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はじめに

日本国内はバイクなんかでずいぶん旅をしてきたが、それに飽き足らず今度は
海外旅行をしてみようとか考えだした。
しかも一人旅。

英語? しゃべれないし。
文化? いやマジで知らないし。
通貨? てきとーに両替しとけばなんとかなるんじゃね?

若さというのはこんな無謀な冒険にも向かっていける。

小説「Step Up!」を完成させるには、やっぱり現地に取材しないと。
ただその一点のためだけに、はるばるヨーロッパへ赴くとか、
いま考えると「よーやったな」と思う。

そんなオランダの旅行記をはじめます。
「写ルンです」で撮った写真も今回デジタルデータ化したので
シーンに沿ってお見せしますので、それっぽくお楽しみに。

それでは、はじまりはじまり〜♪

2016/9/10 12:13  [1498-4820]   

これから離陸するところ


ACT.1 OUT OF THIS WORLD


オランダKLM航空のジェット機の尻尾の窓側の座席にのぼるは独り座っていた。
「いよいよか…ついに始まる、今世紀最後にして最大のオレの冒険…」
ほぼ満席のジェット機はコンコースを離れ、ゆっくりと成田の滑走路へと進む。
機内にアナウンスが流れると、旅客はいそいそとシートベルトをしめる。

世界でも最高レベルのサービスを誇るKLMだけあってスチュワーデスはみんな美人だ。
懸命に救命具の取り扱いの説明をする姿が美しい。日本人のスチュワーデスは二人。
頼りにしてるぜ。

滑走路の最後尾でジェットエンジンがかん高く吠えたてる。
鳥が羽根を拡げるように、主翼後部のフラップが変型する。
「この発進の瞬間がいやなのよねぇ」
付近に座る老夫婦がつぶやいている。
たしかに、御老体にはつらい瞬間かもしれないが、のぼる自身には飛行機に乗って一番楽しい瞬間だ。

次の瞬間、機は堰を切ったようにロケットスタートした。
のぼるはシートにへばり付けられるようなGを受けながら、心の中で叫んだ。
「セイラ、ガンダムいきまぁーす・・・ああっ!!」
2時間と15分も遅れてのテイク・オフ。
約一人の愚か者を載せたKLMのジェット機は成田の空を旋回すると、天空の透過光に
照らされながら大空へと舞い上がった。
 

のぼるが社会人になって3年がたった。
社会に出て一人でどれくらいやっていけるのか、そう思って、一人暮しをはじめたり、
ソロツーリングをよくやっていたが、近頃なにか満たされない。

所詮日本という囲いの中で、日本語の手の平で踊らされてる、そんな漠然とした不安があったのだ。
「こうなった日本語の通じない外国に行ってやる!」
そう決心したのがその年の秋。

一口に海外といっても行き先は星の数ほどあるが、初めての海外逃亡ならば、多少無理しても
自分の行きたい国に行くべきだろう。
そうなると行き先は迷うことなくネーデルランドに決定だ!
オランダと呼ぶのが一般的なのだが、ここではネーデルランドと記させてもらおう。
ネバーランドみたいで雰囲気いいじゃん。

子供の頃から憧れた、風車とチューリップの国。
思えばのぼるの田舎志向は子供の頃からだったらしい。
海抜0メートルの平地が国土の1/4もあることから環境問題をどこよりも積極的に取り組んだり、
ヨーロッパを平和的に統一しようと各国の通貨をユーロにしようと持ちかけたのも、
このネーデルランドだ。
自然と共に平和で合理的な生活をしているようなイメージに、のぼるには想いを重ねていた。

「旅行」というといつも北海道とか、国内のイメージが常識としてあったため、
ネーデルランドなどそんな遠い外国になんてこれっぽっちも行けるとは考えてなかった。
それを、「行こう!」と決心したのは、歳をとるにつれて「夢をひとつひとつ叶えていこう」と
思えてきたからだった。

出発は翌年のゴールデンウイークと決めた。
それまでの期間、海外旅行とネーデルランドについて徹底的に勉強した。
インターネットやABロードで格安航空券を調査し、ツアーガーデンという旅行代理店で
志田さんという親切な男性と知り合い、海外旅行に関する知識を電話で徹底的に教えてもらった。

ビザの有無、パスポートの取得方法、空港での手続きの方法など、細かいことまで親切に
教えてもらえて、すんげー感謝してる。
本来ならネーデルランドの主要空港であるスキポール空港への直通便は、
ゴールデンウイークという時期を狙うと通常はキャンセル待ちとなるはずだった。
それを志田さんの方でキャンセル待ちの最前に順位を繰り上げてくれたり、
しかものぼるのわがままで窓側の座席をチョイスしてくれたり、本当に至れり尽くせりの
サービスだった。
彼がいなければ、この旅行は出発すらできなかったといっても過言ではないだろう。

ちなみに日本で予約したのは、その航空券だけ。ホテルは現地のvvv(フェーフェーフェー)
という観光案内所で予約することにした。
すこしくらい現地でホテルの予約を交渉するくらいの苦労はすべきだろう、という理由だ。
日本で予約すると割高になるし、安心した旅行も味気ないものだしね。
旅の苦労は後日いい思い出になる。それは今までの冒険で充分承知していたので、
不安はあっても、それは心地よい緊張感だった。

まあ、いくらきれいごとをいっても、これが間違いのはじまりであったのは想像するに
難くないだろう。

行き先はネーデルランドで決定したが、具体的にどの地域に行こうか、という問題があったが、
これも決定している。

マーストリヒト。

ベルギーとドイツとの3国の中間に位置する都市だ。他国と隣接する都市はいろんな文化が
ごちゃまぜになっているはずだから、絶対楽しいところのはず。
なんたって日本にはそういうのないからね。
これは専門学校のころから行きたいと思っていたところだ。

2016/9/10 12:19  [1498-4821]   

そして、出発の日は来た!

5月1日の10:00成田空港発のKLM航空、
アムステルダムのスキポール空港直行便だ。

7:30には成田に到着した。搭乗手続きを余裕もってしようと考えていたら・・・
電光掲示板に「KLMアムステルダム行き 遅延」の表示が。
「あ?」
我が目を疑う。
しょっぱなからもうアクシデントだ。

とにかく掲示板に見入った。
いったいどれくらい遅れるというのか。
アナウンスによると、ネーデルランドから来た機が給油してそのまま戻る、その便にのぼるは
乗るのだが、成田に到着したのが予定より30分遅れたのだそうだ。
単純に考えると、出発が30分遅れるだけのはず。それくらいなら別にいいや、と思っていたが、
事態はそう簡単な問題ではなかった。

ロシアの領空を飛行できる時間帯というものが思いっきり制限されているので、それ以外の時間は
「領空侵犯」とみなされてしまう。
つまり、30分遅れるだけでも次の飛行可能時間まで足止めを喰うハメになるのだ。
 それを計算した今回の出発時刻は12:15となり、2時間15分もの遅れだ。

「やべぇ…マジでやばいかもしんない…」
のぼるは狼狽した。
というのは、通常のフライトならば現地時刻の夕方前にスキポール空港に到着するので、
宿を予約する余裕は楽にある…そう考えていたのだ。
それが2時間以上も遅れて到着したとしたら、観光案内所が営業してるかどうかの問題にすら
なってしまう。

こうなったらKLMのチケットカウンターのおねーさんに交渉してみよう。
「オランダ現地の宿の予約をしてないのですが、フライトが遅延したことが原因で宿に泊れない
可能性は否定できない。この場で現地での宿を手配できないですか」
きれいな制服を着たきれいなおねーさんは満面の笑みで答えた。
「ムリですね」
ほのかな殺意が芽生えたが、空港内でコトを荒立てる真似はできない。
仕方なく成りゆきにまかせることにした。
ま、ここで慌てても仕方ない。大物らしくどっしり構えようじゃないかね、なあ中曽根くん。
 
とりあえずこの空き時間を利用し、現地でしようと思っていた両替をしよう。
空港の広いロビーのど真ん中に、でんと構える大和銀行の支店。
現地で両替するより手数料が高いので、イヤだったのだがそうも言ってらんない状況だ。
ネーデルランドの通貨はGL(ギルダー)。1ギルダーは70.16円。
(注・これは当時の通貨。現在は統一通貨ユーロとなっている)

のぼるは55000円を出し780ギルダーを手にした。
クレジットカードとこの現金をうまい具合に併用しよう。
世の中にはトラベラーズチェックという小切手みたいなものがあり、それなら支払が便利になる
らしいが、オレの目指すところは観光地でなく田舎だ。
「こんな紙切れは役にたたないねえ」などと言われたらどーしよーもなくなってしまう。
やっぱ現金が後腐れなく手っ取り早いね。

ようやくKLM航空の搭乗手続きが開始された。
のぼるはロビーのエスカレータを下り、税関に行った。
タグ・ホイヤーという高価な腕時計をしているので、帰国の際に税金を取られる可能性がある。
ここであらかじめ国内からの持ち出し品として申請しておけば安心だ。

それにしても、成田空港ではこのフロアに来るために「旅客サービス施設使用券」として
2040円を払わなくてはならない。遊園地じゃないんだからそーいうことすんなよな。ケチ!
いよいよ出国審査。
ゴールデンウイークのごったがえす旅行客のため数分順番待ちをする。

そしてのぼるの番。
緊張しながら審査官にパスポートと出入国カードを見せると笑顔で「よい旅を」
と出国のスタンプを押してくれた。
この瞬間にのぼるは日本にとって外国人になったのだ。

「さて、行くか!」
気持ちを新たに、たったひとつのズタ袋を右肩に担いでジェット機へのタラップを進む。
「ようこそ、いらっしゃいませ!」
「Welcome!」
スチュワーデス達が笑顔で迎えてくれた。
搭乗チケットを見せると、一番奥の二人掛けの窓側案内された。

となりの席にはちょっと太った外人の女性。
この機会に英会話を彼女からレッスンさせてもらおうかと思っていたら、荷物をまとめていたスキに
速攻でイヤホンを装着されてしまった。

仕方なく座席に標準装備されているKLM航空の発行する雑誌「ウインドミル」をパラパラと眺めた。
「あ」
あるページを見てがく然とする。
4月30日、つまり昨日はネーデルランド王国にとって最高の記念日のひとつ「女王の日」だ。
国中が王家の色であるオレンジ一色に染まり、飲めや歌えやのカーニバルになるという。
のぼるが到着するのはその次の日の夕方。
覚めやらぬお祭り状況で、ホテルの予約などできるのだろうか。

「ま・・・いっか」
いつものお気楽モードに入るのぼる。
そう。
これが、彼が幾多の冒険の中を切り抜けてきた「O型お気楽モード」なのだ。
ウジウジ悩んでも、不安になっても、今解決できない問題なら放っておく。
そういう気持ちの切り替えがこの状況でもできるというのは、我ながらいい根性してると思う。
まあ、そうでもなきゃ独りで海外旅行なんてできるわきゃ、ないわな。
 
「いよいよか…ついに始まる、今世紀最後にして最大のオレの冒険…」

2016/9/11 06:59  [1498-4822]   



ACT.2 RANDING


離陸から20分くらいして機内が安定した頃、最初のドリンクサービスが来た。
のぼるのいる列にはスチュワード(男のスチュワーデス)が来た。
アーノルド・シュワルツェネガーのような男に「Soft Drink?」と聞かれた。
初めての英会話にビビって固まる。
「お、おれんじじゅーす・・・」
ダッセーことこの上ない。せめてプリーズくらい言ったらどうかね。

日本海を数十分眺めると、夢にまで見たユーラシア大陸が眼下に広がる。
とてもじゃないが人間ふぜいに開拓できるようには思えないような巨大な山脈が
連なっており、頂上付近には雪が覆い尽くされている。

旅をしているときというのは、非現実な世界だ。
現実に生きていることを否定するのではない、見たこともない風景の中に身を置く、
もしくはその目で見ることで非日常の世界に入り込むということだ。
そういう状況でのぼるはいつもわくわくするのだが、今回に限っては頭の中が、
伝説のプロレスラー、タイガー・ジェット・シンにブスブスと串刺しにされるような
恐怖に怯えていた。
この下の世界に一人置いていかれたら、生きて行ける自身がまるでなかったのだ。

ロシアの巨大な国。
ユーラシア最大の国にしては、その地方地方で暮らす住民の文化がまるでベールに
隠されているように分からない。
春なのに雪に覆われた平原、整備されずに三日月湖が散乱する川、そして時々見える
核サイロのような人工的なドーム。道路はたまにあるのだが、人が住む集落や村など
見たことがない。まるでそのまま地獄へ続くような直線道路だ。
そんな、地上の風景が延々と続くのだ。
だから恐いのだ。こんなの日本にはありえない景色なのだ。

この飛行機が降り立つネーデルランドはそんなところではないようだが、こんな
殺伐とした風景の延長線上、つまり歩いて行ける大陸上にそういうトコがあることが
不思議でならない。

付け加えるとして、機の主翼が意外にベラベラとしなって飛んでいることも、なんだか
たよりなさげで不安になる。いつ「ベキッ!」と折れて墜落してもおかしくない感じなのだ。

日本時間14:00、出発から2時間ほどしてから最初の食事がきた。
またさっきのアーノルドだ。
さっきも思ったけど、きれいなおねーさんが来いよ。
「Chikin or Beef?」
またも固まってしまった。
また英語にビビったわけじゃない。機内食は和食か洋食かが選択できるはずであって、
鳥肉か牛肉を選択するなんて聞いてないのだ。

でも固まってばかりではアーノルドを困らせてしまう。
機内で「地獄で会おうぜベイビー」とか言われてショットガンをぶっぱなされてはたまらん。
「ち、ちきんぷりーず・・・」
すごいよ、プリーズも言えたよ。
これでのぼるも国際人だよ。

目の前にアルミホイルのかかったトレーが置かれ、さらに「Soft Drink?」と聞いてきた。
「アイスティ、プリーズ」
のぼるは答えた。
流暢な(?)英語のコミュニケーションに満足し、のぼるは得意げに渡された飲み物を飲む。
「ぶふっ!」
ちょっとだけ吹き出した。
注がれた飲み物はアイスティではなく、中国3千年の歴史の誇る由緒ある飲料茶、ウーロン茶だった。
「そうじゃないだろ!」とアーノルドにツッコミしてやりたかった。

食事は、チキンのマスタードがけとパスタ、バターロールとサラダと焼魚、そして何故か寿司。
寿司といってもサーモンとかっぱ巻きだけ。そしてデザートにモンブラン・ケーキ。
なんとも理解しがたいメニューだ。
どう考えても常識ある立派な人間の選定したメニューとは考えにくい。
どちらかというとスーパーの半額惣菜で適当なものを見境なくチョイスしたときのメニューに近い。
 
2度目の食事は更にぶっとんでいた。
メインディッシュが焼そばでおかずが小割そば。
ダブルそばかよ。

日本人のオレも初めてのメニューだよ。

2016/9/11 07:14  [1498-4823]   


機内で、ネーデルランドに入国する際の審査に必要となる用紙を渡された。
どんな目的で入国するのか、どこに泊まるのか、いつ帰るのかなどを英語で記入する。
記入例に従って書くが、宿泊場所が決まってないので「地球の歩き方」に載っている適当な
ホテルの名前を記入しておいた。
べつに悪いことなんてしていないのに、犯罪者のような気分だった。

現在、日本時間で19:00くらい。日本はもう夜なのに、機は太陽にさんさんと照らされている。
到着までまだ倍くらいかかる。
機内はカーテンを下ろして睡眠時間となっていた。
前方にある25インチくらいのモニターで時々現在の位置が表示されている。

先は長い。
多くの乗客はだいぶ疲れているらしく、毛布をかけて寝ている人が多い。
のぼるも少し眠ったが、喫煙席のため煙たくて眠れない(自分も吸うくせに)
前部の大型モニターで「ホームアローン」が上映された。
自分のイヤホンのチャンネルを合わせて音声を聞くのだが、数年前の学生の研修旅行でもバスの
中で観たことがある。
どこへ行っても上映するのは「ホームアローン」だけなのか。
とはいえ冒頭で飛行機が墜落する「クリフハンガー」などはこのタイミングでは観たくもないが。

まあ、ビジネスとかファーストクラスだと自分の座席にモニタが標準装備されて、ある程度
好きな番組をチョイスできるらしい。
のぼるは言わずとしれたエコノミーなので贅沢も言ってられないか。
座席も前後のピッチが狭く、自由度が低い。
せめて寝返りができれば、ね。
 
軽食タイムがきた。
機内では本当にやることがないので食べることがすげー楽しみ。
これはフェリーにしても同じことが言えるが、飛行機の方が自由度が低いぶんストレスがたまり
変に食欲が旺盛になる。これでは太るね。

イヤなことに軽食はカップヌードルとアイスクリームのどちらか、だった。
ほとんどのヒトはアイスをチョイスした。
当然だ。さっきダブルそばを食べたのだからヌードル系は誰もが嫌がるに決まっている。
頼むから人間心理を考慮したメニューにしてくれってば。
うーむ、これで世界屈指のサービスを誇ると言われてるのだから他の航空会社はどんな
サービスを提供しているのだろう。なんだか興味津々だね。

軽食が終わると、間もなく最後のドリンクサービスとなった。
スプライト系の飲み物が飲みたかったのでアーノルドに「サイダー、プリーズ」と頼んだら、
「Pardon?」と返された。
何度言ってもサイダーがわからないらしい。
「スパークリング・ウオーター」と言い直したら「Oh,OK!」とコップを渡してくれた。
飲んでみたら案の定「炭酸入りのミネラルウオーター」だった。
「Mother fucker!!」とか言ってドロップキックかまそうかと思った。
ちなみにサイダーとは日本にだけ浸透した名称。海外では「レモネード」と呼ぶのが一般的。

長い長い機内生活ももうすぐ終わる。
ネーデルランドに突入したらしく、地上の建物が活気あふれてきた。
となりの太った外人のおねーさんとは、トイレに行くときに「エクスキューズミー」と
言った以外なにも会話しなかった。
そのことに少し後悔しつつ、機は少しずつ降下をはじめた。

約12時間という機内生活。
帰りもこんな感じなのか、と思うと、そういう意味で帰りたくなくなった。
だんだんと地上が近付いてくる。
眼下に大きな空港が見えた。きっとそれが、アムスのスキポール空港だろう。
機内にシートベルト着用を促すアナウンスが流れる。
空港の頭上を大きく旋回した後、主翼後部のフラップが可変した。

着陸体制に入った。
ものすごい空気の抵抗を味方につけて、機はドンと着陸した。
間髪入れずに一気に減速する。消化をはじめてる胃の中のアイスが逆流しそう。
黒人のメカニックに改造されてド派手になったナイト2000のエア・ブレーキをしたときの
マイケルの気持ちがよくわかる瞬間だった。
機は完全に停止し、空港のタラップが接続された。
「長旅、大変おつかれさまでした。お忘れ物ないように順にお降り下さい」
アナウンスの声で乗客はそれぞれ立ち上がって荷物の整理をはじめた。

のぼるも手持ちの荷物を整理しつつ、腕時計を現地時間に合わせた。
今は日本時間で深夜0:00でネーデルランド時間では17:00。日本との時差は7時間だ。
12時間もたっているのに、昼間の12:00に出発してその日の夕方17:00に到着したという
へんてこなトリックにささやかに違和感を感じる。これが時差ボケか。
とはいえ約12時間もの空の旅。疲労だけは本物だ。

ため息をついている余裕はない。
はやく宿を手配しないと。
のぼるはズタ袋をかついで、タラップを進んだ。
 
なんか空気が違う。
まずそう思った。日本でいつものようにある無臭の空気が、ここでは違う香りがする。
なんだかチーズのほのかな匂い。一言でいえばそんな感じだ。
そんな香りによって異国に着いた、という実感が沸いた。
「さてさてさて! 来てしまったぜ! ネーデルランド!!」
抑えきれない興奮。もはや後戻りはできない。するつもりもない。
「7日間のネーデルランド旅行、絶対やってやるぜ!!」

2016/9/11 07:31  [1498-4824]   

上陸直後のスキポール空港にて


ACT.3 PAINS,TROUBLES,DIFFICULTY


ネーデルランド王国に無事上陸したのぼるは入国審査を受けた。
多くの旅行者は荷物受取所で自分の荷物がコンベアで運ばれるのをを待っていたが、
のぼるはズタ袋ひとつだけなので余計な手間はなかった。

審査官に「Sightseeing?」と訪ねられる。
サイトシーン・・・意味はわかるが、のぼるの脳裏には「とんねるずのみなさんのおかげです」で
昔ノリさんが「サイトシーン!!」と絶叫していたコントがよぎっていた。
「イ、イエス」
吹き出しそうになりつつ答えた。
思い出し笑いをするやつはスケベなやつらしいが、こんなとこに来てまでとんねるずを
想像するやつは、我ながらスケベというよりも変だと思う。

なんとか入国のスタンプをパスポートに押してもらった。
これで入国手続きは終了だ。
 
ゲートを通り、スキポール空港の中を歩く。
「さてさて、まずは電車でアムステルダム中央駅へ行かなければ!」
のぼるは電車の乗り場を探した。
ネーデルランドの鉄道は「NS」Nederlandse Spoorwegenの略。かっこよくレタリングされている
看板があったのですぐわかった。

目的地までの切符を購入しなければならないが、自動販売機はなく全て窓口での購入となる。
「プリーズ ワンウェイチケット トゥ アムステルダム・セントラルステイション」
発券窓口で緊張しつつお金をカウンターに出す。
アムスまでの片道切符を下さい、という意味だ。
機内でひそかにブツブツ勉強していたのだ。
「OK」駅員は慣れた手つきで切符をのぼるに差し出した。
「サンキュー」
のぼるは切符を受け取ると地下のホームへ向かった。
ふっ。英語のコミュニケーションなんてチョロいぜ。
なんだかヒザがガクガクしてるが、武者震いだろう。

ホームへ下ると、当然上りと下りの乗り場がある。
どっちで待てばアムス行きの電車が来るのだろうか。
どっち行きが上りでどっち行きが下りなのかがまずわからない。
ああわからない。

のぼるは近くにいたサラリーマン風のおやじに訪ねた。
「エクスキューズミー、ディスホームは ゴートゥ アムステルダム行き?」
「?」
まったく意味が通じない。
まったく英語になってない。
「えーと・・・ディスホームズトレイン ゴートゥ アムステルダム?」
「?」
ああっ、通じてないみたい。
どうしよう。もしかして変質者だと思われているだろうか。
などと疑心暗鬼していると、「Amsterdam CS」と表示された電車が来た。
のぼるはそれに飛び乗った。これに乗ればいいのだろう。

日本の鈍行列車とそんなに変わらない内装だ。
車内は会社帰りのサラリーマンで賑わっている。
発車して間もなく、列車は地上に出た。

ネーデルランドの街並みが広がる。
この国独特の積み木のような家々。鋭角な屋根、均等に並べられた窓。
どれもが本物だ。
日本でこの風貌の家を作ろうものなら「かぶれ」だの「レプリカ」だの言われてしまうだろうが、
ここではこういう家が当たり前なのだ。
長崎県にあるハウステンボスの風景が、ここでは当たり前の風景なのだ。
「うおお、たまんねっス!」

感激して窓にへばりついていると、のぼるの付くにいた夫婦がクスクス笑いながらのぼるを
指さしている。
やばい、浮いているか、のぼる!
「ハハハ、ヤーパン」そのダンナがのぼるに話しかけた。
ヤーパンとはオランダ語で日本人のことだ。
ちなみにオランダ語と英語はたいへん似ているので英語が話せれば、この国では充分通用する。
のぼるは英語すらろくに話せないが。
「イ、イエス」
思わず肯定してしまった。
日本人は金持ち、というレッテルが海外ではあるらしくしばしば狙われるという話をよく聞くので、
日本人ということは隠して旅をしようと決めていたのに。

そもそものぼるはビンボーなので気取ってもブランド品を着てない。
タグ・ホイヤーの腕時計はしているが行動時はジャケットのすその内側に隠している。
あとブランドといえばFILAのズタ袋くらいなもん。
そんなの世界中どこにでも売っているし高価な部類でもない。

「ぺらぺらぺらぺら」夫婦でなにやらのぼるについて会話している。
恐いヒトではなさそうなのだが、言葉がわからないというのは想像以上の恐怖がある。
日本語に訳したら放送禁止用語などマル禁サイレンが鳴るようなことを会話しているのかもしれない。
どうしようどうしよう。

疑心暗鬼していたら、夫婦は次の駅で降りていった。
なんだかなー。現地に住むヒトとコミュニケーションを取るのは、難しいんだな。
言葉の壁というのは想像以上の圧さがあるんだ、ということを痛いほど実感した。
 
ほどなくアムス中央駅に到着した。
いろいろ珍しい電車が停まっており、じっくり眺めたかったが、現状はとにかく観光案内所へ
行って今晩の宿を予約しなければ!
「間に合え、間に合え、間に合えー!!」
気分はコウ・ウラキ中尉だ。

情報によると、駅の中央ホールの右手に「vvv(ネーデルランドの観光案内所、フェーフェーフェーと読む)」があるらしい。
さっそくそこへ行ってみた。
しかし、閉っていた。
営業時間が終了しているのとは様子が違う。明らかに案内所そのものがツブれていた。
「なん・・だと・・・」

2016/9/12 21:50  [1498-4831]   

いや、まだだ。たかがメインカメラをやられただけだ。
確か駅前にももうひとつ「vvv」があるはずだ!
とにかくそこへ行ってみた。

しかし閉っていた。
今度は営業時間が終わっていたようだ。
確かに今は18:30で、営業時間は17:00とある。とっくに閉店してるのだ。
それにしてもまだ夕方はじめくらいの明るさだ。5月の日本じゃ考えられない気候だな。
「どうしよう・・・!」

アムス中央駅に振り返る。
東京駅そっくりだ。
というより東京駅がこれを真似したのだ。
しかし今はそれに感動している余裕などない。

のぼるは駅の中の「もとvvv」に戻ってみた。
すると閉じられたドアに何かが貼られているのを見つけた。
「これは・・・!」
そのはり紙には、この駅の別の場所に「vvv」が移転した、と書かれてあった!
「これは・・・!」

のぼるははり紙に書かれた地図を急いで辿っていった。
なんとはじめに降りたホームの目の前に新生「vvv」はあった。なんてこったい。
しかし、のぼると同じことを考えている旅行者はたくさんいた。
ホテルを手配しようと「vvv」のドアの前に10人ほどツーリストが並んでいたのだ。

のぼるは躊躇せずに列の最後尾に並んだ。
ここ以外に宿を予約できる所を知らないのだ。
しかもここは19:30までの営業なので、まさに本日の最終防衛ラインなのである。
「ふう」

待ち時間中にまわりのホームの様子をじっくり観察した。
たしかこの駅には、かの有名な超特急列車TJVが通る駅のはずだが、見られなかった。
映画ミッション・イン・ポッシブルでラストバトルのシーンになった列車で、一目見たかったのだが、
まあ仕方ないか。

そのかわり2階建の特急が何本も停まっていた。のぼるは上越新幹線MAXはおろか2階建バスに
すら乗ったことがないので、ひそかに憧れていたのだ。
ちなみにこの2階建特急は「INTERCITY」といい、この国内を走る標準の特急列車だ。
 
そうこうしているうちに待ち行列は進んでいった。
19:00になった。「vvv」の職員らしき巨漢の男がドアの前に出てきた。
アブドラ・ザ・ブッチャーのような、刑務所でムチでも持った看守のような男だ。

まさか、30分前にドアだけでも閉めてオーダーストップにするつもりか。
予感は適中した。
のぼるの目の前にブッチャーが立つ。
のぼるの後ろにも4〜5人の待ちがいる。
やめてくれ、オレを追い出さないでくれ!
ここを追い出されたらオレには行くところがないんだ!
フランダースの犬のネロの気分で神に祈った。

祈りが通じたのか、ブッチャーはのぼるの後ろで受付を終了とした。
どうやらのぼるのシューズのつま先がギリギリ敷居の内側にあったからだったらしい。
ブッチャーはのぼるを店内に誘導してドアをクローズにした。
後ろにいた人たちは落胆してそれぞればらけていった。
「オレの後ろにいた旅人よ、すまん!」
と心の中で彼らの明日を祈った。
つま先ギリギリでセーフ、危機一髪とはまさにこのことだ。
もうすこし遅くここに来ていたらいまごろどうなっていたか、想像もしたくない。

しかし、危機はさらに続いた。
いよいよのぼるの受付、つまり一番最後の番となった。
「I'd like to reserve a room for tonight」
今晩の部屋を予約したい、と英会話ハンドブックを片手に受付のおねーさんに話した。
このおねーさんをのぼるは心の中でファンタと呼ぶことにした。
「Sorry,Amsterdam's hotel is full」
と言われた。
のぼるの直訳では「アムスのホテルはバカです」となった。
「?」
再度聞き直して、ようやくがく然とした。アムスにあるホテルは全て埋まっている、ということなのだ。
うそだろー! どーすんだよー!
「Oh my god! I'd like to reserve at a hotel near the
this city!」
持てうる英会話のレパートリーを騒動員して、ここから一番近い都市のホテルを予約したい、
と言うと、「OK!」ファンタは端末をカタカタと操作してくれた。
話によると、ロッテルダムという都市に1件ある、とのこと。
ロッテルダムとはよく聞くが、どこにあるのだろう。
地図で確認する。
このアムスから南西に約50km離れたところ。
さっき見た特急インターシティで1時間くらいかかると言っている。
げー。まじですか。

多少遠くても背に腹はかえられない。そこを予約してもらった。
ロッテルダム駅からホテルまでの詳細地図をコピーしてもらい、のぼるは店を出た。
駅の窓口でロッテルダム行きの切符を買う。
この国では鈍行だろうが特急だろうが料金は一緒だ。
特急券という概念がないのだ。これはいいね。

で、ここでのぼるは困った。
どの急行に乗ればいいのかわからないのだ。
時刻表の見方がまるでわからない。

足踏みしながら悩んでいたら、そこに勤務を終えたファンタがのぼるのそばに来てくれた。
「14aのホームの特急に乗ればロッテルダムへ行ける」とジェスチャーを交えてのぼるに教えてくれた。
「Thank you for your kindness!」
知る限り最上級のお礼をしてのぼるはそのインターシティに乗り込んだ。
ほんと、ファンタが女神に見えたよ。

2016/9/21 10:20  [1498-4876]   

インターシティの席で ホテルの部屋の様子 味はあるが質素すぎだろ

2階建てインターシティ、のぼるはもちろん2階の座席に座った。
少しすると女の子の旅人が一人、のぼるの前に座った。
「Excuse me?」
のぼるにあいさつした。かわいいっ!

間もなくインターシティは発車した。
21:00、街はようやく夕暮れ・・・。
女の子とコミュニケーションをとろうといろいろ話をしてみたが、半分も通じたかどうか。
しかしのぼるが話すたびに笑顔で「フフフ?」と返してくれる。
気さくな女の子だなー。
いやいや、呂律の回っていないシャブ中毒者に思われ、とりあえず相槌をうっているだけ
なのかもしれない。
彼女は30分くらいして停まった駅で降りていった。
「バイバイ?」
バイバーイ。楽しかったよ。
のぼるの処世術は海外でも通用する。それだけでも嬉しかった。

それにしても、この国の鉄道は改札がない。それだとキセルし放題ではないかという疑惑があるが、
車内でランダムに切符の拝見に伺うのだ。
だからのぼるは一度アムスの駅から外に出て、再びホームに戻ることが容易にできたのだった。
ちなみにキセルがバレると3倍の運賃を払わされるらしい。
 
22:00、ようやくロッテルダム中央駅に到着した。
あたりは完全に暗くなっていた。
「とりあえずメシ〜」
のぼるは今晩のホテルがとれたことによって緊張感が一気に解かれ、ものすごい空腹になっていた。
駅の構内にあったファーストフードでフライドポテトを買う。
この国ではポテトにマヨネーズをつけて食べるのが普通。
カロリーがちょっと気になるが、これがなかなかうまい。けっこうクセになるね。

ポテトを食べ歩きしながら駅を出る。
「・・・う」
背中を走る戦慄。
筋肉質の男2人が駅前で乱闘騒ぎをしている。
ベラベラと英語(かどうかは不明。もしかしたらラリって現地人でも意味不明だったかも)を
叫びながら殴り合いをしている。
また一方ではぶつぶつ独り言をつぶやきながら歩くヒトや、へんな匂いのするタバコを吸うヒト
(たぶんマリファナ)が・・・

治安が悪い。

マジでそう思った。
一刻もはやくホテルに着きたい。その一心でのぼるは歩を進めた。
少し迷いつつ今日の宿「セントラルホテル」に到着した。
ホテルの横に「弁慶」という世界規模の日本料理チェーン店があったのだが閉店していた。
一度入ってみたかったな・・・

なにはともあれ、ホテルに入る。
「Excuse me、I have a reservation for tonight」
予約してるんですが、とフロントのおやじに言うと、部屋のキーを渡してくれた。
ボッてる。
実はvvvで予約したとき前払いで1万円近く払ったのでけっこう綺麗なとこだろう、などと
思ってたのに、ドラえもんに出てきた「つづれ屋」みたいにボロい。
しかも素泊まりだぜ。ざっけんな。
朝食とか夕食がついて1万ならまだ許せるけど、食事なしで1万はないだろう。
やはり初日の宿くらいは日本で予約しておいたほうがいいかもしれないね。

とにかく、部屋に入る。
ベッドとテレビ、あとはシャワーとトイレ。
あとはなにもなし。ビジネスホテルってかんじだ。
「うあー・・・」
とりあえず、疲れた。
湯がぬるく少ししか出ないシャワーを浴びてベッドに横たわる。
 
「腹へった・・・」
そうだよな。ポテトだけでお腹いっぱいになるわけないもんな。
なにはともあれ、綱渡りだらけの初日は、終わった。
ここで横になってる自分が、奇蹟に思えてならない。
明日の予定も大幅に崩れたな。

ま、いいや。
明日になってから考えよう・・・

2016/9/21 10:33  [1498-4877]   

ロッテルダムの街並 キューブハウス

ACT.4 IN THE RANDAM'S CITY



朝だ。
一瞬ここはどこだろう、とボケた。
機内ではあまり睡眠ができなかったので無理もないか。完全熟睡状態だった。

しかし朝方がかなり冷えたな。足下にどけておいた掛け布団がいつのまにか
アゴまで掛かっていた。
親切なポルターガイストでもいたのかな?

着替えながらテレビをつけた。
天気予報が見たかったのだが、なかなかチャンネルが合わない。
「お?」
ふとチャンネルを回す手が止まる。
洋楽を紹介している番組だ。
なんとナイトライダーのテーマをラップでリミックスしている。
なんだか時代の流れを感じさせる歌だった。
 
9:00にチェックアウトした。
せっかくだからこのロッテルダムの観光をしよう、とホテルのドアを開く。
雨。
「どぅあ〜」
せっかくの旅行なのに雨。
考えてみればのぼるは北海道ツーリングをしようが能登ツーリングをしようが、
いつも確実に雨に見舞われる、典型的な雨男だ。
この体質が世界に通用した証明となった。
インターナショナルな雨男。嬉しくもなんともない。

とはいえ、小雨程度だったので荷物に忍ばせておいた折畳み傘を取り出し、雨の中を進んだ。
雨だろうが行かなきゃ損だ。
まず見ようと思ったのは、この都市の名所のひとつ「キューブハウス」だ。
この都市はユニークな形をした近代建築が多いらしく、その中でもすごいインパクトを持つ
建造物が「キューブハウス」だというらしい。
そこへ行ってみることにした。

ロッテルダムの大通りを歩く。中世ヨーロッパを思わせる歴史の長そうなレンガの建物がたくさんある。
たまんないよな、こういう世界ってのは。

そんな通りを進むと、大きく開けた石畳の広場に出た。
そこには、市場ができており、雨のなか活気あふれていた。
「お。行ってみよう」
のぼるは市場の露店を見てまわった。
パン、チーズ、野菜、魚、ペッパー、日用雑貨、おもちゃなどたくさんのものが売られている。

チーズは「トムとジェリー」でよく見た穴開きのものがあり、さすがネーデルランドだ、と思わせる。
腹が減っていたので、のぼるはパン売りの露店でチーズパンを買い、それをかじりながら歩いた。
日本にもよくあるような小さなチーズのちりばめられたパン。うまいね。

市場を抜けるとキューブハウスはすぐにあった。
何年のも前に流行ったルービックキューブをななめにしたような部屋、それがいくつも重なっている建物。
ほんとにヘンな建物だ。
マンションなのだが、日本じゃヘンすぎて誰も借りるヒトはいないだろう。
事実、実際に部屋を借りて住んでいるヒトは少ないようだった。
「こんなとこに住んだら、なんかバランス感覚を失いそうだな」
とかなんとか捨て台詞を残しつつのぼるは街を彷徨った。

近くの商店でオレンジジュースを買い、飲みながら駅へ向かった。
ちなみに普通の350mlの缶ジュースなのだが、日本円にして200円くらいもする。
なんか知らんがジュースが高い。でもビールも同じ値段で売られている。
なんか知らんが酒は安い。不思議な物価だ。
今度からジュースのかわりにビールを買うことにするか。

そうこうしていたらロッテルダム駅に着いた。
さて、ここからどこへ向かおうか・・・

当初の予定では、本日はミデルブルグへ行こうと思っていた。
ミデルブルグとは、北極海に面した街で近代テクノロジーのあみ出した最新の風車がいくつも
稼動しているところで、かつ中世ヨーロッパの面影を色濃く残した素敵な街だと聞いている。
特に近代の風車が何機も稼動している風景は、マクロスプラスというアニメを思い出し、
「ここは行かなきゃな」と思っていたところなのだ。

しかし、昨日のホテル予約で散々なメにあったこともあり、一刻も早く目的地に辿り着きたい
という思いに駆り立てられていた。
「ぬうう。こうなったら1日早いが・・・行くかマーストリヒトへ!」
プロジェクトNo.S23からG86へ移行!
のぼるは決心を固め、駅の窓口へ行った。
「Prease,one-way ticket to Maastricht!」
マースまでの片道切符を頼むぜセニョール、と駅員に話す。
「アハン? マーストリヒト? オア、マーストリヒト?」
何をわけのわからんことを言っているのか、この駅員は。
どうやらマーストリヒトと発音が非常に似ている地名があるらしく、のぼるの発音では
駅員が理解できなかったらしい。
「まーすとりひと!」「アハン?」「マァストゥリィフィトゥォ!!」「アハン!?」
半分キレかかりつつ、地図を見せてマースを指した。
「オウ! マーストリヒト、OK!」
やっと理解したようだ。駅員の発音だってのぼるのと大差ないじゃないか。
うぬう。現地の訛りは難しいのう。

ともかく電車に乗った。
各駅停車の鈍行列車なのだが、まあゆっくり行こうさ。
4人がけの席に一人で座り、ビールとチョコレートを出す。
さあ、出発だ!

2016/9/22 10:04  [1498-4880]   

ロッテルダムからマーストリヒトまでは2時間半くらいかかる。
車窓から流れる風景は、それはそれは素晴らしいものだった。
この国のシンボルである風車、チューリップを中心としたたくさんの花畑、しだいに田舎へ
行くにつれて味が出てくる素朴な家々。
「あー。こんな旅ができるなんて、幸せだ・・・」

 グイグイとハイネケンを飲む。
日本から果てしない距離を隔てたこのネーデルランドに来ている。のぼるはようやく
そういった実感が湧いてきた。

「なぜ、ネーデルランドなのか」という質問を今までいろんなヒトから聞かれた。
実は自分でもよくわかっていない。
海抜0メートルの超低地に多くの風車があったり、自由なる都市アムステルダムがあったり、
チューリップ畑があったり。考えてみたら、べつにわざわざ高い飛行機代を払ってまで来るべき
魅力的なところは別段ないと思う。

ネーデルの料理は他の国にくらべてうまいという噂も聞かないし、物価が安くて海外旅行に
いいというわけでもない。
これ、という決定的な見どころがないのだ。

しかし、のぼるはこれまでの旅の中で観光地へ行きたいと思ったことはほとんどなかった。
いつもヒトがあふれているところは避け、気の赴くままに素朴な風景を走ることが好きだった。
(バイク時代の話です)

それがたまたま雲ひとつない晴天だったときには、この上ない幸せを感じることが
できたりするのだが、今回の冒険はその延長線上にあると思う。
みんなが行こうと思わないところにこそ、自分の求める幸せがあったりするのだ。
とはいえ、インドのラクシャディープ諸島なんかに行きたいとはあまり思わない。
まあ、チャンスがあれば生きてるうちに行きたいとは思うが、絵に描いたような絶海の孤島に
行ってもするやることなくて困る、というのが本音だ。

いつからか「ネーデルランドへいきたい」と思いを寄せていたのは、「日本から遠い」
「日本にはない文化と風景」そして「誰も行かないけど行くとおもしろそうなところ」
としてなんとなく決めつけていたからなのだ。

そして、この国の中でもいちばん注目していた都市が、これから行くマーストリヒトだ。
3つの国境に挟まれた都市なんて、日本では想像できない。
きっと通貨や言語や風習がごちゃまぜになっていて、それが当たり前の都市なんだろう。

そんなことを想像したら、もう行かずにはいられない。
のぼるの頭の中では、もはやネーデルランド=マーストリヒトというとんでもない
偏見のカタマリのような図式が組み立てられていた。
それが、後に作られる小説の舞台ともなるのだ。
 
途中、アイントフォーフェンという駅でとなりのホームの特急インターシティを見たら
「マーストリヒト行き」と書いてある。
その特急のほうが早くマーストリヒトに着きそうだ。
のぼるは急いでそのインターシティに乗換えた。
 行き先に間違いはなかったが、2階建てでないタイプのインターシティだったので
ちょっとがっかり。

そんなこんなで13:00。憧れの都市、夢にまで見たスプライトの活躍した舞台、
マーストリヒト中央駅に電車は到着した。
「うおっしゃあ! 来たぜマース!!」
ホームに降りて大きく深呼吸。ここからが本当の旅だ!
東にドイツ、西にベルギー。2つの国に挟まれた都市マース。
ここに5日ほど滞在して市街、市外を冒険するのだ!

2016/9/22 10:11  [1498-4881]   

アップルパークホテルの部屋 なんでツイン

ACT.5 MARRY STREET


マーストリヒト中央駅を出た。
「おお、雨も上がっているじゃん。ラッキー!」
駅前の交差点でいきなり事故りそうになった。
あまりに舞い上がっていたので、横断する際に日本の道と同様に右側を見て渡ろうとしたのだ。
外国では車線が逆になるのをすっかり忘れていたわけやね。
「ヒヤー」
おめーは藤子A不二雄かっての。

さて、ひとまず今日の宿を確保しなければならない。
街の散策はそれからだ。
のぼるはこの街のvvvを探して歩いた。
 
駅前通りはホテルやカフェなどで賑わっていた。
それぞれの店が互いに出しゃばらず、小粋でおしゃれな雰囲気を通りに装飾していた。
花もたくさん飾ってあり、とても瑞々しい。

しばらく歩くと大きな川に出た。
幅だいたい100メートルちょいのマース川。
水はすこし濁っているが、雨上がりなので仕方ないだろう。
川にかかる石畳の橋をゆっくりと歩いた。

この橋は自動車が通れないので歩行者天国みたいなものだった。
セント・セルファース橋という橋で13世紀に建てられたもの。
オランダ最古の橋のひとつで、かなり歴史的価値のあるものらしい。
「素晴らしい・・・」
アニメ映画「AKIRA」のドクターのような感嘆をこぼしつつ、のぼるは歩いた。

ズタ袋ひとつだけで見知らぬ街を歩く。
こういう気取らないラフな旅のスタイルが好き。
マジで自分に酔える。
 
橋を過ぎ、つきあたりを右に進むとこの街のvvvがあった。
石造りの建物の地下0.5階(!?)にあり、ファンタジー世界でありがちな、戦士たちが集う
酒場のような雰囲気の店だった。

店内は冒険者でけっこう混雑している。みんな今日の宿を探してきたのだろうか。
店員は3人で、それぞれ客の対応で翻弄されていた。
のぼるも負けじと店の奥に進んだ。

ふと見ると、日本人のような感じのする少年が一人、ホテルの手配をしていた。
だいたい22〜3才くらいに見える。
ただし日本人に見えるだけで、実際のところ韓国人だったりする可能性は否定できない。
彼のホテルの手配が完了したようだ。とりあえず話しかけてみよう。
「すみません」
思いっきり日本語で話しかけた。
これでシカトされたら彼は日本人ではない。
「はい?」
彼は思いっきり(思わず?)日本語で返事した。間違いなく日本人だ!
こんなとこで日本人がいるなんて、マジかよ。

「オレはのぼる。この街に今日着いて、4〜5日滞在するつもりなんだ」
「そうなんスか。ぼくは来紋(仮名)です」
来紋くんか。カタカナで呼ぶことにしよう。
「ライモンくんもゴールデンウイークで旅行なのかい?」
彼は首を横に振った。
「いいえ、ぼくはこの国に留学してるんです。たまたま長い休みがあったのでちょっと
旅行に来たんです」
なんと、留学生か。「ちょっと旅行に」でマースに来るなんて、一生に一度言えるか
どうかだな、そんなセリフ。
「もし時間があるなら、あとでマース駅で待ち合わせして一緒に見てまわらないか?」
「それはいいですけど、ホテルって郊外のとこしか空いてないですよ」
ホントかよ。昨日に続いて今日までも!
「では16:00にマース駅で待ち合わせしましょう」
ライモンくんはそう言うと外へ出ていった。

のぼるはvvvの店員に聞いてみたが、確かにこの近辺のホテルは全て満室らしい。
まあ、郊外とはいえ予約できるだけ運がいいと思うことにした。
アップルパークホテルという宿を予約した。
ちなみに英語がまったくダメなのぼるが店員とやりとりして予約するまで、ゆうに30分は
かかっていた。
アムロがガンダム起動させるまで5分もかからなかったのに(関係ないよ)
人と人がわかりあえるのがニュータイプだというなら、のぼるはその素質がないということだ。

のぼるはvvvを出て駅へ向かって歩き出した。
ホテルは駅をはさんで反対側にあるので、来た道を戻るかたちになった。

マース駅の反対側に出ると、住宅地が広がっていた。
とにかく緑と花のあふれる家ばかりで、日本でいうところの閑静な高級住宅地ってな感じだ。
それを過ぎると大通り(国道)に出て、ホテルはその道を渡ってすぐにあった。

8階建てのかなりきれいなホテルだ。レストランがとなりにつながっている。
自動ドアを開け、フロントへ行く。
vvvで受け取った予約チケットを受付のおねーさんに渡すと、笑顔で部屋のカードキー
と翌朝の朝食のチケットを渡してくれた。
このアップルパークホテルは、1泊朝食付きで1万くらい。昨日のようなじめじめした
ホテルかなと思っていたが、これならいいじゃん!

のぼるはエレベータで5階へ上がり、自分の部屋へ行った。廊下もきれいきれい。
「おお!」
部屋に入ると、なんとまあ広いこと広いこと。
それもそのはず、ツインベッドルームだったのだ。
なんてこった。これしか空きがなかったのか。
ま、いっか。

テレビもでかいし電話もある。バスルームは素敵な洗面台付きで広々!
昨日のホテルと値段は一緒なのに、なんだこの差は。
オシャレなアーバンホテルといった感じだ。
おおっと、アダルトのチャンネルがありますよ、旦那。
うおー、無修正。
すげー、パトリシア・マクファーソン(ナイトライダーの美人メカニック役)そっくり!
こんな美人の無修正なんて日本じゃなかなか見られないよね(誰に言っているか)
・・・そんなことより出かけよう。

のぼるは貴重品だけを持って外に出た。

2016/9/23 09:21  [1498-4889]   

マース駅に戻った。
今は15:30。約束の時間までまだ時間がある。
のぼるは時間になるまで駅周辺を散策した。

駅前通りの路地裏をてくてく歩くと、ぎょっとするものを発見!
小さな中国系の輸入雑貨店に「月桂冠」という日本酒がウインドウに置かれている。
「うおお、こんなとこにポン酒が!」
なんか嬉しい。とはいえ、中国と日本をごちゃまぜにしないでほしいね。

そんなこんなで有意義に暇つぶしをしたところで駅前へ戻った。
ライモンくんが手を振っている。
「あ、のぼるさん、ぼくも今来たとこですよ」
「よっしゃ。行こうぜ!」
二人は話をしながら歩き出した。

話によると、ライモンくんはこの国のライデンという都市のコンピュータ専門学校に
留学しているとのこと。
この国で暮らしはじめて半年になり、ある程度の英語はできるようになったらしい。
なんともうらやましい。
「そういやライモンくんはどのホテルを予約したんだい?」
「ぼくは駅の反対側にあるアップルパークホテルっていうホテルです」
「マジかよ、オレと同じじゃん!」
「そうだったんですか。どうやらそのホテルしか空きがなかったんですね」
マース川を渡り、石畳の通りを進むと、いろんなカフェが並ぶところに出た。
外にテーブルと椅子をたくさん並べ、大きな樹の木陰でビールが飲めるという、
なんとも開放的なカフェだ。いいね、これがヨーロピアンの雰囲気だよね。

気付くと、のぼるの腹の虫がメタリカ並みの高速ドラムを奏でている。
無理もない。食事と呼べる食事はいまだかつてないのだ。
「なあライモンくん、メシたべよーぜ。すげぇはらへってるんだ」
落ち着いた雰囲気のライモンくんは笑顔でうなずいた。
「そうですね。どっかテキトーな店に入りましょう」
二人は食事のできる店を探した。
オープンカフェは軽食しかできないので、他の室内専門のレストランを探した。
ふたつの尖塔が高くそびえるロマネスク様式の聖堂、聖母教会のわきを通る。
この街はそれとなく神秘的な建物が多い。
「のぼるさん、あの店なんてどうですか?」
ライモンくんがわき道にあった小さなレストランを発見した。
下町の洋食屋さん、という感じの店だった。

「PLAKA」という店だ。
新潟駅の南口に同名のショッピングモールがあるが、こことは無関係だろう。
メニューが店頭に書いてある。どうやら肉料理がメインのお店らしい。
「いいじゃん。ここにしよう」
二人は店内に入った。

店内は客が誰もいない。レトロなインディアン風な曲が流れており、雰囲気は悪くない。
好きなテーブルに座ると、マッチョなウエイターが水を・・・水じゃない、酒を持ってきた。
ガラスのおちょこに入った、少しどろっとした感じの酒。なんなんだろうか。

とりあえずメニューを眺める。
「・・・わからん。読めん。ライモンくん、訳してくれ」
「えーと、ミートドリアとか、肉料理の盛り合せとか・・・ですね」
「肉料理の盛り合せ! それいこう。オレそれ!」
「じゃあぼくはミートドリアにします。飲み物はなんにします?」
「オレはビールだな」
「ぼくは酒はだめなのでコーラにします。じゃ、注文しますね」
「流暢な英会話の見本を見せてくれよな」
「いやー、ぼくの英語力なんてそんな大したもんじゃないんですけどね」
ライモンくんが「Excuse me」と言うと、奥からマッチョが出てきた。
見せてもらおうか、連邦のモビルスーツの性能とやらを。

2016/9/23 09:27  [1498-4890]   

地獄の門 右:聖ヤンス教会 左:聖セルファース教会 マースの市役所

「ぺらぺらぺらぺらぺら!」
ものすごい早口で話すライモンくん。
きみが何を言ってるのかわからないよ。
マッチョは彼の英語をちゃんと理解しているらしく、聞き直しもせずに伝票に記入している。
連邦のモビルスーツはバケモノか。
マッチョは注文を聞き終えると奥へ下がっていった。

「すげーな! オレだったら注文するだけで30分はかかるだろーな」
ライモンくんは照れた。
「そんなことないですよ。生活がかかってるから・・・」
のぼるははっとした。彼の言葉の裏に、留学は決して楽しいことばかりでない、という想いが
ちらっと見えたような気がした。

のぼるは水のかわりに出されていたおちょこの酒をちびりと飲んだ。
「かあっ!」
口の中がビリっっとする。ノドが焼ける。クチビルが弾ける。
どうやらこれは消毒作用の強い酒らしいな。あーびっくらこいた。
ビールとコーラが出てきた。
「では、異国の地で出会った奇蹟に」
「かんぱーい!」
グラスを弾かせ、二人はグイッと飲んだ。
うまい。キリリと冷えたほろにが系のビール、たまらんね。

ほどなく料理が出てきた。
大きな皿に山のように盛られた肉ばっかの料理。
2種類のハンバーグ、くしに刺した焼肉、そして肉野菜いため。まさに盛り合せだ。
対してライモンくんのドリアは卵焼きにひき肉を挟んだような、どちらかというと
女性好みの料理だった。
「うおお、うまそう! いただきまーす!」
「のぼるさん、ぼくにも少しわけて下さいよー。このドリアじゃ少ないですよ」
「いいとも。ガンガン食べようぜ!」
もう二人とも夢中。肉料理も最高でビールが進む進む!
大満足であった。
のぼるにとっては上陸2日目の夕食にしてはじめてまともな食事であった。
 
店を出た二人はこの付近を散策した。
多くのオープンカフェやホテルの並ぶ通りを進むと高くそびえる赤い塔が見えた。
聖ヤンス教会。プロテスタントの教会だ。
そのとなりにはネーデルランド最古の司教区教会堂の聖セルファース教会があった。
ふたつの教会の前は大きな広場があり、市民の憩いの場になっていた。

聖セルファース・・・たしかマース川を渡った橋も同じ名前がしていた。
なんだかイースに出てきそうなネーミングだね。
聖セルファースとは、マーストリヒト最初の大司祭の名前らしい。
異なる宗教の教会が並ぶなんて、日本じゃ考えられない。派閥争いの火種になること必至だよ。

「ライデンの街にもこういう教会ってのはあるのかい?」
「ありますよ。こんな感じの古風な教会です」
「へえ。どんな街なんだ、ライデンって」
「大学がたくさんある街なんです。日本でいう筑波学園都市みたいなとこです。ライデン大学
というとこには日本学科ていう学科もあるんで日本ともけっこうゆかりが深いとこですよ」
「じゃ、日本人もけっこういるのかな」
「そうでもないです。たまに見かけますが、日本人の友達はいないですね」
「そっか。だから言葉をはやくたくさん覚えたんだろう」
「それはありますね」

20:00。ようやく辺りが夕暮れになりはじめた。
二人はトボトボとホテルへ戻っていった。
「では、ぼくは明日ベルギーへ行きます。今日は楽しかったです」
「オレこそ通訳助かったよ。どうもありがとうな」
二人はフロントで別れた。
明日の朝食でまた会えると思ったが、ライモンくんは素泊まりのため朝食はないとのこと。
それから彼と会うことはなかった・・・
なんだか、どことなくクールな少年だったな。

のぼるは部屋に戻るとシャワーを浴び、ベッドに潜るとものすごい勢いで深い眠りについた。
すごく充実したが、歩き疲れたね・・・
さ、明日はどこへ行こうか・・・
 

2016/9/23 09:39  [1498-4891]   

マースのストリート マース川 左奥は聖セルファース教会 スプライトがウィリスに撃たれた現場

ACT.6 RAINY BREEZE


朝だ。
いま、何時だろう・・・
のぼるは寝ぼけながら電子手帳を開いた。
14:50・・・
「なにィーッ!?」
ガバッと飛び上がった。
うそだろ、チェックアウトの時間とっくに過ぎてるじゃねーか!
信じらんねー、そんなに疲れてたのかよオレってば!

大急ぎで荷物をまとめようとした時、ふと壁掛けの時計を見た。
7:50・・・
な、なんだ、14:50って日本時間じゃねーか。
びっくりした。おお、びっくりした。
味方のシュワルツェネガーとはち合わせたときのサラ・コナーみたいだった。

「ふう・・・」
タバコに火を付け、落ち着いたところでカーテンを開けた。
小鳥さんは元気かな?(赤毛のアン風に)
雨。
しとしととかったるく降っていた。
「・・・」
こればっかりは現実だった。
なんてこった。すっげーブルー。
どうしたものか、と「地球の歩き方」をパラパラ見る。
眼が点になった。
今日はvvvが定休日! これでは今日の宿が確保できないじゃないか!
なんてこった。すっげーダーク。
悪いことは重なるものだ。

とりあえず朝食を食べようではないか。まだ朝、今日という日ははじまったばかりだぜ。
のぼるはホテルと並び立つレストラン「アップルビー」へ行った。
ウエスタン風のレストランだ。

朝食はバイキング形式とあり、のぼるはここぞとばかりに皿に盛りまくった。
ぶっといソーセージ、大量のベーコン、いり卵、プルーンペーストのかかった
ライパン、アプリコットタルト、ミルクのタルト、チーズ、ハム、紅茶、コーヒー
トマトジュース2杯、ストロベリームース。
朝から食べる食べる。
外は雨、vvvは定休ときたらヤケ喰いしかないっしょ。
味付けは、ややあっさり風。
オランダの食文化は薄味が基本らしく、良くいえば素朴な味わいといったところだ。
でもチーズは濃厚でうまい。ジャムも美味だ。
窓の外は、相変わらず雨・・・
 
満腹になったところで部屋に戻った。
さて、どうする。vvvが定休なのは痛い。この天気じゃ自力でホテルを探す気力もない。
手っ取り早いのはこのホテルに連泊すればいいのだが、資金がもはや赤字なのだ。
旅行中は1泊3000円くらいの安宿(ゲストハウスなど)に泊まろうと思ってたのだが、
予測し得ない事態が続き、連チャンで1万円クラスのホテルに泊まっていたことはかなり痛い状況なのだ。

まあ、ホテルの支払いは全てカードなので現金は心配ないのだが、日本に帰ったあとが
地獄になりそうで・・・
「・・・決めた!」
のぼるは立ち上がってフロントへ進んだ。
「I'd like to keep my room,if that's possi
bble!」
「OK!」
連泊が決定した。
同時に、さらに深く落胆した。
金で全てを解決してしまった。自分が日本人のいちばんバカな見本になってしまったかのような
錯角に襲われた。

のぼるはこんなことでよく悩む。
今までのツーリング中のトラブルもよく金で解決した部分があった。
その全てを後悔しているわけじゃないが、中には知恵をしぼれば自力で解決できる方法は
いくらでもある、と後で気付くことがかなりあった。自分が我慢すればどうにかなる、
という状況もたくさんあった。

今回も、そのひとつだったのではないか。
そう思えてならない。
これが、弱さだと思う。こんな自分が大嫌いだ。

11:00くらいに雨が上がった。太陽は出てないが・・・
ホテルでごろごろしているのはもったいない。出かけよう!
明日はきっと青空で、いい宿も見つかるさ!(このへんがO型)

駅前通りに来た。
ふむ、どこへ行こう。
のぼるは歩きながらじっくりと行き先を考えた。
この街の文化を知るのにうってつけの、博物館が近くにあるらしい。
「うし! まずはそこへ行こう!」
のぼるはマース川に並んで走る道路をてくてく歩いた。
ひたすらまっすぐの道路。商店街もなく、これから開発が予想される地区だった。

20分ほど歩くと、ディズニー映画に出てきそうな太ったロケットのような銀色のドームのある
大きな建物が見えた。
そこがボンネファンテン博物館だ。
ここで、この街の文化と歴史を勉強しよう!

のぼるは館内に入った。
マーストリヒト周辺(リンブルグ州)で発掘された考古学的遺物、歴史を知るカギになる発掘品が
たくさん展示されている。
化石から中世時代の戦争グッズなど、時代の片鱗が少しだけ見えたような気がする。
まあ、全て英語で解説されているのでまったくもって読めないのだ。
雰囲気だけの世界だね。

この町は古代ローマ時代から、マース川を中心に栄えてきた。
「マーストリヒト」とは「マース川のほとり」という意味らしい。
ローマ軍の駐屯地になっていたので、それゆえに史跡が多いのだろう。
ちなみに、有名な物語「三銃士」の主人公ダルタニアンの最期となった地でもある。
ダルタニアンは実在の人物だったのか。へえー。

大昔、マール石という建築材料がこのへんで採石できたことで街は発展してきた。
その廃坑は郊外に現存し、観光名所にもなっているらしい。全長200?にも及ぶ巨大な
洞くつなんだって。
なんかしらんがナポレオンのイタズラ書きもそこに残っているらしい。
マースは、近隣諸国で戦争が起こるたびに占領され続けた街だったようだ。
この地理的特性から何度も他国に占領されたり、隣国への行き来の際に宿場町になっていたり
したためいろんな国の文化が融合した、いろんな意味で多国籍都市になっている。

この博物館には絵画を展示してある部屋もあるが、のぼるの期待したこの都市の風景画はなかった。
ほとんどがイタリア絵画や現代アートなどマースの歴史に関係ない絵ばかりだった。
それはそれで面白かったが。

2016/9/24 16:34  [1498-4896]   

ケネディ橋の下のスケボー広場 賑やかなストリート 観光船の船着場

ボンネファンテン博物館を出た。
すぐ近くにマース川を渡る橋「J.F.ケネディ橋」が見えた。
なんつーネーミングだ。

橋を渡ると、その橋の下に造られたアスファルトの広場で数十人の少年たちがスケボーをして
遊んでいたのが見えた。
上手いもんだ。
のぼるも、もっと子供の頃にスケボーと出会えれば今頃どこかのストリートボーダーとして
人気者になっていたんだろうに。

などと徒然ない想いをしつつ、緑あふれる市立公園を歩いた。
小さな噴水があり、歩道にはたくさんのベンチがある。
この近くにあるリンバーグ大学の学生らしき若者が噴水と城壁跡のスケッチをしている。

たしか、この公園にある城壁のどこかで、ダルタニアンは処刑された、と聞いたな。
のぼるはベンチに腰掛け、タバコに火をつけた。
「あ、タバコがもうないや。どっかで買おう」
タバコを吸い終えると、のぼるは昨日ライモンくんと行ったレストランの地区へと歩いた。
小さな売店でタバコが売られている。
「LuckyStrike prease」
本来ならラッキーストライクはきつくて吸いたくないのだが、それかマルボロ以外に
知っているタバコがないから、仕方なかったのだ。

そういえば気付いたが、自動販売機はあまり見かけない。
タバコの自動販売機にかぎってはぜんぜん見かけない。
全て売店での販売だった。なんだろう、治安の問題でもあるのかな。

マリファナが合法だったりすごい自由のイメージが強い国なのに。コンビニもないし。
まあ、こんな中世ヨーロッパの面影を残すこの街でセイコマとかあったら
雰囲気ぶち壊しだな。

さて、どうしようかな。まだ夕方前、遊べる時間は残っている。
ふとマース川のほとりに立つと、観光船が南に向かって上っている。
ほほう、この近くに船着場があるのかな。
のぼるは観光船の来た方向へ向かった。
案の定船着場はすぐに見つかった。
「こりゃ、乗らなきゃウソだろ」
なにがウソなのかよくわからないが、のぼるは速攻でチケットカウンターで次の便のチケットをゲットした。

次の便まではまだ1時間くらい間があるので、のぼるは船着場と併設されたカフェで時間を
つぶすことにした。
「One beer prease」
マース川に突き出たベランダのようなオープンカフェ。川のそばのテーブルに座ると、
可愛らしいウエイトレスがビールを持ってきてくれた。
「サンキュー」
「You're welcome?」
「・・・Pardon?」
「You're welcome!」
まぬけな会話である。
彼女もまさか単純なお礼を聞き直されるとは思わなかっただろう。

少しするとのぼるの近くのテーブルに1匹のハスキー犬を連れた老夫婦が座った。
老夫婦はのぼると目が合うと軽く会釈をした。
「Hallo」
のぼるはチョビ(ハスキー犬)の前に立った。
「おー、かわいいなー。いいか、おすわり!」
チョビはすでに座っている。
「よーしよしよしよし・・・お手!」
のぼるはチョビに握手した。
チョビはなにがなんだかわからない顔をしている。

老夫婦はのぼるとチョビのやりとりを笑顔で見ていた。
「He is a clever dog」
老夫婦にチョビのことを誉めたら、二人は声を出して笑った。
「HAHAHA! Thank you boy!」
たしかに利口な犬だ。
ウエイトレスが運んできたポテトには興味を示さず、そのポテトを
老夫婦の手でチョビに向けてはじめてチョビは食べるのだ。
完全に主人に忠誠を誓っているかんじだ。

2016/9/25 18:00  [1498-4898]   

川岸の豪邸 豪華できれいなマンション 聖セルファース橋

そうこうしているうちに時間は過ぎ、クルーズ船の出航の時間になった。
観光船は隣の船着場に到着し、前の客がぞくぞくと降りていた。

のぼるは老夫婦にお別れをして船着場に向かった。
間近で見るとけっこう大きな船だ。
小さなフェリーてな感じだ。
乗船前に受付のおやじに記念撮影だとかいって写真を撮られた。
何に使うというのだ。

乗客はだいたい30人くらい。のぼるも船内に乗り込み、二人がけのテーブルに一人で座った。
英語のアナウンスが流れると、大きな汽笛を鳴らして船はエンジンの回転を上げた。
おお〜、いい感じいい感じ!
聖セルファース橋の下をゆっくりとくぐった。

ここで船内のウエイターが飲み物をオーダしに来た。
さっきビール飲んだから別にいいや、と言おうとしたが、他の客はみんな何らかの飲み物を
頼んでいる。
バカな! こーゆーとこの飲み物は決まって高いんだよ。サービス料が入るから。なのに
なんでそれでも飲みたがるのか! オレだけ頼まないとなんか仲間外れにされそうじゃねーか。
みんな踊らされている! いや・・・この場合踊らされているのはオレの方か・・・!?

