当は俺も帰りたいよ!」

ぶっちゃけるビリー!こういうところは素直だった!

『・・・元々ね、その子はあんたを元の世界に戻すために連れてきたんだ。
 だけど、少し誤算だったのは、その子もあんたと一緒にこっちの世界にいたいって思うようになっちまったって事。』

ビリ「え?」

胸元の幼女を見る。相変わらず苦しそうなのが可哀想でジッと見てはいられない。
しかし、その話が本当だとするならば、ビリーが幼女と一緒にいたいという思っていたように、
幼女もビリーと一緒にいたいと思っていてくれたのだろうか?

『元の世界に戻ったところで、現実は家族離散でその子は祖父母の家行きだろうね。
 そんな環境だったから少し人間不信気味のその子が、あんたと離れたくないって言うのは意外だったよ。懐かれてたんだね。』

ビリ「そうなのか・・・?お前、こっちの世界にいたいのか?」

胸元の幼女に問いかける、答えは期待していなかった。
が、幼女はうっすらと目を開けて答えてくれた。

幼女「いたい。・・・おっさんの、わらったかお、すき。パパとママみたいな、うそのかおじゃないから。
   わたしといっしょにあそんでくれて、わらってくれて、すごいうれしかった。」

つっかえつっかえだが幼女が喋る、その呼吸は相変わらず荒い。
無条件に全ての人から愛されていると思っている幼少期。
しかしこの幼女は両親の仮面の笑顔を見抜いている。
どんな環境で育ってきたのかという疑問と同時に、幼女の両親に言いようの無い嫌悪感を抱く。

ビリ「だからって、こっちの世界には俺しかいないんだぞ?
   元の世界にはたくさん人がいて、お前を好きなヤツもたくさんいると思うぞ?」

嫌なヤツもいるだろうが、良いヤツもいるはずだ。少なくともこっちの世界よりかは健全だろう。

幼女「でも、もとのせかいには、おっさんはいないんでしょ?そんなの、いみない。
   わたしは、せかいとかどっちでもいいの、いまのおっさんといっしょにいたい。いまのおっさんが、すき。」

幼女はわざわざ、おっさんの前に「今の」という言葉をつけてきた。
それはビリーが常日頃から疑問に思ってきた事に対する一つの答えであった。

昔の自分か、今の自分か、どっちが本当なのか分からない。

この幼女はそんなビリーの悩みを見抜いた上で、今のビリーが好きだと言ってくれたのだ。

唐突に感情の波が押し寄せる、涙が目の奥から溢れ出しそうになるがグっと堪えた。
救われた。
今の自分でいいと、大切な人に認めてもらえた。
好きというたったの一言で、ビリーの心の奥底にあったモヤモヤが全て吹っ飛んだ気がした。

この小さな女の子によって、ビリーはようやく自分を取り戻せた。
本当に、本当に本当に、生意気であったが良い子だと思う。・・・ならば、やるべき事は決まっている。

ビリ「・・・おい、扉を開いてくれ。こいつだけでも帰すぞ。」

『いいの?その子の意に反するから、強制送還になっちゃうけど。そうするともうその子こっちの世界にはこれないよ?
 あんたの帰りが無期限に延期されるようなもんだよ?』

ビリ「構わん、早くしろ。」
幼女「おっさん・・・、やだ。」
ビリ「今生の別れみたいな顔してんじゃねぇよ、俺は意地でも元の世界に帰る。またあっちで遊ぼうぜ。」

ニカっと子供のように笑うビリー、その笑顔に嘘偽りはないと幼女にはすぐ分かった。

幼女「・・・ん、まってる。」

幼女はそれだけ言ってまた目を閉じた。
いつの間にか病院の前にはポッカリと小さな四角い扉が出来ていた。
その大きさは確かに幼女一人用だ。ギギギと扉が開き、元の世界の様子が見える。
人がたくさんいる懐かしい風景だった。

ビリ「こいつの事よろしくな。元気にしてやってくれ。」

『ん、私もこっちの世界にはもうアクセスできないけど、・・・思い出して。思い出してくれたら直ぐに迎えにこれるから・・・。』

ビリ「そうだったな、そういえばそんな話もあったよな。頑張って思い出してみるよ。」

ビリーは扉の中に幼女を押し込んだ。扉を閉めると、スゥっと扉が消えていく。
最後に、微かだが謎の女性の声が聞こえた。

『待ってるからね、つっくん。』

どこかで聞いたような言葉をビリーに向かって呟いた。
ビリーはまたしても独りになってしまった。

2014/11/30 19:10  [1631-312]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

