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ここは主にホンダFIT3HVの徒然ない世間話や、
ドライブ旅行記、オリジナル小説やCGなど
けっこうどうでもいい話題で盛り上がっております。

気だるい午後のひまつぶしにどうぞw

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この旅行記は、2008年2月29〜3月12日の期間、大阪経由で九州・四国をドライブした旅行記です。

わけあって週休7日にしてもらい、ここぞとばかりに大冒険に出掛けたのぼる。

早春の南国で待ち受ける数々のイベント、クルマに襲いかかる珍事件!

宿の予約など、当然なにもしてないっ!

そんな微妙に無謀な計画で、はたしてのぼるは生き残ることができるか・・・

刮目してご覧あれ!


それでは、はじまりはじまり〜♪

2016/3/12 01:52  [1498-4324]   

2月末の新潟は、やや春の面影が垣間見えるかどうか、という微妙な気候。
つまりは、まだまだ寒い。
これが春だの初夏といった時期ならば、たぶん間違いなく足先は北海道に向けられていただろう。
のぼるは新潟人にしては、かなりの寒がりだ。
だから、冒険の地に選ぶべきは、必然的に南となった。
そう計画したのは去年の秋頃。

実をいうと、ネトゲー(ネットゲーム)で知り合った仲間とのオフ会も、この3月くらいに
冒険とは別に計画していた。
オンラインゲームでは、気の会った仲間同士が結託して「ギルド」「クラン」など、
いわゆるチームを作り、派閥ごっこをする楽しみがある。
のぼるがギルドを創設したのだが、今ではすっかりゲーム自体が廃れてしまってメンバーも
バラバラになった。

だが、今でもオンライン上でつきあいのあるメンバーが何人かいる。
趣味もけっこう近いヒトが多く、一度は実際に会って楽しく飲んで騒ごう、という提案を
持ちかけたら女性メンバー以外全員が賛同してくれた。
女性以外、という部分が引っ掛かるところだが、まあ深く追求しないであげたい。
空気を読むことも社会人オンラインゲーマーのたしなみだ。

それはともかく、参加者全員の都合を考慮してオフ会開催は3月1日とした。
開催場所は、メンバーが2〜3人かたまっている大阪。
のぼるが冒険すべき地は南。具体的には九州や四国あたり。
このふたつのイベントには場所的な共通点がある。

ならば、オフ会と旅行を同時にやろうじゃないか。

そう決定するのはむしろ必然だったといえる。のぼる的な効率を考えたら、そうせざるを得ないとも
いえるかもしれない。
このプロジェクトは並々ならぬ事前計画が必要だった。
オフ会はのぼるが幹事するわけで、飲み屋の選定や2次会やそのアフターも段取りする。
その傍らでのぼる自身の旅行計画もたてる。四国と九州を回るのにどんなルートで攻めたら効率が
いいか、また低予算で行けるかを徹底的に調査した。

まず、導き出された計画を簡単に説明しよう。

オフ会開催日前日である2月29日に新潟を出発。
群馬県前橋にて栃木のオフ会メンバー1人と合流し、2人で大阪へ向かう。
3月1日夕方、大阪でオフ会開催。翌日の夕方まで遊び尽くし、メンバーと解散。
ここからのぼるの単独行動開始。神戸港でフェリーにクルマを載せて九州の大分へ。
翌朝、九州上陸。九州を時計回りにひとまわりしたら、フェリーで四国へ。
四国を反時計回りに巡ったら、淡路島経由で新潟へ帰る。
こんな感じでまとまった。

なぜに四国を先に巡らないのか、いろいろツッコミどころがあるだろうが、それはいろいろ秘密が
あったりする。追々説明していこう。

それでは、はじまりはじまり〜〜!

2016/3/12 01:54  [1498-4325]   

復活直後の山古志村 小出の雪原 小出の国道17号 関越自動車道 越後湯沢のあたり

この刻をどれだけ待ったことだろうか。

冒険をする前は、いつも手も足も、体中が震える。
未知への挑戦に対する期待、不安、欣幸が重なって思考がオーバーヒートし、身体までも
制御しきれなくなっているのだ。
人それを「武者震い」と云う。

そんな状態で、我が愛車FITにたくさんの荷物を載せる。
2月29日。
この時期の新潟にしては暖かく、春のような陽気であった。
だから、南国も同様に暖かいのだろう、そうナメていた。

「ようし、準備完了。やっっってやるぜー!」
ぽかぽか陽気の昼下がり、のぼるを載せたFITは発進した。
まず目指すは、オフ会メンバーと合流する予定の、群馬県のJR前橋駅だ。

FIT。ホンダが世に送りだした低燃費の傑作小型車。
ジムニー、テリオスに継いで3代目の愛車であり、初のオートマだ。
1500ccVTECエンジンを搭載し、オートマチックながらパドルシフトで7速マニュアル操作が可能な
「7スピードモード」を装備している。
燃費においては、プチ燃費向上改造によって最高24.9km/l、平均では18km/lあたりをマークしている。
遠距離ドライブであるこの旅でどれだけの燃費が記録できるか見物ではあるが、けっこうな量の
荷物を載せているので、あまり期待はできないとは思う。
車内装備も、今回の旅に便利となるアイテムを多数搭載している。
ナビゲーションシステム、ETCシステム、家庭用100Vコンセントなど、以前では「あると便利」な
ものだったが、いまでは「ないと困る」ものになりつつある。

のぼるは国道を山奥へと進んでいった。
単純に高速道路に上がって前橋へ向かうルートが常識なのだが、今回の場合は勝手が違う。
前橋での合流時間は夜の20:00。それまで現地に間に合えばいいわけで、時間的には充分間に合う。
ならば行けるとこまで下道で走れば高速代が浮く。そんな理由だ。
群馬へは越後湯沢経由のR17を通るのがセオリーだが、この道は中越震災で復興したといえども
交通量が多くてイヤ。
よって選んだルートは山道のR290。山道といってもきちんと整備された舗装路なので心配はないし、
交通量も少なくてスムーズに走れる。
ちなみにこれは新潟での常識。国道と名のある道路は整備が行き届いている。それが当たり前だと
思える甘さは後日とんでもない形でしっぺ返しを受けることになるが、それはまた後述。
加茂を過ぎたあたりから道路脇の積雪もしだいに高くなっていったが、除雪も完璧で制限速度程度で
問題なく走れる。
はずだった。

突然前のクルマが止まり、その前方にいた誘導員らしきヒトがそのクルマのドライバーに何か話している。
それからその誘導員はのぼるのところまで小走りで来た。
とりあえずウインドウを開ける。なんだかイヤな予感がした。
「すまないな。この先の道路で、除雪中だったクレーン車が横転しちまって、クルマ1台通れない
状況なんだよ。迂回していってくれ」
がーん。
こんな山道で迂回できるルートなんてあるのか。あったとして除雪されてるのか。ここなんて、
もう道路脇の積雪が2m越してるじゃねえか。
「復旧するのにどのくらいかかるんですか」
などと聞いたが、ついさっき事故ったばかりらしく、これから応援を呼ぶところなのだそうだ。
仕方なく、来た道を少し戻って停車し、迂回ルートをナビゲーションで検索した。

のぼるのナビはSONYのXYZ88というハードディスクナビだ。
ナビ本体を分離させてパソコンと接続し、地図データの更新をはじめ音楽や動画などのデータも
ハードディスクに取り込み、クルマの中で聞いたり見たりできる、とても便利な逸品である。
とりあえず、迂回ルートを見つけてくれた。地図データを最新のものに更新しておいてよかった。
中越地震と市町村合併ブームでこのへんは数年前とすっかり変わってしまったからな。


ナビの案内に従って走ると、間もなく山古志村に突入した。

中越地震の際に甚大な被害を受け、村民全員が避難したことは耳にしたことがあるだろう。
全国のニュースでも何度となく取り上げられた村で、同震災をテーマにした「マリと子犬の物語」
という映画の舞台だ。

現在では避難勧告も解除され、村も復活していたが、毎年3mをかるく越す豪雪地での復興は
並ならぬ苦労があったことだろう。

無事に山岳地帯を抜けると、R17と合流した。
このへんからスキー場があちこちに見えるのだが、平日にしても車通りが激しい。休日になったら
もっと走りづらくなるのだろう。

そういえば現金を下ろすのを忘れていた。ナビで付近のセブンイレブンを検索してATMで下ろす。
そういえば100円ショップに立ち寄りたい。ナビで六日町のジャスコの100円ショップ、ダイソーを
検索して必要な物を購入。
ナビとはなんと便利なものだろう。
これで付近の「彼氏募集中の女の子」まで検索してくれたらな〜…。

そんなことをしていたら、太陽が暮れてきた。

ここから群馬へ行くには三国峠を越えていくわけだが、それすら下道を使うとなると、大阪まで
体力がもたないだろう。高速でトンネル突破したほうがいいに決まっている。

というわけで、六日町ICから関越自動車道に上がった。

実をいうと、六日町ICから高速を使ったのにはもうひとつ意味がある。
ETCを搭載したクルマで高速道路を走ると、ICで停止せずに料金ゲートを通過できるだけでなく、
さまざまな割引を受けることができる利点がある。

その中でこの場合に有効なのが「通勤割引」というサービスで、夕方の場合17:00〜20:00の間、
100km以内の区間の高速を利用すると高速代が半額になる。
これを利用しないテはないだろう。
割引できるものは、とことん割引してもらうのが、のぼる流つるセコ術。そのための事前調査は
インターネットで徹底的にやっているのだ。

ちなみに六日町ICから前橋ICまでの区間は99.9km。打算的な主人公は好きですか…。

2016/3/13 01:34  [1498-4339]   

関越トンネルを抜けると、すっかり日は暮れていた。しばらく走ると群馬の街明かりがきらめく。
赤城高原SA(サービスエリア)で夕食にすることにした。
軽食コーナーは、金曜の夕方ともあってレジャーに出かける親子連れや若者のグループで
けっこう賑わっていた。

親に作ってもらったオニギリを主食に、注文した豚汁を食べる。なかなかうまいが、すき屋の
豚汁と大差ない、というのが本音。
SAのインフォでもらった地図でみると、ここから前橋駅までおよそ30分くらいの距離だ。
余裕をみて見積もっても1時間前の19:00にここを出ればいいわけで、それまで体力回復するために
車内で寝ることにした。

運転手にとって仮眠、という行為は旅においてどれほど大切なことか。
一見どうってことないことだが、のぼるにとっては革命的な出来事だといえる。
なぜなら、いままで旅の基本スタイルはバイクだったのだ。
バイクではそのへんで仮眠はできない。
もちろんバイクはクルマでは味わえない楽しさ、利点もたくさんある。だが今回の旅はクルマ。
屋根のついた4輪車の利点は最大限利用しますよ。

19:00となった。
エンジンをかけ、再び出発する。
前橋ICでETCレーンのゲートをくぐると、クルマに搭載してあるETCのスピーカーから
「料金は1500円です」と音声が流れた。ナビ案内の高速料金は3000円と表示されていたので、
きっちり半額だったことがわかる。よし、計算通り。
ちなみにETCの音声ガイダンスは声優の日高のり子。タッチの南ちゃんの声だ。いい仕事してますな。

ナビの案内に従いJR前橋駅へ。
20:00になるとメンバーと無事に合流できた。

彼はHN(ハンドルネーム)素描(そびょう)。
CGイラストが得意でネトゲーとアニメが好き、という部分きわめてのぼるに似ている。

ネットのチャットで毎日のように文字会話してたり、たまにスカイプ電話で実際に会話もして
お互いを知っているのに、今回初めて顔を合わせたわけで、非常に複雑な感じだった。
「初めまして」
と言うのも微妙におかしい気分だ。

素描は助手席に乗り、出発した。
ここ前橋から大阪まで、ざっと700kmある。
ふだんの生活レベルで考えると壮大な距離だ。
だが、のぼるはむかし北海道で1日800km走ったことがある。
ザンザスという400ccバイクで、同じカワサキのZZR1100と競り合いながら走ったものだ。
時速なんて言えません。
その理由は、距離計算を間違えて目的地のライダーハウスへ到着するのが危うかっただけ。
間抜けにも程があるというものだ。
話が逸れたが、とにかく走って走れないことはない、ということだ。
クルマでオートマで2人で運転できるなら、まだ常識的に走れるレベルということだ。

藤岡ジャンクションから上信越自動車道に入り、中央自動車道で大阪へ向かう。
夜中の高速ドライブは単独では危険だが、2人で交替で運転し、会話しながらだと苦痛にはならない。
お互いの好きな音楽やニコニコ動画でダウンロードしたムービーなんかを流しながら、車内で
盛り上がっていた。

お互い夕食は済ませたが、やはり0時を過ぎると小腹がすいてくる。これはお菓子などでは埋められない。
とはいえ、この時間に高速のSA・PAでやってるレストランや軽食コーナーは皆無だろう。
だが内津峠SAで偶然にも牛丼チェーンすき屋がやっていた。
2月にオープンしたばかりの店で、当然24時間営業だ。
ありがたく並盛350円を食べる。
オープン記念なのかどうかは知らないが、並なのに大盛に近いボリュームで大満足であった。
ちなみに、近頃のSA・PAでは24時間やっているコンビニなども進出しており、非常に便利に
なったといえる。

深夜3:00頃、滋賀県の大津SAに到着した。
ここから大阪市街へ1時間の圏内。大きな休憩施設としては最後のサービスエリアになるため、
多くのクルマやトレーラーでにぎわっている。
素描と2人で交替しながら運転してきたが、このへんが限界。
SAの駐車場に止め、夜が明けるまで車内で寝ることにした。
シートを倒し、毛布をかけて寝た。

寝てる合間にひとつ懺悔。
のぼるは関西の地形にあまりに無知すぎた。
名古屋は大阪の東にあるということを初めて知った。大阪の南にあるかと思っていたのだ。
だから、名古屋の北にある小牧ジャンクションで『←名古屋』と書いてあるのをみてかなりビビったものだ。

ついでにいうと愛知、滋賀、三重、奈良、和歌山の位置関係がいまだに正確に答えられない。
住んでるヒトに対して非常に申し訳ないことに、紀伊半島のあたりは台風や集中豪雨による水害が多い、
くらいにしか認識してないのだ。
まあ、基本的に伊勢湾と大阪湾を混同して覚えてしまっていたのが原因だ。
この機会に地理の知識を整理したいものだ。

2016/3/13 01:39  [1498-4340]   

大阪・門の湯

どかぁん!

あたりがやや明るくなった7:00くらい、びっくりするくらいの轟音で目が覚めた。
一体なんだ。
事故か、それともテロか。さすが近畿・関西エリアはいろんな意味ですごいな。
などと思ったが、轟音の原因は雷であった。
空を覆う厚い雲からバラバラと雨が降る。
旅の冒頭から雨か。雨男のぼるの真骨頂だな。

車内だから濡れるわけもないのだが、駐車場からSA施設までちょっと遠いため、ここで朝食を
とることができなくなった。
とはいえ、お互い非常食は持っていたので、それで朝食とした。
のぼるは100円ショップで買っておいたウィダーインのまがいもの。
素描はサンドイッチだ。
牛丼がまだ腹にたまっているので、それほど食べなくてもよかった。
だが、のぼるの場合ニセウィダーインは超緊急用の最終手段的非常食のつもりでとっておいたのに、
のっけからそれを使うとはなんたることか。

本来の予定では、このSAで9:00くらいまで充分に休憩をとり、展望台から琵琶湖を眺めたりして
リフレッシュするつもりだった。
だが予想外の雨天はしばらく止みそうもなく、車内でゴロゴロしててもエコノミー症候群に
なるだけだったので、仕方なく出発することにした。
出発したのはいいが、30分もたたずに雨は止んだ。
なにそれ。

オフ会の開催場所である門真市に到着した。
大阪繁華街のやや東にある、落ち着きのある街だ。東京でいうところの八王子みたいなところだ。
オフ会開催は本日の夕方。いまは朝9:00。こんなに早く到着する予定ではなかったが、
着いちゃったものは仕方がない。

オフ会開催の店の場所をチェックしたあと、予め調べておいた日帰り温泉施設へ向かった。
「門の湯」というスーパー銭湯で、早朝から深夜まで営業しており、なにより駐車無料が
嬉しいところだ。

予定ではここに昼頃到着して昼食にしたり温泉でくつろいだりして体力を充分回復させ、
夕方からのオフ会に臨むつもりでいたのだ。

まあいい。とりあえず疲れたので温泉で汗を流した。
750円とちと高いが、それに見合う設備なのでまあ文句は言うまい。
広い室内風呂にいくつもの種類の温泉、サウナ、そして露天風呂が気持ちいい。

駐車場に戻り、もう一眠りし、昼からクルマで少し走ったところにあった巨大なジャスコの
フードコーナーで昼食。
そのあと偶然発見したコインランドリーで洗濯したり、本屋に寄って立ち読みなどして時間を潰した。

そうこうしているうちにオフ会の集合時間が近付いていった。

2016/3/13 20:45  [1498-4343]   

オフ会会場の居酒屋 二次会のカラオケの様子

18:00前、日暮れと同時にオフ会は開催された。

JR古川橋駅の目の前にある『和民』という小洒落た居酒屋、その一室にのぼるを含めた5人が集結した。

下は大学生、上は40歳代と幅広い年代の、しかも全員が初顔合わせ、そんな飲み会がいまだかつて
あっただろうか。
ちなみにのぼるはギルド創設者とあって「隊長」と呼ばれている。
チャットならともかく、リアルでそう呼ばれるとなんだか恥ずかしい。だがそれはみんな一緒だった。
素描をはじめ、弾丸、しんぱち、総統という各々の名前はゲーム中での自己表現のための名前であり、
決してリアルで呼ばれたいがための名前ではないのだ。
 
まずはビールで乾杯。
4時間の飲み放題コースで、料理が次々と運ばれてくる。
サラダ、揚げ物、鍋。
コース料理だけでは食欲旺盛な大学生、弾丸を筆頭にみんな物足りないので、食べたいものを
追加注文をした。無論、それを前提に会費を集めたから大丈夫だ。
 
酒が入ると次々と話のネタが飛び出し、ネトゲーの思い出や漫画、アニメの話題に花が咲く。
自分の好きなジャンルの話題を肴に酒が呑めるとは、なんと嬉しいことだろう。
それが目的で遠くからみんなここに集結したといっても過言ではない。
 
頃合を見計らって、最年長の総統、そしてのぼるが持参した日本酒を披露した。
総統は彼の地元鳥取の銘酒。のぼるも新潟の幻の銘酒「タートルテール」だ。
総統は大の日本酒好きのようで、新潟の酒をとても喜んでもらえた。
ついでにいうとヤマトのデスラー総統のファンなので、総統と呼ばれている。
鳥取の酒もとても旨い。新潟に住んでいると他県のよい酒を呑める機会が少ないので嬉しかった。
 
いい感じに酔ったところで、1次会は終わった。
4時間くらいあれば飲み会は充分か、と考えていたが、足りないくらいだったかもしれない。
それだけ楽しくて充実したひとときだった。
 
2次会はその店からすぐ近くのカラオケ「BALI LAGU」でオールナイト。
このカラオケ屋がこの地を選定した最大の理由。
大阪で唯一「Σシステム」を搭載したカラオケシステムを採用した店なのだ。
Σシステムとは、現存する複数メーカーの通信カラオケを独自のサーバーで統合し、1つの部屋で
集中操作できるシステム。簡単にいえば、世界一曲数の多いカラオケ屋なのだ。
のぼるはこのシステムの素晴らしさを知っていたので、必然的にカラオケ屋はここに決定した。
開催場所はそれが理由。1次会の店の選定はその後の話になった。
 
実際、メンバーのみんなも曲数の多さに欣喜していた。
「うお、こんなマイナーな曲があるっ!」
「この曲、歌いたかったんだけど、ダムやジョイになくてさー」
みんな思い思いの歌を入力していく。

ここで面白いのが、年代によって歌う曲のカテゴリーがまったく違う、という部分だ。
いちばん若い大学生、弾丸は流行りのラルク、ガクトのアニソンなどが中心。
ギャルゲーやメカの好きな素描はI’veや勇者ロボットシリーズなど。
年長者の総統はマジンガーZやヤマトなど懐かしのアニメ。
異彩を放っていたのがしんぱち。バンドをやっていることもあって、みんなが聞き惚れるほどの美声、
そしてみんなが入れるほとんどの曲を知っており、即興のコーラスをバックで入れれるほど。
レパートリーはたくさんあるようだが、今回は尾崎豊をたくさん入れていた。
尾崎は総統とのぼるも得意中の18番とあって3人で絶叫していた。
のぼるは、というと、なんだか節操なく全てのジャンルを思いつくまま入れていた感じ。
いちばんつかみどころがなかったかもしれない。
 
やはり2次会をカラオケにしたのは大正解。
5人で8時間耐久歌いっぱなしだが、みんなまだまだ歌える曲をたくさん持っていたようだ。
ただし体力的に限界はきていた。喉もか。

2016/3/13 20:54  [1498-4344]   

難波の街 超巨大たこやきドリンク付 有名な通天閣 人も建物も超絶密集地

カラオケ屋の外に出ると、空が白んでいた。
この後は、昼まで休憩して大阪見学&たこやきツアー。
しんぱちだけは仕事の都合もあってそれにつきあうことはできず、帰宅となった。
 
残った4人はのぼるのFITに乗り、昨日の温泉「門の湯」へ行った。
その駐車場の車内で寝たり、温泉に入ったり、それぞれが体力回復した。

昼になると予定通り行動開始。

地下鉄で難波へ行き、手製地図でたこやき屋を探したり、日本橋の電機街を
ウィンドウショッピングしたり、えびす町の古風な商店街を歩いたりした。
 
たこやきはさすがにとても美味しい。くし焼なども美味しそうだった。

そんな感じで時間が過ぎ、夕方になった。
名残惜しいがメンバーと別れ、のぼるはひとり地下鉄に乗って、FITの駐車場へ戻った。

「うしっ!」
コクピットに座り、思わず両手で頬を叩いた。
先刻まで仲間といて、愉快に話をして、幸せな時間を過ごした。

いまは、1人。
いきなり周りから仲間が消えた。
誰かといて幸せな時間は、ここまでだ。
ここからは1人でいて幸せな時間のはじまりだ。
そのスイッチを切り替えるために頬を叩いた。

じゃあ、行こうか。
 
これから、ひとりの旅がはじまる。
 
「さあ、出発だ! ここからはオレの冒険だ!」
のぼるはFITのエンジンをかけ、出発した。
いまは17:30。
これから向かうのは、九州大分行きフェリーが出航する神戸港。
もちろんそのフェリーに乗るのだ。
出航は20:00。
乗船手続をしなければならないので19:00までにフェリーターミナルに到着するべき。
時間的には余裕のはずだ。

しかしだ。
ここからフェリーに乗るまで、のぼるは2つのミスをすることになる。

まずひとつめ。
近場の弁当屋で、フェリー内で食べる夕食を買ったのはいいが、弁当屋を探す段階で方向感覚を失い、
ナビの案内を鵜のみに神戸へ向かったら夕方の大渋滞の下道を走るハメになった。
予定ではすぐに高速に上がって、スイスイと神戸まで行けるはずだったのだ。
これでそうとう時間をロスした。

ふたつめ。
ロスした時間を取り戻そうとして焦りが生じ、高速に上がったはいいが神戸に向かう途中の
ジャンクションで痛恨の分岐選択ミス!
阪神高速は首都高速のように入り組んでいるので、ナビが次の分岐を指示する前にもう曲らないと
ならないことがあるのだ。
やむを得ず次のICで降りて、再度入り直す。

2016/3/15 17:02  [1498-4346]   

なんとか19:00ジャストに神戸港フェリーターミナルに着くとこができた。
もうちょっと神戸の街明かりをじっくり楽しみたかった。
高速を走りながらの神戸の夜景はそれほど綺麗だったのだ。

まあ、そんな余韻にひたっているヒマもなく、さっそく乗船手続きをする。
FITの車検証を持ってターミナルへ。
乗船名簿に必要事項を記入し、窓口へ行く。
「自動車1台と大人1人で16200円になります」
窓口の男に言われるまま、その通りの金額を支払った。
なにか金額的に微妙に引っ掛かるが、後ろに他の客が詰まっていたので、質問などせずそのまま
乗船チケットを受け取った。
 
とりあえずこれで手続き完了。
あとは指示に従ってフェリーの中にクルマを入れればいいだけだ。
しかしどうにもフェリー代が頭の隅で引っ掛かっていた。
予め調査していた金額より高いのだ。
 
大阪・九州航路はいくつかの船舶会社が運営しているが、その中で様々な料金シミュレーションを
繰り返した結果、このダイヤモンドフェリーという会社がいちばん安かったので選んだのだ。
ちなみに、通常でクルマ1台運転手1人の料金は22300円。だがインターネットで予約すると
20%割引。ふつうのヒトならば「よし、お得♪」とか言って予約してしまうかもしれない。
だが、のぼるはネットを更に奥深く、徹底的に調査をしないと気が済まない。
下手すると一般にはない裏チケット情報なんかを入手できる場合がある。まさに今回がそれだ。
一般にはない裏チケット。それをヤフオクでゲットできたおかげで通常の40%割引の13380円で
乗れるはずだった。

なのに支払金額は16200円。のぼるの金額シミュレーションが甘かったのか、それとも料金改定が
行なわれたのか。
ちっきしょー。苦労した意味ないじゃん。
 
自動車の乗船が開始された。
のぼるの前のクルマの後を追尾してタラップを登り、フェリーの口の中へ入る。
そして係員の指示に従って停車、サイドブレーキを引く。オートマであるFITはサイドブレーキを
引くことなど滅多にないが、この場合は引くべし。
そしてエレベータで上がり、フェリーの5階の客室へ。
ツーリストという広い雑魚寝部屋で他の客と一緒の部屋、一般的には2等室と呼ばれる
いちばんグレードの低い船室がのぼるの居場所だった。
だが、シーズンオフのこの時期は満員なわけもなく、こっちの船室のほうがむしろ広々と使えるのだ。

ちなみにこのフェリーの名前は「さんふらわあぱーる」昨年末にデビューしたばかりの最新鋭の新造船だ。
だから船内はピッカピカ。布団のマットレスも毛布も清潔できれいだ。
 
などとゆっくりしているヒマはない。
のぼるは速攻で風呂に入った。
グズグズしてると風呂はすぐに混んでしまうからな。
風呂に入っているところで出航のアナウンスが流れた。
さらば本州。
待ってろ九州。
さっぱりしたところで、ラウンジへ行って大阪で買っておいた弁当を食べる。
鳥肉弁当。なかなかうまかった。
 
少し艦内を探検しようと見取り図を見ていたときのこと。
ふとフェリー代のことを思い出した。
自分でもなんかセコく女々しいとか思う。
だが、再度チケットの半券をサイフから取出し、まじまじと眺めてみる。
すると、なんとこの手続きは間違いであることに気付いた。
よく見ると、4m以下であるはずのFITの全長が「5m以下」の扱いで登録されていたのだ。
フェリーにクルマを乗せる場合、フロントからリヤまでの長さで料金が変わってくる。
当然、長いほうが料金が高くなる。
あの受付の野郎〜、やってくれたな!

さっそくフェリーの総合案内の美人のおねーさんに文句を言うと、彼女は神戸港へ無線で
事実関係を確認した後、お詫びとともに差額を返金してくれた。
自分のミスでもないのにひたすら「すみません、申し訳ありませんでした」と謝る彼女が健気だった。
まあいいよ。美人だし。
 
ちなみにどうでもいい知識をひとつ。
新潟と佐渡の両津を結ぶ佐渡汽船のフェリー。それにクルマ1台乗せた場合の片道料金は13590円。
正常に40%割引した今回のフェリーとほぼ同額だ。
佐渡航路なんて、ものの2時間半程度で着くというのにね。
いかに佐渡汽船が高く、ダイヤモンドフェリーの裏チケット使用が安いかが判ってもらえると思う。
 
さて、スッキリしたところで船室に戻り、寝ることにした。
今日は本当に疲れた。
明朝には九州だ。しっかりと寝ておこう。
 
この『寝る』ということが、大切。
昨日からほとんど寝てない。クルマの中で仮眠したといっても、熟睡できないから疲れが
とれているわけがない。
大阪のビジネスホテルで1泊して明朝に四国へ向かってもよかったかもしれないが、計算してみると
フェリーで九州へ行ったほうが、実はいろんな部分で効率がいいことが判明したのだ。
もしホテル泊、四国行きにした場合、ホテル代&駐車場代で7000円くらい。
それに四国へ渡る高速道路代が淡路島経由だろうが瀬戸大橋経由だろうが、5000円以上かかってしまう。
橋をひとつふたつ渡るだけで5000円とかかかるんですよ。信じられますか。
ともかく、宿泊、交通費を合わせて12000円だ。
それを考えたら、フェリーならばクルマを乗せて、しかも寝てる間に移動してくれるのだから、
それを利用しないテはない、ということだ。クルマのガソリン代もかからないしね。
 
それと、北海道や佐渡へ行くときはフェリー。
冒険のプロローグが船旅というのは、やはり清清しい気分になれる。
 
窓の外に漆黒の海の彼方に岡山県あたりの街明かりが見える。
明日から、どんな冒険が待ち構えているのだろうか…。


ここまでのダイジェストムービー(ニコニコ動画)
http://www.nicovideo.jp/watch/nm4925822

2016/3/15 17:08  [1498-4347]   

間もなく大分に上陸!