仕方ない、一番安いコーヒーを頼もう。あ、アイスコーヒーにしよう。
「レイコー、プリーズ」
「What!?」
はああーっ! しまった! レイコーって日本語じゃねーか!(冷コーヒーの略。主に関西で使用)
「コホン・・・カフィ、プリーズ」
「OK,boy」
やかましい! ミスターと言え! 子供扱いすんな!
しかも運ばれてきたのはホットコーヒー。
しまったぁ、アイスだと言い忘れていた! うあー! なにやってるんだオレは!
「・・・」
冷静になろう。いいか、人間冷静さを失うと醜さだけが残るんだ。(誰に言っているか)

外の景色に集中しよう。
進行方向左手にボンネファンテン博物館が見える。さっき行ってきたとこだ。
進行方向正面にJ.Fケネディ橋が見える。さっき渡ったとこだ。
それをしばらく過ぎると左手にオートキャンプ場が見えた。
ひろびろとしたフィールドで、それぞれ自動車のそばにテントを張っており、これから
夕食でも作りはじめるか、といった雰囲気がひしひしと伝わってくる。
うおー。血が騒ぐ。
海外でキャンプツーリングとか一度やってみたいぜ。

それにしても船ってやっぱ好きやねん。岸辺から見た風景と趣が全然変わるよ。
岸にいると意外と気付かない部分とかあったりするからな。
もうしばらくすると、折り返し地点に接岸した。

このあたりになると街からだいぶ離れ、自然あふれる田舎風景が広がっていた。
ここは、博物館の中で説明した巨大な洞窟「聖ペーターズベルグの洞窟」の入口の近くだ。
洞窟への観光はこの船を使えば便利、というわけだ。
いまの時間では洞窟も閉館ちかくになっているので下船する客は誰もおらず、洞窟から
帰ってきた客が乗船してきただけだった。
船は岸を離れ、川を下っていった。
 
船がもとの船着場に到着すると、それぞれ下船をはじめた。
「う・・・!」
乗船前に撮られた写真が、船着場のボードに張られている。
しかも1枚200円くらいの金を取るというのだ。
もちろん買わなくても構わないのだが、これが買わずにはいられない。
見事な商魂。完敗だ。

さて、帰ろうか。今日のお遊びも消化しただろう。また明日にしようぜ。
のぼるはホテルへと歩を向けた。
そこで待ち受ける、今日最大にして最悪の出来事も知らずに・・・

2016/9/25 19:02  [1498-4899]   


30分くらいかけてホテルに戻った。
あー、歩き疲れた。はやくシャワーでも浴びたいぜ。
のぼるはフロントで新しいカードキーを受け取り、部屋へ行った。
部屋のドアのカード差し込み口にカードを入れる。そうすればドアは開く。
・・・はずなのに開かない。

部屋を間違えたかな、とカードキーと見比べても間違いはない。
いったいどうなってるんだ!
のぼるはフロントへ戻ってジェスチャーを交えつつ必死に事情を説明した。
「だすけ、マイルームイズ、ノットオープン! オーマイガー!」
オーマイガーじゃないっすよダンナ。
フロントの女性は一応のぼるの言った意味を理解したらしく、パソコンを操作した。
「I'm sorry,Now you are safe.Prease open t
he room door」
といって再びのぼるにカードキーを手渡した。
これで大丈夫らしい。

のぼるは部屋に行って再びカードを差し込むと、今度はちゃんと開いた。
ああよかった。チキショー、コンピュータ管理してるなら、そのコンピュータをきちんと
制御しやがれってんだ! まったく!

とりあえずシャワーを浴びて、一息ついた。
だが・・・最悪の出来事というのは、このカードキー事件ではない。
こんなもんじゃ、ない。
「さてと、夕食にくり出そうか」
のぼるは一階へ降りた。

夕食はこのホテルのレストラン、アップルビーで食べようと今朝から決めていたのだ。
雰囲気がいいし、何より近いから。
レストランはとても賑わっていた。
ホテルの宿泊客だけでなく、地元住民と思える若者たちもたくさんいる。
ロックのBGMが流れ、半分バーと化している。

のぼるはカウンターに座ってメニューを眺めた。
メニューは写真付きだったのでそんなに難しくはなかった。
「May I help you?」
小粋なウエイトレスがのぼるに話しかけた。
とりあえずテキトーなワインとボリュームのありそうなパスタを頼むと、彼女は笑顔で「OK」
とカウンターの奥からワインを出し、グラスに注いでもってきてくれた。
「Thank You」
銘柄もなにもわからずに頼んだ赤ワインだが、ちょいにが系の実にうまいワインだ。

のぼるがニコニコしながらグラスを傾けていると、今のウエイトレスがニコニコしながら
のぼるを見ていた。なんだ、気があるのか?
「フ・・・お嬢さん、オレに惚れるなよ。ヤケドするぜ」
「?」
当然ながら言葉が通じない。どうせ通じないならマル禁サイレン鳴りっぱなしの放送禁止
マシンガントークをかましたろかと思ったが、いずれにせよ変態扱いされそうだからやめた。

カウンターの内側ではウエイターが注文の酒を次々と作っていた。忙しさの中にも楽しさが
あふれている。
BGMに合わせて踊りながらリズミカルにスクリュードライバーを作っていく。
トム・クルーズの昔の映画「カクテル」を思い出すねえ。

そうしていると、のぼるの注文したパスタがきた。
トマトピューレのたっぷりかかったきしめんパスタ、ポモドーロ。
そのわきにチキンライスが大盛り。
こりゃボリューム満点だ!
一口食べる。
う、む。けっこううまいが少々塩気が少ないな。
やはりオランダは全般的に薄味なのだ。

のぼるはパスタとチキンライスにペッパーを振った。
「む」
ペッパーが全然出ない。
ふつうのガラスビンに入った粗引きのブラック・ペッパーだが、よく見るとビンの穴より
ペッパーの粒が大きい。
そりゃ出るわけないでしょや。

「仕方ないな」
のぼるはビンのフタを取ってかけようとしました。
「あ」
勢いあまってビンの中のペッパーを全てぶっかけてしまいました。
「な・・・・・!」
のぼるは孤独に完全パニック状態となった。
大盛チキンライスの上に大盛ブラックペッパー!
いやそれかなりヤバいだろ!

ぶっかかったペッパーをスプーンで懸命に除去したが、かなりの粒がパスタにへばりついている。
やばい、これ以上はこそぎ取れない。
どうする、我慢して食べるか。
とりあえずパスタを一口食べてみた。激辛だ。
カレーは辛口派だが、これはそういう辛さではない。
まったくの別問題だ。しょっぱ辛いのだ。
焦りで冷や汗、辛さで脂汗がしたたる。
「ぼくは・・・とりかえしのつかないことをしてしまった・・・ララアーっ!」

仮にここでウエイトレスが決定的瞬間を目撃していたなら、笑い者にされつつも新しいものを
作ってもってきてくれたりしてくれそうなもの。
しかし幸運か不運か、ウエイトレスは他の客に気をとられていたので、この大惨事を知ってはいない状況だ。

見られていたならともかく、自らウエイトレスにこの間抜けな有り様を報告するのは人としての
プライドが許さない。
ここはぐっと我慢して、完食するのだ。
これは要望ではない。命令だ!

かくして激辛のパスタ&チキンライス完食バトルの火ぶたは切っておとされた。
一口食べるごとに口の中に激痛が走る。
水を飲むと逆効果だとわかっていても飲まずにはいられない。
生き地獄とはこのことか。
 
部屋に戻ったのぼるはすっかり生気を失い、ベッドに倒れ込んだ。
あしたのジョー状態であった。

2016/9/25 19:09  [1498-4900]   

ねこフィットV(さん) さん  

2016/9/26 21:39  [1498-4901]  削除

ねこフィットV(さん) さん  

2016/9/26 21:41  [1498-4902]  削除

ホテルの部屋からの風景 平和な街並み

ACT.7 CROSS 3rd COUNTRY


朝が来た。
7:00に目が覚めた。胃がキリキリするためいつもより早く目が覚めてしまった。
内臓は昨晩のペッパーとまだ格闘しているのだろうか。まいったね。
それはそれとしてとりあえずカーテンを開ける。
「うお!」
雲ひとつない快晴!
これ以上ないくらいの天気だ。
窓からの景色が、昨日と比較にならないくらい最高だ。
昨日は雨のため見えなかった遠くの教会の十字架がはるか彼方に見える。
その向こうにはドイツに続くと思われる山々が連なっている。

これは、絶好の冒険日よりだろう!
のぼるは1階のアップルビーへ行って朝食にした。
ベーコン、いり卵、ハイジに出てくるようなコッペパン、カップケーキ、チーズ、ハム、
ミルクにコーヒー。
またもごっそりと食べる。
冒険の前の腹ごしらえだ。

エネルギー充填120%となったところで、波動砲でも軽く撃ちたい気分のまま部屋に戻った。
そして荷物をまとめ、9:00にチェックアウトした。
さらば、アップルパークホテル! 生きてる間にもう一度来れるかな。
「よっしゃあ、行くぜ!」
のぼるは気合いを入れて歩き始めた。
天気がいいと、街の風景までもアクティブに見える。
家が、草木が、道路を走る自動車までも全てが新鮮だ。
昨日の朝あれほどブルーだったのがうそみたい。
心から思った。晴れてよかった、と。
やっぱこうでなくっちゃね!

よーし、今日はバスに乗って国境へ行こう!
 
まずはvvvへ行った。
今日の宿を速攻で確保しておけば、行動が楽になる。
朝一番に行けば安くていいゲストハウスが楽勝でゲットできるはずだ。
vvvの受付のデリミタ(仮名)に話すと案の定、1泊朝食付き3500円の格安ゲストハウスを
紹介してくれた。
ゲストハウスとは、一般の家庭の一室を旅行者のために貸す、というものだ。
よし、安いから2泊しよう。
デリミタはさっそくそのゲストハウスにアポイントを取ってくれた。
予約したゲストハウスはここからすぐ近くにあるらしく、地図をおしえてもらい、

のぼるは早速外に出た。
この角を曲がり、突き当たりを曲がれば、ゲストハウスはある、はず。
なかった。
というより、わからなかった。
一般家庭の一室を貸すシステムならば、看板などの目印がないのは当然だ。
のぼるは付近の家々をしらみつぶしにあたったが、やはり見つからない。

デリミタが言うには、オーナーのクリーマおばさんが家の外に出て待ってくれているらしいのだが
それらしきヒトはどこにもいない。
仕方がない。vvvに戻ることにしよう。
のぼるはデリミタに助けを求めた。
「オレは現場へ行ったが、彼女(クリーマおばさんらしきヒト)はいなかったんだ」
と一生懸命英語で説明した。

デリミタは「仕方ないわね〜」という顔で再度ゲストハウスに電話してくれた。
「そこの椅子に座って大人しくしてなさい。クリーマ婦人があなたを迎えにきてくれるから」
デリミタはそうのぼるに説明した。
なんとも子供っぽい扱いをされ、非常に居心地が悪い。(自分のせいだろーに)

2016/9/26 21:38  [1498-4903]   

ミセス・クリーマ 部屋の中で撮ってもらった

10分ほどすると、少し太った感じのおばさんが店内に入ってきた。
彼女がクリーマ婦人らしい。
彼女もまた「しょーがないわねー」という顔をしていた。
のぼるはデリミタにお礼を言って店を出た。

おばさんと並んで歩く。
「あんた、出身は?」
彼女は英語で質問した。のぼるも必死に応対した。
「日本です」
「ふーん。スシトーキョーだね」
「・・・ははは・・・?」
「学生かい?」
「25才です」
「学生かい!?」
「違います」
「じゃ、サラリーマンだね」
「・・・そうです」
「なぜこの街に来たんだい」
「もう一度」
「なぜこの街に来たんだい」
「この街が好きだからです」
「それじゃ答えになってないよ」
「もう一度」
「それじゃ答えになってないよ」
日本語に訳すと非常に間抜けな会話である。

クリーマ婦人は一つの会話が成り立つたびに深いためいきをもらしていた。
彼女の心中はきっとこうに違いない。
やっかいな客を招いてしまった、と。
彼女の家はのぼるが行った通りのひとつ次の通りにあった。
どうやらのぼるが勘違いしていたらしい。
つくづくおっちょこちょいだ。

4階建てのレンガのマンションで最上階まで上がり、吹き抜けの中庭を通ると彼女の家に着いた。
なんだか不思議な感覚のマンションだ。4階が玄関で3階が居間でになっている。
「これが玄関のカギだ。あんたに渡すから。こうやって開けるんだよ」
「わかりました」

のぼるは玄関から入ってすぐの部屋に案内された。
「ここがあんたの部屋だよ」
「いい部屋ですね」
6帖ほどの部屋にテーブルとベッドと食器棚、そして洗面台。とりあえず2日くらいは快適に
過ごせる環境だ。
「朝食は何時がいいかい?」
「8時がいいです」
「わかった。じゃ、8時前にテーブルの前に皿とナイフとフォークを並べておくんだよ。
飲み物はコーヒーと紅茶、どっちがいい?」
「コーヒーで」
「わかったよ。トイレは部屋を出てすぐにあるから、電気は必ず消すんだよ」
「おっけー。そうそう、あさっての朝、カギはいつ返せばいいのでしょうか」
「あぁ? カギはこうやって使えばドアが開くでしょ。わかった?」
「わかったわかった。で、カギはいつ返せばいいのでしょうか」
「カギはこうやって使うって言っているでしょーが。わかってんの、あハん?」
かなり血圧が上昇しているらしい。
顔を真っ赤にして説明している。
「・・・このカギ。いつ。あなたに返す?」
「ああ、そういうことかい。午前中ならいつでもいいよ」
「ではあさっての朝食のあと・・・9時にお返しします」
「わかったよ。それにしてもあんたの英語、まるでなってないよ。話にならないよ」
「ごめん。英語、でぃふぃかるとぉぉぉ」
「ま、あたしもあんまりわかんないけどさ」

この国の公用語はネーデルランド語。
英語はある程度わかる、という人がほとんどだ。
「これからどこへ行くの?」
「バスで国境へ行こうと思ってます」
「ははあ。いいねえ。気を付けて行って来るんだよ」
「ありがとう、ミス・クリーマ」
「おだてるんじゃないよ!」
 婦人は笑いながら部屋を出ていった。
とりあえず英語がわからないなりに精一杯の会話だった。
婦人のごきげんもとれたし、まずはよかったよかった。

ラジオがある。音楽くらいはいつでも聴けるな。
それにしても質素な部屋だ。なんだかこの街の一般家庭を垣間見たようで、幸せだ。
この部屋でマースの残り2日間を過ごすことになった。
ようやくのぼるの希望通りの宿に泊まることができ、大満足だ。
婦人も話せばいいヒトそうだしね。
・・・そんなこんなで午前中がつぶれてしまった。
宿を確保するのに何時間費やしたんだ。

「さて、行くか、国境へ!!」
のぼるは軽装備で外へ出た。
おっと、カギはちゃんとかけて行こう。

2016/9/26 21:41  [1498-4904]   

ドリーランデンプントへ向かう途中 塔(展望台)から見た、アーヘンの街 行ってみたいねえ

のぼるはマース駅前のバス乗り場へいった。
目指す国境のある地は、ドリーランデンプントというところ。
バスでファールスという地域まで行き、そこから徒歩で行く予定。
ファールス行きのバス時刻を確認し、駅のカウンターでバスのチケット(回数券)を購入した。
バスの乗り方が日本のシステムと違うのでちょっぴりドキドキ。

バスが来た。前乗り前払いだ。運転手のおやじにチケットを渡し、行き先である「ファールス」
と言うと、そこまでの券をやぶいてくれた。
のぼるは後方の座席に座った。あとはほっとけば終点のファールスまで連れていってくれるはずだ。
同乗者は5人くらい、とてもゆったりしている。

間もなくバスが発車した。
そういえば、保育所に行っていたガキの頃、将来の夢に「バスの運転手」と書いたことがある。
理由は若い保母さん(山口さん。実名)を送迎したかったから。ガキの頃からマセてたねー。
それはともかく(何を狼狽しているか)景色は最高だね。
マースの街を離れると民家はいきなり激減し、畑や草原の続く丘陵地帯になっていく。
このへんの民家は田舎の好きなお金持ち、というイメージがある。
家は当然、庭も車庫も大きくてきれいなところが多い。
いーなー!
こんなところに暮らせたら、どんなに幸せだろうか。

対向車にトヨタのイプサムを見た。しかし「ピクニック」という車名になっていた。
のぼるの愛車テリオスも見た。自分の車が海外で見れるととても嬉しいね。
自分がインターナショナルな感覚になれる。

自分がまだ行ったことのない土地へバスに揺られて連れていかれる、ドキドキの好奇心と少しの心細さ。
最近忘れてかけていた感覚だ。
これが、旅における「心」の醍醐味だね。
心が洗われるというか、本当の意味でリフレッシュさせられる。

専門学校のころから毎年のように一人旅をしてきたが、このような「言葉も知らなければ
知り合いも誰一人いない土地」でふらふら旅ができ、かつそんな精神的余裕ができるように
なったのは、知らずのうちにけっこう成長してたんだな、と我ながら思う。
単に開き直っているだけなんだけどさ。

45分ほどで終点のファールスに到着した。
ネーデルランド、ベルギー、ドイツの三国の交通の要所として栄えた、小さいながらにぎやかな街だ。
ドイツのアーヘンへと続くメインストリートに沿ってカフェやホテルが並んでいる。

メインストリートの両側を眺める。南はベルギーへ続く山のような上りの丘陵、北はドイツへ続く
谷のような下りの丘陵。
風車もあるしまるで実物大の風の谷だ。
ガンシップでも飛んでいたら本物だね。

この街にもvvvがあったが、目的地であるドリーランデンプントは地図で見てわかったから
立ち寄ることはしなかった。
寄ったところでコミュニケーションに費やす時間は計りきれないしね。
「よし、行くぞ!」
のぼるは南の上り坂に向かって歩き始めた。
立て看板に「Drielandenpunt」と書かれた矢印に沿って歩けばいいだけだ。

ドリーランデンプントとは「三カ国の点」という意味で、その名の通り三国の国境の交わるところだ。
目に見える国境って、日本にないからね。一度は見たいさ。
のぼるはひたすら歩く。
上り坂に沿って民家が立ち並ぶ。
だんだんと家が少なくなって森が広がってくる。
汗がだくだく出てきた。
でも気持ちいいね、ハイキング気分だ。

30分ほど登ると20〜30メートルほどの高さの巨大な木の塔が見えた。
展望台だ。登ってみよう。
塔の下には小さな売店があった。塔に登るにはこの店の主人に2ギルダー(150円くらい)を
払わなくてはならないらしい。しょーがねーなー。
のぼるは1ギルダーのコインを2枚、駄菓子屋のような店のおばちゃんに渡し、塔に登った。

のぼるは勝手にこの塔を「風の塔」と名付けた。登りながら、のぼるはドラクエ2の塔のBGMを
口ずさんでいた。臨場感抜群だ。ここでマンドリルとか出てきたら戦っちゃうよ。
オレそーゆーヒトだから。(ここでBGMはボスのテーマに変更する)

最上階に到着。誰とも戦ってはいないが、体力は疲れてひん死に近い。
だが、いい景色だ。
ドイツのアーヘンらしき都市がはるか彼方に広がっている。すげえ。
「ソロモンよ、わたしは帰ってきたー!」などと絶叫したくなるね。(意味不明)

地上へ戻った。ゲームならば最上階から飛び下りればすぐに外に出れるが、現実にそれをしたら
人生のゲームオーバーになってしまう。
しかもコンティニューきかないよ。
そういうことを考えるとゲームは少し恐ろしくなる。
面白くするために制作者の御都合主義でつくる世界なわけだからね。
つまり面白ければ面白いほど現実との隔たりがある。そのギャップを正確に認識できないヒト、
世の中に意外と多いのでは、と思う。認識できないのか、したくないのかは別問題として・・・

すっかり別の話になってしまったが、のぼるはさらに林の小道を進んだ。
いちおう、ドリーランデンプントは観光地らしく、小さなカフェとホテルが2件ほどささやかに
あった。送迎バスなんかもあって日本でいえば料亭とか旅館みたいなかんじだ。

上り坂はこのへんまでだ。ここからはなだらかな平地が続く。
林のわきに自然の花畑があり、とてもいい感じ。
ハイジがバク宙でもしそうなきれいな花畑だ。

2016/9/26 21:53  [1498-4905]   

ここが3国の国境 オランダ最高峰の碑 ここらへんでスプライトとランダムは出会った スプライトが昼寝をした理由がよくわかる

間もなく大きな駐車場が見えた。
どうやら目的地ドリーランデンプントに到着したようだ。

自然公園といった感じで、芝生が生えている広場にいろんなモニュメントがある。
そのモニュメントのひとつに「ネーデルランド最高峰」の碑があった。
ここは三国の中点であると同時にネーデルランドのいちばん高い地点でもあった。
ここに来てはじめて知ったよ。
とはいえ、海抜322.5メートルしかないんだけど。
マースから乗ったバスを含めずいぶん高いとこまで来たかな、と思っていたが、
こうしてみると大した高度じゃない。いかにこの国全体が低い位置にあるか、ということが
よくわかった。

そのもう少し奥に、あこがれの国境はあった。
50センチメートルほどの高さの円柱に「ネーデルランド」「ベルギー」「ドイツ」のそれぞれの
国境が分断されている。
ここが三国の中点、ドリーランデンプントだ!
円柱のまわりにはそれぞれの国旗が掲げられていた。

国境が分断されてるとはいっても、有刺鉄線とかベルリンのような壁などは一切ないし、
パスポートチェックもない。それぞれの国がお互いに信頼しあっている証拠ではないだろうか。
テレビのニュースで、インドとパキスタンの国境が緊張とかいう報道がよくあるが、ここでは
そんな緊張は一切ない。
まったく、同じ人間同士を認め合えない宗教のどこに意味があるのだろう。
「・・・」
知恵熱が出てきたところで休憩しよう。

のぼるは露店でフライドポテトとビールを買ってテーブルに座った。
フライドポテトは注文してから揚げるので、少し時間がかかったがとても美味しい。
マヨネーズのディップはクセになるね、ほんとに。
本当にいい天気。来てよかった。
 
しばらく休み、16:00に出発した。
ファールスまでのバス停までの帰り道、今度は違う道を歩いてみた。
民家を少し外れた畑の続く緩い下り坂。とても絵になるね。
花畑とかあって、そのど真ん中で大の字になって昼寝をしたくなる。
畑のど真ん中に一本生えた、ささやかに茂った樹がいいアクセントになっている。
数十年後には大きな菩提樹になるかな。そしたらもっとカッコいいなー。
いろんな想像をしながらのぼるはバス停に向かった。

バス停にはタイミング良くマーストリヒト行きのバスが停まっていた。
のぼるが乗り込むと、間もなく発車した。
1時間に1本あるかないかのバスだったので運がよかった。
いやー、歩き疲れた。
のぼるは窓を開けて風を浴びた。
 
いつのまにか眠ってしまったようで、気付いたらマース駅に到着した。
風があまりに気持ちよくて、すごい熟睡状態だったらしい。
のぼるはバスを降りてマース川に向かった。
「ん〜、充実した一日だった。夕食は何を食べようかな」
適当なレストランを探して、聖セルファース教会と聖ヤンス教会の前のフライトホフ広場についた。

「ん?」
なんだか様子が昨日と違う。
広場の片隅に露店が4〜5件ほど出ているのだ。
もう夕方なので店仕舞いの露天もあったが、1件だけはまだ営業している。
なんだか珍しいベトナムの春巻の店だった。
「へえ。なんかうまそうじゃん。よし、夕食は春巻で決まりだ」

のぼるは店のベトナム人のおやじに野菜春巻を2本、その場で揚げてもらった。
ついでにジュース(スプライト)も買って、店を離れようとしたら、
「Are you Japanese?」とベトナム人のおやじに聞かれた。
すこし躊躇したが「Yes」と素直に答えると、
「ハハン! You are my friend!」と言ったあとに「どもありがと」と日本語で話した。
「どういたしまして!」
と日本語で返したら、笑顔で手を振ってくれた。

外国人が日本語をしゃべると、想像以上にびっくりする。
特に海外で日本語に出会うととても新鮮だ。
のぼる自身、最初から相手は日本語など話すわけないと思わなければやってられないので
ちょっとした日本語でも非常に嬉しいものだ。
今朝クリーマ婦人が「スシトーキョー」と言ったのも、実はちょっと嬉しかったのだ。
ただ、いやな話になるが、スリなどはそういう心のスキを狙ってくるので財布の管理だけは
メチャクチャ厳重にしていなければならない。

さて、のぼるは広場の片隅にあった誰かの銅像の下に腰掛けて春巻を食べた。
パリパリの皮の中に塩味の野菜いためがぎっしり入っている。
チリソースにつけて食べるとあつあつでうまい。
2本で腹いっぱいだ。満足満足!

フライトホフ広場の周辺をそれとなく歩いてみると、偶然だが日本のアンティークショップを
見つけた。
ショーウインドウに浴衣が飾られており「ZAZEN-KIMONO」と書かれてある。
なんでやねん! とつっこみをいれたくなったが、まあ海外から見た日本文化なんてえてして
へんてこりんなもんだろう。
のぼる自身隅から隅まで理解しているわけじゃないし・・・

19:00。各教会の鐘の音をバックにゲストハウスに戻った。
マースは、これから夕暮れに向かう・・・

2016/9/26 22:07  [1498-4906]   

ゲストハウスの部屋からの風景 子供たちが玉蹴りをして遊んでいた



ACT.7.5 MIDNIGHT WALK


日本ではもう暗くなっている時間なのに、ここではまだ夕暮れくらい。
子供たちも外でキャッキャ言いながら玉蹴りをして遊んでいる。
平和なもんだ。

ていうか、この旅では延々と歩いてばかりいたので、とにかく疲れた。
すこしベッドで横になるとしよう。

・・・・・

真夜中に起きた。
時計は1:30だって。よくもまあ、こんな深夜に目が覚めたものだ。
原因はふたつある。
一つめは、早く寝すぎたこと。20:00に部屋の明かりを消し、速攻で熟睡したのだ。
だから今くらいの時間に目が覚めてもおかしくはない。
二つめは、えらくノドが乾いたこと。
布団は暑くもなく寒くもなく快適だが、気候のせいか夕食のチリソースが効いていたのか、
ともかく異常に水分を求めた結果目が覚めたのだ。

前日泊まったアップルパークホテルでは各階にジュースの自動販売機があったので、その点では
どうにでもなったが、このゲストハウスではそうはいかない。
水道はあるが、できるだけ飲みたくないのが本音。
どうする・・・

「出るか・・・外へ・・・」
のぼるは英断した。
飲み物を求めて夜の街を歩くことにした。
着替え、財布から札を1枚だけ持って外に出た。
「う・・・」
寒い!
昼間は天気がよければTシャツで行動できるのに、夜は長そでのジャケットを着ても寒い。

慌てて部屋に戻ってトレーナを中に着てきた。それでも寒い!
いまの気温は10℃だって。ひー!
のぼるは飲み物を求めて街を彷徨った。
もちろんいたずらに徘徊するつもりはない。
昼間歩いていたときに自動販売機の設置してあるポイントを覚えていたので、
行き先ははっきりしていたのだ。

しかし、昼間あったはずの自動販売機は、夜になると例外なく全て店内に格納され、
堅い扉に錠をされていた。
ウソだろー。
日本のジュースの自動販売機は完全据置き型が当たり前だし、なによりそんな重い販売機を
毎朝毎晩店の外に出したりしまったりするのは面倒くさいだろうに。
のぼるは完全にあきらめた。

目の前にマース川に掛かる聖セルファース橋が見えた。
ガス灯の明かりがとてもいい雰囲気だ、と思っていたらまわりは全てカップルだらけ。
夜になるとここは恋人たちのスポットになるわけか。
「向こうのJ.Fケネディ橋の明かりが水面に反射してきれいね、ランダム」
「フッ、きみの方がずっと綺麗さスプライト」
「寒いわ・・・凍えちゃう」
「オレが暖めてあげるよ」
「寒いのは気温じゃないわ。あなたのギャグのことよ」
「ギャグじゃねっての。オレは本気できみのことを・・・」
「あたし(インドに)帰る」
「そりゃねーぜセリョリータ!」
「つまんないわ。Death!」
「デ・・デスですかぁ!?」
「Deathです!」
なんていう会話がささやかれているのか。(どういう会話だ)

それにしてもマジで寒い。
仕方ないから帰ろうか。
夜の通りに出るだけでもけっこう無謀なことしてると自分でも思う。
明日の夜はジュースの1本でも部屋に置いておいたほうがいいな。

ゲストハウスに帰ろうとしたとき、バーらしきお店が開いているのを発見した。
「ラッキー、こんな時間でもやってる店あるんじゃん」
ジュースといわずビールにありつけそうだ。店内には客も1人いる。
のぼるは店内に入り、速攻で「One beer Prease!」とマスターに頼んだ。
しかしマスターは「I'm Sorry」と言って両手を胸のあたりから離すジェスチャーをした。
閉店だと言いたいのだ。最後の客も立ち上がって支払をしようとしている。
「そんな・・・頼むよ、One beer Prease! 一杯だけ!」
しかし拒否され、仕方なくのぼるは外に出た。
寒い・・・世間の風ってやつが・・・うう・・・
 
のぼるはみじめな気分で自分の部屋に戻り、水道水を祈るように飲んだ。
「どうか当たりませんように」
そして再び深い眠りについたのであった。

2016/9/26 22:15  [1498-4907]   

聖ペーターの砦からの風景 カフェテリア貸切だぜ♪ 朽ちた城塞跡。ラピュタみたい

朝だ!
7:50に目が覚めた。やばい、もう朝食の時間だ。
急いでテーブルを片付けて皿やフォークを出して朝食の準備をした。
間もなくクリーマ婦人が朝食を持ってきてくれた。
「おはよう」
「おはようございます」
「朝食はこんなんで足りるかねぇ」
「もう一度」
「これで満足できるかっての?」
「問題ない」
「じゃ、食べ終わったらトレーごと廊下に出しておきなよ」
「アイ・マム」
婦人は出ていった。
さあ食べようか!
茶色の食パン、コッペパン、スライスチーズ3切れ、生ハム数切れ、そしてコーヒー。
昨日のホテルほど豪華ではないが、考えてみれば朝などこれくらいで充分だ。
マーマレード・ジャムをコッペパンに塗りまくってかぶりつく。うまい。
チーズとハムを食パンにのせてむしゃぶりつく。うまい。
コーヒーをノドを鳴らせて飲む。熱い!
 
お腹いっぱいになったところで本日のスケジュールのミーティングをしよう。
明日は朝一番でアムステルダムへ戻るため、今日がマースでくつろげる最終日となる。
というわけで、本日はマースの街を徹底的に歩きつぶそう。
のぼるは適当に決断し、外に出た。

まずはふたつの教会の前のフライトホフ広場に行った。
行ったところで意味は特にないのだが、マース散策はここから始まるような気がして、
とりあえず来てみたのだ。

広場の周辺のカフェは、まだ朝だってのに観光客がビール片手に賑わっている。
日本なら「いい生活してるよなー」などと上司にイヤミ言われそうなシチュエーションだ。
本心ではのぼるもあの集団の中に入ってゴイゴイとビールを飲みたかったが、そうもいかない。
街が、オレを呼んでいるからな。(酔ってるか?)

広場を過ぎ、しばらく歩くと、中世ヨーロッパを忍ばせる巨大なレンガ造りの門が見えた。
「地獄の門」というのだそうだ。
なんとも重厚なネーミングだ。この国最古の門なんだそうだ。
修羅の門はないのか、と思ったがなかった。「裏蛇破山 朔光」「ぬうう」「おおお」

その先にペストハウスなる建物があった。
ペストという伝染性の重病がヨーロッパ中に猛威を振るっていた当時、患者は「地獄の門」を
通ってそのペストハウスに隔離され、そこで死だけを待った・・・。
そんな凄惨な過去がここにはあったらしい。
そんな身の毛もよだつ場所も、今では市民にやすらぎを与える美しい公園になっている。
うーむ。なんだか恐い。
過去もそうだが現在もだ。
ペストを大流行させたネズミも今では千葉の埋め立て地でパラパラ踊ってるし、
時の流れというものは罪深いものなのかもしれない。

城壁に沿って公園を歩く。
途中に階段があり、そこから上にあがることができた。
まるでミニチュア版の万里の長城だ。
その途中には本物の砲台があったり(もちろん撃てないが)して、大戦当時の様子が生々しく
残っていた。
マースは国内でも有数の激戦区だったんだろうな。

城壁を後にし、のぼるは郊外へと歩いた。
ちょっとした観光名所「聖ペーターの砦」と呼ばれる丘に行くのだ。
緩やかな登り坂を淡々と歩くと、砦はあった。
「聖ペーターの砦」それは中世の時代からのマースの最終防衛ラインであり、そこを突破されたら
もはや街の平和は風前の灯となる、この街にとって非常に重要な拠点なのだ。

砦は頑丈にレンガで造ってあり、いたるところに砲台が設置されてあった。
砦というよりは基地というイメージが強いね。
で、この平和な時代になり、この砦は・・・内部を改装され、カフェテリアになっていた(笑)

のぼるは店に入り、窓際のテーブルに腰掛けた。
ミニスカートのメイドルックがよく似合うかわいいウエイトレスがメニューを持ってきた。
「One beer prease」
ウエイトレスは元気よく「OK」と言ってグラスのビールを持ってきてくれた。
うまい!
このビールは「アムステルビア」という地ビールで、コクがあるのにキレがある、
とてものぼる好みのビールだった。
「うむう、たまんねー。May I have another One?」
「OK♪」
ウエイトレスはスマイルで2杯目を持ってきてくれた。
のぼるの他に客はいないので、さっきまでヒマだったのだろう。

いやー、ビールはうまいしウエイトレスはかわいいし、景色も最高。
言うことなしだ。
ここが昔、激戦の現場だったことなど思わず忘れてしまう。それは悲しいこと
なのかもしれないが、悪いことではないだろう。
現代のここは平和で楽しく飲める場になった。
そこで楽しく飲んで何が悪いことがあろうか。

街の景色がここの窓から見える。
鋭角の屋根が多々並ぶ中にひときわ高くそびえる聖ヤンス教会の塔。
やっぱ街のシンボルだわ。迷ってもあの塔を目指せばたいていどうにかなるしな。
カランコロンとどこかの教会が12:00の鐘を鳴らしていた。
ああ、どこかの世界名作劇場の世界に迷いこんでしまったようだ。
そのへんでポリアンナが「チップマック〜」と叫びながら跳梁跋扈していたとしても
まったく違和感がないだろう(いや、アレはヨーロッパではなくアメリカの物語だが・・)

そうか・・・子供の頃に憧れたこういう景色は、ハウス食品提供の世界名作劇場を
毎週観ていた影響が強かったのだろう。
現在ですら「牧場の少女カトリ」や「ブッシュベイビー」のDVDが出たらマジで買おう
と思っているくらいだから、その想いは本物なのだ。

そんなへっぽこな想像をしているとは、ウエイトレスは思いもしてないだろう・・・。
「さてさて、もう行かなきゃな。明日にはもうこの街ともお別れなんだ・・・」
どこかで聞いたセリフをつぶやきつつ、のぼるは店を出た。

さて、今度はどこを探検しようか。
ささやかに砦をぐるりと1周してみると、のぼるは小さな歩道を見つけた。
明らかに観光客用の道ではなく、知るひとぞ知るといったけもの道だった。

2016/9/27 21:51  [1498-4908]   

丘の上からのベルギーの街並み ひつじ牧場 何気ない原っぱでさえも感動

「これは・・・」
もう行かずにはいられない。
ガキのころ裏山でドロにまみれながら探検ごっこをしたときの記憶が鮮やかに蘇る。
血が騒ぐとはこのことだろう。

森の歩道を草をかき分けながら進んだ。
どこへ続く道なのかわからないし、下手をしたら迷ってこの森から出られなくなるかもしれない。
「だったら戻れ!」と心の中のもう一人ののぼるが叫ぶが、そうもいかない。
この先に素晴らしい景色が待っているかもしれないからな。
今戻ったら後悔しちまうよ。

5分ほど進むと、開けてきた。そこは・・・
マジで素晴らしい景色があった。
丘の上の広大なひつじ牧場。
柵などなく、自然の芝生の中で20匹ほどのひつじがのんびりとしている。
まるでベイブ(実写の小ブタがしゃべるアメリカ映画)の世界だ。

丘の外れからはベルギーの街並みが見える。
やっぱこうこなくっちゃね。来てよかった。
すげぇいい眺めだ。
「とーとーとーとーとー」
ひつじのふかふかした毛並みに触れようと彼等に近付くと、集団で遠ざかる。
「とーとーとーとーとー!」
こっちが走って追いかけると向こうも走って逃げる。
常に一定の距離を保つようになっているようだ。
警戒心が強いのね。はぐれメタルか。北海道のひつじはもっと人なつっこかったぞ。
やっぱ英語で語らないとだめなのかな(そういう問題か)

のぼるはモフるのをあきらめて先に進んだ。
丘を下ると広い畑の一本道に出た。
これもまたなんともいえないシチュエーションだ。
フランダースの犬の、アントワープの街に続く一本道のようだ。
「うおおー、ネローッッっっっ!!」
思わずあのラストを思い出してしまった。
あれは生涯忘れられないクライマックスシーンだよ。

一本道の途中で森に続く小道を見つけた。
軽自動車がやっと通れるくらいの道だ。
やっぱり行かずにはいられない。
とうきび畑(だと思う)の間をてくてく歩いて森へ入っていく。
ひんやりとした空気が気持ちいい。
・・・などと思っていたのもつかのま、今度は行き止まりだった。
正確には、先に進めなくなっていた。
トンネルらしき入口に巨大な門が築かれており、厳重に錠がされていたのだ。

「おや」
門になにか文字が彫られている。
「Grotten St. pietersberg」だと。
ここが聖ペーターズベルグの洞窟の入口だったのだ。
噂ではこの洞窟は全長200キロメートルもある。
このためいくつもの入口がいたるところにあってもおかしくない。
むしろ当然だ。ここは観光客用の入口ではないが、立派な迷宮への入口だ。

えてしてこのように封印された迷宮にはお宝財宝が眠っていそうなもので、興味半分で探検したいが、
全長200キロと聞くとシャレにならない。
一度迷ったら絶対外には出れないだろう。運よく王女が捕われている部屋を見つけても、
番ドラゴンに見つかり「しかし逃げられなかった」の連続で炎の攻撃を受けたりしたら即死もんだ。
リレミトの呪文が使えるわけでなし。死んだら自動的に教会に瞬間移動されるわけでなし。
持ち金が半分にされ「おお、のぼるよ死んでしまうとはなにごとだ」などと神父にイヤミいわれる
だけなわけでなし。
「いやはや、霊験あらたかな洞窟(の入口)でしたな。さ、次行きますか!」
すっかりビビったのぼるは来た道を戻った。

もとの一本道に出てしばらく歩くと、小さな教会を見つけた。
最近建てられたようできれいな教会だ。
街の聖ヤンス教会や聖セルファース教会のように古くて大きくはないが、この田園風景に
マッチした素敵な教会だ。
教会のわきには多くの十字架が掲げられている。日本でいう田舎のお寺のノリだね。

ここでも大晦日の夜にキャンプファイヤーとかやってワラ人形をその火の中に投げ入れ、
そのあと酒盛りしておみくじで締めるのが風習なのかな(日本人が日本文化を曲解すんな)

2016/9/27 22:02  [1498-4909]   


ちなみに、だが。
先ほどビールをいただいた「聖ペーターの砦」もStep Up!で出てきてます。
ヒロインのスプライトがバイク組み立て間近というところで、気分転換にここに来て
気持ちを整理した、というシーンです。
その直後から暴走バイクとのチェイスのシーンになっていくところですな。



しばらく歩くとマース川のほとりに出た。
川に沿って北へ歩けば街に戻れる。
川のほとりの住宅地を眺めながら歩く。
ベランダがすぐマース川になってる家。なんだかすごいね。
玄関開けたら2分でジェットスキーができる。マルサが来ても速攻で逃げられる体制がとれる。

10分くらい歩くとJ.Fケネディ橋の下をくぐった。
その先はいつも知っている公園と聖セルファース橋へ行くので、もう少し冒険するために
内陸方面へ歩いた。
マースでもまだ歩いたことのないところはたくさんあるからな。
一般のヒトが生活していると思われる住宅地のエリアだ。
バイク屋や小さな雑貨屋など生活感あふれるストリートを歩いた。
うむう。庶民的でワンダフルでエッセンシャルでドモホルンリンクな感じじゃないか。
(超絶意味不明)

そんなこんなで森永チョコボールのキャラクターのようにキョロキョロしながら歩いていたら、
知らぬ間に大変な事態になってしまった。
迷ったのだ。
来た道もわからない。迷ったときの頼りの綱である聖ヤンス教会のシンボルの塔も見えない。
どうしよう。

とりあえず、歩き続けた。
住宅地は、一度迷うと永久に迷い続けるのではないか、と錯覚させられるほど同じ景色がリピートする。
これは日本においても同じ。
以前のぼるは引越ししたばかりで迷ったという恥ずかしい過去を持つが、根本的に
方向オンチなのかもしれない。
「やべーな。バグってんじゃねーか。セーブしたとこまで戻れないかな」
どこでセーブしたのか、とつっこみを入れてくれる合方もいないままのぼるは途方に暮れながら
トホホーと歩いた。

夕方。
なんとかやっとのことで朝のフライトホフ広場に辿り着いた。
身も心も疲れ果て、広場の銅像の下に腰掛けた。
「やれやれ・・・これでマースでのイベントは消化したかな・・・」
本当に楽しかった。毎日10キロ以上は歩いていたので足がかなりイカれているが、
歩けば歩くほど楽しいところ、楽しいことがあり、辛いと思うことは全然なかった。
ほとんどが、気付いたら疲れてた、
という状態になっていたのだ。これが無我夢中モードというやつか。

アインシュタインの相対性理論の原理では、夢中状態では時間が早く進み、
うらぶれ状態では遅くなる、という。
まさにそれだ。
本当にこの4日はあっという間だったね。
 
フライトホフ広場のそばにあったファーストフードでポテトとチキンのくし焼きセットを
テイクアウトし、ゲストハウスに戻って食べた。
夕食にしてはなんだか質素に思えるが、これが意外とかなりのボリュームだった。
スプライトを飲みながら出窓の景色を眺めた。
いまは20:00。ようやく太陽が西に沈みかける黄昏どき。
前のマンションの前でまた子供達がサッカーをしている。
日照時間が長いと、それだけ遊ぶ時間が長い。うらやましいね。

さてさて、明日はアムステルダムだ。
そして明後日には帰りのフライトとなる。
名残惜しいよ、まったく。
 
のぼるは荷物をまとめ、明朝すぐに出発できるようにスタンバっておいてから眠りについた。

2016/9/27 22:16  [1498-4910]   



ACT.9 LIBERTY TOWN AMSTERDAM


マーストリヒトと別れの日が来た。
顔を洗い、着替えるとクリーマ婦人が朝食を持ってきてくれた。
「今日はどこへ行くの?」
「アムステルダムです。明日日本に帰るので」
「そうかい。わたしもいつか日本とやらに行ってみたいねぇ」
「もう一度」
「わたしも日本に行きたいっちゅーてんじゃいや!」
「では一緒に行きましょうマダム」
「冗談は顔だけにしときな。じゃ食べたら食器を廊下に出しておきなよ」
「アイ・マム」
メニューは昨日と同じだった。

のぼるはマース最後の食事をよく味わって食べた。
それはあたかもこれから監獄へ閉じ込められてしまう最後の晩餐のような感覚だった。
それほどマースとこの宿の居心地がよかったのだ。
「来て良かった」という想いを通り越して「帰りたくない」という想いが駆け巡った。

ま、仕方ないやね。
この街でどっかのガレージ探してそこで暮らすとかいうどっかの物語じみた展開なんてないし、
仮にあったとしても言葉の壁のせいで職にも食にもありつけなくなるのは簡単に想像できる。
現実は冷たいもんさ。

出発の準備が整った段階でクリーマ婦人が部屋の鍵を取りに来た。
のぼるは婦人に鍵を手渡した。
「2日間、お世話になりました。本当にご親切感謝します」
「やだねえ、そんな言葉どこで覚えたんだい」
「もう一度」
「・・・いや、そんなことより、アムスの宿は決まっているのかい?」
のぼるは情報誌「地球の歩き方」のアムスのページを婦人に見せた。
「予約はしてないけど、このドリアホテルという宿にしようと思ってます」
「ふうん・・・ちょっと待ってな。そのホテルに電話して部屋が開いてるか確認したげるよ」
「ありがとう。助かります」
クリーマ婦人は電話をかけに階段を下っていった。
なんてこった。すげーいいヒト。
なんだかんだいっても優しいね。
やっぱ泊まるなら多少不便でもゲストハウスが一番だ!
ふつーのホテルじゃこんなことやんねーもんな。
婦人が戻ってきた。
「部屋はたくさん空いているから予約の必要はないよ。いきなり訪問すれば泊めてくれるってさ」
「もう一度」
「いきなり行ってオッケーだっちゅーの!」
「わ、わかりました」
「でも1泊120ギルダー(8000円くらい)もするねえ。他にもっと安くていいホテルが
あるんじゃないかい?」
「(何度か聞き返した後)うーん。そうかもしんない。とりあえずアムスのvvvで斡旋してもらうよ」
「それがいいね。アムス行きの特急インターシティはマース発10:31だ。そろそろ出発したほうがいいね」
「わかりました。それでは、お世話になりました」
「気を付けて楽しんでおいで」
「いろいろ親切にしてくれてありがとう。また会いましょう」
「ああ。そのときはたくさん英語覚えてきな」
のぼるはクリーマ婦人と別れ、外に出た。

この街にいた4日間、ぜんぶこのゲストハウスで泊まれていたらよかった。
安くて、メシはちゃんとあって、街に近くて、そして親切。
こんな宿はめったにないよ。よかったよかった。

のぼるは通りに出て、駅へ向かった。
聖セルファース橋を渡る。
マース川もこれで見納めか。
駅前通りでは市場が開かれていた。
のぼるはそこでスナック菓子とビールを買っていった。
アムスまでは電車で2時間半くらいかかるから、おやつ持参だ。(オヤジくせえな)

マース駅でアムス行きのチケットを購入すると、すぐに電車はホームに来た。
今度こそ2階建てか、と期待していたが1階建てのノーマルタイプだった。残念だー。
座席に座ると電車は動き始めた。
「また来るぜ、マーストリヒト・・・」
もう来れないかもしれない、と後悔するのではなく、次また来るために努力をしよう。
のぼるはそう思った。

しかし旅はまだ終わってはいない。今日はアムステルダムでいろいろ見るんだ。
初日にアムスの駅周辺だけは見たが、あのときは宿が取れるかどうかの切迫した状態だったから
ろくに覚えていない。今回はきっちりといろいろ見てまわろう。
自由の都市アムステルダム・・・世界中から冒険者が集う自由の聖地。
そんなフレーズを聞くと血が騒いで仕方ない。
インドから徒歩で歩いてきた旅行者がいても、不思議じゃないよ。

アムスでは何をしようか、とのぼるは情報誌をペラペラめくる。
車窓からは田園風景が広がっていた。
 
13:00アムステルダム中央駅に到着した。
この国のいちばん外れにあるマーストリヒトからアムスまで2時間半だから、
いかにこの国の面積が小さいかわかる。
大きさ的には九州と同じくらいなんだそうだ。
ユーラシア大陸の一部だから、すっげーでかい国なんだろうと思っていたが、
面積的にはそんなに大きいところではないみたいだ。

で、アムステルダムだが、13世紀にアムステル川の入り江にダムを作りそこに人々が住みはじめた。
それが現在のアムステルダムのはじまりだ。
港町として発展したアムスは、自由の都市として、各地で迫害された人々を受け入れていった。
港町として世界一に発展したアムスは、世界の物資が集まり、世界を見聞した人々の見識が
より街を「自由」「寛容」「合理的」に育てていったという。

第二次世界大戦、この街はドイツに占領されつつも、不条理な権力を嫌いユダヤ人を危険を
冒してまでもかくまった。
「アンネの日記」の現場でもある。
そのスピリットは現代において、またのぼるの目においてどう映るのだろうか。

2016/9/28 21:50  [1498-4911]   

アムステルダム・セントラルステーション 駅前のストリート ダム広場の戦没者慰霊塔 ドリアホテルの部屋

のぼるは駅のホームに降りた。
駅を出る前にvvvで宿の手配をしよう。
まだ昼過ぎなので宿はどこでも空いているはずだが、手配だけは早く済ませたほうがいいからな。

先日お世話になったファンタがいた。
彼女はのぼるを見て「Oh!」とびっくりした。
のぼるのことを覚えていたようだ。
ま、記憶力がいいというよりは閉店間際のやっかいな客として心に残っていたのだろう。
「この間はお世話になりました」
「あの後どーなったの? ちゃんとホテルに着けた?」
「もちろん。いい旅ができたのもあんたのおかげさ。愛してるぜ」
「そっかー、よかったね。今日は?」
スルーかよ。
「そうそう。今日の宿を手配したいんだ」
「条件はある? 金額とか、朝食付きとか、駅から近いとか・・・」
「特にないけど、こんな感じのホテルがいいかな」
のぼるはファンタに「地球の歩き方」のドリアホテルの案内ページを見せた。
「ふうん。このホテルならまあまあ駅から近いし、このエリアにしちゃ安いほうだね。ちょっと待ってて」
ファンタは端末を慣れた手つきで操作した。
「大丈夫、部屋は空いているよ。ここで予約すると手数料のぶんだけ高くなるから、
直接ホテルへ行ってフロントと話したほうがいいよ」
「そっか」

ドリアホテルに空きがあるのは今朝から知っていた。
のぼるの知りたかったのはドリアホテルより安くてグレードの高いホテルがあるか、ということだった。
ま、いいか。この会話だけでも10分はかかっている。
ドリアホテルにしていいだろう。
もうめんどい。
のぼるはファンタにお礼を言ってvvvを出た。
さ、行こう!

アムスの中央駅を出た。
改めて駅の外観を望むと、本当に東京駅だ。
アムスの街はこの駅を中心に扇状に広がっている。
駅の裏側は北海に続く大きな運河。駅の表側は幾本もの運河が駅を取り囲むように広がる。
駅前から水上バスが運行されており、これを利用するとたいていの名所に行ける。

とりあえずのぼるは駅からまっすぐ走るメインストリートを歩いた。
様々な人種がごったがえす。歩くだけでも楽しいね。
ただしスリが多発しているらしいので、軽快の中に警戒を強めないと。
「第一種警戒体制発令! ミノフスキー粒子、戦闘濃度への散布急げ!」
頭の中はさながらホワイトベースのブリッジのようだった。セイラさんの声も聞こえそうだ。
「アムロ、聞こえて?」
冗談はさておき、先を急ごう。

5分も歩くと「ダム広場」に着いた。街の中心に広がる大きな石畳の広場。
この広場がアムスの心臓、アムスの歴史が始まった場所。
アムステル川を塞き止めて発展を開始した場所。
左手に白い尖塔があった。
15メートルほどの高さの、黒板のチョークにビッグライトあてたような塔に石膏でできた
人間が張り付いている。
これが戦没者慰霊塔だ。第二次世界大戦で亡くなった人々の霊を慰めるための塔。
塔のまわりは緩やかな階段状の丘になっており、観光客のたまり場になっていた。

のぼるは塔の下で日本人と思われる女の子を発見した。
ジーンズとYシャツのオーソドックスなスタイルで、ショートヘア。かなり好み。
どうやら一人みたいだ。お話しちゃおうぜ。
ようし、オレが日本人であることを隠し、とりあえず英語で話しかけよう。
「Excuse me,prease take a picture for me」
「Oh,Yes,of course!」
のぼるは彼女にカメラを渡した。
「なに、あなた日本人じゃない?」
う、いきなりバレた!?
「ち、ちがいます!」
「日本語で否定されても説得力ないわね」
しまった!
「なぜバレた・・・」
「日本語の「写ルンです」渡されたらモロバレでしょや」
「あ・・・」
つくづくドジだ。

「オレはのぼる。マーストリヒトという街から帰ってきたとこなんだ」
「あたしはみゆき。ロンドンから戻ってきたとこなの」
「ロンドンかぁ。よかった?」
「まーね。でも3回目だからそんなに目新しいとこはなかったわ」
何度も海外旅行・・・のぼるより若いのに、セレブだ。
「ねえ、マーストリヒトってどんなとこなの?」
みゆきはマースに少し興味を持ったようだ。
「そうさのう・・・」
「あはは! じじーくさい話し方!」
のぼるとみゆきはそこでしばらくおしゃべりして別れた。
「ぢゃーね、のぼるくん。バイバイ!」
「ああ。バイバイ!」
あー。可愛かった。電話番号ゲットしとけばよかった。
それにしても女の子一人で海外旅行とは、すげーバイタリティだな。
 
ちょっとのんびりしたところでのぼるはホテルを探した。
目的のドリアホテルはダム広場の脇道を入ったところにすぐあった。
1階はレストランで2階から上がホテルになっている。
のぼるは2階のホテルのフロントへ上がると、奥から受付のおねーさんが出て来た。
「I'd like to reserve a room for tonight」
「I see」
のぼるは1泊朝食付きにしてもらった。

おねーさんから部屋の鍵をもらうと、エレベータで4階まで上がった。
「ここがオレの部屋か」
ドアを開けると・・・前の客が散らかしていったままの状態だった。
このぉー、掃除してない部屋の鍵を渡すなよ。
廊下を歩くボーイに頼んで清掃してもらった。
ホテル側のせいなのにチップを渡すハメになってしまい納得いかないが、まあいい。

とりあえず荷物を放り出してシャワーを浴びた。
ゲストハウスではシャワーを浴びることができなかった(髪だけは洗面器で強引に洗った)ので
かなり切実だったのだ。
さっぱりしたところで、街にくり出そう!

2016/9/28 22:03  [1498-4912]   

アムスの街並み

のぼるはホテルを出た。
まずは適当に歩こう。
観光名所で見たいところは特にない。運河が見たかったが、歩いていればいやでも見れる。
いや、ひとつあるか。「飾り窓」!!
この国ではマリファナはおろか、売春すら合法化されており、飾り窓の女性たちにも
れっきとした組合があって商工会議所にまで登録されているのだ。
とはいえ、アジアや中南米から人身売買に近い状態でこの飾り窓に連れてこられる女性が多いとも
聞く。
それが人間のすることかい。
のぼるはそこがどんな所なのか見に行くだけで、決して邪な気持ちで行くつもりはないのだ。
まあ、パトリシア・マクファーソン(じつばファンだったりする)くらいの美人がいたら、
そりゃグラッとはするだろうがね。
売春そのものに興味はない。無駄な文化だね。(そんなに否定せんても・・・)

そんな感じで歩いていたら、いきなり知らないオヤジに肩をたたかれて、
「How about this one?」
と言われ、小さく折られた紙袋を見せられた。
「は?」
オヤジは紙袋をそっと開けると、その中には乾燥した草の葉っぱが・・・
マ・・・マリファナ!!
大麻の葉。
コカインやヘロインとは違うソフト・ドラッグだが、のぼるにとっては同じ麻薬としか見えない。
煙草は吸うが麻薬はやらない、それがのぼるのポリシーだ(変か?)
「No thank you!」
のぼるは全身全霊をもって拒否した。
あぶねー。
飾り窓に思考が片寄ってて身に迫る危険に気付かなかったなんて。
「対空防御、左舷弾幕薄いぞ! なにやってんの!!」
あー。ブライトさんに怒られてしまったがや。

まわりをよく見ると、閉めきった喫茶店が多い。
さらによく見るとその中は異様に煙たい。
あれが噂に聞くコーヒーショップか。
見た目はその名の通り喫茶店だが、内部はマリファナ、下手するとヘロインなどがやりたい放題らしい。
一年戦争後の連邦軍のように腐敗してるぜ。
恐い恐い。飾り窓へ行くのはよそう。

のぼるは純粋に観光を決め込んだ。
水上バス、トラム(路面電車)、連結バスなど、日本ではなかなか見られない乗り物が
いたるところで見れる。
連結バス(BLT)なんて「つくば科学万博EXPO'85」以来だ。
あー懐かしい。
富士通パビリオンなんて今見ても新鮮だろーな。
HSSTもいまだ実用段階じゃないし。
想像していたよりも、ずっと未来は現実的だね(ポルノグラフィティ談)

腹が減ってきた。
そろそろ夕方だし、夕食にしようか。
のぼるはレストランを探してライツェ広場というところへ来た。
ファーストフードはけっこうあるが、最後の外食となると思い残さないために
立派な食事をしたくなるのが小市民というものだ。
「おっ!」
のぼるは小さな通りでひっそりとたたずむインド系カレーのレストランを見つけた。
ここにしよう。

「Akbar」というインドのレストランだ。
アムスへ来て、なぜにインドのレストランなのかよくわからないが、スパイシーな香りに
引き寄せられたような感じ。
こうなったらカレーしかないね。
店内は特にイスラムやヒンドゥーなどのドロドロした感はまったくなく、けっこうカジュアルな雰囲気だ。
「チキンカレーアンド、ワンビア、プリーズ」
シェフの女の子ミスティオは「Yes,sure」ととりあえずビールを持って来てくれた。

いやー。毎日ビール飲みっぱなしだったな。
べつにビールばかり飲みたいわけじゃない。
ジュースが高価なだけで、同じ値段ならビールがいいというだけ。
どちらかというと、ビールに飲み飽きて少し困っている。

やがてミスティオがカレーを持って来てくれた。
炒めた黄色のサフランライスには所々にカニの身が散っている。
そして、アラビアが発祥と思われる銀の器に、つんと鼻を刺激するチキンカレー。
これはうまそうだ。
いただきまーす!
カレーをいきなりライスの上にどばっとのせる。
これがのぼるの流儀だ。
「うん・・うん・・いける、うまい、うまい・・って・・うぐふうう!」
うおお、いきなり辛さが効いてきた。ぐわ、メチャクチャ辛い! 口が痛い!!

ミスティオがにこにこしながらのぼるのテーブルにやって来た。
「ライスのおかわりはいかがかしら?」
「・・・ありがとう、いただくよ・・・」
ミスティオはライスをてんこもりにして去っていった。
ちょっとまて! この辛さについてなんか一言しゃべってくれよ! どーせわかんないけどさー!
のぼるは汗をだらだらと流しながらミスティオ特製激辛チキンカレーを完食した。
ひぎぃー。胃が即効キリキリ痛んできた。

やっぱ地球の裏側まで来てまでもカレーを食べたいと思うのは間違いだったのかもしれない。
その土地その土地の文化あふれる郷土料理を食べるべきだったのではないか。
ネーデルの郷土料理といえば、豆の煮込みスープなどが有名だが、いかんせん薄味らしく、
日本人の口に合わないらしいので基本的に避けていたのだ。
また、ニシンの酢漬けは国民の大好物でのぼるも一口食べたかったのだが、残念ながら
初物はもうすこし時期があとらしい。
ニシンの酢漬けとはなんだかうまそうだったので楽しみにしていたのだが。

ただし、ニシンの卵「数の子」はこの国の人は全く興味ないらしく、ほとんど日本に
輸出しているらしい。
なんであんなにうまいものを食べないんだろう・・・数の子っていえば正月しか食べられないごちそうだろ。
あの食感がたまらないのに、まったく、この国にヒトは和の心がなってないよ。
(のぼるの和って一体?)

2016/9/28 22:14  [1498-4913]   

ねこフィットV(さん) さん  

2016/9/28 22:27  [1498-4914]  削除

店を出た。
いやー、メッチャクチャ辛かったけど、うまかった。
特にとろけるほどのチキンは特筆に値する。
一度ハマったらやめられないかもしんない。(まさか、麻薬かぁっ!?)