ビリーはモタモタと自分の家への道を戻る。

ああは言ったが、謎の女性を思い出す手がかりもないし、元の世界に戻る方法も見つからない。

ビリ「あぁー、もうどうっすかなぁ!おっさん、マイッチングだよ!」

何だかやたらとテンションが高い、大声を出して道を歩く。

ビリ「ここら辺のコンビニにはきた事がなかったなぁ、後で一緒に・・・。」

言いかけて止めた。
その後は無言で自宅まで戻る。
正直もう自宅まで戻る必要なんてないのだが、すっかり習慣になってしまった。

長時間かけて戻ってきた。
玄関を開けて一瞬止まる、あいつの靴がある。デパートで一緒に選んだものだ。

ビリ「そうか、いや、俺相当テンパってたんだな。靴も履かせないなんて・・・。」

気に入ってたみたいだから、今度持っていってやろう。
・・・今度っていつだ?

なるべく見ないようにして居間に上がる。
そこには布団が敷いてある、近くのカラーボックスの中には幼女の着替え。
中庭を見る、洗濯物が干してある。そのサイズはどれも小さく、色もカラフルで可愛らしい。
台所にいく、調理途中の料理だ。食べさせる相手はもういない。
近くには○リキュアのパン、たくさん置いてある。ビリーには甘すぎて無理だ。
冷蔵庫の中、たくさんのヨーグルトやプリン。冷凍庫、数々のアイス。

どれもこれもビリーには必要のない物だった。

そして見ないように、考えないようにしているのに、どうしても視界に入ってくる。
幼女がここにいた痕跡が。
死に別れた訳ではない、むしろ再会できる可能性はあるのだ。

しかし、何なんだろうか?この言いようの無い喪失感は。

ビリ「う、うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

たまらなくなってビリーは叫び出す、折角戻ってきたのに再度家を飛び出す。
無茶苦茶に走る、目的地なんてなかった。ただ叫びながら走るだけ。

ビリ「あああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

寂しい、辛い、幼女が元の世界に戻れて、それで良かったと思っていたのに。
感情が溢れ出す、制御ができない。
自分はここにいるんだと、叫びながらひた走る。

ビリ「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!!」

初めてこの世界に来た時にも味わった事の無い感情。
幼女と出会ってしまったから、初めて気付いてしまった。
お前は孤独なんだと、今まで考えもしなかった事実を、この世界から突きつけられているようだった。

無意識の内にビリーは謎の女性と幼女と、初めて出会った駅まで来てしまっていた。
当然の如く、そこには誰もいない。
あの時あそこで出会えていたのは、本当に奇跡なんだと痛感する。

ビリ「誰か、誰かいないのか!?うおおおおおおおおおお!!!」

傍から見ればただの危ない人だ、でもビリーは初めて他人を求めた。
涙でぐちゃぐちゃの顔で、恥も外聞も捨てた大声で、必死に助けを求める。
答えはない、当たり前だった。分かっていた事だ。

ビリーは駅の真ん中で大の字になって寝そべる。自身を落ち着かせるためだ。
ひんやりとしたコンクリートの床は火照った体には気持ちがよかった。

ビリ「・・・絶対戻ってやる。そんで、絶対あいつらに会うんだ。」

もし会ったらどうしようか、嫌味なぐらいの○リキュアのパンでも買っていってやろうか?
そう考えたら、少し楽しくなってきた。

ビリ「待ってろよ。」

ビリーは新たに元の世界に戻る決心をした、はっきりとした目的を胸に。
その目には希望の光が宿っていた。


長いと思ったそこのあなた!残念、まだ続きます!
次回、市役所で個人情報を漁るビリーに衝撃の情報が・・・!ビリーは開いたファイルをそっと閉じた。

2014/11/30 19:12  [1631-313]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

あ、やっぱり流れ的に市役所にはいかないかも!新手の予告詐欺だよ!


ビリーは謎の女性を思い出す。
それが元の世界への一番の近道だと信じる事にした。
まずは謎の女性を同級生、もしくは学生時代の知り合いと仮定する。

ビリ「そうなると・・・、卒業アルバムとかか?」

うわー、正直見たくねぇーとビリーは思ったが、何か分かるかもしれないと自身の部屋を漁る。
ガサゴソガサ、・・・しかし見つからない。
あるのは自身の更に小さい頃の写真、昔チラっと見てすぐにしまったものだった。
中身も見ずに脇に置く。そしてふと思い出した。

ビリ「あれ、そういえば俺。卒業アルバムとか河原でファイヤーした覚えがあんな・・・。」

ビリーは集合写真がことごとく右上の楕円の中に写っていた記憶がある!
あれって逆に仲間外れ感が半端ないけど、今もあの嫌がらせみてぇな方式を採用してんのかな?
話が逸れた。