このフェリーがもし昼間の航海をしたならば、途中に「明石海峡大橋」「瀬戸大橋」
「来島海峡大橋」の3大ブリッジをくぐるイベントがあるので景色的に退屈しなそうだが、
それを通るのが夜となると無視するしかないだろう。

さて、旅立ちの朝が訪れた。
6:00。レストランの朝食の案内アナウンスで目覚める。
外はまだ暗い。空がかすかに明るくなりかけた頃だった。
前情報で、このフェリーの朝食はバイキングで700円だと知っており、それなら妥当だろうと思い
食べにいった。

レストランの前の券売機でチケットを買い、ウェイターに渡す。
やはりこの時間では客もまばら。上陸してから朝食、というヒトも多いのだろう。
2枚の大皿をトレイにのせ、おかずをどんどん入れていく。
気付くとやはり肉系ばかり。サラダもいちおう入れないといけない。

外の景色が見えるカウンターに座ってがっつり食べる。
これから余計な間食はしないで済むように、満腹にするのだ。
だんだんと空が明るくなってきた。

船室に戻り荷物をまとめる。

荷物といっても、ズタ袋に着替え、洗面用具、九州の情報誌、マンガ本くらいだから、5分もかからない。

あと30分で大分港到着とのアナウンスが流れる。
外を見ると、朝日が浮かべた九州の陸地が見えた。

今、正直いうと不安ばかりが募っていたりする。
クルマが壊れたら。ナビが壊れたら。事故を起こしたら。怪我をしたら。病気になったら。
そういえばFITの車内泊で疲れはきちんと取れるのか。
いまさら考えてもどうしようもないことばかり頭に浮かんでしまう。
案ずるより産むが易し、という言葉があるが、船内で待機している今の状態は案ずるほかに
することがないのだ。

無理もない。まさに今日、自分にとって未開の土地で、それまで経験ないことばかりをして
生活していくわけだから。
『ま、べつにエベレスト攻略しに行くわけじゃないんだし』
そう思うことで自身の懐の狭さ、器の小ささを反省する。
思いつく限りトラブルに対する準備はしてきた。
だから、今は自分を信じるしかない。
「ん。どうってことねえな。行こう」

大分港に接岸すると、駐車場への扉が開放された。

クルマに戻り、荷物を整理し、後部座席を倒して寝床を準備した。
上陸後に準備するのも面倒だからな。時間は有効利用しないと。
ロールマットを床面に敷き、シュラフ、毛布2枚を広げる。
これだけあればふかふか、あったかで寝れるだろう。
夜の準備はこれでいい。

ほどなくのぼるの前の車のブレーキランプが光り、ゆっくりと前進していった。
いよいよのぼるの発進の番だ。
係員の合図とともにアクセルと踏む。
九州へ、上陸だ。
空は雲はあるがおおむね晴れ。

さあ、楽しい旅の時間です。

のぼるを乗せたFITはフェリーのタラップから大分の大地に降り立った。

逸る気持ちを落ち着け、最初にみつけたガソリンスタンドに入る。
前橋から無給油でここまできたのだから、ほとんど空だ。
無給油で700kmオーバーを走行できるとは、大したクルマだな。
給油とともに洗車もした。
雨の高速を走ったためFITのボディの汚れが特にひどかったのだ。
旅のはじまりは綺麗にしていこうではないか。
レギュラー単価は152円。高い。ボッてる。
そこから少し走行したところに148円のスタンドを見つけたときはかなり悔しかった。
このときから、各地の安いスタンドをいかに見定めるかが、この旅の課題のひとつとなった。

大分の街を内陸方面に向かって走る。
まず向かうのは阿蘇山。
日本一広いカルデラ盆地で、現在でも火山活動によって山頂から小規模ながら噴煙をあげている山だ。
学生時代に行ったことはあるが、あの雄大な景色は忘れることができない。
九州へ行くなら必ずもう一度行きたいと思っていた場所なのだ。

街を過ぎ、しだいに山間部の田舎の景色になっていく。
道路も工事中で片側交互通行の場所が多い。観光シーズンへ向けて整備しているのだろう。

2016/3/16 17:05  [1498-4348]   

道の駅 原尻の滝 原尻の滝 九州でも極寒(ゴッサム)! チャーハンが絶品の山賊旅路

阿蘇へ行く道の途中に、休憩場所として予定しておいた「道の駅 原尻の滝」に到着した。
道の駅とは、主要な道路に存在する休憩所・食事処・土産物屋のあるところ。
ドライブに立ち寄るのにちょうどいい場所、ということだ。

原尻の滝、というからには滝がこの付近にある。

道の駅の施設から伸びる遊歩道を進むと、タテでなくヨコに広がるワイドな滝がすぐに見えた。
幅120m、高さ20m。日本のナイアガラとも言われる雄大な滝。日本の滝百選にも選定されている。

その脇には水車のある田舎茶屋があり、滝を眺めながらお茶などが楽しめるようになっていた。
のぼるはしばらくその滝を眺めて楽しんだ。

それにしてもここは観光名所にもなっているのに、誰もいない。
3月の平日なんてどこもこんなもんなのか。
景色的に素晴らしいが、いるべき他人がいないと微妙に寂しいものだ。
普段なら邪魔がっているくせに。

だが、最初に見たくて見たものが滝でよかった。
滝は「自然の動的な活動」としての見方ができる。
だから、見ていて飽きないし、いつでも止まらずに流れ動いているのを見ると
「自分も立ち止まらずに動き続けよう」と勇気づけられる。

風と雲がでてきたので、先を急ぐことにした。
山あいの快適な道路を走っていると、ふと対向車のトラックの屋根などに雪らしき白い物体が
見えることがある。
らしきも何も、雪なのだが、認めたくなかった。
ここは九州だから雪なんてありえません、などと自分に言い聞かせていたのだ。

だが、阿蘇へ向かう高原を進むと本当に雪が降ってきた。

そしてそれは本降りになり、あたり一面銀世界の風景になってしまった。
「ちょ…っ!」
暖かい気候の地方へ来たはずが、新潟のそれと変わらないではないか。

おまけに厚い雲のせいで雄大な景色がなにも見えない。
がっかりである。

本来の予定ならば阿蘇の頂上付近までクルマで登って景色を楽しもうと考えていたのだが、
こんな吹雪のような天気ではバカを見るだけだ。
阿蘇山は諦めることにして、カルデラのふもとで昼食にすることにした。

チェックしておいた食事処に到着した。

『山賊旅路』という和風の食堂だ。

阿蘇の名物のひとつに高菜がある。あのしょっぱい菜っ葉のことだが、あれを刻んで
チャーハンにした「高菜めし」という郷土料理がうまいらしいのだ。

テレビの前の席を陣取り、さっそく高菜めし定食を注文した。
しばらくすると定食が運ばれてきた。
朝フェリーの中でたくさん食べたつもりだったが、昼にはペコペコだった。
だから、もう夢中で食べた。高菜のシャッキリ歯ごたえと塩加減が、素朴ながら美味い。
おかわりしたいくらいだ。

食後のお茶を飲みながらテレビを見ていると、日本の広い地域で黄砂の被害が相次いでいる、とのこと。
黄砂とは、中国の黄河という大きな川に含まれる微粒子が、大気中に水蒸気と一緒に舞い上がり、
風によって日本に運ばれてくる現象だ。
これがクルマに付着すると、ガンコな汚れになって非常に迷惑する。
「……!」
他人事ではない。いままさにのぼるも被害にあっているだろう。
店を出てクルマへ戻ってみると、すっかり汚れてしまっていた。
今朝洗車したばかりだったのに、黄砂のトッピング付きの阿蘇の雪で泥だらけだ。
いまは雨もちらほら降っているので拭かずに放っておき、出発した。

さて、予定では次の目的地は高千穂だ。
高千穂は阿蘇の南に位置した山あいの村で、伝統芸能である夜神楽と高千穂峡が有名。
のぼる的には内田康夫が書いた主役浅見光彦の推理小説「高千穂伝説殺人事件」でここを知った。
自然が作り上げた美麗な渓谷の地で次々と起こる殺人事件なのだが、迂闊にもストーリーは
忘れてしまった。

でも九州へ来たなら是非とも行きたい地だった。
とはいえ、この微妙な天気では観光名所へ行ってもイマイチだろうな。

2016/3/18 10:01  [1498-4349]   

数鹿流ケ滝 (デジカメの)倍率ドンさらに倍 道の駅 清和文楽邑 高千穂温泉

道路の看板を見て、近くに滝があるので寄り道することにした。
なにしろ阿蘇山攻略をブッチぎって来たのだ。時間はたっぷりある。

実は今日の泊まる場所も具体的に決めてない。
ある程度の目星はつけてはいるが、そこへ行っても行かなくても、はたまたその先へ向かっても
構わない。これが今までのバイクの旅と決定的に違う。
なにしろ雨と風が凌げる「部屋」と「寝床」がクルマの中にあるわけだ。
旅としての自由度と可能性は凄まじく広い。

話が逸れたが、とりあえず駐車場から遊歩道を歩く。
国道脇の林を5分も進むと、崖っぷちに出て、そこからやや遠くに滝を見ることができた。

数鹿流ケ滝。高さ60mの迫力ある滝で、こちらも日本の滝100選に選ばれている。滝壷近くへは
行けないようで、なんだか神秘的な雰囲気があった。

ちなみに、またしても他の観光客はいない。九州まるごと、貸しきりのような気分になってきた。

駐車場に戻ると、いよいよ雨足が強くなってきた。
とりあえず進むだけ進むことにして、出発した。
途中「道の駅 清和文楽邑(せいわぶんらくむら)」でトイレ休憩していたら、いよいよ雨が
本降りになってしまった。
列に並んで自転車旅行をしていた高校生くらいの団体も、大慌てで道の駅の屋根の下に逃げ込んでいた。

むろん、こんな雨の中でも自動車ならば進んでいける。だが、今動いてもいい景色は
楽しめないだろうし、あまりいいことはなさそうだ。

とりあえずここの駐車場で寝ることにした。
昼飯たべて、すこし頭がボーっとする。
すこし寝て頭をすっきりさせよう。

1時間ほどして起きた。
頭はスッキリしたが、相変わらず雨は止んでいない。
そこでのぼるは決断を下した。
雨天でも楽しめる温泉へ行こう、と。
高千穂にもいくつか日帰り温泉がある。雨宿りしながら温泉。
これも旅ならではの楽しみのひとつ。
我ながらナイスアイデアだ。

高千穂温泉に到着した。利用は600円。

丘の上にある施設で眺めがいい。
男湯は2〜3人しかいないので、広々としたものだ。
さっそく湯につかる。外は寒かったので湯の温かさが身にしみる。

サウナ、ジェットバスもある。露天風呂では高千穂の山々を眺めながらのんびりとくつろげた。
やはり雨は降っているが。

ちなみに旅先で温泉利用をする場合、バスタオルは必要か否か。
のぼる的な答は「必要なし」だ。
そりゃあったら快適だが、かさばるし、洗濯がめんどい。
いまどきの施設はボディーソープやシャンプーも完備しているのだから、タオル1本あればいい。

休憩室でお茶を飲んでくつろいでいると、ようやく空が晴れてきた。
もう少しゆっくりしたいとは思ったが、夕方も近いので可能な限り高千穂の名所をまわろう。

2016/3/22 22:40  [1498-4358]   

うのこの滝 高千穂峡 3連アーチ橋 道の駅 日向

出発し、20分ほど走ると「うのこの滝」への分岐路に入る。細い小道を山あいに進んでいくと、
うのこの滝に辿り着いた。

落差20m。断崖の岩の切れ目から流れ落ちる滝。エメラルドグリーンの滝壷が印象的だ。

次に高千穂峡へ向かった。
阿蘇山の噴火によって流れてきた溶岩が急激に冷却されてできた深い渓谷。
ここの渓谷そのものが国の天然記念物に指定されており、まさに観光名所の施設になっていた。
大型バスが何台も入れる駐車場や民宿、土産物屋が立ち並んでいた。
とはいえ、夕方となると閉店してるところばかりで、客もいない。
広い公園もあるのに、あたりにはのぼる1人しかいない。

だがこの渓谷の風景は美麗。

切立った断崖に挟まれた五ヶ瀬川。その岸壁の切れ目から川へ向かって真名井の滝が流れ落ちる。
見事な景観美。
この川は手漕ぎボートで、渓谷やその滝を間近で眺めたりすることもできる。

その先に進むと、赴きのある3つのアーチ橋が連なっている風景を谷底から見えるスポットもあり、
いろいろ楽しむことができた。

このへんの見学を終えたところで、陽はぽっくりと暮れた。
あとは夕食と寝床を探すだけだ。
まず夕食。
高千穂の街にあったスーパーに入ってみたが、夕食にちょうどいいものはなかった。
まあ、まだ17:00だから慌てる必要もない。
進んだ先にうまそうなものがあったらそこで食べればいい。
なにもなかったら最後の手段、コンビニでもいいのだし。

というわけで先を進むことにした。
宮崎県の海岸を目指して進む。
さっき立ち寄ったスーパーで買った、80円の芋まんじゅうを片手で食べながら運転する。
これである程度の空腹感はなくなった。
陽が暮れてからの運転は、景色もへったくれもない。
とにかく距離を稼ぐ以外の目的はない。
ゆえに気は楽になる部分はあるが、下手に運転しすぎるとせっかくのいい景色をスルーすることにも
なりかねない。
そのへんの兼ね合いが難しいところではある。

いちおう、今日の寝床は宮崎の海岸沿いの、どこかの道の駅としている。
道の駅はクルマやバイクの旅をするにあたってとても便利な施設だ。
24時間利用できるトイレ、自動販売機がある。駐車場も当然無料。
ある程度の照明もあるので真っ暗闇にもならない。
広いコンビニの駐車場もアリなのかもしれないが、治安や騒音の問題、はたまたコンビニへ
迷惑がかかる理由もあり、可能な限り避けたいものだ。

2時間近く走ると、海沿いの国道に出た。
南へ向かう道路の代表格とあって車通りが多い。
しばらく進むと、大きな複合施設のショッピングセンターがあった。
スーパー、100円ショップ、軽食などが立ち並ぶ施設だ。

ふと見るとその中にコインランドリーがあった。
これはありがたい。
さっそく汚れ物を洗濯機に放り込み、洗剤をぶっかけてコインを入れた。

洗濯をしたのはいいが、その待ち時間は何をするか。
ふと見るとカレーのチェーン店、CoCo壱番屋が施設の中にあった。
カレーはともかく、全国チェーンの食べ物は可能な限り避けたい。
だがあまりの空腹感にはマイク・タイソンでもジェダイでも勝てないものだ。

誘惑に負けてカレーを食べた。トッピングも何もないノーマルなカレー。
福神漬はいくら食べてもいいので、ここぞとばかりに容器の半分くらい食べたと思う。

ランドリーに戻り、洗濯機から乾燥機に移し、またコインを入れる。
洗濯・乾燥で500円也。高いなぁ。
乾燥で30分待ち。その間、近くにあったゲームセンターに立ち寄ってヒマをつぶすことにした。
無駄遣いはせず、そのへんを見てボーっとしているつもりだったが、UFOキャッチャーの前で
立ち止まった。
みかんの缶詰くらいの容器の中に一口サラミがぎっしり詰まっている景品があった。
これだけぎっしり詰まっていると、旅の間の間食にちょうどいいのではないか。
サラミだから保存きくだろうし。
と思って挑戦してみた。
あっさり1回でゲット成功。
やったー。100円でおやつサラミ、大量ゲットだぜ!

そんな感じで有意義な時間の使い方をした。
ランドリーで洗濯物を回収し、出発した。
10分も経たないうちに「道の駅 日向」に到着した。
いまは22:00。ここを就寝場所としていいだろう。
駐車場ポイントを物色する。
少しでも傾斜があると寝にくいからだ。平地で、国道の騒音から遠いポイントをチョイスした。

構内は駐車しているクルマがいくつかある。いずれも車中泊しているようだ。
大学生らしき4人の若者がトイレの洗面所で米を研いでいるのにはビビった。
どうやら彼らはハイエースで旅してるようだが、4人で寝るにはいくらなんでも狭いのではないだろうか。

とにかく、のぼるも就寝の準備だ。
荷室の荷物を整頓し、ロールマットとシュラフを敷布団、2枚の毛布を掛布団にした。
今朝フェリーの中で準備しておいたので苦労はない。
今日は疲れ過ぎだ。
1日に4つも滝を巡ったのは初めてだ。
明朝には疲れがとれているといいのだが。
とりあえず、おやすみぃ。


ここまでのダイジェストムービー(ニコニコ動画)
http://www.nicovideo.jp/watch/nm3354004

2016/3/24 22:29  [1498-4364]   

道の駅 日向の朝焼け あたらしい朝がきた きぼうの朝だ

寒い。

凍えそうな寒さ。
足下が死ぬほど寒い。
身体を丸めても、もう手後れ。
目を覚ますしかない。

携帯の時計を見ると6:00。目覚ましもないのにありえない起床時間だ。
九州の朝も、やはりこの季節は凍える寒さだった。
FITの荷室でナナメになって寝たわけだが、枕の微妙な大きさのぶん、足下のスペースが
足りなくなって、やはり微妙に寝にくかった。
その足下から冷気が忍び込み、結果寒さで目が覚めてしまったわけだ。
シット! もう少しポジションと寝具の構成を改良しなきゃ。

パジャマがわりのトレーナーから私服に着替え、外に出た。
車内のガラスはのぼるの体温と湿気で内側から結露していた。
とりあえずフリースを重ね着して、周辺を散歩した。

昨晩ここに到着したときは、すでに暗がりだったので注視していなかったが、
この「道の駅 日向」はすぐそばに日向サンパーク温泉という日帰り温泉施設があり、
その眼下には大平洋が広がっていた。

その温泉は今はまだ営業前、駐車場には誰もいない。
駐車場の路肩には南国の雰囲気漂うフェニックスの樹がそびえ、その後ろからは黄金の朝日に
照らされた大平洋。

まさに黄金聖闘士に目覚めた一輝。
なんと美しいことか。
感激の景色、ひとりじめだ。

では、今日もひとつがんばっていこう。
さっそく出発した。
とりあえずコンビニに立ち寄り、朝食の肉まんとココアを買う。
寒さにはココアが一番いい。風邪のウイルスを退治する効果もあるのだ。
本日の第一の目的地は、本土最南端の佐多岬。
次に桜島。あとは行き当たりばったりだな。

宮崎市街へ向かうにつれて朝の出勤ラッシュに見舞われた。
国道沿いはしばらくノロノロ運転を強いられるようだ。
このラッシュを回避するいいアイデアはないか。
どこかでヒマつぶしがてら、観光をすればいい。
宮崎といえば、シーガイア。
シーガイアとは、海岸線沿いにつくられた全長約10kmにも及ぶ巨大なリゾート施設。
ホテル、コテージ、スパ、サイクリング、ゴルフ、マリンスポーツなどの多彩な施設がある、らしい。
当施設の膨大な赤字に悩む東国原知事には悪いが今回はパス。
独りでそーゆートコへ行って、何が楽しいというのか。
いつか誰かと来ることにするよ。

2016/3/25 23:44  [1498-4367]   

生目古墳群の案内看板 前方後円墳 南国の雰囲気のシーサイドライン 道の駅 フェニックス

そのかわりといってはナンだが、近場にあった古墳群を見学することにした。

生目古墳群。

山あいの小高い丘に広い範囲でいくつもの古墳が集中している史跡。
5世紀前後に築造され、全長100mを超える前方後円墳3基を含む、九州最大級の古墳群だ。
のぼるはこういった古墳がけっこう好き。
城や仏閣建造物よりも、もっと古い時代のものに歴史ロマンを感じるね。
夢のひとつに、大阪の仁徳天皇陵を上空から見てみたい、と考えているほどだ。
すごいんだぞ、仁徳天皇陵。
敷地面積で見ればエジプトのクフ王のピラミッドより遥かにデカい。
世界最大の墓なのだ。

のぼるが見学したときは、発掘や復元作業の真最中で何人もの作業者がシャベルで掘ったり専門の
器材で何かを測定していたりしていた。
ゆくゆくはここを公園化しようとしているらしく、現在はそのための工事整備中といった感じだ。
その作業の邪魔にならないよう、周辺を見学した。

小さな円墳の多くはブルーシートで覆われ、見ることができなかったが、復元中の大きな前方後円墳は
その全貌を見ることができた。

キャベツ大の石を敷き詰めてあり、いかにもといった感じ。
いいね、古墳。日本の深い歴史を静かに語る丘。豪族が眠る墓として、その中にとんでもないお宝が
眠っている可能性も否定できまい。トレジャーハンターでなくとも、血が熱くならないか?

なみに古墳の内部調査って宮内庁絡みで頭がガチガチに固いから、ちょっとやそっとじゃ許可下りません。
だからドロボウ被害が多いんだよ。

さて、まだまだ先は遠いので出発した。
空は晴れ。太陽が照ると気温もどんどん上昇していく。
今朝の寒さなどどこへやら、だ。
Tシャツと春物の春物シャツでちょうどいい。

シーサイドライン、太陽光きらめく大平洋、道路脇に等間隔に並ぶフェニックスの樹。
これが南国だ、といわんばかりの風景。

ごきげんな海岸線を進んでいくと、休憩ポイントの「道の駅 フェニックス」に到着した。

広々とした大平洋を目の前にした円柱状の建物。そこで休憩、食事、おみやげ、この地の歴史が
紹介された展示室などがある。

外には丘の上に展望台があり、大平洋の蒼々とした海を好きなだけ眺めることができる。

なんですか、ここは。天国ですか。楽園ですか。

2016/3/28 00:49  [1498-4371]   

ぽかぽか陽気の南国 こんな日は屋外で食事だ! ヒャッホウ サバ寿司最高! 神川大滝公園

土産物屋を物色してたら、地元産のお弁当なんかが売られていた。
スーパーの弁当っぽいやつだ。
そこには寿司もあった。生寿司ではなく、サバやアジを酢でしめたやつだけど、とてもうまそう。

ていうか、サバ寿司6カンで300円。なんと安いっ!
思わず買って、外のテラスでパクパクと食べた。
脂もほどよくのって極上のうまさ。それだけで満腹だ。
まだ昼前ではあるが、もう昼飯はいらないな。

再び出発した。
もっともっと南へ。
ドリンクホルダーのペット烏龍茶がうまい。
こんなところでのぼるの持病(?)である結石にかかるわけにはいかないので、水分の補給はマメにする。
ちなみに水分補給用のペットボトルは5本ほどまとめてクルマに常備してある。
コンビニや自動販売機などで買ったら高くつくからだ。
ただでさえガソリンが高くてヒーヒー言ってるのに、無駄遣いなどもってのほか。
食事も同様。ご当地のうまいものをいかに安く食べるか、のぼるの永遠のテーマともいえる。

ただしウニ丼やステーキは別口である。
このふたつは高くても食べないと気がすまない性分。
ゆえに、基本的にはB級グルメ、ただし1点豪華主義、というやつだ。

宮崎の南、日南市で今まででいちばん安いガソリンスタンドを見つけた。
このときのレートは全国で平均145円くらい。
だが、ここのGSは現金払いで135円。
この地域は他県に比べて安い印象を受けた。
まだタンクの半分ほど燃料はあったが、あまりに安かったので入れることにした。
カード払いを選択し、満タンに入れ、再び出発。
その後、信号待ちのときにGSのレシートを見たら、単価がなんと126円計算で算出されていた。すげえ。
カード払いの設定単価、間違っていたのではなかろうか。

山を越えると、鹿児島湾に出た。ここからは海の位置が左右逆転する。
いつのまにか鹿児島県に入っていたようだ。
海の彼方に陸が見える。向こうに見えるのが薩摩半島。
湾だから陸続きになっているわけだが、雄大すぎて実感が涌かない。
ちなみにこの湾の内側に桜島がある。
本土最南端の佐多岬へ行ったら、この道を逆走してその桜島を目指すことになる。
逆走はあまり好きではないが、この際仕方ないのだ。

佐多岬を目指してひたすら南下していくが、ここでまた寄り道。
滝がこの近くにあるというのだ。
可能な限り、滝は見ますよ、あたくしは。

神川大滝公園。
最南端の原生林に囲まれた静かな公園。
公園というからには整備されているのだが、実はまだ開園していなかった。
3月末まで閉園、と看板に書いてあり、立入禁止っぽくパイロンが置かれていた。
立入禁止とは書かれてないので、そのまま進んだ。
仮に書いてあっても進んだけどね。

誰もいない、枯葉が落ち放題のアスレチックや、雨ざらしの滑り台。
寂しいというより憐れみが漂う。
そんな公園の先に滝があった。

2016/3/28 13:33  [1498-4374]   

神川小滝 神川大滝 もうすぐ最南端の地 最果てで見た痛車

神川小滝。小滝というわりに高さ20m近くありそうな迫力ある滝だ。
その先に無人の茶屋があり、そのさらに先に、目的の大滝があった。

高さ25m、幅35mの神川大滝。
その名に恥じることのない、堂々とした滝だ。

空を仰ぐと、渓谷の両側を渡す吊り橋がある。
この大滝を見おろせるくらい高い橋だ。
その橋まで行って渡りたいとは思ったが、もうすぐ夕方になろうとしている時間なので、
先を急ぐことにした。

風と雲が少しでてきた。
しばらく進むと、有料道路の看板が目についた。
どうやらこの有料道路の先に佐多岬があるようだ。
くそう、いくらかかるんだ。
警戒しながら進むと、料金所は無人だった。
どうやらシーズンオフのため、今は無料のようだ。ラッキー。
山道をどんどん登っていくと、行き止まりの駐車場に到着した。
どうやらここからは徒歩で行くしかないようだ。

駐車場の他のクルマは他に3台程度。
このシーズンだから少ないもんだ…などと思っていたら、とんでもないクルマを発見してしまった。
見た目はジムニーなのだが、外装・内装ともにアニメ関連のグッズで自己主張しておられる、
俗にいう痛車だったのである。

外装はNavelやTypeMoonのロゴマーク、内装はSHUFFLE!のキャラの巨大クッションなどが。
痛すぎてとりあえず目を背けたくなる。だから痛車なのだ。

とりあえず、見なかったことにして岬を目指そう。
駐車場脇のトンネルをくぐって進むのだが、その入口に事務所があり、入場料600円もとられた。
まあ、名所の維持を目的としているらしいのでよしとする。
200mほどの長さのトンネルをくぐると、そこから岬へ遊歩道が整備されており、歩いていく。

その途中、まさにそれっぽいヒトがいたので話しかけてみたら、まさに先ほどの痛車のオーナーであった。
なんと長野県から来た現役高校生。就職内定して、単独卒業旅行中だそうだ。
ということは、あのジムニーは親に買ってもらったのだろう、それをあんな痛車にしてしまうとは…
と思ったら、自分でバイトして買ったのだそうだ。
いや、それウソだろ。あのジムニーはどうみても新車だった。ナビのほかにDVDプレイヤーと
モニターも単独で設置してあり、普通に見積もっても200万円など軽く越える。
高校生にそんな大金を稼げるバイトなんて常識では考えられない。

ま、深く追求しても余計なお世話か。

彼はのぼると同様、車中泊で九州をまわっているらしい。
高校生で同じスタイルで旅をしているのに、ショックを受けた。
旅行をするにあたって最大のネックになるのは宿代。それを省くとなると必然的にクルマで行動し、
クルマの中で寝るスタイルが経済的。そういう結論にはなる。
だが、他の交通手段の費用&宿代と比べ総合的に安上がりになるといはいえ、高速代、
ガソリン代だけでも相当な額になる。
いまどきの高校生って、なんてお金持ちなのだろうか。
 
さらに大きなお世話的な話。
長距離の高速道路を走行するのにはETCが、割引やサービスの面で非常に有効。だがそのシステムの
恩恵にあやかれる根底には、クレジットカードの契約が不可欠。
高校生で単独クレジット契約など不可能。
そうなると親がお金持ちなのだろう。
ETCを搭載していないのならば、彼がもっとお金持ちなのだろう。

もしかしたら高校生トレーダーか。
アニメ、ゲームをたしなむ者はネット知識も長けているはず。若い頭脳はなんでもすぐ吸収するから、
それで株の知識を得て、大儲けしたのか。
のぼるは際限なく疑心暗鬼しまくる。

なにが言いたいのかというと、なんかこう、すげえ悔しいんだよ!
痛車高校生が、のぼるスタイルの旅をあっさりとやっていることが!(彼があっさりやってるか
どうかなど不明だし、まったくもって本当に大きなお世話なことである)

壮絶に話が逸れてしまった。
「事故に気をつけて、がんばれよー」
のぼるは痛車高校生を励ましつつ別れた。
最南端は目と鼻の先だ。

2016/3/29 18:12  [1498-4379]   

最南端の神社 険しい道を進んで・・・ ついに佐多岬に到着! 日暮れ前の桜島

夕方になるにつれて暴風に近いような強風が吹く。
岬の先端へ続く遊歩道は、手すりもしっかり設置されていて安全。
だが、ところどころ手すりがぽっきりと折れている箇所がある。
規模は小さいながら土砂崩れしている箇所もある。
海抜70mはありそうなここから落ちたら即死コース。
けっこうなスリルである。

それでも進むと、途中に小さな神社がある。
御崎神社。
全体が朱色の社で、この最果ての地を守護している神社なのだそうだ。
のぼるは5円玉を賽銭箱に投げ入れ、旅の無事、というかとりあえずこの岬の往復の無事を祈願した。

さらに進むと「佐多岬」の看板。
本土最南端の地。

ついに辿り着いた。
その先に見えるものは、海。

天気がいいと、種子島や屋久島などが見えるらしいが、生憎のシケなので遠くまでは見えなかった。

いやはや、おつかれだったな。
最南端攻略記念に、何気に置いてあったおみくじの自動販売機をやってみる。
大吉だった。
こりゃ運がいい。新潟に無事に帰還したらtotoを買おう。6億当たるぞ。

近くに屋内展望施設があったので中に入る。
展望室は入場料200円かかるというので辞退。入口で一服だけしてそそくさと出てきた。
長居するつもりはないので200円も払ってられない。

駐車場に戻り、出発した。
次に目指すは、桜島。
せっかくの雄大な活火山、明るいうちに辿り着きたい。
というわけで少しクルマのペースを上げて、来た道をどんどん戻っていった。

太陽が彼方に沈み、薄暗くなった頃にギリギリ桜島の姿を拝むことができた。

いまなお噴煙をあげている桜島。
鹿児島湾に浮かぶ活火山の島。

島なのだが、実はこちら側の大隈半島とギリギリ陸続きになっているので自走できたりする。
鹿児島の街へはフェリーで渡ることになる。のぼるの予定では、桜島を横断し、短距離フェリーで
鹿児島の街へ行こうと思っていたのだが、日が暮れてしまった以上、あまり見るべき部分は
ないだろう。
そんな理由で鹿児島の街はスルーすることにした。

今なにがしたいか、というと、無性に温泉に入りたい。
佐多岬の潮で肌がべたべたして困っているのだ。
そんなわけで周辺の温泉を探すと、運のいいことにすぐ近くに温泉を併設した道の駅があるという。
さっそくそこへ向かった。

道の駅 たるみず。
入場料320円という安さながら設備は綺麗で快適。
内風呂、サウナ、露天風呂どれも申し分ない。
じっくりと暖まることができた。
試供品の無料で使える乳液もすげえ気持ちいい。足の裏にも有効、と書いてあったので塗ってみると、
すげえスベスベになった。これはいい。
極めつけは、ロビーの一角でベッド型マッサージ機を無料で体験させてもらえた。
マッサージ機のセールスなのだが「旅の途中だしまだ若いから買う気ないです」と遠慮したら、
「じゃ、せっかくだからこのマッサージ機で旅の疲れを徹底的に癒していってください」
とサービスしてくれたのだ。
セールスマン的に、閉店までヒマを持て余していたのだろう。
まあ、のぼるも日が暮れた以上はもはや急ぐものは何もないから、お言葉に甘えることにした。

これがまた最高に気持ちいい。
30分間じっくりと全身をもみほぐし、もう30分かかとを振動でマッサージ。
終わってみると、肩や腰の痛みもすっかり治って、全身が風船のように軽くなっていた。
なんという極楽極上サービス。
のぼるはセールスマンに丁寧にお礼をし、外に出た。
320円でここまでサービスしてくれるとは、道の駅たるみず万歳!