日没にはまだ時間があるので、市街を歩いた。
都市部に人口が密集しているため、必然的に狭い土地にせせこましく家を建てなければならない。
だからこの国の住宅は積み木を立てたような造りになっているのか。

運河が網の目のように細かく入組んでいる。
水と戦い、水とともに生きてきた。そういう生活感があふれている。
この場所ですら、海より低い位置にいる。
人類が滅亡するような地球規模の大災害が起こった時、まず壊滅するのはここだろう・・・
そう思わずにはいられなかった。
ひとつの防波堤が決壊しただけで、この街は簡単に壊滅しそうなイメージがある。
 
のぼるはしばらく歩いてホテルの部屋に戻った。
「おわったな・・・」
ベッドに腰掛け、深くためいきをついた。
やっぱ、旅行するなら、大都市でなく田舎がいい。
そういう意味でマーストリヒトを選んだのは大正解だった。
まあ、もう少し日があったならもう少しゆっくりできたのだろうが、今さら仕方のないことだ。

テレビを付ける。
「あ」
日本のアニメが放送されていた。「ピーターパンの冒険」だ。
昔のハウス食品提供の世界名作劇場シリーズの悪ノリ傑作だ。
金田ピーターパン、久しぶりに見た。
なつかしいね。
「さんをつけろよデコスケ野郎!」と今にも叫びそうなピーターパンだ(知らないヒトごめんなさい)
それが終わると、音楽番組になった。
新鋭のバンドが素敵なバラードを歌っている。
この曲はのぼるが旅をしている間、ずっと聞こえていた。
ホテルのテレビ、ゲストハウスのラジオ、そして街頭のスピーカー。
いったいなんていう曲なんだろう。
とても、心に残るバラードだった・・・

2016/9/28 22:27  [1498-4915]   



ACT.10 TRULY MADLY DEEPLY



いよいよネーデルランドと別れの日が来た。
のぼるにとってのネバーランドの夢のひとときも、もうすぐ現実の中へ強制送還されてしまう。
まったくもって残念で仕方がない。

英語にしても、この期間でのぼるはずいぶん成長した。
来たばかりのときは、相手の話を一度日本語に翻訳し、それに対する解答を日本語で考えてから
英語に翻訳して話していたのだが、何日も過ぎると面倒くさくなって、
思考そのものが英語に近くなっていた。
英語で言われた言葉をダイレクトに英語で対応しはじめていたのだ。
これが人間の状況適応能力か、と我ながら感動したものだ。
その成長途中で日本に帰らなくてはならないのは、本当にくやしい。

のぼるは朝食のため1階のレストランに降りた。
バイキング方式の食べ放題だ。
さーて、何を食べようかな、と迷っていると、
「やだー、さっちーったら!」
「うそじゃないよー、みっちーだってそーじゃんか」
などと日本語バリバリで楽しく会話している2人の女の子を発見した。
彼女たちもこのホテルに泊まっていたらしいな。

「おはよう、子猫ちゃんたち。同席していいかな?」
「あら、日本語!」
「のぼるです」
「あたしはみっちー。このコはさっちー」
「へえ。どっかの仲悪い熟女みたいだな」
うるさい! どうせ仮名なんだからいちいちつっこむな!
「のぼるくんはいつまで旅行を?」
「いや、実は今日の便で帰るんだ」
「うそー。そーだったんだ。あたしたちは昨日着いたばかりなんだよ」
「のぼるくんはどこへ行って来たの?」
「この国の外れのマーストリヒトっていう田舎さ」
「田舎かあ、いいわね」
「素敵ね、あたしたちも田舎の街に行こうよ、さっちー!」
「いいわね。どーせ時間はたくさんあるからね」
「時間がたくさんあるって・・・きみたちどのくらいこっちにいるつもり?」
「半月くらいかなぁ・・よくわかんない」
「帰りの飛行機も予約してないからねー。あはは!」
 あははってアナタ・・・なんてアバウトな。
「そうだ、今日はユトレヒトに行くんだ。あたしフロントで列車時刻と費用を調べてくるね」
「あいよ。しっかり聞いてきてね、さっちー」
さっちーは一人で階段を登っていった。

のぼるは状況がいまひとつわからない。
「さっちー、どうしたの?」
のぼるが質問するとみっちーは笑いながら説明した。
「あのコはとっても英語が上手で、計画性もバッチリなんだ。あたしはそういうの全然ズボラだから、
全部あのコに任せてるんだ。でもさっちーはそういうの得意なんだけど、一人じゃなにもしない
タイプ。あたしは純粋に観光したいけど計画性がないから、そういう意味で二人一組なのよ」
のぼるはコーヒーを飲みながら彼女の話を聞いていた。

「なるほど。ケンカとかしないの?」
「あはは、しょっちゅうするわ。でもすぐに仲直りするけどね。お互い一人じゃなにもできないから」
お互いの弱点を補える仲間。なんだか羨ましいコンビだ。
「のぼるは強いね。一人でさみしくなかったの?」
のぼるはいきなりの質問にコーヒーを吹き出しそうになる。
「さみしくない、というとやっぱウソになるわな。英語が思うように通じないときなんか
日本が恋しくなったよ。無意識に日本の店とか探しちゃうしな」
「でも、それでも一人で旅をやっちゃうところがすごいよ」
「そうかな。まあ、海外旅行は今回が初めてだったけど、昔から一人旅してたし、
それの延長線上みたいなもんだよ」

さっちーが戻ってきた。
「ただいま。10:00発のインターシティで小1時間てところだって。ちょうどいいんじゃない、みっちー」
「そうだね。よし、それでユトレヒトへ行こう!」
おもむろにさっちーはのぼるの顔を見た。
「・・・のぼる、顔赤いよ?」
あ。みっちーに誉められ、照れていたのが顔に出たか。やべー。
「まさかみっちーを口説こうとしてたんじゃないでしょうね!?」
「違う! そんなことしない!」
「そんなこととは失礼ね! あたしに魅力がないみたいじゃない!」
今度はみっちーに責められる。マジやべー!
「あたしのみっちーを取ったらだめだからね!」
「ちょっとさっちー、誤解を産むようなこと言わないでよ!」
「あー。おまえら百合か」
「そうよ!」
「違うわ!」
「やっぱり」
「(ハモリ)やっぱりってどーゆー意味よ!?」
朝からものすごいテンションに包まれ、のぼるの帰国に対する憂鬱はどこかへ吹き飛んでいった。

のぼるは二人と別れ、部屋に戻った。
さて、空港へ、行きますか。

2016/9/28 22:35  [1498-4916]   

アムス駅の中 スキポール空港 搭乗待ち さらば、ネーデルランド・・・

のぼるはチェックアウトし、駅へ向かった。
ダム広場のど真ん中で若者がスケボーを楽しんでいる。
みんな楽しそうだ。

「ポップ・ショウビットってのはこうやるのよ!!」

どこかの女の子が宙を舞っている・・・といいな。(あれは午後の話だって)

街は今日も活気立ってる。
多くの人が生きて、動いてる。
のぼるは、知らずのうちにこの国の人々から生きる楽しさを教えてもらったような気がした。
仲間にしか心を開かない多くの日本人。
誰とでも楽しくやりたがるネーデルランド人。
時々、ネーデルランド人のことを「合理的」と皮肉ることがあるが、個人的には彼等の思想には
賛同する。

社会のしくみを合理化して何が悪い。
今を楽しく生きるために、もしくは未来を楽しく生きようとしているのだ。
きっと、どこの国もそのためにあーだこーだしているのだろうが、この国はその理想社会を
どこよりも早く構築したのだと思う。

ヨーロッパを統一させようとがんばっているのもここだ。
ヨーロッパ単一通貨「ユーロ」を制定したのはどこでもない、この国なのだ。
やることがでかいね。まったく。
心を開いているからこそ、でかいことができるんだ。
 
電車でスキポール国際空港へ到着した。
搭乗手続きを全て済ませ、ロビーで搭乗待ちをした。
「ふう」
タバコに火をつける。
あとは、飛行機に乗るだけ。やることがない。
のぼるは窓の外でひっきりなしに離着陸するジェット機を見ながら、いろんな事を想像していた。
マースの風景、アムスの風景。そこで巻き起こる、あくまでも個人レベルのストーリー。

その想像は後に物語として形になることになる。
 
「日本行きのお客様、お待たせいたしました。ただいまから搭乗開始となります」
放送を聞いた旅行者は一斉に立ち上がった。
のぼるも、決心を固めて立ち上がった。
「よぉーし、やっっってやるぜ!!」

さあ、日本へ帰ろう。
そして、思うがままにこの国を舞台にした小説を書こう。




          ぼくは強くなろう
          
          信じる心を強く持とう
          
          だってぼくは・・・
          
          新たな始まりと
          
          生きる理由と
          
          より深い意味を手に入れたいんだ
          
  
          

日本に戻って半月が過ぎたころ、ネーデルランド内で聞きまくったバラードを発見した。
「サヴェージ・ガーデン」というデュオの「トゥルーリー・マッドリー・ディープリー」という
歌だった。
偶然か否か、その歌詞はのぼるの旅及び構築した物語に見事にマッチしたものになっていた。
 
https://www.youtube.com/watch?v=WQnAxOQx
QIU



                        ネーデルランドの異邦人(エトランゼ)


                             The end of files...


2016/9/28 22:44  [1498-4917]   


あとがき。


ネーデルランドの異邦人、いかがでしたでしょうか。
自分自身、改めて読み返してみると、若いときの行動力ってほんとうに
怖いもの知らずなのだなーって思いましたね。

旅行中は冗談でなくほんとうに1日10kmくらい歩いてましたが、夜グッスリ眠った翌朝は
その疲れを引きずることなくリフレッシュして、再びガンガン歩いてました。
今ではちょっと考えられませんねw

小説「Step Up!」は、実はこのオランダ旅行の前から書き始めていました。
当初はマーストリヒトの街だけを舞台にして、スプライトとランダムを中心とした
やりとりを書いていたのですが、どうにも行き詰ってしまい、途中で挫折していました。

旅のあと、小説はほとんど全部書き直しました。
ヒロインははるばる遠くから旅をしてきたというのなら、マースへたどり着くまでの
道程もきっちり書かなければならないだろう、ということで、ずいぶん細かい設定を
追加してインドからの旅のシーンを書いていきました。

それだけ、マーストリヒトでの出来事やシーンを引き立たせたかったわけです。
まあ、作業的にかなり難しかったですが、完成してみると「やってよかった」と
素直に思えましたね。


オランダ旅行そのものは、とにかく言葉との闘いでした。
電車やバスの乗り方ひとつをみても、日本とまったく違うシステムなので、
それを理解するのにも一苦労。
メシを食べるのも、宿を手配するのも、ジュース一本買うのにも、一苦労でした。

でも、それだけの価値ある旅であったことは間違いありません。
いつかまた、行きたいと思います。

でも、もし行くチャンスがあったのならば、次はイタリアのヴェネツィアに行ってみたい。
たぶん近いうちに海に沈んでしまうようなので。



ここまで読んでくださってありがとうございました。
なにか一言でも感想をいただけたら、嬉しいです。

2016/9/28 23:09  [1498-4918]   



海王丸 昼食会場 新湊きっときと市場 ふじやまさんのモーターボート(中央)

みなさんお待ちかね!
秋のFIT3オフ会のご案内です。

ねこ主催のオフ会も、いよいよファイナルとなりました。
最後を飾るオフ会として、みなさんで激烈に盛り上がりましょう♪

場所は富山湾のそば「海王丸パーク駐車場」シンボルである大きな帆船、海王丸が停泊している
ベイエリアでとてもにぎやかなパークです。

参加は無料です。
常連の方はもちろん、お初の方もお気軽に参加してください。
また、FIT3オーナーでなくともFIT3に興味のある方ならば大歓迎です。

日中は愛車を自慢したり、お友達の輪を広げたり、海王丸を見学したりできますが、
今回はなんと、協賛のふじやま氏がモーターボートにみなさんを乗せて富山湾を
無料でクルージングさせてもらえる、というスペシャル企画があります!
(詳細は下のほうを見てね)

昼食は、近くの「新湊きっときと市場」の中でお好きなランチを食べましょう。
お弁当を持ってきてもOKです(ゴミは指定の場所に捨ててください)


15時くらいにオフ会は解散し、次はお楽しみ車中泊パーティに移行します。
クルマで10分ほど移動し、銭湯屋・カラオケ屋が併設された場所に移動し、
温泉や夕食を楽しんだあと、夜はカラオケ+酒盛りです。
近くにスーパーやコンビニもありますので、各自で飲みたいもの、
たべたいつまみを持ち寄って楽しく呑みましょう。
(カラオケ代2000円+酒ツマミ代実費をご準備ください)
飲み飽きたらじぶんのクルマに入って車中泊、ぐっすり寝ましょう。
翌朝、朝食をたべた後に解散となります。
(車中泊パーティーの詳細はあとでみっちりとご説明いたします)


とき  2016年 9月 17日(土)
ところ 富山県射水市 海王丸パーク駐車場
    http://www.kaiwomaru.jp/

オフ会集合場所
下記の地図のオレンジのポイントらへん

https://www.google.com/maps/place/%E6%B5
%B7%E7%8E%8B%E4%B8%B8%E3%83%91%E3%83%BC%
E3%82%AF%E9%A7%90%E8%BB%8A%E5%A0%B4/@36.
7791032,137.1059896,1099m/data=!3m1!1e3!
4m8!1m2!2m1!1z5a-M5bGx55yM5bCE5rC05biC5r
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a8a1!8m2!3d36.7802516!4d137.106964?hl=ja



駐車場は使用許可は頂いておりますが、一般のクルマも停めるところですので
占有はできません。すみっこのほうに固まって停めましょう。

時間 9:00受付 → 10:00オフ会開始 ・・・・・ 15:00解散

ふじやま氏協賛企画:富山湾スペシャルクルージングについて
富山在住のふじやまさんのご厚意で、ご所有のモーターボートに乗って20〜30分くらいの
クルージングを楽しんでもらおう、という企画です。運がよければ蜃気楼が見られるかも?
ボートはオフ会会場から2キロほど離れた場所「海竜マリンパーク」にあります。
http://www.kairyu-marina.jp/
そこまでの送迎は私ねこが行いますので何の心配もありません。
(天候と波の条件により中止となる場合があることを予めご了承ください)
1回4名定員で、午前と午後1回ずつ。計8人が乗れます。
いちおう、濡れても平気な服を着てください。
午前・・・11:00オフ会場出発 → 11:30クルージング開始 12:00終了 → 昼食
午後・・・昼食 → 13:30オフ会場出発 → 14:00クルージング開始 14:30終了


オフ会参加希望の方は下記を明記のうえ、レスしてください。

(1)お名前(ニックネームでOK)
(2)人数
(3)FIT3の色(FIT3以外の車の場合は車種名と色)
(4)オフ会と車中泊パーティ 両方参加か
(5)富山湾クルージング希望?(希望者多数の場合は当日ジャンケン)





ひとこと
この海王丸パークはクルマのオフ会をよくやっている所なのですが、
ほとんどが無許可でオフ会をやっており、挙句に一部かなりマナーの悪い人たちが
いたりして、現在ではクルマのオフ会というのは原則として禁止しているそうです。
運営の方に今までのひまねこオフ会の実績を説明し、施設や他のお客さんにご迷惑を
かけないことを固く約束し、今回は特別に許可をいただきました。
不要な空ぶかし、ゴミのポイ捨て、指定された所以外の喫煙は厳禁です。
皆さんのご理解、ご協力をお願いいたします。

2016/8/10 11:36  [1498-4745]   

オフ会後の車中泊パーティーのお知らせ

オフ会後、それぞれのクルマで移動します。

http://www.karaokemanekineko.jp/shop/kou
shinetsuhokuriku-area/toyama/takaokahime
no.html

カラオケ屋「まねきねこ 高岡姫野店」です。
この駐車場の敷地内に「スーパー銭湯1010」がありますので、
夕食の前か後に入ります。
http://yoriyu.com/printform.php?num=89
ただし、困ったことにボディソープやシャンプーが置いてありません。
タオルとともに、ご自分で準備してきてください。
ドライヤーはなんと有料(30円)まいっちんぐです。

夕食は近くにあるカレー屋でもいいし、スーパーに買い出ししてカラオケボックス内で
歌いながらわいわい食べるのもいいかもしれない。
そのときの雰囲気で、みなさんと決めたいと思います。

カラオケは18:00から予約してあり、ジュースだけは飲み放題となっております。
酒やツマミ等の持ち込みは自由ですので、ジュース以外なんでも買っていきましょう。


カラオケ代2000円 銭湯代420円 酒ツマミ1000円くらい?

翌朝は、コンビニ・マック・すき屋が近くにありますので、そのへんで朝食にして、
その後記念撮影などをしてから解散となります。

2016/8/10 11:54  [1498-4746]   

 えりりんたんさん  

前週でインパクトブルーのオフ会があるので微妙…

というか今週土曜日にズバリ新湊きっときと市場でオフ会やりますがw

海王丸パークについては今週のオフ会で最初その場所で集まり新湊きっときと市場でご飯を食べるという全く同じプランだったのですが
何分集まる台数が増えすぎて確保できない(お盆ということもあり)
ということで変わったのですが
マナーが悪い話は自分も聞いています

前回の場所もそうですが、最近こういうのが多く許可がとりにくくなっています。

ということで参加は未定ということでw

2016/8/10 22:01  [1498-4747]   

 kt-1500さん  

今回も一番で参加表明します。

カラオケは去年の新潟オフから行ってないので声が出るかどうか?
前回ダムだったので今回はジョイサウンドがいいかな?

(1)kt-1500
(2)1人
(3)アラバスターシルバー
(4)オフ会と車中泊パーティ 両方参加します
(5)富山湾クルージング希望します

みなさんよろしくお願いします。

2016/8/10 23:05  [1498-4748]   

 ゆづぽんずさん  

うわぁ...
9月の連休はトリプルブッキングです。
申し訳ございませんが、また非常に残念ですが、
不参加になります。
行きたかったなぁ。

2016/8/11 01:34  [1498-4749]   

 sawakenさん  

ねこさん、皆さんこんばんは。

お久しぶりです。

今回もオフ会の参加を表明させて頂きます。


(1)さわけん・みゆき

(2)二人

(3)ブリリアントスポーティーブルー・メタリック

(4)オフ会と晩ごはん

(5)クルージング希望は無しです。

今回もよろしくお願いします〜(^^)

2016/8/12 00:37  [1498-4752]   

>kt-1500さん
最後の開催でも速攻1番目の参加表明、ありがとうございます。
いままででいちばん盛り上がりましょう!

>sawakenさん
前回の長野オフ会で初参加していただき、今回リピート参加ありがとうございます。
奥さんと一緒にリピしてもらえることが、なにより嬉しいです。
お二人で仲良く楽しんでください!

>えりりんたん
海王丸パークで別のオフ会と(バッティングではないけど)カブることは知ってましたが、
まあ、仕方ないということで、がんばって来てください。
えり様の美声をまた聴かせてほしいのデスよ。

>ゆづぽんずさん
今回はいろんな都合で告知がやや遅れてしまい申し訳ありませんでした。
分身の術を使えば、こちらも参加できますよね!(無茶いうな)

2016/8/13 03:05  [1498-4753]   

 えりりんたんさん  
駐車場@ 駐車場A RCカーサーキット 芝生広場

隣だったのでついでに写真撮ってきました

昨日はお盆で人が多いからということで断られましたが・・・全然車いないし
ここどちらかというと昼より夜のほうが有名なので
なお、駐車場は海王丸側ではなく橋の入り口はさんだ反対側にもあります。
そこが使えると迷惑がかからなくてよいのですが
(通常の駐車場より奥にもあるのですが砂利などであまりいい状態ではなかったので)
まあ橋の入り口側に固まればいいのかも

遊ぶところがあるので子供も楽しめるかと
ドローンが使えないのが残念ですが
橋には歩行者用もある用で次回はそちらまで行ってみようかと思います

ちなみにマナーに関して、昼についてはわかりませんが夜はかなりひどいです。
ライトアップがあるので夜でもかなりの人がいたのですが、そんなのお構いなしに爆音で吹かしたり、隅だけでなく一般客が止めているところまで侵食しているので
(入口入ってその近くにを通らないといけないので)

相変わらず参加は未定です

スーパーアスラーダのRC持っていこうかな

2016/8/14 17:45  [1498-4755]   

何だか画像のアップロードがうまくいかないんですけど(^_^;)
どうもこんにちはっ!銀るーですょ(^_-)-☆

どうやらオフ会までにカヤック(2人か3人のり)は間に合いそうもなさそうです。。。(。>A<。)
なので、今回はキャンプ用のテーブル&チェアか、タープを買おうかなと計画中♪
タープはもしかしたら予算が足りないかもですが、オフ会にテーブル&チェアかタープだとどっちがあったほうが便利でしょ??

ねこさんのオフ会が、より有意義なものになるよーにできたらと思ってるのでキャンプ用品(兼オフ会用品?)ゲットしたいのです♪
まぁーのちのちには家族でキャンプするのでそれも考慮してなのもあるんですけどね☆

・・・それからオフ会参加はまだ鋭意嫁チャン説得中ですっっっ
たぶん嫁チャンの参加はナシで1人でオフ会に行くことになりそうな予感と、有給申請しちゃいました(≧∇≦)bイェイ♪

2016/8/15 12:10  [1498-4757]   

>えりりんたん
写真ありがとうです。
車中泊も海王丸パークで、と当初考えたりもしましたが、マナーの問題もあって自粛しました。
どうしても車中泊パーティでは酒が入るので、その宴会場所及び周辺の迷惑等を考えると、
やはり別の場所に移動したほうがいいと判断しました。
けっこう都市部でもあるわけで、そうそう野外で騒げる場所も無いので今回はカラオケボックスでの
宴会ということに落ち着きました。
そこならどんなに騒いでも文句は言われませんからw

>銀狼のるーちゃん
前向きな検討を感謝です。
テーブルとタープについては少し待ってください。
オフ会会場の駐車場の近くに「ふれあい広場」という芝生の敷地があるのですが、
そこでタープ等の設置の可否を施設のほうに聞いてみます。
ダメな場合は、すみませんが諦めてくださいね。
設置できるとしたら、とても有り難い申し出ではあるのですが、施設のルールに則って
利用しないとなりませんので、ご了承ください。

2016/8/15 23:10  [1498-4759]   

 えりりんたんさん  

若干不便になるけど道路を挟んだ反対側の駐車場が借りられると迷惑にもならないのですが
ちなみに海王丸パークは22:00で閉鎖するそうなので、そもそも車中泊は難しいかと

近くにある道の駅新湊は、今回のオフ会の後ナイトオフのしてたのですがあまり止まってる車はいませんでした
があまり広くないので

なお、あくまでも個人的な意見ですが昼食ですが正直微妙でした
まあ土地が土地なので海鮮関係ばかり&自分が海鮮が好きではないこともあるのですが
まあ観光名所によくあることですが

なので自分は弁当作るか・・・どっかで買ってくるか・・・

2016/8/16 01:19  [1498-4760]   

うぅ、、、ねこさんすみませんー!(。>A<。)

質問してたのにオフ会参加できなくなってしまいましたー<(_ _)>
同じ日に休み入れてる人がいて、人が足りないのでオフ会当日は出勤になってしまいました。。。orz

今回は参加できませんが、また別のオフ会でワイワイしたいですー!
くぅー!今回のオフ会は楽しみにしてたのにぃぃぃー!!!(。>皿<。)

・・・なので10月あたりにでもオフ会したいななんて考えてたり。。。σ(^◇^;)

2016/8/18 19:52  [1498-4765]   

>るーちゃん
うあー。残念すぎる。
でも現実の仕事を優先するのは偉い!
今回会えなくても、きっとまたどこかのオフ会やプチオフなんかで会えますので
そのときゆっくりお話ししましょう。

2016/8/18 23:03  [1498-4766]   

お知らせ2件です。

(1)オフ会会場でのタープ等使用について
オフ会会場のすぐ近くに芝生の広場「ふれあい広場」がありますが、
ペグ(杭)を芝生に打たなければタープ等の使用はOKだそうです。

(2)夕食について
オフ会解散後、夕食・銭湯・カラオケなどのイベントがあります。
夕食に関しては、カラオケ屋すぐ近くのパキスタンカレーにしようと
思っております。苦手な方は予めおっしゃってください。
場合によってはファミレスのココスにすることもあるかもです。
なお、銭湯は時間帯やそのときの疲労度によって、夕食の前にするか
後にするか、そのときに決めたいと思います。

2016/8/22 11:06  [1498-4770]   

 kt-1500さん  

カレー店、もしかしてここですか?

 http://tabelog.com/toyama/A1604/A160401/
16000629/

  
 うまそうですねぇ。


 この店の近くに朝5時からやっている温泉がありまして、(天然温泉 海王)オフ会当日、朝早く着いたらここで休んでから向かおうと思ってます。

 http://www.onsen-kaiou.jp/

2016/8/22 13:08  [1498-4771]   

>kt-1500さん
いえ、そこではなく、ザイカ・カレーハウスというお店です。
http://tabelog.com/toyama/A1604/A160401/
16006389/

でも、天然温泉海王はポイント高いですね。知りませんでした。
もしその近くにカラオケハウスがあれば、そっちを採用したいところです!
(ていうか少なくとも車中泊翌朝の朝風呂のできるところがあれば、
と思っていましたのでかなりの確率でそこを利用するかと思いますw)

2016/8/22 17:51  [1498-4772]   

 kt-1500さん  

カレーバイキングのお店ですか。これは、楽しみですね。

まねきねこ高岡から天然温泉海王までの距離は2.5km、5分〜10分ほどです。

2016/8/22 20:50  [1498-4773]   

 えりりんたんさん  

天然温泉海王は先日行ってます
タオルなどは有料だった記憶はありますが
9時くらいに行きましたが車は結構止まってましたが混雑している感じはありませんでした


そしておそらく参加できないかと
日曜日が工場停止日で作業予定があるので
いくら4時間で行けるとはいえ当日帰るのはかなり厳しいので

2016/8/24 21:34  [1498-4774]   

>kt-1500さん
そこのカレー屋はディナーもバイキングやってるかどうか、ちと不明ですが、
バイキングじゃなかったら、みんなでいろいろ注文してシェアするのも
楽しいと思います(電話で確認しろ、という話もありますが、日本語が通じるのか
不安で・・・w)

>えりりんたん
あら〜残念。
新湊大橋の中央部からバンジージャンプしてもらおうと計画してたのに・・・(おぃ

2016/8/25 09:24  [1498-4775]   

 nichireanさん  

初めまして。参加よろしくお願いいたします。爺さんだけど、いじってます。

(1)お名前:斉藤隆
(2)人数:1人
(3)FIT3の色:黄色
(4)オフ会と車中泊パーティ 両方参加か:不参加
(5)富山湾クルージング希望?:不参加(希望者多数の場合は当日ジャンケン)

2016/8/28 10:35  [1498-4785]   

>nichireanさん
初のご参加ありがとうございます!
最後のオフ会にして初参加の方はいないかな、と半分諦めていたのでとても嬉しいです。
たくさんの仲間と、情報と、楽しい思い出を作ってください。
わからない点などありました、いつでもなんでも聞いてくださいね。

2016/8/28 21:17  [1498-4786]   

 富士夫GGさん  

ねこさん

大大々お久しぶりです。
覚えてらっしゃらないと思いますが。
富士さんプチオフ会以来となります。

やっと、休みと開催日が合致しましたので、
ぜひともオフ会への参加を表明させて下さい。


(1)富士夫GG(ふじお じぃじぃ〜)
(2)1人
(3)アラバスターシルバー(どノーマル)
(4)オフ会と車中泊パーティ オフ会参加します。
               車中泊不参加
   (カラオケ店での夕食は×、カラオケ前の夕食ならば参加)
(5)富山湾クルージング希望します
  (ぜひとも乗船したいですね。)


みなさんよろしくお願いします。

2016/8/29 21:50  [1498-4791]   

> 富士夫GGさん
ご無沙汰しております。お元気そうでなによりです♪
ご参加ありがとうございます。また楽しくお話しましょう。
なお、オフ会後の夕食は外食を原則に考えております。ぜひご一緒しましょう。


現在のところ、参加者は10名となっております。
訳あってここに参加申し込みのできない人が、私宛に直接連絡を入れて参加申し込みを
してくれた方が何人かおります。
もちろんそれでも参加OKです。

さあ、開催まであと半月ほどとなりました。
まだまだ参加受付しております。

ちなみに海王丸パークや新湊大橋はアニメ「ペルソナ トリニティ・ソウル」の舞台。
すぐ近くの高岡は名作「true tears」や「ゆるゆり」の舞台だったりします。
「クロムクロ」では富山のあちこちが舞台となっています。
なんたってクオリティの高いアニメを量産する「P.A.WORKS」は本社が富山にあるのですから。
時間のある方は聖地巡礼をしても楽しいかと思いますよ。

2016/8/29 22:33  [1498-4792]   

前回に続いての参加でお願い致します(^ω^)
また幾つかパーツを取り付けました〜
詳細は当日と言うこどで ^_−☆
1)お名前 hiromi313
(2)人数 お一人
(3)FIT3の色 パールホワイト
(4)オフ会と車中泊パーティ オフ会のみ 今の所
(5)富山湾クルージング希望? 船酔い必至なのでパス( ̄◇ ̄;)

るーちゃんさんへ
今回は来れないんですね〜残念
オフ会開催は是非!西寄りの地域で〜〜(^○^)
あ!るーちゃんを見るたびに思うのですが…
ナオトインティライミに見えて仕方ないです…
私だけ&#8263;笑笑

2016/9/4 17:32  [1498-4806]   

>hiromi313(hrm1962)さん
ご参加申し込みありがとうございます。
新作のパーツ、楽しみにしております。
新しいパーツを取り付けるたび、新鮮な気分で運転できますよね。
事故などなさらぬよう、現地でお会いしましょう!



さて、いまのところ参加予定人数をお知らせします。

オフ会参加の方    13名(お子様含む)

クルージング参加   7名
夕食参加       8名
カラオケ・車中泊参加 5名

となっております。
まだまだ募集しておりますのでどしどし参戦してください!

2016/9/4 22:45  [1498-4807]   

hiromiさんー!今回はいけないんですょー(。>A<。)かなすぃ〜〜〜!!!

いやぁー実は密かにヒロミさんのサイドとリア参考にしたいと思ってて、もっかい見たいと思ってたんですょーなのに仕事なんて。。。orz

そしてなぜか昨日、夜な夜な普通の形のタープ買っちゃいました☆
ねこさんのオフで使えたら良かったですが、残念無念で次回までの我慢ですぅ〜(´д`)ハァ

ノブレッセパーツも早ければ明日の休みに数点付けれるかも!?なのでホントのホントに行きたかったですが、諸事情により仕事をやすめなかったと言う状況なのです。。。マスオさん状態はツライょ(笑)

・・・あ、ちなみにナオトインティライミは、すでに7回目ですょ(笑)
あ!あともひとつ!!横浜であったハイパーレブの取材にみんなで行ったら載せてもらえました(^_-)-☆
ルーフボックス載せノブは他には居なかったですσ(^◇^;)ニャハハ

2016/9/6 09:35  [1498-4815]   

 えりりんたんさん  

さて当日は一応休みなので
本日付け替えたタイヤが今週のオフ会から帰ってきてもまだ行けそうだったら参加します(ぉぃ

(1)お名前 えりりんたん
(2)人数 1人
(3)FIT3の色 青
(4)オフ会と車中泊パーティ オフ会
(5)富山湾クルージング希望? 定員でなければ参加、定員であれば不参加

帰りにまた富山ブラック食べてけあろうかな

2016/9/6 22:03  [1498-4816]   

>えりりんたん
参加可能との事で安心しました。
さあ、はじまるザマスよ。いくでがんす。ふんがー。
まともにはじめなさいよ!
そういや富山ブラック食べられるの? 正直そっちがびっくりだ。

2016/9/7 16:19  [1498-4817]   

 nichireanさん  

先日、参加表明したものです。
私は埼玉県からの出発で6時間ほどかかりますので、1泊致します。
車中泊パーティとクルージングも参加したいと思いますが、まだ参加OKでしょうか?
なんせ初めての参加で初めての富山です。
わたし爺さんだけど、頑張って参ります。

よろしくどうぞ!

2016/9/8 17:21  [1498-4818]   

>nichireanさん
二次会にもご参加いただけるのですね。もちろん大歓迎です。
みんなでワイワイ盛り上がりましょう!

カラオケの途中で退席し、クルマに戻って就寝ということも可能です。
最近の夜はけっこう冷えますので、長袖長ズボンのジャージと毛布があると安心です。

なお、カラオケは午後6時から、とありましたが、7時くらいからに変更します。

オフ会後 → 銭湯 → 夕食(カレー) → 買い出し → カラオケ → 就寝

という流れになる予定です。

2016/9/8 18:10  [1498-4819]   

いよいよオフ会開催1週間後となりました。
準備の段取も順調です。

オフ会は雨天の場合、中止することもあります。
天気予報と相談しながら、木曜日の夜に開催の可否をここで告知いたします。

ふじやまさんのクルージングは、参加する方はふじやまカーとねこカーに乗って
ベイエリアへ送迎します(クルマで5分程度)
ただし、海や天気の状態によって中止することもありますのでご了承ください。
船が転覆なんてしたら蜃気楼どころか走馬燈を見てしまいますから。
なお、お子さんの搭乗には安全のためライフジャケットを着ていただくことになります。
これはベイエリアの受付で借りることができますのでご安心ください。

オフ会そのものは、特にイベントなどは考えておりません。
じぶんでアイテムを持ってきて、欲しい人に差し上げるもよし、
海王丸を見学するもよし(乗船料 大人400円・子供200円)
ただしアイテムの売買など現金のやりとりをする場合は、
トラブル防止のため私(ねこ)に必ずお声がけください。



二次会のお知らせ

オフ会後、カラオケ屋の駐車場へ移動し、銭湯(420円)に入ります。
その後、時間があれば車中泊の準備をします。

夕食について。
カレーハウス・ザイカというパキスタン系カレーのお店を17時から予約しました。
ディナーはバイキングではなく、単品での注文となりますので
お好きなカレー等を各自で注文してください。セットで1000円くらいです。

夕食後、すぐ近くのスーパーにて買い出し。食べたい酒とつまみを買ってください。
ただしソフトドリンクだけはカラオケ店でフリーで飲めます。
駐車場に戻り、車中泊の準備を完全にした後、19時からカラオケ突入となります(ひとり2000円)
カラオケ終了と同時にすぐ就寝できるよう、ジャージ姿でカラオケするのが望ましいw

ちなみに車中泊会場の道路向かい側にコンビニがあり、朝方のトイレ等はそこになります。

2016/9/11 11:16  [1498-4825]   

 柴とハスキーさん  

こんばんは(^-^)
ご無沙汰してます。

まだ参加申し込みはできますか?
可能でしたら後程申し込みしますm(_ _)m

2016/9/11 22:11  [1498-4826]   

>柴とハスキーさん
お久しぶりです。新潟オフ会以来ですね。
オフ会はまだまだ参加受付OKですよ。
車中泊パーティもぜひ参加してみて下さい。

2016/9/11 23:36  [1498-4827]   

 柴とハスキーさん  

よかった(*´ω`*)
こういう機会がないと遠出しないんですよね…
楽しみです。


(1)名前 柴とハスキー
(2)人数 1名
(3)車 ヴェゼル ルーセブラック
(4)オフ会と車中泊パーティ  両方参加
(5)富山湾クルージング希望?
乗ってみたいですが、空いていれば…です。

よろしくお願いします。



2016/9/12 00:26  [1498-4828]   

>柴とハスキーさん
ご参加ありがとうございます!
そして初の車中泊参加。大歓迎ですよ〜。
カラオケではまたハスキーな美声を楽しみにしております。
茨城からですのでちょっと遠いですが、事故とかに気をつけてお越しください。


オフ会翌日は、オフ会会場であった海王丸パークで大きなイベントがあります。
(そのせいでオフ会の日曜開催ができなかったのですが)
もし時間のある方は、そのイベントも楽しまれてはいかがでしょうか。

さて、富山で有名なP.A.WORKSの作品「クロムクロ」ですが
面白くて1話から最新話まで観ました。
もうちょっとで最終話なので楽しみにしてます。
第一話のラストで、海王丸パークを背景に敵ロボットが浮上してきたのには笑いましたw
基本的には黒部ダムを中心に話が進んでいきます。
黒部ダム。そのうち行ってみたいですね〜♪

2016/9/12 21:39  [1498-4830]   

 えりりんたんさん  

当日ちょっと天気が微妙ですね

自分は早寝早起きして出発し早めに帰ります
なんせ次の日仕事なので
まあ琵琶湖の時とそれほど状況は変わらないかと

問題は昼ごはんだけど・・・弁当作るか悩み中
ドローンが飛ばせればいいえがとれたでしょうが、残念ながら海王丸パークでは禁止されているので



ちなみに富山ブラックは食べれますよ
エビが入ってないものなら

2016/9/13 23:52  [1498-4832]   

突然ですが、またもや急な仕事のため17日の開催が不可能という事態になりました。

楽しみにしていた方には本当に申し訳ありません。
延期はいまのところなく、中止ということになります。

取り急ぎ、ご連絡まで。

2016/9/14 17:16  [1498-4833]   

 sawakenさん  

ねこさん、残念ですが了解しました。

また、何処かで皆さんとお会い出来るのを楽しみにしています。

2016/9/14 18:46  [1498-4834]   

(T . T)残念でーす

が、仕方ありません(^∇^)

またの機会を楽しみにしております。

2016/9/14 19:01  [1498-4835]   

改めまして、今回のオフ会は中止とさせていただきます。

まず最初に、現状において14名の御参加予定の方に深くお詫びいたします。
本当に申し訳ございませんでした。

オフ会開催日である17日(土)は1ヶ月前から当3連休は出勤になっても出れない、との旨
会社のカレンダーに書いておいたにもかかわらず、休日出勤となってしまいました。
有事の仕事は優先しなければならないとはいえ、本当に遺憾です。

この日のためにボートを準備してくれていたふじやまさんにも深くお詫びいたします。
以前にも、ふじやまさんと遊びに富山へ行く約束が、同様に仕事のため中止となったことがあり
多大なご迷惑をおかけしてしまいました。

個人的に今回の富山オフ会は、フィナーレということで今までの集大成としていちばん
盛り上げたいと思っておりましたので、とにかく悔しいです。

オフ会をコンスタントに企画し、それを企画通りに遂行できれば問題はなかったのですが、
前回の長野オフ会においても開催日の変更を余儀なくされたりして、かなり心が折れました。
せっかく参加できそうだったのに、開催日変更により参加不可になってしまった人も
何人もいて、ほんとうに申し訳ないと思っております。

開催地の駐車場管理運営をしている方(今回は富山県振興管理局)にもご迷惑をおかけしました。
カレー屋さん、カラオケ屋さんにも、せっかく私どものために席を準備して下さっていたのに
あえなくキャンセルとなってしまい、本当に申し訳なかったです。

次回は・・・無いと思って下さい。
企画し段取り組んで、楽しみに参加表明してくださった方が大勢いてくれた中で、
再びこのように中止となってしまったら、と考えると、恐ろしくて立ち上げることができません。

ですが、みんカラなどの別な方の企画されたオフ会などには参加したいと思っております。
参加する際にはこの縁側に告知しますので、そういった場でみなさんとお会いできれば、と
考えております。
また個人的に車中泊に出かけるときにも、前もってこの縁側に告知しますので、
参加できる方とご一緒に楽しくできれば、とも考えております。

そんな感じで、今後の活動は縮小傾向になり、車中泊パーティーをメインにできたら、と
思っておりますので、興味のある方はぜひご参加ください。

最後に改めまして、楽しみにして下さっていた方々へ、深くお詫びいたします。
申し訳ございませんでした。

2016/9/14 21:49  [1498-4836]   

 ケルル侍さん  

こうなったら緊急プチオフだ&#8252;

2016/9/14 22:28  [1498-4837]   

 価失.comさん  

残念です、日頃の行いに気を付けます。

2016/9/14 23:46  [1498-4838]   

ねこさんお疲れさまです。色々とあって気を落とされてるとおもいますが、徐々にでも気にされないようにしていって貰えたらと願ってます。

今度からは「開催型フィット乗りねこ」から→「参加型フィット乗りねこ」に変貌しちゃってください(^_-)-☆
ぜひまたねこさんとオフ会で会いたいと思ってますので、気軽に参加型でいられるのもいいなと思ってます☆

そのときまでにワタクシめはキャンプ用品を用意しまくって、みんなでワイワイ、ねこさんウホホイできるようにしたいです(≧∇≦)b

・・・って実はこれより、山中湖あたりでのオフ会話をみんカラで持ちかけようと思ってるので、もしうまく行って&都合があうようなら遊びましょっ♪ヽ(^o^)丿

では、みんカラで山中湖作戦してきますー!ε=ε=(ノ≧∇≦)ノヒャッハー!!!

2016/9/15 20:05  [1498-4840]   

 kt-1500さん  

残念ですが仕事じゃ仕方ないですよね。

あっ、そういえば今度は逆にねこさんにお返ししなければならないものがあったんで、また近いうちにお会いしましょう。

2016/9/15 20:52  [1498-4841]   

>ねこフィットV(さん)さん

つづらお崎での皆さんの笑顔を思い浮かべながら楽しくコメントを拝見致しました♪最近私も長距離を走る醍醐味に魅せられております。どこかで遊撃隊ステッカーのねこさんの愛車と出会う日が楽しみでございます<(_ _)>

2016/9/16 17:05  [1498-4847]   iモードからの書き込み   

 ケルル侍さん  

主の猫さんを始め、ひまねこブラザースのみなさん
今回はオフ会が中止になってしまい残念でしたね。

しかし、走りたくて飢える子供たちは諦めきれずに車中泊の準備に取り掛かります!
明日の17日10時頃、新潟県道の駅天領の里にて数名の変態がニヤニヤ決行します&#8252;

弾丸オフなのでどうなるか判りませんが
愛車を美ながら煙草を吹かすひまねこブラザースの同士よ。ちょっとヘ(・。・。)



2016/9/16 18:09  [1498-4848]   

みなさん、励ましのカキコ本当にありがとうございます。

私は今後も日本各地を旅するつもりですので、旅先などで見かけたら
気軽に声をかけてください。

ケルルさん達がこの土曜日に新潟へ来るとの事で、夜遅くなるかもですが
せめて顔を出すくらいはしたいと思っております。
くれぐれも事故等には気をつけていらしてください。

2016/9/16 23:29  [1498-4849]   

>ねこフィットV(さん)さん

びわ湖を望む展望台で、ねこさんの温かいお人柄に触れたのが、つい昨日のように思い出されます。ぜひまた関西へお越し下さいませ♪

2016/9/16 23:38  [1498-4850]   iモードからの書き込み   

 kt-1500さん  

熊谷の日高屋で晩飯、前橋のスーパー銭湯で休憩しています。この時間に風呂に入れるのはありがたい。

2016/9/17 00:00  [1498-4851]   

 kt-1500さん  

到着!

全部下道、三国峠ごえしたの久しぶりだなぁ。
とりあえず飯食べて寝ます。

2016/9/17 07:19  [1498-4852]   

Ktさん
ん?新潟なんですか?

2016/9/17 08:32  [1498-4853]   

 ケルル侍さん  

おはようございます。

侍は長岡市の床屋で順番待ちしています!
今朝は新潟県に入るなり「ようこそ新潟へ」と
覆面パトロールのお出迎えでした

2016/9/17 08:34  [1498-4854]   

 ケルル侍さん  

ktさんはちょっと眠れなくて、ふらっとドライブしたら新潟まで来ちゃってますよ

2016/9/17 08:48  [1498-4855]   

おやおやー!男二人で新潟のお米を食い漁るオフですかね!?(笑)

熊谷遅くまでお風呂入れるのはいいですねー♪
今度、兄のいえ行ったときにでもみてみようかな(^∇^)

ってなわけで、ただいまワタクシめは、オフ会を10月に開催するために動き初めておりますょー☆
今のところ、10月16日、長池親水公園でやりたいなぁーと検討中なんですが、駐車場がそこまで広くないのが気がかりかなと(^_^;)

あとは日にちが確定できたり、また動きがあったらご報告&ご参加いかがですかー?のコメント入れにきますょー(^_-)-☆

2016/9/17 13:46  [1498-4856]   

 kt-1500さん  

新潟名物、たれかつ丼ランチに頂きました。
旨かった。

2016/9/17 14:13  [1498-4857]   

 ケルル侍さん  

新潟名物 とろろカツ丼旨いっす

2016/9/17 14:17  [1498-4858]   

 ケルル侍さん  

食ばかりですが、車がメインです

2016/9/17 14:20  [1498-4859]   

価失.com さん  

2016/9/22 17:04  [1498-4860]  削除

ジャラシネコ さん  

2016/9/22 17:05  [1498-4862]  削除

価失.com さん  

2016/9/22 17:05  [1498-4864]  削除

私ひとりが悪者として批判に晒される程度で済めば安いものです。
オフ会中止にはそういう別の事情も含まれていたということです。
詳細は書けませんが。

あと結果論ですが、天候が悪かったのでどのみち開催はできませんでした。


>kt-1500さん、ケルル侍さん、とお一人
新潟までお越しいただき、本当にお疲れさまでした。
少ない時間しか会えずお互いに物足りなかったとは思いましたが、
みなさんの顔が見れて本当に嬉しかったです。
謝罪するつもりが逆に励まされてしまいました。
まずは無事に帰れたようで安心しました。

この3名とふじやまさんには事情の詳細を納得してもらえ、少し胸をなでおろしていますが
やはり楽しみにしてくれていたのに中止という判断をしてしまったことは、
本当に申し訳なく思っております。
ほかの参加予定の方も、本当に悔しい想いをしていることと受け止めております。

2016/9/19 23:40  [1498-4865]   

茶色の三毛 さん  

2016/9/21 18:26  [1498-4869]  削除

ねこさん、お二人に会えたようで良かったです☆
カキコミないから二人だけでねこさんとは会えなかったのかな?と心配してたとこでしたけど、カキコミあったので安心しました♪

イヤミを言われてるのは気にせずか、削除しちゃってもいいと思うんですけどね(^_^;)

それから、10月にやろうかなぁと思ってるオフ会は、10月16日にやろうと思います☆
そんなに日がないので、人数てきにプチオフ規模になると思いますが、よかったらみなさん参加してもらえるとうれしいです(^_-)-☆
場所:長池親水公園(山中湖親水公園とも言うらしい)
時間:10:00〜15:00

まだ、内容がバーベキューできるいい場所ないので何するか未定なんですけど、山中湖一周とかもいいのかな?と検討中なのと、ご意見ご要望あれば聞きたいな☆と思ってます(≧∇≦)b

たんに富士山と山中湖の絶景をみて、記念になるshotがとれたらなぁーくらいでしか考えてなかったのでアドバイスなど貰えるとたすかりますー<(_ _)>
あ、あともし人数が少なすぎたら(4人以上で決行予定)日程の変更もあるかもですσ(^◇^;)

2016/9/20 12:30  [1498-4870]   

>銀狼のるーちゃんさん
おお、面白そうな企画ですね!
ただ残念ながら当日は参加はちょっとできないですが、好天と成功を願っております。
参加できそうな方は、ぜひアイデア等アシストをしてください。
富士山を眺めながらバーベキューとか、かなり楽しそうです!

2016/9/20 15:12  [1498-4871]   

えりりんたん さん  

2016/9/21 18:26  [1498-4872]  削除

 ケルル侍さん  

猫さんには事情があり苦渋の決断であった事をご理解していただきたい。

エキストラが騒いでいますがご自由にどうぞ(笑)だめ?

2016/9/20 19:06  [1498-4873]   

日にちミスッたー!(OωO; )

ぜんぜん無理だとおっしゃってる方が続出なのでオフ会の日にちかえます。すみません(^_^;)

翌週か、翌々週にしますけど、キマりましたらまたコメントいれさせてくださいましー<(_ _)>

2016/9/20 19:26  [1498-4874]   

価失.com さん  

2016/9/21 18:26  [1498-4875]  削除

シベリアンブルー さん  

2016/9/21 18:26  [1498-4878]  削除

禁則ワードは自動監視され、運営によって削除されるようです。
また、悪意ある中傷表現など、かなり監視されてるようです。

2016/9/21 22:14  [1498-4879]   

ねこフィットV(さん) さん  

2016/9/22 15:03  [1498-4882]  削除

青雲の里 さん  

2016/9/22 15:03  [1498-4883]  削除

hiromi313(hrm1962) さん  

2016/9/22 17:01  [1498-4884]  削除

新潟560 さん  

2016/9/22 15:04  [1498-4885]  削除

新潟560 さん  

2016/9/22 17:01  [1498-4886]  削除

ありゃりゃ!?なにやら削除連発でびっくり!(OωO; )

お知らせなんですが、山中湖オフは10月30日にする予定です☆

たぶん人数的にプチオフになると思うんですが、バーベキューがもしできるようなら少し移動してやるかも知れないかと思います(^_-)-☆

もしどんな感じで考えてるのー?とか知りたい方は。みんからでワタクシめにメッセージいただけましたらラインとか教えて情報提供しようかなと思ってます(≧∇≦)b

2016/9/23 01:12  [1498-4887]   

 えりりんたんさん  

残念
30日は京都でフィットもろもろオフ会なので参加できません
というか29日は地元でアニメ&コスプレの結構大きなイベントがあるらしいのでそっちもどうしようか迷い中

2016/9/23 01:30  [1498-4888]   



少女スプライトの冒険譚

全部終わるまで書き込みせぬようお願いいたします。

これは私が書いてきたフィクションの小説で、最も長編の物語です。
きっちり最後まで書き上げてありますので、よろしければご覧ください。

物語は、アメリカの同時多発テロが起こるずっと前の、まだヨーロッパが平和な時代。
ひとりの少女がインドからオランダのアムステルダムへ、自分探しの旅をする話です。

構想10年、製作1年。
信じられないヒトもいるかもしれないかもしれませんが、マジです。
大陸から隔離された絶海の孤島で育った少女スプライト。
彼女は、自分の生きる道を探すため世界の様々な人や文化を知りたいと願い、旅立ちを決意します。
想像を絶する過酷な旅。
目的地をまっすぐ見定めて歩き続ける少女には様々な運命が待っています。
思春期における絶望、悩み、孤独。情緒不安定な彼女ですが、持ち前の明るさで 問題を
ひとつひとつクリアしていき成長していきます。
そして、少女は運命の少年と出会う…。
そんな物語です。

私が高校生の頃にある程度の物語の外枠ができて、それから何度も執筆を 試みましたが、
未完で終わってばかりだった。

そんなとき、ハウス食品提供の「世界名作劇場シリーズ」が「家なき子レミ」を最後に
打ち切りになってしまいました。
(後にレ・ミゼラブルを筆頭に少し復活しましたが)
さまざまなアイデアの参考にさせてもらった世界名作劇場が終わった。
物語的に素直に感動できる数少ないアニメはもう見れないのか。
否! 自分で作ろう!  そう決心したのです。
もちろんアニメではないですが、せっかく構築した物語を自分の内に とどめておくのは
あまりにもったいない。
ちゃんとした小説にして、自分自身にもケリをつけよう!
そう思って執筆を開始しました。
世界名作劇場は視聴率がとれなくて終わってしまったことは いうまでもないし、
仕方のないことかもしれない。
それを考えると、人気のないジャンルに手をつっこむという、 あまりに無謀な、
分のない勝負を挑んでいるのかもしれない。
でも、共感できる部分は絶対あると思います。

蛇足かもしれませんが、各章にイラストを載せました。
それなりに苦労して描いたものですので皆さんの想像の手助けになれば嬉しいです。

かなり長々しいあいさつでしたが、それでは本編をお楽しみ下さい。



ひまねこ presents...     「Step Up!」

From Now On...

2016/7/6 00:03  [1498-4685]   

第一話 スケボーに乗った少女


「そろそろ彼女が通り過ぎる頃だな」
午後の診察を一通り終えたエイ・ネルゲンは聴診器をテーブルに置くと、椰子の木の立ち並ぶ
通りを一望できる出窓に腰掛けた。

「スプライト…ですか」
ナースキャップをかぶった、色白の肌の若妻スウォータはエイの側に寄り、チャイと呼ばれる
甘いミルクティーの入ったマグカップを手渡した。
「ああ。毎日村の学校が終わると、この道路を小さなモンスーンのように駆け抜けていくんだ。
彼女のあの元気な姿を見ないと一日が終わった気がしないよ」

スウォータは眉根に皺を寄せた。
「元気なのは結構ですけど、ケガだけはしてほしくないわ。毎日身体中に擦り傷や痣ばかり作って…
よその子にどうこう言うつもりはありませんが、もうすこし女の子らしくおしとやかに
なれないものかしらね」
「はは、彼女はこの島の中で一番よくケガをするから、この診療所一番の常連患者だ。
もはやあの子におしとやかなんて言葉は似合わないよ。だいたい子供は元気が一番、といつも
言うのはきみの方じゃないか」

「あの子はあと三ヶ月で中学校卒業するんだから、もう子供じゃありませんよ。卒業後の
自分の進路や将来を見据えて考えていなければならない時期なのに…」
スウォータはスプライトを、まるで自分の子のように想い、溜め息を漏らした。
「そういえば、もうそんな時期か。時が経つのは早いものだな…。フロート家の皆さんが
シリアからこのキングデラ島に越してきて、もう十余年が経ったのか…当時スプライトは
生まれて一年も経たない赤ん坊だったのに、もう中学校を卒業する時期になったのか…。
フロート家の長女として彼女はどんな道を進んでいくんだろうな。私個人で言わせてもらえば、
あの子はいつまでも自然の中で伸び伸びと暮らしていってほしいと思うんだがなあ」

「またそんな無責任な事を言って…」
スウォータは呆れて言葉が続かなかった。
「はは、無責任で結構。私は一介の医者だ。患者の将来進む道までは面倒みきれんよ。
この村の中学生は彼女を除いた全員がインド人だ。彼女だけブロンドの髪で蒼い色の瞳をしている。
そんな特殊な状況にも負けず彼女は持ち前の明るさで生きてきたんだ。これからの人生だって
ちょっとやそっとの逆境があっても負けることはないだろう。それに…」

エイが一言付け加えようとした瞬間、ネルゲン診療所の前をスケートボードに乗った一人の少女が
一陣の風の如く横切った。
「こんちは、ネルゲン先生!!」
Tシャツとジーンズという、一見男の子と間違えそうな格好の少女は片手を大きく振り上げ、
ネルゲン夫妻が手を振って返事しているのを確認するとそのまま素通りして海の方へ下っていった。

その姿を満足げに見通したエイは、改めて続けた。
「彼女は、あれでちゃんと将来のことを考えているのかもしれないよ」
「そう…ですかねぇ…」
スケボーの滑る音が遠くに消え、しばらく沈黙した後エイはチャイを飲み干し、ぼそりと呟いた。
「ただ、いくらしっかり者のスプライトでも、あのことを知ったらきっと平常ではいられないだろうな…」
スウォータは何も答えず、ただ悲げに瞳を閉じて俯いた。

軽快にローラーのベアリングが乾いた音を響かせるスケボー。それをブロンドの髪を靡かせて操る
少女スプライトは、アラビア海の風を全身に受けると目を細めた。
「ひゃぁーっ、気持ちいいーっ!」
右に左に体を振って器用に砂利を避けながら、珊瑚礁きらめくエメラルドグリーンの海に続く道路を
下っていった。

2016/7/6 00:04  [1498-4686]   

海辺は内陸部から一転して近代的なホテルなどが立ち並ぶリゾートとなっており、
様々な国から訪れた観光客が通りを歩いている。
スプライトはボードのヒールを蹴り上げて片手でスケボーを持った。

「さあ、今日も稼ぐわよ」
砂浜に駆け降りると、スプライトは肌を焼いている人を物色しながら歩いた。
海外からの旅行者と思われる金髪のカップルに目を付けると、さっそくスケボーを投げ捨て、
てきぱきと衣類を脱いで予め着ておいた水着姿になった。

そしてカップルの側にちょこんと座ると屈託のないスマイルで話しかけた。
「すみませーん、あたしにサンオイルを塗らせてもらえませんか?」
カップルは、またもや遠慮のないインド人にしつこく金をせがめられるのか、とウンザリしたような
表情で彼女の方に振り向いた。だが声の主は額にティカをつけた東南アジア系のような顔ではなく、
色白な肌で蒼く透き通った眼をしたヨーロッパ系の面立ちをした少女であった。

カップルの二人は驚いて顔を見合わせた。
相手を安心させるために自分と人種が似た人を選んでスプライトは話しかけたわけだが、
それでも断られることは多いので、彼女は返答も待たず更に話を続けた。
「前金で一人1ルピーでどうかしら。それ以上は絶対に請求しません。ただ…」
スプライトはわざと語尾を濁した。これがいつもの彼女の手口だ。
「ただ…なんだい?」
男はスプライトの喋りかけた台詞が気になって質問した。
《かかった!》
スプライトはもはや獲物を釣り上げた気になって説明を始めた。これを聞いて断った客は
今までいなかったのだ。

「あなた方の故郷や旅の話を聞きたいんです。あたし、ほとんどこの島から出たことがないから
ユーラシア大陸の事をなんでもいいから知りたいの」
カップルはそれを聞いてすっかりスプライトに対する警戒心を解き、女性は笑顔でスプライトに
2ルピー硬貨を手渡した。
「そんなことならお安い御用よ。じゃ二人分お願いね」
「まいどっ!」
スプライトは自分の荷物の中からサンオイルを取り出し、得意気に掌に垂らした。
簡単な条件をわざと言いにくそうに最後に説明するだけで旅行者の財布の紐は緩む。
スプライトは見事な手口で小額ながら小遣いを稼いでいた。

ただし、彼女にとって本当の目的は後者である海外情報の収集であり、小遣いを稼ぐことは
どうでもよかった。
先程言いにくそうに話したのが実は本音だったのだ。
インドの都市部や観光地などでは、旅行者を相手にひったくりやぼったくりなどが
当たり前のように横行しているため、醜悪な治安のイメージを観光客に与えている。
このため観光者は必要以上に人と接しないようにしている。
だからスプライトがただ話を聞こうとしても、相手は無視してしまうことが多いのだ。
そこで彼女はこのような方法で夢見る勤労少女を装って観光客に接し、情報収集をしながら
ついでに小遣いまでもちゃっかり稼いでいたのだった。

「どうもありがとうございましたぁ」

スプライトはカップルにお礼を言うと荷物を持って通りの椰子の木の下に座り、
仕入れたばかりの海外情報を専用のノートに書き記した。
「イタリアのベネツィアは、一〇〇以上の小島を四〇〇以上の橋で結んだ都市…か。
運河の街というわけね。しかもあの有名な超豪華寝台列車、オリエント急行の終着駅なんだ。
いやー、素敵。いつか行ってみたいなー…ってトランスしてる場合じゃないわ。
次の情報をゲットしようっと」
スプライトは再びビーチに戻って新しい客を求めて駆けずり回った。

女は近頃このような事ばかりしていた。ただしスプライトにとってこれは仕事などではなく、
彼女の思い描くユーラシア大陸冒険の夢のために情報を収集している、いわゆる彼女の
個人的趣味でやっていることであった。

ここはインドの南西、アラビア海の美しい珊瑚礁に囲まれたラクシャディープ諸島。
あらゆる情報までも大陸から隔絶された、自然の最後の楽園とうたわれたこの諸島に、
十数年前フロート家の四人がシリアから越してきた。インド人ばかりが暮らすこのキングデラ島に
ヨーロッパ系の人間が移住したのは、医者のネルゲン夫妻に次いでのことであった。

父はアラビア海に生息する生物の生態を研究する海洋生物学者、兄は年々近代リゾート化
されつつあるこの諸島近辺の治安を守るための沿岸警備隊をしており、そんな家族と美しい自然に
囲まれて育ったスプライトは島の子供の中で唯一の異邦人であり、持ち前の明るさもあって
島の中のちょっとした人気者であった。


2016/7/6 22:09  [1498-4688]   

「ただいまー!」
石造りの家のドアをバン! と勢いよく閉め、スプライトは居間に向かった。
「おかえりなさい、スプライト。もうすぐ夕食だからお父さんを呼んできて頂戴」
夕食の支度をしていた母親のラクティアがキッチンから顔だけを覗かせた。
「はいよー」
スプライトは自分の部屋に荷物を放り投げ、父親の書斎のある二階へ駆け上がった。

書斎のドアをノックし、スプライトはそっと中に入った。おびただしい数の学術書が足の踏み場も
無いくらい山のように積まれており、その奥の机で黙々とパソコンに向かって論文を作成している
父親ジョージアの姿が見えた。
「お父さん、お母さんが夕食だって…」
彼女は小声で父に呼びかけた。この部屋の中で大声を出すと積まれた本の山が崩れる恐れがある、
いや大声を出して本の山が崩れたことがあったのだ。
「お、もうそんな時間か。すぐ行くって言っておいてくれ」
「はーい…」

廊下に出ようとしたスプライトは、ふとドアの脇に飾ってある地球儀に足を止め、まじまじと眺めた。
「ははぁ。イタリアのハイヒールみたいな半島の付け根にべネツィアがあるんだ。きっとあたしの
知らない文化がたくさんあって、その中でいろんな人が生活しているんだろうな…
くぅー、行きたいな、大陸…」
スプライトはクルクルと地球儀を回しては、虚ろな瞳で溜め息を漏らした。

「…何してる、スプライト」
はっ、と気付くと背後でジョージアが自分を見ていた。優雅な空想世界が父の一言で
ダイナマイトを使用したビル破壊のように一瞬で跡形もなく崩されてしまった。
「はあぁーっ、お父さん、いつの間にいたの!?」
「ばか、大声を出すな。ここは私の仕事部屋だぞ、居ちゃ悪いか」
「あいや、そうでなくて…」

スプライトは大陸を旅したいと願う夢を家族に内緒にしていた。この夢が叶うことは家族と
離れることでもあるため迂闊に口にできないのだ。話したところで反対されるに決まっているし、
本気にもされないのではないかという懸念もあった。いまのところは同い年の親友ミスティオに
しか話していない、二人だけの秘密だった。
「まったく地球儀を眺めながらニヤニヤするなんて、世界征服でも企んでいそうで不気味だぞ。
いいから下へ行って夕食にしよう」
「…はーい」

食堂へ戻るとラクティアがシーフード・カレーを並べて待っていた。
「お兄ちゃんは? また今日も遅いのかしら」
スプライトは家族の揃わない夕食を不満そうに、スプーンを口に銜えながらテーブルに肘を突いた。
「行儀良くなさい。沿岸警備隊は人手不足なんですよ。あなたも中学校を卒業したら、
その有り余る行動力を生かして沿岸警備隊に志願したらどう? そうすればウィリーの負担も
軽くなって家族の揃った夕食も多くなるわよ」
ラクティアは、毎日学校から帰るなり鬼神の如き素早さで遊びに出掛けていく怠惰なスプライトを
皮肉った。

実際は四六時中遊びまわっているわけではないのだが、家族に内緒にしている以上そう思われても
仕方はない。
「女のあたしが警備隊に入れる訳ないでしょ。それにあたしがカナヅチなの知ってるくせに」
ふて腐れてカレーを行儀悪くかっこむスプライトの姿を見て、ジョージアはからかうように腐した。
「はは、お前子供の頃イルカの背中に乗ったまま海に潜って溺れそうになったんだったな。
そんなトラウマをまだ引きずっているのか」
「もうっ! 大きなお世話よ」
「ははは、すまんすまん。ちなみにスプライト、お前中学校を卒業したらどうするか
考えているのか? クラスのみんなは大抵家業の漁を手伝ったりするらしいじゃないか。
ま、私はお前の進む道に強制はしないし、お前がまだ勉学に励むつもりならコーチンの高校へ
行かせんでもないぞ」

大陸の高校に行ける、と聞いてスプライトの瞳がにわかに輝いた。
「大陸の高校?…うーん、わかんないよ。アハハ、ちょっと考えさせて。ごちそうさまでした!」
「アハハ…って…笑い事じゃないでしょ。待ちなさいスプライト!」
スプライトは訓戒から逃れるようにそそくさと自分の部屋に戻った。

ベッドの枕の脇に置かれたカセットテープのスイッチを入れ、今日一日で仕入れた外国の情報を
書き記したノートを寝ころがりながらじっくりと眺めた。
「コーチンの高校…か。大陸に行けることには違いないけど………。でも、それってあたしの夢が
叶うことと別の問題なのよね…」
テープから静かに流れる、悠久なる大地を想像させる管弦曲がスプライトを更に懊悩させるのであった。

2016/7/6 22:16  [1498-4689]   

翌朝、教室の自分の席にバッグを置いて一息ついているスプライトに、ミスティオが話しかけてきた。
「おはよう、スプライト。 どうしたの冴えない顔して。いつもの根拠のない笑顔はどうしたのよ」
生粋のインド人らしく、インド独特の婦人服サリーの似合う、額のティカがチャーミングなミスティオ。
そんな彼女にスプライトは渋い顔で答えた。
「朝っぱらからご挨拶ね、ミスティオ。まぁ、あたしも人並みに悩み事があるわけなの」
悩み、と聞いてミスティオは「はは〜ん」と瞳を怪しく光らせた。
「もしかして恋の悩みかしら、そりゃ是非聞きたいわね。で、誰なのよ、あなたをそこまで
悩ませる罪な男って。誰にも言わないからあたしに話してみなさいよ」
スプライトは彼女のとんちんかんな発想に思わず吹き出した。
「あははは、相変わらずぶっとんでるわね、ミスティオ。そんなんじゃないわよ。
実はね、昨日の話なんだけど…お父さんがあたしにコーチンの高校に行ってもいいって
言ってくれたんだ」

「まぁ素敵! それは素晴らしいわ。あたしも親に高校へ行きたいって言ったんだけど、
お金が無いから家の漁業の手伝いをしろって言われたわ。あたしの将来はがんじがらめなのに…
あーん、いいなぁ!」
ミスティオは掌を弾いて親友の輝かしい将来を羨んだが、スプライトはそれをよそに
窓の外に広がる青空と椰子の林の彼方に望む海を眺めながら溜め息まじりに答えた。
「でも、あたし高校へ行ってもやりたい事なんてないわ。大陸に行けるというだけなら
素直に喜んじゃうんだけど」