ビリ「学校・・・、行くか・・・。」

二度と近寄るつもりもなかったが、そんな事も言っていられない。
目指すは学校、卒業生の情報を漁りに行く。

ビリーは家を出て、毎朝憂鬱な気分で通った通学路を歩く。
あの頃は同級生に道で鉢合わせしないかビクビクしていたものだ、今はその心配は皆無だが。
しかし、心配していた程今のビリーは憂鬱な気分にはならなかった。
今は今、昔は昔で気持ちの切り替えができている。これもあの子のおかげだろうか。

そんな事を考えてる内に到着した。
久しぶりに見た学校は、何だか少し小さく見えた。

ビリ「・・・さて、とりあえず職員室とか資料室かな。」

もう覚えていないかと思ったが、意外にも校舎の中に入ったら記憶が蘇ってくる。
目当て部屋は別棟の2階に集中している、ビリーは資料を片っ端から確認していく事にした。

・・・・・

結論から言えば、ここでの収穫は無かった。

ビリ「つ、つかれた・・・、女子だけのチェックでも大変だなこりゃ。」

同級生だけでなく、ビリーが在学中に関わりがあった可能性のある学年は全てチェックした。
無論、少しの間だけ在学していた転校生等の情報も見逃してはいない。
後は可能性として、当時太っていたけど今は痩せているみたいな女子もピックアップして確認したが・・・。

ビリ「違うな、骨盤の形が全然違う・・・。」

ビリーのマニアックな性癖により一発で見抜けた!
事前に分かっていた事ではあったが、やはり学生時代の知り合いではなさそうであった。

ビリ「となると、俺が幼稚園とか、そんぐらいの頃の知り合い・・・?」

もしそうなら、結構お手上げだ。
その時期の記憶は全然無い上に、ビリーがまだ親戚(叔母)の家に来る前の話になってしまう。
それは実の母親と暮らしていた頃。
母親の記憶さえおぼろげなのに、その頃の交友関係などほじくり返しても思い出す気がしない。

ビリ「・・・でも、あいつは俺の事覚えてたんだよな?」

幼少期のビリーと今のビリーでは全然違う、そこそこ可愛らしかった子供が今ではゴリラだ。
いくらなんでも数十年ぶりの再会で分かる訳はないと思う。

ビリ「もしかして、俺が気が付かなかっただけで、あいつは割と近くにいたって事か・・・。」

同じ街に住んでいて、学校は別。・・・その可能性は十分にある。
もしビリーの姿をチラホラと確認できていたならば、ゴリラへの成長過程の片鱗を垣間見ていた事だろう。

ビリ「町内の中学は2つあるんだよな、明日からはそっちを探してみっか。」

とりあえず今日の所は家に戻る事にした。
ビリーは日が落ちたら家に帰り、上ったら調査をするという日常を繰り返している。
その行動に意味は無い、一人ぼっちの家は正直寂しい、だけど何故だかそれを放棄する事はできなかった。

死んだ街を歩いて帰る。
人がいない家は真っ暗で何の音もしてこない。そんな中、コンビニの明かりだけがやたらと眩しい。
そんな事がやけに気になるようになってしまっていた。
こういう時は、思い切り泣き叫びたい衝動に駆られてしまう。
自分は弱くなってしまったのだろうか?
それでも良かった、ビリーはそんな事を考えている自分も好きになれた。

一つだけ玄関に明かりの灯った民家が見えてきた。ビリーの家だ。

ビリ「ただいまー。」

小声で言うビリー、カラカラと玄関もなるべく音を立てないようにあけた。
そこで自身の行いに苦笑する、別に誰か寝ている訳でもないのだから気を使う必要はなかったのだ。
まだ小さな同居人の事は忘れられない。

夜の間は居間で今後の方針でも決めようかと思っていたが、

ビリ「そういや、ガキの頃の写真ならここにもあったな。」

自分の昔の写真がある事を思い出す。
謎の女性が幼少期の頃の知り合いならば、もしかしたらという事もある。
問題は幼少期の謎の女性をビリーが見ても、それが謎の女性であると分からないかもしれない事だった。

しかしそれでも構わない。少しでも可能性があるならば、そこから徹底的に調べるまで。
パラパラと写真をめくる、幼少期のビリーは全て満面の笑みで写真に写っている。
生意気そうな顔だった。良く見みると後ろの方に塚本っぽいのが写っていたりする。いらない発見だった!