2016/3/31 15:51  [1498-4382]   

激旨ミックスカツ定食

さて、これからどうするか。

マップを広げ、ナビを起動し、携帯電話のネットを起動する。
天気予報によると、現在の大シケは今晩までのようで、明日は九州全域が快晴になるとのこと。
地図をみると、明日行く予定の熊本のやや東に阿蘇山が位置している。
もう一度阿蘇山を攻略できるチャンスがあったのだ。
ならば天気予報を信じて、明日は午前中に阿蘇山リベンジしよう。

そうなると、今晩のうちに阿蘇の近くまで距離を稼いでおく必要がある。
地図をみると鹿児島から九州自動車道が通っており、熊本までその高速道路で行ける。
ナビで単純計算させると、熊本まで高速代は4000円くらいもかかる。
だが深夜割引を上手に利用すれば4割引になる。2000円程度ならよかろう。
よし、これでいこう。

現状の装備を最大限駆使して行動予定を組み立てる。
そのわりに大切なことを忘れていた。

腹ぺこだったのだ。
昼前にさば寿司を食べてから、なにも腹に入れてない。
昨日ゲットしたサラミは運転中の気分転換に食べてはいたが、それでは満腹になどならんわ。
なにか食べ物…。

温泉を出発して高速のインターチェンジへ向かうが、しばらくはコンビニ1件すらなかった。
21:00を過ぎていたので、そのへんの食堂やレストランもとっくに閉店しているだろう。

腹の虫を鳴らせながら走っていると、国分市街地に入った。
鹿児島湾の根元にあたる街だ。
すると、すぐにまだ営業中のとんかつ屋が目に入った。
やった。ここでいい。むしろここがいい。激ラッキー。
さっそく店内に入った。

メニューを見るまで忘れていたが、鹿児島産の黒豚は美味いので有名。この土壇場で
ご当地メニューにありつけるとは、運がいい。

ミックスカツ定食をたべる。

ロースカツ、ミルフィーユカツ、コロッケ、メンチカツがほどよいボリュームで食べられる
よくばりメニューだ。

トンカツはもちろんだが、豚汁やおしんこの高菜もうまい。

ごはんと味噌汁はおかわり無料。だが、それを見越して予めおひつが運ばれており、その中には
1膳ぶんのごはんが。そのごはんで充分腹いっぱいだった。

1500円。ちと高かったが、その価値はアリだった。

満腹になったところで出発。
すぐに国分ICに入る。
22:00。
温泉&マッサージのおかげでずいぶんスッキリしたものの、しだいに眠気が襲ってくる。
まあ、走りまくり、歩きまくりの1日だったからな。
熊本県に入ってすぐの山江SAで力尽きた。
もう少し進んだところにある坂本PAまで行きたかったが、限界だった。
駐車場にFITを止めると、荷室に移動して死んだように寝た。
寒さ対策をしたかったが、どうにも眠くてダメだった。


ここまでのダイジェストムービー(ニコニコ動画)
http://www.nicovideo.jp/watch/nm3375375

2016/3/31 15:57  [1498-4383]   

早朝の九州自動車道 朝はガスがかっていた阿蘇だが・・・ みるみる晴れてきた 阿蘇でもこんなに積もるのね

激寒。

またも寒さで目が覚めた。しかもまた6:00。
くそう、こんなことしてたら本当に風邪ひいてしまう。
とりあえずSAの売店コンビニでココアを買う。

天候は晴れ、なのだがクルマのガラスが凍っている。
3月の九州って、凍るんだ。
エンジンをかけ、エアコンを霜取りモードにする。
のぼるの寝ていたときの息でガラスの内側も結露しまくりだ。

フロントガラスがクリアになったところで、いざ出発。
九州を縦断する九州自動車道をひたすら北へ。
山岳の頂上付近が朝日に照らされて美麗なことこの上ない。
ていうか、見える山、どこも雪が積もっている。
昨晩雪が降ったのだろう。どうりで寒かったわけだ。

熊本県の松前ICで高速を出た。
深夜割引の恩恵で2200円也。PAで寝たのもこの割引の恩恵を受けるためでもあったわけだ。

ここからは下道で阿蘇を目指す。
しかし、ここでまたとんでもない事態に。
熊本の市街地を走ってたら、壮絶な出勤ラッシュに巻き込まれたのだ。
昨日と同じパターンではないか。少しは学習しろよ。

このへんに見るべきところは特になく、超低速スピードで阿蘇へ向かうことになった。
熊本は阿蘇山のほかは特に用事はなかったりする。
釘宮理恵が熊本出身らしいが、だから何だ、という話だ。
釘宮理恵とは、声優でツンデレの女王と呼ばれるほどのカリスマ性を持っている。通称くぎゅ。

阿蘇の山あいに近付くにつれて渋滞もなくなっていった。
天気はいいが、見上げる阿蘇の山頂付近は雲に覆われている。
でもそれも今のうち、登ったらその雲もなくなっているだろう。
そう信じて、阿蘇山攻略開始だ。

阿蘇山の登山道路は数カ所のルートが存在する。
ならばヒルクライムとダウンヒルは、それぞれ別ルートをチョイスするのが正しい楽しみ方といえる。
登りに選んだコースは、県道111号。
これでもか、といわんばかりにヘアピンカーブが連続する。

そのうち道路脇に雪が見えはじめたかと思うと、すぐに道路も雪道となる。
スタッドレスタイヤを履いてきて本当によかった。
この旅はノーマルタイヤにしていこうか、と旅立ち前に悩んでいたが、替えなくて本当によかった。

高度が高くなるにつれて景色が壮絶に格段によくなってきた。
思った通り、雲もすっかりなくなったようだ。
下界のカルデラ盆地、その向こうの鞍ヶ岳、尾ノ岳など1000m級の山岳がパノラマになって広がる。
これだ、この広大な景色が見たかったのだ!
ハハハハ、見ろ、人がゴミのようだー!(人の姿など小さすぎて見えないが)

景色を楽しみつつ、雪道を警戒しながら登っていくと、信じられないものを見た。
この急勾配の雪道を、なんと自転車で登っている学生の団体がいたのだ。
高校生か大学生くらいが8人ほど。
ちょっと待ておまいら。どこのチャレンジャーだ。
のぼるも高校生のとき、自転車で佐渡島一周したことがあるが、そこの有名な1000m級山岳道路、
大佐渡スカイラインは登ろうなどと考えもしたことがなかった。

それが何。阿蘇山1500mの、しかも雪道を自転車で?
すごすぎ。上には上がいる。負け、心底認めます。

2016/4/2 07:25  [1498-4385]   

山頂近くのロッジ 遥か見上げると噴煙が 雄大すぎる 長洲港に到着

彼等を追い越し、しばらく登っていくと、頂上近くの大きなロッジに到着した。
大規模な駐車場があり、観光バスなんかはここまでだ。

山頂である火口までは、ここから有料道路になるのだが、除雪が追いつかず閉鎖していた。
また、このロッジから山頂までお手軽に行けるロープウェイもあるにはあるのだが、
山頂付近がガスがかっているらしく、これも本日運転中止。
事実上、今日はこのロッジがクルマで登れる頂上というわけだ。
どうしても頂上まで行きたいヒトは、歩いて行くしかない。
のぼるはそこまでしなくてもいい派だ。登山装備なんてないし、有料道路も最初から
登るつもりなかったから(節約のためだ)

だが、ここからでも山頂の様子はある程度見れる。
一見雲とも見える噴煙が、山頂付近にもくもくと漂っている。
「のび太の大魔境」の舞台、ヘビースモーカーズ・フォレストのようだ。
いいね、活火山。なんというか、ロマンだよ。

積雪も、ここまでくると膝の上ほどまである。
観光バスを停める大型駐車場でも、除雪用に改造したパジェロがせかせかと雪をかき回っていた。

ロッジの中は、土産物屋とレストランとロープウェイ乗り場になっていた。
せっかく阿蘇山に来たのだし、なにか記念になる土産を探していたら、ここでしか買えない阿蘇の
お酒などというものを発見。
日本酒と芋焼酎の2種類があったが、悩んだ末両方とも購入した。

阿蘇の風景を堪能したところで出発。
下りは県道298号の近道だ。
下りの途中、スキー場があった。もう営業はしていなかったが、九州にスキー場が存在していた
ことなど初めて知った。
高原の晴れた日の、うっすらと積もった雪景色を楽しむ登山客もいた。
こんな景色を眺めながら食べるおにぎりなんて、最高だろうな。

平地に戻ると、西へ向かう。
次に目指すは、雲仙普賢岳だ。
そう、十数年前大噴火が襲い、何人もの犠牲者を出したあの山だ。
桜島、阿蘇山、そして雲仙岳。考えてみたら活火山ツアーになっていた。

熊本市街を通り過ぎ、長洲町に着いた。
ここの港からFITをフェリーに乗せていくことになる。
雲仙岳へ行くにはそれが近道になる。巨大な有明湾を自走で回ったら半日はかかるが、
フェリーで行けば1時間弱で到着する。
九州の海、特に長崎周辺は複雑な地形をして、細かい島がたくさんある。
だからこそそんな風景を楽しめる。新潟では見られないからね。

2016/4/3 10:34  [1498-4389]   

連絡船にクルマを載せて出港 客室内の様子 甲板では大量のカモメが 往路のフェリーとすれ違う

有明フェリーの乗船場で手続きをする。

予めインターネットで割引クーポンをちゃっかりゲットしておいたので、10%割引の1770円也。
クルマ1台+人間1人でその料金なら安い安い。
手続きもそのクーポンに記入してお金と一緒に渡すだけ。予約もいらないし簡単なもんだ。

だいたい1時間に1便あるが、次の出航までやや時間がある。
ターミナルでヒマをつぶしていたが、立ち食いソバが妙にうまそう。
そういえば今日は朝からほとんど何も食べてない。
だが、今日は雲仙のふもとの食堂でうまいちゃんぽんを食べる予定。
ここで空腹を満たすわけにはいかない。我慢だ我慢。

待ち時間の中で、これからの予定を計画した。
本日は最終的に福岡まで行きたいと思っていたが、どうやら無理だ。
無理すれば行けないことはないが、行けたとして佐賀市街がいいとこだ。
本来なら福岡の4500円朝食付き駐車場無料の格安ホテルを予約しようと思っていたのだが、
今日は佐賀のどこかで車内泊だね。
福岡へ行く目的は、単純に言えばとんこつラーメンが食べたかっただけ。
だが、スルーしてもよかろう。
ならば、明日は夕方には大分に到着できる。
つまり、四国行きの夕方便のフェリーに間に合うのだ。

「よし、明日の夜は四国上陸だな」
決心したところで、フェリー会社に予約を入れた。
神戸から乗ったのと同じダイヤモンドフェリー。裏チケットがまだあるのでまた40%割引の恩恵が
受けられるわけだ。
よし、これで明日の予定がついた。

そうこうしているとフェリーが到着した。
雲仙側からのフェリーが接岸し、クルマやヒトが降りていく。
からっぽになったところで、いよいよ乗船だ。
前のクルマについてフェリー内駐車場へ。小型のフェリーなので駐車場は吹きさらしだ。
階段をひとつ登ると屋根のある甲板に出た。

室内の休憩室もあり、テレビでNHKの連続TV小説の再放送をしていた。

間もなく出航。
フェリーは港を離れ、沖へ向かう。
天気がいいので甲板でくつろいでいると、地元らしき学生がポテチをばりばりと食べていて、
それにつられてカモメがギャーギャーとたかっている。
ポテチでカモメを誘き寄せ、捕まえて焼き鳥にしたらどうだろうか。
照焼きにしてごはんに乗せ、カモメ丼。うまそうかもしれないな。
なんてことを妄想しながら船旅を楽しんでいた。

2016/4/5 21:48  [1498-4392]   

雲仙普賢岳 上陸だー 火山へ向かってレッツゴー おや観光地化w

進行方向に島原半島が見えてきた。
そこに巨大にそびえる山、あれが雲仙普賢岳だ。

山頂付近からふもとの街、そして海へ続くまだら模様の地形。
恐らくそれが火砕流の痕跡。
遠くから見てわかるくらい、その規模はでかい。

島原半島の大比良港に到着した。
フェリーの首尾が開くと、外へ出た。

すこしふもとの住宅街を走ってみたが、すっかり復旧していた。
住宅は立ち並び、段々畑にはたくさんの農作物が育てられている。

実をいうと、のぼるは噴火した少し後にこの地へ来たことがある。
専門学校の研修旅行だ。
あのときのこのへんは、地獄だった。
あたり一面火砕流のあと。なんとかバスが走れる道路があるだけ。
火砕流の上に屋根の瓦が見える。
つまり、屋根の高さまで火砕流が押し寄せたのだ。
あの光景は忘れることができない。
だが、現在は完全に復旧し平和な街になっているようだ。
あちこちに見られる石垣は、火砕流の岩を利用したようで、この土地の特色を色濃く現していた。

雲仙岳を登る。
木々は生い茂っているが、至る所に巨大な溶岩石が林に転がっている。
高度が上がるにつれて、またもや雪景色になっていく。
阿蘇に限らず、ここでも雪かよ。
まあ、雲仙岳の平成新山も阿蘇山と同じ1500mクラスの山。
こうなることは予想すべきだと思うべきだ。

山頂付近へ向かう道は今のシーズンは閉鎖中だった。
閉鎖とか禁止区域と書かれていると、突っ切って入りたくなるが、そういうことをするヤツは
傍役にしかなれない。
ヒーローになれるのは、そういう暴走した傍役を止めるために『仕方なく』入るヤツだ。
これは昨今のアニメで定石化されたヒーローの定義。
だから先にその禁止区域に入るやつを少し待ち、その後に続こうと思ったのだが、誰も入るクルマはない。
くそう、石ノ森ヒーローになるには、暴走する傍役と、自分よりほんの少し弱い敵キャラが
必要だというのに。

関係ないけど、初代ライダー1号(本郷猛)が再出演したとき、ライダーのデザインが
ほんの少し変わっていた。桜島でロケしたときのエピソードから、その新デザイン1号は
『桜島1号』と呼ばれるようになった。ならば、のぼるは『雲仙2号』になろう(意味わかんないし)

少し進むと、景色が一転した。
今までは殺風景な山岳の風景だったのが、華やかな観光名所によくある観光ホテル街になったのだ。
なんだここは、と目を丸くしていると、道路の脇のあちこちから水蒸気が上がっているのが見える。

2016/4/8 00:08  [1498-4398]   

なんだかすごい世界 気温は寒いが地面は暖かいらしい 小浜温泉街 絶品ちゃんぽんと寿司。ここの鉄板メニュー

ここは『雲仙地獄』といわれる、九州でも有数な温泉地。
活火山の地熱の影響でガスを含んだ水蒸気が立ちこめる地帯なのだそうだ。

クルマを駐車場に止め、あたりを散策してみた。
このへんはどこにいても卵の腐ったようなアンモニア臭がただよっている。身体にいいのか
悪いのか微妙なところだ。
岩石と針葉樹の風景の歩道のあちこちで吹き出す水蒸気が見える。
危険と思われる箇所は柵が設けられて立入禁止になっていた。

このへんは地熱の影響で暖かいらしく、ねこが歩道のコンクリートで寝そべっていた。
高地なので気温は寒いが、地面は暖かいらしい。

温泉卵が売られていたので買ってみた。
5個300円。
駐車場に戻ってから、車内でひとつ食べてみた。
卵の殻は簡単にむける。かすかに香る温泉の匂い。おお、うまい。黄身は完全に茹で状態。
もうちょっとだけトロリとしてたら言うことナシだったが、まあ贅沢は言うまい。


再び発進し、下り坂を進むと島原半島の逆側の海に出た。
小浜温泉街。ここも観光地となって、海沿いの観光ホテルに囲まれた街だ。
だが、あまり観光客が来ないのか、たくさんのホテルが潰れ、閉鎖されて無人化していた。
このへんも大変なのだろう。

限界的に空腹のため、食堂に入った。
『味処湯処よしちょう』という店だが、以前ホテルだった建物を改装して営業しているらしい。
温泉も入れて食堂もやっているところだった。

ここで小浜ちゃんぽんとにぎり寿司を食べた。
この地から長崎の街まで目と鼻の先。ゆえにここでもちゃんぽんは名物になっていた。
野菜たっぷりで食べごたえ充分、太丸麺ものどごし最高。寿司も近場で捕れたネタをにぎっているらしく、
最高にうまい。
これで980円なら上等だろう。

安くてうまいものを食べると幸せな気分になる。
しかし、それで満足している余裕はあまりない。
次の目的地はリアス式海岸の夕陽の名所「道の駅 夕陽が丘そとめ」なのだが、
ここからちと遠いが夕暮れには間に合うはず。

長崎に寄りたかったが、目的のちゃんぽんも今食べたからスルー。
絶品カステラの切れ端もゲットしたかったが、スルー。
べつに修学旅行の道程をトレースしに来たのではないのだー。

2016/4/8 23:38  [1498-4402]   

夕陽が沈んだあとの夕陽が丘そとめ 元湯温泉

そしてのぼるは大変な目にあった。

長崎をスルーしたのは仕方ないとして、夕方のラッシュに巻き込まれ、渋滞回避ルートを
見つけたナビの案内を鵜呑みにしてとんでもなく狭い路地に迷いこみ、夕陽が丘そとめに
到着したときは、すでに陽が没した後だった。
トホホホ。
九州西部の海岸線沿いは日本でも有数の景観だというのに、特にその夕陽の景色を楽しみたかったのに。
なんなんだよ、あのクソ渋滞!

日が暮れると、もう景色はほとんど関係ない。
仕方なく距離を稼ぐため出発した。
途中、ハウステンボスの看板が見えた。長崎が誇るアミューズメント・リゾート施設だ。
研修旅行で行ったことはあるが、個人的にはTDLやUSJより好き。ていうかその手の
アミューズメント施設の中ではいちばん好きかも。

なんたって、古き良き時代のオランダをコンセプトに作られたのだ。
風車が再現されチューリップが咲き誇り、独特の鋭角な屋根の木造建築物が立ち並んでいる。
オランダ好きののぼるにとってはたまらないのだ。

ま、だからといって、仮に昼間にここへ来たとしても、5000円のフリーパスとか買って
入園しようとは思わない。
オランダの印象が色濃い長崎も、街や街の歴史は好きだが、それだけ。
どうしても行きたいところ、というわけではない。
オランダを求めるならば、現地に行くのが一番いい、ということだ。

そういえば、このハウステンボスではそれなりのお金を出せば施設内の居住区で本当に住むことが
できるという。
家の側面とかには水路があって、クルーザーなんかもそこにスタンバイできるとか。
totoで6億当てたら住みたい、と本気で思う。
とはいえ、ハウステンボスはそーとー赤字らしい。宮崎のシーガイアと同じなのだ。

いちばん楽しみにしていた夕陽が見られず、少しやさぐれ状態だったが、気持ちを切り替えることにした。

佐賀へ行く途中の嬉野の元湯温泉で一汗流した。
入浴350円と安い。室内風呂のみだが、広々とした湯舟でゆったりとくつろぐことができた。
平日の温泉って空いてていいわ。

道中、サークルKで角煮まん、マックでチーズバーガーとマックポークを食べ、それを夕食とした。
明日はなんかちゃんとしてものを食べたい。

22:00に佐賀市街に到着した。
寝場所を探すなら郊外の「道の駅」を目指すのが当たり前なのだが、すこし事情があって
市街地に来た。

その事情とは。
なんと、ネット依存症で禁断症状が出ていたのだ。
チャットしたい。ニコニコ動画みたい。再就職のネットオファーのチェックしたい。
ネトゲーしたい。
携帯電話のPCサイトビューアーなどという中途半端なモノだと、これらのものがチェックできないのだ。
旅してるときくらい自重しろ、とか思うだろうが、もう我慢の限界だった。

…という理由で、のぼるはネットカフェへ直行したのであった。

個室ではなく、やや広いフロアに何台もパソコンが置いてある『ネトゲーパック』というプランが
安かったのでそれにした。6時間1200円。安いと思う。
まあ、6時間もいないけどね。
フリーのドリンクのカップを持って、自分のPCデスクに座る。
まわりではネトゲーを真剣にやっている男がたくさんいる。ときどき奇声をあげるヤツもいて
結構ビビる。どうも自キャラが死んだらしい。

のぼるはさっそくPCに勝手にスカイプをインストールし、大阪でオフ会した仲間と交信した。
オフ会ではお疲れさまでした。現在は佐賀にいて、楽しく旅してるー。
なんてことを文字会話した。
そのあとネットで必要な情報を仕入れ、トドメにパンヤというネットゴルフのゲームで1時間ほど遊んだ。

深夜0:00。さすがに眠くなった。体力の限界だ。
帰る準備でスカイプをアンインストールしている最中のこと。
近くのヤツらの会話が聞こえてきた。
「○○さん、今日は何時まで(ゲームを)やっていくんですかー?」
「今日も24時間コースだな」
「マジすかー。がんばりますねー」
24時間って何だよ。『今日も』って何だよ。仕事しろよ。こーゆー、時間に歯止めをかけずに
やってるヘビープレイヤーがいるから、のぼるのような、1日3〜4時間程度しか遊べない
ユーザーとのレベル差がどんどん広がるんだよ。
ネットカフェ難民ではなくネットカフェ廃人だな、こいつ。

ネットカフェを出て、クルマに乗った。
いやあ、すっきりした。
近くの「道の駅」を検索し、そこへ走った。

道の駅 大和。
そんなに規模の大きくない施設で、クルマ1台停まっていない。
まさにのぼるの貸しきり状態だ。
駐車場の中でいちばん平地のスペースに止め、後部荷室へ移動。

最後の力を振り絞って寝床の構成を整えた。
まず助手席をいちばん前までスライドさせて荷室の寝床スペースを最大限に広げた。
こうすることで枕を設置した状態でもつま先に若干の余裕が生まれた。
次に布団だ。
シュラフを敷布団にするなど勿体無い。ツーリング用に購入したメーカーものなので保温性はある。
だから、まずシュラフの中に入り、本来の「みの虫状態」になる。
そして1枚目の毛布でシュラフに巻き付ける。こうすることで保温性をさらに高め、しかも
底のクッション性も高める。
トドメに2枚目の毛布を上にかけて出来上がり。
つま先の毛布を折り曲げ、いちばん寒くなる部分の保温の対策もバッチリ。

今日も夜は寒い。
快適に寝ることができなければ、翌日の行動にも支障をきたす。
車内泊をするならば、寝床もとことん快適にこだわらなければならないのだ。
車内泊で体力回復できないのならば、高い金を出して宿に泊まったらいい。
出費を削るならば、それに伴うリスクも、知恵と勇気で削るべし、である。
では、おやすみ。


ここまでのダイジェストムービー(ニコニコ動画)
http://www.nicovideo.jp/watch/nm3389861

2016/4/12 06:10  [1498-4408]   

道の駅 大和の朝 ややキレイになったFIT

あったかーい。
完璧な布団構成でつま先までぬくぬくだ。
朝。
目覚めると6:00。
寒くても暖かくても、起床は6:00になってしまった。

今日もいい天気。朝の気温は放射冷却現象のため激寒だが。

道の駅の洗面所で顔を洗い、朝日を見ながら朝食。
雲仙岳でゲットした温泉ゆでたまごに塩をふりかけて食べる。うめえ。
朝露がクルマに付着しているうちに、ささやかにボディの汚れを拭き取ってやる。
クルマが汚いと可哀想だからな。

本日の予定は、夕方に大分港から出航するフェリーに乗って四国へ渡ることになっているので、
それに間に合えさえすれば何をしてもいい。
では、まず手始めに朝の散歩がてら付近の滝でも検索してみようか。
カーナビで、付近の滝を検索して「清水の滝」という場所へ向かった。

のぼるはこのとき何も知らなかった。
このお気楽に企画した朝の散歩が、今日1日の計画を揺るがす大事件に発展することになったのだ。

ナビの案内に従って運転する。
見知らぬ土地を運転するとき、ナビはこの上ないガイドとなる。
最寄のコンビニやガソリンスタンド、温泉なんかも簡単に検索でき、とても便利だ。
ここまで九州をスムーズに移動できているのも、ひとえにカーナビのおかげといえるだろう。

しかし。
ずいぶん山奥にきた。
まあ、滝というのは得てして山奥にあるものなので、そう不思議なことではないのだが、
なんだか様子がおかしい。

道ばたに倒れた木が横たわっていたり、昨年の落ち葉と思われる枯葉が大量に散乱していたり、
道路に車がほとんど走っている形跡がないのだ。
明らかにおかしい。
それでもナビの案内に従って走っていると、間もなく「目的地に着きました」と音声案内が終了した。
駐車場もなにもない、道路のど真ん中でだ。

とりあえず外に出てまわりを見てみた。
右は山、左はガードレール付きの谷。
「????」
滝なんてどこにもない。
だが、よく耳をすませると、谷底から沢の音が聞こえる。
どうやら滝はこの下にあるようだ。
つまりは、ナビは案内をチョンボして滝の直上にある道路の位置を案内してしまったのだ。
なるほど。そういう案内ミスもたまにはあるのだな。許してやんよ。
のぼるはナビのミスに怒りもせず、来た道を戻ろうとした。

そんなときだった。

Uターンして戻りはじめた矢先、1台の軽トラックが停まっていた。
さっきまでそんなクルマはいなかった。明らかについさっきここに停まったものだ。
なんだか、おかしい。
道路整備もされてないこんな道の、なにもない場所で停まっているのだ。
のぼるのようにナビの案内ミスでここに来たとも思えない雰囲気だ。
 
その軽トラックに近付くと、外に出ていた運転手の姿が見えた。
作業ツナギを着た中年のオヤジだ。
見ると、なんとそいつは荷台に積んであった段ボールっぽい箱を、こともあろうか谷底に
ポイポイ投げ捨てていたのだ!

ゴミの不法投棄!
のぼるの体中に戦慄が走る。
いい歳こいたオヤジが、守るべき自然に害を与えていたのだ。
こういう自分さえよしみたいな下衆野郎が今だにいるなんて…!
信じられない。許せない。見た以上はなんとかせねば!
 
どうする。
クルマから降りて注意するか。
だが逆上したオヤジが向かってきたら腕力で勝ち目はない。
刃物とか持ち出されたら、それこそヤバい。
『ひぐらしのなく頃に』的な猟奇殺人の犠牲者になるのはごめんだ。
のぼるはとりあえずその場を素通りして、2〜3カーブを曲がったところにあった、
倒れた木の影に停車した。
そして車内でデジカメを準備。
ヤツが引き返してきたところを、クルマのナンバーがわかるように撮影し、警察に通報してやるっ!