「ああ、あなたいつも大陸へ行きたいって言ってたもんね。でも、大陸へ行けて高校も行けるなら
言うことないでしょ。だいたいやりたい事なんて高校に入ってから考えれればいいじゃない。
一体何を悩んでいるの?」
「あたしはただ大陸に行きたい訳じゃないの。なんというか…一人でいろんな国を旅して
たくさんの文化や人と出会って見聞を広めたいのよ。あたしなりの自由を試すっていうのかな…。
その経験の中で自分の将来を決めたいって思っているの」
「ははぁ、なるほど。巡礼の旅って訳ね」
「…巡礼…? まあ、そんなもんだと思ってくれればいいかなぁ…。とにかく、そうは言っても
未知の大陸の一人旅って正直言ってメチャクチャ不安なのよ。あまりにも目標が漠然と
しすぎているし…あたし女だし…。だからそうなると、素直に高校へ行って勉強するのも
悪くないかなって思うんだけど、それは自分にとって最善の道だと思えないのよ。
なんだか逃げているみたいでさ」

「なるほどー、自分のこれからの事で悩んでいるのね。あたしは、将来は家業を継ぐという事で
もう決まっているからその辺の悩みについては深くは分からないけど、あなたは自分の将来を
自ら選択できることを誇りに思うべきだわ。ただ、今の自分が選んだ道に、未来の自分を
後悔させない勇気を持つ事が大切なんじゃないかしら」
淡々とした口調から切実に感じられるミスティオの想いがスプライトの胸を熱くさせた。

「自分を後悔させない勇気…か。く〜っ、ミスティオってたまにいい事言うのね。見直しちゃったわ」
「それ、褒め言葉になってないわよ。それより、あなたのお兄さんてばお元気にしてらっしゃる
かしら。今度遊びに…ねぇ、ちょっとスプライトってば…もしもーし!?」
スプライトは微かに薫る海からの潮風に思いを馳せ、何人たりとも侵すことのできない夢中モードに
突入していた。
とはいえ、ミスティオに悩みを告白したからといって、それの根本的解決になった訳ではなかった。
ミスティオは自分のやりたい事をやりたいようにすればいいと言っただけで、一人旅に対する
不安要素を除去してくれたのではなかった。外周数十キロメートルのこの小島で、
先祖代々変わらず質素に暮らし続け、それが当たり前の生活になっているミスティオに
解決してもらえるとはスプライト自身、思っていなかった。

ただ、旅立つ勇気は誰からでもなく自分の中からほじくり出すものだと、改めて認識できただけでも、
スプライトはミスティオに話した甲斐があった、と思ったのであった。
「早く授業が終わんないかなー。またビーチへ行って大陸に関する話を聞きたいわ。
あたしの目指すべき所…はやく見つけたい…」

スプライトは、焦りを吹き捨てるようにため息をついた。

2016/7/6 22:23  [1498-4690]   


数日が過ぎた、ある夕方の事だった。
薬品を棚に仕舞っていた医者のエイが玄関のベルに気付いてドアを開けると、そこには左手を
抑えながら立ちすくむスプライトの姿があった。

「おやスプライト、またケガしたのか。いつものようにそのまま中にはいってきたらよかったのに」
スプライトはエイの顔を見上げ、無理に作り笑いをしてみせた。
「えへ。ちょっとスケボーでオーリーしたら思いきり転んじゃったの…今日はちょっと派手に
やっちゃったみたいで、なんだか左手が動かないんだ。いててて…」
少し顔色が青ざめている彼女を見て、エイはいつもの擦り傷や捻挫程度のケガではないと察知した。

「どれ、少し見せてごらん」
スプライトの左腕が青く腫れている。患部を触ると、彼女は苦痛に顔を歪ませた。
「痛い痛い痛い痛痛痛ーっ!!」
「……ふむ。中でもう少し詳しく検査しなければわからないが、これは下手をすると腕の骨が
折れているかもな」
「うそ!? 骨折してるの、ネルゲン先生?」
「多分な。とにかく中に入りなさい、詳しく検査しよう。おーいスウォータ、急患だ。
氷を持ってきてくれ!」

スプライトはエイに連れられて診療所内のレントゲン室に入った。
スプライトの左腕を氷水で冷やしながらスウォータが脅すように追求した。
「一体何をやらかしたの? こんな、一歩間違えば命に関わりそうなケガをするなんて」
二人の心配をよそにスプライトは、とてもケガ人とは思えないような満面の笑みを浮かべて話した。

「実はね、今日とっても素晴らしい出来事があったの。詳しいことは今は言えないけど、
あんまり素晴らしかったからあたし大はしゃぎしちゃって。そんな感じで十段くらいあった階段を
スケボーで一気にジャンプしたら、着地した瞬間に派手にぶっ転んじゃった。
あたしのテクニックもまだまだ下手ね、修行が足りなかったわ。てへへ」
「呆れた。これに懲りてスケボーなんて乗らなくなると思ったのに…」

夜も更けたころ、スウォータから連絡を受けたジョージアとラクティアが診療所に駆けつけた。
またややあってから兄のウィリーも自転車に乗って来た。
「スプライト! 大丈夫か!?」
左腕を痛々しくギプスで固められ、ベッドで横になっていたスプライトは兄の訪問にびっくりして
上半身を起こした。
「どうしたのお兄ちゃん、お仕事は?」
「ばか、お前は寝てろ! 妹が大ケガしたって聞いて仕事してられる訳ねぇだろ!
で、ネルゲン先生、妹の、スプライトの具合はどうなんですか!?」

エイはレントゲン写真をウィリーに見せながら、淡々とした口調で話した。
「ええ。先程ご両親にも説明しましたが、左腕のとう骨としゃっ骨にひびが入っていました。
腕をギプスで固定しておきましたが、だいたい全治二〜三か月ですね。完全に折れていたなら
ここの診療所での治療は無理ですので、船でコーチンの病院へ行かなければならないところ
でしたよ。まあ、不幸中の幸いでした」

ウィリーはそれを聞くと、はあーっ…と深くため息をついた。
「そうですか…ネルゲン先生、本当にどうもありがとうございました…。まったく、スプライト、
あれほど気を付けろと言ってるのにお前は何をやってるんだ!?」
母も涙目で頷いた。
「そうですよ、スウォータさんから電話を受けた時、私がどんなに心配したことか、
あなたは分かっているの?」
スプライトは毛布を口元まで引いてたじろいだ。
「ごめんなさい。反省してます…」
「まあまあ、スプライトがとりあえず無事だったから良しとしようじゃないか」
父が宥めると、二人はようやく冷静さを取り戻した。

スプライトは今晩だけネルゲン診療所で入院することになった。フロート家がこの島へ
移住してきた当時からの付き合いもあるネルゲン夫妻が、責任をもって彼女の面倒を見てくれると
申し出たことから、両親と兄は自宅へ帰っていった。

深夜、暗い病室のベッドで横になっているスプライトは、見慣れない環境もあってなかなか
寝つけなかった。
「こんなんじゃ明日からビーチでオイル塗りのアルバイトはできないわね。でも、もういいわ。
遂に目的地がはっきりしたからね。あたし、今なら胸を張って旅ができそうな気がする…いや、
今すぐにでも旅出ちたい気分だわ。それなのにこんなケガで身動きがとれないなんて…
あー、本当にあたし何やってるんだろ………」
スプライトの焦燥感は夜空にきらめく人工衛星のようにいつまでも空の上を動かずに漂っていた。

2016/7/7 21:49  [1498-4691]   


数週間が過ぎた。
スプライトは接骨の経過を検査するためネルゲン診療所へ訪れると、スウォータが診察室に
通してくれた。
「エイは今往診に行っていてまだ帰ってこないのよ。たぶんすぐ戻ると思うから、その椅子に
座って大人しくしていてちょうだい。私はすぐに検査ができるようにレントゲンの準備を
していますから。いいわね、お腹が空いたからって棚の薬品を無差別に飲んじゃダメよ」
スウォータはスプライトに過去にあった過ちを繰り返さぬよう、念を押して部屋を出ていった。
初めの数分は、一人椅子に座ってじっとしていたスプライトだが、やがて退屈に耐えきれなくなり
部屋の中をうろうろと歩き回った。

「むー。ネルゲン先生まだかなぁ…ん? これは…」
ふとエイの机の上に〈住民健康管理ファイル〉と書かれたバインダーが置かれてあるのを見つけた。
スプライトは宝箱を見つけた時のような胸の高まりを感じつつ、バインダーを手に取った。
「これは島のみんなの閻魔帳だわ。見ちゃおっかなー。ちょっとだけ見てもいいよね。
ほんのちょびっとだけ…」
スプライトは誰に向かうともなく呟き、バインダーを開いた。

「あたしのページにはどんな事が書かれているんだろう…あ、あった。なになに…
本名スプライト・フロート、出身シリア国ハマ、血液型O型RH+、備考…軽傷多し。
なにこれ? 事務的なことしか書かれてないからつまんない。あ、お父さんのページだ。
ジョージア・フロート、血液型はAB型…。そうか、だからお父さんってちょっと変わり者だって
いわれるのかなぁ…って、ちょっと待てよ、あれ?」
ふと疑問が沸いた瞬間、窓の外でエイが自転車に乗って帰って来るのが見えた。スプライトは、
あわててファイルを元に戻した。

「遅れてすまない。さっそく検査しようか」
「はーい」
スプライトは気持ちを切り換え、素直にエイに従った。
スウォータが準備してくれていたお陰で検査はおもいのほか早く済んだ。
椅子に座ってレントゲン写真を見るエイは感嘆の溜め息を漏らした。
「さすが健康優良少女だな。もうほとんどひびのあった箇所が分からないよ。よし、明日から
早速リハビリが始められるな」
「よっしゃぁ! もうすぐこのギプスも取れるのね!!」
スプライトは喜びの余り右拳でギプスを殴った。拳と患部の両方に激痛が走り、歓喜の表情が
みるみる歪んだ。
「痛い…」

エイに指示された毎日のリハビリも順調にこなし、ギプスの取れる日まで秒読みとなったある晩の
夕食後、スプライトはついに両親に告白した。
「あたし、決めた!! 中学卒業したら旅に出るわ。一人で旅をどれくらいやれるのか、
自分を試してみたいの!」
ラクティアは目を飛び出さんばかりに大きく見開き、テーブルを力のかぎり叩きつけた。
「なんですって!? 突然何を言いだすのかと思えば旅行なんてバカな事を。ましてや一人旅なんて
とんでもないわ、私は絶対許しません! やっと腕のケガが治りかけてきたというのに何たること…
あなたからも何とか言ってやって下さいな」

話を振られたジョージアは、頭を掻きながらゆっくりとタバコに火を付けた。
「ふー…。まぁ、まずはスプライトから詳しい話を聞こうじゃないか」
スプライトは逸る気持ちを抑えながら、ゆっくりと口を開いた。
「あたし…お父さんの書斎にあるパソコンのインターネットや多くの本を見たり、
ビーチの観光客の話なんかで大陸のいろんな話を聞いて、この島の世界が小さく思えてきたの」
父の書斎のパソコンは通信衛星を介してインターネットが利用できる。ジョージアはそれを
スプライトが無断で閲覧していたことを初めて知ったが、話を聞くと言った以上、
彼女の話を塞き止めて叱ることはできず苦笑した。

「決して島を嫌いになったとか、そんなんじゃないわ。ただ、大陸にはこの島の中じゃできない体験が
星の数ほど散らばっているって知って、じっとしていられなくなったんだ。
…あたし、すごいわがままだって自分でも分かってる。学校の友達の多くは卒業した後、
家業を手伝う生活が決まっているんだ。ミスティオだってそうよ。家族と共に漁業を営まなきゃ
いけないって、将来を自分で選択できるあたしが羨ましいって彼女は言ったわ。
その話を聞いた時、とてもいたたまれない気持ちになったわ。あたしだって、あたしなりに
悩んだんだ。本当はお母さんやお父さんに言われた通りこの島で働いたり上の学校へ行って
勉強をする方が大切なんじゃないか、正しいんじゃないかってね。でも………」

スプライトの話が詰まると、ジョージアはタバコを灰皿に押しつけながら呟いた。
「……そうか。家族の存在が、お前に足かせを嵌めていたのか…」
「違うわ! あたしが臆病だっただけよ!!」
スプライトは感情的になって否定したが、ジョージアはあくまで冷静に続けた。
「いや、そういう事じゃないんだ…少し私の話を聞いてもらおうか」
ジョージアの胸の内を察したラクティアが口を挟んだ。
「あなた、今はまだ…せめて二十歳を迎えてから言うべきでは…」
「いや、この娘は本気だ。私達はここで真実を言う義務がある」
「…そうですか。とうとう、話すときが来てしまったのですね」
「??」
スプライトは、父と母が自分のことについて話し合っているはずなのに何を言っているのか
全く理解できず、たじろいだ。ただ、漠然とした不安だけは本能で察知していた。

「ただいまー。お、なんだ皆怖い顔して。またスプライトが何かしたのか?」
警備の勤務の終わったウィリーが帰ってきた。
「丁度いい。お前も座って話を聞きなさい。家族にとって重要な話なんだ」
「どうしたっていうのさ」
「いいから、座りなさい」
ウィリーは訳も分からずとにかく椅子に腰掛けた。

2016/7/7 21:56  [1498-4692]   

「これから話すことはお前達にとって、おそらく信じられないことだろうが、紛れもない事実だと
いうことを、予め言っておく」
ジョージアはそう言うと、運命の宣告に助走をつけるよう深呼吸した。

「まず結論から話そう。スプライトは私とラクティアの本当の娘ではない。いわゆる、養子なのだ」
「ええっ!?」
スプライトとウィリーは同時に絶叫した。
ウィリーは冷静に自分の幼年期を思い出すと、父の言った〔事実〕に抗った。
「ウソだ。俺が七才のときに、母さんは俺の妹を生んだはずだ」
ラクティアは感情を押し殺して口を開いた。
「確かにその通りよ、ウィリー。私は確かにあのとき赤ちゃんを生んだの。でも…」

スプライトは訳が分からず呆然とした顔をしていた。それを見てジョージアはラクティアを制した。
「順を追って説明しよう、ラクティア」
ラクティアは黙って頷いた。
「私達がまだ中東…シリアのハマの街に住んでいた頃の話だ。ラクティアの出産に
付き添わなければならない私は、ウィリーをホムスの街の実家に預かってもらっていた。
だから、そのときの真実をウィリーは知らないんだ」
ウィリーは当時その実家にいた事実を覚えていたため素直に頷いた。

「ラクティアのお産を目前に控えたある日、同じ病院の中でアルメニア人の友人である
エディタ夫妻からほんの数日間という約束で赤ん坊を預かった。それがスプライトだったんだが、
その数日間が全ての運命を変えてしまった。大きな…歴史に残る大きな内戦が街で
勃発してしまったのだ。政府軍の爆撃などでハマの街は瞬く間に紅く燃え上がり…
私達は硝煙と死臭の立ち込める街を必死に逃げるしかなかった。不幸なことに、エディタ夫妻は
この内戦で帰らぬ人となってしまい、またラクティアも銃声の轟く最中、体力を消耗しきった体で
出産したために、生まれた子供もすぐに動かなくなってしまった…私達にとっても地獄のような、
残酷な内戦だった…」
スプライトは絶句し、口を抑えた。

「それでもなんとかこの内戦を生き延びた私達は、これも何かの運命だろうと決心した。
共に生き残った、エディタ夫妻の赤ん坊スプライトを娘として育てよう、と。内戦が鎮静した後、
私達はエディタ家の親戚を探して事情を説明し、スプライトを正式な養子とする旨を話し許可を
もらった。もちろん反対されたら諦める覚悟はあったが、アルメニア人である親戚の方々は
元々難民…ただでさえ厳しい生活を強いられていたので人一人養えるだけの余力など残されては
いなかった。ましてあの、死者一万人を越す内戦の後ではなおの事、親戚の方々は快く我々に
スプライトを預けてくれたんだ。そして私の仕事、アラビア海に住む生物の研究のために、
四人家族になった我々はこのインドのラクシャディープ諸島にやってきたんだ」

ジョージアが話しおえた後、ラクティアが付け加えて説いた。
「始めは…正直言ってスプライトを憎んだわ。あの時抱いていた赤ちゃんがスプライトでなく
自分の子供であったならと、そう思わずにはいられなかった。でも、こういう運命…
因果というものも時としてあるものだって思って私はあなたを正式に養子にすることに
同意したのよ。あの地獄のような内乱を生き抜き、そして親を亡くしてしまったこの子を、
私達の娘として育てる決心をしたの」
ラクティアはそう言うと、ようやくスプライトの顔を見ることができた。

スプライトは視点が定まらず、唇が震えていた。
「あたしが…養子…あたし…お父さんの、お母さんの本当の子供じゃないの?」
「黙っていてごめんなさい…スプライト、ウィリー。決して騙すつもりは無かったの。
あなた達が分別のつく大人になってから話そうと決めていたの」
「スプライト、血は繋がっていないがお前は紛れもなく私達の娘であり、家族だ。しかし先刻の
お前の話、私達がお前の求める道の障壁となっていることを聞いて、これ以上お前に
黙っていることはできなかった…私達はお前を抑制する権利などないんだよ。
だから、この事実を伝えたんだ」
ジョージアはあくまで冷静を装って話した。

「今言ったことを心に受け止めて、もう一度考えてほしい。その上で出たお前の結論に、
私達はもはや何の反対もしない」
血は繋がっていない、という父の言葉を聞いてスプライトはネルゲン診療所で見た健康ファイルの
父のデータを思い出していた。両親のいずれかがAB型の血液であった場合、生まれた子供がO型に
なることはあり得ない。
………あれは、このことだったんだ…
錯乱寸前のスプライトは、父の話を裏付けるファイルの秘密を理解できたことだけで精一杯だった。

「少し、頭の中を整理する…ちょっと、一人で考えさせて…」
「スプライト…」
母の呼びかけに、スプライトは精一杯落ちついた声で答えた。
「ごめんなさい、すぐに元気になるから…」

スプライトは震える手で部屋のドアを閉めた。左手のギプスもガクガクしている。
真っ暗な部屋の中、スプライトはベッドに倒れこんだ。
自分の意思と無関係に頭の中がグチャグチャに暴走し、冷静な判断ができない。
「う……っ」
胸の奥から熱い何かが込み上げてくるのを、スプライトは怯えきって震え、声を殺してうずくまった。
しまいには毛布を頭まで被り、抑えきれないうめき声をあげていた。

2016/7/7 22:02  [1498-4693]   

スプライトがいなくなり沈黙した居間。最初に口を開いたのは、遅れて一人カレーを食べていた
ウィリーだった。
「ひでーな、俺にまで黙っていてさ」
「…すまなかった、ウィリー。ただ、お前までスプライトに対して気遣う必要はないんだ。
血の繋がっていない兄妹として意識させたくなかったんだ」
ジョージアが息子に対して素直に謝ると、その潔さにウィリーは恐縮した。

「まぁ…あいつは俺にとって、ここまで一緒に生活してきた大切な妹なんだから、血の繋がりが
どうのいわれてもどうでもいいことだと思うよ。家族の絆っていうものは血縁なんかじゃない。
一緒に…共有してきたかけがえのない時間、思い出だと思うから。ただし、それは俺個人の
主観で見た自分自身のことだけどね」
ウィリーはそう言うと急に険しい表情になった。
「でもさ、あいつの本当の両親は別にいて、しかも自分が生まれた直後に亡くなっていたって
いうんだろ。そんな宣告をいきなりされたら誰だって訳分からなくなっちまうよ。
あいつ、意外に情緒不安定だから悪いほうに物事を考えなければいいけど…」
「悪いほうに…って?」
ラクティアが心配そうな目をして聞いた。

「今までの自分と俺たちを結んでいた、信じていた当たり前のものがいきなり壊されたって
思うかもしれない。そうしたら、もうあいつは俺たちの家族じゃいられなくなってしまうよ…」
遠慮のないウィリーの言葉が、ラクティアを戸惑わせた。

ジョージアは腕を組んで二人に説いた。
「何にせよ、スプライトが旅立つにしろ、留まるにしろ、自由に選択させようじゃないか。
……スプライトを養子にしようと決めたあの時、私は決して正しい選択をしたとは思っていない。
しかしそれを正しい選択だったと思えるように、思ってもらえるように今まであの娘に
接してきたつもりなんだ。スプライトがこれから下す決断は、それを審判してくれる。
だから今は黙ってあの娘の決断を待とうじゃないか、ラクティア、ウィリー」
ラクティアとウィリーは力なく頷いた。
ウィリーには、想像を絶する両親の苦悩にただ同情するしかなかった。

「お父さん、入るね」
夜遅く、スプライトはジョージアの書斎のドアを開けた。
「スプライト、少しは落ちついたか?」

ウサギのように瞳を赤くさせたスプライトは静かに床に腰を下ろした。
「うん。あたしシリア人じゃなくてアルメニア人だったんだね。ね、お父さん、あたしの本当の
お父さんってどんな人だったの?」
「素晴らしい人だったよ。もともとシリアに暮らすアルメニア人の方々は、旧ソ連に同盟を結んだ
自国アルメニアの戦乱から逃れてきた難民だったから、その苦労は計り知れないよ。
お前の本当の両親であるエディタ夫婦も例外じゃない。アルメニア人であるだけで
ずいぶん迫害されたそうだ。しかし二人はそんな逆境にめげず日々働いていたんだよ。
お前のお父さんエリミネータはハマの街に生活を根付かせてからは商才あふれる知識を生かして
立派な絨毯屋を経営していたんだ。お母さんスキャナはとても美しい人だった。お互い結婚して
いなかったら、きっとお前の本当の父親は私になっていただろうな」
「!!」
書斎の外で、中の様子に耳を欹てるラクティアの表情が一瞬強張った。

「まぁ、お父さんたら。うふふ」
スプライトは明るい笑顔を見せたが、すぐに表情を険しくさせて俯き、訥々と胸の内を打ち明けた。
「あ、あのね…話してくれて、ありがとう。あたし…やっぱり旅に出ます。そして旅の途中で
シリアに行く」
スプライトはそう宣言するとゆっくりと顔を上げた。その表情は自身と誇りに満ちていた。
「シリアに行って、この家の家族として、お父さんの娘、お母さんの娘、お兄ちゃんの妹として
生きていくために、自分自身のけじめをつけるんだ!」

ジョージアは、精一杯背伸びをして叫んだ娘の震えた肩を抱いた。
「スプライト…わかった。お前の信じる道を進みなさい。しかしお前、シリアへ行くのは
旅の途中と言ったが、最終的な目的地はあるのか? お前の考えている旅を茶化すつもりはないが、
流浪の旅には私はあまり賛成できないな」
スプライトは理解ある父親に安心し、よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりの得意顔で立ち上がり、
書斎の地球儀に指を当てた。

「目的地は当然決めてあるわ。ここから遙か北西のヨーロッパ、ネーデルランド王国。
その中心のアムステルダムという自由都市よ。そこであたしの持つ自由という意味を
見つけに行くの」
「そうか…。いいだろう、お前自信が決めた道だ。反対する理由は何もない」
そう言うと、ジョージアは一枚の封筒をスプライトに手渡した。
「これを持っていきなさい。シリアのハマの街に住むお前の伯母の住所だ。お前の父エリミネートの
姉にあたる人だな。会って話してくるといい」
「ありがとう…お父さん」
「アムステルダムに着いたら手紙を書いておくれ。できれば私からの返事の手紙を
受け取れる場所で、な」
「うん…わかった、必ず手紙を書くよ」
「人にとって一番辛いのはきっと、愛する人が自分のために何かを諦めることだ。お前には、
私達のためにも夢を諦めないでほしい」
 ジョージアは毅然とした態度でスプライトの瞳を見つめた。
「だから…負けないように、泣かないように、元気で…頑張るんだぞ」
「お父さん…ありがとう…ありがとう!! あたしお父さんが、高校へ行ってもいいって
言ってくれたとき、本当に嬉しかったんだ!!」
スプライトはジョージアの胸の中で大粒の涙をこぼしながら泣き叫んだ。

ドアの外で様子を聞いていたラクティアもうずくまって顔を抑え、ウィリーは母のその震える肩を
優しく抱いた。

2016/7/7 22:13  [1498-4694]   


中学校の卒業式、ギプスも取れて完全に治った手を突き出し、サリーに身を包まれたスプライトは
卒業証書を授与された。
その碧眼には、全てを断ち切ったかのような生き生きとした光が輝いていた。

そして翌日、出発の日はやってきた。
スプライトを見送りに、ネルゲン夫婦やミスティオをはじめ、島に住む多くの友人が桟橋に集まった。

スプライトは時間の許す限り一人ずつ別れの挨拶をした。
「スプライト…きみが居ないと寂しくなるけど、いつもきみの健康を祈っているよ。くれぐれも
ケガだけはしないようにな」
「ありがとう、ネルゲン先生。…ね、先生ってばあたしが養子だった事知っていたんでしょ?
ひどいわ、あたしを騙していたのね」
「バレてたのか。すまん、きみのお父さんから固く口止めされててね」
隣のスウォータが続けた。
「それに、そういう重要な事は私達からでなく、やはり家族の口から告げられた方がよかったでしょ?」
スプライトは舌をぺろっと出して見せた。
「わかってる、冗談よ。あたしだってネルゲン先生の立場だったらきっと同じように
言わなかったと思うもの。あはは…ほんとに、今までケガばかりしていたあたしの手当てを
してくれてありがとう」
「気を付けてな、スプライト!」
スプライトはエイとスウォータと固く握手を交わした。

「スプライト、これあたしたちクラスの皆からからの贈り物よ」
ミスティオがスプライトに黄色のリボンを飾った大きな麦わら帽子を手渡した。
「ミスティオ…どうしたの、これ?」
「えへ。椰子の葉を織って作ったのよ。インドの内陸は気温が四〇度を越すんだから、
これをかぶっていけば安心でしょ」
「あたしのために………ありがとうミスティオ、とっても素敵な麦わら帽子だわ。
あたし、大事にするから!!」
「元気でね、スプライト。巡礼の旅の途中で素敵な彼が見つかるといいわね、ふふふふふ」
スプライトは未だに巡礼の旅と誤解したままのミスティオが滑稽に思えて笑いだしたが、
すぐに涙があふれてミスティオに抱きついた。
「…ミスティオ…あたし、あなたからもらった勇気を忘れないから!」
「あたしの分までがんばってね、スプライト。私はいつでもあなたを応援してるわ」
「ごめん…ごめんねミスティオ…!!」
「どうして謝るの? 胸を張って行こうよ、ね?」
「…うん…なんとなく謝りたかっただけなんだ。ありがとう、ミスティオ」

ミスティオとの別れが済むと、ほぼ一通り挨拶は終わった。
スプライトは最後に家族の、母の前に立った。
「スプライト…遂に、行ってしまうのね…」
「お母さん…あたし必ず帰ってくる。だから待ってて。そうそう、言い忘れていたけど、
赤ん坊だったあたしの命を守ってくれてありがとう。あたし、たとえへその緒が繋がって
いなくたって…お母さんを、フロート家の家族であることを心から誇りに思うわ」
「ああ…スプライト…あなたは私の娘だわ。愛してる…!」
母は言葉少なに娘をきつく抱きしめた。スプライトは母親のやさしい力のこもった腕の中で、
この母の感触を忘れまいと涙ながらに強く心に刻んでいた。
それは他の誰から見ても、母と娘であり、親と子であった。
ジョージアとウィリーもその隣で安堵に満ちた表情で二人を見守っていた。

「間もなく出航ですよ、お嬢さん」
クルーから乗船の案内を受けた。
いよいよ出航の時間だ。
スプライトは荷物のトランクと愛用のスケボーを持ち、ミスティオから受け取った麦わら帽子を
被ると、大勢の声援を背に受けてコーチン行きの定期船に乗り込んだ。
甲板で見送るみんなを一望すると、冒険に旅立つ期待と不安で体の震えが止まらなかった。
そんな自分を誤魔化すため、精一杯背伸びをして出航の汽笛と共に見送るみんなに手を振り、
大声で叫んだ。
「本当にありがとう、みんな。あたし今日のこと絶対忘れない。お父さん、お母さん、お兄ちゃん、
みんな……いってきまーすっっっ!!」
ウオオオオーッと一層激しい声援が彼女に向けられた。
スプライトは熱いものが激しく込み上げ、それ以上みんなを正視できなかった。

若干一五歳になるスプライト。
彼女の旅が、高速ギヤに切り替えられた船のエンジンとともに動き始めた。
………次にこの故郷の島に戻ってくるとき、自分はどんな人間になっているだろう。
前日の晩、小さなトランクに衣類や旅行道具をパッキングしていたときからそう思っていた。
もう後には退けない。
夢が現実になる瞬間だ。
小さな胸に詰まった勇気と好奇心と冒険心が、今まで悩みつづけた不安と後悔を凌駕せんばかりに、
今にも臨界に達し爆発しそうなほど高鳴る。
離れゆく故郷のキングデラ島を背に、船主に仁王立ちになったスプライトは涙を拭い、
そして息をすうっと吸い込むと思うままに叫んだ。
「よぉぉーっしゃぁーっっっ!! 絶対行ってみせる、自由の都アムステルダムへ!!」

「あなた…」
 スプライトを乗せた船が水平線の彼方に見えなくなると、ジョージアの肩に寄り添っていた
ラクティアは大きなため息を漏らした。
「これで、よかったんですね…あの娘の進む道は」
「さて、どうだろうな。それもスプライトのこれからが全てだろう」
「そうですわね…。ところで、スプライトの出発の準備なんかですっかり忘れていましたが…」
「なんだ、ラクティア。急に改まって?」
「あなた、スキャナ婦人と結婚したかったんですって? 私、そんな話は全く聞いていませんでしたわ」
「うえ!? き、聞いていたのか? あ、あれはだな…もののはずみというかだな…言葉のあやと
いうやつでだな………」
「言い訳は家でじっくりと聞かせて頂きます!」


2016/7/7 22:21  [1498-4695]   

第二話 旅の修理屋

赤レンガの建物に囲まれた街マーストリヒトで少年は育った。名前をランダムといった。

ランダムは今悩んでいた。毎晩のように夫婦喧嘩を繰り返している両親がとうとう
離婚しよう、と言いはじめているのだ。
夫婦喧嘩をするのは、いかなる家庭であろうと必ず起こりうる当たり前のイベントだ。
しかしそれが増長し、離婚してしまうとなると穏やかな話ではない。
ランダムのハイスクール進学を目前に控えたこの時期に、一体この両親に何が起こったのであろ
うか。

原因は、ごく単純だった。
夫に収入が悪い、と妻が罵ったことが喧嘩のそもそもの発端であった。
自分はスーパーのレジ係のパートをして家計を助けているのに、と生活の義務や感謝を楯に
家計の不満を夫に訴えると、この不景気な情勢では仕事があるだけでも幸せだ、
と夫は社会情勢の苦労話を持ち出して対立したのだ。

最初はそれだけだった。しかし何度も言い合いを重ねていくうちに論点が次第に家計の話でなく、
互いの宗教観に向けられてしまい、事態は手をつけられない程の泥沼と化してしまった。
最初はランダムも仲裁に入ってお互いの激情を塞き止めようとしたが、頭に血が登った相手に
何を言っても無駄であった。働きもしない子供に何が分かる、そんな暇があったら勉強して
いい会社に就職しなさい、などと言われ、話を取り繕う暇もなかった。

こうなるとランダムはどうにでもなれと匙を投げた。事態の結論に従うことで腹を括ったのだ。
ただ、最悪の事態にならないことだけを祈りつつ。
最悪の事態、それは離婚の正式な申請を役所に提出すること。ランダムの祈りむなしく数日後、
それは現実のものとなった。
やりきれない気持ちで、彼は自分の部屋の机で大きなため息をついた。
「…はぁ…」



「…はぁ…!! 着いたー。やっと大陸に着いたぞおー!!」
青空の下、コーチンの港に着いたスプライトは大きく深呼吸した。
彼女の住んでいたキングデラ島から、同じ諸島のアガッティ島を経由し船を乗り換え、
南インドの要衝の街コーチンまでほぼ丸一日の船旅であった。

この街は一七世紀にネーデルランドに占領されたこともあり、ヨーロッパ文化の遺
産や古い教会、西洋の屋敷などがところどころに目立っており、街を歩くスプライトの目を潤した。
生まれて初めての大陸に単独で乗り込んできたスプライトは見るもの全てが新鮮だった。
「うわぁ、うわぁ、うわぁー」

その日は街の安宿を予約し、船旅の疲れを癒すことにした。なにしろ船内は上下の激しい揺れで
寝れるどころの話ではなかったのだ。
そもそも旅の始めから熟睡できるほど図太い神経の持ち主ではないのだが。

安宿の部屋は、島の家の部屋に比べるととても狭くお世辞にも清潔とは言い難かったが、
初めて自分で行動しチェックインした宿を誇りに思い、満足していた。
「遂に始まった…あたしの旅。くぅー、明日からがんばるぞぉーっ!!」
「うるせー!!」
間髪入れず薄壁の隣の部屋から苦情の声が聞こえた。スプライトは、調子づいて周りの迷惑を
気にせず絶叫した事に反省しながらもその高揚感が消えることはなかった。
スプライトは興奮してなかなか寝つけなかった。
「あー、そういえば左腕を骨折してネルゲン先生の診療所で夜寝ていたときもこんな感じ
だったなぁ。あの日、あたしはビーチでアムステルダムの情報を聞いて興奮して、
心地よい緊張感に包まれて眠れなかったんだ…」
スプライトは目を閉じてあの日の出来事を思い出していた。


あの日、いつも通りに水着に着替えたスプライトはビーチで肌を焼いている観光客に話しかけていた。
「すみませーん、あたしにサンオイルを塗らせてもらえませんか?」
今回のターゲットは若い男の三人組だ。
それぞれ髪を肩まで伸ばし、ピアスやブレスレットなど光り物をお洒落に決めた、いかにも
遊びに詳しそうな若者であったため、スプライトはいい情報が仕入れられそうだ、と期待に
胸を膨らませていた。

交渉が成立すると、スプライトは男の一人の背中にオイルを塗ってマッサージを始めた。
「何、大陸の情報を教えてほしいって? ふーん、大陸っていってもなー…」
「なんでもいいの。あたしもいつか自由な旅がしたいんで参考にしたいの」
「ははーん、自由ねぇ…。それならこのウィリスさまがとっておきの都市を教えてやろう」
「え、どこどこ?」
「アムスだよ」
「アムス?」
「ああ、アムステルダムだ。この世で最も自由という言葉が似合う都市さ。オレたちのような
自由を求める若者が人種や思想を越えて集まる、言わば自由のための桃源郷みたいな街なんだぜ」
「はー……自由なる都市アムステルダムかぁ……ねぇ、それって何処にあるの?」
「北ヨーロッパにあるネーデルランド王国だ。海外を旅をするなら一度は行くべきだろうな」
「そうそう。なんたって飾り窓やコーヒーショップがイカした所でさ」
「かざりまど? 何それ。どんな所なの? おしゃれなカフェテリアもあるの?」
「あ、いや。なんでもない。ガキが行くとこじゃねーよ、ウヒャヒャ!!」
男は下品な笑いをして誤魔化した。
「むー。あたしガキじゃないもん! とにかくそのアムステルダムの事、もっと詳しく教えてよ」

三人の男から知るかぎりのアムステルダムの情報を仕入れたスプライトはほくほく顔で
スケボーに乗りながら、太陽電池の立ち並ぶ夕陽のシーサイド・ロードを流していた。
「くぅ〜。これだ。これだわ、あたしの求めていた目的地は。あたしはまだ自由でいたい。
まだ一四歳なんだから、将来よりも自分がどんな可能性を持っているのか知りたいわ。
それを探す意味でも、あたしは絶っっ対アムスへ行くんだ!!」
スプライトは慣れた足つきでクルクルと連続でスケボーを空中回転させた。
「ふふ、ふふふふ、うふふふふふーっ♪」
どうしようもなくスプライトの顔がほころぶ。
「この胸の高まりはスケボーで公園の階段からジャンプ一発かまさなきゃ気が済まないわ。
くわーっ、やっってやるわよ!!」

2016/7/9 21:54  [1498-4696]   


「……で、舞い上がったあたしは、着地した瞬間思いっきりすっ転びーの、石段の角に左手を
強打しーの、結果全治三ヵ月………。ほんと、我ながらバカをやったものだわ…。
だいたい、あの時点ではまだあたしが養子だったなんて想像すらしていない時期だったから、
今思うとホント、毎日のほほんと過ごしていたんだ………」
宿屋の部屋の天井をゆっくり回る大きな扇風機を眺めながらスプライトはため息を漏らすと、
ようやく気分が落ちつき、熟睡することができた。

次の日の朝、スプライトは早くに宿屋をチェックアウトし、インド北西部に行く列車に乗るために、
街の中心にあるエルナクラム・ジャンクション駅へ急いだ。
運良く本日発の寝台列車の乗車券を取得すると、ムンバイ行きの汽車に飛び乗った。

初めての列車、最初の頃は次々と流れる岩山やぽつぽつ見られる小さな集落などの内陸の景色を、
幼い子供のような眼差しで眺めていたが何時間も見ているとさすがに飽きてきて、
スプライトは自分の寝台の座席に寝そべって世界地図を広げ、これからの計画を立てた。
「とりあえず今までためた小遣いやバイト代でアムスまでの片道分の汽車代くらいに
なると思うけど、焦る必要はどこにもないわ。各地を見聞しながらゆっくり行こう」
そう呟くと、スプライトは父親から授かった封筒を再度開封した。

「シリアにも、行かなきゃ…ね。アムスに行く前にそこだけは避けて通れないわ。
ここに書かれてあるロケート・エディタという人に会えば、きっとあたしの本当のお父さんと
お母さんの話を詳しく聞ける。とにかく…あたしの出生について、知らなくちゃいけない」
スプライトはロケート・エディタと呼ばれる人物の住所が書かれた便箋を見ながら口の中で
〔自分が自分であるために…〕と呟いた。

列車に揺られて十数時間後、ムンバイの街並みが広がってくると終点のヴィクトリア・ターミナス駅
に到着した。

目の前に迫り来る大事件も知らずに駅を出ると、スプライトは目のくらむような熱気と、
むせ返るような湿気に圧倒された。
「ぐわー、暑い!!」
インドを代表する企業のほとんどがこの街にある、国内最大の都市ムンバイ。かつてはボンベイと
呼ばれていたが、それはイギリス統治時代の都市名であって、現在は元のインド名に戻されたのだ。

いつの時代でもこの都市はインドの文化の最先端を切り開いた。新旧入り交じった高層建築が
多くそびえ立つ街並みは、人の流れもさることながら自動車の密度が異常に多い。
しかしそんな街の光景よりも、スプライトはミスティオからもらった麦わら帽子も意味を
持たないほどの凄まじい熱気、異常な気温の高さにまず目がくらんだ。
「うあー、地獄ら〜」

さもサウナの中に四六時中いるようで、全身の汗腺から汗が吹き出し、意識が朦朧として
呂律も回らなくなる。
「ほにかく、ひとまず宿を見つけらきゃ…冗談れなく本当に死んらうよ…」
列車の中の決意に燃えた信念は何処へやら、スプライトは千鳥足で街を彷徨った。
自動車が渋滞した大通りの、ひっきりなしに叩かれるクラクションに不愉快になりながら、
ごった返す人の中をかき分けて進んだ。

やがて人通りの少なくなった所で、小休止を取ろうと日陰で立ち止まると、スプライトは
ようやく自分の足にしがみつく小さな女の子に気付いた。
「うわ!? あなたいつの間に? どうしたの、両親とはぐれちゃったの?」
あちこち擦り切れているブラウスを着た女の子はスプライトを見上げて右手を差し出した。

「お金、チョコレート、お金、チョコレート」
その子は、物乞いだった。
インド内地ではこういった人々が多くいる、という知識は持っていたが実際に遭遇したのは初めてだった。
スプライトはどうしてよいのかオロオロしてしまった。

………かわいそうな子…
こんな場合は絶対に相手にお金や物を恵んではならない、ということも充分理解していたつもりだった。
しかし、いざそのような状況を目の前にしたスプライトはそれでもこの女の子を助けたい一心に駆られた。
感受性が人一倍優れているスプライトは、いつも相手を喜ばせることを考えて行動してきた。
それはこの子にも同じだった。自分がこの子を、少なくとも今だけは幸せにさせることが
できるのではないか、という思いやりに似たエゴがスプライトの中に膨張した。

スプライトは露店でチャイという、砂糖の入ったミルクティーを買ってその子に与えた。
「おねーちゃん、ありがとう。ありがとう」
チャイを飲む女の子の屈託のない笑顔を見て、スプライトは初めて罪悪感を感じた。
この子はこんなことを、さも当然のように繰り返して大人になっていくのだろうか、と。
スプライトはその場から逃げ出したくなった。
そんな時だった。

どこからか飛び出してきた三人の少年に、スプライトは景気よく衝突してしまい大きな尻餅をついた。
「いったー。ちょっと、あんたたち!?」
少年たちは謝るどころか振り向きもせずに足早に逃げていった。
気付くと一緒にいた女の子もいなくなっていた。
「何なのよ、もう…」
立ち上がって腰の埃を叩き落とすと、スプライトはぞくっと背筋に悪寒が走った。

………財布がない。

先刻あの子のためにチャイを買った後、ジーンズのポケットに仕舞ったはずの財布が忽然となくなっている。
今の衝突の瞬間に盗まれたに違いない。
スプライトは大慌てで少年たちの後を追った。
「シャレになんないわ…あの中にはあたしの全財産が入っているのよ。それがないと、
この先旅を続けられないじゃない!!」

2016/7/9 22:02  [1498-4697]   

三〇分ほど付近を隈なく捜索したが、結局少年たちも、女の子も見つからなかった。
当然だった。土地に慣れていないスプライトが現地の住人を相手にルール無用のかくれんぼをして
勝ち目などあるはずもなかった。

スプライトはこうなったら、と警察の駐在所に駆け込んだ。
「すみません、財布…あたし財布を盗まれちゃったんです!!」
椅子にふん反り返って扇風機に吹かれた小太りの警察官に対し、スプライトは必死になって
先刻の状況を説明した。

「ふーん…で?」
警察官は、汗だくで憂悶しているスプライトを気にも掛けないような、のんびりした口調で
耳垢を吹き飛ばした。
「で、じゃないわよ。いま言った少年たちを見つけて、あたしの財布とその中身を取り返してって
言ってるのよっ!!」
「はいはい。お前さんが相当困った状況だっていうのはよく分かったよ。でも今お前さんが
説明した特徴の子供が、この街のあの地区だけでどれだけいると思っているんだ。
百やそこらの人数じゃねぇんだぞ。それに実際にその三人組とあんたがもう一度会っても
はっきりと認識できないのだろう。唯一顔を正確に知ってるその小さな女の子が少年たちと
グルだったとして、仮に見つかったとしても盗難事件なんて知らない、なんて言われれば
それで終わりさ。状況証拠がないからな。はっきり言って、盗まれたお前さんも悪い。
残念だが諦めるんだな」

スプライトは不快指数のメータを振り切られた蒸し暑さと、絶望と苛立ちのあまり
自我を喪失せんばかりに逆上した。
「冗談じゃないわよ、現場も調査しないうちに何結論出してんのよ!? 困っている人に力を
貸すのが警察の役目でしょーが、クソオヤジ!!」
クソオヤジ、と罵られて小太りの警察官も黙っていられる訳はない。男は額に血管を
浮き上がらせて机を思いきり叩いた。
「うるさい! この街にはガキの財布ひとつ盗まれただけで大騒ぎする警察官なんかいやしねぇよ。
暴動、ドラッグ、そして貧困。お前の言う〔困っている人〕とは一体誰のことだ。
そんな事も分からないお前のような、犯人の顔も特徴も知らない能天気なバカが一日に
何人同じような被害にあい、ここに来ると思ってる? 数えるのがバカバカしくなるような数だ。
それを一つ一つ調査していたらこの国の警察の機能はパンクしちまうよ。
だいたい、俺から見ればお前は運がよかった方だ。下手に自力で犯人を追い詰め、
返り討ちにあうケースだって珍しくないんだからな。命があっただけましだと思え!!」

「バカにして!! 警察の機能がどうとか言われても、さっきまでヒマそうに耳クソほじって
黄昏ていたオヤジじゃ説得力がないわね。あたしはれっきとした被害者なのよ、被害者!!
ガキの使いじゃないんだから、ハイそーですかって素直におとなしく諦めることなんてできないのよ!!」
「まったく、口の減らないガキだな。いいか、特定の人物と断定できれば捜査のしようもあるが、
逆に言えば犯人の特徴を正確に覚えていて特定の人物と断定できなければ警察もお手上げだって
言っているんだ。少しは頭を冷やせ」
警察官はそう言うと形式にのっとった被害届けの調書を取ろうと、ファイルを机の引き出しから取り出した。
「とにかく身分証明書…パスポートを見せなさい。お前さんこの国の人間じゃないんだろ。
大使館に問い合わせなければならないかもしれないし、お前の家族にも連絡しなければならないだろう」

家族に連絡と聞いてスプライトは、煮えたぎる脳味噌の中にドライアイスを投げ込まれるような、
凍てつく戦慄に襲われた。
本当の両親との決別を果たしアムステルダムに到着するまでは島の家族に連絡を絶つ、
という固い決意をこのような状況で崩さなければならないのか。
………いやだ!! 家族にこんな無様な自分を見られたくない、知られたくない。
スプライトは自分が犯罪者で事情聴取されているような錯覚に陥った。
身分を明かすことを疎ましく思えたのだ。

「あたしは……これでもインドの国民よっ! 外見で人を判断しないでよね!!」
スプライトは強気を維持しつつ警官に怪しまれないように後ずさりして、次の瞬間目にも止まらぬ
早さで荷物を持って通りに出た。
「バカおまわり〜!!」
捨て台詞を残し、スプライトは脱兎の如くその場から逃げ去っていった。
「なんだと、待てこの!!」
腹の太った警察官はスプライトを捕まえようと通りに出たが、彼女の姿はすでに雑踏の中に消えていた。
「…あのガキ、行くあてなんかあるのか…?」

2016/7/10 21:07  [1498-4698]   

インドの自動車の運転手はたいてい暴力的な運転をしている。
車の限界を超えるようなスピードに命を懸けるだけでなく、他の車に追い抜かれるのを潔しとしないのだ。
ガンガンに飛ばしているところを他の車に追い抜かれると、敵を抜き返そうと必死になるのだが、
追い抜いた方もやはり負けん気の強い運転手であり、さらに他車も巻き込んでの公道デッドヒートが
展開されるのだ。
そんなクラクションが響き渡る郊外の道路のわきで、事故で故障した車があった。
これら無謀とも思える運転の成れの果てだ。

フロント部分がへしゃげてしまい、そのショックでエンジンがかからなくなった車。
機械に疎そうな華奢なインド人女性を横に、その車を懸命に修理する金髪の大男がいた。
「よし、これでうまくいくだろう」
男が運転席のイグニッションを回すと、ブオンと黒煙をあげてエンジンが生き返った。
「うわあ、直ったのですね。本当に助かりました!」
女性は手を叩いて、見ず知らずでありながら助けてくれたその男に感謝した。
三〇歳に片足を突っ込もうかという歳なのに全身を分厚い筋肉に包まれた、ボディビルダーの
ような体格をした白人の男は、油に汚れた革手袋を外して工具の後片付けをはじめた。
「とりあえずの応急処置をしただけだから、すぐに設備の整った修理工場に持っていかなければ
いけませんぜ」
女性は、謝礼のお金を男に渡すと深々とお礼をして車に乗り、走り去っていった。

それを見送ると男は額の汗を拭い、自前の工具を大きなナップサックに片づけて背負い、歩きはじめた。
「やれやれ、あんな女性でもハンドルを握ると性格が変わるのだろうか…ん?」
ふと対向車線に目を向けると、男は奇妙な光景を目撃した。
巨大な、蝶にも似た麦わら帽子に手足が生えたような生き物が、さかんに車をヒッチハイクしようと
親指を立てて立ち尽くしているのだ。

男は道路を渡りその物体の正面にまわると、さらにぎょっとした。
その奇妙な姿の生き物は、欧州系の女の子でしかも顔を汗と涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしていたのだ。
「うわっ!? なんだ、どうしたんだお前!?」
女の子は男に気付くと、力尽きたようにその場にへたりこみ、しゃくりあげながら涙を拭った。
「あたし……どうしていいか、分からないよ。これから何をどうしていいのか、全然分からない」
そうとうな事があったらしく、少女は自分で何を言っているのか分かっていないくらい動揺していた。
「どうしていいのか分からないのはこっちのセリフだ。なあ、一体どうしたんだ、
なにか困ったことでもあったのか?」
少女は俯いたまま何も言わなかった。

とにかくこんな車道のすぐそばでこのまま放っておく訳にもいかず、男は少女の手をとって
近くの公園のベンチに腰を下ろさせた。

太陽はもう西に沈みかけており、昼間の四〇度を越す猛暑も治まってきていた。
ベンチに座って一息つくと、少女はようやく落ち着きを取り戻したようであった。
「俺はマトリクス・トリニトロン…スペイン人だ。きみは?」
「…スプライト……スプライト・エディタ」
彼女は島の家族の姓フロートを名乗らなかった。今ですら、彼女は島の家族と共に暮らしたいと
心から思っているが、この旅の間はエディタ家の姓で通そうと決めていたのだ。
少なくとも、シリアの伯母に会うまでは。

「スプライトか。では早速聞くが、なぜ泣きながらヒッチハイクなんてしていたんだ?
相当に危険な行為だっていうことを自覚しているのか?」
マトリクスは、女性の単独ヒッチハイクの危険性を淡々と語った。インドは無謀運転のメッカであるため、
朦朧とした意識で車道に近づいたら命にも関わる、などと脅しもした。

スプライトは彼の話を聞くと自分の行為に反省をしながら、ようやくまともに口を開いた。
「あたし…旅立ったばかりでここに来たんだけど、全財産が入った財布を盗まれてしまったの…」
スプライトはゆっくりした口調で今日起こった盗難事件の経緯を彼に語った。

物乞いの女の子にチャイを買い与えたこと。三人の少年に財布を盗まれたこと。
警察に言っても助けてくれなかったこと。そして、そのあと途方に暮れて街をさまよい
歩いた挙げ句、道端でヒッチハイクをしていたこと。
マトリクスはスプライトの話を聞きながら、彼女のトランクに挟まれたスケボーを興味深く眺めた。
「ほう、いいスケボーだな。ローラーのベアリングもきちんと掃除され、グリスもまめに
塗られている。よほど大切なものなんだろう」

スプライトは自分の宝物を褒められて、傷心ながら少し嬉しくなった。
「うん。お父さんが学会の発表でミラノへ行ったときのおみやげなの。これに乗って何度も
ケガをしたことはあったけど、あたしの大切な宝物なんだよ」
「そうか…。ま、それが盗まれなかっただけでも良かったじゃないか」

スプライトはそれを聞くといきなり激怒した。先刻の警察官と同じく自分を小さな子供のように、
大人の理屈で丸め込まされそうな気分になったのだ。
「あたしだって、何度もそう思ったわ。警察にも似たような事を言われたよ。命があっただけ
マシだったってね。確かに自分やスケボーが無事でよかったとは思うけど、でも、それはただの
慰めであって何の解決にもならないわ! あたしがこれからどうやって旅を続けたらいいかなんて、
誰も…誰も教えてくれない!!」

再び興奮して支離滅裂になりかけたスプライトを、マトリクスは辛辣にあしらった。
「甘ったれんな。警察や俺を、これからの自分を助けてくれる都合のいい存在だとでも思っているのか?
そんな、金や他人を頼った旅を続けていくのなら、最初からしない方がまだましだったな。
やめちまえよ、旅なんて」
マトリクスはそう彼女を突き放すと、立ち上がってナップサックを担いだ。
「うわあああぁぁぁぁん!!」
声を張り上げて泣き叫ぶスプライトを背に、マトリクスは無言で立ち去っていった。

辺りは暗くなり、公園の薄暗い街灯がベンチで独り泣く彼女を冷たく照らした。

2016/7/10 21:18  [1498-4699]   


一時間後、マトリクスは暗がりを歩いて公園に戻った。
スプライトはさっきのベンチに腰掛けて顔を両手で覆っていたままだった。

マトリクスは彼女の前に立った。
「お前…まだここにいたのか…」
スプライトははっとして顔をあげた。
「マトリクスさん…どうして…」
「俺は…泊まるところを探してさまよっていたら、偶然またこの公園に来てしまってな。偶然だ偶然」
マトリクスはそう言うと、照れを隠すように彼女の隣に座った。
………下手な嘘…でもあたしの事、心配してくれていたんだ…

スプライトは涙を拭い、悟りをひらいたような笑顔を見せた。
「あたし…マトリクスさんの言うとおり、警察やあなたに甘えていた。いや、それ以上に
甘えていたのは自分自身にだったんだ」

マトリクスは無言でスプライトの話を聞いた。
「あたしさ…旅立つ前は自分で何でもできる人間だと思っていたんだ。お金がなくても自分の足で
どこまでも歩いていけると思っていたし、どんな所でも平気で眠ることができると思っていた。
でも…現実は違ったわ。いきなり無一文になってしまっただけでこのざまでしょ。
無知で、無力で、無神経で…こんなに自分が弱い人間だったとは思わなかったわ…。
ほんと、惨めねあたしって…」

スプライトは自分の未熟さを心から反省していた。それは、旅という現実に初めて彼女が
向き合った瞬間だった。
島で生活していた頃、ミスティオに打ち明けた〔旅に対する漠然とした不安〕とはこのことであった。
楽しい出来事ばかりを紡いだ旅を理想に想いながら、そこに何の意味が介在するのかと、
心の奥で燻り続けつつも目を逸らして結論を出さずにいた。
いわゆる、旅をすることで自分が傷つくことを恐れて逃げていたのだった。
目的地を見い出せなかったことはそれに対する言い訳でしかなかったのかもしれない。

マトリクスは懐からヨレヨレになったタバコを取り出し、火を付けた。
「まあ、誰だって金を盗まれればパニックを起こしてしまう。所持金を計算してこれからの
行動計画をしている訳だからな。金がなければ食事もできないし、女のお前なら宿だって
切実な問題だろうさ。ただ、問題を目の前にしたら、パニくる前に自分の現実を直視し、
冷静に分析し、最善の対処方法を検討しなければならない。俺は、お前がそんな事もせずに、
人に頼ってばかりのクソガキだと思ったから突き離したんだ。こいつが今のままで旅を続け、
多くの人に迷惑をかけるくらいなら今やめさせたほうがましだってな。本当は俺にそんなことを
言う資格などないんだが…」
「ううん、そんなことない」
スプライトは首を振った。

「あなたのおかげで目が覚めたわ。盗難にあったのは自分の責任なのに、他人に責任を押しつけて
いたんだよね。確かに、そんな自分じゃこの先どれだけの人に迷惑をかけるかわからないわね、
アハハ。もう財布の話はやめる、あれは最初からなかったものとして諦めたわ」
最悪の状況の中でひらき直りにも似た境地に達した彼女は、不思議と落ち着きを取り戻した。
「それにしてもマトリクスさんって、すごい筋肉してるのね。旅をしながらボディビルでも
しているの? それともランボーのように傭兵とかしてる人なの?」
マトリクスは思わず吹き出した。

「何言ってんだバカ。俺は修理屋だ」
「修理屋?」
「ああ。旅をしながら、機械の故障で困っている人を相手に商売しているのさ。ラジオから
自動車まであらゆる機械を、元通りとまではいかないが使えるようにするくらいの修理ならば
お手の物さ。ま、大抵は事故や故障した車の修理ばかりだから力仕事が多いな。
そんなのを何年もやってきたから否応でも筋肉はつくさ」
マトリクスは力こぶをつくってみせた。
「インドには無謀運転の殿堂だと聞いて来たんだ。きっと事故も多いから修理の仕事も多く、
けっこう儲かるだろうと思ってな。予感的中、お前と会う直前も車を修理して稼いでいたんだぜ」

旅と職を合致させた生きかたにスプライトは心底羨んだ。技術さえあれば稼げる、という理論を
彼は実践していたのだ。対して自分は稼ぐための技術を何も持っていない。自分の技術…特技は
スケボーくらいしか思いつかず、それで確実に稼ぐアイデアなどまるでなかった。

スプライトは覚悟を決めてマトリクスの正面に立った。
「あたし…考えたことを正直に話すわ。あなたと共に旅がしたい。でも、あなたに助けてもらおうとか、
養ってもらおうとか、そういうのじゃない。あなたの持つ機械の技術を習いたいの。
弟子入りって言ったほうが手っとり早いわ」
「そうだな、お前はスケボーのメンテナンスもちゃんとやるマメな部分があるから、技術屋としての
素質はあるかもしれない。だが、俺は弟子を雇う気もなければ、余裕もないぜ。
ましてお前は旅慣れてもない味噌っかすだ。はっきり言って悪いが、足手まといになることは
必至だ。それに…」
「…それに?」

「百歩譲って男ならまだしも、お前ガキで女だろ。力にならないひ弱な戦力など、俺はいらんよ」
「…身も蓋もないことをはっきりと言うのね。ま、同情されるよりはマシだけど…さ!!」
スプライトはマトリクスの、筋肉に包まれた厚い胸板を思い切りパンチした。
頑丈なマトリクスはビクともしない。

2016/7/10 21:30  [1498-4700]   



全てを受け止めそうな彼の強靱な体、そして甘えを決して許すことのない剛勇な精神は、
旅の師匠として申し分ない。スプライトはそう感じていた。
「…あなたに迷惑はかけないとは言えない。ご覧の通りひ弱だし、足を引っ張ることもあるかもしれない。
でもそれを補うくらいあなたの役に立つと言えるわ。自分でそう決めたもの。力だってつけるわ。
…あたしは一週間前に中学校を卒業したばかりだから、あなたから見れば確かにガキかもしれない。
旅慣れてもいなければ世間一般の常識ってやつもまだまだ知らないことだらけだわ。
それでもあたしは旅がしたい。したいけど、生きるために稼ぐ技術をあたしは持っていない。
それを学びたいの。お願い、マトリクスさん…子供だからとか女だからなんて言わないで…!!」

スプライトの必死の形相にも動じず、マトリクスは冷静に二本目のタバコに火を付けた。
「一つ、聞かせろ」
「…うん」

「お前の財布を盗んだ三人と、チャイを御馳走してやった女の子はグルだったと思うか?」
スプライトはギクリとした。事件が起こった直後、あの子は何故行方を晦ましたのかという、
喉につかえていた小骨のような苛立ちを、マトリクスは話を聞いていただけで見抜いていたのだ。
「…あたしは…違うと思う。根拠はないけど、そう信じてるわ」
彼女は思った通りに答えた。チャイを飲んでいるときの嬉しそうなあの子の笑顔が、
口には出せないが彼女なりの根拠だった。

しかしマトリクスはそんな彼女の優しさをあっさりと否定した。
「甘いんだよ。その子はグルだ。財布の紐の緩そうなお前に近づき、物を奢らせて財布の
仕舞い場所を物陰に潜む三人に教えていたんだ。事件のあと忽然ときえていたのがいい証拠だ。
慈悲深いインド人は、たとえ子供でも恩人の危機を無視して逃げる人はいないからな」

マトリクスはタバコの煙を星空に向けて噴かす。
スプライトは何も言えず、唇をぎゅっと噛んだ。
「これから俺と行動する以上、いいかげんな判断材料で自分の都合のいい方向に物事を考える
偽善者にだけはなるんじゃねぇ。結局傷つくのはお前自身なんだからな」
「うん…」
共に旅することを承諾してはもらえたが、スプライトは割り切れない気分だった。
マトリクスの言う事は、いちいち的を得ていた。自分がインドの住民であることを疑うくらい
彼はこの国を知っていた。自国の事情を説教のダシに使われ、反論できない自分が悔しかったのだ。

………自分の行為や推察は偽善だったのか?
スプライトはこれからインド内を旅する間、それについて何度も自問することになった。
インド人でも恩人の危機を無視して逃げる人はいるだろう、だからあの子は犯罪に加担するような子
ではない…そう思いたかった。
「まあ、お前気に入ったよ。ウジウジ悩む部分、純粋な部分、情緒不安定な部分を全部あわせた
向こう見ずな行動。それを見てると俺の青春時代を思い出すぜ。自分が物を恵んでやれば
彼等は本当に幸せになれるのか、あの頃は悩むしかなかった。納得のいく答が欲しかったよな」

スプライトは自分が子供扱いされていることに怒気を抑えきれず、ふて腐れた。
「なによ、人を小馬鹿にして。あなた、あたしのことを弄んでるでしょ!?」
「別に。ただ同情してるだけだ」
「キーッ!!」
スプライトは顔を真っ赤にして地団駄を踏んだ。
「サルかお前は…。とにかく、今日はこの公園でキャンプだ。テントの張り方を教えてやるから
一発で覚えろ。それが終わったら水を汲んでこい。いいな」
「キャンプ…? テント…?」
スプライトの顔から血の気が引いた。
てっきり宿に泊まれると思っていたのだ。
自分が師匠と決めた人とはいえ、大人の男とこれからテント暮らしの生活をしなければならないのか、
と非情な不安を感じた。

スプライトの表情を読んだマトリクスは、頬を歪ませて彼女を見下した。
「イヤか? は〜ぁ、これだからお嬢様はいやだねぇ。世の中そんなに甘くないのよォ。
今なら前言撤回を許可してやるから、帰れば?」
スプライトは〔キャンプは初めてだから〕と言い訳しようとした口を制止し、マトリクスの悪態に
逆上して立ち上がった。
「冗談じゃないっ!! やっっってやるわよキャンプぐらい!!」
彼女の負けず嫌いと潔さに、マトリクスは思わず苦笑いをした。

………今回の事件で、思ったほど自分がしっかりした人間じゃなかった、
何でもできると思っていたのは根拠のない口先だけの自信だった、という事が分かった。
でも、自分の弱点が自覚できるって、思ったほど嫌な気分じゃない。スケボーに乗った自分の姿が
商店のウインドウに反射して見えた時みたいに、自分の知らない自分に出会えたような、
ささやかな幸せを見つけた感覚だったわ。
わがままで、気が多くて、さみしがりやで、優柔不断で、おまけにすぐ泣く。
今までの自分は、そういう自分が結構好きだった。でも、一人旅を自身で選んだ以上そういう甘えは
全力をもって切り捨てようと思う。

マトリクスさんは、口は悪いけど決して嫌な人じゃない。あたしのような中途半端な優しさを
持っていないだけなんだ。
正直言って、彼がいなかったら今頃あたしどうなっていたか、自分でも想像できない。
命の恩人といっても言い過ぎじゃないわね。悔しいけど。
「負けないように、泣かないように、元気で……か……」
狭いテントの中、スプライトは父ジョージアの言葉を改めて自分に言い聞かすと、大きなイビキを
立てて眠るマトリクスの横顔をチラッと眺め、そして両耳を抑えながら眠りについた。

2016/7/10 21:39  [1498-4701]   

第三話 イスラム万難物語

ランダムは決断を迫られていた。
両親が離婚をした後、どちらの元で生活するのか。
両親は二人ともこの国の人間ではなかったため、街の借家を手放し、お互いの母国へ帰るというのだ。

ランダムはマーストリヒトで生まれ育ったことからも、この過ごしやすい街に愛着があった。
気候、自然、街並み、そして彼を取り巻く友達。その全てが彼にとってかけがえのない宝物だった。
だから、今さら他国で生活することなど考えたくなかったが、両親が離婚する以上いやでも親の
どちらかについていかなければならない。
父親に付いていくか、母親に付いていくか、選択は二つに一つだった。