ある写真でピタリとビリーの動きが止まった。

ビリ「・・・なんで、こいつがここに・・・?」

その写真には幼少期のビリーと、つい最近まで一緒に住んでいた小さな同居人が写っていた。

2014/12/4 01:08  [1631-324]   

スレ主&運営者 父の仇さん  

唐突にビリーの脳内に昔の映像が再生される。
それは所々開かないアルバムを断片的に見ているかのような感覚。
その中では幼女と同じ視線のビリーが、どっかの公園で幼女と会話しているシーンであった。

幼女「わたし、ひっこしすることになったの。」
ビリ「えぇ?な、なんで・・・。」

それは幼いビリーにとってはショッキングな出来事だった。
毎日のように一緒に遊んでいた子がある日を境に会えなくなると言うのだ。
子供にとっては大事件だ。

幼女「わたしのおとさんとおかあさんが、わたしのおとさんとおかあさんじゃなくなるの。」
ビリ「?ぼくのおとうさんとおなじように、どこかとおくにいっちゃうの?」

ビリーは母親から、父親は遠くに行くからビリーのお父さんを出来なくなったと伝えていた。
幼女も同じ状況かと思って聞いてみたが、幼女は黙って首を横に振った。

幼女「ちがうよ・・・。そんなことより、きょうでさいごだから、たくさんあそぼうよ。」
ビリ「やだよぉ・・・、××ちゃんとあしたもあそびたいよぉ・・・。」

幼いビリーは泣き出してしまった。
その後の事は覚えていない、断片的な記憶の再生はここまでだった。

・・・・・・・・・・

我に返るビリー。

ビリ「今のは・・・?」

慌てて他の写真を最後まで見る。しかし幼女が写っていたのはその一枚だけだった。
謎の女性の手がかりを探していたはずなのに、とんだ難題を吹っかけられた気分だ。
常識的に考えるのであれば、この写真の幼女と最近まで一緒にいた幼女は別人のはずである。

ビリ「・・・。」

ビリーは考える、謎の女性探しを続行させるべきか、この写真の幼女の謎を解明するべきか。
優先すべきは謎の女性である。が、理由は分からないがどうしてもこの写真の幼女が気になった。

ビリ「何か違和感があるんだが、・・・ん、これって?」

それは幼女が手に持っているリュックサック、あまりにも堂々と写っているので逆に気付かなかった。
その形、そのデザインは見た事があった。

ビリーはそれに気がついた瞬間に写真を持って居間に飛び込んだ。
そこには幼女の私物がそのままにしてある。
ビリーと一緒に買ったものの方が多いが、そうでないものも若干ある。
それは幼女が最初から持っていたものだ。その中に、写真の中のリュックと全く同じ物があった。

ビリ「ごめんな、勝手に中見るぞ。」

女の子だからと中身を確認するのを自重していたビリー、変なところで律儀だった。

中身はおもちゃみたいな櫛や手鏡など、実に女の子らしいラインナップ。
その中に小さな箱が入っており、振ると中身がカコカコといった。
箱を開けて中身を取り出すと、安っぽい金メッキのプラスチックとガラス玉の宝石をあしらった指輪があった。

何処かで見た事のある指輪、先程視た記憶の続きが再現される。

・・・・・・・・・・

幼いビリーは指輪を持って今日でお別れの幼女の下へ行く。
そこにはみた事のない初老の夫婦と、いつものリュックを背負った幼女がいた。
幼女の両親の姿はない。

ビリ「××ちゃーん!」

幼いビリーが叫ぶと幼女は気付いてこちらに駆け寄ってきてくれた。

幼女「みおくりにきてくれたの?」
ビリ「うん、きのうはないちゃってごめんね。」
幼女「ううん、いいの。」

そこで幼女が手に持っている指輪に気付く。
それは以前、雑貨屋で幼女が欲しいと言っていたもの。
明らかに子供だましの商品であったが、値段はそれなりだった。

ビリ「あの、これ。もらってくれる?」
幼女「ありがとう・・・、つっくん。たいせつにするね。」

幼女の目にジワリと涙が浮かぶ、幼いビリーはビックリする。
幼女は転んで怪我をしても泣いた事がなかったからだ。
オロオロしてしまうが、時間がない。幼いビリーは意を決して一世一代の告白をする。

ビリ「××ちゃん、ぼくとけっこんして!」

・・・・・・・・・・

突如現実に引き戻された、いや、引き戻した!

ビリ「うおおおおお!?」

甘酸っぱかった!やはり自身の昔の過去など無理に思いだそうとするものではない!
羞恥で顔を真っ赤にして床をゴロゴロと転がりまくるビリー!
しばらく暴れまわった後、冷静になって何故か正座した。
とにかく、続きが気になる。ビリーは幼女の答えを思い出す。

・・・・・・・・・・

ビックリした顔で幼いビリーを見る幼女。
幼いビリーの顔は真剣そのものだった。
手元の指輪を見る、幼女の為にこんなものを用意してくれた男の子は初めてだ。
幼女の中での答えは決まった。

幼女は満面の笑顔で、

幼女「やだ!」

と答えた。

・・・・・・・・・・

ビリ「断られてるー!?」

ビリーは泡を吹いて気絶した。

2014/12/8 00:56  [1631-331]   

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