コンパクトデジカメにして光学10倍ズーム、デジタル40倍ズームの望遠を標準装備した
パナソニックのTZ-3。このカメラがオモチャでないことを、教えてやる。

2016/4/13 05:06  [1498-4411]   

問題の写真 清水の滝 歯の供養塔

来た。
さっきの軽トラックがFITの脇を通り過ぎる。
のぼるに気付いたのか、スピードを上げた。
ワンチャンスの撮影。
ズーム倍率を上げ、シャッターを切った。
 
もう1枚撮れるか、とスタンバイしたが、軽トラックはカーブを曲がって見えなくなった。
のぼるは今撮った画像をデジカメの液晶画面にプレビューしてみた。

微妙にブレてる。

手ブレ防止機能は搭載されているが、動きの早すぎる相手に対してはやはりブレてしまうのだ。
それでもナンバーはだいたい判別できそうだ。
これを警察に届けよう。とりあえず証拠になるはずだ。

警察へ行く前にひとまず滝を見ようと思い、山のふもとで滝への正常な道を見つけた。
このへんは静かな温泉街のようで、センスのよい風貌の民宿や旅館がいくつかあった。
ヘタに都市化されてなくて好印象だ。
滝見学者の駐車場から5分ほど清流の遊歩道を登っていくと、滝に到着した。

清水の滝。

高さ30mほどの滝で、水量はさほど多くなく、その名にふさわしく清流が流れ落ちる滝という印象だ。
よい言葉でいえば「品がいい」悪くいえば「物足りない」だった。

そこから別ルートで駐車場へ戻る道があったので、それを散策していくと、小さな神社のそばで
涌き水がこんこんと溢れていた。
その水を少しすくって飲んでみた。くわあ、うめえ。

生活をする中で大切なもののひとつに「水」がある。その水がきれいであればあるほど
心が豊かになるのではないだろうか。ごはん、みそ汁、お茶、コーヒー。水が違えば味も変わる。
風呂も同じだ。
それを思うと、この地の人は水を大切に守って生活しているのだ、と感心した。
それが何、さっきのクソオヤジは。ああいうのがいるからシャアは地球人を「愚民ども」と
言い切ってしまうのだ。アムロだってフォローのしようがないね。

神社の近くにへんてこな供養塔があった。

『歯の供養塔』だと。
まさしく歯の形をした供養塔だが、まったく意味がわからない。

駐車場のすぐそばに、みかんの無人販売所があった。
九州では珍しいものではないが、水のうまいとこはフルーツだってうまいはず。
ちょっと買っていこうか。
みかんネットにめいっぱい詰め込んであり、ひとつ100円。なんと安い。
ひとりで食べるわけなので、たくさんはいらない。なのでLLサイズで個数の少ないやつを買った。
ためしにひとつ食べてみると、文句なしにうまい。
とにかくジューシーで、弾ける果肉が気持ちいい。たまらんわ。

2016/4/14 05:34  [1498-4412]   

大分自動車道

さて、気持ちを切り替えて、いざ警察へ。

のぼるは大和警察署へ向かった。
町中に位置する警察署。犯罪を犯したわけじゃないのに、なぜか緊張する。
ロビーで、近くにいたヒマそうな男の警察官を呼びつけた。
事情を説明すると、生活安全課という担当部署に案内された。
 
女性の担当者に替わり、そのヒトと取調室で話した。
さっそく撮った画像を見せた。
「う〜ん…4ケタのナンバーと佐賀っちゅうのは判別できるのですが、詳細まではっきりは
見えんけんのう」
ナンバーの部分をズームしてみたが、平仮名と分類番号は判別が難しい。
これではきっちりとした証拠にはならないようだ。
「だけんどー、佐賀っちゅうことと4ケタのナンバーで軽トラックだっちゅーことがわかるけん、
恐らく犯人は特定できるしょー」
女性の担当者もああいうヤツは許せないらしく、九州訛りで力になってくれた。

それから、地図上での目撃現場の位置、犯人の特徴、犯行時間などを細かく説明した。
そのあとのぼるの素性を説明すると、彼女は怪訝顔でのぼるを見た。
「新潟から旅してんのけぇ。昨晩はどこさ泊まったん?」
「…道の駅大和で車中泊です…」
「は?」
「ですから、クルマの中で寝てたんです」
「…」
うわ、すごい怪しまれてる。
「お仕事は?」
「へ?」
「なんて会社なん?」
なんだか細かく聞かれはじめた。
仕方なく、細かく説明した。
だいたいの事情がわかると、彼女は「なるほどねぇ」と納得してくれた。
「大和は(新潟と比べて)どうだね?」
彼女は最後にそう聞いてきた。
「水とみかんがうまいです」
そう答えると、彼女は微妙な苦笑いをした。そういうことを聞いたのではないのだろうが、
そう答えるしかなかった。
 
世間話を含めそこで2時間ほど話し、ようやく開放された。
でもまあ、間違ったことはしてないし、間違ったことを言ってもいない。
これは正義のための時間のロスだ。そう思うことにした。
さて、先を急ぐとするか。
 
クルマで久留米へ向かった。
今日もいい天気、絶好のドライブ日和だ。
いや、むしろ暑い。Tシャツ1枚でも過ごせるような陽気だ。
平野部のドライブを楽しみながら進んだ。
 
久留米の街を通り過ぎようとした頃、コインランドリーを発見した。
そういえば洗濯しなければ、と思い出し、クルマを止めた。

洗濯をしている間、すこし早いが昼食にすることにした。
久留米といえばラーメンだが、このへんは知久留という知名らしく、知久留ラーメンというのが
ご当地ものだった。
ナビで周辺のラーメン屋を適当に検索し、そこへ行った。
 
厨房を囲むカウンターのみの小ぢんまりとした店。
チェーン店ではない、老夫婦が経営している店。
メニューをみて唖然とした。
ラーメン290円、焼き飯260円など、激安なのだ。
昼飯は600円と決めていたので、ラーメン1杯がいいとこだろうと思っていたが、チャーハンも
頼めてラッキー。
客はのぼるだけだったが、おっちゃんはのぼるのメニューの他に何やらたくさんの焼き飯を炒めていた。
どうやら常連らしき団体の食事も作っているようだ。
ほどなくのぼるのラーメンと焼き飯が出来上がった。
あっさりとんこつで、麺は細ストレート。高菜がトッピングされている。
焼き飯は塩味だがパラっとほくほく、ラーメンとの相性が抜群だ。
がっつり食べつくし、大満足。大当たりのラーメン屋だった。
 
コインランドリーに戻り、洗濯物を乾燥機に入れる。
その間もヒマになるので、今度は近くにあったジャスコで時間を潰した。
その中に紀伊国屋があったのでワンピースという漫画の最新巻を買った。
フェリーの中はヒマになるだろうから、なんか読み物がほしかったのだ。
 
コインランドリーで乾燥のおわった洗濯物を取り込んだ。
12:30。
この地から大分まで下道でどのくらいだろう、とナビで試算してみると、なんと到着予想時刻が
16:30くらい。
フェリー出航時刻は16:15。出航1時間前どころか、間に合わないじゃん!
警察と洗濯イベントですっかり時間をロスしてしまったことにようやく気付く。
下道でのんびり走り、途中でまた滝でも見て…など思っていたが、とんでもない話。
下道で大分まで直行したとしてもフェリーに間に合わないのだ。
 
高速道路を使ったルート試算だと、到着予定は15:30。これならなんとか間に合う。
仕方なく朝倉ICから高速道路に上がる。
大分自動車道。平日の昼間はETCの割引対象外の時間帯だから空いてる。

2016/4/17 23:13  [1498-4414]   

大分自動車道の景色 別府湾SAから大分湾を一望 大分トリニータのバス 老朽艦さんふらわあこがね

どんどん山奥に進んでいくが、この地方の山はどういうわけか木があまりなく、
草で覆われている印象がある。

そんな山々が実に新鮮であった。
遮るものが少ないので、遠くま見渡せ、パノラマに広がる山岳の形がよくわかるのだ。

それだけに高速でこれらの景色をすっとばしていくのが残念でならない。

予定組みを少し早まったかも。もう1日九州を堪能したら、ちょうどよかったかもしれない。
ま、ここまできたらもう後の祭だね。
 
ハイペースで走り、ある程度余裕ができたので大分ICの手前の別府湾SAで休憩した。
長い山岳地帯を抜け、ちょうど別府湾が開けた地にある休憩所だ。

別府湾が一望できる展望台から見下ろす。
別府の海とそれを取り囲む大分の街。

ここが九州へ到着した地であり、出発する地となる。
4日かけて九州全土をだいたい1周したことになる。
間もなく九州とお別れか。
名残り惜しいが、早く四国へ行きたい、という逸る気持ちもある。
 
そんなにゆっくりもしていられない。
フェリーターミナルへ急がなければ。
大分ICで高速を降り、下道で海へ向かう。
ほぼナビの予想時刻通り15:30にターミナルに到着した。

港では『さんふらわあこがね』が悠々とスタンバイしていた。

このフェリーは大阪へ向かうが、途中に松山、今治、神戸に立ち寄る。
のぼるはその最初の経由所である松山で下船することになる。

ターミナルで手続きをしようと港を歩いていると、フェリーの車乗船場に1台のバスが停まっていた。
サッカーJ1の大分トリニータのクラブ専用バスだ。

「おおっ!」

大分トリニータというと、アルビレックス新潟から移籍した鈴木慎吾がいまいるチームだ。
運がよければ会えるかもしれない。
バスの中には誰もいないし、ターミナルの中にも選手らしき人は見えなかった。
残念ながら慎吾選手はおろか、トリニータの誰とも会うことはなかった。
 
ターミナルで手続きをする。
神戸では受付のアフォが間違いを犯し金額を多めに請求されたが、今回は正常に手続きしてくれた。
40%割引して5820円。これは安い。
どれくらい安いか説明しよう。
九州から四国へ渡るフェリー会社はのぼるの知る限り5つある。
オレンジフェリー、宇和島運輸、国道九四フェリー、宿毛フェリー、そしてのぼるが
今から乗るダイヤモンドフェリーだ。
正規の料金ならば国道九四フェリーが5850円で最も安く、オレンジフェリーが7790円といちばん高い。
ダイヤモンドフェリーはその40%割引を使うと最も安くなり、しかも就寝設備が整っているから
ゆったりできる。
欠点といえば、他のフェリーは1時間ちょいくらいで到着するが、ダイヤモンドフェリーの場合は
松山まで3時間半もかかってしまうことだ。
でも、せっかく船に乗るのだからすぐ到着したらなんか情緒がないし、少しは落ち着ける状況も
ほしいところなのでちょうどいい。
このへんは旅行する人間の好みで決めるといいだろう。
 
乗船手続きが終わると、間もなく乗船となった。
フェリー内部駐車場に入り、指示に従ってFITを停める。
手荷物をもって階段を上がり、2等船室へ行く。
神戸から乗った『さんふらわあぱーる』は最新のフェリーだったが、この『さんふらわあこがね』
はかなり古びたフェリーだ。

船内の壁のあちこちがツギハギされていたり、デッキへの扉が片方ぶっ壊れてガムテープで
固着されていたりしていた。
まあ、正規料金で乗ってない人間は贅沢を言ってはいけない。動いてダイヤ通り目的地に
到着してくれればいいではないか。

2016/4/21 22:51  [1498-4417]   

フェリーから見た夕陽 なんという美麗な夕陽 アクシズは写っていません

船室の自分の場所を確保すると、のぼるはすぐに風呂に入った。
ダイヤモンドフェリーの最大の利点。船内で風呂に入れる、というポイントはでかい。

風呂に入っている最中に出航した。
さらば、九州よ。
また遊びに来たいね。
 
ちなみに備付けのドライヤーはボロすぎて機能してなかった。
ドライヤーのファンが回らないから熱がムワっとするだけだった。

さっぱりしたところでデッキに出てみると、夕焼けの真っ最中だった。
遠く彼方、山陰の陸に落ちる夕陽、お見事。
船から眺める夕陽というのはよいものだ。

新潟から北海道へ行く日本海フェリーで見た夕陽を思い出す。
北海道でどんな冒険が待ち構えているのか思案し、体中が震えているとき。そんな高揚感を
良い意味でデフォルトに戻してくれた夕陽。
これからのことを考えて興奮するのはひとまず横に置いておいて、今はこの夕焼けの海を楽しもう、
という心情だ。

これから四国。
この冒険も後半戦に突入するわけだ。
FITという機動寝室があるおかげで『どーにでもなるだろ』と落ち着いてはいるが、未開の地へ
向かうのに心踊るのは同じ。
まして今回の場合、松山へ到着するのは20:00。着いてからどうする、とか実はあまり考えて
いなかったりする。
そんなドキドキを和らげてくれるのが夕陽。
いいものだ。
 
この季節の夕方はやはり寒いし、長時間潮風に当たってるとせっかく風呂に入ったのに
またベタベタになってしまう。
船室に戻り、ひまを潰す。
昼間購入したワンピースを読みながら、今朝買ったみかんを食べる。
やはりうまい。
ワンピを読み終えると、少し眠くなったので1時間ほど仮眠した。
 
間もなく松山港に寄港します、というアナウンスが流れた。
船室の窓を見てみると、漆黒の闇の向こうに松山の街の明かりが見えた。

さあ、行くぞ四国!
下船の準備をして駐車場へ下りる。
薄暗い照明の駐車場でスタンバイしている間、クルマの必需品をチェックしたら、
飲み物のストックがなくなっているのを思い出した。
できれば今日中に飲み物を確保したいところだな。
 
前のクルマが前進していったのを合図に、のぼるも走り出し、フェリーから出た。
記念すべき四国の第一歩だ。
松山港はすぐそばが山になっており、港の規模としては思ったほど大きくないように思える。
市街地へは山をひとつ越えるようだ。
まあ、山といってもトンネルひとつくぐるだけだが、港のすぐそばにトンネルがあるなんて、
少し驚いた。

松山の街を目指す途中、運よく閉店前のドラッグストアを発見し、お茶系のペットボトルを5本買った。
1本87円。うむ、安い。
飲料水が確保されてまずは一安心。

次に切実となっているのが、夕飯。腹が減って死にそうだ。
フェリーの中でみかんは食べたが、ぜんぜん足りない。むしろ空腹を助長したかも。
このさい牛丼とかほか弁でもいい。この時間帯で営業しているだけ恩の字というものだ。
九州ではジョイフルという24時間営業のファミレスが1都市に1つは必ずあった。
四国でもそういうところがあると嬉しいのだが…。
 
食事処を探して市街地に入ると、すぐに生協マートを発見した。
おおっと、これはラッキーか。
のぼるはさっそくそこに入った。
惣菜コーナーへ進むと、思惑通り売れ残った惣菜が半額で売られていた。
この時間帯のスーパーは惣菜を叩き売る傾向が強い。狙い通りだ。
生寿司、ミックスフライ、野菜系おかず盛り合わせなんかを購入し、537円。
さすが半額、激安だ。
その生協の近くにあったパチンコ屋の駐車場の中で食べる。
どの地域の半額惣菜と大差ない味ではあったが、空腹という最高の調味料のおかげで
この上なく美味だった。
 
満腹になったところで、本日最後の使命。寝る場所の探索だ。
付近の道の駅を検索してみると、運がいいことに南の山あいに1箇所あった。
では、そこへ向かうとしよう。
夜の国道379号を駆ける。

街の明かりもない山中を進むと、しだいに峠の曲がりくねった道路になっていく。
まあ、峠道の国道も新潟では珍しくない。
そう思っていたのだが、その甘さが後日起こる大惨事への引金になっていたことなど、
今はまだ気付くよしもない。

2016/4/23 00:04  [1498-4420]   

前方にインプレッサが走っていたので、そいつをペースメーカーにして走った。
インプのドライバーは、煽られた、と勘違いしたらしくペースを上げる。
「ちぃっ」
のぼるも負けじとアクセルを踏み込む。
FITをナメんじゃねえぞ。VTEC7スピードモードが伊達じゃないことを、教えてやる!
(置いていかれると心細くなるため必死)
ここにきて、なぜかバトルが開始された。
 
「ブースト・オン!」
ハンドルのボタンを押し、7スピードシーケンシャルモードに切り替える。
あとはエンジンの回転に合わせ、ハンドル裏側にあるパドルシフトでミッションチェンジをする。
このモードでスポーツライクなドライブができるのだが、相手は本格スポーツタイプのクルマ。
コーナー立ち上がりの加速が段違いなので、少しずつ差を離される。

仕方ない、最後の手段を使うか。
これをやると燃費が極端に悪くなるからあまりやりたくないのだが、こうなったらやるしかないぜ!
のぼるはオートマのセレクトレバーに手をかけると叫んだ。
「スパイラル・ブースト!」

ノブをガツンと下げると、エンジンがかん高く咆哮し爆発的な加速を得た。
スピードと加速のための奥の手、ホンダスピードモード。
通常のD(ドライブ)モードよりもエンジンが高回転になり、アクセルワークに過敏に
反応してくれるのだ。

みるみるインプとの距離が縮まる。
 
「700m先、目的地です」
ナビの音声にはっとする。
もう目的地である道の駅に到着するのか。
ふっ。勝負は預けておくぜ。
のぼるはインプと別れ、道の駅の駐車場に入った。

道の駅ひろた。
宿泊施設もある道の駅なのでけっこう大きい規模なのかと思っていたが、案外そうでもなく、
山奥の道の駅に相応しい質素な感じの施設だった。
またも他にクルマがいない。2日連続のぼるの貸しきりだ。
こんな時期に山奥で車中泊するヒトは、やたらにはいないか。

エンジンを切ると、あたりは静寂に包まれた。
うわぁコエー。
幽霊とか出没するのに最適なシチュエーションではないか。
携帯でネットでもして気を紛らそうとしたが、山奥のため圏外。
プギャー。

仕方なく眠りについたのであった。



ここまでのダイジェストムービー(ニコニコ動画)
http://www.nicovideo.jp/watch/nm4023936

2016/4/25 01:47  [1498-4425]   

道の駅ひろたの朝 広い敷地にいろんな施設がある 頑丈そうな橋 朝だから誰もいない。貸切だーぃ

車中泊もずいぶん慣れてきた。
毎日ヘトヘトになるまで走っているので、安眠は何よりの回復剤といえる。
6:00に目覚めると、顔を洗い、大きく深呼吸。
やや雲があるが、まあまあの天気だ。

昨日この「道の駅ひろた」に到着したときは真っ暗だったのでわからなかったのだが、
明るいときに見るといろんな施設があり規模的にも広いことが判明した。

丘の上には林間学校に最適な宿泊施設が建っていたり、すぐ近くの清流の吊り橋を渡ると
ミニSLが乗れる広場があったりした。

またその清流には頑丈な橋が架けられている。
説明の看板をみると、その先で森林の伐採場から巨木を運搬するためのものらしい。

この道の駅は、山遊びをするにはもってこいの施設だな。
すこし山を散策すればカブトムシやクワガタなどがすぐに見つかりそうだ。
クワガタというと世間的にはオオクワガタが人気のようだが、のぼるはそうは思わない。
オオクワガタって見た目がでっけえコクワガタで「だから何」という感じ。
やはりカッコイイのは何といってもノコギリクワガタとミヤマクワガタだろ。
将棋でいえば飛車と角、チェスでいえばナイトのような存在だ。

ノコギリは、犬でもビビる攻撃的なギザギザ角がイカす。
ミヤマは、ねこみみのような耳とバスターソードを思わせる豪快な角がいい。
子供の頃、実家の林でミヤマを発見し、興奮のあまり採り損ねたのがいまだに記憶に残っている。
あのときは男泣きしたね。それくらいこの2種はのぼる的にキングオブ・クワガタとして
君臨しているのだ。

クワガタを語りだしたら止まらないので、のぼるは出発した。
本日の攻略ポイントは佐田岬半島。
佐田岬とは、四国の最西端に位置する日本一細長い半島だ。
ここは、行こうか行くまいかけっこう悩んだ。半島の先端である佐多岬へ行ったあと、
同じ道を40〜50kmも引き返して来なければならないからだ。

だが、この地へ来て日程的に焦る必要もないことから、行きたいところは妥協せずに行こう、
というわけで目的地ポイントに設定したのだった。
ちなみに九州の最南端は「佐多岬」、今日これから行くのは「佐田岬」。
間違えそうになるので気をつけたい。

内子の小さな街でサンクスに立ち寄り、朝食としてバナナクリームパンを購入。
朝はパン1つだけでも問題なしだ。
運転しながら、のぼるはこの四国の予定について大まかにまとめた。
四国で絶対行きたいポイントとして、四万十川、室戸岬、さぬきうどん食い倒れ、が挙げられる。
最低この3つは絶対攻略ラインだ。

もうひとつ挙げるとしたら、高知の宿で泊まるということ。
本来、九州では福岡でも宿で泊まる予定だったのだが、予定が合わずに計画倒れになってしまった。
だから四国の高知ではなるべく予定に合わせたいところだ。
ここまで毎日車中泊で過ごしてきたが、やはりたまには宿でゆっくりしたいもの。
貧乏ではあるが、そのへんのやりくりは可能だ。

そうなると、四万十川は明日攻略予定となり、その日のうちに高知市街に到着できるはず。
高知に泊まるならば、明日がチャンスだ。
宿泊場所は、実は目星をつけてある。
高知ユースホステルである。

ユースホステルとは、日本に限らず世界中のあちこちにある旅行者のための宿泊施設であり、
他の宿と比べて安価に泊れるのが特徴だ。
そして、四国の中にも何箇所かユースはあるが、その中でも高知ユースは唯一5ツ星が
ネットでランクされていたのだ。ゆえに泊まるならここ、と決めていたのだ。
では、時間をみて予約の電話を入れることにしよう。

佐田岬半島の付け根にあたる八幡浜に着いた。
ここから国道197に沿って西へ進めばいい。
四国に入って初めてまともに海を見たが、入り組んだ地形の海岸線、そして小さな湾の所々に
何か海産物の養殖をしているのが見える。

2016/4/27 03:33  [1498-4435]   

道の駅伊方きらら館 すごい数の風車 いくつもの風車が立ち並ぶ もうすぐ半島の先端

半島に入ってすぐに「道の駅伊方きらら館」があったので立ち寄ってみた。

トイレのついでに何気なく観光案内板を見ると、なんとこの佐田岬半島は風力発電のメッカに
なっていることが判明!

案内板によると、半島全体で風力発電設置数は40〜50基はある。
これはすごい!
風車フェチののぼるはそれを見た途端、身体中の血液の温度が2℃ほど上昇した。
今まで見た中で、1箇所の最大設置数は秋田の仁賀保ウインドファームの15基が最高だったが、
それを軽く上回る規模だ。

このあたりは、昔から風害がひどく、それを逆に利用してやろうとして風力発電が建造されたわけだ。
なんだよもう、風車のメッカだと知っていれば迷わず来たのに。
とはいえ、来てよかった。

のぼるの好奇心スピリットに炎が灯り、焚き付けられるようにアクセルを踏み込む。
数分もすると、さっそく数基の風車が見えた。

丘の上にそびえる風車群。
くわっ、たまらねぇ。

それを越えていくと、間髪いれずまた別の風車群が見える。
なんてことだ。最高の景色が、こんなところにあったなんて。

やや進んだところに『せと風の丘パーク』という公園があった。
駐車場とトイレしかない公園だが、丘の上からの展望が信じられないほどの絶景。
瀬戸の伊予灘の海、佐多岬半島東側の風車数基、太平洋側の宇和海、佐田岬半島西側の風車数基。
南北両側が海。東西両方に風車群なのだ。

この丘で1日過ごしてもいいよハァハァなどと考えはじめた異望をなんとか抑え、出発した。
それからも、いくつかの風車群をバックグラウンドに、みかん畑、トンネル、小さな港が
次々と流れていく。通称メロディーライン。
なんと素敵な半島。

海と風車の見える丘に、土地を区画してあるところがあり、モデルハウスやらお金持ちの
豪邸なんかが立ち並ぶところがあった。
決してオシャレなリゾート地でないところが気に入った。
なんて羨ましい。

考えてみると、宝くじで3億当てても、ここに土地と家を買ったら残りのお金で一生は暮らせない。
やはりtotoで6億クラス当てないとダメだな。
くそう、totoってどうやれば当たるんだ。

道がどんどん細くなっていき、ついに道路が途切れ終点となった。
クルマで行くのはここまでで、ここから先は徒歩で先端へ行くことになる。
駐車場にクルマを停めようとしたら、大駐車場は現在大規模な工事をしていて立入禁止になっていた。
近くにいたじーちゃんが手招きをしているので、近付いてみた。
すると、5台ほど停められそうなスペースを指して
「そこに停めなさい」
と言われた。
親切なじーちゃんだな、と思っていたら駐車料金200円をとられてしまった。
トホホ。
大駐車場は工事しているが、岬への遊歩道は整備されて歩けるとのこと。
よし、では行ってみようか。

他のクルマは1台だけだったが、その運転者もすぐに戻ってきた出発していった。
つまり、この岬もまたのぼるの貸しきりだ。

さざ波が聞こえる気持ちのいい森を進む。
塩っ気の強い森林浴という感じ。

ときどき見える海と空が青い。いいもんだ。

10分ほど歩くとバンガローが10棟ほどあるキャンプ場に着いた。
目の前がきれいな海なので、ほとんどプライベートビーチになっている。
広場の中央にはキャンプファイヤーができるスペースがあり、遊びの限りが尽くせるといった感じ。

そこからさらに10分ほど進むと、ようやく佐田岬の先端である佐田岬灯台に到着した。

ヘタれ気味の体力にトドメをさすようなコンクリ階段を登ると、白色の美麗な灯台と海への展望が開ける。

海の彼方に対岸がかすかに見える。14km先にある、九州だ。

2016/4/27 04:14  [1498-4437]   

ここが半島のいちばん先端だ 望遠なし 光学10倍 デジタル30倍!

遠い。ていうか、日本ってやっぱりでっけえ。
灯台の階段のふもとには、田んぼのように等間隔に区画されたコンクリートの地があった。
なにをするためのものか、今ののぼるにはわからなかったが、このあとすぐにわかることになる。

駐車場へ戻る途中、別ルートで丘へ登るルートを歩いてみた。
その丘でとある親子と出会った。両親と娘の3人だ。
あら、ちょうどいいところにヒトが来たわ」
母親は有無を言わさずのぼるにカメラを手渡した。
「シャッター押して下さるかしら〜」
「は、はぁ」
のぼるは言われるまま3人の姿を写してあげた。
よく見ると、娘は高校生か大学生くらいで清楚な風貌。ゲームの世界ならば
学園のトップアイドルにしてメインヒロイン扱いのレベルだ。
おおっと、こんな最果ての地で運命の出会いか?
フラグを立てようと、その娘っこに話しかけようとした瞬間。
「どうもありがとねっ!」
母親に邪魔された。
もう一度話しかけようとすると。
「ここから灯台へはあと10分くらいかねっ?」
父親に邪魔された。

くっ。ガードが固くて会話ができない。
なんという箱入り状態。個々はともかく群になると異常な防御力を示す。キングメタル一家かおまいら。
「バイバイ」
彼女は笑顔で一言そう言い残し、その家族は去っていった。
チキショー。激ムズだー。フラグ立たねー。

丘の上からは岬と灯台と海が絶妙のアングルで眺めることができた。
よく見ると灯台に誰か怪しい男を発見した。
ここはひとつ、ヤツをデジカメの最大望遠で撮ってみるか。もしかしたら何か事件の解決に
つながる証拠になるかもしれない(何の事件だよ)

2016/4/28 01:42  [1498-4439]   

刺身定食♪ 相変わらず風車パラダイス 平和すぎる

こうして見ると、いまどきのコンパクトデジカメの性能はすごいね。10年前に買って愛用していた
それまでのデジカメと比べたら、ザクとサザビーくらい性能の差があるわ。

駐車場に戻ると、管理人のじいさんが親切にこの地の歴史を語ってくれた。
この地は昭和の大戦当時、対空砲台が設置されていたのだそうだ。
灯台のふもとにあったコンクリートの敷地は、その砲台の名残りということだった。
大戦の跡がこんなところに残されていたとは…。

出発しようかと思ったら、今度は地元のばーさんに「みかん買わないかね」と声をかけられた。
ビニール袋に入った30個ほどのみかん。はっさく、デコポン、ポンカン、ネーブルなど
色んな種類が混じっていて楽しめそうだ。
今朝摘んできたばかりの新鮮なやつらしい。
この地でみかんを育てて暮らしているばーさんを少しでも助けになりたくなり、購入。1000円。
ふつーなら値引きしようと思うくらいだが、ばーさんの笑顔に負けた。
まったく、ばーさんフラグ立っても仕方ないんだけどね。

みかんの袋を荷台に積んで出発。
さらば佐田岬灯台。
もう昼過ぎだ。いいかげん腹がへった。
このへんは海に囲まれているから、お昼は魚にしよう。
というわけで、岬から少し戻ったとこにある三崎港に立ち寄った。
九州へのフェリーも出ている港町なので活気ある街だった。

その一角の食堂に入る。
一般的な大衆食堂だが、思った通り旬の魚介類のメニューが豊富にある。
では、旬の魚の刺身定食をいただくとしよう。1180円也。

「おまちどうさまですー」
数分後、ウエイトレスが食事を運んできてくれた。
ちなみに彼女はワサビを添付し忘れたドジっ娘ウエイトレスだった。

刺身の鉢に注目。
はまちだ。厚めのやつが9切れ。
さっそく食べてみる。
ずぶり、と歯が食い込むのがわかるくらい1切れがボリュームある。脂もほどよくのっており、
申し分なし。海原雄山もウッーウッーウマウマ踊ること間違いなしのうまさだ。

値は張ったが、大変有意義な昼食であった。
佐田岬半島を戻る途中、あまりの天気の良さに思わず今朝寄った「せと風の丘パーク」に
また立ち寄ってしまった。

海に囲まれた十数基の風車の見える丘。相変わらず見事な展望。

そういえば重要なことを思い出した。
明日の宿である高知ユースホステルの予約だ。
素泊まりならともかく、食事付きならば予約は必ずしなければならない。
さっそく電話して予約を入れた。
予約はOKだったのだが、明日は高知ユースが月に1度開催する「日本酒飲み放題」の日だという。
それを楽しむには追加料金となるが、これをラッキーと言わずして何が大吉だ。
もちろん二つ返事でそれも予約した。

九州の佐多岬でやったおみくじの成果がもう現れたのだろうか。
ともあれ、明日の楽しみができたな。

佐田岬のふもと、八幡浜に到着した。
実はガソリンが底をつきそうで冷や汗ものだった。
半島の途中で入れてもよかったのだが、いかんせん高い。1リッター158円とか、160円とかするのだ。
この八幡浜に来たらとたんに普通の値段になった。
144円のスタンドを見つけると、駆け込んで給油した。
ほっと安心したのもつかの間、そのすぐ先で143円のスタンドが見えた。
がっかりだ。

2016/4/28 01:49  [1498-4440]   

登れど登れど岩場ばかり なにこの罰ゲーム 雪輪の滝 ウオータースライダーできます

さて、日没までまだ時間がある。

近くに滝があるならそれを見ようではないか。
恒例の滝見学ツアーと洒落こもう、と地図を検索すると「滑床渓谷」というポイントに
日本の滝百選「雪輪の滝」がある。日暮れまでは余裕で到着できそうだ。
では、そこへ行こう。
こんなふうに漠然とした行き先設定をするとロクなことがないが、今回もその例にもれないこととなる。

南の山間部を走る。
すこぶる快適な道で気持ちいい。
目的地の滑床渓谷は、鬼ヶ城山、毛山、三本杭などの1000m級の山々に囲まれているため
迂回を余儀無くされる。
ここでカーナビは山を縦断する近道を発見してくれた。
素晴らしい、これでそうとうな距離短縮がはかれそうだ。
そう思っていた。