そもそも本当に子供を大切に想うならば、離婚など考えない。お互いに自分の事ばかり主張していたのが、
このような状況になって初めて思い出したかのように子供の心配をし、私と共に行こう、
いいえ私と、などと所有物扱いされているのが彼には我慢できなかった。彼にすれば、
生みの親としての義務感だけで養うような態度だったのだ。

愛のない親となど、一緒に住んでも無意味だ。
彼は決心した。このマーストリヒトの街で一人で生活しようと。
両親にそう話すと、当然のように反対された。しかし彼の決心は変わらなかった。
知り合いの大人に借してもらった小さな二階建てのガレージに自分の荷物を運び、
そこでランダムは独り暮らしをはじめた。
彼の両親は仕方なく諦め、ついにランダムとこの地に別れを告げてそれぞれの母国へ帰っていった。
一人マーストリヒトに残ったランダムは傷心のあまり、すっかり生きる気力を無くしていた。
「冗談じゃねぇよ、まったく…」



「冗談じゃないわよ、まったく!!」
インドの首都デリーからパキスタンの国境近くのアムリトサルの街に続く平原の一本道、
スプライトとマトリクスは修理した車に乗せてもらっていた。
「あたしお酒なんて飲まないわよ。真っ昼間から何考えてんのっ!?」
助手席で日焼け顔を更に真っ赤にしたマトリクスが後席のスプライトに、赤ワインのような
酒の入ったマグカップを勧めた。

「へへ、まぁそう言うなよスプライト。この方の奢りだ、飲まなきゃ失礼だぜ」
マトリクスが指す、運転席で車を運転するベトナム人の男も嬉しそうに彼女に勧めた。
「そうですぜお嬢さん。その酒はリェウネップというベトナムの米焼酎でさ。意外に甘いので
お嬢さんの口にも合うと思いますよ。なぁに、先程エンジントラブルを直して頂いたお礼です、
ジャンジャンやってください!」
「車を直したのはあたしじゃなくてマトリクスさんだよ」
「いや、あの何もない所でお前がオイルを買いに一〇キロも離れた街まで行ってくれたときは
本当に助かったんだぜ。一時間もかからずに戻ってきたんだからな。おかげで修理も思いのほか
早く終わったし、本当、おめぇは大したやつさ」

マトリクスは、インドでは宗教上の理由で好きな酒がなかなか手に入らなかったこともあって
すっかりご機嫌だった。
スプライトは、酔っぱらっているとはいえ珍しくマトリクスに褒められたので悪い気分ではなかった。
「(あれは、オイルの売っている街までヒッチハイクして行こうと思ったけど、誰も停まって
くれなかったから、スケボーに乗って他の車の後ろに無断でつかまり、街まで引いてもらっていたの。
だから往復二〇キロは思ったほど遠くなかった)」
と彼女は謙遜しようとしたが、余計な話はしないことにした。
「そうかなぁ、アハハ。じゃお言葉に甘えてほんのちょっとだけいただきまーす…」

スプライトは手渡された酒を、水を飲むように喉を鳴らして一気に飲み干した。
四〇度を越す日中の暑さには慣れたとはいえ、水分の補給は常に持って回る切実な問題だ。
彼女にとっては酒よりも水が飲みたかったが、このさい贅沢は言えなかった。
「ぷは〜っ!!」
正面に顔を下げたスプライトはとろんとした目で軽くしゃっくりをすると、突然暴走を始めた。
「くぅー…うんめぇ!! 甘酸っぱくてばぁかいいやんべだべよ、エヘヘヘヘ……
うケケケケケケケケケ!!」

陽気になって意味不明の言葉を叫び暴れまわる後席のスプライトをバックミラーで
見たベトナム人は、恐る恐るマトリクスの肩を叩いた。
「ダ…ダンナぁ…あの嬢ちゃんどうなっちまってんですかい?」
マトリクスはニヒルな笑みを浮かべてベトナム人に耳打ちした。
「へへ、このガキは酒を飲ますと面白れぇんだ。まぁ見てなって」

「おいマトおやじ、今の酒をもっといっぺこと…ええいシャラくせぇ、ボトルごとよこしやがれ!!」
スプライトはマトリクスの持つボトルをひったくり、口で栓を投げ捨てたかと思うとゴイゴイと
ラッパ飲みし始めた。
「お嬢さん、それは飲み口は良くてもかなり強い酒ですぜ! そんなに飲んだら…」
男が止める前にスプライトは一滴残らず飲み干していた。
「せからしかぁ!! そんなにあたいがイルカに乗って溺れたのがおかしいか? あ?
そんなに胸がないからって、水の抵抗がないからってバカにすんじゃねーよ!!」
「そんな、あっしはそんなこと一言も言ってませんぜ!」

ベトナムの男が狼狽していると、横で大笑いしているマトリクスが説明した。
「こいつ、酔うと自分のトラウマを片っ端から暴露するんだぜ。面白れぇだろ?」
「そうだったんですかい。ははは、変わったお嬢ちゃんだ!」
「なんじゃぁ、わしがシシトウと青唐がらしを間違えてひどい目にあったのが、そげにおかしいんかぁ!?」
彼女の次々変わる言葉づかいとバラエティに富んだ昔話で、車内は爆笑の渦に巻かれていた。

2016/7/14 10:00  [1498-4702]   


「おいスプライト、大丈夫か?」
パキスタンとの国境を渡るための税関のある街、アターリー。市街地の入り口でベトナム人の男の
運転する自動車から降り、その車を見送った直後だった。スプライトは車内で酒を飲み過ぎたために
激しく嘔吐し、その透過光は国境の荒野を潤した。

マトリクスは彼女の介抱もせず、自分のシェラカップをウエスで拭いていた。
「ったく、もったいねぇな。いいかげん胃を鍛えて雑食に慣れろ」
胃の中の物を全て吐き出したスプライトはおぼつかない足取りで自分のトランクにしがみついた。
「む〜…そんなこと言ったって…。あたし、アヒルの孵化直前卵以外の食べ物は一通り食べれる
立派な雑食家よ。でも酒はどうしてもダメだ、すぐに記憶が飛んじゃうわ。うぇ〜、気持ち悪い…」
今は真昼だが、スプライトはマトリクスと出会ってから毎晩のように彼の晩酌に付き合わされていた。
マトリクスは無類の酒好きであり、彼にとってキャンプの酒というものは、機械でいえば
オイルのように、旅の生活の潤滑に欠かすことのできない大切なファクターであった。
彼女は、昼間はマトリクスに仕事、私事で散々こき使われ、丁稚奉公のような扱いを虐げられていた。
ただ歩くときでさえ、競歩のような彼のペースに必死で付いていかなければならなかったため、
最初の頃はテントを設営した瞬間に意識を失い倒れることもしばしばあった。
しかし何日かしてマトリクスに対応できる体力がつくと、焚き火を囲んで様々な世間話をすることに
楽しみを見つけ、毎日そのひとときを待ち遠しくなるようになった。

彼女が自分の過去や旅の目的をマトリクスに話したのもその頃だった。
パチパチと火花を散らす薪の暖かな炎を瞳に反射させ、スプライトは今の自分の気持ちを交えつつ
自分の過去を、氷を溶かすように丁寧に話した。
自分がシリアで生まれたアルメニア人であること。両親に先立たれたことを知らされぬまま、
インドのキングデラ島でシリア人であるフロート一家の娘として育ったこと。
マンネリ化した島の生活を離れ、大陸へ渡って旅をする決意を固めたこと。その際に家族から
自分は養子である、と告白されたこと。

シェラカップで酒を飲みながら静聴していたマトリクスは、話が終わると無言で彼女のマグカップに
酒を注ぎ、勧めた。酒でも飲んで、せめて焚き火の前では辛い過去は忘れろ、という意味だった。
スプライトはなんだか嬉しかった。マトリクスに初めて大人として扱われた気がしていたのだ。
マトリクスには、そんな気は毛頭なかったのだが…。

その晩のそれからの記憶は、翌日のスプライトにはなかった。自分が何をしたのか、何を言ったのか、
きれいさっぱり忘れていたのだ。ただ、なんとなくストレス解放したような気分になれたのは
よかったが、それから自分に対するマトリクスの視線が心なしか微妙に変わっていた感じが
していたのが不思議であり不気味だった。だが、酒を飲もうが飲むまいがこのひとときが
好きであることに変わりはなかった。
昼間は鬼のように厳しいマトリクスも、焚き火の炎の前では少年の持つような輝く瞳をさせた
笑顔に変わる、そのギャップがスプライトには心地よかった。

そのためもあるのか、スプライトは毎日の二日酔いの頭痛にもめげず、一生懸命動きながら
マトリクスから機械の修理のテクニックを学んだ。限られた工具や資材を有効に利用する知恵、
機械の基本構造とその修理方法などの技術など、技術屋としての基本を少しずつものにしていった。

また、毎日の生活で体力もずいぶん増してきていた。
マトリクスも彼女の並ならぬ成長ぶりに動揺していた。
出会ったときから彼女の機械いじりの素質を見抜いてはいたが、鼻持ちならないような子供の
スプライトがまさかここまで文句ひとつ言わずに働いてくれるとは思ってもいなかったのだ。
だから日増しに成長していくスプライトを見ていくことが爽快に思えていた。

マトリクスと行動を共にして二週間ほど経つと、彼女は単純なカーステレオの故障を初めて一人で
修理し遂げた。
ささやかとはいえ報酬を受け取った時の彼女の喜びは計り知れないものだった。
この報酬は今までの努力が報われた証明であるため、とりたてて苦労もなく島の観光客相手に
オイル塗りをして稼いだ時とは比較にならない満足感、達成感があった。

彼女は自分を成長させようと必死だった。心の奥に潜む、誰かをあてにした甘えを捨てて
自立しようとしていたのだ。

2016/7/15 17:59  [1498-4707]   

パキスタンの荒野を歩く

アターリーの街に到着した翌日から、二人はパキスタンへ突入した。
パキスタン入国の審査では、スプライトは大した手間はなかったが、マトリクスは工具や
立派なナイフを持っており、また筋肉隆々の体格からえらく怪しまれ、執拗に荷物検査をされた。

彼にとっては、入国する際のいつもの儀式として気にもならなかったが、外で待っている
スプライトにとってはは心配で気が気ではなかった。旅慣れた師匠の方が入国手続きに
手間取るなんて、まさか某国の秘密工作員だと思われ電気椅子に縛りつけられて尋問されて
いるのでは、などと疑心暗鬼していた。

数十分後、酒を没収されただけでマトリクスは無事に入国許可が下りて外に出てきた。
スプライトはどんな仕打ちをされたのか心配だったと話すと、マトリクスは彼女の現実離れした
想像力にしばらく笑いを止めることができなかった。

パキスタンは完全なるイスラム国家だ。イスラム教は、六世紀にマホメットが興した宗教で
唯一神アッラーを信仰し、その前では、人はみな平等であると説く。
しかし平等を理想に掲げながら女性には厳しい戒律がある。女性は肌を露出することは厳禁で
あるためチャドルと呼ばれるテルテル坊主のような全身を覆う布の服を着て外を歩かなければならない。
また労働や教育が制限されたり、公共機関では男性と女性の座席が区別されるなど、
イスラムの説く平等の意味すら疑いたくなる戒律がある。
この戒律をろくに知らず歩くスプライトはすれ違う人々、特に男性から注目を集めていた。
彼女はTシャツとジーンズという決して露出度の高くない服装だったが、この国ではそれすらも
刺激的だったらしい。
腕があらわになり、胸、腰、足のラインがくっきりした服装がハレンチだと見なされていたのだ。

実はスプライトもイスラム教徒だ。しかしそれは名ばかりであって、実際彼女は毎日五回メッカに
向かっての礼拝などほとんどサボってばかりいるし、ラマダーンと呼ばれる断食月の日中でも
平気でカレーを食べていたりする、かなりアバウトなイスラム教徒であった。

ただしそれはフロート家が、そうさせていたのだ。
シリア人であるフロート家は代々イスラムであったが、人種の異なるスプライトは違った。
多くのアルメニア人はキリスト教だったのだ。

エディタ家も例外ではなく、このためジョージアは少なくともスプライトをイスラム教に
染めることに抵抗を感じていた。
宗教はスプライトの自由にさせたかったのだ。
もっともスプライトは宗教には全く興味を示さず、ただキングデラ島の住民や家族が
イスラムだったため名目上自分もそうしただけだった。
ただしキングデラ島ではイスラム独特の厳しい戒律はなく、みんな人として平等に暮らしていたし、
ビーチではみんなが水着になるのが当たり前だった。そのためスプライトのようないい加減な教徒が
容認されていたのであった。

スプライト自身は神を信じていないわけではない。だが、神のために生きるというイスラム的な
思想ではなく、自分が努力するだけ状況が良くなるという個人の幸せの仕組みに神のささやかな
奇跡を感じる程度の、ある意味キリスト的な思想を持っていた。

北インドやパキスタン内陸の日中の気温が四〇度を軽く越える猛暑は、彼女にとってジーンズすらも
苦痛であり、正直なところタンクトップとショートパンツだけで歩きたいとすら思っていた。
しかしイスラムを少しでもかじっている彼女は、女性の服装に関する戒律はある程度
知っていたつもりで、Tシャツとジーンズであれば充分普通の恰好だ、と完全にイスラムの本場を
甘く見ていたのであった。

このためスプライトはパキスタン人の、羨望のような視線にひとつの誤解をしていた。
自分が美人だから見とれている、と恣意的に解釈したのだ。
すれ違う人々に注目されるたびに、自分はグラマーな、モデルばりのセクシー美少女なんだ、
などと陶酔していた。人通りの多い通りで見知らぬ男にお尻を触られても、嫌がるどころか
「いやぁん?」などと映画のマリリン・モンローのような仕種をしたり、
自分に見とれてる相手に見とれて電柱とキスしたりと、間抜けな行動ばかりしていた。

実際はハレンチで尻軽な女だと思われていた訳だが、そのことをマトリクスから聞かされた時、
顔から火が出る程恥ずかしい思いをしたのは言うまでもない。

それからは、いくら暑くても長袖のジャケットとマトリクスから借りたダブダブの作業用ズボンを
ロールアップして着て、また長い髪を頭の上で結って麦わら帽子で隠し、端から見れば少年の
ような恰好で旅をしていた。
スプライト自身、イスラム教は理解していたつもりだったし、否定もしていなかった。
だから同じ宗教でも島と内陸ではここまでギャップがあるのか、とショックを受けていた。

ショックを受けていたといえばマトリクスも同じだった。命の次に大切な酒をほとんど飲めなかったのだ。
これもまたイスラム教の影響によるもので、通常の店ではまず手に入らず、また闇市で売っていたと
しても法外な値段で取引されていたのであった。野宿の最中はミネラル・ウォータやジュースを
飲むしかなかったが、我慢できず手持ちの工業用アルコールを飲もうとしてスプライトに
制されたことが何度となくあった。

2016/7/19 22:28  [1498-4709]   

また外出する婦人の姿がめったにないために歩いていても面白くなかった。
たまに見かけてもほとんどが顔まで隠れるチャドルを着て歩いているため、話もろくに
できないどころか表情さえも伺えないのだった。
完全に下界から隔離された、神様のような扱いを受けている彼女らにマトリクスは
言いようのない憤りを感じていた。
このため彼のタバコの喫煙本数は飛躍的に多くなっていた。

「あたしも一応女なんですけど」
スプライトが自分の存在をアピールしたが、「話の他だ」と一蹴されてしまい哀れにも
いじけてしまうスプライトであった。

それでも二人は、知らずのうちに信頼が結ばれていた。
車の修理の仕事ではマトリクスの指示通りにスプライトは働き、それを彼女は覚える。
絵本などに出てくる小人のようにてきぱきと働く彼女をマトリクスは頼りにしていたし、
マトリクスの的確な判断や指示はスプライトの勤労意欲を刺激させたるものであった。

たまに敢行するヒッチハイクでは、マトリクスがやってもほとんど停まらない車でも
スプライトではかなりの確率で停まってくれる。その運転手の男が下心を持っていても
マトリクスが守ってくれる。キャンプでの食事作りもスプライトは、一人旅には有利な技能だから、
と喜んで作ったし、まさに利害が一致した関係だった。

しかしスプライトは彼の存在を手放しで喜ぶことはできなかった。
決して認めたくなかったひとつの事実、無茶をしてもマトリクスがフォローし守ってくれる、
という無意識のうちに彼に甘えていた自分に気付いていたのだ。

確かにパキスタンやイランなど中東の旅におけるマトリクスの存在は大きなものであった。
心ない大人に誘拐されそうなったり、インドのように警察に反抗しようとしたり、
知らずに生水を飲みまくって赤痢にかかった時など、一歩間違えば命に関わる状況では
いつもマトリクスが防衛してくれたのだ。

故郷の島で観光客相手に情報収集していた彼女は、女性の一人旅の危険性もさることながら
中東の情勢など旅に関する現地危険情報をまるで無視していた。
彼女の、楽しそうな観光地の情報しか仕入れないような方法では仕方がなかったことではあるが、
現実に旅をする以上このような情報収集の甘さは命とりにもなりかねない。
なんとかなるだろう、という楽天的な考えはこの土地の現実が許さないのだ。

この地方を何も知らずに一人で旅してたら、今頃間違いなく死んでた。スプライトは心からそう思った。
しかし、そう思うからこそ納得がいかなかった。
自分一人の力ではこんな旅はできないのか、自分の望んだことすら誰かの力を借りなければ
できない無力な人間なのか。
そして、女であるだけでこんなにも損をするものなのか、と。
女で生まれてよかったと思える事は今まで何度もあったが、この中東の旅では初潮を迎えたことも含め、
女であることがもどかしいとさえ思えることばかりだった。

しかしスプライトはこんな事にも気付いた。こんな風に悩める自分がいるのは、今この場を
五体満足で生きていられるからだ、と。
〔危ない橋も一度は渡れ〕というスプライト自身の好きな諺があるが、自分一人では
どうすることもできない危険な橋なら、他人の協力を受けたって恥ずかしくない。

始めから全て自分の力でやろうと肩の力を入れすぎるから失敗してしまうのだ。
お手本を学んで、そこから自分流にアレンジした方がいい場合だってたくさんある。
大切なのはその学ぶ姿勢だ。金魚のフンだのコバンザメだのと言われたっていい。
命あっての物種だ。要は気の持ちようなのだ。
スプライトは頭の中でそんなふうに結論づけた。

「お父さんが言ってたわ。今は大きなサメにこびりついたコバンザメでも、大きくなれば
ジンベイザメにだってグレート・ホワイト・シャークにだってなれるって」
彼女は、子供の頃に教えられたジョージアの仰仰たる例え話を鵜呑みにしており、
それをマトリクスに得意気に話した。
「なれねーよ、なに考えてんだバカ」
クールなマトリクスは彼女の、やる気と情熱がこもった笑顔を、地の底に突き落とすように
なぶってストレスを発散させていた。

2016/7/23 22:07  [1498-4713]   

ひまわりの種。まいうー



イランでは、イラクとの戦争によってどれだけ人々の生活がすさんでいるのか、
などと懸念していたが、取り越し苦労だった。確かに現在もアメリカの経済封鎖によって
貿易は大きく滞っているが、そのために国内需要体制が強化されて意外にも食料や日用品、
雑貨は豊富に売られていた。露店のごった返した市場を見かけると二人は必ずその中を狂奔した。
数日分の食材を、少しでも安く仕入れるため執拗に商人と交渉する二人はこの土地で
生活する人から見ても後ずさりするほど凄惨たる形相をしていた。

インドを離れるにつれて次第にカレー文化が消えていったため、スプライトは毎日の食事作りに
四苦八苦していた。
彼女はラクティアのクッキングを思い出しながら食事を作っていたわけだが、その全ては
インド独特のスパイスが基調となる料理ばかりだったため、そのスパイスがなかなか
入手できない事態に頭を悩ませていたのだ。

大切な栄養源となる野菜は意外に高価であったが、彼女の働きによってなんとか毎日食べれる
程度には仕入れることができた。
大抵の日は野菜と鶏肉を基本にコショウで炒めたりコンソメでスープを作っていたが、
収入の多い日などは羊の肉を買って焼肉にして食べていた。
これが肉食主義のマトリクスにとっては何よりの贅沢だった。

スプライトは基本的に菜食だったので肉が食べれようと食べれまいとどうでもよかった。
ただし彼女は、土地によっては食材にされるヒマワリの種がたいそう気に入っていた。
スナック菓子のような食感がたまらず、依存症になったかのように歩きながらでも
生でボリボリ食べていると、ついにマトリクスに「リスかお前は」と言われてしまった。

警察が多く徘徊するイランでは、マトリクスはことあるごとに荷物検査を受けた。
彼の体つきや大きなナップサックがただの旅行人に見られなかったのだ。
物騒な銃を持った数人の警官に囲まれるとさすがのマトリクスも何も言えずに従うしかなかった。
その脇で見守るスプライトも、いつ撃たれるのかハラハラしていた。怪しい物を持っていないと
分かると警官も警戒心を解いて笑顔になるのだが、このような事が毎日のように起こるため、
二人ともかなりストレスが溜まっていた。

スプライトの目的地のひとつであるシリアへは、国際情勢が緊迫されているイラクを避けて
行こうとしたため、イランの北を迂回しなければならなかった。
イラクを通れば距離的に短いことは確かだが、いつ戦争が勃発してもおかしくない国に旅行目的で
入国できる訳がない。できたとしても生きた心地はしないだろう。
そんなリスクを背負ってまでショートカットする理由はない。
これはマトリクスが言いだした事だった。
彼ですら自分の身を守る自信がなかったのだ。
このイラクですら銃を持った警官や軍隊がウロウロし、目をつけられるたびに荷物検査を受ける始末だ。

イラクに入国したら警備はもっと厳しくなるだろう。スプライトは黙って彼に従った。
シリアへは一刻を争う切実な事態でもないし、このような情勢下では考えうる最上の安全策を
紡いで旅を続けるほかなかった。

商店街の片隅での静かなキャンプの夜、遠くから銃声らしき音が聞こえることが何度かあった。
テントの中でスプライトは、この瞬間に誰かが撃たれたのでは、流れ弾が自分達に当たるのでは、
などと疑心暗鬼し、ぐっすり眠れることは少なかった。

「あたしの本当の親も、今の家族の実の娘も、内戦で死んだらしいんだ。身内が戦争で命を
落とす事なんて、別世界の話だと思ってた。今ですら実感ないけど、あの内戦が、
全ての運命を狂わせたって、お父さんは言ってた。
あたしは赤ん坊だったからその時の事は覚えてないけど、今自分が生きていることって
すごい奇跡のように思えてきたわ。なんとなくだけど」

狭いテントの中、キャンドルランタンの光で工具の手入れをしているマトリクスは手を休めずに答えた。
「そうだな。今の島の家族がお前を守り、育てた。なかなかできるもんじゃねぇよ、他人の子供を
育てるってことはさ。どっかの野良犬を飼う事と訳が違うんだからな。お前の今の家族は
誇るべきいい家族だぜ」
「うん。あたしもそう思う。これからもそう思いたいから、あたしはシリアへ行かなければならないんだ。
本当のお父さん、お母さんとお別れをするために、ね」

「お前の本当の両親は、アルメニア人だったよな」
「そうみたい。実感はまだないんだけど」
「ふむ。アルメニアの多くの人は難民となっていろんな国を渡り歩いた、という話を聞いたことが
あるが、お前にもその血が流れているって訳だな」
「だからあたしも旅がしたいって思ったのかな?」
「そういう部分もあったんじゃねぇか?」
「うーん…確かに言われてみるとそうかもしれないって思うし、悪い気はしないわね。
でも、アルメニア人のあたしがそう思ったんじゃなく、あの島で育った人間としてのあたしの意思だからね。
血とか遺伝とか言われてもいま一つピンとこないわ」
「本人にとっちゃそうだろうよ。俺だって〔お袋似だ〕って言われても居心地悪いだけだったもんな」
「うそ、マトリクスさんってお母さん似なの? やだぁ、筋肉ダルマのお母さんなんて気持ち悪いわ」
「言うに事欠いて…さっさと寝やがれクソガキ!!」
「あはは、冗談よ。おやすみ、マトリクスさん。話を聞いてくれてありがとね」
「けっ!」

トルコとの国境は目前に迫っていた。シリアへ到着する日も時間の問題であった。

2016/7/26 17:35  [1498-4714]   

第四話 ターニング・ポイント



マーストリヒトの街に一際高くそびえるゴシック調の建物、聖ヤンス教会。その前の石畳の
広場の片隅でランダムは一人でチーズパンを食べていた。

両親と別れて三ヵ月余りが過ぎていたが、彼は高校にも行かず毎日アルバイトをしていた。
独り暮らしもすっかり慣れ、アルバイト姿も板についてきたようだった。
今はバイトの合間の小休止で、夕方からはブラウン・カフェで皿洗いの仕事をすることになっていた。
バイトは生活のためにしているわけだが、一人でガレージの部屋にいると嫌なことばかり頭に
浮かんでくるため、四六時中働くことで気を紛らせていたのだ。
体を酷使すれば、苦い過去に苦悩する余裕などなくなる、そう考えていたのだ。

自分の生まれ育ったこの街が好きだから一人きりになったとしてもここに残る決意をしたのだが、
彼は今急速にこの街が嫌いになりかけていた。
生き甲斐もなく、何の目標もなくただ何かから必死に逃げようとする彼の顔には、
笑顔のかけらも残されてはいなかった。
しかし自分を誤魔化すことも、もはや限界だった。

ある日ランダムは自ら禁断の扉、パンドラの箱を開けることとなった。精神的苦痛に耐えきれず
マリファナに手を出したのだ。
マリファナやハッシシなどのソフト・ドラッグはコカインやヘロインなどと違い、身体的な
禁断症状は起こらないという医学的根拠からこの国では合法とされる。
しかしこれらを吸うと痛快な気分になることから精神的な依存症をいざなう危険性があるため、
合法とする国はほとんどない。

皮肉にもマリファナのおかげでランダムの生活は活気あふれるものになった。
笑顔が戻り、毎日生きることが楽しくなった。
苦しさを紛らすために始めたバイトも奮励し積極的にやるようになると、店長も彼に対して
好印象を持つようになり周りにもよい影響をもたらしていた。

ある日ランダムはバイク・ショップの店頭に飾ってあるバイクに一目惚れした。
曇りひとつないピカピカの新車の輝きとバイクの持つ機能美に彼の心はくし刺しにされたのだ。
自分の収入では手が届かないため諦めざるを得なかったが、バイクの持つ〔風とひとつに
なれそうな感覚〕に魅了されていた。

中古でもいいから自分のバイクを買う、それが今の彼の目標になった。
しかし資金は思うように溜まらなかった。
タバコよりもはるかに高価なマリファナを毎日のように吸っているため当然の結果だった。
自分のモチベーションを継続させるために欠かすことのできないマリファナを、今更やめることなど
できるはずもなかった。

ランダムはマリファナとバイクにすっかり魅了され、いつしか家族の事は忘れていた。
それは彼が充実している事の証でもあったが、彼は気付いていなかった。
掌に持つ乾いた大麻の葉のもたらす現実は、偽りの幸せだということを。
「くぅーっ! 金がねえーっ!!」


2016/7/30 08:06  [1498-4715]   

「うぁーっ! お金がない〜!!」
トルコを抜け、スプライトの故郷であるシリアに入国して早一週間が経っていた。
叔母の住むハマの街までもうすぐだというのに、スプライトは故郷の感慨を噛みしめることも
できず必死に空腹と戦っていた。
ヨーロッパに近づくにつれて物価が高くなってきたため、食料が思うように仕入れられなかったことも
原因のひとつだが、一番の原因は他にあった。

マトリクスと先日つまらない事で大喧嘩してしまい、別れてしまったのだ。
そのため彼女は一人で稼がなければならず、四苦八苦していた。

彼女の機械修理の技術はマトリクス流の基本を受け継いだ換骨奪胎のものだが、出会ってから
半年近くしか経っていないとはいえかなりのものになっていた。
その気になれば一昔の単純なエンジンの分解・組立もたやすいものだろう。
しかし故障した自動車などに出会う機会はインドやパキスタンに比べるとずっと少なくなっており、
またその華奢な体つきから信用がもらえなかったことから得意分野の仕事はなかなかできなかった。

どこかの農場で住み込みのバイトでもしようかと考えたこともあったが、ハマの叔母に会うまでは
今まで稼いだ手持ちの資金を目一杯倹約してもたせようと、
一日パン一個とミネラルウォータだけで旅をしていた。

「あたしだって、マトリクスさんがいなくたって生きていけるんだから!」
彼女は意地になって一面の穀倉地帯を歩いた。昼間は女性の運転する車を選んでヒッチハイクして
距離を稼ぎ、夜はどこかの農場の納屋でワラに縋って寝たりしていた。

そんな数日を繰り返し、彼女は遂にハマの街に着いた。
スプライトが生まれた年に、死者一万人を越えた内戦があったらしいが、今では当時の事件を
偲ばせる跡はどこにも残っていなかった。

街をゆったりと流れるオロンテス川の両岸には瑞々しい草木あふれる公園があり、いたるところに
巨大な水車が重い音をきしませて飛沫をあげながら休むことなく回りつづけている。
想像していた荒寥としたような街の雰囲気はどこにもなく、公園や商店街を歩くだけなら
平和な街そのものとしか思えなかった。

しかし路地裏に一歩足を踏み入れると、建物の隅で寝ころがっている人をはじめ片腕を無くした人が
意味不明の言葉をブツブツ言いながら歩いたりする、背筋が凍りつくようなスラムがあった。
ただしこういったスラムはハマに限らず、彼女が辿ってきた街にはどこにでもある光景だった。
逆にスラムがない街の方が気味が悪いかもしれない。
当然インドにもスラムはあったわけであり、マトリクスがいないとはいえ今更身構えることもなかった。

しかし、以前に多大な犠牲者を生んだ内戦があったという固定観念が、このスラムは
それによる影響によるものなのだろうか、とスプライトを思慮深くさせていた。

アルメニア人の居住区は街の外れにあった。
難民の扱いを受けている彼らはシリアの住民とは別に暮らしており、アルメニア人同士で固まって
質素に生活を送っている。
まるで街から隔離されたような、スラムのそれと変わらないようなひんやりした雰囲気に
違和感を感じつつも、スプライトはジョージアから受け取った手紙を片手に、
そこに書かれている番地を探した。

「このような所であたしは生まれたんだ…」
外でボール遊びをする子供たちに愛想笑いしても、口をへの字に曲げてじっとこちらを
警戒しているだけで誰からも笑顔は返ってこなかった。
スプライトの荷物を見て、物見遊山の観光客だと思ったらしい。
すれ違う大人にしても、どこかよそよそしい雰囲気があり、スプライトは少し落ち込んだ。

同じアルメニア人でありながら、別のナワバリに迷い込んでしまったような錯覚がした。
生まれ故郷でありながら、彼女には誰一人として知り合いがいない。
ただ父から受け取った手紙の女性が、自分と本当の両親を知っているだけ。
スプライトはそれがとても心細かった。島の父を疑う訳ではないが、何年も前の話を頼りに
尋ねることが今になって不安になっていたのだ。

「もし、その叔母さんが旅行や引越しなんかでこの住所にいなかったら…」
スプライトは疑心暗鬼した。会えなかったらどうしよう、会えたとして当時の事は忘れていて
あたしの事も覚えてなかったらどうしよう、などと結論の出ないことばかり頭に浮かんでは悩んでいた。

ここへ来るまでは、恐れるものは何もない、自分のことが早く知りたい、などと血気盛んだったのに
いざこの地に来てみると腰がひけてしまっていた。
彼女が一番恐れているのは、アルメニア人の歴史を聞かされて他国民族を嫌いになることだった。
トルコ人をはじめ、多くの民族がアルメニアを迫害した事実は島の父から聞いていたが、
伯母など実際に迫害を受けていただろうアルメニア人にリアリティあふれる迫害体験談を
私見を交えながら話されたのではたまらない。

自分がアルメニア人の家系に生まれた以上、その民族の辿ってきた歴史を具体的に知る義務は
あるだろうが、これから出会う他国民族の悪い印象を吹き込まれるくらいなら最初から
話など聞かないほうが幸せだ、ならば伯母とは会えないほうがいいのかもしれない、などと思った。

しかしそう思うたびに、ではなぜ自分はここまで来たのか、という疑問にぶつかった。
アムステルダムへ行く目的はともかく、少なくとも生みの親と本当の自分の話を伯母に聞き、
自分自身にけじめをつけるためにここへやってきたはず。
今まで何度も口にした自分の信念だ。

スプライトは歯を噛みしめながら、勇気を振り絞って歩きつづけた。

2016/7/30 08:14  [1498-4716]   

しかし彼女の邪な期待は、残念ながら現実になってしまった。
やっとの思いでたどり着いた叔母の家の住所は空き家になっていたのだ。
近所に住む人に聞くと、叔母のロケート・エディタとその家族は五年前に流行り病に犯され、
全員がこの世にはいない、とのことだった。

………全てが終わった…
夕陽の丘、ハマの市街地を見下ろす城塞の跡。
夏草とともに立つ彼女は何の気力もなかった。
今日の寝床や食料問題など考えなければならない問題は山ほどあったが、今まで張り詰めていた
緊張の糸がぷっつりと切れていた。
ただ漠然とわかったのは、このアルメニア人居住区に限らずハマの街全体は暴動やテロに対して
どこか慣れてしまった感があり、それが先刻の子供たちのように他人を拒み自衛に走っている、
という街の雰囲気だった。

夕陽が地平線に沈むとようやくスプライトは我に返った。
「こうしてるだけじゃダメだ。別に両親の手掛かりが消えた訳じゃないし、明日いろいろ探してみよう。
今日はとにかく寝場所を探さなきゃ」

スプライトは城塞を駆け下りると、ふと師匠の事を思い出した。
「マトリクスさんのテントは楽だったなー…」
この辺りは東地中海に近いためシリアの中では比較的過ごしやすい温暖な気候ではあるが、
それでも昼間は暑く夜は凍えるほど寒い、砂漠のそれに近い気候だ。このためインドや
パキスタンに比べて寝場所を探すことが意外と難しかった。
テントならば四方からの風を遮ってくれるので、それだけでずいぶん快適に過ごせるのだ。
しかしそれも過去の話。マトリクスとケンカ別れしてしまった今ではそんな都合のよい利器もない。
まして女の子、迂闊な場所で野宿などできる訳もない。

彼女は繁華街の更に外へ向かった。街から離れた農場などの納屋なら安心して泊まれるからだ。
運がよければ食事もごちそうしてくれるかもしれない、などと邪な期待を背負いつつ
彼女は歩幅を広めた。

「はう〜…お腹が減って歩く気力もなくなってきた…」
目眩、動悸、息切れの三位一体攻撃が彼女を容赦なく襲う。
こんなことならもっと落ち込んで空腹感を麻痺させておけばよかった、などと徒然なる思いが頭を過った。

そんな時、街の外れに鋭角な屋根に十字架を掲げたゴシック調の建物が目に入った。
「ラ、ラッキー…教会だ。なんとか泊めてもらえないかな…」
呟く前に彼女の足はその教会に向かっていた。
門の前に立つと見た目よりも大きく立派な建物に少しだけ圧倒されたが、スプライトはそれでも
躊躇せず門を叩いた。

せめてもの礼儀で衣服の埃を払っていると、私服の熟年の優男が扉を開けた。
端麗な顔だちで丸眼鏡がよく似合う男だ。きっとこの教会の神父だろう。
スプライトは先手を取って口を開いた。
「旅の者です。ご迷惑かと存じますが、一晩泊めて頂けませんでしょうか?」
「!」
彼はスプライトを見て一瞬たじろぎ、目を見開いてじっと彼女を見つめた。

スプライトは、神父とはいえ無言で女性の顔をジロジロ覗き込む礼儀知らずな男に一抹の不安を覚えた。
「あの…あたしの顔になんか付いてますか?」
はっと我に返った神父は慌てて口を開いた。
「あ、これはとんだ失礼を。昔の知人にあまりにも似ていたものですから、つい…。
そうそう、この教会で泊まりたいのでしたね、もちろんいいですよ。遠慮しないで入りなさい。
私はこの教会の神父をしているタックス・シンプソンです。あなたは?」

スプライトは、やはり見たままの優しいヒトだった、と先刻までの懸念を焼き払い、安心して
荷物を持つとにっこりと微笑んだ。
「あたしはスプライト・エディタ。すみません、ご厄介になります」
「そうですか。スプライト・エディタさん……スプライト……エディタ……!?」
シンプソンの顔がみるみる青ざめた。
「スプライト!? あなたはまさかスキャナ・エディタさんの娘ですか!?」
実母の名をシンプソンが口にすると、今度はスプライトの顔が青ざめた。
「な、なんで? どうしてあたしのお母さんの名前を知っているの?」

「やはりそうでしたか、道理で似ていると思いました! ああ、君があのスキャナさんの娘だとは…
ああ神よ、この素晴らしき出会いを導かれたことに感謝します!!」
「ぐぎょろろろぉ〜…」
スプライトの腹の虫が、神父の十字を切る手を遮るほど大きな雄叫びをあげた。

こんな思いがけない出会いに感激してる最中でも彼女の腹は節操がなかった。
スプライトは真っ赤になって腹を隠した。
「あ、あたしったら…ごめんなさい…。でも、あたしも両親を知っている人と出会えて本当に
びっくりしているの。実はあたし、自分の両親の話を聞きにこの生まれ故郷にやってきたんです」
「なんと、一人で旅とは!」
その時、教会の奥から若いシスターが現れた。彼女の後ろには五人ほどの幼い子供が、
隠れるようにスプライトを怪訝な面持ちで覗き込んでいるのが見えた。

「シンプソン神父、お客さまですの?」
 シンプソンは浮き足立つ感情を抑えながら、シスターに彼女がエディタ夫妻の娘であることを説明した。
「まぁ! こんな事ってあるのかしら、信じられませんわ。私が修道女になってこの教会に
赴任してきたばかりの事ですもの、あの話は今でも覚えていますわ。私はエディタ夫妻とは
お会いしたことはありませんが、フロートさんの事は覚えておりますのよ。
あぁ……ロケート婦人の話は本当だったのですね!」
シスターは歓喜して手を弾いた。

2016/7/30 23:57  [1498-4717]   

「ウソでしょ、どうしてあたしの叔母や今の両親まで知っているの?」
スプライトは驚愕した。十数年前の出来事など親類以外で知っている人間などいるはずもない、
と思い込んでいたのだ。
「とにかく中に入りましょう。シスター、夕食の支度を急いでください。彼女は相当お腹を
空かせております故、積もる話はそれからにしましょう」

シンプソンがけしかけるとシスターは腕を捲くってみせた。
「はい神父、急いで支度をいたしますわ。みんな、このお姉ちゃんはお客さまですよ。
私たちと同じアルメニア人で旅をしてきたの。お迎えしてあげてね」
シスターはそう言うと子供たちを残して奥へ駆けて行った。

「あの…神父さん、その子たちは…?」
スプライトは子供たちの突き刺さるような視線がさっきから気になっていた。
「テロや暴動などで両親を失ってしまい、身寄りのなくなってしまったアルメニア人の子供たちです」
シンプソンはスプライトにそう説明すると「あなたと似たような境遇なのです」と付け加えた。

………あたしが、この子たちと一緒…
スプライトは、胸が締めつけられる思いがした。自分の半分もない背丈のまだ年端もいかない子供が、
両親と死に別れ孤児としてここで暮らしている。
肉親と死に別れて辛いのは自分だけではなかった。
いや、事実も知らずに世間から隔離された平和な島でのうのうと暮らしていた自分よりも、
地獄のような思いをして生きてきたこの子らの境遇を考えれば、むしろ自分の辛さなどこの子らに
及びもしないだろう。

「みんな、初めまして。あたしスプライトです、仲良くしてね」
スプライトは精一杯の笑顔を見せた。シンプソンは子供たちに、スプライトの両親は彼女が
生まれてすぐに死んでしまった、という過去を丁寧に説明すると、子供たちは
他人と思えない彼女の境遇に共感したのかすっかり警戒心を解き、笑顔とともにスプライトの
もとへ寄ってきた。
男の子が三人、女の子が二人。みんな仲の良い兄弟のようだった。

レンガ造りの教会の中に入り、綺麗な絨毯の敷かれた奥の食堂へ案内された。
テーブルに腰掛けて夕食を待つ間、スプライトは子供たちの好奇心の的となった。
「お姉ちゃんはどこから来たの?」
「どんな所で暮らしていたの?」
「どんな食べ物を食べてたの?」
「旅でどんな事があったの?」
「スケボーできるの?」
マシンガンのような質問の嵐。スプライトが一つ一つ丁寧に答えるたびに子供たちは感嘆の
溜め息を漏らした。

スプライトにとってもこの子たちは他人ではなかった。
運命の糸が一本ずれていたら自分もこの教会で暮らしていたかもしれない、という連帯感や
家族意識が芽生えていた。

夕食はパンとシチューと果物。スプライトにとっては、マトリクスと別れてから実に一週間ぶりの
まともな食事だった。
「いただきま〜…」
スプライトが大口を開けてシチューに手を掛けようとした瞬間、一同が主への祈りを捧げている事に
気付いた。顔から火が出そうになるほど恥ずかしい瞬間だった。

食事は胃が縮んでいるためか、さほど多くは食べられなかったが大満足であった。
「どうも御馳走さまでした。本当に助かりました」

食事の後片付けが終わるとシンプソンは、スプライトを含む全員を椅子に座らせたまま話を始めた。
「さて、まずエディタ夫妻について話したほうがいいでしょう。
あなたの父のエリミネートさんは人心を引きつける才能に長けた情熱家で、母のスキャナさんは
代々受け継がれた絨毯職人の娘でとてもお美しい方でした。
確かスキャナさんはヨーロッパ系の血が混ざっている、と聞いたことがあります。
あなたの髪がブロンドなのはそれが影響しているのでしょう。
お二人はこの教会で結婚式を挙げられました。当時のこの教会は改装前の質素なもので、
決して華やかな式ではありませんでしたがお二人はとても幸せそうでした。
お二人は絨毯屋を経営していました。過去の辛い難民生活を思わせない活発な明るさと豊富な経験、
知識のおかげで経営は順調だったそうです。お二人とも商売熱心でありながら信仰心も厚い方で、
毎週欠かさず夫婦揃って教会へ来ておられました。
一度この教会に立派な絨毯をいくつか寄与して頂いた事もありました。
実を言うと、この食堂の絨毯はそのうちの一つなのですよ」

「え…この足元の絨毯が…お父さんとお母さんが寄付したもの…?」
スプライトは驚いてテーブルの下を覗いた。
色とりどりの綺麗な花がさりげなく緻密に描かれた、食堂にとてもよく似合う柄の絨毯。
生地のせいか手入れのせいか、十年以上経っているはずなのに色褪せた感が全くない。

彼女はとたんに両親の存在を身近に感じた。今までは漠然としか想像できない蜃気楼のような
存在だった両親が、この絨毯を目前にして〔この地で実在していた〕ことを実感したのだ。

子供たちも彼らなりに教会のこの歴史ある絨毯の秘密に驚いていた。
「へぇー、ぼくたちがいつも寝ころがっていたこのカーペットはお姉ちゃんのお父さんお母さんが
この教会にプレゼントしたものだったんだ」

2016/7/31 00:04  [1498-4718]   

シンプソンは話を続けた。
「私達アルメニア人はキリスト教徒であり、カスピ海と黒海に挟まれた旧ソ連共和国が
母国であることから様々な国や民族から迫害を受けていました。
そのため私達はアルメニア人以外の民族とはあまり友好的にはなれませんでしたが、
お二人は違いました。
アラブ人であれトルコ人であれ顧客や仕入れ先に対する人種差別などは一切ない公平無私な方でした。
旦那さんの人柄と奥さんの端麗な容姿が人種や宗教を越えた商売を可能にした、と人々は言いますが
実際には相当に切磋琢磨なされたのでしょう。
この地でアルメニア人が開業しようとするのは生半可な努力では不可能ですからね」

スプライトはその話を聞くと、なんだか自分が恥ずかしく思えた。
昼間、伯母の家に向かっているときに危惧していた、他国民族を嫌いになりたくないという想い。
両親はそんな保守的な考え方はせず、積極的に他人を受け入れようとしていたのだ。
自分の求める〔多くの人と出会いたい〕という理想と両親の生きざまが重なって見えつつも
スプライトは、自分のその理想の空回りに深く反省した。

「スプライトのお父さんやお母さんて、たくさんの人と接するために一生懸命だったんだね。
あたしなんてここで暮らすみんな以外の人は怖くて話もできないのに…」
女の子は羨ましそうに呟いた。
他の子供たちもその子と同じ思いをしているように頷いた。

………みんな他人と仲良くしたいんだ…
人種や思想が異なるために、虐げられる。スプライトはこの地で暮らす人々を含め、
世界中にあふれている人種問題や宗教問題がもう一つ理解できなかった。
しかし彼女は、いかなる人種や思想を持つ人でも、他人と友好関係を求める想いは万国共通の
思想だと信じていた。
そう信じることができたからこそ旅をしてここまで来れたのだ。
道中様々な困難はあったがそれは全て自分個人の弱さが招いた結果だ。

シンプソンの話はいよいよ運命の話に突入していった。
「今から一五年ほど前の事です。品物の仕入れのためエリミネートさんはトルコへ行かなければ
なりませんでした。二人は生まれて間もない赤ちゃんを、良き友人でありお得意様である
フロート夫妻に預け、エリミネートさんは馬車に乗ってトルコへ、スキャナさんは一人で店を
経営することになったのです。
ムスリム同胞団による大暴動が始まったのはまさにその時でした」
「ムスリム同胞団…?」
スプライトには初めて聞く言葉だった。

シンプソンはスプライトに理解できるように説明した。
ムスリム同胞団とはイスラムから生まれたイスラム原理主義者の集団で、もともとはエジプトの
政治腐敗を粛正するために結集された。
それが増長していつからか、唯一神アッラーの教えに背く中東各国の政府や政治家に対する
巨大テロ集団と化した。

ハマの街の内戦もそのムスリム同胞団が原因であった。
シリア政府が隣国レバノンに軍事介入し、イスラム教左翼グループとパレスチナ解放機構を
攻撃することに対してムスリム同胞団が対立し、大暴動に発展したのだ。
ただし一概にムスリム同胞団が悪ではなかった。
一万人を越える死者の多くは政府軍の爆撃によるものだったのだ。

内戦直後のハマは、まさに地獄と呼ぶにふさわしい荒野と化した。
辺り一面が人間の死体だらけで、この世のものとは思えない死臭が漂っていたという。
そして現在でも、地中には多くの骸骨が眠っているらしい。

「その暴動で、お父さんとお母さんは………」
スプライトは言葉が続かなかった。
「ええ…。実を言いますと、今の話は後にエリミネートさんの姉ロケート婦人から聞いた話なのです。
それまではその赤ちゃんも亡くなっていた、と私は思っていました。
ですが彼女に話を聞いて、あなたが無事に生き延びていてフロート夫妻の養子になっていた事を
初めて知ったのです。ロケート婦人が生きておられたらもっと詳しい話が聞けたのでしょうが、彼女は…」
スプライトを案じてか、シンプソンはその先を言わなかったが、ロケート婦人は五年前に
亡くなっていたことをスプライトは知っていた。
「ううん、いいんです。気にしないで下さい。それより、どうしてフロート家を知っているんです?
話を聞いていると、シンプソンさんやシスターは今のあたしの家族と何の関係もなさそうな
気がするんですけど」
スプライトの質問にはシスターが答えた。
「大暴動の後、ジョージア・フロートさんはこの教会へ一人で来られましたの。
当時、教会は被災者の簡易病院になって私も神父様もその対応に忙殺していたため詳しい話は
できませんでしたが、ジョージアさんは娘とエディタ夫妻のお墓を建てるために来られたのですのよ」
「あ…」
スプライトは思い出した。あの暴動で島の家族は娘をも失ったのだ。

2016/7/31 19:54  [1498-4719]   

「ジョージアさんが親族でないエディタ夫妻のお墓を建てたのは、よほど親しい友人だからだと
思っていましたが、生き残ったスプライトさんを養子にする決意を固めたことによる
エディタ夫妻への礼儀だったのでしょうね。親族は当時、生活するだけで精一杯だったため
墓石を買う余裕はなかった、とロケート婦人はおっしゃっていましたから」

シンプソンの話を聞くと、スプライトはジョージアに対して尊敬と感謝の念を禁じえなかった。
「あたし…お墓が見たい。あたしの本当のお父さんとお母さんにちゃんとお別れしていないもの。
きちんと挨拶しなければならないって、ずっと思っていたんです。すみませんが明日お墓に
案内していただけますか?」

シンプソンは深く頷いた。
「もちろんです。私もそうするつもりでした。天国のお二人もきっと喜ばれるでしょう」
シスターは思い出したように壁時計を見た。すっかり長話に夢中になって子供たちを
寝つけることを忘れていたのだ。
「あらまー、こんな時間ですわ。みなさんベッドへ行きましょうね。就寝時間はとっくに
過ぎておりますわ」
「やだー。おれたちもっとスプライトの話聞きたいよ」
シスターがいくら言っても子供たちは口々に文句を言って席を離れようとしなかった。
しまいには「スプライトと一緒ならベッドへ行く」と駄々をこねる始末だった。
「いいよ。みんな、あたしと一緒に寝よっか!」
スプライトがそう言うと子供たちは大はしゃぎで喜んだ。

シスターは申し訳なさそうに彼女に耳打ちした。
「あなたのベッドは私の部屋に用意いたしましたのに、いけませんわ。それにお話は
まだ終わっておりませんのよ」
「いいのいいの。実はあたしも旅の疲れが溜まっているせいか、とても眠いの。
これ以上聞いても大切な話は耳から抜けちゃうわ。それにこの子たちには、あたしにできることを
してあげたいの。少なくとも境遇は同じ。あたしにとっては弟妹みたいなものだから…ね〜っ!!」
「ね〜っ!!」
一斉にハモる子供たち。すっかりスプライトに手なずけられてしまい、シスターは少しだけヤキモチをやいた。
「もうっ!」

「ははは。シスター、いいではないですか。話は明日でもできます」
シンプソンに宥められると、シスターは諦めたように溜め息をついた。
「そうですわね。じゃ、スプライトさん子供たちをお願いしますわ」
母親役を譲られたスプライトは子供たちを連れて食堂を出ていった。
残されたシンプソンとシスターは、スプライトの元気の良さに改めて苦笑していた。

子供たちの部屋に明かりが灯る。
人形やパチンコ、サッカーボールが床に点々と散らばっている子供らしい部屋だ。
全員で力を合わせて三つのベッドをぴったり並べ、そこに毛布を敷いて全員で寝ることにした。
「さ、みんなグッスリ寝よう!!」
「は〜い!!」

電気を消し、スプライトを中心にして固まるようにベッドに潜った。
意外に聞き分けのよい子供でスプライトは安心して眠れるかと思っていた。
「なんかお姉ちゃんってママの匂いがする…」
「え…あたしが? ママの匂い? へぇ…?」
「ずるいわビット! あたしをスプライトの隣にしなさいよ」
「おれも!!」
「やだよ、スプライトはボクのだ!」
「ちょっとみんな、ベッドの上で騒ぐんじゃない…きゃ! どこ触っ…いやぁん!」
ベッドの上は狂喜乱舞の目茶苦茶な暴動となった。

スプライトが煩瑣な子供たちに翻弄されている様子は、食堂の二人にも聞こえていた。
シスターは、子供部屋から「ズン!」と衝撃が聞こえるたびに、ハラハラして席を立ったり
座ったりしていた。

数十分後、子供たちは散々暴れまわったあげくようやく寝ついたが、スプライトは一人目が冴えて
眠れずにいた。
「お母さんの匂い…か。ちょっとだけ羨ましい…かな…?」

ようやく眠くなりまどろみはじめた次の瞬間、スプライトに群がるように眠る一人の男の子の手が
彼女の胸に触れた。
「やっ…! またこのマセガキっ!!」
「……ママ……」
寝言を呟くその子の頬に一雫の月光が流れた。

スプライトは胸が急に熱くなるのを感じ、自分の手を頭の後ろに戻した。
「……」

2016/7/31 20:00  [1498-4720]   

次の日、軽く朝食を済ませると、スプライトはシスターに強引に連れられて彼女の部屋に入り、
鏡台の前に座らされた。
「スプライトさん、あなた今からお父さんとお母さんに会いに行くのでしょ。女の子なんですから、
せめて髪を綺麗にとかしてさしあげますわ」
「あ…ありがとう、シスター…」

スプライトはシスターに言われるままに髪をといてもらった。
「あたし、旅に出てしばらくしたらおしゃれなんてしなくなちゃったなぁ。髪形だって太く結んだ
三つ編みと麦わら帽子で誤魔化していたし」
「髪は特に痛みやすいんですのよ。ああほら、こんなにパサついちゃって。あなたは端麗美人とか
アルメニアの月の女神などとうたわれたスキャナさんの娘なのですから、美人でないはずはありませんの。
ですからちゃんとケアしないといけませんわよ」
「あたし…お母さんの写真とか見たときないんだけど、そんなに美人だったの?」
「私もお会いしたことはありませんので噂で聞いていただけですの。ですが私から見てもあなたは
美人だと思いますわ。神父様も昨日、あなたを見たときスキャナさんの面影が確かにある娘さんだ、
とおっしゃってましたしね」
「でへ。そーなんだ」
「…自覚するのは結構ですが、その薄ら笑いはおやめになったほうがよろしいですわね…」

シスターのおかげで艶のあるサラサラの髪になったスプライトは、教会の外に出て、法衣姿の
シンプソンの案内で両親の墓参りへと出掛けた。
スプライトから借りたスケボーを転がしながら通りで遊ぶ子供たちの声を後ろに、教会の裏の
瑞々しい樹木に囲まれた小道を二人で歩いた。

「スプライトさん」
「ん? なあに、シンプソンさん」
シンプソンは思い詰めたような顔をしていた。
「実はもう一つ、あなたに伝えなければならない事があります。この話をすることによって
あなたがどう思うか、私は心配で昨日から少し悩みましたが、正直に話すことにします」
スプライトは黙って頷いた。
「実は、ロケート婦人はジョージアさんがあなたを養子にしたいと申し出た際、一度断ったことが
あったそうです。ロケート婦人は生活を無理してでもあなたを育てようとしていたのです。
婦人は心からあなたの事を想っていたのです。しかし、あなたの幸せを想っていたからこそ、
その後決意を改めてあなたをジョージアさんに託したのです。アルメニア人でない彼に。
この意味、あなたは判りますでしょうか?」

スプライトは立ち止まり、俯いて肩を震わせた。
「…うん。島のお父さんは人種差別など絶対にしない人でした。それをロケート叔母さんは
信用したんだわ。叔母さんは…あたしの…ことを…想って…」
涙が溢れて言葉が続かない。
「ロケート婦人は、幸せになったあなたがいつか自分を尋ねて来ることを信じ、願って暮らしていました」
それが、五年前に流行り病で亡くなってしまった。さぞ無念だったろう。
それを考えるとスプライトは胸が引き裂かれる思いがして涙が止まらなかった。

「あたし…叔母さんの事…ただあたしや両親を知っているだけの人だと…思ってた…。
だから…亡くなった、と聞いたとき…話を聞ける人がいなくなって残念だとしか思わなかった…
叔母さんが…あたしの事、そんな風に…想ってくれていた事も知らずに…あたし…あたし…
すごく嫌な女だ…!」
スプライトはシンプソンの胸の中で堰を切ったように泣き叫んだ。

シンプソンは分かっていた。彼女は昨晩、子供たちの前で涙を見せないように我慢していたことを。
子供たちの前では勇気の手本を見せなければならない事を、彼女は知っていた。
「叔母さん…ごめんなさい…ごめんなさい…!」
子供たちの前では強がって、大人ぶってみせても、やはり情緒不安定な十代の女の子。
子供と大人の境界線上で葛藤する女の子だ。

「スプライトさん、あまり自分を追い詰めないで下さい。天国のご両親やロケート婦人は
あなたを恨んでなどおりませんよ。もし罰が下されるしたら、あなたを泣かせてしまった
私に対してでしょうから」
「……うん……ありがとう、神父様」
スプライトは涙を拭いながら、シンプソンの気の効いた冗談に笑ってみせた。

シンプソンは一瞬どきりとした。彼女の微笑みが、スキャナのそれとうり二つだったのだ。
同時に彼はは嬉しくもなった。
彼女のこの笑みこそ、インドの島での暮らしが幸せであったことの何よりの証だと思った。
そしてまた、この若さにして単身シリアへ旅してきたことの強さと意地に敬意を抱いたのであった。

2016/8/5 22:31  [1498-4736]   

林の小道を抜けると、多くの墓標の立ち並ぶ陽当たりのよい丘に出た。独特の神聖な雰囲気の漂う
歩道を進むと、シンプソンはその一角のふたつの墓石の前で足を止めた。
「ここですよ、スプライトさん」

右側の墓石には、〔夫エリミネート・エディタ 妻スキャナ・エディタ ここに眠る〕と
アルメニア語で刻まれ、左側は〔セラ・フロート ここに眠る〕とアラビア語で刻まれていた。
「セラ・フロート…島のお父さんとお母さんの本当の娘…。セラっていう名前だったんだ。
本当は…この子があたしになっていたはずだったんだ…」
「…あるいは、そうなっていたでしょうね」

双つの墓石。そこに眠る三人の魂は、スプライトの運命を証明する動因の軌跡。
スプライトは、島での暮らしがこの三人の命の上に成り立っていた、という事実を改めて思い知った。
「偉大なる祖国アルメニアの民にして、顕栄なる商人エディタ夫婦…。現世に生を受けながら
刹那の如く神のもとへ旅立ったセラ・フロート…。ここに永久の眠りにつく。その遺愛なる魂
地上を離れ、我等に別れを告げん…。されど、死者を死せりと思うなかれ。生きる者のあらん限り、
死者は生きん。我等のあらん限り、三人は生きん…。魂に平安を……」
シンプソンはスプライトのために、聖書を片手に葬礼を行った。

スプライトはまずセラの墓前に屈み、彼女の冥福を深く祈った。
「平安を……」
遙かな地中海を思わせるそよ風が辺りの木々を揺らせる。そんな静寂に包まれた二人に、
シスターの呼び声が聞こえた。
「神父〜…シンプソン神父〜!!」
二人が来た林の小道からシスターが駆けて来た。
「なんですか、厳粛たるべき修道女が大声など張り上げて。少しはご両親と対面なされている
スプライトさんをお気遣いなさい」
シスターは息せく口を慌てて塞いだ。
「す、すみません…私ったら。あの、神父にお客さまですの。お急ぎだと申しておりましたわ」
「私に…? アドレスさんとセルさんの結婚式の打合せですかねぇ。しかし、今すぐにという訳には…」
シンプソンはスプライトの方をを心配そうに見たが、彼女はそれを笑顔で返した。

「あたしなら心配いりません。しばらくしたら教会へ戻りますので、お気遣いなさらずに。
お客さまのために早く教会へ行ってあげて下さい」
スプライトは毅然とした態度で言った。それに安心したシンプソンは一言礼を残してシスターと
教会へ戻っていった。

二人を見送り、一人たたずむスプライト。大きく深呼吸をして震える胸を宥め、精一杯の笑顔で
両親の墓前に立った。
もう一度、墓石に刻まれた両親の名前を黙読し、そしてゆっくりと口を開いた。
「ただいま。お父さん、お母さん」

お昼過ぎにようやく教会へ戻ってきたスプライト。
彼女を心配して教会の裏庭を行ったり来たりしていたシスターは、彼女のその異様な姿を見るなり
絶叫して側に駆けつけた。
「いやああぁあ!! スプライトさんどうしたんですの、その髪!!」
「いやぁ、ちょっとナイフでズバッと。あたし…他にお供えできるものがなかったから、
せめてと思って…アハハ!」

当分三つ編みもできそうにないくらい襟元までバッサリと切ったスプライトは、頭を掻いておどけた。
「アハハってあなた…せっかくきれいにといてあげたのに…。でもまあ、何も気にしない、
何も飾らない一途な行動、何というかあなたらしいですわね。少しそこでお待ちなさい。
ハサミで後ろ髪をきれいにまとめてあげますわ」
「うん。ありがとう、シスター」
シスターが教会の勝手口に入っていくと、スプライトは振り向いて林の向こうを名残惜しんだ。

これから自分が生きていく間に、きっと何度となくこの場所を思い出すだろう。
その記憶を心に縫い付けるように、スプライトは林の奥を見ていた。

「両親との別れは、済んだのか?」
聞き覚えのある野太い声に、スプライトは反射的に振り向いた。
教会の礼拝堂から出てきた長身の大男。無精髭に、火の付いてないタバコをくわえたニヒルな横顔。

2016/8/7 17:43  [1498-4740]   

「マトリクスさん…!」
スプライトは彼の姿を見て立ちすくみ、すっかり忘れていた彼との大喧嘩が昨日の事のように
記憶に蘇った。
彼女は、喧嘩の原因は全て自分にあると反省していた。
いつか会えたら誠心誠意謝ろうと思いつつも、まさか本当に再会できることなど夢にも思わなかった。
完全に意表を突かれたのだ。
「どうして………」
スプライトはうまく言葉が出てこなかった。
「全てのアルメニア人はキリスト教徒だ、と聞いたことがあって、教会に行けば会えるだろうと
来てみたらビンゴ、ここの教会の前でガキ共がお前のスケボーで遊んでいたから一発で分かったぜ」
「あたしのこと…嫌いになったんじゃなかったの…?」
彼女の問いに対して、マトリクスは何も答えなかった。柄にもなく照れていたのだ。

「嫌いになったのなら、わざわざあなたに会いに来たりしませんよ」
マトリクスの後ろで、礼拝堂から出てきたシンプソンが代わって答えた。
「この方はあなたの負った心の傷を心配して来たのです」
「まあ、そのなんだ、あのときは天国の両親に会う前の緊張してた時期だった事も分かってやれず、
少し言い過ぎたかな…って思って。その…悪かった。それだけ言いたくてな」
「マトリクスさん…あたしこそいろいろごめんなさい…」

「話はすべて伺いました。アムステルダムへ向かう旅の最中、ずっと一緒だったそうですね」
シンプソンが大男をあらためて見上げる。
「うん。あたしにとってマトリクスさんは…」
「スプライト」
マトリクスは彼女の話を止め、早々に荷物を担いだ。
「俺はもう行くが、お前はどうする?」
再会したばかりだというのに、彼はもう出発するというのだ。

マトリクスは、スプライトの短く切った髪を見て全てを悟っていた。どうするもこうするも、
彼女を煽動したのであった。
スプライトはおもむろにシンプソンを見た。
シンプソンは、もう少しマトリクスと話をしたがっているような、スプライトとの別れを惜しんで
いるような顔をしていたが、諦めるように苦笑し「あなたの好きにしなさい」と言うかのように
頷いてみせた。

スプライトの決心は固まった。
「…五分で支度するから、待ってて!!」
「三分だ!!」
「イエス・サー!!」
スプライトは、はしゃいで敬礼をすると教会の奥に駆け込んでいった。
シンプソンは彼女の元気な姿を満足げに見ると、マトリクスに首を向けた。
「いい娘でしょう」
「へっ…まあな。オレの弟子としては、少々出来過ぎだな」
マトリクスはわが子を褒められたように少しだけ照れた。

「スプライトさん、どうしたのですかそんなに慌てて?」
ハサミを手に持つシスターにスプライトは危うく衝突しそうになった。
「ごめんなさい、シスター。あたし、もう行く!!」
「え?」

………お父さん、お母さん。

子供たちの寝室に置いたトランクに荷物を投げ込んで閉じ、それにジャンプ傘を二本の帯で縛り付ける。
そして、ジャケットを着て麦わら帽子を持った。
「よーし、準備完了!!」

………あたし、自分がアルメニア人だって、いまだに実感が湧かないけど、

「急げーっ!!」
父と母が残した絨毯が敷かれた食堂の前を、わき目も振らずに素早く通り過ぎる。

………お父さんとお母さんの娘だってことは、実感したんだ。

外に出ると、シンプソンとシスター、そして子供たちが見送りに立っていた。
「あなたの進む道に、神の御加護があらんことを。さようなら、スプライトさん」
「ありがとう、シンプソンさん!」

………あなた方の持っていた、誇りとともにね。

「まったく、少しもじっとしてられないのね、あなたという人は」
「あたし、今や未来の自分に後悔させたくないんだ。ごめんなさい、シスター!」

………あたし、これからもこの想いを胸に旅を続けます。

子供たちは、口々に彼女への声援を涙ながらに送った。
昨晩彼女と一緒のベッドで眠った思い出がよほど楽しかったのだろう。
「みんな、元気で。現実に負けないように、泣かないように、いい夢みろよ!!」

………この旅が終わったら、今の家族が待ってくれているインドへ、帰ります。

 そして麦わら帽子を頭にのせると、目の前に立つ男に拳を突き上げて叫んだ。
「行こう、マトリクスさん!!」

………さようなら、セラ。あなたがいたこと、あたし絶対忘れない。

「お姉ちゃん!!」
男の子、ビットが離れ行くスプライトを呼び止めた。
振り向く彼女にビットは、スケボーを彼女に向けて流した。
「忘れ物だよ!!」

………さようなら、お父さん、お母さん。

スプライトは流れてきたスケボーのヒールを踵で蹴り上げ、空中で一回転させてから片手で掴んだ。
「サンキュ!」
スプライトはスケボーを持つ手でVサインを投げた。


………さようなら………

2016/8/7 17:52  [1498-4741]   


「…ごめんなさい、マトリクスさん」
地中海に続く夕焼けの草原の一本道。スプライトは懐かしいマトリクスの歩幅に合わせ、
並んで歩いていた。
「あー?」
「あたし、あの時…その…体がだるくてイライラしてた時に、面倒な仕事を頼まれちゃったから、
ついカッとなって思いもしないような悪態をついちゃったの。本当にごめんなさい」
「…そうか…お前、あの日だったのか。バカだな、そういう時はひとこと言えばいいんだ。
そうすりゃ俺だって、無茶な仕事を無理に頼みゃしねぇよ」
「だって…恥ずかしいもん…そんな…女にしかないようなもん…言えないもん…」
語尾がだんだん弱っていった。
「あー、なんだと? 聞こえねーよ。ケジメつけたんだろ。シャキッとしやがれ!!」
「わ、わかってるわよ! 怒鳴らなくてもいいでしょが、クソオヤジ!!」
「…んだとクソガキャ!! また踵落とされてぇか!?」

二人の果てない口喧嘩が夕映えにこだまする。
またいつもの二人の会話のペースになったことで、妙な居心地の良さを覚えたのは
スプライトだけではなかった。

もう過去を振り返ることはない。今度は自分の自由のために旅をするのだ。
スプライトは駆けだして、西に沈む夕陽に向かって思うままに叫んだ。
「うおーっ! 行くぞアムステルダム!! …ってしまった!! あたしロケート伯母さんの
お墓参りしないで来ちゃったよ、どうしよう!?」
「知るか。戻りたきゃ一人で戻りな。あばよ。以上!」
「そんな…ちょ、ちょっとぉ、待って…待ってよマトリクスさん!!」

「スプライトさんはスキャナさんに似て心優しい娘になっておりました…。あなたが
フロート夫婦に彼女を託したのは、決して間違いではありませんでした…」
 シンプソンはロケート婦人とその家族の十字架の前で、婦人の意思をスプライトに
伝える使命を終えたことを天国に向かって話していた。

その側でシスターは恍惚とした表情で夕陽を眺めていた。
「はぅ〜ん。あの筋肉…逞しくて素敵でしたわ…」
「…何か言いましたか、シスター?」
シンプソンに呼ばれ、シスターははっと我に返った。
「あ、いえ何でもありませんわ神父、あはは。スプライトさんもマトリクスさんと旅ができて
きっと幸せでしょうね、うはははははは!!」

 シンプソンは静かに目を閉じ十字を切った。
「…主よ、この罪深き哀れな小羊にどうか天罰を与えたまえ…」
「ふえっ!?」

2016/8/7 17:58  [1498-4742]   

第五話 VSOEの終着駅

ランダムの生活は泥沼と化していた。アルバイトもろくにせず、毎日不良仲間とマリファナを
吸ったりショッピングセンターで万引きをして過ごしていた。

中学生の頃の彼は、他のクラスの先生からも一目置かれた優等生だった。
試験では常に学年の上位におり、スポーツも万能。そして何よりも他人を思いやる優しい性格は
クラスメートから信頼され、人気も高かった。

彼のその人柄の秘密には、両親の姿が深く係わっていた。
両親は昔から仲が悪く、事あるごとに言い合いばかりしていた。
そんな二人を見て育ったランダムは人一倍争いごとを嫌うようになり、他人の喧嘩も真先に
仲裁に入る正義感の強い性格になった。
転職を繰り返す父親の姿に、自分は努力して立派な会社に就職しなければと思って一生懸命勉強をした。
母親のヒステリー姿に、感情を抑え冷静になることの大切さを覚えた。

それは、根本をいえば両親への当てつけだった。
自分たちの行為を、正反対に演じる自分を見て気付いて欲しかった。
仲良くなってほしかった。
それだけだった。

だから、両親が離婚し離れ離れになった今、心の拠り所を失ったランダムが
このような状態になるのは時間の問題だった。
バイクという生き甲斐と目標ができても、それに正面を向いて一直線に努力する気にはなれなかった。
ただ目の前の快楽に溺れ、現実逃避を繰り返していた。

ある日、小学校の頃から仲が良かった年上のブラウザがランダムの住むガレージに遊びに来た。
ブラウザは言葉遣いも乱暴で、いつも掛けてるサングラスやジャラジャラした貴金属の
アクセサリーから、見た目はストリート系の不良そのものだが、実際は心の優しい、
ランダムの良き理解者のひとりだった。

彼は母子家庭ということもあって中学卒業と同時に家族のために働いていた。
だからランダムの辛い気持ちをよく知っていて、独り暮らしのランダムを心配で励まそうと考えて
来たのであった。

しかしブラウザの予想に反し、ランダムは元気な笑顔で迎えてくれた。
(好きで家族と別れた訳じゃないはずなのに)ブラウザは困惑した。
ランダムの性格は彼が一番よく知っていた。
少なくとも無邪気にゲラゲラ笑うような状況であるはずがない。

原因はすぐに分かった。
ベッドのシーツに微かに染みついたマリファナの匂い、それが全てを物語っていた。
ランダムは、この匂いはこの部屋に住む前からあった、とみえみえの嘘をついて誤魔化した。
しかしそれはブラウザの怒りを逆撫でしただけであった。

ブラウザは渾身の力を込めてランダムを殴った。
どうしようもなく腹が立った。
子供の頃から兄のように慕われ、弟のように慕ったランダムが、ドラッグに手を出したなんて!

ランダムは立ち上がって拳を握り反撃した。
家族がバラバラになった悲しみから逃れるにはドラッグしかなかった…それを否定される筋合いなど、
他人にあるはずない!
ガレージの二階の部屋の中、二人は殴り合った。
ドラッグによって封じていた感情をランダムは爆発させた。
憎しみ、悲しみ、苛立ち。
いつしかそれを避けて、逃げて、誤魔化していた。ランダムは殴られるたびにだんだんと
それを思い出しはじめていた。

「楽な方に、逃げるな大馬鹿野郎!!」
ブラウザのカウンターでランダムは派手に吹っ飛び、投げ捨ててあった洋服の中に突っ込んだ。
ランダムは起き上がれず、完全にノックアウトした。

ブラウザはランダムの胸ぐらを掴んで持ち上げた。
「俺の勤めてる工場に来い。物を破壊する仕事だ、スッキリするぜ。社長には俺から
話つけておくからよ…一緒に働こうぜ、ランダム」

パンドラの箱を開けて、幾多の邪悪が飛び出したあと、最後にひとつだけ残ったもの…。
それは、希望だった。

青く腫れて膨らんだまぶたを微かに開け、ランダムははっきりと思い出した。
この街に残って良かった、と。
「先輩…」

2016/8/10 09:47  [1498-4744]   

「洗剤…」
青く光るアドリア海を横目に、スプライトはガソリンスタンドの一角で一人洗濯をしていた。
買物をしたとき品物を入れるナイロンの袋を蛇口に吊り下げ、その中に水をためて洗濯物と
洗剤をぶち込み乱暴に揉みほぐす。汚れが落ちたら水を何度も換えてすすぐ。
二人分の洗濯をしなければならないので一度では洗いきれず、何度も同じ作業を繰り返していた。

マトリクスはスタンドの隣に張ったテントの脇で、木々の間に吊るしたロープに洗い終えた衣類を干していた。
「もう、秋も終わりだな…。ヤツと出会って、もう半年が過ぎていたのか…」
散りゆく紅葉を眺めながらマトリクスは柄にもなく感慨にふけていた。

シリアのハマの街を出てもう三か月が経っていた。
シリア、トルコ、ギリシャを過ぎ、現在はアルバニアに来ていた。

いろいろな街や遺跡、雄大な景観を渡り歩き、いろいろな人々と出会ってきた。
両親との決別で過去の自分に一応の決着をつけたスプライトは、今まで以上に前向きになった。
出会った人の中にはアルメニア人を思いきりけなす人もいて、そのたびに落ち込むこともあったが、
決して引きずることはなかった。

アルメニア人に生まれ、シリア人に育てられ、インド人とともに生活してきた。
今では、その全てが彼女にとっては幸せであり、誇りだと確信していた。
過去にアルメニアを迫害してきた国を過ぎても、それだけの理由でその国を嫌いになることはなかった。
国を嫌うことは、その国に住む人をも嫌うことになるからだ。

意地悪な輩が彼女の情緒を乱すことがあっても、それを補って有り余るような親切な人との
出会いがあった。
同年代の旅人にも何人か会い、励ましあったりもした。

「マトリクスさん、洗濯はこれでラストだよ」
スプライトは彼に脱水済みの洗濯物の入った袋を手渡した。
「おう、ご苦労。それにしてもお前、もう少し色気のある下着を履けよ。男物のトランクスを
履くなんてどうかしてるぜ。干し甲斐がねぇんだよな」
「やだ。トランクスだったらそのまま海に入っていけるもん。着替える必要がないから便利だわ」
「泳げねぇくせに何イキがってんだクソガキ。そもそも機能性を重視したって普通の女は
そんなことしねーよ」
「つーん、普通の女でなくて結構よ。あ、そうそう、あたしスタンドの店員のお兄さんの車を
洗車することになってたんだ。水道の使用をことわりに行ったとき、ついでにアルバイトも
約束したのよ。五〇〇レクもらえるから何日かの食費になるでしょ。んじゃ、行ってくる!」

スプライトは腕を捲くってスタンドへ駆けていった。
マトリクスは彼女の気のきく手回しと状況適応能力の高さに改めて驚いた。
アルバニアに来てまだ三日だというのに彼女はこの国の言葉であるアルバニア語を次々と覚え、
アルバイトの交渉までできるようになっていたのだ。
「スプライトの処世術は天性のものだな、まったく…大したやつだぜ」

ハマの街を旅立ってからというもの、旅をすることで多くの人と出会いたいというその精神は、
十代の柔軟な記憶力も手伝ってか彼女を今まで以上に開豁させていた。
そんな彼女にマトリクスは嬉しくなった反面、少し心細くなった。
最初、彼女は自分を頼って着いてきたのだが、最近は立場が逆転しそうな気配がしてきた。

彼女の元気と行動力に一体どれだけ助けられてきたのだろうか。
機械の修理技術もかなりの腕になっており、ほとんど自分が手を出すことはない。
あと必要な技術といったら、自分の技術を自覚して、できることとできないことを見分ける
判断能力と、そして場数くらいだ。

食事においても、彼女と出会う以前なら缶詰ばかりだったのに、彼女のおかげで放っておいても
温かい食事を作ってくれる。
さっきの洗濯にしても、面倒くさい仕事は彼女が全てやってくれた。

マトリクスはもともと孤独を好む旅人だった。
全てを自分ひとりで行動してきたし、それが当然だと思っていた。
しかし、だからといってスプライトを邪魔だと思ったことはなかった。
むしろこれからもずっと一緒に旅したいと思っていた。
だから喧嘩別れしたとき、わざわざハマの街の教会へ彼女を尋ねていったのだ。
一人になったときに生活が苦しかったのは、むしろマトリクスの方だったのかもしれない。

一人でいるのは寂しい。
その感情がロンリーツアラーにとっては最大のタブーである事は彼がいちばんよく知っていた。
旅生活の上で他人を頼りにすることは都合のいい甘えだ、と彼女と出会ったときに話したのは
誰でもない、自分なのだ。
「…へっ!! 俺も焼きが回ったかな。漁夫の利を狙ってミイラになった気分だぜ」
マトリクスは唾を吐き飛ばすと、タバコをくわえて残りの洗濯物の処理をはじめた。

2016/8/11 10:23  [1498-4751]   


夕方、スプライトが顔をほころばせながら駆け戻ってきた。なにやらいい情報を仕入れてきたようだ。
「マトリクスさ〜ん!! 大変大変、大ニュースだよ!!」
「どうした、クロイツフェルト・ヤコブ病でも再発したのか?」
「ばっ…そんな病気かかってないわよ!!」
いつになくスプライトは真剣だった。
「なんだよ一体?」
マトリクスは腰を据えて話を聞くことにした。
「あのね、ベネツィアへ向かうトレーラーが給油しに明日の朝あのスタンドに来るらしいんだ。
スタンドのお兄さんが明日、その運転手にあたし達を乗せてくれるように頼んでくれるって。
ベネツィアはここから二〜三日で着くって言ってたわ。すごいラッキーでしょう?」
二〜三日、と聞いてマトリクスは背中を走るものを感じた。

ここからイタリアのベネツィアまではゆうに千キロはある。
それをたった二日ばかりで行けるというのだ。
今まで二人は、何度かヒッチハイクはしてきたが、せいぜい隣町あたりまでしか乗ることはなかった。
今度は国を一気に四つも飛び越えることができるのだ。
スプライトは鼻唄を歌いながら夕食を作った。
ようやくヨーロッパらしい都市へ行けるとあってすっかり上機嫌だ。

中東の危険区域はまだまだ続いており、このアルバニアにおいても街では物騒な銃器を持ち歩く
警官が多くいる。
局地紛争はこの地域でも多いのだ。
彼女にとって拳銃やライフルはいつまでも見慣れることはなかった。
いつ殺されてもおかしくないような錯覚になるし、内戦や紛争と聞くだけでも両親やセラの事を
思い出し、悲愴感が蘇ってしまう。
彼女は一刻も早くこのそんな地域から逃れたかった。それが思ってもみないところからチャンスが
転がってきたので彼女は浮かれずにはいられなかった。

イタリアは平和でグルメな国というイメージが彼女の中にあり、また島で暮らしていた頃から
目をつけていた都市でヨーロッパ大陸縦断の玄関でもあるベネツィアは、まさに平和な国への
入口だと決めつけていたのだ。

「あの夕陽の向こうにイタリア半島があるんだよね。早く行きたいなー」
スプライトはパンをかじりながら夕陽に染まった海を眺めた。
「ふん、過剰に期待して運転手に断られたらショックでかいぜ。もしもの事も考えろよな」
「あら、やけに謙虚じゃない。もしかしてこのアドリア海の景色をもっと楽しみたいんでしょ?
確かにベネツィアからは大陸を横断するから当分の間海は見れなくなってしまうわね。
あたしもこの地中海の雄大な景色をできればもっと堪能したいとは思うけど…」
「なんでそう勝手に話を飛躍させるんだお前は。いつも言っているだろう、常に最悪の事態を
想定して行動しろって。その事を言っているんだボケ!」
「心配しなくても今回は大丈夫だよ。スタンドのお兄さんも、その運転手に何度も乗せてもらって
旅行したことあるって言ってたもん。あたし達だって絶対乗せてくれるわよ、絶対」
スプライトは何を言われても動じないくらい舞い上がっていた。

「ガソリンスタンドっていうのは盲点だったわ。少なくとも自動車が必ず止まらなければ
ならない場所なんだから、ヒッチハイクが成功する確率は高いはずだよ。今度からそうしようかな。
ね、マトリクスさん?」
「…そうだな」
マトリクスは癇が高ぶっている自分を抑えていた。
今は余計なことは言わず、彼女を調子付けたままにしておこう、そう思っていた。

次の日、予定通りスタンドに到着したトレーラーの運転手はスタンドの若い従業員から話を聞くと、
二人を乗せてくれる事を快く承諾してくれた。
予め準備を整えていた二人は、荷物を持ってトレーラーのコンテナの隙間に乗り込んだ。

世話になったスタンドの若い従業員に別れを告げると、二人を乗せたトレーラーは爆音とともに出発した。
「スプライト」
流れるアドリアの蒼い海を眺めながら、マトリクスは口を開いた。
「んー? なあに、マトリクスさん」
スプライトは声を弾ませて返事した。彼女はトレーラーに思ったとおり乗れてご機嫌だった。
「お前はアムステルダムに…何を求めに行くんだ? こんな、男の俺ですら苦労している旅を
女のお前が無理してやって、その先に求めるものは何なんだ?」
「何を求めに…? そりゃあ…アムス自体へは観光のようなものだよ。行きたい観光名所が
たくさんあるんだ。でもいちばん惹かれたのは自由の都っていうフレーズなんだ。
なんだかわくわくする響きじゃない。あたしの旅の最終目的地はそんな素敵な呼び名がついた都市だから、
旅そのものも一層わくわくしてるの。アムスに近づいていることを実感するたびにドキドキしてるんだよ」
スプライトは胸に手を当ててにっこり微笑んだ。

「でも、それは表面上の話なんだ。いつかあたしも自分の道を選ばなくてはならない。
何かの仕事をするにしても、誰かのお嫁さんになるにしても、まず自分自身が納得できる自分を作り、
同時に自らの選択範囲の幅を広げたかった。だから旅することをあたしは選んだの。
多くの世界を知るためにね。それが…あたしの旅の目的、望みなんだ。だから、アムスは
旅の目的じゃなく手段だったんだ」
「それが…本音なのか?」
「…そうだよ。一体どうしたのマトリクスさん? 昨日から元気ないじゃない、全然らしくないわ。
どっか具合でも悪いの? あの日?」
マトリクスは手刀をスプライトの脳天に思い切り振り下ろした。
スプライトの目はグルグル回りながら火花を散らした。
「そうじゃねぇ。実はな…」
マトリクスは決意を固めた。

「ベネツィアで…俺たちはお別れだ」

「なんですって!?」
スプライトは耳を疑った。頭に血が上った状態でなければマトリクスが軽々しく
口にするはずのない言葉だった。

2016/8/13 12:14  [1498-4754]   

さん  

2016/8/15 02:49  [1498-4756]  削除


「冗談…でしょ?」
マトリクスの顔は真剣そのものだった。
「お前はネーデルランドへ向かい、俺はスペインに戻らなければならねぇ。ベネツィアは
その分岐点の街だ」
「そんな話は聞いてない! アムスまで一緒に行ってくれると思ってたのに…!!」
「最初に言っただろ、俺はスペイン人なんだ。何度も一緒に国境審査を受けていたのだから
知っていたと思っていたがな。まあ…俺も一時はアムスまで面倒をみようかと思っていたことも
あったがさっきの言葉を聞いて安心したよ。お前はもうひとりでやっていける。
いや、やっていかなければならない。中東の警戒区域を過ぎてからは、お前の望む行動を
とらなければお前の望む本当の旅はできねぇぜ」

一人旅。それは彼女が最初に望み、そして自ら挫折したことだった。以前喧嘩別れして
一人になったときも、彼女は心細くて仕方なかった。
自ら望んでいたことなのに、孤独がこんなにも辛いことだなんて思いもしなかった。

………いやだ、一人にしないで!!

スプライトはその言葉を飲み込んだ。言えばついさっき語った自分の信念は曲がってしまい
大言壮語になる。
鉄壁の防具に守られたまま旅をして何になるというのだ。
三度目の正直、一人で旅をしなければならない覚悟を今度こそ態度に、行動に現さなければならない。

「…そうね。そうしなきゃあたしはダメだったんだよね…!!」

水の都ベネツィアに到着したのは三日後の早朝だった。
ベネツィアは百を越える小島から形成された運河の街。それゆえ自動車の通れる幅の道路がなく、
街には一台も車がない。
当然トレーラーも街の入口の大きな運河の港までしか行けないため荷物を渡し船に受け渡す
システムになっており、二人もその港で降り、コンテナの受け渡しを手伝ってからトレーラーの
運転手と別れた。

海上の街へ続く全長約四キロのリベルタ橋を感慨深く歩いた。
「ついに到着したね、ベネツィアの街…」
「ああ」
二人は小さな石橋をいくつも渡り、街の奥に見える時計塔を目指して色大理石の街並みを歩いた。
まだ朝早いというのに多くの観光客で賑わっていた。

トレーラーに乗っていた三日の間、二人は今まで語ることのなかった自分の過去について
とことん語り合った。
マトリクスの過去の話で彼女がいちばん驚いたのは、奥さんがいたことだった。
旦那に何ヵ月も一人旅をさせるなんて、旅を承知した奥さんもいったいどういう神経を
しているのだろうか、スプライトは素直にそう思った。
自分があれだけ島の母親に反対されたというのに…。
しかしその話を聞いて安心もした。
スペインへ帰るのは奥さんのためであって、決して自分を嫌い見限られたわけではなかったのだ。
このことでスプライトの心の片隅に残っていた小さなしこりはきれいに洗い流された。

街並みも、人々も、平和そうに流れている。決して追い立てられることのない生活習慣が、
街の時間をゆっくりにさせている。

………このまま、刻が止まればいいのに…

辛い気持ちがスプライトを襲った。
憂鬱を誤魔化すためスプライトは街の風景を眺めた。
彼女がまず気付いたのは、歴史のありそうな古い建物にはいずれも翼の生えたライオンの彫刻が
取り付けられてある事だった。

翼のあるライオン。それはかつて千年もの間地中海を支配し欧州最強とうたわれた
ベネツィア共和国の国章だったものだ。
イスラム教の尊者でありかつてのベネツィア共和国の守護聖人でもあるサン・マルコという人物の
シンボル・マークで〔復活の象徴〕をあらわすものだった。

………翼。

人間は地上にしか生活できない。
だから翼をもつ生物に憧れる。
もし人間が大空を自由に飛ぶことができるなら、どんなに痛快だろう。
きっと、今も繰り返されている醜い争いごとなど起きなかったのではないか。
空を飛べたなら、人間はもっと多角的な、多次元的な物の考え方ができて、自然界に存在する
人間としての役割を誰もが意識し、戦争や大気汚染、森林伐採など地球に大打撃を与える行為は
最初からしなかっただろう。

しかし現実には誰一人翼の生えた人間など一人として存在しない。
人間をつくった神様が翼の所有を許さなかったのか、それとも生物の進化の過程で翼を
持てなかったのか、もしくは捨てたのか。とにかく最初からそんな人間はいなかったのだ。

「そっか…大切なのは平和をもたらす翼などではなく、翼に憧れる考え方そのものなんだ…!!」
「なんだスプライト、いきなり変な事を言いだして」
思わず頭に浮かんだ結論が口に出てしまった。
「あ…いや、あの翼のあるライオンの彫刻を見て平和の意味を考えてたんだけどさ。今も昔も
人間は翼に憧れていたんだなって」
「そうなんだろうな。海だろうが山だろうがひとっとびで越えられそうなイメージあるもんな。
俺もよく思ったよ、どうして人間は空を飛べないのかってな」
「それで、マトリクスさんはどう結論付けたの?」
「別に。飛びたいっていう願望は今もある。だが仮に俺が飛べたとしたらきっと堕落してたと思うぜ」
「だらく? 重たくて墜落する、の間違いでしょ?」
マトリクスは片足を軽く振り上げ、スプライトの脳天に振り下ろした。
スプライトの目はグルグル回りながら火花を散らした。

「俺たちが歩いてきた軌跡を思い出してみろよ。いくつもの海や山を苦労して越えてきたじゃねーか。
苦労したから、それを越えて目的地に着いたときに〔やったぜ!!〕とか思うだろ。
そういう達成感やいい意味での征服感がなければ人間なんて成長しねぇんだよ」
「あ…」

2016/8/15 22:32  [1498-4758]   

スプライトははっとした。アルバニアからこのベネツィアまでは、何の苦労もせずトレーラーに
乗せてもらってきた。それは言い逃れのできない、自分が享楽主義であったことの証拠だ。
「もしかしてマトリクスさん、トレーラーに乗ることは反対だったの?」
「……」
「ごめんなさい、マトリクスさん…あたしが楽をしたいがために…」
「あ、そうじゃねぇ、気にするな。お前が頑張ってバイトしたおかげで楽ができたのだからいいんだよ。
俺だって早く警戒地区から抜け出したかったんだしな」
マトリクスは慌ててフォローした。別れを目前に気まずい雰囲気にしてはいけない。
「うん…」

この街に早く到着することは、別れが早まることと一緒だ。
マトリクスは本心を言うことができなかった。
スプライトもまた彼の本心を知ることもなかった。

サン・マルコ広場。そこが二人の別れの場だ。
周辺に時計塔、大寺院、美術館、鐘楼を配置した雄大で均斎のとれた美しい広場は
観光のメッカとして多くの人で賑わっていた。別れの場としては少々騒然とした雰囲気があったが、
賑やかな所で元気良く別れようというスプライトの提案だった。

「いよいよ、お別れだね。今までいろいろと教え助けてくれてありがとう。また、どこかで会えるよね」
「ああ。しばらくはグラナダの街にある自宅で暮らしてるから、もし近くに来ることがあったら
遊びに来いよ。トリニトロンっていう名字はあの街で一件しかないから探せばすぐに見つかるぜ」
「うん。アムスからの帰りはフランスへ行こうと思っているから、きっと行くよ」
「お前には俺の方こそ世話になったな。旅の間、俺も若返った気分だったぜ。最後に一つだけ聞かせてくれ」
「うん」
「お前にとって自由とはなんだ?」
スプライトは自信と誇りをもって答えた。

「全ての責任を、自分自身で背負うことだよ」

マトリクスは厳しい表情で頷いた。
「よし。現時刻をもって師弟関係の縁を切る! これからは一人の旅人同志だ。いいな
スプライト・エディタ!?」
マトリクスは右手を差し出した。
「ありがとうマトリクスさん。あたしは見ての通りあなたにお礼できるものを何一つ持ってないから…」
スプライトはマトリクスの大きな右手を両手で力一杯引っ張ると、彼の右頬にキスをした。
「こんなので許してね」
彼女の意外な行為に唖然としているマトリクスを尻目に、スプライトは荷物のトランクを持ち、
手を振りながら後ずさりした。
「さよならは言わないよ、いつかまた会いましょう。あたしの三番目のお父さん!!」
「スプラ…」

マトリクスの返事も聞かず、スプライトはトランクを軽々と振り回しながら広場の出口に向かって
駆けていった。
観光客の雑踏に彼女が紛れて見えなくなると、マトリクスは右頬に残った少女の微かな温もりを
撫でながら呟いた。
「三番目のお父さん、か…。なんか、独り立ちしてゆく子供を見送る親の気持ちってのは、
こういう気分なんだろうな…。しかし、遂にあいつの本音は聞けなかったな。あいつの旅の目的は
きっと…もっと根本的なところにあるはずだ。まぁ…一番大切なものは自分の中に閉まって、
自分自身でケリを着けなきゃだめだから、俺が一緒にいても何一つ解決にはならねぇか…
しっかりやれよ、スプライト…!!」

ヨーロッパ大陸に向かってリベルタ橋を走りつづける。
その脇の鉄橋をベネツィアのサンタ・ルチア駅から発車したばかりの、濃紺と金色のストライプの
列車がゆっくりと走り抜いていった。
「あ…」
涙を拭いながらスプライトは客車の窓の下に刻まれた文字を読んだ。

………V.S.O.E

「ヴェニス・シンプロン・オリエント・エキスプレス……オリエント急行だ!!」
少女は思わず立ち止まって世界に名高い超豪華寝台列車を眺めた。
とても列車とは思えないような豪華な内装が道端からもよく見える。
シックな明かりに照らされた食堂から、ワインレッド色のドレスを纏った貴婦人が
スプライトに向かって手を振っている。
スプライトは呆然と口を開けたまま手を振って返した。

「素敵…」
列車の最後尾が通り過ぎたあとも、あまりの華やかさにしばらくスプライトは立ちすくんでいた。
もちろん実物を見たのは初めてだった。
「そっか…あたし、てっきりベネツィアがオリエント急行の終着駅だと思っていたわ。
でも逆にいえば始発駅でもあるんだ。どうして気付かなかったんだろう!!」

少女は再び走り出した。
「あたしも同じ、ここが始発駅だ!!」

2016/8/16 18:37  [1498-4762]   

(1) (2) (3) (4)

物語の途中ですが、少しインターミッションを挟みます。
物語はここから先はいよいよ佳境となるオランダ編に突入します。
お楽しみに。

その前に・・・
今まで描いたスプライトのイラストを紹介します。
物語のシーンと直接結びつくイラストは、その部分に挟み込むように入れてましたが、
物語と直接関係ないイラストが多いので、まとめてここで紹介します。

(1)風車をバックに。2002年の年賀状として描いたイラストです。
   どの国のシーンなのか、まったく考えずに描きましたw
   背景写真は山形県立川の風車群を撮ったものです。

(2)牧草地帯をバックに。
   シリアあたりのシーンだろうと思って描きました。
   実際の背景写真は北海道です。

(3)きれいな小川のほとりのワンシーン。
   バックの草木と手前の花はネット素材、その他はフォトショの効果を
   駆使して描きました。水の光とか波紋とかけっこう苦労しました。

(4)海辺でのワンシーン。
   故郷ラクシャディープの海です。
   珍しく水着のスプライト。苦労して水着の布地を描きましたが、
   ことのほかぴっちりすぎた感じになり、ちょっとエッチw

2016/8/16 19:06  [1498-4763]   

(5) (6) (7) (8)


(5)砂浜を駆けるシーン。
   物語にそんなシーンはありませんが、まあそういうシチュw
   海はネット素材、空だけ描きました。
   ちなみにジーンズはリアリティを出すためにジーンズ素材の
   テクスチャを貼ってますが、膝を曲げてるのでかなり苦労しました。

(6)路地を駆けるシーン。
   スプライトらしく元気に突っ走る感じを表現しました。
   背景は、新潟のビッグスワンのカナール脇の路地です。
   フォトショの効果でスピード感を出してみました。
   スケボーを挟んだトランクは、描くとかなりめんどいですw

(7)アルバニアにて、アドリア海をバックに洗濯をしているシーン。
   すみません、本編に載せるのをすっかり忘れていました。
   マトリクスが手に持っているのはスプライトのパンツです。
   スプライトは洗車のアルバイトをゲットして調子こいてる感じに描きました。
   珍しくシーンに忠実なイラストで、背景まで全て手書きです。

(8)ベネツィアからこれから向かう冬のスイス、スキー場で遊ぶシーン。
   初めての雪に浮かれているスプライトです。
   キツネの帽子がやたら可愛らしく描けてしまったw
   ジャケットの模様はフォトショの効果を駆使したものですが、
   スプライトのイメージカラーであるスカイブルーの色合いにならずに
   えらく苦労しました。

2016/8/16 19:53  [1498-4764]   

第六話 黄昏の出会い



長い冬が過ぎ、暖かな日差しと新緑の薫る季節がネーデルランドに訪れた。
ドイツ、ベルギー、そしてネーデルランドの三国の国境に位置する、四方を小高い山々に
囲まれた小さな街ファールスは三国の交通の要所として古くから栄えていた。

この街で、隣国から毎日のように訪れる観光客をよそに、町外れの自動車解体工場で元気に働く少年がいた。
「ランダム、フォークリフトを倉庫にしまって油差しておけ。それが終わったら今日はもう上がっていいぞ」
気難しい顔をした上司ドリーランから命令を受けた、帽子からはみ出たくせっ毛が水際立つ少年は
油まみれの作業着で両手を拭きながら、元気に返事をした。
「わかりましたーっ!」
ランダムはさっそくフォークリフトの操縦席に乗り込み、慣れない手つきでハンドルを回転させ、
ゆっくりと工場の隣の倉庫へ運転していった。

蒸し暑い倉庫の中せっせとフォークリフトの駆動部分にグリスを塗っていると、サングラスを
かけた少年が中に入ってきた。
「ようランダム、おれの方の仕事は終わったぞ。早く帰ろうぜ」
「ブラウザ先輩、このグリスアップが終わったらオレも終わりです。もう5分程待ってて下さい」
「OK。…どうだ、おまえがここに来て五ヵ月になるが、仕事もすこしは慣れたんじゃねぇか?」
ランダムは手を休めずにそのまま答えた。
「うーん、どうかなぁ。まだ昇降装置の運転もできないし、まだまだですよ」

ブラウザは懐からタバコを取り出し、火を付けた。
「そうか。昇降装置は資格がないと運転できねぇけど、近いうちにおまえもその資格を取らせてもらえるさ」
「だといいんですけどね」
その時、倉庫のドアが大きな音をたてて開き、先刻ランダムに命令した上司ドリーランが中に入ってきた。
「やべぇ!」ブラウザはあわててタバコの火を消したが、時すでに遅かった。
「こらぁブラウザ! 倉庫の中でタバコ吸うなとあれほど言ったのに、まったく、これだから
お前はダメなんだよ! だいたい…」
憤慨するドリーランに、すみません、もうしません、とブラウザは平謝りするほかなかった。

こんな光景は日常茶飯事なので、ランダムは気にせず作業を続け、上司の説教が終わるころには
工具を片付け、私服に着替えて帰り支度を完了させていた。
「おまたせしました、帰ろう先輩」

ブラウザは、ドリーランが倉庫から出ていき、事務所へ入ったことを確認してから思いっきり悪態をついた。
「くそったれドリーラン! 覚えてろよ、てめーなんざ、そのうちニシンと一緒に酢漬けにして、
マース川に沈めてやるぜ!!」
「先輩、ニシンは海へ行かないと捕れないし新鮮なうちに酢漬けにしないとおいしくないんです。
だからこんな内陸じゃ、それはちょっと無理ですよ」
大真面目につっこむランダムを見て、ブラウザはため息混じりに彼の肩をポンと叩いた。
「…冷静にあげ足を取るなよランダム…」

緑の草原と花畑、野菜畑の続く一本道を疾走する一台のオンボロ自動車。後部の屋根がなく
荷物置きになっているライトバンだ。
ランダムはトレードマークの、つばのついた帽子をかぶり、助手席に足を組んで座っていた。
「ったく、いいことねえな〜」
運転席のブラウザはため息を漏らしながら瓶のコーラを一口飲んだ。
「うさ晴らしにカジノでも行ってみたらいいんじゃないですか?」
「観光客相手にぼったくっているようなカジノなんて、行っても金の無駄さ。それよりランダム、
明日は休日だろ、アムスのライブハウスへ行こうぜ!」
ランダムは首を横に振った。

「俺、休日は家でバイクを組み立てているからダメです」
「ケッ、相変わらず付き合いの悪いやつだな。それにしても、解体工場で拾ってきたあのバラバラの
バイク、いまだに作っているのか。あんなもん本気で組み立てるつもりかよ?」
「もちろん。今の俺はバイク一筋ですからね!」
「へぇへぇ。お前も好きやね…ま、がんばってくれや」
ブラウザが呟いた次の瞬間、ランダムは奇声を上げた。
「あぁっ!?」
突然の奇声に、ブラウザは飲んでいたコーラを鼻から吹き出した。
「ぶほっげほっ…いきなりでかい声を出すんじゃねえ。どうしたんだよ?」
「先輩、車を止めてください。人が…人が死んでる!!」
ランダムは窓の外の、小高い丘の上にそびえる大きな菩提樹を指した。
「なんだと!?」

ブラウザは、急ブレーキをかけて車を停め、ランダムが震えながら指す方向を、目を凝らして見た。
確かに、菩提樹の下で、ぐったりと倒れている人が見える。
「こんな、何もない平原に人がいる事なんて滅多にないのに…死体遺棄か…!?」
「あぁあ、どうしよう、殺人だ、警察だ、いやインターポールだ、FBIだ、いやダメだ
FBIじゃ話にならん、ロボコップ…そうだロボコップだ。この状況を打開できるのはヤツしか
いない…助けてラバカーップ!!」
ランダムはすっかり狼狽し、パニック状態になった。それを見たブラウザは〔こいつ
マリファナだけでなく幻覚剤にまで手を出していたのでは〕と思わずにはいられなかったが、
今はそんな事を考えている場合ではない。

「ラバカップじゃねぇよ。落ちつけランダム、とにく近くまで行ってみよう」
二人は自動車を降り、小高い丘をそろそろと登って行った。
菩提樹に近づくにつれ、倒れている人の様子が、はっきりと見えてきた。
顔は、大きな麦わら帽子が覆いかぶさっているため確認できないが、水色のジャケットと
ブルーのジーンズ、そしてバスケットシューズの恰好で、その側には二本の帯で傘をしばり付けて
ある大きなトランクが置いてあった。
トランクにはなぜかスケボーが挟まれて固定されていた。

2016/8/21 07:03  [1498-4767]   

「ふむ、これらを分析すると、被害者は十代中頃。旅行中に行き倒れたか、あるいは何者かに
殺害された…ただし荷物が荒らされていないところをみると、強盗目的の犯行ではない…か」
ブラウザは私立探偵きどりで、まだ生えてもいない顎ひげをいじるそぶりをした。
「それって…見たまんまじゃないですか…」
ランダムは、顔をこわばらせながらも、つっこみを入れずにはいられなかった。

「やかましい! いちいちつっこむんじゃねーよ! とにかく念のため脈を…」
ブラウザが倒れている人の手首を持とうとした、その時であった!
二人にとって、かつてない戦慄が走ったのである。
「ぶぇっきし!!」
突然、目の前の死体が、ビクッと痙攣し、顔を覆っていた麦わら帽子が数センチも浮き上がるほどの、
すさまじいくしゃみを発した。
「わあっ!?」
二人は、余りにも突然すぎた出来事に奇声を上げ、同時に腰が抜けて、その場に尻餅をついた。
「う〜さむー。やばい! 寝すぎちゃったわ。早くちゃんとした寝床を見つけないと陽が
暮れちゃう…って、あら?」

麦わら帽子を取ったその顔は、紛れもなく女の子であった。
しかし、ランダムとブラウザにとっては、その事よりも、動かないはずの死体がいきなり活動を
はじめたという目の前の事実だけに目を丸くしていた。
「…誰、あなたたち、もしかしてチカン?」
はっ、と自我を取り戻したランダムは、ようやく喋ることができた。
「ち…違う、きみは麦わら帽子で顔を覆っていたから女の子だと判らなかったんだ。それに、
てっきり死んでいるとばかり思っていたから…」

それを聞いて、少女は憤慨した。
「なによ、顔だけで性別を判断するなんて、失礼な人ね。このナイスバディで判断しなさいよ」
「ナイスバディ? …いや、そんなことより何で君はこんな所で寝ていたんだい?」
「そうだぜ。ゾンビなら墓場で蘇りやがれ!」
呆然としていたブラウザも、ようやく我に返ってすかさず話の腰を折った。
少女は自分のプロポーションを〔そんなこと〕と一蹴され、ショックのあまり目眩を覚えた。

「むー。本当に失礼しちゃうわね。あたしは、歩くのに疲れたからこの木陰で一休みしてただけよ。
そしたら、いつの間にか熟睡しちゃって…」
生真面目なランダムがその続きをフォローした。
「気がついたらこんな時間になってしまった、という訳か」
少女は「うん」と頷いた。

「仕方ねーな、車の荷台に乗れよゾンビ。とりあえずマーストリヒトの街まで運んでやるから」
ブラウザは彼女の事情を察し、オンボロ自動車を顎で指した。
「やったラッキィー!!」
彼女は途端に元気な笑顔になった。
今までの不機嫌面は演技だったとしか思えないような転換の速さだ。

少女は立ち上がって荷物のトランクを持ち、かるく束ねたブロンドの髪を背中になびかせると、
夕陽の逆光によってキラキラときらめいた。
「えへ。ありがとう、助かったー。あたし、スプライト・エディタ。見ての通り、一人旅をしてるの。
よろしくー」
スカイブルーの瞳の少女、スプライトは麦わら帽子を被るとランダムに微笑んでみせた。

「俺はランダム・シェイド。車に乗っているあの人は、同じ工場で働く先輩でブラウザ・ニードルさんだ。
俺の方は呼び捨てで構わないよ」
「うん。あたしもスプライトって呼んで」
そう言うと、スプライトはブラウザを睨み付けた。
「言っておくけど、あたしゾンビじゃないからね!! ねえ、わかった?」
ブラウザは視線を逸らしながら呟いた。
「ゾンビじゃなければ、口の減らないオバタリアンだな・・・」

このあたりの日の入りは遅く、夜の七時を過ぎても夕陽は輝き続けていた。
この上なく顔を腫らしたブラウザの運転するバンは、スプライトとランダムをせせこましく
後部の荷台に乗せて、ひたすら真っすぐに、マーストリヒトの街を目指して疾駆していた。

荷台の鉄板の上にじかに座る二人は、激しい振動の中で楽しく会話をも弾ませていた。
「スプライト、きみはどこの国の人なんだ?」
「えーとね、あたしはアルメニア人でありシリア人でもあるけど国籍はインド人なんだよ」
「はぁ?」
 ランダムは彼女の言っている意味が分からず眉をしかめた。彼女にとっては事実であるが、
事情を知らない人にとってはまるで不可解な説明だ。

スプライトは、あまり立ち入らない程度に自分の過去を話した。
しかしこの平和な田園風景の中で中東の内戦が云々とは雰囲気的になかなか言えるものではなかった。
まして初対面の人前でそんな凄惨な過去をいきなり暴露するのもナンセンスだ。
物心がついたときには既に養子になってインドで暮らしていた、といった程度の趣旨を説明した。

それでもランダムは哀れみの目でスプライトを見たが、彼女は笑ってそれを制した。
「気にしないで。肉親を知らないことは不幸かもしれないけど、後ろめたく生きる必要なんて、
これっぽっちもないはずでしょ。この旅だって今の家庭が嫌いになったから飛び出してきた訳じゃないわ。
むしろ今の家庭に居続けたいからだったんだよ」

「そうなのか…」
ランダムはそう言って、改めてスプライトの顔を見た。
先刻までは、ただの旅行好きの能天気な女の子としか見ていなかったが、話を聞くうちに
彼女のその笑顔の裏には相当の葛藤があったのだろうと感じていた。
自分も、そうであったように。

2016/8/21 07:17  [1498-4768]   

「それにしても、インドから陸路でここまでよく一人で旅して来れたもんだな。俺には想像も
できないよ。冬はどうやって旅していたんだ?」
ランダムは尊敬の眼差しでスプライトを見たが、彼女は手を振ってそれを否定した。

「あはは、実は旅を始めた直後からベネツィアまでは、旅の途中で知り合った中年のオジサンと
一緒に旅をしてたんだ。一人だったら絶対死んでたわ。間違いなくね。イタリアからは一人で
旅をしていたんだけどすぐに冬になっちゃったの。あたし南国育ちでろくな防寒具を持って
いなかったから、とてもじゃないけど野宿なんてできなかったわ。だからスイスではビザが不要な
三か月間ずーっとサース・フェーの街外れのペンションで住み込みのアルバイトをしていたんだ。
雪を見るのも生まれて初めてだったから毎日がびっくりの連続だったわ。二メートルもの長さの
氷柱なんて見たことある? すごいよねー。スノーボードも何度かやったけど、スケボー感覚で
滑れるからすぐに覚えられたわ。夏はスケボー、冬はスノボーっていう人が結構たくさんいて
楽しかった。でも嫌なこともあったわ。スイスって物価が目茶苦茶高いのよ。たかが卵ひとつの
値段にしてもインドじゃ露店でチャイが十杯以上は飲める値段なのよ。あ、チャイっていうのは
ミルクティーの事ね。スイスの卵はブロイラーのものじゃないから高価なんだって聞いたけど、
そんなのインドじゃ当たり前のことだしもっと安く買えるわ。当たり前のことを当たり前にやって
どうして値段が高くなるのかしら。不思議よねー。でもそのかわりスイスのワインってとっても
美味しかった。飲み口がいいから気付くと足腰が立たなくなって記憶も…」

ランダムが唖然として自分を見ている。スプライトははっと我に返った。
調子にのって聞かれてもいない事を得意気にベラベラ喋っていた自分に気付いた彼女は、突然言葉を
失い真っ赤になって俯いた。
ランダムはそんな彼女を見て堰を切ったように高笑いした。
「はははは!! スプライト、きみ面白いよ。勝手に早口で話しはじめたと思ったら、あるとき突然
恥じらって黙りこくるんだもんな」
「だって…久しぶりの英語だから舞い上がっちゃって…インドでは観光客を相手に英会話も
勉強してた時期があったから結構得意なんだ。ランダムはこの国の人なの?」

ランダムは少し考えてから話した。
「ま、ね。今向かっているマースの街に住んでるんだ。あ、マースっていうのはマーストリヒトの略ね。
ネーデルランドっていうと、風車とチューリップのあるのどかな田園風景みたいなイメージが
あるらしいけど、マースは違うぜ。ベルギーとドイツに囲まれた街だから、それぞれの国の文化が
融合したハイブリッド・シティーなんだぜ」
「…ふうん。なんだかランダムって観光名所のガイドさんみたいね」
スプライトはくすくすと笑う。
ランダムはそれを見て、少々照れながら話した。
「はは、故郷でもあるマースの街は、俺の誇りだからな。旅をしている君に、少しでも知って
もらいたいのさ。ちなみにブラウザ先輩はドイツ人で、子供の頃アーヘンという街からこっちへ
引っ越してきた人なんだ。ネーデルランドは、過去二度の大戦で何度もドイツにやられたから、
ドイツと聞くとあまりいい顔をしない人が多いけど、マースにそんな人はいないよ。
何処の国の人も笑顔で迎え入れてくれるいい街さ」

宗教が違うだけでいがみ合うどこぞの国とは決定的に違う。スプライトは彼の話を聞いて、
そう思わずにはいられなかった。
「ねぇランダム、もっとマーストリヒトの事を聞かせてよ」

彼女の持つ感性が街の雰囲気にマッチしたのか、スプライトは俄然マースの街に興味を持った。
それに応えるようにランダムはマーストリヒトの過去の歴史を話した。特に、〔三銃士〕という
有名な物語の主人公ダルタニアンがマースの街の城壁で最期を遂げた、という伝説はスプライトに
深く印象付けた。
「ダルタニアンって実在の人物だったの? あたし、幼い頃に三銃士の絵本を読んだことがあるけど、
まさか実話だったとは知らなかったわ」
「ははは、物語自体はかなり脚色されてるから、実話とは言いにくいけどね。あとは、最近の話だけど
欧州の統一通貨ユーロが制定された所でもあるんだ。今でこそヨーロッパの通貨は統一されているけど、
以前は国毎に別々の通貨単位だったんだ。それをヨーロッパ各国の首脳がマースに集結して、
現在のような統一された単位にしようと公式に制定したんだ。いわゆるマーストリヒト条約って
いうんだけどね。今、ヨーロッパは国家同士がひとつに統一されようとしているんだ。
その先陣を切った条約がその、マーストリヒト条約なんだぜ。」

「それは素敵だわ。統一された国家であれば国家間の紛争の火種がなくなるから、少なくとも
平和になりそうなイメージがあるもんね。ま、一口に統一っていっても言語とか様々な諸問題も
あるんだろうけど、国同志が統一国家を目指すことは本当に素晴らしいことだわ。そういえば、
確かにイタリアからは入国手続きもすごく簡単になったわね。西アジアや中東では入国するのに
いちいちビザを取らなくちゃいけなかったけど、イタリアからは三ヵ月間はビザ不要の国ばかり
だったわ。そういった意味でも、平和なところに来たんだっていう実感が沸くわねー」
スプライトはしみじみと語った。

彼女の旅の最終目的地であるアムステルダムまであと十日ほどで到着しそうな現在、彼女は
自分のゴールに向かって着実に進んでいることを実感していた。

夕陽が草原を黄金色に輝かせている、そんな幻想的な風景に思いを馳せる彼女は次の瞬間に
待ち受ける事件など想像すらしていなかった。

べふ!!

突然、三人を乗せて走る車から気の抜けるような轟音が発生し、十数メートルほど慣性走行した後、
運転するブラウザの意思に反して完全にエンジンが停止した。

2016/8/22 07:20  [1498-4769]   

民家の全く無い、果てまで続く野原の一本道のど真ん中。
辺りには、小鳥がさえずりながら急いで自分らの巣へ戻ろうと、通りすぎていくのが見えた他には、
動くものは何一つ無かった。
停止したオンボロ車に乗っている三人も例外ではなかった。
三人とも突然の出来事によって、石のように固まり、呆然としていた。

「な…なにごと…!?」
スプライトが呟いた事をきっかけに、開いたまま一時停止していた一同の口が、堰を切ったように
暴走を始めた。
「先輩! 何をしたんですか、車止まっちゃったじゃないですか!?」
「知らねーよ、俺は普通に運転していただけだぜ。勝手に止まりやがったんだよ!」
「うそー、壊しちゃったの?」
「違う!〔壊した〕のではなく〔壊れた〕って言ってるんだ、ゾンビは黙ってろ!!」
「ゾンビ言うなぁ!!」
「とにかく急いで原因を調べないと陽が暮れちゃいますよ!」
「わかってる。ランダム、工具貸せ」
「え、俺工具なんて持ってないっスよ。家か工場にはあるけど…」
「っかやろー! この業界で働く人間が、命の次に大切な工具を携帯してなくてどーすんだ!?」
「す、すみません…」
「なによ偉そうに、自分だって工具なんて持っていないじゃないよ!」
「バカにすんな! ちゃんと持ってるぜ、ほれ」
「何それ、この車の車載工具じゃないの。あってあたりまえの工具を見せびらかして、
何自慢ぶっこいてんのよっ!」
「ぬうう、なんて汚い言葉づかいしやがるんだ、このゾン…」
ゾンビ、と言う前にランダムが口を挟んだ。
「とにかく、それで故障の原因を調べてみましょう」
「…そうだな」

ようやく三人は冷静さを取り戻した。
「むう、とりあえずエンジン周辺の配線をチェックしてみよう。ランダム、手伝ってくれ」
「はいっ」
最初のうちは、エンジンのオーバーヒートだろうと高をくくっていたが、エンジンをしばらく風に
当てて冷やしてもまったく動かなかったため、ランダムとブラウザは本格的に焦りはじめた。
二人はボンネット内部のあちこちをいじってみたが、ついにエンジンはプスンとも云わないまま
太陽は西の彼方へ沈んでしまった。
辺りは、夜と呼ぶにはまだ多少は明るいが、真っ暗になるのは時間の問題であった。
「なんてこったー、さっぱり原因がわかんねー!!」
「だめだ…お手上げっすね、こりゃ…」
ブラウザとランダムは、ついに根をあげてしまい、草むらで二人同時に大の字に寝転がってしまった。

「全然直らない?」
荷台で心配そうに二人を見守っていたスプライトが、車を降りて寄ってきた。
「ああ。陽が暮れる前に街に着くと思っていたんだけど、ごめんなスプライト。街までは車で
20分くらいだけど、ここからは歩いて行くしかないよ」
スプライトは得意気な笑顔で腕をまくってみせた。
「大丈夫、あたしにまかせて。ブラウザさん、あたしに車をちょっといじらせてくださいな」
「あ、ああ…」

よし、とスプライトは薄地の革手袋を両手に着け、車の運転席の下を覗き込んでごそごそと配線を
いじりはじめた。
ランダムは立ち上がり、作業をしている彼女の脇へ歩いた。
「スプライト、きみ車なんて直せるのか?」
彼女は手を休めず、作業しながらランダムに答えた。
「あたし、中東を一緒に旅したオジサンから機械の修理を教わったんだ。インドや中東は自動車の
事故や故障が多いから毎日旅をしながらトラブった車を修理して稼いでいたんだよ。
あ、ランダム、ライトあったらここを照らしてもらえるかしら?」
ランダムは、自分のバッグからマグライトを取り出し、スプライトの手先を照らした。

「逞しいんだな、女の子なのにメカに強いなんてさ。一人旅をしている事ですら、俺には
真似できないってのに」
「旅なんて誰にでもできるんだよ。よく一人旅はハイリスク・ハイリターンだとかいわれてるけど、
旅立てば絶対後悔なんてしないよ…あ、これだわ。セル・モーターに繋がる配線が焼き切れてる。
ヒューズも飛んでるわ。これじゃエンジンが始動しないはずだよ」

スプライトは手持ちの工具と車載工具を駆使して配線を修繕した。
ヒューズも予備と交換して一通り修理は完了した。
イグニッションを回すと、今までプスンとも動かなかったエンジンが甲高い咆哮をあげて蘇った。
ランダムとブラウザは歓喜の声を上げた。
「すごい、やるなあスプライト!!」
「うおお、すげえ! 本当に俺たちよりメカに詳しいんだな」
ブラウザは外に突き出ているスプライトのお尻を撫で褒めた。
「ひッ!?」
ばらした配線を整理していたスプライトは反射的に頭を上げると、コンソールに後頭部を景気よくぶつけた。

強打した頭を押さえながらはい出てくると、彼女は痛みのせいかお尻を触られた悔しさのせいか
涙をぼろぼろ流していた。
「なにすんのよエッチ! コブができちゃったじゃないよっ、このド変態!」
彼女は、叫ぶと同時にブラウザの股間を力任せに思いっきり蹴り上げた。
「ほが…ッ!?」
急所を蹴られたブラウザは、声にならない雄叫びを挙げてその場をのたうち回った。
マトリクスから教わるまでもない、最も単純かつ効果の高い護身術だ。
「な…なんてことしやがる…人が褒めてやってんのに…」
「やかましい! お尻触りながら褒めるのがあんたの褒め方なら、まったく逆効果ね。
せっかく直した車、部品単位にバラすわよっ!?」
「おー、やれるもんならやってみやがれ、そんときはお前の命をバラしてやるぜ!」
「なんですってぇ!? ヒトがせっかく親切で修理してあげたのに、そんな言い方するわけ!?」
「へっ、小さな親切大きなお世話だよ!!」
「ひっどーい、あたしのお尻を触っといてよくそんなことが言えるわね!?」
「それとこれとは関係ねぇだろボケ!!」
「ボケとはなによボケとは!!」
ランダムは、とりとめのない二人の口喧嘩をよそに、荷台に腰掛けたまま一人ため息を吐いていた。
「ふー…今日も日が暮れたか…」

2016/8/27 08:05  [1498-4780]   

三人を乗せた車がマーストリヒトの街に到着したときには、辺りは完全に夜になっており、
屋根のない荷台に乗っているランダムとスプライトは、車に積んであった毛布を掛けて寒さを凌いでいた。

「スプライト、今日は泊まる所ないんだろ。俺の家に泊まっていきなよ」
少し頬を赤らめてランダムは言った。それは年頃の女の子を誘っている照れとは微妙に違う、
どこか人に言いづらい依頼をしたいような表情だった。
「…あたし、今日の寝床に困っているのは事実だけど、知らない男の子の家で安心して泊まれるほど
無神経じゃないわ。親切で言ってくれたのでしょうけど、ごめんなさい」
スプライトが道理を言うと、ランダムは自分の不行状を反省し、しばらくの間沈黙した。
しかし彼はそれで引き下がるわけにはいかなかった。

「確かに…出会って間もないのに信用してくれとは言えない。でも、どうしても君の助けが必要なんだ。頼むよ」
「どういうこと? 事情を説明してよ」
「…実は、バイクの組立を手伝ってほしいんだ。俺、バイクが欲しいんだけど金がなくてさ、
働いている解体工場からバラバラになったバイクの部品をもらってきたのはよかったんだけど、
自力で組み立てる技術がなくて…ブラウザ先輩の助けを借りても無理だったんだ。
でも、君の手助けがあればなんとかなるんじゃないかって…そう思ったんだ。
俺の、バイクの組立に協力してほしい。頼む。お願いします!」
ランダムは両手を合わせてスプライトに頭を下げた。

ランダムの表情は嘘偽りのない真剣そのものだった。
「そんな事言われたって…」
スプライトは、アムステルダムを目前に足止めされるのは心外だった。それが正直な気持ちだった。
ゴールを目の前にして少々気持ちが高ぶり、焦っていたのかもしれない。しかしランダムの直向きな
態度を邪険にするような辛辣さは彼女にはなかった。

………これって、あたしがマトリクスさんに助けを求めたときと一緒だ。
そう思った瞬間から、自分の知識や技術が彼の助けになるならできるだけ協力したい、
と能動的になっていた。
「…ごはんとベッドを提供してくれるんなら…まぁ、いっか」
「もちろんさ!!」
ランダムは便悦した。スプライトもまた、少々の懸念を抱きつつも食事とベッドを保証されたことに
内心はバラ色だった。

車は街の中心を流れる運河、マース川に架かる幅約百メートルの橋の上を走っていた。
「わぁ、遠くに見える橋のガス灯が、水面に反射してきれい…」
バイクの組立ならほんの二〜三日あればなんとかなるだろうし、このマーストリヒトの街に
短期間でも滞在できるのは悪い気分ではない。そう思った。
「そろそろ街の中心部だ、降りる準備をしよう」
ブラウザは、橋を渡ってすぐの交差点で車を停めた。
ランダムとスプライトは荷台から降り、運転席へ駆け寄った。
「それじゃ先輩、彼女は俺の家で泊めていきますので」
「おう。バイクの修理、しっかりな。俺も明後日の午後お前の家に遊びにいくから、それまでに
完成させておけよ」
「了解です」

「それとスプライト」
「…うん?」
ブラウザはギヤを入れ、エンジンを吹かした。
「ランダムを襲うなよ!」
そう言うとブラウザはタイヤを鳴らし、ドップラー効果付きの高笑いを辺りに響かせながら
彼方へ去っていった。
「ばっ…このゲロ野郎! 立場が思いっきり逆だろー!?」
スプライトが絶叫しても彼女の怒りは辺りの建物にこだまするだけだった。
彼女の横で、荷物の入ったズタ袋を肩に担いだランダムがボソリと呟いた。
「口悪いねきみ…」
「あら、聞こえちゃったかしら? まぁ、わたくしとした事が、ウフフフフ?」
「いまさら猫なで声になっても遅いよ」
「ごろニャおぅん?」
「俺帰る」
「うわー、待ってよ!」
スプライトは、あわてて荷物のトランクを持って、先に歩くランダムに向かって駆けていった。

商店街を外れ、民家の密集した裏路地の先にランダムの家はあった。
自動車が2台ほど入りそうな大きさの二階建てのガレージ、ランダムは鍵を開けてそのシャッターを
引き上げ、電灯のスイッチを入れた。
「ここが俺の家だ。遠慮しないで入ってくれよ」
明かりに照らされたガレージのコンクリートの床面には、バラバラになったモーターサイクルの
部品と、使い古された工具が一面に散らばっていた。

機械油の匂いがスプライトの鼻をつんと刺激したが、彼女は構わず中に入って近くの部品を
手に取って眺めた。
「ふうん、これを組み立てようっていうのね?」
「ああ、そうさ。でも作業は明日からにしよう。きみだって疲れているだろう、今日はメシ食って
寝るだけにしようさ」
「ぐぎょろろろおおぉぉぉ〜」
メシ、と聞いてスプライトの腹の虫がガレージ中に音を響かせた。
彼女は少し恥じらいながらも、持っていた部品を放り投げて大喜びした。
「やったー、ごはんごはん! 三日間何も食べていないから拒食症になるところだっ
たわ。くぅ〜、うれし〜っ!!」
「二階へ上がって来なよ。大したものは作れないけどさ」
ランダムは、奥にある鉄製の螺旋階段を登りながらスプライトを手招きした。
「うんっ!」

二階の明かりを付けると、そこは彼のプライベートルームになっていた。
一階のガレージと同じ広さの部屋の中央に、ソファーとテーブル、窓際にはシングルベッドと
洋服ダンス、奥にキッチンと冷蔵庫。
キッチンの隣にはトイレとシャワーのドアが見えた。
「ふーん、予想どおりって言っちゃ悪いけど、質素な部屋ねぇ」
「まぁな。一人暮らしだから、これだけで充分なんだ。さ、ソファーにでも腰掛けて
待っててくれよ。すぐにメシつくるからさ」
「うん」
ランダムは荷物を置いてキッチンへ行き、ポットに火をかけた。

2016/8/27 08:20  [1498-4781]   

「おまたせ。さあ、食べようぜ」
ランダムは夕食を載せたトレーをテーブルの上に置いた。
コッペパン、茹でたソーセージ、オニオンスープ、スライスチーズ、そしてセロリがたっぷり入ったサラダ。
「いただきまーす!!」
スプライトは、心から幸せそうな顔をしながら、さっそくちぎったコッペパンにチーズを挟んで口に入れた。
それからはもう無我夢中だった。

食後のコーヒーに砂糖を入れ、スプライトはようやく一息ついた。
「そういや、あたしランダムの事を何も知らないわ。だいたい、家族はいないの?」
ランダムは、マグカップを口に運ぼうとした手を止め、カップをテーブルに置いた。
「家族は…」
「離婚でもしたの?」
スプライトは遠慮のかけらもなくズバッと聞いた。
悪気のない無邪気な表情を見て、ランダムは苦笑した。
「ま…ね」
ランダムは、やるせない過去を他人にできるだけ悟られたくなかったし語りたくもなかった。
しかし彼女の過去が自分のそれと似た部分もあり、何より本人がそれを衒いもなく話して
くれたことから、自分も過去を彼女に話すことにした。

幼い頃から両親の仲が悪く、一年前ついに離婚してそれぞれの母国へ帰っていったこと。
そして一人でこの街で暮らす決意をしたこと。

ただし、不良時代の自分のことは決して語らなかった。
マーケットで万引きした事やドラッグをしていた事など、気軽に他人に話せるはずもない。
「…そうだったんだ…ごめんなさいランダム。あたしの住むインドでは離婚なんて
まずあり得なかったから、あたしにとって非現実的な別世界のことだって思って…冗談の
つもりだったんだ。本当にごめんなさい…」
スプライトは彼の心の傷に土足で踏み込んだような暴言をひどく反省した。
しかしながら、両親と別れたという点について自分と同じ苦悩の道を歩んだ彼に、スプライトは
人並みならぬ共有感を抱いていた。

スプライトの困惑した表情に、ランダムもまた困惑してしまった。
「あああ…いいんだいいんだ、気にしないでくれ。そんな顔をされたほうがかえって困ってしまうよ」
「…うん。あなたがそう言うなら」
スプライトは気を取り直し、ケロッと笑顔に戻った。

「さて、後片付けをしなきゃな。スプライトはもう寝るかい、それともシャワーでも浴びてからにするかい?」
スプライトは、シャワーと聞いておもむろに自分の服に鼻を近づけた。
「あたし…もしかして、匂ってる?」
スプライトが恥ずかしそうに聞くので、ランダムはあわててフォローした。
「そんなことは全然ないよ。でも、匂ってからじゃ遅いだろ、シャワーは浴びれるうちに
浴びたほうがいいよ」
「そうね。じゃ、バスルーム借りるわね。鍵はかかるよね」
「覗きゃしないって。鍵もちゃんと付いてるから安心して入んな」
「…うん」
スプライトは力ない返事をして、トランクを丸ごと持ってバスルームに入っていった。