近道のルートを進んで10分が経過した。
どうも様子がおかしい。
道ばたに松の枝や木々の枯葉が散乱し放題。まったくもって道路がメンテナンスされていないのだ。
おまけに、アスファルトとはいえ壮絶な峠道。
FITの底面に枝が当たるのを避けるため10〜15km/hのトロトロ運転を余儀無くされる。
近道だからこんな道路なんてすぐ終わるだろ。と引き返さずこのまま進んだ。
これがのぼるの甘さだ。
本当に近道として機能しているならば地元住民が利用するだろうから、整備されているはず。
それがされていないということは、こんな曲がりくねった危険な道路を走るより、
迂回してでも平坦な道のほうが安全で早い、ということだ。

FITの底面に「ガツっ」と枝が接触するたびに血の気が引く。
こんな悪路のため対向車は1台もいない。つまりここでクルマが故障などしたら、
ヤバいどころの話ではないのだ。
突然クルマの底から「ガリガリガリガリ!」という異音が聞こえた。
外に出てクルマの下を覗くと、太い枝が1本底面に噛み込んでいた。
うっわ、あぶね!
燃料タンクに穴が開かなくてよかった。

こんなとこで立ち往生などということを想像すると、レディースコミックのように
白目むきながら「ヒィィィィィ!」と奇声をあげたくなる。

実際、直線にして5km程度の道なのだが、凄まじいほど曲がりくねった峠道、
加えてメンテしてない悪路だったため、1時間近く走行するハメになった。

滑床渓谷の駐車場に到着した頃には、陽は落ちて薄暗くなりかけていた。
くそう、あのクソ峠道のせいだ。2度と通ってやるもんか。

滑床渓谷の入口に立つ。
駐車場がなかったのですぐそばにある「森の国ホテル」の駐車場に無断で停めさせてもらった。
山奥に1件ぽつんと建っているホテルだが、外から見ても非常にゴージャスな施設だ。
タキシードをぱりっと着こなしたウェイターも見える。ま、このさいのぼるには関係ないけどね。
ここに泊まるなんてありえません。
とにかくもうすぐ暗くなるから、雪輪の滝を見にいこう。

四万十川の支流の目黒川の上流に広がる渓谷。
凄まじい量の大石がそのへんに転がっており、それを縫うように沢が流れている。

その大石をひょいひょいと飛び越えながら上流に向かって進んだ。
10分も歩けば滝が見れるだろうと思っていたのだが、甘かった。

20分ほど歩いたところにある案内看板には『雪輪の滝まであと500m』とか書かれてあった。
こんな岩場で500mなんて、かなりオニである。
汗がだらだらと流れる。
息を切らせながら、ようやく滝に辿り着いた。

雪輪の滝。

深い渓谷に挟まれた巨大な1枚岩を滑るように流れる滝。

幅20m落差80mの美麗な滝だ。
崖から滝壷に一気に落ちるタイプでなく、岩の上を滑り落ちる、
いわゆるウオータースライダータイプの滝だった。
てっぺんから滑り落ちたら、アバラの2〜3本はイッちゃうだろうな。

滝を堪能したあと、駐車場に戻った。
あたりはほとんど暗がり状態になっていた。
汗だくで気持ち悪いので、森の国ホテルで入浴だけさせてもらおう。
そーとーゴージャスなとこだから風呂もゴージャスなんだろうな。
1000円くらいかかっても文句は言うまい。
そう思ってホテルに入った。
「大変申し訳ありませんが、当ホテルでは入浴のみのご利用はお断りさせていただいております」
ウェイターは丁寧ながら冷淡にそう言った。
「はぁ?」
思わず本当にそう言った。
当たり前のように利用できると思っていたので虚をつかれたのだ。

なんという殿様商売。
渓谷の奥地まで滝を見学に行った者は、のぼるのようにかなりの確立で汗だくになる。
その帰りに入浴のみで利用したがる人間がどれほどいることか。
この地に1件しかない宿ならば、そのニーズに当然応えているべきではないのか。
多くの人が利用できない施設を作るくらいなら、リゾート化などするな!
とか言いたかった。
仕方なくクルマに戻り、とりあえず着替えだけして出発した。

そして更にトドメの不幸が襲いかかる。
最寄りで検索した温泉に行ったら、ボイラー故障のため営業中止だったのだ。
ウギャー。
なにこの運のなさ。天中殺ですか。
午前中の佐田岬半島は素晴らしいとこだらけだったのに、夕方からはツイてないことばかりだ。

エヴァ確変10連チャンの後、全部飲まれた挙げ句有り金まで吸われた感じだよ。

2016/4/28 02:01  [1498-4441]   

1時間ほどかけて宇和島の街の外れにある「薬師谷温泉さがの」という日帰り温泉施設で
ようやく汗を流すことができた。

入浴のみ680円とちょい高いが、沢の音を聞きながら露天風呂でゆっくりくつろぐことができた。
昼間にイヤなことがたくさんあっても、そのあと気持ちいい風呂につかることができると、
本当に救われた気持ちになるね。
某美人指揮官が「風呂は命の洗濯よ」と言っていたが、まさにそれだ。

お腹がすいた。
昼間食べた刺身定食はとっくに消化しきって、胃の中は虚無の空間、ライラックの海となっている。
宇和島の街に戻り「ばんじょう食堂」というセルフ和食のチェーン店で、さば味噌煮、アジ天ぷら、
ごはん、味噌汁を食べた。589円也。
ちょうどいいボリュームで大満足であった。

ていうか2食続けて魚って奇蹟かも。生粋の肉派なんだもの。

お腹も膨れたところで、地図を確認する。
明日は四万十川沿いを楽しみ高知で泊まることになるので、本日はもう少し四万十川に
近い位置まで距離を稼いだほうがいいだろう。
というわけで、夜の海岸線を1時間ほど走る。
真っ暗な海というのも面白いものだが、やはり昼間走りたいのが本音だ。

愛南町の「道の駅みしょうMIC」に到着した。
MICとは御荘インフォメーションコミュニティの略らしい。
ここには5台ほどのクルマが停まっていて、みんな車中泊してるようだ。
西四国の拠点となる道の駅のようだ。
とりあえずもうヘトヘト。誰がなんと言おうと寝るぞ。

明日は四万十川と高知へGOだ。


ここまでのダイジェストムービー(ニコニコ動画)
http://www.nicovideo.jp/watch/nm4483245

2016/4/29 01:52  [1498-4443]   

おおまかな現在位置 朝のドライブは気持ちがよかですばい トンボ自然公園 トンボの生育に適した公園だ

寒い。

九州もそうだったが、梅の樹が蕾を掲げている姿は温かな春を連想させ、事実昼間はうららかで
眠気さえ誘うほどの陽気。

しかし朝は決まって激寒。
このギャップは何時になっても慣れないもの。

布団の中はまだいいが、そこから這い出る意志がいつも折れそうになる。
座布団の大きさのホットカーペットで足腰を暖め、ようやく着替えをする気になった。

この道の駅みしょうMICの目の前にサンクスがあったので、とんこつ味のカップめんを
購入して駐車場に戻る。
カップめんは端から見ると、その湯気のせいで身体が暖まりそうなイメージがあるが、
実際にはそれほどでもなかったりする。
胃に入った次の瞬間には冷めていくばかり。暖かいのは口と喉元だけだ。

出発の準備が整ったところで、恒例の朝の散歩ドライブ。
西浦海中公園へ足を伸ばしてみた。
四国の西に突き出た半島で、佐田岬半島のプチタイプといった感じだ。

澄みきった朝の空気と青い空。
ここは単純に走っていて楽しい。

リアス式海岸の複雑な地形の海、様々な港から漁船が早朝から行き来したり、
湾に囲まれ穏やかな波で等間隔にただよう養殖の浮輪。

名前があるかすらわからないような小さな島も点在し、海の秘密基地を想像させる。
あんな小さな島に、どこからも見えないようにプレハブの秘密基地を作り、
そこで秘密会議をするのだ。議題内容はもちろん秘密だ。
ああ、考えただけでワクワクするぞ秘密基地。
 
さて。
朝の散歩が終わったところで四万十川を目指して走る。
遠回りすれば四国最南端の足摺岬にも行けたかもしれないが、今回はスルー。
はじっこを目指すのは単純明解で、旅もメリハリがつきやすいものだが、今日はどうしても
四万十川をじっくり攻略したかった。

テレビの自然を特集した番組なんかで、たまに四万十川の様子を見ることがあったが、
とてもきれいな川で日本最後の清流と言われ、自然公園や沈下橋などのどかな風景が
続くのだそうだ。英語で言えばヒーリング・リバー。
そういうのんびりした風景を楽しみたい気分なのだ。

そういえば、本日の夜は高知ユースホステルに泊まるんだった。
現金をどこかATMで降ろさないとならない。
ATMで手っ取り早いのは、今の時代ならセブンイレブンだ。
のぼるのキャッシュカードは何時引き出しても手数料が取られないから気軽に利用できる。
そう思っていた。
行けども行けども、セブンイレブンはない。ほかのコンビニはちらちら見かけるのだが、
セブンに限らずATMのあるコンビニが1件もない。
後でわかった話だが、四国はセブンイレブンが1件も存在しないらしい。
てっきり全国どこでもあるのかと思っていた。

まあ、コンビニに限らず銀行だろうがショッピングセンターだろうが、行く先に必ずあるはず。
いま慌てる必要はまったくない。
1時間も進むと、四万十川の最下流の中村という街に到着した。
ここから少し山に向かうと「トンボ自然公園」という休憩ポイントがあるので寄ってみた。

そんなに珍しいものはなく質素な公園だが、実は世界初のトンボ保護区。つまりここのトンボを捕ると法律で罰せられるのだ。

軽食・喫茶店、トンボに関する資料館がそれぞれ1箇所あるくらいで、あとはふつうの
ピクニックに適したような公園。

だが、遊歩道を挟んで反対側は湿地が広がり、トンボの楽園となっている。
無論、今の時期はなにも飛んではいないが。

子供の頃はトンボもたくさんいたものだ。
夏はシオカラトンボやオニヤンマ、秋は赤トンボ。よくヤゴ(トンボの幼虫)なども近所の
田んぼでつかまえたりしたものだ。
最近では赤トンボはまだ見かけるが、シオカラやオニヤンマはほとんど見かけなくなったな。
川や湿地がどんどん整備されて、トンボが暮らせる環境がなくなっているからだ。
これからの世代に、トンボや蝶が昔のようにたくさん飛び回る田舎をずっと残していきたいものだ。

2016/4/29 02:05  [1498-4444]   

安並水車の里 沈下橋 増水時の抵抗を減らすためガードレールもない なんとキレイな川

そこから山あいに少し走ると、今度は「安並水車の里」がある。
いまではめったに見られない水車がたくさんあるのだ。

田園風景のど真ん中に公園があり、その付近一帯に10基(単位は基でいいのだろうか)ほど、
ヒトの高さの大きさの水車が水路に並んでいた。

水車といっても穀物をすったり、水を高所に上げたりする用途があるが、この地では
後者の目的で使われている。ただしこの公園にある水車は観光用に飾られているだけで、
農業としては全く機能していない。
ようは、もう使われなくなった水車を観光用に置いてあるだけだ。
 
でもこうして並んだ水車を見ていると心が安らぐね。
のぼるの実家も大昔は水車があった。
物心ついた頃には廃屋で水車は機能していなかったが、その沢には巨大なタニシやザリガニがいて
狩りに夢中だったものだ。
 
そんな懐かしさあふれる四万十川の下流。
さて、ここから上流へ向かっていこう。
国道441号。
四万十川の脇をきっちりトレースしている道路なのだが、ところどころ非常に狭い区間があり、
対向車とはち合わせするとかなりビビる。
しかもあちこちで道路工事していて片側交互通行だったりダンプが多かったり、などとけっこうせわしない。
狭い区間でダンプとはち合わせしたときはかなり参った。
100m後ろの退避区間までバックしたり大変だ。
 
四万十川は流れの早いところがほとんどない。ゆったり流れているのだ。
そんな清流に架かる小さな橋を見つけた。

沈下橋である。
沈下橋とは橋の名称ではなく、橋の種類。

クルマが1台ようやく通れるくらいの橋で、欄干もガードレールもない。
四万十川独特の橋で、頑丈かつ質素に作られた橋なのだ。

これがこの川にはいくつも架けられている。
四万十川は支流がたくさんあり、台風や集中豪雨のときには水かさが一気に上昇する。
そんなときはこれらの橋は、冗談でなく本当に沈む。
それを覚悟して設置された橋なので、沈んだときに川の流れに対してできるだけ抵抗がないように
設計されている。だから見た目質素な作りなのだ。
 
橋の上から水面を見ると、近くの山と青空が綺麗なまでに写っている。
しかも川底も楽勝で見れる。
ほんとに綺麗な川なんだなー。
ためしにFITに乗って沈下橋を渡ってみたが、まじコエー。
コクピットから周辺のアスファルトが見えないのだ。
いちおう3ナンバーのクルマでも通れる幅はあるのだが、やっぱコエー。

むかしここでタイヤを踏み外してボチャンとクルマが落ちたニュースを見て「あはは、バッカでー」
と笑ったものだが、今は笑えない。
気分は「パズ−、にげてぇぇぇぇ!」である。シータ自重。
 
四万十川にはこんな沈下橋がいたる所にあるが、増水時にも沈下しない新型の橋を近年架け、
使われなくなったそれまでの橋もそのまま残っている。
その役目を終え、朽ちていくのを待つばかりの橋。
その堂々と鎮座している姿を見ると、橋に神が宿っている錯覚すら覚える。

現役の沈下橋の近くには広い砂利があってバーベキューやキャンプなんかの絶好のポジションに
なっていそうな畔があった。
そこではキャンプしているヒトなどいないが、釣りを楽しんでいるヒトが3人ほど見られた。
ここでは「ごり」「イワナ」などの川魚が釣れるらしい。
こんなところで釣った魚をその場で焼いて食べるなど、最高の贅沢に違いないだろう。

そんなことを考えていたときだった。

「四万十川はどうだね」
と一人の初老の男性に話し掛けられた。
このへんに住むヒトらしく、土木作業をするような作業着姿だった。
「下流からきましたが、こうして見ると平和でのどかな川ですね」
思ったままそう言うと、そのじっちゃんはいろいろと話してくれた。
じっちゃんはこのへんの昔からの大地主で、この駐車場の管理人でもあった。
大地主というからにはそうとうの資産家なのだろう。のぼるは純粋に羨ましがったが、
実はそんなに単純ではないようだ。

余っている土地を土木開発したり観光用のオシャレなレストランなんかを経営すればいいのでは、
と思っていたが、この岩間沈下橋付近一帯は土地そのものが国の重要文化財に指定されており、
景観を損なう開発などは条例で禁止されているのだ。

土地を持つ者が土地を自由に使えないもどかしさを、じっちゃんは嘆いていた。
なるほど、そういうこともあるのだな。
 
川の現在の水位からのぼる達のいる丘まで30mほどもあるが、10〜20年に1度はこの丘すら
水没するくらいの大増水があるという。
いったいどんな惨状になるというのか、この平和でのどかな風景からは想像もできなかった。
毎年規模を増している台風。今後もっとデカい台風なんかが来たら、この下流の集落の
ひとつやふたつ、壊滅するのではないだろうか。
 
じっちゃんは、FITのナンバープレートを見ると「お前さん、新潟から来たのか」と感心していた。
じっちゃんはその昔新潟に行ったことがあるらしく、懐かしんでいた。
「新潟は米と酒と、平野だなぁ〜」
いや、米と酒はよく聞くしわかるけど、平野とはなんぞや。
そう質問すると、四国は山地ばかりで平野部は少ないから、ただっ広い越後平野は感動に
値する景色だったというのだ。

なるほど。いままで当たり前のように見ていた無駄に広い平野も、山間部に暮らす人からは
そう見られるのか。
じっちゃんは糖尿病になるくらいの酒豪で、新潟の日本酒のうまさについても興奮しながら話していた。
「今日泊まる高知ユースホステルでは、高知で作られた日本酒をたらふく飲ませてくれる
らしいので楽しみですよー」
とのぼるが言うとじっちゃんは「新潟人からみた土佐の酒の感想をぜひとも聞いてみたいものだな」
と笑っていた。

四万十の地で昔からその川とともに暮らしてきた人とたくさん話ができ、とても嬉しかった。

2016/4/29 09:29  [1498-4445]   

道の駅四万十のテラス 今日のランチ 道の駅あぐり窪川 高知の路面電車

じっちゃんと別れ、さらに上流を目指す。

気温はどんどん上昇し、Tシャツ1枚で運転することにした。
もうすこし上昇したらエアコンもONしなければならないかもしれない。

時計をみると、もう昼くらいだ。
いつもであれば多少遅く昼メシにしても構わないのだが、今日は宿で飲み放題なので
早めに昼メシにして、夕方までに空腹にしたいものだ。
そう考えていると前方に「道の駅四万十」が見えた。
ほう、ちょうどいい。そこでメシにしよう。
 
オープンしてからまだ月日が経ってない綺麗な施設、道の駅四万十。
四万十川のほとりにあり、テラスから川原へ下りて川遊びも楽しめる。
ログハウス調のレストランはそこそこ盛況していた。
考えてみたら今日は土曜日。子供や高校生がそのへんで遊んでいる。

レストランの窓際のカウンターでランチを食べる。
目玉焼きハンバーグ、サラダ、小鉢に茶わん蒸しが付いて650円。

そのハンバーグもこの土地の豚を使っているらしく、箸で割ると肉汁がじゅわっとあふれる。
いやぁ、大満足。

ちなみに岩魚の串焼きなんかも食べたかったが、このへんは養殖することはせず、
すべて天然ものを焼くのだそうだ。
『岩魚串焼き 時価』それを見てビビり、断念。
 
食べ終わると、テラスで少しくつろいだ。
「ふぅー」
新発売のケント・シトリックメンソールの煙をふかす。
なんと贅沢な旅なのだろうか。
天気、空気、景色。すべてが新鮮で綺麗。
身体に縛りついたストレスが根こそぎ洗われていくような瑞々しさがここにある。

トンボ公園も水車の里も、昔の懐かしい思い出を呼び覚ましてくれた。
きっといつでも引き出せる記憶の棚にあるはずなのに、引き出す余裕がない日常に追われていたのだろう。

四万十川は思い出の55−6。

そんな冗談を思いついた。言い得て妙である。
 
さて、昼からはがんばって高知へ向かおう。
しだいに下り坂になっていく。
ここからの道は2車線整備が行き届いていて、快適だ。

道の駅あぐり窪川で休憩。
山へ向かうクルマと海へ向かうクルマが合流するこの道の駅は、土曜日ということもあって繁盛していた。

あんまり暑かったのでアイスクリームを食べた。
ここにしかない特製マロンアイス。250円。
基本はモンブランケーキのようだが、栗のつぶつぶが味を引き立たせており、たいへんうまかった。

アイスを食べているとき、あることを思い出した。
現金を引き出さないとならなかったのだ。
道の駅構内を探したがATMはなかった。
出発し、その先で見つけたローソンに入ったが、ATM端末のないローソンだった。つくづく運が悪い。
近所にATMがある場所をローソンの店員に聞いて、その先のショッピングセンターに向かった。
無事に現金を引き出すことに成功はした。だが、屋上の駐車場に停め、階段で1階に下り、
端末を探すのにえらく手間取った。
こういうときセブンイレブンは便利なのに、四国には本当にないんだな。
ちなみに本日は銀行そのものは見かけていない。田舎すぎて。
 
高知市に入った。
四国でもトップを争う広さの平野で、しだいに建物が多くなっていった。

市街地に入ると、路面電車があちこちに走っていた。
坂本龍馬の里、山内一豊の高知城など有名な観光名所がたくさんある。
だが、今はユースホステルに直行だ。
まあ、行きたいところは明日にでも行けばいいか。
坂本龍馬と陸奥園明流が史実として関係していたならば、まっ先にそれ関係の資料館に
向かうところだがな。いいかげん漫画と現実を混在するな。
 
多くの建物と人、クルマ、路面電車が行き交う市街地。それをとりまく住宅地の一角に
高知ユースホステルはあった。

2016/4/29 09:53  [1498-4446]   

高知ユースホステル 4人部屋 ひまつぶしに最適なリビング

高知駅からは徒歩だとやや遠いが、観光拠点としては充分徒歩で廻れる圏内に位置している。
駐車場で荷物をまとめ、ユースの中に入った。

昔の酒蔵を改造して作った施設らしく、エントランスは昔の通い徳利など日本酒関連のオブジェが
たくさん飾られている。
改装してまだ間もないようで、非常に清潔で気持ちがいい。
「ちわース。予約したのぼるですー」
そう言うと、奥から中年の男主人が笑顔で迎えてくれた。
「よく来たね。ゆっくりくつろいでいってな」

フロントで宿泊手続きをする。
宿泊者カードに必要事項を記入すると、主人が嬉しそうに言った。
「お、新潟から来たんだね。酒処から来てくれるとは、私としても今日の夕食会が楽しみだよ」
この高知ユースホステルでは月に1度、地元の酒造メーカー関係者をゲストに招いて土佐の地酒を
飲みながら夕食を楽しむ、というイベントがあるのだが、それがたまたま今日だった。
そのイベントは予約の電話をした昨日に知ったのだが、のぼる自身このときを非常に楽しみにしていた。
宿代+酒代参加料で7245円を前払いした。その中身を考えると格安といえる。

部屋に案内された。2階にある10帖の広さに2段ベッドが2組という4人部屋。
すでにのぼるの他に3人の客が入っていた。

ユースホステルは男女別相部屋が基本。一人旅ではこういう宿のスタイルが楽しい。
見知らぬ人と各々の価値観でトークをすると、自分の考え方も広がっていくものだ。
同室の3人はみんな宿の常連客だった。
神戸からバイクで来たヒト、東京から新幹線で来たヒト、関西からFITで来たヒト。
みんなこの夕食会を目的に集まったのだそうだ。
  
夕食会まで時間があるので、今のうちにやれることをやってしまおう。
まずFITの荷室の整頓。布団を外に出してホコリを払ったり、ゴミをまとめたり。
次に入浴。風呂は一般住宅の風呂と造りは一緒。
さっぱりしたところで洗濯。主人に使用代300円を払い、洗濯機を使わせてもらった。

それでも時間が余ったので、今度こそやることがない。
他の客は観光に出掛けたのか、誰もいない。
今から高知観光に行くのは時間不足なので、リビングでインターネットをやっていた。

いまさらネットで観光情報サイトを閲覧する気にもならないので、ニコニコ動画を見ていた。
いや、いい暇つぶしになるんだこれが。旅の最中の有意義な時間の潰しかたなのか、
と問われたら否定せざるを得ないが。
  
まだ夕食時間になる前のこと。
食堂のほうから「ギャー」と男の悲鳴が聞こえた。
何だ?
食堂に駆け付けると、洗面台に小太りの男性が顔面蒼白で何かを押さえ付けていた。
彼の周辺には何か白っぽい液体が散乱している。
「た、たすけてええ…何か拭くもの持ってきてええ」
いったい何が起こったというのだ。
 
「ふー」
騒ぎが治まり、会食の準備が整った食堂ではお客が一同に座っていた。
先ほど取り乱していた小太りの男性が、なかったフリをして一同の前に立ちグラスを持って挨拶した。
「わたくしは、高知の○○酒造の社長をしております。このたびは高知ユースさんの
日本酒会食会にお招きいただきありがとうございます」
彼は続けて言った。
「今回、この夕食会のために特別に開発した『スパークリングにごり酒』というカスタム酒を
持ってきたのですが、さきほど開栓と同時に中身が吹き出し、一瞬にして中身の1/3が
失われてしまいました」
どっと会場から笑いが涌いた。
あー。さっきの惨事はそれのことだったのか。
炭酸を多めに注入してしまったのが原因だったそうだ。

ちなみに開栓した瞬間、シャンパンのそれと同じく栓が吹き飛び、天井を傷モノにしたのだそうだ。
商品として売り出すのはまず無理というスペシャルっぷりを、はからずも身をもって証明したわけだな。

2016/4/29 10:03  [1498-4447]   

なかなか豪華な夕食 うまかったーごちそうさま〜

かくして地酒を楽しむ夕食会は開催された。

土佐湾でとれた魚の刺身や鳥の唐揚などをテーブルに、何種類もの土佐の地酒をテイスティングした。

最初にそのスパークリングにごり酒を呑んだのだが、にごり酒独特の生臭さが炭酸で中和され、
意外にも万人受けしそうな呑みやすさになっていた。
近頃ではスパークリング日本酒が若者を中心に流行っているようだが、こういうのもたまには面白い。
 
ほろ酔い加減になったところで、会食参加者それぞれが自己紹介した。
半数以上のヒトが常連で、地元からこの会食だけのために参加している方もいた。
本日は宿泊はしないで帰るのだそうだ。

のぼるが自己紹介すると、酒処新潟出身というレッテルを貼られ注目を受けた。
新潟人というだけでこれほど注目されたのは初めてだ。
他県のヒトから見ると新潟人は例外なく呑ん兵衛だと思われているらしい。
大変な誤解だ。
まあ、のぼるは好んで日本酒をたしなむが、ザル(どれだけ呑んでも酔わないヒト)ではないし、
むしろ日本酒苦手な新潟人は多い。
 
日本酒の特徴として、淡麗系とフルーティー系に大別される。
新潟の有名な例を挙げれば、端麗系は越乃寒梅、フルーティー系は雪中梅といったカテゴリだ。
土佐では、それぞれ「リンゴ系」「バナナ系」と言い方が違う。
なるほど、言われて味わってみると、確かにそんな味がする。
ワインでいう白と赤のように見た目も味もカッチリ違うわけではないが、薫り、飲み口、風味、
のどごし、それぞれに微妙な違いがあるのだ。
日本酒の新たな楽しみ方ができたね。
 
宿の客では電車1人旅をしている女性もいて、いろいろと話が弾んだ。
のぼるの他にも一人旅をしているヒトもたくさんいるのだ。
いままで出会わなかっただけといえる。
こうして酒を呑みながら旅人同士で話できるというのは、この上なく楽しい。
個人的な最高の贅沢は、焚き火を囲んで呑むシチュエーションなんだけどね。
現在は焚き火禁止のキャンプ場が多いので、ちと困る。

土佐の地酒の、スペシャル級の高級酒ばかり呑ませてもらった。
8種類ほどのテイスティングが一通り終わると、あとはその中の好きな酒を好きなだけ飲めるのだが、
テイスティングだけでへろへろに酔っぱらってしまい、真っ赤な顔をしながら早々に部屋に戻るヒトもいた。
地元のバーに勤める女性も参加していたが、なにをどれだけ呑んでもケロっとしていた。
どういう内蔵をしているやら。たまにそういう女性がいるけど、間違っても呑み勝負など
挑んではいけない。

18:00から始まった夕食会だが、22:00を過ぎても話題も笑いも絶えなかった。
とはいえ、これ以上続くと無法地帯になりかねないので、とりあえず解散となった。
地元のヒトたちがタクシーに乗るのを見送り、2階の喫煙ルームで一服した。
そのあと部屋に戻ると、他の3人は豪快なイビキをかいて爆睡していた。
うわ。寝るの早っ!
でもそういうものか。
のぼるも自分のベッドに登り横になると、一気に深い眠りに落ちていった。


ここまでのダイジェストムービー(ニコニコ動画)
http://www.nicovideo.jp/watch/nm4929426

2016/4/29 10:27  [1498-4448]   

高知城 朝市

朝だ。
頭痛だ。
二日酔いだ。

7:00に起床し、朝食をたべる。
あまり食欲がないが、食べれるときに食べておかないと、だ。
テレビのニュースで、瀬戸内海のパールブリッジの下で3隻の船が衝突した事故が流れていた。
パールブリッジとは神戸と淡路島を結ぶ高速道路の橋だ。
その海域は非常に狭い区間のくせに定期便や漁船が密集する、瀬戸内海を航海する船にとって
かなりの難所となっているらしい。
後日その橋を渡る予定なので、注目しておいた。

さて、今日もがんばろうかね。
荷物をまとめ、ベッドのシーツを持って1階へ下りる。
ユースホステルでは、シーツはセルフサービスで敷いたり洗濯かごに入れたりするのがきまりだ。
主人に挨拶し、外に出た。
FITに乗り込み、本日の行き先をナビに入力する。
本日の予定は、まず室戸岬を目指し、それから香川へ向かって北上。
滝などもあるので寄り道も必至となりそうだ。
 
出発し高知の街を走ると、すぐに『高知城』の看板がみえた。
あ、そういや高知といえば高知城か。
朝の散歩がてら散策してみようか。
というわけで、高知城へ向かった。
裏路地を進むと高知城を正面に位置する広い通りに出た。
見ると、そこの片側車線が朝市になっていた。
おっとラッキー。道中のおやつになりそうなものでも買っていこうか。

クルマを路駐し、朝市を歩く。
日曜日で、多くの住民が品定めしながら行き来している。
みかん、金物、漬物など地元の様々な特産品が所狭しと並んでいて、歩くだけで楽しい。

市場を通り過ぎると、そこがちょうど高知城の正門になった。

この位置から城は充分見れたので中へは入らない。
こういうのは外側から眺めるのが好き。
折り返して再び朝市を歩く。
途中の店で干し芋を購入した。ひとりで1〜2日食べるのにちょうどいい量で200円。
いいおやつになりそうだ。

そういえば遠足のとき、干し芋っておやつに含まれるのだろうか。
ここで激論タイム。
遠足おやつ300円制限で、いったい何を持っていくか。
これは永遠に議論され、結論の出ない円周率のようなもの。
1日の遠足が終わったとき(おやつに)満足できた者が勝利者なのだ。
まさに十人十色。そのヒトの色が最も色濃く見られる議題といえよう。
のぼるならどうするか。
ディスカウントストアで、58円ぽてち、100円フルサイズ6個入りシュークリーム、
100円ショップのチョコチップクッキー、残金でうまい棒。そんなとこか。
シュークリームは3個ほど自分で食べ、残りは友達との交換の武器とする。
非常に魅力的な武器ですよこれは。チョコチップクッキーも同様。あんなにたくさん食べきれないからな。
いやあ、この議論も語り出したら止まらないね。

先を急ぐ。
高知の市街地を過ぎ、海岸線を南東に向かって走る。
室戸岬が今日の目的地ではあるが、そこへは昼頃には到着するだろう。
そのあとは海岸線を外れ、香川県へ向かい、その途中のテキトーな道の駅で宿泊する予定。

香川にいったい何があるというのか。
さぬきうどん、である。
四国へ行くならうどんを食べろ、というくらいうどんがうまいらしい。
メッカといわれるだけあってたくさんの店があるから、可能な限り食べ歩きしたいと思っている。
今回の旅、ここまで「うどん」を食べなかったのは、まさにこのときのため。
明日はまさにうどんづくし。
1日のうちにここまでうどんにまみれたことない、と後に語れるくらい食べまくってやるさ。

そんなわけで今から明日のうどんに心が騒いでいたりする。
だが、その食欲を凌駕する探検欲というものが突然現れた。
道路案内看板に「←龍河洞」と書かれてあるのが目に入った。
龍河洞…なんか洞窟っぽいな。
いいね、洞窟。
わくわくするぞ洞窟。
ガキの頃、近所の防空壕跡を探検したことあったっけ。
よっしゃ、行ってみよう!
ていうかどれくらいの規模の洞窟なのだろうか。

2016/4/29 10:35  [1498-4449]   

龍河洞の内部 内部は天井も高く、奥も長く広い フラッシュたくんじゃねーよ 山内浩氏の銅像

案内に沿って、海岸線沿いを離れ内陸に少し進むと、山あいの上り坂の終点に龍河洞の駐車場はあった。
そこにクルマを停め、執拗に勧誘する土産物屋をなんとかスルーし、エスカレータで洞窟入口まで登る。

ある程度の予想はしていたが、やはり観光名所化してたか。
洞窟って入場料とって管理しないとならない。でないと朽ちてしまうことが多いからだ。
一度でいいから未踏の洞窟を探検してみたいと思う。
 
受付で入場料1000円を払うと、ガイドの娘が洞窟内を案内してくれることになった。
ヒマを持て余したガイドのようで、なんかはりきっていた。
鉄道むすめならぬ、洞窟むすめだね。フィギュアつくっても売れないだろうけど。
洞窟の内部は至る所にライトが設置してあり、真っ暗なところはない。
足下にはグレイチングが配置してあり、歩きやすくなっていた。
「この洞窟は何万年もの時間をかけてできた鍾乳洞なのですよう〜」

洞窟内部に入ってすぐ、鍾乳石が一面に広がる。
乳白色のひんやりぬるぬるした石灰岩が異型の壁をつくり出している。
見ごたえ満点だ。

薄暗い狭い通路をすりぬけ、ゆっくりと進む。
ガイドの娘はのぼるの探検欲を察してくれたのか、のぼるを先頭にしてくれた。
それともFF7の階段ティファ状態なのか?(ガイド娘はミニスカではないが)
「あしもとに気をつけてほしいのですよう〜」
「え?」
「コウモリのフンがところどころありますのよう〜」
ちょ! そういうことは早く言わんかい!

天井には小さなコウモリが何匹かブラさがって冬眠していた。夏になるとそのへんを
飛び回ってウザいらしい。

それにしても想像よりも広大な洞窟だ。
この洞窟を発見したのは、昭和初期の教師で山内浩というヒト。
川口浩と似た名前だな。
数人のチームでこの洞窟を調査探検したのだそうだ。
なんと羨ましい。
自然の作り上げた奇怪な鍾乳アートを最初に見たときって、どんな感想を抱いたのだろう。
いくつか分岐点もあってプチ迷路のようになっているが、小さいながら滝もあるし、
天井10m以上あるドーム型のフロアもあり、なんともロマンあふれる洞窟だ。
 
「この洞窟は高難易度の『冒険コース』というのが予約制であるのですよう〜」
ガイド娘が説明してくれた。
いくつかある分岐ポイントから、一般では入れない狭いコースを行くツアーがあるのだそうだ。
ガイドはつくけど、明かりがないのでヘッドライト、レインウェア、長靴を装備して行く、
プチ本格冒険が味わえるコースなのだ。
それいいなー、と思ってたら「人気ツアーのため、夏まで予約で満杯なんですよう〜」とのこと。
ちえー。
 
ちなみにこの洞窟は紀元前後の弥生人が生活していた跡があったらしい。多くの土器や食べ物の
化石があったが、その土器も石灰入りの結露等で岩場に固着化されている。
洞窟内の気温は通年一定で、冬はあたたかく、夏はひんやり涼しい。
天然のエアコンというわけだ。弥生人もさぞ快適だったろうな。

この弥生時代の住居跡を過ぎるとすぐにゴールの出口となった。
もしものぼるの辿ったルート通りに山内浩探検隊が歩いたとしたならば、きっとその住居跡が
この上ない宝に見えたに違いない。
洞窟があったならば、その最深部に重要なアイテムを隠した宝箱が眠っているのはRPGの常識。
現実にそんなものがあったならば、どんなにドラマチックだったことだろうか。
先に何が待ち受けているかわからない未知の暗黒の世界への恐怖。
大自然のつくり出した奇形な鍾乳洞を進み、考古学的遺産となる古代人の生活痕跡の発見。
死さえ隣り合わせの探索から生還しデイライトを見たときの達成感。
そんなロマンを感じられずにはいかないだろう。

いまののぼるは観光者の第三者的立場でそんなロマンを想像するだけだが、いつか人類未踏の
何かを探索したいと思う。
そういう意味で、のぼるの尊敬する人のひとりに植村直己がいる。
国民栄誉賞も受賞した日本の代表的な冒険家。
エベレストをはじめ五大陸最高峰登頂を世界初達成成功し、犬ぞり単独北極横断中に行方不明になったが、
間違いなく日本の冒険家の頂点に永遠に君臨するカリスマ的存在だ。
のぼる的には、彼はまだ生きていると思っている。
マスコミに追われるのがイヤで死んだことにしておいて、今でも世界中を冒険しているに違いない。

2016/4/29 10:44  [1498-4450]   

丘の上の古城 カレー屋 シットロト チキンカレー まいう〜♪

先を進もう。
のぼるは語尾の妙なガイドの娘にお礼を言って別れ、駐車場へ向かった。
冒険の余韻に浸りつつ発進。

洞窟があった山から海が見える。
今日もいい天気。
いつも晴れてるゴルフゲームみたいだ。

海へ向かう道路の途中、丘の上に妙な城があった。
西洋風の石造りの城だ。
看板がなにもないのでアレじゃないみたいだし、もしかしたらどこかの金持ちの家なのかもしれない。
マンガでよくある、メイドを何人も雇って生活しているのかもしれない。
羨ましい。

しばらく海沿いを走る。
FITの燃費はここまで約20km/lをマークしていた。
布団、衣類、土産なんかの大荷物を載せているにしては、いい数値だ。
途中に高速道路を爆走させたから、フケ上がりが良くなっているのかも。
今にして思うとFITを買って本当によかった。
ここまでガソリンが高騰するとは思わなかったが、クルマを買うにあたって燃費を重要視したのは事実。
ま、燃費を第一に考えるのであれば1.3・のエンジンの方を買うのが正解なんだけどね。

四国の道は御遍路といわれる88箇所巡礼を徒歩でしている人をよく見かける。
四国の88もの由緒あるお寺や神社を順に巡る、という壮大な徒歩旅行だ。
白装束に菅笠、金剛杖というスタイルなので見間違うことはない。
1400kmもの旅路を徒歩で巡礼するヒトなど滅多にいないだろう、と思っていたが、
この寒い季節でもかなり見かけることができた。
けっこう年輩なヒトや若者、大学のグループらしき集団など、世代も幅が広い。
精神統一したいヒト、心を癒したいヒト、単なるひまつぶしなど、その人によって目的は違うようだが、そのスピリットは本当にすごいと思う。
まあ、中には徒歩でなく、電車やバス、ヒッチハイクでショートカットする人などもいるようだが。

佐渡もこういう巡礼ウオークラリーを企画したら、観光客はもっと来るぞ。
ヒトが常駐してるところにスタンプを置いておくだけだから単純だ。
んでフェリー乗り場などにスタート&ゴール地点を設置して、完遂したヒトに佐渡わかめとか
柿ワインなんかをプレゼントすりゃいいわけだ。
観光に行き詰まっている佐渡を全面的に活性化させるのには、いいアイデアだと思うぞ。
 
道の駅大山に到着した。
小さな港町を眼下にした雰囲気のよい施設。
もうすぐお昼。すこし腹が減ってきた。
この道の駅でなんか食べてもいいのだが、道の駅の食事だけに頼っても面白みに欠けるというもの。
近くにうまいものを食べさせてくれる店を探そうではないか。

ガイド雑誌を眺めると、室戸岬の手前らへんで美味しいカレーが食べれる店があるらしい。
カレーか。悪くない。
旅先のカレーって、実は思い出に残りやすいんだよな。
北海道の富良野で食べたカレーはいまだに覚えてる。
あれは本当に美味しかった。
よし、お昼ごはんはカレーで決まりだ。

30分ほど進むと、目的の店が見えた。

『シットロト』という名の、カレーと喫茶の店。
小さめな店内はテーブルが4席ほどあって、女性向けのオシャレな店であった。

他の客も女性客ばかり。男性客はカップルで来るべき雰囲気の店なのだが、たまたまカップルは
いなかったので、店内に男はのぼる一人だけだった。
カレーは基本が3種類。野菜、ビーフ、チキン。
こういう場で悩んだ場合、必ずチキンカレーを頼むことが最近判明した。
その店の味がいちばん出やすいのは野菜カレー。
ベーシックゆえにその店のクオリティを楽しめるのがビーフカレー。
そして辛口ルーともも肉の食感が存分に楽しめるのがチキンカレー。
いろいろと悩みつつ、最終的にはやっぱ自分がいちばん好きなチキンカレーを頼むんだよな。

数分後、注文したチキンカレーが運ばれてきた。

黄色のサフランライスにトロトロな骨付きもも肉が2本。うおお、うまそう。さっそく食べてみる。
辛口ルーだが女性向けの常識的な辛さ。だがチキンに合わせたがっちりした味だ。肉はジューシーで
ルーにからめて食べると極上の旨味が口の中に広がる。

総合的に言わせてもらうと、たいへん美味しゅうございました。
これなら大盛りにしてもらってもよかった。
追加料金で手作りケーキセットというのもあったのだが、たぶんそれも美味に違いないだろう。
 
のぼる流反則チキンカレーの作り方。
材料は、レトルトのカレーマルシェの好みの辛さ。惣菜コーナーにある出来合いの鳥唐揚げ。以上。
カレーを温めているときに唐揚げをトースターで温める。レンジで温めるとカリカリにならないから
ダメです。
ごはん、カレー、唐揚げの順に盛り付ける。
唐揚げの上にカレーをぶっかけるのは邪道といいたいが、まあ好みか。
なんかね、何時間もかけて作る手間を考えると、それでもいいや、と最近思うようになってしまった。
だって500円でおつりくるし。
 
ちなみに店名である「シットロト」とは昔からこの地で魚の供養と豊漁を願って6月に催される
同名の踊りに由来する。
『南国少年パプワくん』という漫画によくこの室戸名物シットロト踊りが登場し
「んばば、んばんば、めらっさめらっさ」などと言いながら奇妙な踊りをするが、アレはウソだ。
本来の踊りはまったく違う。朝から晩まで踊り続ける耐久ダンスなのだそうだ。

2016/4/29 14:15  [1498-4451]   

四国最南端 室戸岬 キレイな海だが台風でよく荒れることで有名 丘の上の景観 室戸岬灯台

店を出て、ちょっと走るとすぐに室戸岬に到着した。
もっとゴテゴテした観光名所になっているかと思ったが、意外と質素な場所であった。
土産屋兼民宿のようなところが2〜3件あるだけだ。

海岸へ下りてみる。
岩場と砂利の多い浜だが、海水は綺麗で澄みきっていた。
鋭角に突き出た岬の先端なので、大平洋が広く実感できる。
新潟ではなかなか経験できるものではない。
しいていえば、佐渡の最北端の二ツ亀の海がそれを実感できる。

浜から見える丘の上に大きな灯台、室戸岬灯台が見えた。
よし、そこへ行ってみよう。
クルマで丘を登り、見事なまでに灯台の看板を見過ごし、その先の展望台に行った。
広い駐車場だがシーズンオフのため3台ほどしか停まっていない。
シーズン中のごったがえした観光地ほどイヤなものはないので、駐車場が広くて
誰もいない状態って、なんかすごい好き。

展望台に上がってみると、大平洋が眼下に広がっているのが見える。
地球の丸さがよくわかる。
海がそこにある、ではなくて、重力のある星に水(海)がへばりついている、という表現がぴったりくる。

丘からすこし下ると、ようやく灯台の看板を見つけた。
灯台へ続く森の中に神社がある。
最御崎寺という88箇所の巡礼地のひとつで、何人もの御遍路さんがこの神社に寄っていた。
財布から5円玉を取出し、賽銭箱に投げ入れて手を合わせる。
どこかのお寺を目的地にしていることはないが、お寺に寄ることがあるならお参りはする。

願いごとはたいてい決まっている。
この旅が無事に続けられますように。ついでに良縁がありますように。
後者のほうを優先しろ、という声が各界から聞こえてきそうだが、もしそうしたなら、
旅が無事に終わらず事故ったりしそうな不安があるんだよ。
まずは安全第一っつーことだ。

神社を過ぎると、ようやく室戸岬灯台に到着した。
灯台からちょっと高い位置から見れるので、巨大なレンズがよく見える。
日本一デカいレンズなのだそうだ。
ヒトの大きさほどあるレンズ。どうやってあんな巨大なレンズを作ったのやら。

さて、先に進むか。
駐車場のトイレから出たときのこと。
3人の見知らぬオヤジがのぼるのFITをみて何やら議論している。
のぼるはおもむろにトイレの壁に隠れてその会話を聞いた。
「珍しい色のFITだな」
「よく見ると1.5・じゃん。玄人機体だ」
「新潟から来たんか。スタッドレスタイヤだし」
「新潟か。雪と黄砂にやられたぽいな。すげえドロ」
「あっはっは、ほんと汚ねー」
そんな会話をしたあと、そのオヤジらは自分たちのクルマに乗って駐車場を出ていった。

「…」
FITをよく見てみると確かに汚い。
仕方ないじゃないか。九州上陸直後に洗車したらその1時間後にはドロだらけになったんだ。
それでも2日に1回は拭くだけ洗車のシートで可能な限りの汚れは落としていたんだ。

まあ・・・こう毎日海沿いとか走ってると汚れるのは当たり前か。
どうにかしたいところではある。
ま、後の問題にして出発しよう。

2016/4/30 04:02  [1498-4452]   

道の駅 穴喰温泉 得てして滝はこういう岩場が多い 許可なく撮ってんじゃねーよ、と言いたそうな顔 轟の滝

土佐浜街道と呼ばれる海岸沿いをひた走る。
きれいな海がイヤってほど堪能できるのだが、やはりイヤになる。
舞い上がり過ぎた後の午後って、反動で眠くなるわけだ。

我慢できず、どこかで仮眠しようと「道の駅 穴喰温泉」に立ち寄った。
その名の通り温泉施設があるのだが、まだ陽が高いので温泉に入る気分ではない。
とりあえずどんな土産があるのかチェックし、ほしいものがないことを確認した後、観光情報をみる。
そこでもらったパンフに、この近くの山奥に「轟ノ滝」という滝がある。いく種類もの滝が
集中している公園らしい。いわば滝ア・ラ・モードなのだ。
ちょ、それは是非行かねばなるまいて。

地図を確認してみると、香川県へ向かう道の途中から少し寄り道するだけのルートになるので丁度いい。
この情報を仕入れた時点で眠気は吹き飛び、クルマに飛び乗り、出発した。
 
間もなく山間部へ向かう国道193号に入る。
地図でみるとかなりの峠道だが、国道というからには整備されていて当たり前。イケるはずだ。
予想通りきちんと整備された道だ。
途中から滝への分岐道に別れるが、その道もきちんと走れる。
よし、いけるぞ。私にも敵が見える。

深い森の奥へ奥へ。
海部川の上流をトレースするクネクネ道を進むと、途中で規模の大きな土砂崩れがあった。
それは川を挟んで反対側で、そこには道路もなにもない箇所なので復旧工事も何もなく放置されていた。
ただし、それがこっちの道路側の出来事だったとしたらけっこう大変なことになっていただろう。
 
後方より1台クルマが接近してきた。
軽にして本格クロカン、ジムニーである。
のぼるも以前ジムニーに乗っていたが、あの走破性はすごい。砂浜とか楽勝で走れるのだ。
同系のテリオスというクルマにも乗ったが、テリオスで砂浜はキツい。
1回やってオーバーヒートしたことがあった。
そんなジムニーがFITの後方にぴったりと張り付いた。
この道路の先には轟の滝くらいしかない。ということはヤツも滝を観光するつもりだろう。
ならば仲良く行こうではないか。
のぼるは少しスピードを上げ、ジムニーが走行しやすいよう車間を調整した。
だが、ジムニーはFITに張り付いて離れない。
む。やるな。もうちょいペースを上げるか。
そんなことをやっていたら、バトルになった。
「660ccのくせにやるじゃねーか。トランザム・システム開放! おれがFITだ!(意味不明)」
7スピードモードに切り替え、ギヤをひとつ落とし加速する。
 
そんな感じで遊んで、数分後には滝の駐車場に到着した。
ジムニーはというと、この駐車場の周辺に数軒ある民家のひとつに入っていった。
観光客でなく原住民だったのか。
あいかわらずまわりに観光客はいない。1軒だけの土産物屋も夕方のため店じまいして、閑散とした雰囲気だ。
それはともかく滝を巡ろうではないか。また陽が暮れそうだ。
なんで滝を見ようとするといつも日暮れ時になってしまうのだろうか。
 
この地は昔から聖地として奉ら話れてきた。
立派な轟神社の社があり、滝は女人禁制、男の修行者の行場だったそうだ。
いや、確かにここの雰囲気は他とは違う。
なにか、人間ではないなにがが棲んでいそうとすら思える特殊な雰囲気があった。

本滝、轟の滝。

ヒト1人が歩けるほどの狭まった岩場の隙間に、落差60mほどの滝。
岩場と水しぶきに覆われ、滝の全容を拝むことはできないが、それがまた神聖な雰囲気を
演出しているといえよう。

これはいいもの見た。
近くの岩場にはワンカップの日本酒がお供物として置かれていた。

滝はこれだけではない。
この上流にはいくつも滝が存在し、それらを総称し「轟九十九滝」と呼ばれる。
それらの滝をめぐる遊歩道があるので、すこし散策することにした。

10分歩くごとに1つ滝が見れるペースで進める。
いや、この遊歩道は実に素晴らしい。
  (1) 滝の音が聞こえてくる
  (2) 近くまで行ってはじめて滝が見える
  (3) さらに進むとその滝の上から眺めることができる
この繰り返し。
まったく飽きないね。滝好きにとっては、まさにメッカといえよう。

2016/4/30 04:13  [1498-4453]   

二重の滝 豪快で迫力満点 丸淵の滝 水も澄み切ってキレイ 大烏小烏の滝 滝の裏側に秘密の洞窟はなかった 三十三才の滝 真夏に水遊びしたら最高だ

飽きないのはいいが、間もなく陽が暮れる。
滝巡りもまだ半分、というところでタイムリミット。
引き返すことにした。
いつかまた来たら、その全貌を楽しみたい。
お弁当持参でハイキングを楽しみながら巡るのもいいだろう。
森と滝に癒された素晴らしきこの地は、いつまでもこのままでいてほしい。
 
駐車場に戻ると、辺りは薄暗くなっていた。
汗だくになったのでTシャツを着替えて出発。
付近に温泉でもあれば、と思ったが生憎このへんは温泉地ではないようだ。
 
国道193号に戻ったときには完全に辺りは真っ暗になっていた。
さんざん歩いたおかげでかなりヘトヘトになっていたが、もう少しがんばって香川の近くへ行こう。
そう思うのは至極当然のこと。なぜならこのへんはヒトの住む気配がなく、店もなにもない。
香川へ抜ける近道があるわけで、いまさら大平洋側に戻るのもバカバカしい。
少しでも香川へ近付き、温泉で汗を流し、なんでもいいから夕食を食べて、そしてまた道の駅で
グッスリ寝たい。ただそれだけだった。

だからのぼるは間違っていない。ただ、この国道を『知らなかった』だけなのだ。
 
散々な言い訳をした上であえて言おう。
この道は地獄だと。
2日前に経験した、なんの整備もされていない道の超パワーアップ版だ。
至る箇所に落石、木の枝や葉は放置三昧。道路左側が崖っぷちにもかかわらずガードレールなし。
落ちたら間違いなく死ぬ。仮に即死しなくても、誰も通らない道だし、通ったとして
崖の下の惨事に気付く余裕もないだろう。携帯も楽勝で圏外で終始アンテナが立つこともない。
ゆえに、アクシデントに見舞われたら死を待つだけ。
そんな過酷な道路が1時間以上続く。
とてもじゃないが、集中力が続かない。
激しい目眩に襲われる。
左右にうねる道路に翻弄されつつ「もしこの先で、土砂崩れ等で通行止めになっていたら」という
不安に終始かられる。
せめて対向車があればそんな心配はないのだが、この道路ではすれ違うクルマやヒトもない。
対向車があったとして、道路幅が異様に狭いのですれ違うことも至難なのだが。
 
とうとうガソリンが底をつきはじめた。
昼間はまだ半分あったので、給油しなくても問題なしと思っていたが、峠の坂道では想像以上に
ガソリンを消費する。
おかげで燃費もガタ落ちだ。
いや燃費など今は問題ではない。クルマが動かなくなったら死にますよ、マジで。
 
ついに道路脇に雪が出現した。
九州の阿蘇山に近い標高1100m級の山脈を、ほとんどトンネル無しで抜けようというのだ。
雪だろうがダイヤモンドダストだろうがオーロラエクスキュージョンだろうが、珍しいものではなかろう。
この雪にのぼるの不安と恐怖は頂点に達した。
 
こんなに神経をすり減らしながら走った国道は生まれて初めてだ。
世の中には国道ならぬ『酷道』が存在する、と聞いてはいたが、まさかこれほどとは。
常に死と隣り合わせの過酷な道路。
運転しながらでも走馬灯現象が体験できる、という貴重で特殊な道路として売り出せば
人気が出るかもしれない。
そんな国道193号、通称「一休さん」であった。
 
たっぷりねっぷり2時間そんな道路を走り、ようやく国道195号に合流した。
この195は地域の生活に密着した道なのできちんと整備されていた。
生きててよかった…。心からそう思った。
実は、香川へ続く近道はあと3倍の長さの過酷な道を走らなければならない。
1500m級の雲早山の山頂付近を通るルート、クルマに乗りながら映画「八甲田山」や
「クリフハンガー」体験ができるかもしれない。
つまり、とてもじゃないが無理。無理無理無理。絶対無理。
そもそもガソリンが無いっての。

2016/4/30 04:23  [1498-4454]   

神経と体力とガソリンを極限まですり減らされ、意気消沈状態で走る。
道路はよくなったとはいえ、コンビニもなければ温泉もない。
だが、道路がよくなっただけいい。
道路が整備されたのならば、その先にきっと何かあるはず。そう信じて走った。
 
そして、闇の中に浮かぶ光を見つけた。
山奥の天国、それは道の駅だった。
ナビをいじる気もせず、ただ道を走っていた状態で偶然見つけた道の駅もみじ川温泉。
その名の通り、温泉施設を有する道の駅だ。
なんという願ったり叶ったり施設!
絵に描いたようなご都合主義的展開だった。
のぼるは吸い込まれるようにそこに入った。
 
20:00。こんな時間では温泉やレストランは終了していてもおかしくはない。
だが、奇蹟的にまだ営業中だった。
レストランは間もなくオーダーストップというので、先に食事にすることにした。
ここは宿泊施設もあり、泊まり客数人が食事をしていた。

天丼840円を注文し、お茶を飲んで一息ついた。
正直、まだ心臓がバクバクしている。
いつ通行止めになって引き返すことになってもおかしくなかった国道193号。
それをなんとか途中までクリアして生還したのだ。
ドラクエ2でロンダルキアの洞窟を抜け、最後のほこらに到着した気分だ。
憔悴した神経で復活の呪文を書きミスして泣いたヒトも多いだろう。
 
天丼は、しょっぱかった。
天ぷらもごはんもタレがべっしょりで、お世辞にも美味しいとはいえない。
極限の緊張と空腹の状態で食べて味覚が麻痺していたのかもしれない。
しかし、考えてみるとのぼるは美味しい天丼に出会ったことがない。
あのタレがすべていかんのだ。
天丼は天ぷらサクサクでごはんほくほく、というのがのぼるの主義だ。
それがあのタレのおかげで全てを台なしにしている。
ま、そこまで言うなら天ぷら定食を食べれや、という説もあるのだが、天ぷら定食は
1000円オーバーで、この思考状態では安さにつられて天丼にしてしまった。
他になべやきうどん等もあったが、うどんは明日食べるからいかんのだ。
 
とにかく腹は埋まった。
次は汗を流そう。
入浴の準備をして入館料500円を払う。
かけ湯を浴び、湯舟にどっぷり浸かる。
「ああああああー」
ため息がもれる。
生きてるって、なんて嬉しいことなのだろう。
エコノミー症候群になりかけた、パンパンに張った腿をよくもみほぐし、泡風呂、露天風呂、
サウナを心行くまで堪能した。
 
脱衣所で体を拭いてるとき、誰かが忘れていったタオルをみつけた。
誰が使ったかわからんタオルになど興味はないのだが、ふと昼間の出来事を思い出した。
「雪と黄砂にやられたぽいな。すげえドロ」
室戸岬でオヤジに言われたFITの汚れのことだ。
FITオーナーとして目をつむることはできない。
ちゃんと綺麗にしてあげないと。
のぼるは忘れ物のタオルを手にとって外に出た。
 
多めの水分を含ませたそのタオルでFITのドロを拭き取る。
1回拭いただけでは綺麗にはならないので、トイレの洗面台で何度も繰り返しすすぎ、
丁寧に汚れを拭いた。
水をかけながらの洗車というわけにはいかないので、塗装を傷つけてしまう可能性もあったが、
可能な限り優しく拭く。
それでも、潮に張り付いた黄砂の汚れは確かに頑固、ちょっと力をいれないと落ちない汚れだった。
 
そんな簡易洗車をしているとき、1人の男性ライダーがフロントから出てきて、
出入口の明かりの下で地図を見て唸っていた。
のぼるより若いオフロードライダーだ。
「どーかしたんですか?」
のぼるは話しかけた。
彼は一礼すると「実は…」と話しはじめた。
ようはこのへんにテントを張って構わない場所があるか探していたのだ。
キャンプ場は付近にあるようだが、サイト利用料がもったいないので
無料でテント利用できる場所に行きたいのだそうだ。

彼はこの3月に大学を卒業し、春から就職なのだそうだ。
その卒業旅行としてソロツーリングをしているとのこと。
実家の鹿児島を出発して、日本一周を目指していたが、新潟から北の寒さが堪えて挫折、
今は九州へ帰るところなのだと。
大学生なので貧乏旅行を余儀無くされる。のぼるの学生時代を思い出す。
あの頃は北海道に行きたい一心でバイトし、原付で行ってきた。
 
新しい土地へ行く憧れる者は世代など関係ない。
のぼると彼は打ち解けあって旅の話に花を咲かせた。
話しによると彼は、のぼるが行こうとしていた国道193号のその先へ行ってきたらしい。
1500m級の雲早山の途中の峠で積雪と雪崩の二重難に遭い、引き返してきたのだ。
「行かなくてよかった…」
心からそう思った。
オフロードバイクで行けない場所などクルマで行けるはずがない。
明日は給油後そのルートを通るか悩んでいたが、その話を聞いたら断念せざるを得ない。
彼は明日、のぼるの通ってきた室戸岬へ向かう側の国道193号を攻略したい、と言っていたが、
落ち葉さえ気をつければオフロードバイクでもなんとかなるだろう。
こういう情報交換も大切なものだ。
ナビなんかじゃわからないリアルな道路事情がわかるのだからな。
 
彼はこの施設が閉館・消灯すると、その軒下にテントを張った。
そして携帯ストーブで湯を沸かし、それをステンレス製の水筒に入れた。
「これを湯たんぽにしてシュラフの中に入れておくと暖かいんですよ」
なるほど。寒い季節にツーリングしたことないから、そういうアイテムの使い方など思いもつかなかった。
若いときのスピリットって、いろんな知識を吸収し、自分なりにアレンジしていくことが
嬉しくてたまらないものだ。
のぼるもそんな精神をいつまでも忘れず、挑戦者のまま居続けたいと思った。
 
彼はテントへ、のぼるはクルマに戻り、それぞれ就寝についた。
今日は本当に疲れた。ゆっくり寝て、体力を回復しよう。
明日はうどん食い倒れの日。
食べて食べて、食べまくってやるぜ!