ランダムは台所のラジオを付け、蛇口をひねった。
「やれやれ、感受性が強いのか情緒不安定なのか、コロコロ表情が変わる娘だなぁ」
ブツブツと呟きつつ、慣れた手つきで皿やコップを洗い、瞬く間に夕食の後片付けは終わらせ、
明日の朝食の下ごしらえをも涼しい顔でやり遂げた。
ランダムがソファーに座って、瓶のコーラを飲んで休んでいると、スプライトが首にタオルを下げ、
Tシャツとショートパンツ姿でため息混じりにバスルームから出てきた。

ランダムは、彼女の恰好に顔を赤らめながらも、冷静なそぶりをした。
「コーラ飲みたければ、冷蔵庫にあるから好きに飲んでいいよ。じゃ、俺もシャワー浴びてくるから」
そう言うとランダムは急ぎ足でタオルと着替えを持ちバスルームに入っていった。
「…男の子の家に安全に泊まるってのは、ほんと、難しいわ…」
部屋に一人残されたスプライトは冷蔵庫からコーラを取り出し、栓を抜いてベッドに座った。
そして炭酸を逃がすように瓶を軽く振りながら、少しずつ飲んだ。
「ん〜、冷たーい。でも欲をいえばビールが飲みたいな…ヒック!!」
火照った体に冷たい炭酸飲料を流し込んだためスプライトはしゃっくりをした。

その瞬間、スプライトの意識はフッと吹き飛んだ。
スイスからの長旅の疲労、そしてランダムに対する警戒と緊張が開放されたのだ。
スプライトはコーラの瓶を床に落としベッドに倒れ込んでしまった。

2016/8/27 23:22  [1498-4782]   

第七話 命の絆


朝の光とともに二人は朝食を食べていた。
スプライトは昨晩の醜態に狼狽しつつも、ハムを挟んだチーズパンにかぶりついた。
「ランダム、昨日はごめんね。コーラ飲んだ瞬間に記憶がぶっ飛んじゃって、気付いたら
今朝になってたの。毛布かけてくれてありがとね」
ランダムはマーマレード・ジャムを塗ったパンを食べながら微笑した。
「はは、気にすんなよ。俺の方から無理いって泊まってもらっているんだから。ただその…
薄着で寝るなよ。朝方なんて特に冷えるんだから」
「うん。気をつけるよ」
スプライトは彼の真意を汲み取りつつ返事をした。ランダムの忠告は毎日野宿している彼女にとっては
愚問だった。
要するに目の毒だからという意図を伝えたかったのだ。

食事の後片付けを済ませると、二人は一階のガレージに下りて早速バイクの組立準備に
取りかかった。
バイクの原型も想像できないほどバラバラに分解された各部品。
改めて見渡すと、確かに半端な技術では組立は不可能だと思えた。
なにしろ再組立など考慮せずに解体したものだ。
パーツごとに番号をふるような洒落た真似をするはずもない。
どの部品がどの配線に繋がりどこに組み込めばいいのか、一見では全く見当がつかない。
スプライト自信、付け焼き刃のような技術であり、完璧に動くバイクに仕上がるか自信はなかった。

「うーん。とにかくやってみましょ。判るところから順番に手をつけていけばそのうち形になるよ」
二人は手分けして作業に取りかかった。
スプライトはエンジンの組み立てを、ランダムはスプライトの指示でハンドル部分の組み立てをやった。

黙々と作業をするランダムを横目で見ながら、スプライトは一年前の事を思い出していた。
………マトリクスさんと出会った当時、あたしもあんな感じだったかな…
 何かを求める手段として必要な技術を学ぶこと。彼女の場合は旅をするために稼ぐ手段を
マトリクスから学ぼうと必死に働いていた。

「ねぇランダム、バイクを組み立てたらあなたは何をするつもりなの?」
ランダムは手を休めずに答えた。
「ツーリングをするんだよ」
「ツーリング? バイクで旅をするの?」
「そうさ。バイクは風を感じ、風とともに走れるんだ。まあ、毎朝の通勤にも使う目的もあるけどね。
週末にヨーロッパ各地のいろんな風景を見て過ごせると思うと今から楽しみだよ」
「なるほど、ウイークエンド・ツーリングという訳ね。素敵じゃない! あたしなんて
故郷の島から大陸まで丸一日もかかるんだから、旅行をしようとすると大変な騒ぎになっちゃうんだ。
カジュアルな旅なんて羨ましいわ」

ランダムは照れながら頭を掻いた。
「俺もきみと一緒さ。俺は滅多にこのマースの街から出ないから他の街のことをあまり知らないんだ。
でもバイクがあればどんな街でもひとっとびで行けそうな気分にさせてくれるから、
旅に出る勇気が沸いてくるんだよな」
………なんか、あたしと似てる。
島を離れて大陸を旅したいと思っていた自分。彼もまた同じような想いを抱いていたのだ。
自分の知らない世界へ行きたい、という願望は万国共通のものなのだろうか。
スプライトは彼の願いを支援したい、と思いレンチを持つ手に力を入れた。

スプライトは、ミスティオをはじめ島の友達や観光客から貰った旅立ちの勇気をランダムにも
伝えてあげたかった。
旅自体はかなり暴挙だった気はするが、少なくともやってきてよかったと思えるのだから。

「そうだスプライト、きみはアムステルダムを目指しているんだろ? だったらこのバイクで
送っていくよ。そうすりゃ一日たらずで着くぜ。勤めてる工場だって連絡すれば休めるんだ、
遠慮することないぜ」
ランダムは得意気に拳を見せたが、スプライトは首を横に振った。
「せっかくだけど遠慮するわ。だってせっかく憧れのネーデルランドに来たんだもん、
ゆっくり歩きながら行きたいわ。昨日は夕方まで寝過ごしたせいであなたやブラウザさんの
好意に甘えて自動車に乗せてもらったけど、あたしは徒歩旅行が基本なんだ。
自分の足で旅をするって、ベネツィアでオジサンと別れたあと自分にそう誓ってここまで来たんだ」

ランダムはそれを聞くと手を止めて俯いた。
強い娘だ、と思った。肉親と死に別れ、養子として生きてきた人はもっと落ち込み、人生に
悲観的になっていそうなものだが、彼女はまるで違う。
その不幸を踏み台にして更に前向きになろうとしている想いがひしひしと感じられる。
「一人旅って、いろんな意味で自分を強くさせるんだな」
「そうかなぁ。でもあなただって強いと思うわ。だって両親が離婚したときに独り立ちを決意して
この生活を始めたんでしょう。あたしの今の両親が離婚するなんていったら、多分あたしは
悲しみと絶望で何もできないと思うわ」

独り暮らしを始めてから辛いことだらけだった。
しかし自分はそれから逃げることしかできなかった。
ランダムはそれを考えると自分が強い人間だとは決して思えなかった。
旅をするにしても、バイクがなければできないという固定観念があり、自分の足でやろうとは
全く思わなかった。
それを平気な顔で実践している彼女は、ランダムにとって理解不能な存在だった。
今思うと、昨日彼女を意地を張ってまで家に招待した理由は、機械修理の技術よりも旅に対する
前向きな姿勢、もしくは家族という観点で悲運を背負っている者の、同じ匂いに惹かれから
だったのかもしれなかった。

「そもそもきみはアムスへ行って何をするつもりなんだ?」
スプライトは〔よくぞ聞いてくれました〕とばかりに微笑んだ。
「飾り窓とコーヒーショップっていう所へ行くの。すごい素敵な所だって聞いたんだ。ランダム知ってる?」
ランダムは目眩がしてコンクリートの壁に思い切り頭をぶつけた。

2016/8/27 23:29  [1498-4783]   

マーストリヒトの市街地にて

「か…飾り窓? コーヒーショップ? まさかそこへ行くためにインドから来たわけじゃないだろうな?」
「アムスは自由を求める人が集まる街だって聞いたの。その人々はアムスへ来たら必ず行く所が
飾り窓とコーヒーショップだって言っていたからね!」
自信満々に答えるスプライトを見てランダムはますます目眩を覚えた。
「(聞くんじゃなかった…)」

多分、ここで飾り窓とコーヒーショップの本当の意味を教えたら彼女はものすごいショックを
受けることになるだろう。
それを考えるとランダムは話す勇気が出せず、別の話題に振ってしまった。

それからは楽しい話題が次々と飛び出し、会話が途切れることはなかった。
作業も思いのほか順調に進み、気付くと夕方になっていた。
「ありゃ、もうこんな時間だ。夕飯の買い出しに行かなきゃな。スプライトも一緒に行こう」
「うん!」
二人は手を洗って表に出た。

市街地の一角にあるスーパーマーケットでランダムが野菜を吟味していると、スプライトは
調味料の売り場で何かとにらめっこしていた。
「…何してる、スプライト?」
「このお店、いろんな香辛料が売られているんだね」
「香辛料? スパイスのことか?」
「ねえランダム、今日の晩ごはんはあたしに作らせて。インドのおいしいカレーを御馳走したいの。
ね、いいでしょ?」
「そりゃ願ったり叶ったりさ、遠慮なく御馳走になるよ。うまいやつを作ってくれよな」
「OK、あたしにまかせて! でも支払いはまかせた!!」
「ホゲー」

食材を揃え、ランダムの家に戻るとスプライトは早速調理にかかった。
カレーを作るには少し時間がかかるというので、ランダムは一階のガレージで明かりを点けて
バイクの組み立て作業を続けた。
「インド育ちなのにヨーロッパ系の面立ちなんだもんな。髪の毛もブロンドだし。ほんと、
不可思議な娘だよな…」

しばらくすると二階から食欲を刺激するスパイシーな匂いが漂ってきた。
それに誘われるようにランダムが二階に上がると、丁度スプライトがカレーを器に盛りつけて
いたところだった。
カレーとヨーグルト、そして円盤状の薄い食べ物がテーブルに乗せられていた。

「おまちどー、今できたとこだよ。さぁ食べよー♪」
ランダムはテーブルに腰掛けると、改めてその香りに舌鼓を打った。
「うおお、美味そう!! このクレープみたいなものに乗せて食べるのか?」
「そうよ。チャパティといって小麦粉で作るインドの主食なの。カレーはアールー・キーマカレーと
いってジャガイモと挽き肉のカレーだよ。さ、あったかいうちに食べてみて」

ランダムはチャパティをちぎると、それにカレーを乗せて食べた。
「うん…うん…いける、美味い、美味い…って…うぐふううう!!」
ランダムは突然口を抑えてのけぞった。
「うおお、いきなり辛さが効いてきた!! ぐわ、メチャクチャ辛い!! 口が痛い!!」
「あら、ほんと? いつもより辛さを抑えたつもりだったんだけど…ごめんネ♪」
ランダムが油汗びっしょりで食べているのに対し、スプライトはしれっとした表情でぱくぱく食べていた。

食後にスプライトはインドでお馴染みの飲み物であるチャイを入れた。
「ぐわー、甘い!! なんだこれ!?」
「何って…チャイだよ。ショウガと砂糖を効かせたミルクティ」
「極端なんだよ辛さと甘さの差が!!」
「そうかしら。インドじゃこれが当たり前なんだけどなー」
ランダムの乱り顔をよそにスプライトは美味しそうにチャイを飲み干した。

ランダムの口にインド料理が合わないのは少し残念だったが、彼女にとってカレーを作る
本当の目的は別にあったので気落ちすることはなかった。

それから二人は眠くなるまでお互いの国の文化の違いを語り合った。
気候、物価、服装、食物、宗教など、話せば話すほどあらゆる分野でインドとネーデルランドは
異なる国であった。
もちろんそれは二人それぞれの個人的主観だけで説明しあっているだけだが、遠く離れた国の
人間同志がお互いの文化を認め合い、わかりあえること、喜びあえることが二人には
たまらなく幸せであった。

ただしランダムはインドの食文化だけは理解できなかったようだが…。

2016/8/28 21:31  [1498-4787]   

次の日、二人は再びバイクの組み立て作業に取りかかった。
「よし。エンジンは一応組み上がったし、組み立ての目処はたったわ。うまくいけば今日中に
出来上がるんじゃないかな」
「ほんとか? よーし、がんばろうぜ!!」
ランダムは俄然はりきってレンチを握った。

昨晩の続きの世間話に花を咲かせながら淡々と作業をしていると、ガレージの前を通りかかった
二人の子供が組み立て中のバイクに興味を示して寄ってきた。
「ランダム兄ちゃん、何作ってるんだよ?」
「あたしたちにも手伝わせてよ!」
ランダムは笑顔で彼らを迎え入れた。
「まったくヒマなやつらだな。いいぜ、一緒にやろう。スプライト、こいつら近所の顔見知りの
子供でアナーロとディジーっていうんだ。なんか…簡単な作業させてやれないかな」
スプライトは「OK」と快く返事をして腰を上げた。

「あたしはスプライト。遠い国から旅をしてきたんだ。よろしくね」
そう言うと彼女は二人にそれぞれ穴の開いた円盤状の部品と鉄のブラシを手渡した。
「これはブレーキ・ディスクっていうんだけど、これにこびりついたサビを鉄ブラシ
で落としてほしいんだ。できるかしら?」
「この円盤をピカピカに研けばいいんだろ。まかしとけ、やろうぜディジー!!」
「うん!!」
子供は喜んで頷いた。ランダムとスプライトは手袋を二人に与えてやり、再び作業を再開した。

四人でべらべらと話をしながら作業をしていると、今度はランダムの中学校時代の同級生の少年、
プレクサとヴェンダがガレージにやって来た。
「ようランダム、なんだよ女の子とバイク作ってんのか?」
「へぇ、彼女かわいいじゃん」
彼らがスプライトの顔をじろじろと眺めると、彼女は愛想よく笑ってみせた。
「んふ、ありがと。あたしスプライトです。あなたたちも手伝ってくれる?」
「別にいいけど…なあランダム、この娘機械いじりできるのかよ?」

プレクサとヴェンダはスプライトが積極的に場を仕切って作業している姿が不思議に見えた。
ランダムはニヒルに片笑みを浮かべて説明した。
「スプライトは俺やお前らよりもバイクや車の修理に詳しいんだ。一昨日だって、
ブラウザ先輩ですらわからなかった車の修理を見事にやってみせたんだぜ」
「へえ、そんな華奢な体でよくやるなぁ」
「でもエンジンとか重いものはあたしやランダムだけじゃとても持てそうにないの。あなたたちは
逞しそうだし、手伝ってくれるととっても助かるわ」
スプライトはひ弱そうに体をくねらせた。それを見せられたプレクサとヴェンダは
「よし、力仕事ならまかせろ」と腕をまくり、鼻息を荒くさせて手伝いはじめた。

ランダムは呆れ顔でスプライトに耳打ちした。
「なに非力を装ってんだよ」
「失礼ね、非力なのは事実なのよ。力のいる作業で手伝ってもらいたい所はたくさんあるんだから、
人手は多いほど早く完成するでしょ」
ランダムは彼女がプレクサとヴェンダに色気を振りまいたことが気に入らなかった。
誰にでも愛想よく振る舞う彼女にとっては、自分も彼らと同等の扱いをされているだけだったのか、
と憂慮したのだ。
それは単純に嫉妬という感情だということは気づくこともなかった。

ともかく、この狭いガレージの中で六名が狭苦しく作業することになった。
取り留めない世間話に話が盛り上がる一方、バイクもみるみる形になってきた。
エンジン、ラジエータ、フォーク、マフラーをフレームに次々と取り付けていき、午後すぎには
完成しそうな勢いで作業は急ピッチで捗っていた。

スプライトは作業が一段落したところを見計らって、二階でみんなのためにお菓子を作り、
螺旋階段を下りてきた。
「みんなお疲れさま。インドのお菓子のサマーサを作ったんだ、一休みしよ!」
スプライトはお菓子をのせた皿とチャイの入ったマグカップをそれぞれに手渡した。
スパイシーな香りのするポテトフライのようなもの、一同は恐る恐る口にした。

「美味い!!」
全員が感嘆した。
特にランダムは昨晩の檄辛カレーと檄甘ミルクティの一件で彼女の作るインド料理は絶対舌に
合わないとの懸念を抱いていたが、このサマーサのおかげでそれは一掃された。
スプライトもみんなの笑顔を見て嬉しくなった。
「口に合ってよかった。そのサマーサは昨晩作ったカレーで余ったジャガイモと香辛料を混ぜて
小麦粉の皮で揚げたんだ。チャイもランダムの好みに合わせて甘さをうんと控えてみたんだ。
名付けてチャイ・ヨーロピアンテイストだよ」
「なるほど。俺たちはポテトフライにマヨネーズを付けて食べるのが当たり前だったけど、
こういうスパイシーな味付けも悪くないな」
ランダムは満悦して彼女の手料理を平らげた。
「でもアナーロ君とディジーちゃんのはうんと甘くしてあるんだ。それが本来のチャイの味なんだけど、
美味しいでしょ」
「うん、とっても甘くてクリーミー!!」
子供たちも大満足だった。

「ちょっと待て。スプライト、お前今ランダムに〔昨日作ったカレー〕とか〔ランダムの好みに合わせて〕
とかって言ったな。それどういう事? まさかランダムの家に寝泊まりしているんじゃねぇだろうな?」
ヴェンダの鋭いつっこみ。スプライトは〔やばい〕と思いつつも涼しい顔で答えた。
「あたしは街の安いゲストハウスに泊まっているのよ。でもそこでは夕食が出ないし、レストランは
高くつくからランダムの家で彼の夕食も作る条件で自分の夕食を作っていたの。
そんな…見ず知らずの男性の家で泊まれるほどあたしははしたない女じゃないよ」
「なんだ、そうか。そうだよな。よかった」
ヴェンダとプレクサは納得した。

しかしスプライトはそう言いつつも改めて罪悪感を感じていた。
間違いは無かったとはいえ、確かに端から見ればはしたない女なのかもしれない、と。
それはランダムも同じだった。
彼女を自分の家に引き込んだために彼女を困らせてしまった、と。

2016/8/28 21:41  [1498-4788]   

ランダムとスプライトは微妙に気まずい雰囲気のまま再び作業を開始した。

二時間もすると、バイクはほぼ組み立て終わり、あとは配線や調整などの細かい作業を残すだけとなった。
手伝ってくれた四人はやることもなくなり、夕方に実施する走行試験を見に来る、と言い残して帰っていった。

「スプライト、ここまでやってくれれば充分だ。残った作業は全部自分でできるから、
きみはこの街の散策でもしてきなよ。ほとんど街に出掛けてなかったんだから羽をのばして
遊んできな」
「うん。じゃ、そうする。夕方前には戻るから。空気圧の調整、忘れないでね」
スプライトはそう言うと通りに出て歩いた。

気まずい状態のまま二人きりで作業はできなかった。
スプライトは気持ちの整理をつけるためにも一人になりたかったのでちょうどよい機会だった。

ローマ軍駐屯地になって以来の長い歴史を持つマーストリヒトの街は、その中世ヨーロッパ時代を
忍ばせる史跡が多い。
教会を中心とした多くの建造物。緑に囲まれた城壁跡。
街の中心をゆっくり流れるマース川に架かるレンガ作りの橋。

そんな風景を見ながら街をぐるりと一回りした後、スプライトは街外れの小さな丘に登った。
〔セント・ペーターズベルグの砦〕と呼ばれるその丘からはマースの街は一望できる、この町の名所であった。

スプライトは砦跡の城壁に腰を下ろすと、マース川から流れてくる微風に目を細めた。
「あやー、気持ちいい〜。さてさて、バイクもほとんど完成したし、明日にはまた出発しなきゃね」
髪をかきあげると、スプライトは表情を曇らせてぼそりと呟いた。
「ランダムとも明朝にはお別れなんだ…」

スプライトはできることならランダムと一緒にアムステルダムへ行きたかった。
だがバイクにタンデムして行こう、という彼の誘いを断ったことを後悔していたわけではない。
ただ、もう少し一緒にいれる時間が欲しかった。
〔家族〕を失ってしまった悲しみが彼をどれだけ苦しめたか、傷つけたか、スプライトには分かっていた。
状況がどうあれ、子供として親を想う気持ちは自分と同じだ。

スプライトはランダムが心から好きだった。
それは恋愛としてではなく、人間としての信愛だった。
だから、もっと多くの話をしてランダムを勇気付けたかった。
しかし明日は月曜日。
ファールスの解体工場で働くランダムに対し無理を言うことも、自分が待つこともできない。
「どうしようも…ないよね。マトリクスさんとだって同じだったじゃない。旅をしていれば
いつか別れるんだ」
スプライトは自分自身に言い聞かせた。

………今の自分が選んだ道に、未来の自分を後悔させない勇気を持つことが大切。

スプライトはミスティオから教えてもらったこの言葉を心の中で繰り返した。
「旅先からランダムに手紙を書こう。んで、インドに帰ったら文通しようっと!!」
そう心に決めるとスプライトは立ち上がった。
「さ、帰ろ。なんだか雲行きが怪しいわ。ガレージに戻るまで降らなきゃいいけど」

スプライトは足早に丘を下り、ランダムの家へ向かった。そこで起きる大事件も知らずに…。

2016/8/30 22:48  [1498-4795]   

ランダムの家のガレージから、ウオンウオンとけたたましいバイクのエンジン音が響いていた。
路地を歩いてきたスプライトは、バイクが完成してランダムがエンジンを吹かしたものだと思っていた。
「ランダムったら、バイクが完成したのがよっぽど嬉しいのね。でもいきなりあんなに吹かしたら
エンジンが壊れちゃうわ」

スプライトがガレージに向かって駆けだした瞬間だった。
エンジン音が一際甲高く吠え、いきなりガレージから出てきてスプライトの目の前を通り過ぎた。
運転している人間はヘルメットを被っていないため、一瞬とはいえ容易に認識できた。
明らかにランダムでなく、別の見知らぬ男だ。
「ちょっ…!? 何!? 誰!?」

スプライトは訳がわからず、とにかくガレージに戻った。
「ランダム…きゃ!?」
バイクの排気ガスで騒然としたガレージの隅、ランダムは額から血を流し隅でぐったりとしていた。
スプライトが駆け寄ると彼は意識が戻り、大慌てで彼女の肩を掴んだ。
「バイクを…盗まれた! スプライト…」
「なんですって!? ランダム、あなた大丈夫なの? 額から血が…手当てを!!」
「俺は大丈夫だ。でも…バイクが…!!」
炯々たる眼光とスプライトの肩を掴む力が、痛いくらいに彼の憤怒を物語っていた。

スプライトは一刻を争う事態に即断し「取り返す!!」と力強く叫んだ。
そして二階へ上がって自分の荷物からスケボーとジャンプ傘を持ち出し、再びガレージの外へ出て
駆けだした。
「スプライト…やめろ、危険だ…!!」
ランダムの忠告も耳に入らず、頭に血が登ったスプライトは走り去っていった。

ランダムは力を振り絞って起き上がり、片目にかかった血を拭った。
「くそ、いやな予感がする…止めなければ!」
大通りに出たスプライトはバイクの行方を見失った。
車通りの激しいここからでは甲高いあのエンジン音を聞き分けることもできない。

「ん・・? これは・・・!」
スプライトはアスファルトの路面にバイクから漏れたと思われるオイルの跡を見つけた。
「しまった…オイル漏れだ。早く整備し直さないとエンジンブローするわ!!」
皮肉にも整備不足がバイクの足取りを追える結果となった。
スプライトはスケボーに飛び乗り、オイルの跡が続く方向へ疾走するオープンタイプの
スポーツカーの後部バンパーにジャンプ傘の柄を引っ掛けた。
彼女の腕に、引きちぎれんばかりの凄まじい衝撃が走る。
苦痛に顔を歪めながらもスプライトは急激な加速にスケボーのバランスをコントロールした。

妙な衝撃を車体に感じた運転手の男がルームミラーで後部を見ると、見知らぬ少女が自動車の
後部にしがみついている。
男はびっくりして振り向いた。
「ばっ…なにやってんだアンタ!?」
スプライトは大声を張り上げた。
「お願い、スピードを上げてこのまま直進して!! 切実なの!!」
男は訳もわからないままスプライトの迫力に押され、言われるままアクセルを踏み込んだ。

スプライトの怒りは頂点に達していた。
バイクを盗んだ犯人が心底憎かった。
自分が手塩にかけて組み立てたバイクを、しかもランダムに怪我を負わせてまで横取りするなど、
許せるはずがなかった。
「はっ!!」
と、気付くと前に続くはずのオイルの痕跡が目の前に迫る交差点で右に曲がっている。
………しまった、このスピードでは曲がりきれない!!

スプライトはとっさに傘の柄を車から放した。
スピードを維持しつつジャンプし、宙に浮いたスケボーを両足に挟むと傘の柄を
歩道のガス灯の柱に引っ掛けた。
傘の柄を支点に遠心力がかかり、彼女の慣性はグルッと直角に右折。
そしてスケボーで着地すると同時に別の自動車に傘を引っ掛け、追跡を再開した。

それを見ていた歩行者はあまりに瞬間的な出来事だったため、我が目を疑っていた。
なにしろどんな乗り物でも不可能な進入スピードでカーブを曲がっていったのだ。
確かに見事な機転であったが、無茶苦茶なコーナリングをしたためスプライトの両手は激痛に襲われていた。
脱臼しなかったのが彼女自身でも不思議であった。

彼女の執念が実ったのか、盗まれたバイクの甲高いエンジン音が彼方から微かに聞こえてきた。
「追いついた! もう逃がさない!!」

2016/8/31 21:38  [1498-4797]   

スプライトが必死の追跡を展開している頃、ランダムの家にブラウザが遊びに来ていた。

ランダムはガレージにはいなかったためブラウザは螺旋階段を登って二階に上がった。
「なんだ、二階にも誰もいねぇのか。バイクがないところを見ると二人でどこか走らせに
行ったんだな…。それにしても、なんだこのスパイシーな香りは…?」

ブラウザは仕方なく表に出て自分の車に乗り、大通りに出た。
するとすぐにランダムが息せき切って走っている姿を見つけた。
「おう、ランダム。こんなとこでなにやってんだよ、スプライトはどうした?」
ブラウザの声に振り向くランダム。
その顔は額からの流血で真っ赤に染まっていた。
「な、なんだお前血が出てんじゃねぇか!?」
ブラウザの心配をよそにランダムは車の助手席に乗り込んだ。
「先輩、大急ぎで車を出して! スプライトが盗まれたバイクを追って行ったんです。
前に続いているオイル漏れの跡を追って下さい!!」

マース川に掛かる橋。
それを爆音とともに渡るバイク、その直後にスプライトが捕まっている車が接近していた。
ようやく声が届く距離に近づいたところでスプライトは大声で叫んだ。

「止まれ、今すぐ止まりなさい!! そのバイクはオーバーホールしたばかりな上オイルが漏れて
エンジンブロー寸前なのよ!!」
バイクを駆る男はスプライトを見ると、スケボーだけで追跡しているその姿に我が目を疑った。
しかしもっと慌てたのはスプライトの方だった。
微かに見覚えのある顔、いつどこで出会ったのかすら彼女は忘れていたが、確かに以前出会った
ことのある男だった。
「あ、あなた…誰だっけ…!?」
「へっ!! そんなスケボーで追いつけるかよ、ウヒャヒャ!!」
男はスプライトの疑問も知らずにアクセルをぶん回して加速した。
「あっ! 加速しちゃだめだ!!」

スプライトは車の全面にまわり、片足でバンパーを思い切り蹴って加速した。
「止まれって…」目一杯手を延ばし、傘の柄をバイクの後部ウインカーに引っ掛けた。
「言ってるでしょーが!!」
ようやくバイクを捕らえることができたのも束の間、スプライトの全身はバイクのマフラーから
吹き出される黒煙の排気ガスとエンジンから滴るオイルにまみれた。
「うわ…!!」

無数の信号無視を強行した挙げ句、バイクは買い物客で賑わう駅前通りの市場の真っ只中を爆走した。
衣類、野菜、パン、チーズ、魚や雑貨を片っ端から目茶苦茶にはねのけ、多くの主婦が集まる
午後の優雅な買い物市場は、一瞬のうちに阿鼻叫喚のスラムと化した。
それでもスプライトは、デッキブラシに顔面を強打されようが飛んできたキャベツに
ボディブローを食らおうが傘を持つ手を放しはしなかった。
「と、止まれ〜っ!!」

ランダムを乗せて必死に追跡するブラウザの車は、ちょうどマース川を渡っている最中だった。
「くそ、嫌な予感が静まらない…。無事でいてくれ、スプライト…」
「ランダムお前、バイクを盗んだやつの事、知っているのか?」
ブラウザの問いに、ランダムは静かに頷いた。
「ウィリス・バーグ…俺が以前よくマリファナを買っていたドラッグの売人です。俺が
買わなくなったから直接家までやってきて売りにきたんですが、俺が〔ドラッグはやめた〕と
断ったら急に怒りだして…挙げ句にドイツへ行く足に、とバイクを奪っていったんです」
「スプライトはその事を知っているのか?」
「まさか。俺が…ドラッグをしていた事すら彼女は知りませんよ!」
「へっ…そいつはどうかな…」
ブラウザはアクセルを乱暴に踏んだ。

2016/9/2 23:56  [1498-4798]   

バイクは騒然とした駅前通りを抜け、ロケットのような銀色の巨大なドームの博物館が
彼方に見える一本道を爆走していた。
「思い出した!! あなたウィリスっていう名前の人だ。間違いない、インドの島でアムスの情報を
教えてくれた人だ!!」

男はギクリとしてバイクにしがみついているオイルまみれのスプライトの顔を眺めた。
「お前…インドのドラッグを仕入れたついでに行った諸島の、あのオイル塗りのガキか…!?
なんでこんな所に?」
「あたしはあなたが教えてくれたアムスへ行こうとここまで来たのよ! ウィリスさん、
一度しか言わないからよく聞いて。いますぐバイクを止めて返してくれたらあなたの犯した罪は
とがめないし、警察にも言わないわ。自由にしてあげる。だから早くバイクを止めて!!」

ウィリスは「フン」と鼻で笑った。「お前に俺の自由を左右する権利なんか…」
アクセルを開け、ぐんとスピードを上げた。「ねえんだよッ!!」
ウィリスは片足でスプライトの頭を何度も蹴った。
ろくに反撃も防御もできないスプライトはウィリスのなすがままとなった。
「やめて…痛!! やめてよ!!」
「ウヒャヒャヒャ! オイル塗りのガキはどこへ行ってもオイルまみれだな!! さっさと
その手を放しやがれ!!」

スプライトは完全に怒り心頭に発し、柳眉を逆立てた。
「もう…絶対許さない!!」前向きの全体重をスケボーにかけ、それをバネにして思いきり
オーリーし「このぉーっ!!」空中で傘を振り上げた。

「ガキが…」ウィリスは悪魔のような形相で懐に手を入れた。
「イキがってんじゃねーよ!!」
渾身の力で振り下ろした傘がウィリスの脳天に直撃する、一瞬前だった。

 ダァン!!

彼の手に握られた拳銃がスプライトに向けられて乾いた銃声を発した。
スプライトのジャケットの腕に付けられたアルミプレートが火花を散らす。
スプライトの視界は真っ白になった。

拳銃から吐き出された空の薬莢が、波ひとつない水面に落ちる水滴のように、静かに
アスファルトの地面に高音を響かせた。
次の瞬間、彼女のスケボーは空中で真っ二つに割れ、スプライトは力を失って地面に叩きつけられた。

その道の先をウィリスは、罪の意識もなく冷静に走り抜けた。
「ウヒャヒャ!!」
次の瞬間、彼は予期せぬ事態に陥った。
バキィン!! という凄まじい轟音とともにバイクの後輪がロックし、制御不能に陥った。
「ヒャ…!?」
ウィリスの抵抗むなしくバイクは無残にも転倒し、彼も地面に叩きつけられた。
周辺にはバイクのエンジンからの焼け焦げた匂いが黒煙とともに立ち込めた。

スプライトの予感通り、エンジンをオーバーホール仕立てでいきなり慣らし運転もせず
高速回転で走行したためエンジン内部に過大な負荷がかかり、文字通り破壊させてしまったのだ。
エンジンオイルを漏らしながら走行した事も原因の大きなひとつ。
エンジン内部を潤滑させるオイルが、最後にはほとんど空の状態で走行していたため
こうなってしまう事は当然の結果であった。

静寂に包まれた辺りにポツポツと雨が降り始め、稲光とともに本降りになった。
間もなくランダム達がスプライトの倒れている現場に到着した。
ランダムは車から飛び下りると青ざめた顔でスプライトの側に駆け寄った。
「スプライト!! しっかりしろ、大丈夫かおい!?」

泥にまみれたスプライトは意識もなくぐったりとしていた。
「ウソだろ…呼吸も…脈も…冗談だろ!?」
致命傷となる外傷は見当たらないのに、彼女の生命活動は停止していた。
「ブラウザ先輩、はやく医者に連絡を!!」
「お、おう!」
ブラウザは目の前の街の博物館へ走った。
「スプライト…どうしよう、俺のせいで…俺がバイクの修理なんて頼まなければ…こんなことに
ならずに済んだんだ…!!」
ランダムは大粒の涙をこぼしながら、ぼろ雑巾のようになったスプライトのジャケットを脱がし、
胸の中心部を掌で体重をかけて心臓マッサージした。
「頼む…生き返ってくれ…スプライト…頼む!!」

ランダムの祈りは虚しく青空に響くだけであった。
心臓マッサージや人工呼吸を何度繰り返しても、自発呼吸や血液循環は回復せず彼女は
ピクリとも動かなかった。

どしゃぶりの雨の中、半狂乱になりながらランダムは心肺蘇生法を繰り返していた。
「スプライト…死ぬな!! 目を開けろォーッ!!」

2016/9/3 00:02  [1498-4799]   


………ここは、どこだろう。

やけに意識がはっきりしている。
真っ白の空間の中で身動きがとれないまま、自分は誰かに抱かれていた。

………あたし、死んだの?

自分を抱いている女性にそう問いかけると、彼女は優しく微笑んだ。
その女性は自分にそっくりの大人の女性だった。

………お…お母さん…お母さんなの?

その隣に、優しそうに自分の頭を撫でてくれる男性がいた。
始めて見る人なのに、懐かしい香りがする男の人。

………お父さん…あたしのお父さん? ねえ、答えてよ。返事してよ!!

声は届かない。
男は前を向いて喋った。
「この娘の名前は、スプライト・エディタ。取り囲む全ての人に笑顔を召喚する、幸せの妖精だ」
続いて自分を抱いている女性が前を向いて喋った。
「数日の間、申し訳ありませんがこの子をよろしくお願いします」
二人の前にジョージアとラクティアが現れた。
「ええ。責任を持ってお預かりします、エリミネートさん、スキャナさん」
「スプライトちゃん、初めまして〜。いい子でちゅね〜。これから生まれる私達の赤ちゃんとも仲良くしてね」
エリミネートとスキャナは自分をフロート婦人に預けると霧に包まれるように消えていった。

………待って、お父さん!! お母さん!! 行っちゃいやだ、帰ってきてよ!!

二人が完全に消えた瞬間、ダァンダァンとけたたましい銃声が止めどなく鳴り響いた。

………やめて、やめてよ!! この音…大嫌い!!

この銃声が、自分の両親の命を奪ったものだと思うと心が張り裂けんばかりになる。
しかし銃声は止むこともなく続き、更に空からの爆撃音が痛いほど耳に響く。

………やめて…やめて…やめて!!

銃声と爆撃音の中、ラクティアの悲鳴が聞こえた。
「いやあああぁあ! 私の赤ちゃん…赤ちゃんが…!!」

………やめて…こんなの、もういやぁ!!

銃声が止み、しばらく沈黙が走る。
ふと、目の前にげっそりとやせ細り生気を失ったラクティアが立っていた。
その手にはナイフがきらめいている。
「この娘が…憎い!! 私の娘が死んだというのに、なぜ他人の娘が私の目の前で生きていなければ
ならないの!? この娘が…この娘が死ぬべきなんだわ!!」
錯乱したラクティアはナイフを振り上げた。

………お母さん…!?

ラクティアはしばらく動かなかった。
いや、動けなかったように見えた。
ナイフを持つ手が小刻みに震えている。
「うう…ううう…っ」
ラクティアはその場に泣き崩れた。
「私は…私には…できない…。この娘の運命を引きちぎることが…この無邪気な笑顔の全てを
無にすることが…あまりに残酷すぎて…うう…これが運命の悪戯だとしたら…あまりに酷い…
酷すぎるわ…神様…!!」
ラクティアは泣き叫んだ。

………セラのお母さん…あたしのお母さん…泣かないで…。

ジョージアは自分を抱いて言った。
「この子、スプライトを私達で…育てよう。それが私達の責任だ」
毅然とした態度で立ち上がったラクティアは微笑んで首を横に振った。
その瞳はもはや信念に輝き満ちていた。
「そんな…責任とか義務などという事務的な言葉は嫌ですわ。私達の…生き甲斐…でしょう、あなた?」
ジョージアは満面の笑みでラクティアを抱きしめた。
「ラクティア…きみは最高の女性だ。これからスプライトが大人になるまで、本人とウィリーに
重大な秘密を作ってしまうことになる。辛いだろうが…」
「覚悟の上です。私、この子がフロートの姓を誇りに想ってくれるように、一生懸命がんばりますわ!」

………あたし、幸せだよ。お父さんとお母さんとお兄ちゃんと暮らせること、心から幸せだよ…

「幸せに、私達の小さな妖精」
エリミネートとスキャナが微笑む。
「幸せに、スプライト」
見知らぬ女性が微笑む。今まで会ったこともないはずなのに、不思議と知っている気がする優しい婦人。
「負けないように、泣かないように、元気で頑張るんだぞ」
ジョージアとラクティアが微笑む。
周りの人を笑顔にさせる幸せの妖精という名。エリミネートとスキャナから授かった命の絆。
それを紡いで大切に育ててくれた人々。
「あなたの進む道に、神の御加護があらんことを」
シンプソンとシスターが微笑む。
遙かな時を越えて両親の記憶を託してくれた、生まれ故郷の聖人。
「これからは一人の旅人同士だ。いいな!?」
マトリクスがニヤリと笑う。
自分の独り立ちを見守ってくれた、旅の恩師。
その全てが、眩い光の中へ消えていった。

………ありがとう。命を生んでくれて、守ってくれて、育ててくれて、ありがとう。

頬に一筋の涙が流れ、雫となって小さな波紋を作った。

2016/9/3 12:03  [1498-4800]   


ネルゲン診療所の病室によく似た天井。
自分を呼ぶ声に薄目を開けると、周りから大歓声がわいた。
「い…生き返ったぁーっ!! スプライトが、生き返ったぁーっ!!」
「バカ者ども、静かにせんか!!」
白衣を着た白髭の老人がみんなを制した。
ベッドに横たわるスプライトを取り囲む、マーストリヒトで知り合った全ての友達。
アナーロ、ディジー、ヴェンダ、プレクサ、ブラウザ、そして頭に包帯を巻いたランダムがそこにいた。

「ワシはディジーの祖父、イノベイト。医者じゃ。そしてここはワシの医院の病室じゃ。
スプライトさんとやら、気分はどうかね?」
イノべイトが髭を弄りながらスプライトに問いかけると、彼女は窓の外の雨上がりの夕陽を
眺めながらゆっくりと口を開いた。
「あたし…どうしたの…?」
「四、五時間ほど昏睡状態じゃったがの、もう大丈夫じゃな」
「あたし、ウィリスに撃たれて…それで…」
「弾丸はあんたのジャケットを掠めただけだったようじゃな。両手を多少傷めていたが、
目立った外傷は擦り傷程度だけじゃ」
「そう…」と呟くとスプライトははっとした。
「そうだ! バイクは…ウィリスは…?」

ブラウザが説明した。
「バイクは…スプライトが倒れていた先で…壊れてた。エンジンがグシャグシャになっていたし、
フロントフォークがねじ曲がっていたから、修理は…まず無理だ。乗っていたウィリスは
その近くでのたうち回っていたから、とりあえず二、三発殴って警察に引き渡したぜ。
麻薬絡みの相当の犯罪者だったらしく、アムステルダムで指名手配されていた奴だったらしい」

スプライトは溜め息をついた。
「そう…バイク、壊れちゃったんだ…」
「へっ、お前まで壊れていたぜ。なんたって心臓が停止していたんだからな」
「え? あたし…死んでたの?」
「…まあ、俺は信じてたぜ。お前はゾンビ女だから殺しても死なないってな」
ブラウザは頭を掻きながら言った。
照れ隠しが下手なのはマトリクスなみだ。
「もうっ、ブラウザさんったら…」
イノベイトは優しい口調でランダムを指した。
「ワシが現場へ駆けつけるまでランダム君が適切な心肺蘇生法を行っていたため、助かったんじゃよ。
あのまま呼吸と脈が停止したまま放っていたら、長時間脳に血液が循環しなかったため
一命は取り留めていたとしても記憶障害や…下手をしたら脳死になっていた可能性が高かったじゃろう」
「ランダムが…」

今まで口を閉ざしていたランダムがスプライトの枕元に歩み寄った。
しかしその表情は爆発寸前の火山のように険しい。
以前腕をケガしたときに駆けつけた兄のそれとそっくりだった。

「この…この大バカ野郎!! あんなにボロボロになるまで、死ぬまでバイクを追いかけるやつが
どこにいる!? ここに集まったみんながどれだけ心配したのか、わかっているのかよ!?」
ランダムは大声を張り上げた。
その瞳にはあふれんばかりの涙が夕陽を反射している。
スプライトは彼を正視できず、ベッドのシーツを頭まで覆った。
「ごめんなさい…ランダム…怒らないで…」

頭に血が上って蛮声をあげるランダムをイノベイトが制した。
「落ちつくんじゃランダム君。とにかく今から彼女を診察をしなければならん」
イノベイトがそう言うと、孫娘のディジーがみんなを部屋から押し出した。
「ほら、男どもは出てった出てった!!」

2016/9/3 23:33  [1498-4801]   

病室を追い出されたランダム達は溜め息まじりに部屋の脇の椅子に腰掛けた。
「ランダム兄ちゃん、どうしてお姉ちゃんにあんなひどい事を言ったんだよ?」
アナーロがランダムを睨んだ。
「そうだぜ。らしくねぇじゃねーか、ランダム」
ブラウザがそう言うと、ランダムは悔しさのあまり頭を抑えた。
「分かってます…彼女が目覚めたときは、まっさきに優しい言葉をかけようと思っていたのに、
言葉が出なかった…何て言ったらいいのかわからなかったんです…」

プレクサがランダムの前に立った。
「バカだな。スプライトはな、お前の事が好きなんだぜ。お前のためを想ってバイクを追いかけたんだろ」
「俺のため…? 違うよ、彼女が俺のどこが好きだっていうんだ。機械の知識、旅に対する認識、
生まれや育ちだって俺は何一つあの娘に好かれる要素を持っていない」
ランダムが吐き出すように言うと、ブラウザは呆れて肩をすくめた。
「そんなもん、ここにいる誰だって知らねえよ。ただ、お前の家で作ったカレーの意味だけは分かるぜ」
「カレー? あれがナンだっていうんですか?」

ブラウザはゆっくりとタバコに火を付け、ひとつ煙をふいた。
「匂いだよ。お前の部屋に微かに染みついたあの匂いをスパイスで消そうとしていたんだよ、彼女はな。
きっと両親と別れたお前の心の傷を誰よりも理解して、その苦しみや悲しみの呪縛を必死に
解き放とうと考えていたんじゃねぇかな。その意味、お前ならわかるよな」
「あ…」
ランダムははっとした。両親と別れたのは、彼女も一緒だ。孤児だった彼女も同じような悲しみを
抱いて生きてきたことは、もはや疑う余地もない。
「好かれる要素がなくても、共有できる事実はあるんじゃねぇか」
ランダムは下を向いて黙ったまま微かに頷いた。
椅子に座った少年たちは、それから誰も口を開こうとしなかった…。

「あたし…なんか夢を見ていたような気がする…」
病室のベッドの上、上半身裸で聴診されながらスプライトは呟いた。
「見たこともない景色や聞いたこともない音が、あたしの心の中を巡ったんだ…」
イノベイトは聴診器を外し、スプライトの眼球を検査しながら語った。
「人は死に直面したとき、いままで生きてきた思い出が走馬灯のように意識の中を巡るという。
じゃが、それは全て自分の中の記憶なんじゃよ。覚えているはずのない出来事も、脳の奥底に
眠って通常じゃどんな事をしても蘇ることのない思い出すら、身体の危機に直面したときには
洗い出されるように人間の脳は出来ておる。でなければ生と死の狭間で、天国へ行った人と
対面したのかもしれん…医学的根拠は乏しいがの。いずれにせよ、もしその夢を覚えているなら、
あんたは幸運の持ち主じゃな」
スプライトは舌を検査されながら天井を眺めた。
「ほとんど忘れちゃった…でも本当の両親の顔は微かに覚えてるわ。どうしてだろう…
赤ん坊のときに死に別れたから、絶対覚えているはずないのに…」
「お前さんは銃で撃たれたショックで心臓麻痺を起こしたようじゃが…赤ん坊の頃、
同様に銃声などが原因で記憶に刻まれるほどのショックがあったんじゃないかね?」
「あ…」

確かに。
生まれたばかりの時、シリア国政府とムスリム同胞団による内戦でいやというほど銃声は
聞いているはずだ。
そのためウィリスに撃たれたことがきっかけとなってあの頃の記憶が蘇ったのかもしれない。
「銃のトリガーは…記憶のトリガーでもあったんだ…」
スプライトはぼそりと呟いた。
「うまいね、お姉ちゃん」
ディジーが冷めた目をして言うと、スプライトは顔を赤らめて叫んだ。
「ばっ…茶化すんじゃないわよ!!」
「あはは、怒った怒った〜」

一通り診察を終えたイノベイトは、微笑しながらスプライトに乾いたTシャツを手渡した。
「その元気があれば何も心配はいらんわい。まったくもって、丈夫な娘じゃ」
「ご親切に…ありがとうございました、イノベイトさん」
スプライトに礼を言われるとイノベイトは照れ笑いをしてみせた。
「ふぉふぉふぉ。まぁ、若いうちは限界を知らないからこそ、無茶ができる。その無茶の中で
得られた思い出は、一生の宝物じゃ。今までの思い出はもちろんじゃが、これから作ろうとする思い出は
もっと大切にするんじゃぞ」
「うん!!」

スプライトはにっこりと微笑んでみせた。

2016/9/4 07:34  [1498-4803]   

イノべイトとディジーが病室から出てくると、部屋の外で待ちわびていた少年たちは次々と立ち上がった。
スプライトは、と少年たちが聞くよりも先にイノベイトはブラウザの頭をげんこつで殴った。
「バカ者が! 病院内でタバコなど吸いおって!! ノースモーキングの張り紙が読めんのか!?」
憤慨するイノベイトに、すみません、もうしません、とブラウザは平謝りするほかなかった。

「あの…」
不安げにランダムがイノベイトに近づいた。
イノベイトは微笑んでランダムの肩をぽん、と叩いた。
「ドアの向こうの彼女がきみと話をしたい、と言っておる。行ってあげなさい」
「は、はい」
イノベイトはそう言うと、再び鬼のような形相でブラウザを睨み付けた。
未成年の喫煙の健康に及ぼす影響を延々とブラウザに説教するイノベイトを背中に、ランダムは
おそるおそる病室のドアを開けた。

質素な病室の中。病棟衣を着てベッドに腰掛けていたスプライトは、彼に優しく微笑みを見せた。
「スプライト…その、さっきはごめん。自分でも何を言っているのかわからなくて、思っても
いないことを…」
「いいのよ、全然気にしてないから。それよりあなたの頭の怪我は大丈夫なの?」
「ああ、こんなのかすり傷だ。どうってことないよ」
「そう、よかったわ」

スプライトは部屋の隅に無造作に置かれた、二つに割れたスケボーを指した。
ランダムはそれを手に取るとスプライトに手渡した。
「スケボー…壊れちゃったね。このスケボーは島のお父さんが学会発表でミラノへ行ったときの
おみやげで、あたしの宝物だったんだ。旅の間もいつも一緒で、あたしの心の支えになって
くれてたんだけど、最後にはあたしの楯になってくれたんだね。でも、不思議と全然悲しく
ないんだ。故郷のシリアであたしが探していた自分の真実は、自分の記憶の中にあったんだって
分かったからね。それが分かっただけであたしは旅をして、あなたと出会えて、よかったって思ってるの」
「スプライト、俺にもわかるように説明してくれ。何を言ってるのかわからないよ」

ランダムの狼狽をよそにスプライトは話を続けた。
「んふ。いいの、独り言だよ。あたしね、自分で出来ることと出来ないことがまだ区別できない
子供だけど、いつも体当たりでぶつかってきたんだ。今回ばかりはちょっとやばかったけど、
あたしにとってはそれだけの価値があったんだ。あなたの力になりたい…そう思って作った
バイクを、横から出てきてかっさらったウィリスが許せなかった」
「バカだな。それが命を賭けるほどのものかどうか、区別くらいつくだろう?」

「ううん、それだけじゃないんだ。ウィリスはあたしがインドにいた頃、あたしに
アムステルダムという都市の情報を教えてくれた人だったんだ。アムスはこの世でいちばん
自由という言葉が似合う都市だってね。あたしは彼の情報をきっかけに旅立ちを決意したんだよ。
その恩人ともいうべき人があんな人だったから、余計に許せなかった。いつも心に想い描いていた、
自由なる都市の姿…寝てるときだって何度も見たんだ。そこで暮らす人、立ち寄った人みんなが
自由で、そして幸せになれる都市の夢を…。そんなあたしの旅の夢の源が…あんな人からの
情報だったなんて…何のためにここまで来たのか、何を求めてアムスへ行けばいいのか…
わからなくなって…やるせなくなって…」
スプライトの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちる。ランダムに見せる初めての弱音だった。
「それが原因で逆上し、あんなに無茶をしたのか…。まったくきみってやつは…」

「…ねえランダム。あたし怖い…アムステルダムって、本当に…」
「行けばわかる。でも自由な都市であることは間違いないんだ。アムスに到着したとき、
きみならきっとその意味がわかるはずだよ。俺には想像もつかないような長い距離をきみは
歩いてきたんだ。それだけでも大きな価値があったんだぜ。でも、ゴールを目の前にして
怖じ気づいちゃダメだ! それこそ今までやってきた意味がなくなってしまうだろ」

ランダムの熱弁にスプライトは生気を戻した。
「うん…そうだね。その通りだわ。ウィリスに決着をつけたなら、自分にも決着をつけなければ
ならないんだ! ありがとう、ランダム!!」

2016/9/4 12:17  [1498-4804]   

ランダムは唇を噛んで決心を固めた。
「俺の方こそ、ありがとう。昨晩のカレーの意味、わかったよ。俺も、もっともっとがんばって
前に進まなきゃだめなんだ。バイクが壊れてちょうどよかったよ。何かに頼っていたら俺は
いつまでたっても前に進めないんだ」
スプライトは無言で涙を拭って満面に笑みを浮かべた。

「へへ…お互い知らないところでウィリスに関係していたんだな。でも、そのおかげで俺たちは
出会えたのかもしれないんだよな。へへ…」
「ふふ、そうだね。ヘンテコな部分であたし達は糸が繋がっていたんだ。まったく皮肉なものだね。
あはははは…!!」
二人は緊張が解けたのか、廊下まで聞こえるほど大きな笑い声を響かせた。

そしてランダムは次の瞬間、ベッドに腰掛けたスプライトを胸中に抱き寄せた。
「ヘンテコな糸でいい。俺…スプライトと繋がった糸を断ち切りたくない…!! きみと一緒に旅がしたい…!!」

スプライトは彼の突然の行為に驚きながらも、目を細めて話した。
「ん…あたしも…本音はあなたと同じ気持ちだよ。でも…あたしはランダムとこれ以上一緒にいたら、
絶対甘えてしまう…弱くなってしまうんだ」
そう言うとスプライトはランダムを突き放し、顔を見せないように俯いた。
「あたしは…自分でも信じられないくらい、嫌な人間なんだ…。あたしの故郷の島、
キングデラ島にはあたしと同年代の友達はみんなインド人なんだ。あたしだけブロンドの髪の、
欧州系の人種なんだ。そのせいでクラスメートから特別な視線を受けたわ。男の子から何度か
告白されたこともあった。みんな、自分たちと違う姿のあたしに憧れていたんだと思う。
でもあたしは嬉しくなかった。寂しかったのよ…どうしてみんな、あたしと違う人種なんだ、ってね。
それに、あたし泳げないから島の友達が遊ぶようにフリーダイビングとか一緒にできなくて…
疎外感が増すばかりだった。そんなあたしのためにお父さんはスケボーを買ってきてくれたの。
あたしはそれから毎日一人で遊ぶようになった…スケボーだけが唯一の遊び道具だったんだ。
それでも強がって、島のみんなには無理に元気な笑顔を作っていたけど、そう思うたびにあたしは
ヨーロッパに強く憧れていたんだ。そこへ行けば相手も自分も対等な関係を持てるだろうって、
そう思ったんだ。だから、ある意味あの島から逃げてきたのよ。それが…本音…なんだ。
だから、あなたのように本当に話せる、許せる、信頼できる人に…あたしは甘えてしまうのよ…。
あたしはあなたが想ってくれるほど頼れる人間じゃないし強い人間でもない!
旅を続けるたびに気付くのは自分の弱さばかり。後ろめたく生きてるからだわ。精一杯頑張って
歩いてるのに、根底に流れている島の友達に対する申し訳なさが、あたしをズタズタにするんだ!
エゴの混ざり合った自己満足と自己嫌悪の繰り返しで、どこに自分の本当の正しさがあるのか
わからない…でも、その答えは他でもない自分が出さなきゃならないってわかってるから…
だからあたしは独りで旅をするんだ…」
スプライトは涙ながらに、今まで誰にも語ることのなかった心の奥の蟠り、そして旅の真意を
吐き出すように話した。

ランダムは何も言わず、ただ彼女の話を黙って聞いていた。
彼の目の前で泣き叫ぶスプライトの姿は、男勝りで好奇心旺盛な気質のかけらもなく、ただ現実に
足をすくわれて葛藤する等身大の女の子だった。
しかしランダムは、この三日間一緒に過ごした中で見抜いていた。
誰かのために喜ばそうとばかりする彼女の内面は、きっとガラスのように繊細な心で出来ている、と。

「こんな時、俺は何て言ったらいいか分からないけど…」
ランダムはスプライトの震える肩に優しく手を当てた。
「でも、きみはこれからずっと…独りで生きてくわけじゃないだろう?」
「………」
「お互い悲しい孤独を辿ってきたんだ。その苦しみや悲しみ、そして寂しさを忘れなければ、
俺たちは決して堕落したりしない!! そうだろ…スプライト…」
スプライトは俯いたまましばらく無言で動かなかった。
病室の中、スプライトの鼻をすする音だけが無情に響いた。

張り詰めた空気を流すように、ランダムが軽くため息を漏らすと、スプライトは弱々しく口を開いた。
「………アムスへは、一人で行く」
「スプラ…!?」
スプライトは顔をあげ、濡れた瞳でランダムを見つめた。
「そこで自分自信に決着をつけて…もう一度この街に戻ってくるから…そしたら…」
その笑顔が全てを決定させていた。
「そしたら一緒に旅をしよう! ランダム!」
ランダムの顔にも満面の笑みがこぼれた。
ランダムはスプライトから割れたスケボーを受け取ると、精一杯の誠意を見せた。
「こいつは俺が責任をもって直しておくから!!」
「ん。あたしの宝物…よろしくね」

スプライトはひとつ鼻をすすると、顔を赤らめながらランダムに近づいた。
「あたし…あなたにまだちゃんとお礼をしてなかったわね…。あなたは…あたしの命の恩人よ」
スプライトはランダムの肩を抱くと、左頬にそっとキスをした。
「あたしの命を助けてくれて、本当にありがとう…」

2016/9/4 12:33  [1498-4805]   

最終話 スプライトからの便り


軽い昼食を済ませたファンタ・エイジスは、フェーフェーフェーのカウンターに戻ると、
気だるそうに隣に座るデリミタ・プリアンブルに話しかけた。
「お客さん来ないねぇ、デリー」
愛称で呼ばれたデリミタは細長い煙草に火を付けると煙で輪を作ってみせた。
「平日の昼間に観光案内所に来る人はあんまりいないでしょ、ファンタ。先月の女王誕生日の前後は
死ぬほど忙しかったけど、チューリップの季節も過ぎてキューケンホフ公園も閉鎖された今じゃ、
こんなもんよ」
「それだけじゃないわ。以前はセントラル・ステーションの正面玄関を入ってすぐにあった
フェーフェーフェーが、こんな…ホームの片隅の目立たない場所に移ったからよ。
お客さんはみんな駅前のフェーフェーフェーに向かうようになったじゃない」
「別にいいじゃない。忙しくても貰える給料が一緒ならあたしはヒマな方がいいわ。早く定時に
なってコーヒーショップにでも行きたい」

ファンタは呆れてカウンターに肘をついた。
「まったくあなたって人は…いいかげんマリファナはやめなさいよ。ま、デリーは仕事をきちんと
こなすからあたしは文句は言わないけど…」
そう言うと、エイジスはストローを差した缶コーラを飲みながら、端末のマウスを慣れた手つきで
操作して駅周辺のホテルの予約状況をチェックした。
「…確かに退屈ね。なんか楽しいことないかしら…」
「ないよ。全然」
デリミタはエイジスに振り向こうともせず週刊誌を片手で読みはじめた。

エイジスはデリミタに話し相手になってほしかった。
なんとか会話を盛り上げるための話題を彼女は懸命に考えた。
エイジスは常に何かをしていないと気が済まない性分だった。
デリミタはそんな彼女が鬱陶しいと思うこともややあるが、二人は数年前この職場で知り合った
同期で、何でも気兼ねなく話せる親友同志であった。

「あ! ねぇデリー、そういえば午前中に女の子が一人ここに来たじゃない」
「ああ、二階建ての特急…インターシティをもの珍しそうに眺めながら来た娘?」
「そうそう、男の子みたいな恰好してやたら明るかった子よ。あたし、あの子が来た後
すぐに昼食に出たから知らないんだけど、あの子どのホテルを予約したの? 一人みたいだったけど」
「あの子はお客じゃなかったわよ」
「はあ? じゃあ、何しにここへ来たの? 道でも尋ねに来ただけ?」
「いや…あの子はエイジスがさっき戻る前までここにいたわよ。端末のEメールを使わせて
ほしいって言ってたからあなたの端末貸してあげたわ。淡々と何かを送受信してたみたい。
終わったらお礼言って速攻で飛び出して行ったわ」
エイジスは鼻からコーラを吹き出した。
「ぶほ!! さっきまで? あたしのパソコンを? 一時間も? 正気なのデリー!!
部外者に端末を操作させるなんて…この国のホテル予約状況をメチャクチャにされたら
どうするつもりよ!?」

「ばかね。あたしはその子が操作するのをちゃんと監視してたわ。仮にそんな危険な行為をしてたら
あたしが放っておかないわよ。当たり前でしょ? あの子は単にEメールを送受信してただけよ。
どうせ客なんて一人もいなかったし、あたしも退屈してたから貸してあげたの。重ねて言うけど、
やっていたのはメールの送受信だけだから」
「だからってあたしのパソコンを貸すなんてひどいわ…」
「あら、そもそもその端末はあなたのものじゃないでしょ。観光協会の所有物だわ。誰のを貸しても
一緒でしょ。デートの約束にその端末のEメールを使う誰かさんみたいに私用で使う人なんていないわよ」
「ゲッ…知ってたの…?」
「送信履歴を見れば一目瞭然よ。所長には報告してないけど、バレたら…」
「あうう…その先は言わないでデリー! 帰りにポテトおごるから、所長にだけは言わないで!!」
「ポテト? 冗談言わないで。今夜の酒代は固いわね」
「悪魔だ〜!!」
「悪魔で結構。今度から私用の送信履歴は消しておきなさいよ。着信履歴もね」
「わ…わかったわよ、もうっ!」

 ファンタはふて腐れながらキーボードを操作し、メール履歴のデータファイルを開いた。

2016/9/4 22:51  [1498-4808]   

「ん…?」
ファンタは送信履歴のデータを見ると妙な違和感を感じた。

「ねえデリー、さっきの娘が送信したメール…だと思うんだけど…変だよ」
「何が変なの」
「いいからこっち来て画面見てよ。ほらこれよ、この送信先アドレス」
デリミタは面倒くさそうに立ち上がってファンタの端末を覗き込んだ。
「どこが変なの? あたしには分からないわ」
「いい? Eメールアドレスは後ろの二文字が国の識別コードになっているの。あの子の
送信先アドレスを見るとこの国のコードになってないでしょう。これは…インドのコードだわ。
あの子はインドにメールを打っていたんだ」

「誰がどこにメールを送信しようがいいじゃない。個人の自由だわ。あたしの知ったことじゃない」
「はか!! インドっていったら麻薬大国じゃない。先日マーストリヒトでインドから麻薬を
密輸してた犯人が逮捕されたってニュース聞いてないの? あの子…麻薬密輸団に関係あるんだわ。
きっとそうよ。この送信先アドレスはインドの密輸組織のものに違いないよ!!」
「アハハ! そりゃいい。次回その子が来たらハッシシでも格安で横流ししてもらおうかしらね」
「何を呑気な事を言ってるのデリー! このフェーフェーフェーの端末が麻薬の密輸に関与したって
バレたらどうなると思ってるの!? あたしらクビじゃ済まないわよ。きっとマースで捕まった
やつみたいに終身刑にされちゃうんだわ。だいたいデリーったらあの子が端末操作してるとこ
見てたんじゃなかったの?」
「メールの内容まであたしは見てないわ。まったくあなた…心配性ね。ハゲるわよ」
「あなたが楽天家なだけよ!!」

「冷静になりなさいよ。一介の観光案内所で、こんな単純に足がつくような取引を組織がするはず
ないでしょ。あんな年端もいかない子供を使ってさ」
「でも飾り窓の女性の中には東南アジアから連れてこられた娘も多くいるって聞いたわ。
あの子だってきっと…」
「あの子は、見た感じ欧州系の顔だちだったわ。絶対アジア系じゃないわよ。だいたいそこまで
言うんだったらメールの中身を見てみなさい。結論はそこにあるでしょ」
「…わかったわ。他人のメールの中身を覗き見するのはいささかモラルに反するけど、この際
そんなことも言ってられないわね」
「おーおー、端末を私物化してる人の台詞とは思えないね」
「茶化さないで! じゃ、メールの中身…開くわよ…」

リターンキーを押すと、二人はモニターに顔を寄せた。
冷静沈着なデリミタも少しばかり胸を踊らせていたようだった。

2016/9/4 22:54  [1498-4809]   


   お父さんへ


お元気ですか。
家を離れてもう一年余りが経ちましたが、今日無事にアムステルダムに到着しました。

自由の都はあたしが想っていたものよりも息苦しく、野蛮で怖いところだけど、
それは当たり前だったんだ。
多くの人の考える自由がひしめき合っているんだもん。
他人を陥れようとする人もいれば、心から喜ばそうとする人もいた。
法律が人間の自由を束縛しないようにしているのは素晴らしいことだと思うけど、
同時に悪人をのさばらせている部分も否めなかった。

自由とは、何者にも束縛されないが故に自分の責任を自分で背負わなければならない、という事。
改めて感じました。

だから自分の思い描いた自由の姿さえ忘れなければ、きっと最高に素敵な都市だと思う。
あたしはここに来てよかった、と心から思ったんだ。

シリアでは、叔母さんは残念ながら既に亡くなられていたのでお会いすることはできませんでした。
でもハマの街の教会のシンプソン神父から当時の話を聞かせてもらえました。

でも結局、あたしが探していた答えは自分の中にありました。
それがわかっただけでも旅をしてよかったと思います。

旅の中で、あたしはここに書ききれないほどいろんな体験をしました。
でもそれをひとつひとつ語るとこのパソコンのメモリーを破壊しかねません。
日も暮れちゃうしね。
インドの、お父さんとお母さんとお兄ちゃん、そしてあたしの大切な友達の住む
ラクシャディープ諸島のキングデラ島に帰ってから、お話ししようと思ってます。
その日が待ち遠しいけど、まだ旅は折り返し地点に辿り着いたばかりだから、
最低でももう一年くらいかかると思う。

でもこれからインドへ近づくにつれて、あたしの足取りは軽くなっていくはずです。
なぜなら、今ならあたしは胸を張ってこう言えるからです。

『島の暮らしは、自分にとって掛けがえのない誇りと幸せが詰まっていた』…と。

それが現時点でのあたしの答えです。
自分の将来の仕事はまだまだ決めかねているとこですが、今のところはリバース・エンジニアに
なろうか、と思ってます。

リバースエンジニアリングとは、既存の製品を詳細に分析して基本的な設計方針を導き出し、
互換の製品を作るための技術のことです。
先進国の仲間入りを目指すインドじゃ、もってこいの仕事だとあたしは思ってるんだ。

そんなわけで、これからフランスとスペインを経由してインドへ向かいます。
島のみんなはお元気ですか?
丸一年離れていたので島の様子も随分変わったのではないでしょうか。
あたしは、いつでも元気です。
家族のみんなも、どうかお元気で!!