ここまでのダイジェストムービー(ニコニコ動画)
http://www.nicovideo.jp/watch/nm4985520

2016/4/30 04:38  [1498-4455]   

道の駅 もみじ川温泉 大学生ライダー 長安口ダム 道の駅 鷲の里

ライダーの朝は早い。
のぼるが起床した7:00には既に彼はテントやシュラフを撤収し、パッキングを終えようとしていた。
九州のゲーセンでゲットしたおやつサラミをいくつか彼に差上げ、朝食とした。

鹿児島生まれの彼は、その地から対をなす北海道に強い憧れを抱いていた。
だが、鹿児島からあまりに遠い地で、しかもアクセスが悪いため、挫折していたのだ。
無理もない。九州から北海道を結ぶフェリーはない。
九州→大阪→自走で名古屋→北海道というルート、もしくは九州→東京→自走で茨城→北海道という
ルートくらいしかない。
フェリーを乗り換えるのに必ず自走しなければならなく、非常にめんどい。

それを考えると、単独飛行機で北海道へ行き、レンタバイクで走ったほうがいいとも考えられる。
航路だけで単純に計算してバイク込み往復10万円はする。
それを考えると、鹿児島の学生には距離はおろか、資金的にもあまりに遠く、
蜃気楼の地とすら思えるのだろう。
自走で北海道を目指す命知らずも時としているが、何にせよかなりの無理が生じる。

「でも、社会に出ても諦めなければ、行けるチャンスは必ず来るからな」
のぼるはそう言って激励した。
「は、はい。がんばります!」
彼はバイクのエンジンを吹かし、出発していった。
がんばれ、学生最後の自由を存分に楽しめ。

1人になったところで、今日の計画をまとめる。
うどんの聖地、香川県への最短ルートである国道193号はライダーの話によると事実上閉鎖中。
徳島の市街地まで迂回しなければならない。
距離を単純にみるとうどんにありつけるのは昼くらいになるか。
しゃーない。がんばるか。
のぼるはFITのエンジンをかけ、徳島へ進路を向け出発した。

那賀川を下っている途中、ふたつのダムを見かけた。
長安口ダム。
ダム湖に豊富な水量を誇る。
10分程度しか離れていない二つのダム。
もしやと思って調べてみたが、やはり水害対策もあるらしい。
この地方は台風の直撃コースになっていて昔から水害に悩まされてきたので、
ダムを作って下流への水量を調整しているのだそうだ。

佐田岬半島では風害のため風車を。この那賀川では水害のためダムを作った。
自然の害はエネルギーの宝庫、ということだな。
 
途中で開店したばかりのガソリンスタンドに入った。
レギュラー満タン、と言おうとした瞬間『レギュラー158円』の表示が目に入った。
冗談ではない。市街地より10円も高いではないか。
「レギュラー2000円ぶん」と言って入れてもらった。
市街地に行ったら、ちゃんと満タンにしよう。
 
徳島へ向かうルートをナビで確認すると、大まかに2つのルートが表示された。
阿南市街を経由する遠回り安全ルートと、山越えする近道ルートだ。
山越え近道ルートを見ると、昨晩の悪夢が記憶に甦ってイヤな予感がぬぐえない。
だからといって安全なルートばかりをチョイスしても面白みがない。
ならばよい方法がある。
その分岐に近い位置に「道の駅鷲の里」があった。
そこで確認すればいいのだ。

広い和風庭園のある上品な佇まいの道の駅。
国道からちょっと離れた山あいにあるので人気は少ないが、山の頂にある御遍路さんの
巡礼地「太龍寺」へ直行するロープウェイの乗車場にもなっているので、
シーズンになればかなり賑わうのだろう。

施設の中のロープウェイ乗り場の案内所の娘にさっそく聞いてみた。
「徳島への近道ですか? ああ、この先の道は峠道なのであまりお勧めできません。
回り道でも阿南へ向かったほうが無難ですよ〜」
「そか。聞いてよかった。いやね。昨日室戸岬から国道193号を通ってこっちへ来たもので、
ひどい目にあったんです」
「えっ!」
国道193号、と聞いた案内所の娘はとたんに顔色がかわった。
憐れむ目でのぼるを見つめ「あんな地獄のような道をよくぞご無事で…」と呟いた。
ちょ、何なの。まるで関ヶ原から帰還した武士を見るみたいに「幽霊じゃないでしょうね」みたいな目で見るな。
そもそも地元人間でさえビビって近付かない道を国道に登録するんじゃねえよ。
別れ際に彼女は言った。
「徳島への近道の峠道は、あの193の道よりは整備されてはいますよ〜」
そうか。なら恐くないから近道にしよう。
 
娘の言った通り、整備された峠道でさしたる問題はなかった。
もっとクネクネした道かと思ったが、のどかな田舎道の平和的な道だ。
思いのほか早く徳島に到着したが、どこも寄らず完全にスルーして香川へ向かう国道192号に乗った。
 
四国を代表する川、吉野川の上流に向かって進む。
長年吉野川が開拓した平地に作られた、実にのどかで平坦な道。
いたるところに「さぬきうどん」の食堂が建ち、うどんの聖地に近付いていることを実感させられる。
途中でレギュラー139円という安いスタンドを発見し、満タンにしていった。
燃料の心配はこれでしばらく問題なくなった。
あとは、行くのみ。

2016/4/30 04:49  [1498-4456]   

道の駅 ことなみ 一見ふつうの民家の谷川米穀店 記念すべきうどん第1食目

四国を旅するにあたって、いくつかの情報誌を買ったり本屋で立ち読みしたりしたが、必ずあるのが
「さぬきうどん名店ガイド」。
うどんの店を紹介するページがある。さぬきうどんガイドブックなる専門書まであったりする。
それくらい有名で奥が深いのだ。
たくさんある店の中から、個人が1日でまわって食べれるのは5店程度が限界だろう。
まあ、中にはそれ以上まわれるヒトもいるだろう。それを自慢したければするがよい。

ゆえに、どの店のうどんを食べるのか、事前調査が重要になる。
のぼるが今回重要視したポイントは「郊外の老舗」である。
繁華街の有名うどん屋はうまいのだろうが、駐車場やアクセスなど面倒なことが多い。
それよりも郊外の新鮮な空気の中でゆったりした気分で食べたいのだ。
しかも昨今の競争社会で移り変わるうどん屋の中で、昔から潰れずに営業を続けている
うどん屋というのは、実に魅力的といえる。
さらに現場の臨機応変にも対応したいところ。ガイドにも載っていない店もあるわけで、
得てしてそういう店が激ウマ、ということもよくある話だ。

以上のポイントを総合した結論。
ガイドブックから厳選した3店を距離順に食べ歩くことを基軸とし、その途中で見つけた
『うまそうと判断できる外見のうどん屋』にも積極的に立ち寄る。
これでいこう。
かつて人生の中でこれほどうどんに執着したことがあったろうか。
いや、ない。
 
いよいよ香川県に突入した。
山あいの緑あふれる道を進むと「道の駅ことなみ」に到着した。
数時間の連続運転で頭がボーっとしていたので休憩にちょうどよい。
ここは温泉も併設されている。かのエレキテル発明王、平賀源内も大絶賛したという「石の乳」という
温泉なのだそうだ。
温泉よりも今はうどん。朝食もロクに食べてないので腹ぺこだ。
目的の1店目はもうすぐみたいだから、がんばっていこう。
 
記念すべきうどん食い倒れ1店目に到着した。
いや、ナビ的には到着したのだが、店がどこにあるのかわからない。
どこにも看板が見当たらないし、それっぽい店もない。
潰れたのかな、と思いながらもそのへんをウロウロしてみる。
すると、どこからともなくカップルや家族連れが「うまかったー」などと言いながら
川沿いの一軒家から出てきたのに気付いた。
彼等に聞いてみると、まさにその家こそがうどん屋だったのだ。

『谷川米穀店』
さぬきうどん通にその店を知らない者はいない、と言わしめるほどの有名でマイナーな店。
なにがマイナーなのかというと、店の看板がないのだ。だから場所が非常にわかりにくい。

薄暗い店内は10人も入れないほど狭い。
厨房ではおじちゃんが1人でうどんを茹で、おばちゃん2人が注文を受けて盛り付けていた。
相席に座り、厨房のおばちゃんに注文する。
注文といっても「暖かい・冷たい」「大盛・普通」の指示だけ。
天ぷらは売られてはいない。
 
冷たい普通盛りを頼む。
本当は非常に腹が減っていたのだが、冒頭からたくさん食べたら後のうどんに影響してしまう。
がまんがまん。
あらかじめうどんは湯で上がっており、適量を冷水にさらしてどんぶりに入れるだけ。
1分も待たずして完成したどんぶりを渡された。

うどんだけ。つゆもない。天ぷらもおあげもない、純粋にうどんだけだ。
テーブルの上にあるネギを好きなだけ乗せ、醤油や酢をたらして食べるスタイル。
シンプルなのに新鮮な食べ方だ。

さっそく食べてみる。
職人による完全手打ちの、輝くほど表面がツルツルした麺、むちむちした歯ごたえ、
のどごしの気持ちよさは特筆に値する。
すげえーっ!
うめえーっ!
食べているときは、それだけがリフレインしていた。
好みで自家製青唐辛子の佃煮をトッピングして食べるのだが、これが実にいいアクセントになる。
キュっとくる辛味がうどんの魅力を更に引き出してくれる感じなのだ。
 
「ごちそうさまでした、おいしかったです」
味の感想など滅多に言わないのぼるが、このときはそう言うしかなかった。
それだけうまかったのだ。もちろん空腹だったから、というのもあったが、
それを差し引いても極上だったといえる。
帰りに精算。普通盛りで120円。
早い安いうまい。三拍子揃っているこの店。最高と言うしかありませんな。
休日には大行列ができ、ものの1時間程度で売切れることもあるらしいが、平日に来てホントによかった。
ちなみに店内で食後の余韻になど浸れない。さっさと食べてさっさと店から出るようにして、
客の回転を早めてあげよう。

2016/4/30 04:58  [1498-4457]   

山越うどん かまたま、ちくわ天トッピング 味覚苑 冷やしうどんとかきあげ

さて、次は平野部の店を目指す。
今日はじめて胃が活性化して、気が引き締まってきた。
がんばっていこう。
20分ほど走ると景色が開けてきた。
だんだん信号が多くなってきた頃に見える店、それが次のうどん屋である。
『山越うどん』
山古志と読みが一緒だが、べつに関係はない。

ここはすごい。平日にも関わらず駐車場にどしどしクルマが押し寄せ、誘導員が捌き、
さらに店に入るまで20分ほど並ぶのだ。
平日でこれだ。休日はどうなるというのだろう。あまり想像したくない。
さっきの谷川米穀店と比べてメニューはバラエティに富んでいる。
うどんは大中小、暖かい冷たい、山かけかまたま、そして各種天ぷら。
さぬき地方には多いセルフうどん屋で、注文したうどんを受け取り、天ぷらなどのトッピングを施し、
レジで精算した後、好きな場所で食べるスタイルだ。

のぼるは、半熟溶き卵をフィールドコーティングした「かまたま」の小を注文し、
ちくわの天ぷらをトッピングした。これで300円。

精算のあと、ポットに入った暖かいつけだしを少し入れ、オープンテラスでいただいた。
製麺所直営のうどん屋なので打ち立てほやほやのうどんはもっちりツルツル。
それをコーティングするかまたまが味わい深くその世界をさらに広げる。
ちくわの天ぷらも大きくサクサクでこれまた上等。多少つゆを吸い込んでもサクサク感が
失われない根性が気にいった。
大変美味しうございました。
 
休憩をはさんで3店目。
『味覚苑』
今度は途中の道で見つけた大衆うどん屋。ガイドに載っていない店なのだが、なにか感じるものがあり、
思わず入ってみたのだ。
大型車を何台も停めることができる駐車場と広々した店内。だからといって修学旅行の途中で
寄るようなハイカラな店ではない。純粋に大型車ドライバー御用達の社員食堂的雰囲気の店だ。
ここもセルフの店。カウンターで冷やしうどんを注文。どんぶりに冷たいうどんと氷を入れ、
猪口の汁でいただくスタイルだ。それと、大きくうまそうなかき揚げを別皿に乗せて精算。300円也。

思ったほど不味くない。むしろうまいわ。よく冷えたむっちりツルツルのうどんが
ワサビをきかせた汁に実によく合う。

かき揚げもボリュームたっぷりなのに中までサクサク。これは素直に感動。
こんな見事な天ぷらは高級蕎麦屋で単品800円クラスで出しても遜色ないクオリティだ。
ゲリラ的に入ったマイナーうどん屋ではあったが、味は負けず劣らず、旨かった。
店の雰囲気がどうしてもガイドブック等の掲載に足踏みさせているのだろう。実に惜しい。

2016/4/30 05:04  [1498-4458]   

もり屋 冷おんたまぶっかけうどんとかき揚げ(小) とんでもないスケールの長さの橋

4店目。すこし満腹気味だがまだイケるぜ。
さっきの味覚苑から少し進んだところにある『もり家』だ。
機械を一切使わない純粋手打ちうどんの有名店。
かなりの行列のできる店とは聞いてきたが、2時をまわっていたのですんなり店内に入れた。
どちらかというと品のいい食堂という感じで、常駐するウェイトレスが各テーブルを忙しくまわっていた。

冷たい汁のおんたまぶっかけうどんとかき揚げ(小)を注文。500円也。
天ぷらは注文してから作るため少し時間がかかるが、この店の天ぷらは評判がいいらしく
まわりの客のほとんどがかき揚げを食べていた。
ちなみにかき揚げ(大)になるとどんぶりの外周から楽勝でハミ出るデカさ。
とてもではないが今ののぼるにそれを完食できる自信はない。

さっそく食べてみる。
うどんはちょいとアルデンテ。固い、というか芯まで湯で上がっていない?
かき揚げは、中がちと半生。新鮮でいい油で揚げたとは思い難いほどクオリティが低い。
正直、ちと微妙。

4店目で腹いっぱいに近い状態で食べたから、という問題ではない。
忙しさにかまけて火通しをおろそかにしていたのだろう。
たぶん雑誌などに取り上げられ、多くの客が押し寄せてきたものだから、きめ細かな調理ができず、
結果この状態になったものといえる。
昼の修羅場が終わったあとの時間帯、つまり店の調理スタッフがアイドリング状態に
戻りはじめた状態で作ったからなのかもしれないが、そんなのは言い訳にしかならない。
残念ながらワーストだ。ただし、うどんやかき揚げの素材は非常に素晴らしいものがある。
きちんと調理したならば、きっと素晴らしい逸品に輝いたことだろう。
いつかまた行くことがあるならば、また食べたいところだ。
 
「げっぷ」
4店まわったところで、ほぼ満腹。
プチ半生のかき揚げが腹にズンときた。
休憩しよう。
というわけで、近くに「道の駅 香南楽湯」があったので立ち寄った。
駐車場で、FITの背もたれを後方に倒し、仮眠。
ああ、食べた食べた。腹が苦しい。
うどんは腹の中でけっこう膨れるからな。
 
1時間ほど意識を失っていたが、暑さで目覚めた。
3月上旬にしてTシャツでいられる気候ってなんなの。
夕方前。がんばればもう1軒うどん屋に行けるだろう。
テキトーな店を探して走ってみた。
辿り着いたのは『なかにし』。存在感抜群の巨大な看板が建っていたので迷うことがなかった。
さっそく店内に入ろうとすると、のれんが下げられているではないか。
まさか品切れで閉店か?
店内の店員のおばちゃんと目が合ったので「うどんたべた〜い」とジェスチャーしたが、
おばちゃんは「ごめ〜ん、終わっちゃった〜」と合掌して頭を下げていた。
トホホ。やっぱりですか。
ま、腹が減っているわけでなし。諦めよう。
 
こうしてうどん巡りは終了となった。
いやはや、満足満足。
4店を巡ったわけだが、いちばん美味しかったのは、文句なしに谷川米穀店。
うどん一筋の頑固な味、ダントツのウマさだった。
次に美味しかったのは味覚苑。ガイドに書かれない可哀想な店だが、うどんもさることながら天ぷらが極上。
自分で見つけた穴場的な店なのでプチひいき。
次に美味しかったのは山越うどん。行列を見事に捌きつつも決していい加減なうどんを
作らない姿勢は好評価。味覚苑に決して劣らない味。
最後にまわったもり屋も次回行けばきっと美味しいだろう。もう行かねえ、などとは決して思わない。

他の店もきっと美味しいうどんが食べれることだろう。
1日まわっただけでさぬきうどんを語れるほど浅いものではない。
いつかまた来て、新しいうどんと出会いたいものだ。
 
さて、これからどうしよう。
うどん巡りにばかり集中していたので、その後のことをまったく考えていなかった。
明日は淡路島を巡ろうと考えているので、海岸に沿って淡路へ向かうのもいいが、
このへんでもう少し遊ぶところはないものか。
マップを見てみると、あるではないか。すごいものが。
香川県の誇る、巨大な橋『瀬戸大橋』が。
とはいえ、瀬戸大橋は高速道路。うかつに渡ろうなどと思ってはいけない。渡るだけで片道3350円。
戻ってきたら7000円近い。
なんか、瀬戸大橋を存分に楽しめる無料スポットがどこかにあるはず。
探してみると、瀬戸大橋の岸ギリギリのところに『道の駅 瀬戸大橋記念公園』なんてものがある。
地図でみると瀬戸大橋の上にあるように見えるが、道の駅は一般道にあるはず。
つまり、そこまでは一般道で行けるのだ。
 
さっそくそこへ向かう。
市街地の平坦な道。眼前に讃岐富士と呼ばれる飯野山が見える。
きっちり三角形のきれいな山。
たしか大昔のム−(学研の心霊雑誌)に「日本にもピラミッドが存在した!」というコピーで
飯野山が特集されていた記憶がある。山の写真を見たのぼるは本気でそれを信じていた。
それくらい見事な三角錐なのだ。
 
そして、右手の海側を見るとはるか彼方に瀬戸大橋が見える。
なんというか、スケールがまるで違う建造物なのだ。
アリの視点で物干竿を見ている感じ。

2016/4/30 05:13  [1498-4459]   

瀬戸大橋 夕暮れ間近 五色台のたこやき屋 最高の夕陽

近くまで行くと、ほんとに圧倒される。数kmも鉄筋コンクリートの支柱に支えられた吊り橋が続き、
海の彼方、見えなくなるまで続いている。

その近くには原子力発電所やコンビナートなど工業地帯の巨大な建造物がひしめく。
まるで巨人の国に迷いこんだみたい。そのへんで原寸大のガンダムが歩いていてもむしろ自然に思える。

大橋の下を進んでいくと、やがて瀬戸大橋記念公園に到着した。
ここも道の駅としては壮絶に規模がでかい。
無駄に広い駐車場、無駄に広い広場、無駄にでかい展望台。
すべてにおいてスケールがでかい。
駐車場から展望記念館まで10分ほど歩き、階段を延々登り、ようやく展望台に到着。

後方の、大橋のふもとから、海の彼方の与島まで橋が見える。本当はその倍くらい橋は続いているが、
その全貌は見えない。

高速道路の直下には線路があり、ときどき電車が轟音とともに走っていく。
目まいをおこすくらいデカい規模。
1人では一生かかっても絶対できない建造物。
いろんな筋のプロフェッショナルがたくさん集結し、作ったのだ。
まさに人間と叡智の結晶。

この公園にはこの展望台のほかに展望タワーなるものがある。
展望台より高いタワーから見下ろすことができるのだ。
1000円くらいならタワーから見てもいい、と思って行ってみたが、夕方で閉館していた。ま、いっか。
駐車場に戻り、これからどうするか検討した。
少し走ったところに五色台という丘があり、瀬戸大橋を遠くから見渡すことができるらしい。
この地方の有名な夕陽スポットなのだそうだ。
おっと、間もなく夕方。夕陽スポットならば急がなくては。
FITをかっとばし、五色台へ急ぐ。

海岸から急な上り坂を登りきると五色台の駐車場があった。
市街地からここへ来る道路もあるのだが、有料道路なので遠回りしてきたのだ。
有料道路の方向からは走り屋らしきドリフト音がバンバン聞こえてくる。
駐車場にはカップルが車に乗って出ていったのを最後に、誰もいなくなった。

目の前には売店があるが、夕方で閉店していた。
「たこやき」と書かれた看板が売店の目につくところにこれでもか、と配置されている。
そうまでしてたこやきを食べさせたいのか。
 
売店のある広場から5分ほど林を歩くと、高台の広場に出た。
ここが五色台。
晴れた日にはピクニックに来ると気持ちいい場所だろう。

目の前には瀬戸内海が広がり、大小さまざまの船がいくつも浮かんでいる。
その彼方には瀬戸大橋がかすんで見え、そのもっと彼方には岡山県倉敷の街明かりがわずかに見える。

見事な展望。
海からの風が強くかなり冷えてきたが、陽が没するまでの20分ほど、誰もいないこの丘で朱の景色を堪能した。

2016/4/30 05:21  [1498-4460]   

天然温泉きらら

車に戻ると、ヒーターを入れた。
かなり冷えた。
夕食はまだいいから、温泉に入りたい気分だ。
ではこの周辺の温泉を検索。

すこし東に行けば高松市。その市街地に天然温泉がある。
ではそこへ向かおー。
陽は完全に暮れ、海上の船の明かりと対岸の岡山の街明かりが見える。
このへんが四国と本州がいちばん近い位置らしいが、やっぱ四国は広い。
いつもだと陽が暮れると同時に腹が鳴るところだが、今日に限っては14時過ぎまで
延々とうどん食べていたから、夕食はいらんわ。
高松の市街地を内陸に少し進んだバイパスに温泉はあった。

高松クレーターの湯・天然温泉きらら。
千数百年前、隕石が衝突して涌いた温泉なんだとか。ほんとか?
受付で入場料600円を払って中に入る。
どんなところかと思ったが、ものすごい近代的な施設であった。
休憩室は広く、巨大なプラズマテレビがあるし、売店、マッサージ、食堂など至れり尽せり。
風呂も何種類もあって、長湯しないのぼるが1時間くらいも居座っていた。

風呂からあがると、烏龍茶を車内に忘れてきていることに気付く。
なんか水分補給したいのに、水もなにもない。
つまりは何か買って飲め、といいたいのだろう。
負けた。負けました。
120円でフルーツ牛乳を買って飲む。
くわ。うめえ。
子供の頃、近所に銭湯などなかったのでフルーツ牛乳の思い出はないけど、風呂あがりの
フルーツ牛乳って素晴らしいね。クセになりそうだ。
 
21:30ほどに外に出た。
やっぱり腹は減っていないので、夕食はやはり食べないことにした。
ほっかほっか弁当は国道沿いによく見かけ、親子丼フェアののぼりを見るたびに
「旅行中、食べるものに困ったらコレだな」とか思っていたが、このぶんだと食べる機会は
なさそうだ。

それならば、あとは寝床を探して寝るだけ。
道の駅を検索すると、50分圏内に1件見つけた。
 
50分走り、かなり山奥に来た気がする。
気がする、というのは辺りが真っ暗だからよくわからないのだ。
「道の駅 どなり」に到着した。
駐車場には3台ほど車が停まっており、みんな車中泊してるようだ。
傾斜のないスペースを探し、エンジンを停止。
ナビシートを前方に押し、ジャージに着替え、寝る準備をした。
 
寝るにはまだ早いので携帯でネットをした。今月はパケット使い放題にしたのでいくら使おうが料金は一定だ。
女の子の知りあい3人にうどんの画像を添付し『いま香川にいます。さぬきうどんうまかった』と
メールしてみたら、そのうち1人からすぐ返事が届いた。
『明日はどこへ行くの?』
との質問に『淡路島で遊ぶ予定』と返答したら、
『縁結びで有名なお寺があるのでお守り買ってきて〜♪』とのメールが。
そんなとこがあるのか。男ののぼるには思いつきもしない観光理由。女性ならではといえる。
ていうか独身フリーののぼるにそんな注文をするとか、かなりナメられている。

まあ、淡路島のどこを巡るか、決めてなかったからちょうどいい。行ってみようか。
ただし、昼メシを何食べるかは、決定している。
全国でも有名な淡路牛のステーキだ。
旅の締めくくりに相応しい、最高のものを食べようという一大イベントだ。
これだけは譲れない。
 
さて、明日は淡路島を巡ったあと、いよいよ本州へ戻ることになる。
この旅もいよいよ大詰め。
最後の最後まで、存分に楽しんで帰ろうではないか。
では、おやすみ。

2016/4/30 05:26  [1498-4461]   

ちっ 編集忘れてた。

ここまでのダイジェストムービー(ニコニコ動画)
http://www.nicovideo.jp/watch/nm5063336

2016/4/30 05:28  [1498-4462]   

道の駅 どなり はるか彼方に見えるのが大鳴門橋 お金持ちクルーザー

道の駅どなり。
朝日の光で目覚めた。
あたりを散歩してみる。徳島の山の瑞々しい空気が気持ちいい。
さて、いよいよ今日で四国ともお別れ。
明日には新潟に帰ることとなる。めいっぱい楽しもう。

本日はチェックポイントと呼ぶべき4箇所を順にまわることになる。
四国から淡路島へ渡る巨大な橋、大鳴門橋。
淡路島にある、縁結びで有名な「おのころ神社」。
淡路牛ステーキの店。
そして淡路から本州へ渡る巨大な橋、明石海峡大橋。
以上だ。

この中のひとつにこの旅を大きく左右したといえる、極めて重要なポイントがあったりする。
それのおかげで旅はずいぶん変化したのだ。まあ、それは後述としよう。
 
朝の空気が新鮮なうちに出発した。
瀬戸内海沿岸まで出て、海沿いを淡路島へ向かって走る。
紀元前…というか白亜紀の時代、日本列島が形成される段階で、本州と四国は切り離され
その間に海ができた。それが瀬戸内海だといわれている。
その名残りで瀬戸内海には無数の小さな島が点在している。
全ての島に名前が付けられているが、無人島が実に多い。
なぜならその島々を結ぶ定期航路がないからだ。
これらの島をリゾート地とするなら、かなり楽しいのではなかろうか。
誰もいない文字どおり無人島で、休暇をのんびりと過ごす。いいねえ。

地球温暖化の影響で四国でも珊瑚礁が進出している昨今、瀬戸内海でも珊瑚礁が見られることだって、
そんなに遠い未来のことではないかもしれない。
日本国内でそういう大胆なリゾートができると、これは大ヒットしそうだ。

そんなことを妄想しながら、鳴門スカイラインの複雑な地形の海岸を進んだ。
このへんに限らず、四国を旅していると時々見かける妙な看板があった。
『たこフェリー』と丸文字で大きく書かれたものだ。
どこかの観光フェリーなのだろうが、なぜたこ…。
触手好きにはたまらない船なんだろうか。
まあいいか。
 
やがて前方に巨大な橋が見えはじめた。
四国と淡路島を繋ぐ大鳴門橋だ。
昨日見た瀬戸大橋に決して劣らないその圧倒的な規模に気押される。自動車で走っていながら、
なかなかそこにたどり着けないのだ。
ひとまず、大鳴門橋の全貌が楽しめる展望台みたいな場所を探した。
なかなか良さげな高台を進み、その頂上に向かう。これはいい展望が楽しめそうだ。
そう信じていた。

突然目の前の林が品のある、手入れされた林になっていく。
そして品格漂うリゾートホテルがドンという擬音とともに現れた。
鳴門パークヒルズ。
冗談抜きの、お金持ち向けリゾートホテル。
そのホテルの周辺はテニスコートや屋外プールなんかが見える。
はぁー。こういう絵に書いたような金持ち向け施設ってほんとにあるんだ。
 
「申し訳ありませんが…施設ご利用の方でないとご案内できません」
展望の景色だけでも楽しもうと駐車場に停めようとしたら、黒服のグラサンにそう言われて、
半ば強制的に退去させられた。
景色を見るのに、最低でもレストラン利用で数千円コースっぽい。
フザけんな。
非常に不機嫌になりながら敷地を出た。
なんなのだここは。ただ景色を楽しみに来ただけなのに。
こういうとこにリゾート施設を作るなとは言わん。だが、せめて知らずに来た外来の庶民でも
楽しめる設計にしやがれ!
金持ちだけしか楽しめない施設なんてズルい。
いつかテロられても知らんからな。
 
そこから進むと、港に着いた。
ここでは遊覧船の乗り場がある。
渦潮が名所となっている鳴門海峡を実際に船上から楽しもうという趣旨だ。
大人1500円くらいで楽しめる、庶民のリゾート施設。
渦潮は瀬戸内海と大平洋の干潮満潮が影響して起こる自然現象だが、特に興味ないので観光船には
乗らなかった。
むしろ、岸壁から釣りしてるヒトに興味があった。
のぼるは遠目でそんな風景を楽しみながら海岸を散歩した。

すると、その先にすげえピカピカのクルーザーが停泊しているのが見えた。
数十人が乗れる大きなクルーザー。公共の船ではないみたいだが。

「あの船は、丘の上のリゾートホテルが所有する豪華クルーザーさ。宿泊客のために渦潮を
楽しめるツアーとかあるんだろ」
釣り人がそう教えてくれた。
丘の上のリゾートホテル。さっきのパークヒルズか。ふーん、スゴいっスね。
いつか金持ちになったら遊びに来てやる。
 
気をとりなおし、大鳴門橋のふもとへと走る。
鳴門公園に到着した。
記念館やら展望台やらの観光施設がひしめく公園。有無をいわさず駐車料金410円をいきなりとられた。
ちょ。410円の重みがわかるか。ガンプラ買ってジュースも飲めるんだぞ。
ヘタな温泉入場料より高いじゃねえかよ。
事前の道路情報とかで『鳴門公園は駐車料金410円要』とか書いておけっての。
そしたらここでなく無料で駐車できる代替ポイントを検索したのに。

2016/4/30 05:46  [1498-4463]   

大鳴門橋 規模ができすぎ 走り始めたら一瞬で 淡路島に到着〜

仕方なく410円ぶん楽しむことにしよう。
払ってしまった以上は、のぼるも観光人になるしかない。
まずは大鳴門橋を眺められる展望台に行かないと。

どこへ行けばいいのやら、とキョロキョロしていると、すげえものが見えた。
展望台直行エスカレータ乗り場。
全長68m高低差34m、ガラスに囲まれた全天候型エスカレータ。
それに乗れば、展望台へ自動で行けるのだ。うわ。便利。
さっそく乗ろうとしたら、なんとエスカレータ利用料300円が必要だと。
いや、フザけんな。そんなぼったくりに騙されてたまるか。
眺めのいい場所で楽しむだけで、駐車場代合わせて710円? なんの冗談ですか。
 
やや遠回りだが徒歩で進める展望台への遊歩道を発見。
それをエッチラ登った。

途中、大橋を横切る跨線橋があったのでちょっと渡ってみた。
大鳴門橋の道路ど真ん中を上から見下ろす。
バードビューでデイトナUSAをやっている感覚。これは爽快。

遊歩道を進むと、ほんのり汗をかいた頃に展望台に到着した。
こりゃすごい。見事な景観。
巨大な大橋の向こう側に「どーん」と擬音を貼付けたような迫力ある淡路島がそびえている。
よくみると、淡路島の丘の上に10基近くの風力発電が見えた。
昨日見た瀬戸大橋のほうが「橋」としての規模的は大きいが、大鳴門橋は波が荒いので別の迫力がある。
さっきの遊覧船も橋の下をくぐったりして浮かんでいる。
船上から見上げる橋もいいものだろう。
なかなかの観光名所といえよう。

しかし、だ。
辛辣ではあるが、たぶん2度は来ないだろう。
見てみると、エスカレータ終点にはツブれたレストランの跡が見える。
ここを経営してるヒトに言いたい。ツブれて当たり前だ、と。
駐車場410円でたいていのヒトはまずヘコみますよ。のぼるでなくとも。
で、エスカレータはひとり300円。
ちょっとセレブ気分ならなんとか払えるかもしれない。
でもね、それ払ったあとでレストランで気前よく食事しようと思える人間がどれほどいるのか。
全ての観光客をセレブと思っているのではないだろうか。
ま、そう思うのは勝手だが、それにつきあう義理は微塵もないってこった。
 
なんてことを思いながら公園を後にした。
四国でのイベントはこれで全て消化完了。
これより淡路島へ突入するぞ。
少し道を戻って鳴門北ICを通る。
久しぶりにETCを使ったのでちょっと緊張した。
そして本道に合流すると、すぐに大鳴門橋に突入した。

海上をクルマで走ることの気持ちよさはたまらないね。
道路脇には『駐車禁止 停まるな』の看板がたくさん見える。
いやぁ、停まりたい気持ち、わかるって。
最高の景色ですよこれは。

そもそも、この橋を走る区間のみで片道1150円。
ものの数分足らずで走り終えるこの区間、景色が良かろうが悪かろうが、
もったいないっつー話にもなるわけですよ。
なんてことを考えていたら、もう淡路島に突入。

淡路島南SAに到着。ここはICも兼ねてあるので、ここの駐車場から高速を出ることができる。
すぐに高速を出るのはもったいないので、このSAでちょっと時間を潰すことにした。

土産物屋の脇の階段をどんどん登っていくと、なんとリラクゼーションルームなる部屋があった。
数台のマッサージチェアを無料で開放してあるのだ。
これはラッキー。
さっそくチェアに腰掛けてスイッチオン。
すばらしー! 癒されるー! 気持ちいいー!
という感想を最後に、約30分ほど記憶を失う。
 
なんの知識もなくロンダルキアの洞窟を抜け、ボロボロの状態で最後のほこらに辿り着いたときの
感動を覚えているか。
もうダメか、と思ったところで神父が全快治癒をかけてくれる、そんな極上の心地よさがここにあった。
むかしのゲームはほんとにシビアだったね。もしも今同じバランスのゲーム出したら
誰も見向きもしないだろうなー。
 
そんなことはどうでもいい。
体力と精神力が全快したところで出発だ。
料金所を通過し、淡路島の一般道に突入した。
そういえば腹がへった。
昨日昼にうどんを食べて以来、ほとんどなにも食べてなかった。
夕食・朝食の2食抜きはさすがにヤバいとは思う。

しかし、今日のステーキのために我慢。我慢ですよ我慢。
ペットボトルの烏龍茶を飲み、空腹感を紛らわす。
 
淡路島の面積は佐渡島よりひとまわり小さいが、高速道路や鉄道など交通網が発達しているので、
佐渡と比べるまでもなく都市・生活レベルは上。
四国新幹線のルート予定地にもなっており、利便性は留まるところを知らない。
阪神・淡路大震災の被災の面影はすっかり消え、今後の発展に意欲を燃やしているところとみえる。

地図によると最初の目的地は「おのころ神社」のようだ。
ふつーに走って30分程度で到着しそうだが、まあ景色を楽しみながら行こう。

2016/4/30 05:55  [1498-4464]   

海釣り公園 丘の上の風車軍 シュールな看板

海沿いを少し北へ向かう。
さっきの大鳴門橋の展望台から見えた風力発電を近くで見たかったので、その方向へ進んでみたわけだ。

途中、海釣り公園というとこがあった。
ちっちゃな島に徒歩観光用の橋を渡し、その島で釣りや海水浴などが楽しめるといった、
なかなか楽しそうな公園だ。
でも、その橋を渡るのに200円。
うええ。このへんは対岸も含めてせちがらいね。

風力発電は丘の上にあるが、それの付随する公園というものが見当たらない。
風車があるならば、その周辺一帯は公園になっているのが一般的なのだが、
ここはそういうわけではないようだ。

純粋に発電所としての役割を担っているのだろう。
このせちがらさは、震災の影響なのか。
そりゃあの6千人もの犠牲者、何万人もの怪我人を出した阪神・淡路大震災からの復興は
並々ならぬ苦労があったことだろう。
だから、観光名所には何かにつけて徴集するシステムを良しとしたのかも。
それにしたって、もうすこし商売を考えたほうがいい。
もっと露天を出してたこ焼きやソフトクリームなど、子供に訴えかける美味なるものをアピールしないと。
新潟には『越後もち豚の串焼き』なるものが名所によく露店で出ており、多くのヒトに親しまれている。
淡路でも『淡路牛の串焼き』なんかを出したら絶対売れると思う。
まあ…値段がいくらになるかにもよるだろうけどね…。
ちなみに外国産牛肉を淡路で加工したゆえに『淡路牛』と呼称することは許しません。
クソ業者がやりそうなので最初に釘打っときます。
 
仕方なく先へ進むことにした。
ナビの案内に従って『おのころ神社』へ向かう。

途中、やけにシュールな看板があった。
小学校前の横断歩道で、意味不明なファッションで意味不明の流し目をしながら「とびだすな」と
書かれている。この上なく意味不明だ。
 
そんなシュールな看板のすぐ近くに『おのころ神社』はあった。
巨大な鳥居がそびえているわりに、思ったほど敷地は広くない。
広くないかわりに、想像を上回る由緒正しき神社に驚愕した。
ここは、日本とそこで息づく神々が誕生した地、なのだそうだ。
日本誕生、とは古事記と日本書紀に書かれた日本誕生神話のことで、伊弉諾命(いざなぎのみこと)、
伊弉冉命(いざなみのみこと)という2人のスーパーな神がこの淡路島を造り出し、
その次に日本全土を造ったのだといわれる。
神々の誕生とは、日本誕生の後その2人のスーパー神から生み出された天照大神(あまてらすおおみかみ)、
月読命(つくよみのみこと)、素戔鳴命(すさのおのみこと)の三神のこと。
有名なところでは、スサノオノミコトが出雲の八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治した神話なんかが付随する。
アマテラスといってもFSSは関係ないです。月読といってもネコミミモードとはまったく関係ありません。
だが、命名はこの神々が発祥となっていることは明白だろう。
そういう、この国の神話級の伝説発祥の地なのだそうだ。
 
まずは石段を登って本堂でお参り。
そこから裏手に歩くと、八百萬神社と書かれた別の神社があり、そこでもお参り。
さらに歩いていくと日本誕生に深い所縁を持つらしき御神木が専用の建物の中で丁重にまつられていた。
木はすでに寿命を全うしており、その残骸があるだけであった。
 
本堂の裏手には絵馬がどっさり飾られていた。
専用のスペースだけでは納まりきれず、近くの木の枝などにも吊るされている始末。
全て確認したわけではないが、まず間違いなく全ての絵馬には縁結びの願いが書かれてあるだろう。
縁結びにすげえ効果がある、と全国のテレビでこの神社が特集されたことがあり、
それが起爆剤となって全国から参拝に来るヒトが後を断たないのだそうだ。
のぼる自信、そういう都市伝説的なものは信じるも信じないも、興味があまりないのだが、
知らずにここに導かれたのにはきっと何か意味があるのだろう。

自分がいまなぜここにいるか。
こればっかりは、絶対に意味を持たなければならない。
この意味をきちんと考えない限り、アイデンティティは生まれないのだ。
そういう部分を深く考えると、この地でこの神社に導かれたのはなんだか深い意味がありそうでならない。
とりあえず、本堂の前で「良き縁に巡り合えますように」と改めてお祈りをして石段を下った。
 
巨大な鳥居のすぐそばに神社の事務所があり、お守りはそこで買える。
縁結びのお守りは人気が高いらしく、山盛りになって売られていた。
男性用と女性用と色が違うので間違えないように購入。
ひとつ800円。御利益があるように、と願いながら自分用のお守りをFITのレーダーの台座にくくりつけた。
警察の取り締まりだけでなく、縁結びにも効果のあるレーダーになってほしい。とかなんとか。

2016/4/30 06:03  [1498-4465]   

ビーフランド大公 石焼きサーロインステーキ定食

再び出発。
次はいよいよお待ちかね昼食のステーキだ。
空腹が限界に近い。はやく行こう。
ナビによればおのころ神社から30〜40分くらい北へ進むらしい。
『ビーフランド大公』という店。淡路には5店ほどのご当地ステーキ屋があるらしいが、
口コミでそこがいちばん美味しいとの事。
ならば、信じようではないか。
 
途中でガソリンを入れる。リッター146円の普通の値段だった。島なのにガソリンが
通常値段だというのは素晴らしいことだ。
ほぼ正午に店に到着した。
津名の街、海沿いの道からやや街寄りにある。
きちんと手入れされた庭、建物は少し古いが老舗の和風料亭の風貌がある。
ただし看板の『あわじビーフの里』というキャッチコピーが丸文字レタリングになっているだけで
微妙に安っぽいイメージが(笑)
 
店内に入ると、テーブル席に案内された。
たくさんの客で賑わっているが、ホールはおばちゃんと高校生ほどの男の子だけで賄っているようで、
ずいぶん忙しそうだ。
石焼きサーロインステーキ定食3150円を注文した。
1食3000円オーバーって、とんでもない豪遊だ。
1年に1回食べれるかどうか、そんな豪華な食事に期待が膨らむ。
だが、この店でその値段というのは、実は最低ランクだ。
上を見ると、定食じゃない単品もので1万円クラスとかあるし。
どんな肉が食べられるのだろう、と思っていたら、隣のテーブルの夫婦に運ばれたステーキが、
まさにその最高クラスのものだった。
2cmはありそうな分厚いヒレステーキ。
それを白飯じゃなくビールを飲みながら食べているのだ。
昼間からなんて贅沢なことか。
「こんなたくさん食べきれないわ」と妻。
「食べれるだけ食べればいいさ」と旦那。
見るからにザマス系お金持ち夫婦という感じ。
『残すならオレに食わせろ!』
本当にそう言おうと思った。
ステーキを食べたいときに食べれるやつは金持ちだ。
だが、出されたものを残して平気でいられるやつは、心の貧乏だ。
それはステーキだろうがハンバーガーだろうと一緒。
ていうか、のぼるが淡路牛ステーキを食べるためにどのくらい苦労してきたのか、察しろよ。空気読めよ!
 
どうやら、この旅の秘密をいよいよ語るときがきたようだ。

この旅を遂行するにあたり、当初は四国→九州の順で旅する予定であった。
新潟からみて近い順にまわるのは当然だし、海沿いの道路に限っていえば時計まわりに走ったほうが
より海に近く楽しめる、という理由もある。
それが何故九州を先行、四国をあとまわしにしたのか。

第一の理由が、四国を先行するとこのステーキ屋の定休日にブチ当たるからだったのだ!
大阪でオフ会仲間と解散するのは日曜日の夕方。
翌日の月曜日はこの店の定休日。電話でも確認したので間違いない。
日曜日のうちに淡路島上陸しステーキを食べることも可能かもしれないが、大阪でたこやきを
腹いっぱい食べたあとでステーキなんて食べたくないだろ。
大阪や神戸、淡路島あたりで2泊し、火曜日の営業日まで近所で粘るか。
どんな計画をたてても、このステーキを旅の初期に食べるのには無駄が多すぎる。
計画当初、この問題と帰りのルート選定にえらく悩んでいた。
帰りのルート選定とは。
四国→九州を走り終えたとして、どうやって新潟まで帰るというのか。
昔は博多→新潟のフェリーが運行していたので、それに乗れば文句なし簡単楽勝だったのだが、
現在は運行休止中。
現実的な手段としては、高速道路ぶっちぎりで新潟へ帰る案、鹿児島→東京のフェリーで、
東京から新潟まで高速道路という案。
どちらにしても、帰りルートだけでもけっこうな額になる。
 
そんなとき、フェリーで神戸→九州が13380円で行ける情報をみつけたことから、状況が一変する。
九州を最初に攻め、次に四国へ上陸し、帰りの足で淡路島のステーキを食べれば無駄が少ない。
帰りの高速区間も最も安上がりに計算できる。
これだとリーズナブルかつドラマチックな旅が構築できる。
最初に船旅が楽しめ、最後はステーキで締める。
 
これだー!
 
一見大胆にみえるこの旅も、実は非常に緻密に計算されていたりしたのだ。
しかもその根底にあったのが、ステーキ屋の定休日と深く関わっていたとは、お釈迦様でも気がつくまいて。
ふぉふぉふぉふぉ。
旅の途中でステーキ。これは学生のとき初めて北海道ツーリングに行ったときからの恒例行事だったりする。
どんな貧乏ツーリングでも必ずどこか1箇所で素敵な高級料理を食べること、それがのぼるの
旅の統一されたテーマ。
それが今回は全国でも有名な淡路牛ステーキとあれば、期待に胸も高鳴るというもの。
店の定休日だけで旅の予定が根底から覆されても、それだけの価値がある…はずなのだ!
 
「おまたせしました!」
店のおばちゃんが料理を運んできた。
お盆ごとのぼるの目の前にドンと置かれる。

2016/4/30 06:08  [1498-4466]   

最後の地 明石海峡大橋 でっけー!!! たこフェリー発見 道の駅 あわじ

石焼きサーロインステーキ定食。

その名の通り、熱々に焼かれた石の上に温度調整用(?)のタマネギの輪切り、そしてその上に
レアに焼かれたステーキが載せられ、脂が跳ねている。
それ以外のごはん、味噌汁、サラダ、小鉢は普通だ。とにかくステーキで勝負ということらしいな。

となりの金持ち夫婦のステーキに比べるとやや小ぶりで薄いが、気にしない。気にしたら負けだ。
とにかく、肉が熱々のうちにまず一口食べてみる。
むにょん。
そんな擬音が聞こえそうな感覚で、舌の上でとろけた。
なんだこの柔らかさは。すごすぎる。
あえて例えるならば、味噌汁の中の麩。
噛むと汁が溢れだし、舌上でむにょん、ととろける。
これは、今まで食べたステーキの中で最も柔らかい、といえる。
味は比べたことがないし、食べた状況によって味の思い出も変化するのでなんともいえないが、
もちろん極上にうまい。
牛肉とはここまで柔らかいものだったのか。
この店で提供しているのは、淡路牛でも選りすぐりの処女牛なのだそう。
牛肉の質としては、行き着くとこまで行き着いた。ひとつの到達点ではあるまいか。
むしろ問いたい。これ以上なにを望むのか、を。
 
無我夢中でステーキを味わう。
食事とは時間との闘い。もったいぶったりじっくり味わおうとタラタラ食べようとすると、
秒単位で風味が失われてしまうのだ。
だから「もったいない」と思いながらもガツガツ食べるしかない。
その思想が気に入らないならば、しゃぶしゃぶにしたらいい。ステーキほど慌てなくてもいいからな。
いつの日か、無心になって腹一杯ステーキを食べてみたい、と夢見る今日このごろであった。
 
会計を済ませて外に出た。
肉の質、焼き加減などは非のつけどころがない。まさに文句なしだ。
だが、ホールスタッフが少なく、教育も行き届いていないので、そのへんがちと惜しい。
高校生バイト(身内ではないかと思われる)は、見るからにイヤイヤ手伝っているのがわかるが、
ごはんのおかわりが無料か有料か、くらいは即答しろ。

考えてみると、のぼるがチョイスするステーキ屋は、例外なく店員の態度が悪い店ばっかりだった。
佐渡牛、米沢牛、そしてこの淡路牛。やっぱメジャーで忙しそうな店はどこも店員がスレていけない。
ま、繁盛するぶんクレーマーが来る可能性もあるから一概に店員のせいにはできないが。
今後は、少しマイナーな店を狙って行こうかな。
 
最高の昼食を終え、いよいよ最後の地へ向かう。
最後の地、それは明石海峡。淡路島と神戸を結ぶ明石海峡大橋だ。

ついに最終局面を迎えようとしている。
大好きな旅が、その地で終わろうとしている。
むろん、新潟に帰るまでが旅ではある。だが、九州と四国の旅という意味でいえば、
そこが最後の地となるのだ。
ま、淡路島は兵庫県なので、四国の土地ではないのだが。
 
しばらく進むと、ついに見えた。
明石海峡大橋の巨大な姿。
でかい。大鳴門橋と同じくらいだろうか。
この橋のふもとに道の駅あわじがあった。
最後の道の駅。
瀬戸大橋の道の駅ほど規模は大きくないが、居心地のよさはこっちの方が上のような気がする。
緑の芝生が敷き詰められ、裸足で歩いても問題なさそうな広場。サッカーなど楽勝でできる広さだ。
そしてその敷地に80m×80mの面積のコンクリートの塊、巨大な吊り橋のアンカレイジが立っている。

数字で説明されてもなんかよくわからんが、ためしにこのコンクリートのまわりを1周してみる。
5分はかかった。
学校のグラウンドのトラックの内周くらいはあるな。
そんなコンクリートの塊があるのだ。

橋の向こう側には神戸の街並が見える。
世界一の吊り橋、明石海峡大橋。

思い出したが、この海峡で先日事故があったらしい。
3月5日の午後にこの海域で貨物船など3隻が次々と衝突し、1隻が沈没、2人死亡、
2人行方不明になる事故だ。
こうしてこの海峡を眺めてみると広いとは思うが、巨大なフェリーやタンカーなどからしてみると、
かなり狭いのだろう。
しかも1日数えきれないほどの船が行き来する渋滞箇所。
こうして海峡を眺めていても、たくさんの船が橋の下を渡っている。

「あー!」
思わず声をあげてしまった。
その船の中に『たこフェリー』を見つけてしまったのだ。
一目見てたこフェリーだとわかる。
やや小さめの連絡船で、船の側面にたこの絵が描かれ、丸文字で『たこフェリー』と書かれて
あるから間違いようがない。
調べてみると、神戸の明石と淡路の岩屋を結ぶ定期連絡船だ。
運賃は人間だけなら大人100円ポッキリ。安っ!
さすが触手定期連絡船。やるな。
 
この海域は昔から難所なのだそうだ。
1945年せきれい丸沈没事件では台風並みの大シケの中、定員の3倍の300人以上も乗せこの海峡を
渡ろうとして船が沈没、死者・不明者304人を出すという大惨事があった。
この事故が発端となり、一刻も早くこの海峡に橋を渡そうと活動が勢いづいて、
明石海峡大橋ができたのだそうだ。

しかも、大橋建設中に今度は阪神淡路大震災がおこり、地盤にズレが生じ、橋の両岸が1mほど
広がるという珍事も起きた。
なんと呪われた海域だろうか。

2016/4/30 06:17  [1498-4467]   

松帆の郷 ここからの眺めもとても素晴らしい もうすぐ夕方・・・最後の刻が迫る

対岸の神戸を見てる女性がいたので、沈没事故について話を聞こうとした。
「すみません、すこし聞きたいんですけど…」
と歩みよると、その女性はのぼるに異常なほど警戒してみせた。
「あ。結構ですから」
なにが結構なのかよくわからないが、とりあえずのぼるは話を進めた。
「このへんで船の事故があったらしいのですが、どんな事故だったのか知ってます?」
そう言ったら、その女性は「あ…いえ…なにも…」と微妙にしどろもどろになった。

ハタから見たらすごい挙動不審な女性なのだが、のぼるは直感的にわかってしまった。
彼女はのぼるにナンパされていると勘違いしていたのだ。
それが違うとわかって、しどろもどろになったのだ。
「…失礼。旅してる者ですが、見ず知らずのあなたにいきなり話し掛けるのは礼儀が足りませんでした。
申し訳ない」
とびきりの嫌味の効いた詫びを言うと、返事も聞かずその場を離脱した。
旅をしていると何が辛いか、というと、実はああいうヒトに出会ったときだ。
話し掛けられて不愉快になるならヒトのいないとこに居ればいいのに、中途半端に
にぎやかなところにいるからああなる。
孤独を好むわりに孤独になりきれない。
それで傷つくのは話し掛ける側の人間だというのを、わかれ。
 
すげえな。ほんとに何か呪われてる気がしてきたわ、ここ。
この旅の中で最も不愉快になったシーンであった。
そんなとき、のぼるの足下にフリスビーが転がってきて、近くで遊んでいた女性グループが
「すみませ〜ん、取ってもらえますかぁ?」とのぼるを呼んだので「はいはーい」と沖海マリンの
笑みでそれを返してあげたら、手を振って礼をしてくれた。

別になんてことないやりとりなのに、そんな程度のことでもう機嫌が直った。
のぼるも案外単純なのかもしれない。
 
なんか、ものの数分のうちに感情が必要以上にアップダウンしたので、妙に腹がへった。
さっきステーキ食べたばかりだというのに、なんだろーね。
というわけで、売店で揚げたてのリゾットコロッケを買って食べた。
コロッケの具がリゾット(洋風海鮮おじや)という妙ちくりんなものだが、2個240円で
なかなか美味だった。
 
橋を渡るのは、夕方にしよう。
それまでまだ数時間ある。
この地で、のんびりしよう。
のんびりするのもいいが、目的をもってのんびりしたいものだ。
てっとりばやい目的とは、温泉だな。
このへんの温泉を探そう。
ナビで探してもいいのだが、せっかく観光案内所がある道の駅だ。活用しようではないか。
案内所に入ると、退屈していたガイドさんが寄ってきた。
「いらっしゃいませ〜」
近くの温泉施設を教えてほしい、と頼むとガイドさんは「まかせてください」とばかりに
張り切ってパンフ片手に説明してくれた。
元気ではきはきした女性って、いいね。

ガイドさんに教えてもらったのは、この道の駅からクルマで2〜3分の近距離にある
「松帆の郷」という温泉だった。
丘の上にあるきれいな施設で、なんといっても露天風呂から明石海峡大橋を眺めることができるのが
ステキなのだそうだ。
さっそくその温泉へ行った。
入浴料700円。ちょっと高いなー。
まあ、距離的には大阪のかなり近くなので都市的な料金設定なのかも。250円とか300円の
田舎温泉が恋しいね。
 
平日の昼過ぎは客が少ない。
ゆったりした気分で湯舟につかる。
内湯で暖まってから露天風呂へ行ってみる。
いや、たしかにこれは素晴らしい景観といえる。
大橋、海峡、そして神戸の街が一望できるのだ。
はい。この絶景露天風呂だけで700円納得です。オッケーですわ。
 
温泉から上がり、もう一度道の駅の広場へ行った。
「あとは、やることはねえな…」
することは、すべて終わった。
広場にあるベンチに腰掛け、一息ついた。
九州、四国の雄大な景色を見てきて、今まさに明石海峡大橋の雄大な景色の中にいる。

新潟では見られない景色ばかりだった。
だが、考え方を変えてみるとこうも思える。
こちらのヒトが新潟へ行くと、きっと果てない平野の水田の景色、その彼方にそびえる弥彦・角田山に
きっと感動するだろう。
つまり毎日のように眺めている景色も、ひとによって感動できるということだ。
無論、いちいちそんなことに感動してたら身がもたないのだが、身近なところに感動できる景観が
あることを忘れてはいけない。
 
太陽が西に沈みはじめる。
そろそろ出発する頃合だ。
では、行くとしますか。
思い残すことは、ないでしょう。
また来ようと思えば、いつでも来れるのだ。
四国も九州も、特別な空間じゃない。
来たことがなかった場所なだけだ。
 
FITのエンジンをかける。
ETC、レーダー、ナビの各システムが次々と起動していく。
最後にナビのリモコンの『自宅に帰る』ボタンを押す。
日常ではけっこう使うが旅行中は決して使うことのない、思った以上に特別な意味をもつボタンだ。

「高速道路を通るルートです。目的地まで約20時間です」
血も涙もない無機質な音声ガイドを聞いて、やっと実感できた。
ああ、もう終わりなのだ、と。
約2週間。
長いと思っていたが、終わってみるとあっという間。
そりゃそうだ。
長い、というだけで、永遠じゃないのだから。
特別に楽しいことは永遠を求めてしまうけど、叶わない願い。
せめて思いきり楽しもう。いつか覚める夢の中にいるならば、夢を楽しまなければ損だ。
その夢が覚めるとき、それまでのことが刹那の出来事だった、と思えても「それでもよかった、
楽しかった」と後悔しないことが大切なのだ。

2016/4/30 06:26  [1498-4468]   

観覧車のネオンパターンがステキ さらば、淡路島 神戸の街が間近に迫る

夕暮れの淡路を走る。

淡路ICそばの大観覧車のネオンパターンが眩しく綺麗。
高速に乗ると、すぐに明石海峡大橋に突入。
のぼるにとっては夢と現実の境界線だが、もう迷うこともためらうこともない。

ヘッドライトのスイッチを入れ、ディスチャージライトを点灯させる。
さあ、がんばって帰ろう。
沈む夕陽に向かって本州に突入する。
季節はこれから桜の咲く時期。
こんなシーズン前に旅行するのは初めてだったけど、防寒対策さえしておけばなんてことない。
まあ、シーズン的に出会いが少なかったことは否定できないが、そのかわり純粋に景観と冒険を
楽しむことができた。

なんと幸せな旅だったことだろう。
気まますぎてちょっとグダグダだったかもしれないが、そんな旅もやってみると楽しいものだ。
とりたてて帰りのスケジュールを考えることもない、状況によっては1箇所で連泊しても構わなかった。

そんな自由度の高い旅。
やろうと思ってもなかなかできるものではない。
でも、やってよかった。
旅する価値はあった。
 
日本は、こんなにも綺麗で、素敵なのだから…。




The End of Files...


最後のダイジェストムービー(ニコニコ動画)
http://www.nicovideo.jp/watch/nm5112392

2016/4/30 06:32  [1498-4469]   

杉津PAの日本海うにいくら丼 長い道のりの果て、新潟に帰ってきました

あとがき


実は、帰りの高速道路でも語りたいエピソードがありました。
でも、エンディングとしては夕暮れの明石海峡大橋がいちばん盛り上がるな、との判断で、
いったん物語はそこで区切りました。
 
橋を渡ったあと、途中のSAとかで休憩や仮眠を挟みながら北陸道を通ってきたわけですが、
ここはうまくて安いものがめじろ押しです。

北陸道下り(関西→新潟方面)で、まず杉津PAの「日本海うにいくら丼」。
どこからみても立派なうにいくら丼が、なんと580円!
しかも、なんとごはん大盛り無料! 超最高です。
おかわりしてもいいくらいでした。

次は南条SAの「プレミアムメロンパン」。
北海道富良野メロンの果汁を練り混んだ生地に、メロン果汁と練乳のクリームをサンドしたもの。240円とちと高いが、それだけの価値はあります。
生地はサクっ、中はふわっ、クリームはとろ〜り。それらが一体となって口内で絡み合うハーモニーは、
絶妙の一言。必ず食べるべし。
 
最後に北鯖江PAの「もつ旨煮定食」。
もつ煮だけでもけっこうなボリュームだが、そこにうどんまで付いて大満足。
なのにお値段据え置きの680円!
もりもり食べたい派にどぞ。
 
まあ、そんな感じで帰ってきました。
淡路から新潟まで20時間、という案内をナビにされましたが、たしかにそれくらいかかりました。
でも、SAで夜グッスリ寝て、休憩も充分とりながら走ってそれくらいだったのです。
誰かと交替運転で走れば、12時間くらいで着くと思いました。
 
この旅にかかった費用は約15万。
移動費、燃料費込みで1日あたり4500円くらいでした。
ケチろうと思えば、もっとケチる余地はあります。
でもまあ、こんなとこでしょ。
 
寒い時期だから、南国リゾートでパラダイス気分を、と思って行ったけど、九州もピンキリだ。
大まかに言えば阿蘇を境にして北は寒い。南はやや温暖だったといえる。
九州の印象は、西側の海岸が入り組んでて面白かった、ということか。
阿蘇、諦めずに登ってよかった。最高の天気で感無量でした。
長崎周辺は、もう1日かけてゆっくり廻ればよかったかも。
でも、長崎でなく小浜でちゃんぽん、博多でなく知久留でとんこつラーメンを食べたのはいい経験だった。
うまかったよー。
 
四国は、まず最初に風車群に出会えたところでいいテンションができたね。
あの佐田岬半島は本当に行ってよかった。
四万十川もいいとこでした。高知ももう1泊くらいして城下町散策を楽しんでもよかったかもね。
うどんも最高でした。
気をつけなければならないのは、道路。
地図上のショートカット用の美味しそうな道路は、たいていトラップになっているので
「急がば回れ」という言葉通りの行動を推奨します。
 
総合的には、自分的にバランスのとれたいい旅だったと思いました。
貧乏旅行にしてはけっこういい想いさせてもらったし、温泉にハズレはなかったし。
 
  
旅行記としては、写真も豊富で臨場感もけっこうあったかと思います。
だいたい自分が思ったこと、言いたかった、伝えたかったことは記すことができたと思ってますが、
いかがでしたでしょうか。



次回は、なんと2016年GWドライブ旅行記in北海道!
まずは旅の途中でリアルタイム旅行記などをやってみるつもりです。
旅が終わったら、じっくり腰を据えて詳細を改めて書き上げます。
またぜひ読んでみてください。

それでは、ここからレスを開放しますので、感想や意見などありましたら、
ぜひ書いてください。

読んでくださった方に、心から感謝いたします。
ありがとうございました。

2016/4/30 06:42  [1498-4470]   


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