なお、このメールはアムスの中央駅にある観光案内所でお借りしたパソコンで
送信させてもらいました。
もしお父さんがパソコンを使用していてこのメールの受信に気付いたなら、
すぐにお返事を下さい。
待ってます。


                      スプライト・フロートより

2016/9/5 03:07  [1498-4810]   


「……なんなの、これ? あの子…ここまで大変な冒険をしてきたみたいね…」
デリミタは珍しく瞳を輝かせながらため息をついた。
「よくわかんないけど、麻薬組織絡みじゃないみたいね…でも取り引きの暗号伝文かも
しれないよねぇ」
「疑り深い娘ねぇ。前から一度言おうと思っていたけど、あなたスパイ映画の見すぎじゃないの?」
「失礼ね、あたしは単にトム・クルーズのファンなだけよ! 悪い?」
「別に悪いとは言ってないわよ。そんな話どうでもいいわ。ねえ、受信履歴は?送信履歴が
もう一通あるからその子のお父さんからの返信メール、あるはずでしょ?見せなさいよ!!」
デリミタはいつになく興奮してファンタを急かした。
「わ、わかったわよ。…きっとこれだわ。じゃ、見るわね」



   スプライトへ

突然のメール、ありがとう。本当にびっくりしたよ。
まずはアムステルダム到着おめでとう。
ずいぶん長い旅だったが、無事に到着したようで安心したよ。
本当によくがんばったな。きっと頼もしく成長したことだと思うよ。

シンプソン神父に会えたのはよかった。神父には親子共々本当にお世話になったな。
島の話だが、確かに海岸はずいぶん近代化されたよ。
島のみんなは相変わらずだがな。
みんなも早くお前に会いたがっていたぞ。
今日もすれ違うたびに話したのはお前の話題ばかりだったんだ。

そうそう、お前にとってびっくりするニュースが二つある。
一つは、ネルゲン夫婦に先月、長女が誕生したことだ。
名前はピクスィ。
お前の名にちなんで名付けたのだそうだ。私はなんだか複雑な心境だよ。

もう一つは、お前の親友であるミスティオがお前の義理の姉になることだ。
式はお前が帰ってくるまで行わない、と本人達は言っているがね。
お前ならきっと喜んでくれることと思う。
島に戻るときまで、祝言のひとつでも考えておいたらいいだろう。

それでは家路に向かう道中も元気で頑張るんだぞ。
旅の話、楽しみにしてるから。


                       ジョージア・フロートより




「ふうん。やっぱり意味がよくわかんないや」
ファンタは大きなあくびをするとコーラを一口飲んだ。

しかしその横に立ちすくむデリミタは握り拳を震えさせていた。
「素敵だわ…このメールのやり取りは言葉以上の意味と価値があるのよ。ファンタ、あなた
それがわからないの?」
「そんなこと言われても…。デリー、あなたさっきからどうしたの? 柄にもなくこんなメールに
感動してさ」
「ばっ…感動してなんかないわ。さあファンタ、最後のメール…スプライトっていったっけ?
その子の送信文を見せて」
「はいはい。まったくどうしちゃったのかしら、デリーったら」
「ブツブツ言わない!!」
「はいはい…じゃ、見るわよ」




   お父さんへ

お返事ありがとう。連絡ができてよかったわ。
もうびっくりしちゃったわ。
お兄ちゃんとミスティオがそんな関係だったなんて思いもしなかった。
すごく複雑な気分だわ。

でも、心からお祝いしたい。
ネルゲン先生とスウォータさんにも本当におめでとうって言っておいてね。
もちろん帰ったら改めてあたしから言うけど。

そうそう、あたしからもびっくりするニュースがあるんだよ。
でもこれは秘密。
帰ってからびっくりさせたいんだ。
じゃ、あたしたちはマーストリヒトから再び旅立ちます。
楽しみに待っててね。
では、一年後に再会できることを信じて。

                      スプライト・フロートより




「また意味不明なコトを…インドで育ったから英語が下手なんだね。自分のことを複数形で
打っちゃって。だいたいマースから旅立つってどういう事かしら」
ファンタは肩をすくめた。
デリミタはモニターから目を逸らすと再び自分のカウンターに座った。
「スプライト…か。あの子…遙かインドから旅してきたんだ…」
そう呟いた次の瞬間、ファンタが大声を張り上げた。
「ああっ!! やだ、どうしようデリー! たった今インドからまたメールが届いたよ!!」
「なんですって!? あの子はもう出ていったのに…ええい面倒臭い! ファンタ、構わないから
受信文を見よう!!」
「ええっ…それこそプライバシーの侵害だよ」
「あたしたちは既に彼女に対して侵害してるのよ。あの子だって、他人の端末を使って
Eメールの送受信をしていたんだから、あたしたちに読まれることを承諾しているようなものでしょ。
いいから開きなさい!!」
「わ…わかったわよデリー。うう…なんか罪悪感…」



   スプライトへ

ハロー、お久しぶりねスプライト。
あたし、ミスティオでーす。
あなたの最後のメールの意味、あたしには分かったわよ。
あなたも幸せをゲットしたんだね。うふふ、おめでと♪
巡礼の旅もいよいよ後半に突入ね。
がんばってね。
あなたが帰ってくる日を誰より楽しみに、幸せに想い待っています。
お母さまも、あなたが無事だと知って泣いて喜んでたわよ。

                     未来のミスティオ・フロートより
                      (きゃっ 言っちゃった?)

2016/9/5 03:15  [1498-4811]   


「…なんとも緊張感のない文章ね…」
ファンタは目が点になっていた。
「あたし…あの子を追うわ。ファンタ、急いでそれプリントして!!」
デリミタは立ち上がり、スカートのままカウンターを跨いだ。
「ちょっとデリー、何言ってんの? そんな必要がどこにあるのよ。だいたいあの子が
どこへ向かって行ったのかもわからないんでしょ?」

「アムスの街で冒険者が集まる所…きっとダム広場に決まってるわ。この文章があの子に
必要かどうかなんてわからないけど、とにかく会ってこのことを伝えたい! あたしは…
忘れていたんだ。このフェーフェーフェーに就職した時のことを。世界中から集まる冒険者の
手伝いをしたいって。冒険者に様々な情報やサービスを提供することで彼らの力になりたかったんだ。
でも…あたしが想像する冒険者なんて今やぜんぜんいないし、仕事だってほとんどはホテルや
観光ツアーの予約ばっかりで、事務的な作業ばっかり…あたしの夢とはひとつズレていたんだ。
あの子はインドから大冒険をしてきたのよ。あんな…まだ年端もいかない娘がよ! あたしは今、
彼女を手伝わなければ…きっと後悔する!! ごめんファンタ、店番お願いね!!」

プリントアウトされた用紙をファンタから受け取ると、デリミタは全速力でホーム
の階段を下っていった。
「デリーが…燃えてる…あんな彼女初めて見た…」
ファンタはただ目を点にしているばかりであった。

中世ヨーロッパを偲ばせる赤レンガの大きな城…アムステルダム・セントラル・ステーションを
飛び出し、せわしげに駅に向かう人々を巧みに避けながらデリミタは駅前のダムラック・ストリート
を走った。

左手に水上バスの乗り場、右手に華やかな商店街のストリートを五〇〇メートルほど真っ直ぐ走ると、
付近の建物よりやや高い、真っ白な尖塔のある広場が見えた。
この塔は第二次世界大戦で亡くなった人たちの霊を慰めるための戦没者慰霊塔だ。
そして、それを囲む広場がダム広場だ。

この塔の回りを囲む階段に、世界中の旅行者が集まり旅の情報交換をしている姿は、この街の
名所として知られている。
「あの子は…きっとこのどこかにいるはずだわ…」
息を切らせながらデリミタは少女を必死に探した。
しかしこのダム広場はプロサッカーの試合ができそうなくらい広大で、しかも人通りが激しい。
一人の女の子を捜索することは極めて困難であった。

広場中を一通り回ってはみたが、少女の姿はどこにも見えなかった。
「……」
デリミタは無言で慰霊塔の階段に腰を下ろした。
「…そりゃそうよ。アムスは観光地よ、旅行者だろうが冒険者だろうがこんな広場だけにに
いるはずはないわ…。運河や風車、アンネ・フランクの家やダイヤモンド工場・・・数えれば
キリがないほど名所があるんだから…そんなこと、観光案内所に勤めるあたしがいちばんよく
理解してるじゃない。わかってたんだ、いるはずないって。何やってんだろ、あたしったら…
仕事まで抜け出してきてこのザマよ。フフ…バカみたい…」
デリミタはひとり自虐しながら落胆し、肩をすぼめて駅の仕事場へ戻ろうと立ち上がった。
その時であった。

「もうヘタクソね! あたしに貸してみなさいよっ!!」
どこからともなく聞き覚えのあるハスキーな大声が彼女の耳に入ってきた。
「…!!」
もしやと思い、振り向いた瞬間だった。

「ポップ・ショウビットってのは…こーやるのよ!!」

そこにはダム広場に集まったボーダーの注目と太陽光を一身に浴びた、巨大な麦わら帽子とともに
宙を舞うスプライトの姿があった。


2016/9/5 03:21  [1498-4812]   




エピローグ



どれだけの時間をかけて、ここまで来たのだろう。
どれだけの人に助けられて、ここまで来たのだろう。

振り向けば後ろに、自分の辿ってきた道が出来ていて
悩んだりつまづいたり、苦労や流した涙もたくさんあったけど
今となっては一つ一つが大切な思い出。

人との出会いは、ほんとうに偶然でしかない。
少しでもタイミングや自分の行動がズレていたら
決して出会えることもなかっただろう。

でも、マトリクスさんも、シンプソン神父も、
そしてランダムも、出会いは偶然だったかもしれないけど
そこで生まれた「絆」は必然であったはず。
だからいかなる出会いも自分の行動も、意味はなくとも
価値があったんだ。

ここまで歩いてこれた全ての必然に、心から感謝し、
そしてまたこれから出会う偶然に、大いなる想望をしてやまない。

さあ、家族と友達の待つインドのラクシャディープへ帰ろう。
途中、マトリクスさんの住むスペインのグラナダに寄り道しよう。
シリアの教会にも立ち寄ろう。子供たちもきっと喜ぶ。
ギリシャとか、世界遺産なんかもたくさん見たい。

まずは、彼の待つマーストリヒトへ戻ろう。
そこからはずっと二人だ。


この広い世界を、二人で旅をしよう。




                 Step Up! The end of file...



2016/9/5 04:00  [1498-4813]   

あとがきです。

たぶんまともにラストまで書ききった唯一のフィクション小説です。
第一話とかかなり読みにくかったとは思いますが、最後まで読んでくださって
ありがとうございます。

執筆中は、とにかく楽しくてしんどかったですね。
休日は朝から図書館でインドや中東の歴史などの資料を読みながらアイデアノートに書き、
「女の子が中東を徒歩で旅する」という非常識な物語に現実的なリアルさを追求するべく
勉強しまくってました。

物語の原点、というか影響された作品はジブリの「魔女の宅急便」です。
でもあの作品は架空の世界観での物語なので、自分は現実の世界の中のリアルさを
追求しようと思って書いてました。
まあ、同時多発テロ以降は中東情勢も悪化の一途を辿ってますから、今となっては
そのリアルさも非現実的な絵空事になってしまってますが。
後世に残される名作ってのは時事に左右されない物語であると思っていますが、
それを作り出すのはかなり難しいのですね。

ですが、それでもなお、オレの中の主人公は作品の中で生きています。
それをどうしても「今」という時代でも残り、それは色あせていないことだと
信じていたので、思い切って最後の「エピローグ」を
この縁側上で書き下ろしました。

インドへ帰る道のりのエピソード、いわゆる続編も考えたりもしましたが、
結局は蛇足になってしまうので書きませんでした。
読んだ人それぞれの想像に任せるのがきっといちばん面白いのだろう、と。

ていうか、そんな想像を膨らますのが楽しい、と思える作品であったならば、
それは筆者としてこの上ない幸せです。

ここまで読んでくださってありがとうございました。
よければ感想などいただけると嬉しいです。


2016/9/5 04:28  [1498-4814]   



スレ主 ryouitirouさん  

初投稿です。
近々こういう掲示板を使ってオフ会を開きたいなと考えています。
でも、自分が思うには掲示板ってあんまり人がおらず、書いてもスルーされるかなと思うのですが、
本当に出会える掲示板ってどこかみなさんはご存知でしょうか?
いちおう調べた限りでは、一番大きい掲示板の2ちゃんねるか、それに次いで大きい爆サイってところなら人もいるから募集しやすいとのことですが、これって本当なんでしょうか?
上の2つのサイトに限らず、オフ会を開き募集するのに適した掲示板を知っていましたら、教えていただければ幸いです。

2016/6/6 15:29  [1498-4580]   

真実一郎 さん  

2016/6/6 23:20  [1498-4581]  削除

真実一郎 さん  

2016/6/6 23:20  [1498-4582]  削除

>ryouitirouさん
はじめまして。

オフ会募集告知の掲示板でいちばん手っ取り早いのは「みんカラ」ですね。
http://minkara.carview.co.jp/
の「イベント」からオフ会の告知の登録をすればOKです。

いつ、どこで、どんな車種の集まりで、何をするか、なんてことを具体的に書いて
さらに「じぶんが参加者ならこんなオフ会に参加したい」と思える魅力的なアピールをすれば
自然と参加者は増えるかと思います。
最初は数人だけでも、回数を重ねればリピや口コミによって参加者も増えるのでは、と思います。

今週末に長野でオフ会を開催しますが、よろしければ参加してみてはどうでしょう。
参考になるかもしれませんし、ならないかもしれませんがw

正直いって、この縁側はオフ会の告知や募集をするための掲示板として作ったのではないです。
本スレにショートストーリーを書いたら「そういうのは縁側でやれよバカ」って言われて
作ったのがきっかけなのですw
そしたらいろいろと輪ができて、じゃあオフ会やってみよっか、という感じで。
やってみたら好評で、じゃあまたやろっか、みたいな感じで今に至ってるわけです。

2016/6/6 21:53  [1498-4583]   

 超破格.com.さん  

ryouitirouさん

はじめまして。
他の掲示板は詳しく分かりませんが、価格.comでオフ会を開催したいと思うのであれば、まずは緑側を開設する事です。次に目的の趣旨を明確にした方が良さそうです。その次は人数集めです。全く知らない人には最初から人は集まりませんからね。信頼関係を築くのも大事になってきます。

ちなみに私は出逢い系サイトの常連です(笑)

女の子だけを集めたいなら、反撃覚悟の上でガールズチャンネルに書き込みするのも良いかも知れません。ガルチャン民は怖い(爆)

2016/6/6 22:15  [1498-4584]   iモードからの書き込み   

リョウイチローさんておっしゃるんですかね?どうもこんばんはー☆銀狼のるーですー<(_ _)>

みんなでワイワイできるよーなオフ会を開催してみたいってことですかね!?
とってもステキな野望かと思います!・・・けどそれって中々難しいですょねー(^_^;)

なのでワタクシ銀るーの答えとしては、オフ会開催する側より、参加する側から始めてみたほうがいいかなと思います☆

人様のオフ会に参加して、それで仲間が出来れば自分でオフ会を開くころには人も集まるかと(ゝω・)

あっ、あとどんな車に乗ってて、こんなカスタムしてますょー!っていうのも聞きたいですねー♪

あ、あとあと言い忘れσ(^◇^;)
オフ会するのに人集めするなら「みんから」も悪くないかもですねー☆

2016/6/7 00:07  [1498-4586]   

 減塩だし入りさん  

オフ会開催する前に事前にチェックは絶対必要、
許可ない場所で勝手に酒盛りなんかまずいでしょう

2016/6/9 17:57  [1498-4601]   

真実一郎 さん  

2016/6/9 18:54  [1498-4602]  削除

 超破格.com.さん  

減塩だし入りさん


>オフ会開催する前に事前にチェックは絶対必要、
許可ない場所で勝手に酒盛りなんかまずいでしょう


忠告ありがとうございます。

まだ開催してませんよ(笑)
酒盛り開催をしなければ良いだけの話しです

わざわざ新垢で書き込み御苦労様

2016/6/9 18:29  [1498-4603]   iモードからの書き込み   

 えりりんたんさん  

まあその夜に駄弁っていたためにすぐに救急車が呼べて
搬送されて助かった人もいるわけですからね

2016/6/9 21:35  [1498-4605]   

過去にマナー最悪の人達が現地で宴会をやってかなりの迷惑をかけたようで、
そういうのを危惧しての警告だったようです。

マナー及び禁則事項の遵守徹底を約束し、さらに過去の車中泊宴会でクレーム等が
一切なかったことを説明したところ、納得いただけ、好印象で許可をいただきました。

もし初オフ会とかだったら、許可されなかったかも・・・
いろいろ難しい世の中です。

2016/6/9 21:54  [1498-4607]   

 えりりんたんさん  

最近は車中泊が増えてきてどこの道の駅も夜中は満車になるくらい車が止まってますね

確かに見ているとマナーが悪い人は必ずいます
もちろんマナーを守って使われている人もいるわけで、結局こういうことでどこも使用できなくなっていくのでしょう

ハイドラ同好会の裏オフ会の会場も去年の場所は使えなくなったそうで、原因は別の開催のオフ会の際のマナーがかなり悪かったため使用禁止になったそうです

2016/6/10 00:15  [1498-4612]   



取り急ぎ設置です。
もうすぐ30。
もうすぐ三十路?

2016/6/6 07:46  [1498-4576]   

 超破格.com.さん  

スレ立てありがとうございます(^^)

長野も梅雨入りでしたか。

心配なのはゲリラ豪雨

ゲリラ豪雨になったらゲリラLIVEを開催します。

歌ってくれるのは、ケルル侍さんと、銀狼のるーちゃんさんのデュエットです(笑)

曲名は魂のルフランです(^^)

2016/6/6 08:12  [1498-4577]   iモードからの書き込み   

どうもーアラサーの銀るーです(^_-)-☆
もうそろそろ30だなんてすごいですっ!それに比べて、相変わらず自身の縁側は枯れさせてますけど(笑)

三十路もしくはアラサーになると、筋肉、関節、体力の衰えが感じられてきますねー皆さん、コラーゲンは採っても意味がないといわれてたけど、やっぱり効果があると言われ始めたので出来れば一日5グラムとりましょー☆
そして若返って、みんなプリプリお肌でオフ会しましょう
( ´艸`)ナンテww

じゃあーまずは、魂のルフランからの三代目かEXILEの曲が二曲目で、トリはねこさんの尾崎ですかね(≧∇≦)b

確かにゲリラ豪雨と出くわしたらちょっと怖いかもーですけど、埼玉を当日通る予定なので、そこが気になりますねー!
都内は晴れてるのに、埼玉はゲリラ豪雨で荒れた天気!なんてこともあるんですょねーσ(^◇^;)
当日は天候でルート変更も考慮して決めたいと思います☆

2016/6/6 09:31  [1498-4578]   

 超破格.com.さん  

銀狼のるーちゃんさん

オフ会当日は関東も雨予報でしたので、洗車するなら10日だけが晴れ日よりです。

埼玉ルートなら秩父市から山梨県ルートがあります。秩父で熊に遭遇もありえます。そういう時は熊(困)ったなと叫んでください(笑)

銀ちゃんさんと僕が歌って、シメは猫さんの北斗の拳【愛をとりもどせ】が良いと思います。

私は遅れて出発しますので、出発時に緑側に書き込み致します。

2016/6/6 12:25  [1498-4579]   iモードからの書き込み   

またカラオケやりたいですなぁー。
新潟オフ会の二次会のカラオケ、まさかあんなに盛り上がるとは・・・w

次回やるときはるーちゃんと破格さんもぜひご一緒に。
CRダンバインのSTの曲、歌えるところあるかな。

いぇいいぇいいぇいいぇい戦いのとき
脆弱な心のままに
「おちろよー!!!!!」


誰も知らないかw
尾崎なら、アルバム曲ぜんぶ歌えるわ。
ケルルさんと叫びまくった「誕生」が懐かしいw

2016/6/7 00:01  [1498-4585]   

 京香っちさん  

ねこさん、るーちゃんさん、超破格.com.さん
こんばんは。お久しぶりでございます(^^ゞ


ねこさん、もうすぐ三十路ですか。いろいろ知ってらっしゃるので、30代だと勝手に思ってました(スンマセン)私とは、一回り以上も違うんですね。
四十路の私の体はボロボロです。年末くらいから、夫婦揃ってクエン酸水を飲んで健康に励んでます。
クエン酸の効果って、凄いいっぱいありますよ。
寝起きが良くなったし、悪酔いや二日酔いもしなくなりました。犬のオシッコ臭や汗臭い洋服や臭い靴にはクエン酸を薄めてスプレーするだけで、臭わなくもなります。

そういや、元旦夜中〜2日にかけて食中毒(おせち)で嘔吐&下痢&発熱でダウンしましたが、クエン酸のお陰か病院に行かなくても2日程でよくなりましたよ。


梅雨に入り、食中毒が怖い季節になりましたので、皆様も御注意下さいませ。


カラオケ、長いこと行ってないですね。もぅ、新曲なんて解らない┐('〜`;)┌


2016/6/7 00:37  [1498-4587]   iモードからの書き込み   

 超破格.com.さん  

京香っちさん

お久しぶりです(^^)
クエン酸は空気清浄機を清掃する際に使っています。ぬめりも取ってくれるので重宝しています。

ねこさん30代と言いました?年齢まで聞いてませんが10代もしくは、京香っちさんの上だと思いますよ(笑)

なに〜と怒られてしまうので、ここら辺にしときます(爆)

食中毒(食あたり)は2度体験しました。五分おきに腹が猛烈に痛くなりました。激しい下痢と熱も40℃近く出ましたね。

カラオケは最近行ってませんね。タバコと運動不足で肺活量が落ちて来てるので声が出にくくなってきました(笑)

京香っちさんは、好きな歌手は居ますか?カラオケでは何の曲を歌いますか?


2016/6/7 10:54  [1498-4588]   iモードからの書き込み   

 超破格.com.さん  

順番逆になってしもうた。

ねこさん、ST中の曲よく覚えてますね。
僕はただ消化する為だけなので覚えてません(笑)

また新潟オフやる時は、銀ちゃんさんとケルルさんと参加出来たらいいな。

酔って真っ裸で踊りたい(爆)

2016/6/7 11:03  [1498-4589]   iモードからの書き込み   

 えりりんたんさん  

土曜日の天気晴れる&30度になるようですね

でゲリラ豪雨になるとw

2016/6/7 22:30  [1498-4590]   

 超破格.com.さん  

晴れに変わりましたか(^^)

気温30℃って水着で行こうかな(笑)

夜は逆に寒いだろうから、ダウンジャケット着ようかな。おい

2016/6/7 22:47  [1498-4591]   iモードからの書き込み   

ほんとに予想が曇りとか晴れになってる。
でも降水確率20%だよ。
特に山沿いなんてどう転ぶかわかんないからね!(天気に関してはかなりネガティブ)

天気が悪化した場合、車中泊の会場を変更するかもしれません。
とりあえず当日の現地の天気を様子見ながら決めたいと思います。


あと、GW北海道旅行記をいつも楽しみにしている方には申し訳ないのですが、
オフ会が終わるまで更新を停止いたします。
ごめんね〜〜〜準備とかタイヘンなんですw

2016/6/7 23:25  [1498-4592]   

 京香っちさん  

皆さんがオフ会の時、雨にならないように祈っておきますね(^∇^)


私、中学生の頃から好きな歌手変わってないです。もう40年以上解散する事なくバンド続けてて、全員が還暦を過ぎてます(だいたい解りますかね)



カラオケでは浜省、B'z、尾崎とかを歌います。

2016/6/8 00:03  [1498-4593]   iモードからの書き込み   

 超破格.com.さん  

山の天気は分かりませんね。もし車中泊会場を変更する時はご一報ください。

今も現役で思いつくのは、THE ALFEE?サザン?

カラオケでは結構渋い歌を歌うんですね(^^)

私は西野カナを歌っています(笑)女かよ

2016/6/8 00:53  [1498-4594]   iモードからの書き込み   

天気更新されましたよぉ♪

降水確率が一気に下がった模様w

2016/6/8 09:44  [1498-4595]   

>京香っちさん
ご無沙汰しております。
私も近頃のJ−POPとかわかんないです。
懐メロだけのカラオケもいいですね。
チャゲアス、槇原敬之、尾崎、チューブ、浜省などなど・・・

これだけ知ってれば同世代ってわかるでしょww

2016/6/8 22:24  [1498-4597]   

 京香っちさん  

超破格.com.さん
3人グループの方で正解でございます。未だに還暦王子にメロメロです(/o\)
西野カナ、名前は解るんですが、何歌ってたか思い出せないよ。私、もう痴呆入ってるかも(笑)。


ねこさん、懐メロだけのカラオケも良いですよね。誰もが知ってるので、結構盛り上がりますね。



2016/6/9 00:42  [1498-4598]   iモードからの書き込み   

どうもどうも☆おはよーございます(^_^)ゞ銀狼のるーですよ☆

オフ会まで、残り日数も少なくなって来ておりますが、皆さん準備は進んでます??
ワタクシめは進んでません!(笑)

ってなわけで、今日+金曜の仕事から帰ったら即出発予定なので少し焦ってきました(^_^;)
皆さんは慌てず用意を進めてくださいねー(^_-)-☆

オフ会前にナンバーステーを試しにつけて見ようかと思ったけど、いいのを探してたら間に合わない日にちまで来てしまいましたょー(;・д・)ヤッテモータ!!!

2016/6/9 09:25  [1498-4599]   

はい、みなさんこんにちわー!
今日は車中泊に便利なグッズを見かけたので紹介するじぇ!

http://www.sawyer.jp/

ここで紹介されているのが、車中泊時の荷室と運転席・助手席との間のスペースを
埋めるためのスペーサー。
私は似たものをDIYでムリヤリ作りましたが、今はこんな便利なものが売っているんですね。
このスペーサーを二つ揃えれば、大人2人きっちり寝れるスペースが生まれるんです。

さあ、秋に開催される(であろう)富山オフ会にこいつを持って奥さんと車中泊まで参加しよう。
夜はカラオケで盛り上がって、うまい酒ものみまくり。
こんなステキなことを旦那だけ楽しむなんて、ちょっともったいないZE!

いまなら30分以内のお申込みにだけ、なんと!
ねこのひっかき傷をプレゼントしちゃうんだZE!
記念にひとつ、いかがですKA?




・・・どういう企画だよ

2016/6/18 13:18  [1498-4651]   

 えりりんたんさん  

さて
オフ会も落ち着いたところで今週末は関東へ遠征(ぇ

SAB大宮に行きますぞ

2016/6/21 00:43  [1498-4655]   

 京香っちさん  

こんにちは。
こちらは連日大雨で、あちこちで土砂災害がおきています。

団地入り口の前の家も、隣の土手が崩れて、出入口を塞いでいて、現在撤去作業中です。

今、駐車場を見たら、私と隣の駐車場に土砂(シラス)が落ちてきていました。
駐車場裏手の土手の高さはマンション3階〜4階くらいで傾斜はきつく、上は道路です。

土手が崩れる可能性ありますでしょうか?車が心配です。


2016/6/28 18:07  [1498-4661]   iモードからの書き込み   

 超破格.com.さん  

京香っちさん

九州は連日大雨ですね。自然災害は恐ろしいですよ。車も含めて迷わず安全な場所に避難した方が良いですよ。

2016/6/28 18:43  [1498-4662]   iモードからの書き込み   

 京香っちさん  

超破格.com.さん

ありがとうございます。団地の会長に連絡した所、別の場所も崩れてきてるそうです。市には、明日連絡する事になってるらしいです。
一応、私と隣の人は別の位置に停める事になりました。やっぱり斜面下ですから、危険度はあまり変わらないかな。

実は、実家も裏の川が氾濫して、川の水が堤防を乗り越えてきて田んぼに土砂が流出、田んぼと道路の境目が分からないくらい増水して、消防からは避難するように言われたみたいなんですが、昼間だから直ぐに逃げれるからと言って断ったらしい(;´д`)こちらも困りました。


2016/6/28 19:31  [1498-4663]   iモードからの書き込み   

 超破格.com.さん  

京香っちさん

九州そんなに雨が降ってるんですね!特別警報がでたら必ず避難してください。一軒家なら二階に避難、団地なら階段の踊り場か屋上で大丈夫でしょう。出来るだけ高い所に避難ですね。

2016/6/28 20:52  [1498-4664]   iモードからの書き込み   

 京香っちさん  

超破格.com.さん
団地は4階なので大丈夫です。駐車場だけが不安ですね。のり面(土手)が崩れてきているので、そちらに置いてる車は1mくらい前に停めるようになりました。
家の車を止めてた後ろは、土が盛り上がってきているので、やはり崩れるかもしれません。
明日の午後から、また豪雨との予報です。家の近くは300o近く降ってます。今日は、1時間に85oだったらしいです。


危険な時は、避難しますので安心してください。


皆様も、土砂災害には注意なさってください。


2016/6/28 22:53  [1498-4665]   iモードからの書き込み   

>京香っちさん
鹿児島では今なお大雨が続いているようですね。
熊本地震で被害を受けているのに、大雨で更に被害を受けそうな感じです。
こんな状態で、もし阿蘇と桜島が大噴火なんてしたらどうなってしまうのだろう。
東日本震災でもこんな連続の自然災害はなかったのに。

ちなみに新潟の中越震災は、冬になる直前に震災が起きてしまい、そこに通年のドカ雪が
始まってしまい、山古志村の村民がまるまる大移動したことがありました。
その冬のその村は、道路も閉鎖され、完全に人の姿が消えていたわけです。
現在は復旧して、かつての住民も戻って元の生活をしています。

九州ではそういった事態にならぬよう、祈っております。

2016/6/29 07:13  [1498-4666]   

NaO゜ さん  

2016/7/1 19:02  [1498-4669]  削除

>NaO゜さん

このたびは大変残念です。
なにが残念なのかというと、貴方の書き込みが疑念に満ちているからです。

話はすべて知ってます。

オフ会で参加者同士の物損事故がおきてしまったことは大変遺憾に思います。
しかし、貴方は自ら「円満解決を外れた行動」をしてしまい、相手に対して
大変失礼かつ理不尽な要求をしてしまうという暴挙に出てしまいました。
相手を思いやるどころか傷つける結果になったのですから、
どれだけ自分勝手なことをしてしまったのか、よく反省してください。

それが波及し、ヘタしたら今後オフ会が開催できない事態にもなっております。
参加者の安全が第一なのですから。それが保証できないのであれば、
主催者として今後一切のイベントを開催できなくなるのです。当たり前です。

この場でこれ以上の情報を開示するつもりはありませんが、
以下の事項を遵守することを、ここで約束してください。

(1)当時の事故以上にとんでもないことをしてしまった、ということを認めること
(2)私(ねこ)が主催又は参加する一切のイベントの、現場及びその周辺に来ないこと
(3)当時の事故加害者の方と、その関係者である私(ねこ)に対してこの場にて詫びること

以上です。

2016/7/1 15:35  [1498-4670]   

反なり教徒 さん  

2016/7/2 20:58  [1498-4671]  削除

 反なり教徒さん  

Nao殿は出禁じゃ

2016/7/2 10:05  [1498-4672]   

 超破格.com.さん  

そう言えばケルル侍さんは価格に入れたのかな?

もし入れない場合は連絡お待ちしております。

2016/7/2 20:40  [1498-4674]   iモードからの書き込み   

なんでこう・・・自分の都合が悪くなるとすぐ削除するんだろう。
ログとってあるからサルベージしてもいいんだけどね。

大人なんだから、自分の行動と発言には責任をもってほしい。
それができないのなら、最初から書くなっての。

2016/7/3 22:54  [1498-4676]   

 ゑ凡人さん  

都合が悪いから削除したんだろうね。大人としてサルベージしてあげたらよか

2016/7/4 00:09  [1498-4677]   

 京香っちさん  

あれから数日は晴れの日が続いております。まだ梅雨明けはしてないので、要注意ですね。
駐車場裏手の斜面(のり面)なんですが、中がかなりの空洞(棒がズブズブ入っていく状態)になっているらしく、今後大がかりな工事になる模様です。


2016/7/5 00:14  [1498-4678]   iモードからの書き込み   

 ダシコンブさん  

馬鹿だねえ

2016/7/5 18:31  [1498-4679]   

>京香っちさん
うあー。後処理が大変なことになってますね。
黄砂は降るわ、火山灰は降るわ、豪雨は降るわ。
もう少しすると、今度は無数の台風がやってくるんでしょうね。
もちっとためになるものが降ってきたらいいのに。

でも、九州は全体を通して温泉施設がとても安いんです。
たいてい300円レベルで入浴できます。
シャンプーとかが無いところが多いので、それだけ気をつければ超快適。
とんかつ、ちゃんぽん、とんこつラーメン、焼きめし、高菜めし、唐揚・・・
なに食べてもうまいんです。

2016/7/5 21:43  [1498-4680]   

 お坊ちまちまさん  

沈没船は

2016/7/6 11:15  [1498-4687]   

新潟はただいまゲリラ豪雨の真っ最中です。
これから出勤なのにどないせーっちゅーねん。
クルマを降りて傘をさす、その数秒でもずぶ濡れになるほどの雨。

これはアレだ。
むかしの長野オフ会のときの威力と同等。
クルマの中に逃げ込もうとしても、一瞬で運転席がびしょ濡れになるので、
どうにもならず、外で傘をさすことしかできなかった。
その結果、下半身ずぶ濡れという惨めなことに。
ありゃ酷かったね。

さあ、どうしたものか。

2016/7/14 19:06  [1498-4703]   

 えりりんたんさん  

安心してください
先日10日に行われたインパクトブルーオフ会に参加した時
見事の設備トラブルで呼び出しくらいました

長野呪われてますw

2016/7/14 23:01  [1498-4704]   

すべては神の御加護!!ジーザスw

長野は山に囲まれてる分天気も気まぐれ。

ってほど標高高いわけではないですがっw

まだ梅雨ぬけてないんじゃないんですかねw

2016/7/14 23:11  [1498-4705]   

先月の長野オフ会は快晴での開催で、夏日のような暑さでしたね。

とはいえ、ひまねこオフ会は意外と晴れの確率が高いです。
雨にやられたのは去年の長野オフ会と新潟オフ会だけ。
琵琶湖オフ会なんて前日が一日中雨だったのにオフ会当日は快晴という奇跡。
富士山オフ会は降りそうで降らなかったというラッキー。

ただし、降るときはハンパない豪雨に見舞われましたね。
新潟オフ会も、弥彦山頂上でゲリラ豪雨でしたが、それが過ぎたら夕陽が見れたという奇跡も。

良くも悪くもドラマチックw

2016/7/15 09:17  [1498-4706]   

オフ会はいいものですねー♪
長野オフを思い出して遠い目をしてる銀るーでございますょ(笑)

そーいえば、フィットの大きめなオフ会が9月に栃木でやるみたいですねー☆

ワタクシめとしては参加しようかと考えております♪
その頃には何か一つノブパーツを追加できるのかどうか妄想していますが、キャンプ用品も欲しい今日この頃なのですo(^▽^)oエヘヘ

2016/7/19 02:03  [1498-4708]   

 えりりんたんさん  

今年は全国オフは行わないで栃木でとりあえず大き目なものを行うとのことですが
自分は参加しません

距離的なものではなくインパクトブルーとかぶってるので
集まって駄弁りよりも今回はツーリングを重視したいので

ちなみに西でも実施予定です(一応お手伝いの予定ですが)

ついでに富山でもフィットのオフ会がありますが…

2016/7/21 00:05  [1498-4710]   

自分主催以外のオフ会とか、積極的に参加したいんですねー。

もうすぐ会社の下半期の予定表が発行されるので、そのタイミングで
私主催の富山オフ会の開催日を決めたいと思います。
いまのところ、9月末〜10月前半あたりを考えております。

2016/7/23 00:19  [1498-4711]   

おおつ!!(OωO; )

そろそろねこさんオフの影が忍びよってきましたかぁー♪
楽しみですーもちろん参加のつもりなので、そのときに使えるアイテムゲットできるといいなぁー♪
カラフルなタープ買えたらいいけど、お小遣いたりるかしら。。。(^_^;)

そーいえば、昨日楽天みてて、ドッペルギャンガーの2馬力のエンジン積めるゴムボートも気になって来ちゃいましたー!
高いからまだまだ買えないけど欲しいなぁ(●´∀`●)

あっ!そだ。えりりんたんさん。栃木、9月11日のオフ会、ドローン参加なさってもよいですょー(^_-)-☆

体はインパクトブルー。目(ドローンカメラ)は栃木なんて(笑)

2016/7/23 12:09  [1498-4712]   

超破格.com. さん  

2016/8/4 03:54  [1498-4721]  削除

一寸玉子 さん  

2016/8/4 03:53  [1498-4722]  削除

超破格com さん  

2016/8/4 03:53  [1498-4723]  削除

超破格com さん  

2016/8/4 03:53  [1498-4724]  削除

ねこフィットV(さん) さん  

2016/8/4 03:53  [1498-4725]  削除

 京香っちさん  

この前の土用に鰻食べれなかったので、今夜1時間半くらいですが父と鰻釣りに行きました。

連日の猛暑続きで、川の石やら川底にノリがべったりで、巻く度にノリを取り除かないといけない状態。仕掛けもノリまみれ。手を洗いに川の側に行ったら、滑って転んでズボンはずぶ濡れ。今日は最悪だったなぁ。


それでも何とか1匹釣り上げた。
めっちゃ大きい。
だか、体に模様があるんだよね〜。
こんなのが釣れたのは初めて。
これは、日本うなぎなのだろうか?写真載せたいけど、iモードでは無理。

取り敢えず、実家で大きなたらいに入れて泥出しさせておこう。甥っ子(姉の子)が、初めて見るからって写真撮りまくってたよ(笑)

自宅に帰宅したのは夜11時前だった…。


先月も鰻釣ったけど、上手く捌けないのよね…。
どうしよ…。


2016/8/4 02:50  [1498-4726]   iモードからの書き込み   

>京香っちさん
こんばんは。
自分で釣ったうなぎですか! すごいですね♪
天然モノなど今の時代なかなか食べられないのに羨ましいです。
新潟でも釣れるところあるんだろうか・・・

うなぎのかば焼きのお店とかをネットで調べてみて、片っ端から電話して
うなぎを持ち込みでさばいて焼いてくれるところを当たってみてはどうでしょう。
もちろん手間賃等は支払う必要はあると思いますが、極上の味を楽しめることでしょう。

自力でさばいて焼くのであれば、
http://www.tansuigyo.net/a/link36-06.htm
l

http://cookpad.com/recipe/3639663

こんなところを参考にすると、なんとかなるのかもです。

2016/8/4 04:06  [1498-4727]   

 kas3さん  

京香っちさん

大きくて、模様があるとなると『ウナギ』ではなく『オオウナギ』ではないですか?
オオウナギなら胡麻粒状の模様があります。
沖縄や鹿児島には生息しているようです。
子供のころ魚類図鑑で『オオウナギ』の欄に「食用(まずい)」と書かれていたのを覚えています。
まずいのに食用なのか…って。。。

2016/8/4 18:18  [1498-4728]   

 京香っちさん  

ねこさん、今朝弱ってたので、父が捌いたそうです。竿を2本置いて帰ってたので、父が見に行ったら一匹釣れてたらしい(白くて長いのが見えた)んですが、途中で逃げられちゃったそうです。後、スッポンも釣れてたって。


kas3さん、私もオオウナギ?かと思ったんですが、体長70pくらいで、胴体はオオウナギみたいには太ってなかったです。実家の、目の前の川なのですが、オオウナギが生息してるという話も聞いた事がないです。

2016/8/4 20:04  [1498-4729]   iモードからの書き込み   

オオウナギってマズいのですか。
うなぎって基本はタレで食べるものだから、無問題に思えますけどw

ていうか私にも食べさせてください。
土用の丑の日にうなぎは食べましたが、ほんの3きれ程度・・・OTL
たまにすき屋のうな牛の特盛でも食べたいわぁー♪

2016/8/4 22:22  [1498-4730]   

 超破格comさん  

大ウナギがいるんですか?オオサンショウウオでしょうか?蒲焼きにして食べたいです。

2016/8/4 22:41  [1498-4731]   iモードからの書き込み   

 kt-1500さん  
小作の特大えび天重

破格さんの新HNを祝って小作の「特大えび天重」をプレゼントします。
たらふく食べて下さい。

 うなぎと言えば、ふんわり蒸す関東風と表面をカリッと焼く関西風がありますが、
私は断然、関西風が好きです。

あ〜うなぎ食べたい。

2016/8/5 00:38  [1498-4732]   

 京香っちさん  

ねこさん、3切れじゃ鰻を食べた気しないですね。 父は鰻が釣れたのが余程嬉しかったらしく、今夜は姉と甥っ子と一緒に釣りに行ったそうです。更に2匹(いつもの日本うなぎ)釣ったらしいので、是非食べに来て下さい(笑)
あっ、ついでに鯰も釣ったみたいですよ。鯰も、美味しいですよ〜。



超破格comさん、オオウナギは居ないみたいですよ。昔から、マダラ模様のウナギが釣れてたらしいです。オオサンショウウオは、食べちゃ駄目ですよね〜ってか、グロくて無理(>_<)
お盆に、義兄も帰ってくるみたいなので、皆で蒲焼きにして食べるつもりです。今は、冷凍庫にしまってあります。




kt-1500さん、特大海老天重マジ美味しそう(°∀°)海老天大好き。鹿児島も関西風の焼き方です。うどん蕎麦も関西風。
前回は、魚焼きグリルでやったのですが、火力が足りなかったので、今度は炭火焼きにして食べるつもりです。




この前までは、昔の実家近くで釣ってたんですが、釣果が悪いので、昨日からは私と姉が昔釣ってたポイントに変更。父は、いないと豪語してたんですが、釣果が良くて、気に入ったみたい。私と姉、野性的ですから、あちこち夜釣りに行ってたんです。
天然うなぎ、こんなに釣れちゃって良いのかしら?買ったら高いから釣るしかない。あ、ちなみに餌は天然鮎の切り身です。使った後の残りは冷凍してます。
川の水量が減らないので、鮎の調達が出来ない。暫くは、うなぎ釣りに没頭したいと思います。



2016/8/5 01:26  [1498-4733]   iモードからの書き込み   

 超破格comさん  

kt-1500さん

ありがとうございます(^^)名前は大して変わってませんね(^^)どこかで見た事があると思ったら、私が食べ残した大盛海老天重じゃないか(笑)

京香っちさん

大ウナギでもオオサンショウウオでもなかったら、もしかしたら幻の珍獣チュパカプラかも知れませんね(爆)

高知県の四万十川には天然ウナギが取れるみたいだと、せきぺんさんが言ってました。

天然ウナギは一度だけ定食屋で食べましたが、味は養殖ウナギと変わりませんでした(笑)一万円ぐらい払ったような

2016/8/5 10:17  [1498-4734]   iモードからの書き込み   

天然うなぎって店で食べるとめっちゃ高いんですね。
う〜〜〜ん。

そのへんのスーパーの閉店間際のハーフプライスラベリングタイムの
499円のやつでいい気がしてきたww

2016/8/5 22:24  [1498-4735]   

鰻って生臭くてネチョっとしててそこまで食べたいと思えなかったんですが、3000円の特上丼食べたら世界観かわりましたw

何でもそうとは限りませんがこの時ばかりは値段にふさわしい味だと実感しました♪

キモ吸いも結構苦味が強かったんですがその後からくるうま味が勝りまさに大人の味だなぁとw

2016/8/6 00:10  [1498-4737]   

 京香っちさん  

今日、ショックな事がありました。

ビールを買いに行って、荷室に入れようと思ったら、バックドアの端から端までキズがついてるのを発見しました(>_<)

実家に行って、メンテナンスキットで落ちるかな?と試してはみたんですが、キズが深い(爪がひっかかる)みたいで、どうにもなりませんでした。

姉には、どこか藪みたいな所でUターンしたとかじゃないの?と言われたけど、そんな所には全く行ってないし、月曜日にビール買って荷室に入れる時には、キズはなかったよぉ…。


明らかに、他人が付けた感じでした。もぅ、めっちゃブルーです(∋_∈)



2016/8/6 04:14  [1498-4738]   iモードからの書き込み   

>hi632さん
いいなぁ、特上うな重。
そういえば昔名古屋に行ったときに行列1時間待ちの有名な店でひつまぶしを食べましたが、
すんげーうまかったなぁ。いつかまた食べたいです。

>京香っちさん
傷やられちゃいましたかー! ご愁傷さまです。
ひどいことするなぁ・・・許せん。

私はラーメンを食べようと店の前で路駐バックしたときに電柱と仲良しになり、
リヤハッチにえくぼができました。
交換4万とか言われました。
毎晩さめざめと枕を涙で濡らしております。

2016/8/6 23:32  [1498-4739]   

ゲリラ洪水

うおおおー!
何本ものそうめんが次々と濁流の中に飲み込まれていく。
オレは一本でも多く助けようと、割り箸を渦巻きの濁流の中にダイブさせる。
製麺工場で作りたてのそうめんが助けを求める姿に焦りを感じつつ、
救った(すくった)そうめんをつゆにつけ、ずぞぞー、と一気に吸い上げる。

うまい。
冷たい湧き水、厳選された素材のそうめん、揚げたての天ぷら。
たまりませんなぁ。

本日、新潟は38度の猛暑を記録。
外で流しそうめんを楽しんできました。
なにこの素晴らしき日本文化?

2016/8/7 22:15  [1498-4743]   

その27にカキコミしようとしたらもうオフ会のお知らせ出したんですね♪
シルバーウィークに開催でしたかぁー
てっきり10月の開催と予想してましたぁー(^_^;)>・・・現在、嫁チャンを鋭意説得中です(笑)

嫁チャン連れで行けるか、1人で行けるか検討中&説得中なので、テント泊か、車中泊か迷い中ですょー(-ω-;)

調べてみたら9月の夜なら富山はそこまで暑くないのかなぁーと予想したものの、テントは熱こもるからまだ暑いかな。。。離れた道の駅とかのほうがいいのかなぁ?など調査中でっす(≧∇≦)b

もしかしたらカヤック(2人乗りか3人乗り検討中)購入が間に合えば皆さんで遊べるかなぁーなんて想像してたけど、予算が足りなさすぎました(*≧Δ≦)チキショイ!!
まだコイツを買わなければカヤック買えたかも?と少し後悔させている原因のルーフボックスお披露目画像載せちゃいます(^_-)-☆

分かりずらいですが、密かに中華系粗悪品ナンバーフレームもつけてますσ(^◇^;)

オフ会に参加出来るかも少し説得してきますが、それまでにブーメランやスポーツカイトとか買って、皆さんで遊べるようにしたいのと、休憩所用にタープ購入も検討中ですょ☆・・・低予算のため、破綻の可能性アリですけどね(笑)

2016/8/11 09:54  [1498-4750]   

レス遅れてすみません。

>るーちゃん
おおっと、ルーフボックスは黒だったのですね。
てっきりボディと同色の赤かと思ってました。
でも見てみるとサイドミラーとコーディネートされていてバッチリ似合ってますよ!

ちなみに金属部は1年に一度くらい、5-56などを差してやらないと錆びて腐食します。
前のクルマでリヤタイヤ用のスキーキャリアを使っていたときの経験談です。
気をつけてくださいね。

2016/8/16 07:07  [1498-4761]   

ねこさんお返事おそれいりますー♪
ルーフボックスは前から黒がいいと思ってたので黒にしちゃったんです☆
前に教えてくれたアドバイスのとおり、踏み台も用意して正解でした。556と、上で教えてくれてるタープの件も了解('◇')ゞでっす☆

今回オフ会には参加ができなくなっちゃいましたけど、タープをゲットできたら別の機会のときにでもと思ってるので☆
それとバーベキューグッズもそのうち買ったりする予定なので、ねこさんと次回会うときにそれも使えたらなんてo(^▽^)o

あとあとー実はノブレッセの横流し品の話がワタクシめの所に来てまして、今週末の土曜大黒でゲットする予定です!・・・あっもしかしたらktさんまた遊びにいらっしゃったりも!?( ´艸`)ウフフ

ホントはねこさんオフの時にお披露目できたらうれしいんですが、いかんせん仕事を休めないので、なんとしても別のオフ会でねこさんと再会したいですっ!!!
横流し品のおかげでワタクシめのフィットくんは見た目のカスタム率が30%から80%ほどに上がると思われますー

2016/8/25 15:31  [1498-4776]   

 kt-1500さん  

るーちゃんへ

先週はお疲れ様でした。土曜日は仕事があるので仕事が遅くならなかったら&元気があったらまたひょっこりお邪魔するかもしれません。
ちなみに何時集合で遅くまでいますか?

 ノブレッセの横流し品なんだろう?もしかしてマフラーですか?楽しみですネ。

2016/8/25 18:13  [1498-4777]   

あらっ!ktさんもお仕事なのですね!(^◇^;)
ワタクシめも仕事で、皆さんはもしかしたらオフ会で残ってるひとはいるかも知れないし、解散してるかも知れないのですょ。。。一応20時オフ会終了で残る人は残る帰る人は帰るようです。

なので当日に大黒にいる人と連絡を取り合える用にしてるので、様子をみて大黒行くかどうか検討する感じで考えてます☆

まぁ土曜なので封鎖もありえますので、仕事あとに大黒行くのはちょっと無謀かも知れませんょね。。。σ(^◇^;)

ノブレッセの横流し品は実は数点ありまして♪
もし大黒オフしてる皆さんが解散してたら、密売人さんのもとに受け取りにいくつもりなのです(^_-)-☆

2016/8/25 20:41  [1498-4778]   

ノブの横流し品・・・いいなぁ、なんかオラワクワクすっぞ。
ボンネットカバーとかLEDヘッドライトなどありましたら、ワタクシに下さいw

ちなみに去年の全国オフで展示されていたシフトスイッチですが、
走行中強制的にNに入るというとんでもない不具合があって現在販売中止中とか・・・

2016/8/27 07:56  [1498-4779]   

 えりりんたんさん  

シフトスイッチは実物先週見せてもらったので
話を聞いたところ勝手に入るのではなく枠が粗悪品で熱で変形しボタンが押されてしまうとのこと
今回デザインがノブレッセ、システムはミラリードが行ってますが対応しているのはミラリードとのこと
枠の発注はおそらくミラリードが行ったと思いますがそれを決めているのはノブだと思われるのでどちらかというとノブの責任だとは思うのですが、動きが悪いと聞いてます

なんかノブの対応はかなり良くないと聞いてます
エアロ大丈夫だろうか

2016/8/27 23:45  [1498-4784]   

ぬるふふふ♪夜更かし銀るーです(笑)

ktさん☆先日もお疲れさまでした(笑)
ktさんがふらっと来てくれたので楽しかったですー♪

ねこさんも気になる横流し品あるときはお知らせしますね(^_-)-☆
それと今回ゲットしたアイテムの取り付け完了したら、またお披露目に参上したいと思いますですー

ノブのシフトスイッチ。実物触らせてもらったんですけど、ポチっと押して入る感じ、、、気持ちいいですっ!!!
たぶん不具合は大丈夫なのかなぁとは思ったけど、詳しくは知らなかったです。。。それとついでにパドルでエンジンスタートも触らせてもらったらアレはいいですねー!
楽チンの度合いがかなり上がるのとカッコイイですっ☆

大黒に集まる人はカスタムの度合いが高くてすごいなぁーと思う反面、ワタクシめのカスタムしてない感が出てきて、少しばかり悔しくなってしまいますぅ〜(^◇^;)

2016/8/29 02:51  [1498-4789]   

 kt-1500さん  

二週連続の大黒オフ楽しかったです。
今回は関西遠征組の中にアルフォンスさんがいて短い時間でしたけどお会い出来てよかったです。
「ネコさんの富山オフ日曜だったら行けたのに〜」と、残念がってました。

 るーちゃん号、一気にカスタムが進むようで羨ましいです。かみさんにばれぬようこっそり取り付けたら写真UPお願いします。

2016/8/29 08:27  [1498-4790]   

いいねー。
私も関東遠征したくなりましたよ。
アルフォンスさんも残念です。でもいつかどこかのオフ会で会えます。
ヌルフフフ。
あー・・・暗殺教室のアニメ、もうすぐ終わってしまう。
渚たんカワユス♪(って男だろ)

2016/8/30 00:20  [1498-4793]   

だめだー!また画像の投稿ができないー!!!
なんでかスマホで画像投稿できないですねー(^_^;)

まぁーしょうがないので、ご報告を☆
明日、フィット本でるみたいですょー!ハイパーレブとかいうやつになるのかな??

何人かの人が行くのを知ってたので、ワタクシめも行ってきまして、一応写真は撮ってもらいました♪

なのでもしかしたら小さく載るかもですー(^_-)-☆

明日からノブレッセの横流し品取り付けするけど、そのあとにだったらよかったのにと少し残念にも感じますが、雑誌に載るのは記念になるので楽しみですっo(^▽^)o

2016/8/30 19:53  [1498-4794]   

小説「Step Up !」いよいよ佳境です。
本日アップした、マーストリヒトの街並みから丘の上にかけてスプライトが散歩するシーン、
実はここがいちばん書いていて楽しい場面でした。

この物語を書くにあたって、実際のオランダのマーストリヒトに行って取材してきましたが、
ほんとうにステキな街でした。
数日間この街を歩き回って、この場所でスプライトはこんなことをした、こんな気持ちで
歩いていた、という設定を思い浮かべていました。

この小説が終わり次第、そのオランダ旅行記も開始する予定です。
小説を読んだ人はもちろん、ふつうに旅行記としても楽しめるものですので、
どうぞご期待ください。

2016/8/30 22:57  [1498-4796]   

今日、映画「君の名は」を観てきました。
近年稀にみる素晴らしい映画だったと思いました。
まだ観ていない方は、できれば映画館の迫力ある映像と音で楽しんでほしいと思います。

2016/9/3 23:39  [1498-4802]   

せっかくだから画像のせたいのにできない。。。ちゃんとJPEG選んでるんだけどなぁ・・・あっすみません!どーも銀るーです<(_ _)>

「君の名は」は騒がれてる作品なんですねー!知らなかったので、聖地巡礼してる人が続々といると聞いてビックリでした(^_^;)

昨日の栃木オフいってきましたょー☆
全部で100台以上集まったそーです!!(;・д・)スゴイデスネー

そして、ついにワタクシめのフィットさんがノブマフラー付いちゃいました♪
猫さんのオフ会でも現れるヒロミツさんがとりつけてくださったのです!!!
やっぱりDIYできるのってすごいですねー!かっこいいですねー!!
ホレボレしちゃいましたっ(●´∀`●)ウフフ

画像がうまく乗せれないのが残念ですが、記念に同じノブマフラーつけてるみん友さんと四本出しのお尻を並べて撮りましたけど、車体とマフラーをキレイに撮るのって難しいんですね。。。。+゚(*ノ∀`)・・・嬉しいのに悲しいなんて(笑)

2016/9/12 20:37  [1498-4829]   

 ケルル侍さん  

金曜日から土曜日と完全に車中泊モード。うぅ、俺は留まらない!

2016/9/15 18:26  [1498-4839]   

 kt-1500さん  

ケルルさん、復活おめでとうございます。

そのまま、新潟行っちゃいますか?

2016/9/15 21:25  [1498-4842]   

 ケルル侍さん  

一緒に行っちゃいますか?

2016/9/15 22:00  [1498-4843]   

 ケルル侍さん  

日本海見たい

2016/9/15 22:01  [1498-4844]   

 kt-1500さん  

ケルルさんへ

新潟でプチプチオフやりますか?
土曜、日曜どちらが良いですが
後はメールかTELで

2016/9/15 22:51  [1498-4845]   

 ケルル侍さん  

KTさんへ
土曜日が良いですね。今晩発ちます。

2016/9/16 05:27  [1498-4846]   

 京香っちさん  

今年は本当に台風の当たり年みたいですね。

ずっと逸れてた台風ですが…とうとう鹿児島直撃しそうな感じです。

このまま予報円の中心を進むと、マジでヤバイ。

今夜の夜更けから火曜日にかけて暴風域かな。

皆、台風の時は家でおとなしくしてましょう。てか、うちの旦那に言いたいわ。台風なのに、果樹園が心配だからと出掛ける。今日もハウスに上ってビニール剥がすらしい。自然の力には勝てないんだから、命を大切にしろと言っても伝わらない。


かなり久々の大型台風なので、実家裏の川の増水も心配。旦那の作業状態も心配。


2016/9/19 04:26  [1498-4861]   iモードからの書き込み   

 価失.comさん  

ケガや死んでからでは遅いですよ! 作業はやめさせたほうが良いかと思うけど、、

2016/9/19 10:11  [1498-4863]   

今回の台風の規模はハンパないですね。
九州・四国・東海の各太平洋側という広範囲の地域に1日の降雨量が300ミリとか。
避難指示・避難勧告もかなり広範囲で指定されてるようです。
とにかく安全を第一に判断・行動してほしいと思います。

2016/9/20 00:38  [1498-4866]   

 京香っちさん  

今回の台風16号は、昨日の予報円の中心より下を通ってるので、被害は最小限に収まると予想。
これが、予報円の中心より上を通ったら、被害は凄いでしょう。


今は市営住宅で鉄筋コンクリートだから、然程風も感じません。
平成16年に来た台風は、風の通り道にアパートが建っていて、玄関は開かない。瓦が飛んだり落下する音がずっとしてる。南側にしか雨戸がなく、東側の窓は強風で今にも割れそうだったので部屋の隅に逃げてました。隣家の瓦で新車は傷だらけ。停電も18時間くらいでした。あの時の台風は本当に生きた心地しなかったです。今でもトラウマ。



今回は九州を縦断する台風にならなくて、良かったなと思ってます。


あと、今回は吹き返しの風の方が強いように感じます。

2016/9/20 02:35  [1498-4867]   iモードからの書き込み   

 京香っちさん  

めちゃ最悪です。


2回目の停電がきて、電気が復旧しないと思って外を見たら、街灯や団地の階段は点いてる。隣の家はメーター回ってるから電気が来てるようなんです。

そう、我が家だけ停電してる状態みたい。これって、何が原因?どうしたらいいの?何処に連絡したらいいの?

電気がつかないと、めっちゃ大変ですよね。


ちなみに、ブレーカーや漏電ブレーカーも下りてません。

2016/9/20 03:36  [1498-4868]   iモードからの書き込み   

 京香っちさん  

こんばんは。
今日は、電気の有り難さを実感しました。

夜7時20分頃
お風呂に入る前に、エアコン入れようとリモコン触った瞬間に…全ての電気が消えました。勿論、部屋のブレーカーは落ちてません。
先日の台風の時と全く同じ症状でした。団地は4階建て、各階4部屋です。

図にすると○は点いてる。×は付いてない。

4階 ○×○×
3階 ○×○×
2階 ○×○×
1階 ○×○×

こんな感じです。街灯、階段は点いてます。今まで、聞いた事のないような特殊な停電の仕方でした。

九電に電話して(第一報)来てもらいましたが、原因がつかめず…。その後に、別の電気工事会社がきて、いろいろやってました。


団地の人達や子供達は外に出てましたね。
私は今夜電気が復旧するかも不明だったので、懐中電灯とロウソクの灯りで、夕飯の準備をしてました。御飯は鍋で炊きました。



電気が復旧したのは、夜10時頃でした。
あー、やっと暗闇から解放されたぁって感じでした。団地の会長から話を聞かないと詳細は解りませんが、こんな変な停電もあるんだなって思いましたね。


旦那が帰宅したのは、電気が復旧してから30分後でした。


電気が点くって、やっぱ幸せなんだと思います。


今回、一番役に立ったのは、釣りでも使用している3WAYタイプのLED懐中電灯でした。普通の懐中電灯では、料理なんか出来ないです。


2016/9/24 02:52  [1498-4892]   iモードからの書き込み   

コネ名かば さん  

2016/9/24 09:21  [1498-4893]  削除

>京香っちさん
台風が過ぎ去った後も大変ですね。
でも真夏の停電じゃなかったのが不幸中の幸い。
もし真夏だったら、エアコンも扇風機も付かない、冷蔵庫・冷凍庫の食材は
あっという間に傷んでダメになってしまいます。
そしてスマホのバッテリーが半分を切ったときの心細さったらもう。

こんなときは全てを諦め、プラモデルでも作って現実逃避をするのが一番です。
私なんて電気が正常なときでも現実逃避してますからね。

2016/9/24 09:46  [1498-4894]   

にちりんさんへ。気づいて貰えるといいんですけど。。。(^_^;)

みんからでコメント入れてくれたのを確認しましたけども連絡先などのせるのは危ないので削除させてもらいましたので、ご報告にあがりました。

急にみんからのコメント削除されたのでビックリかも知れないので、こちらにちりんさんはいらしたのでコメント入れさせてもらいました。すみませんー(>_<)

2016/9/24 13:30  [1498-4895]   

やるぞバナージ! 力を貸せ、ユニコーン! ですとろーい♪

やるぞバナージ!

ようやく完成しました。
フルアーマーユニコーン レッドカラー。
よくわからないとは思いますが、フル塗装です。
完成まで1ヶ月もかかりましたw(単に他に忙しかっただけですが)
ゴテゴテ装備がえらく苦労したガンプラでした。
なにこのプロペラントタンク。飾る場所がないってのw

ちなみに左手のビームジャベリン、劇中ではクシャトリヤ・リペアードが持ってましたね。
バナージ「いらねーよこんな近接用の武器なんて。どうせタンクぶつけっからな」
マリーダ「使わないのなら私がもらう」
なんてやりとりがあったのかもです。

次はRGシナンジュを作ります。
バンシィノルンも欲しくなりましたが、ゲロまみれのコクピットを想像すると
食欲が失せるのでたぶん買いません。

2016/9/25 09:51  [1498-4897]   

 京香っちさん  

こんばんは。

ちょっとお伺いしたい事があります。
Fitのテールランプの一番下の部分って水が入り込みますか?
この前、洗車してて気付いたんですけど、テールランプの一番下に水が入り込んでるみたいで、緑色の苔?のようなものが…。
ホースの水圧上げて水をかけると、水が入っていくのがわかりました。左右とも同じです。
これは、仕様なのでしょうか?

写真貼り付けられたら、解りやすいと思うのですが、ガラケーなので、すみませんm(__)m

2016/10/4 01:52  [1498-4919]   iモードからの書き込み   

 ケルル侍さん  

たぶん水は入る仕様ではないはず。
でも実際は入る( -_・)?じゃないですかね。

自分は泡とか入っちゃってます

2016/10/4 08:05  [1498-4920]   

>京香っちさん
テールランプ内に水が入るのは異常だと思います。
寒い朝とかに結露する程度なら自然だと思いますけど、水をかけて
内部に侵入していくのが見えるというのは、どう考えても普通じゃないです。
ディーラーに見てもらったほうがいいと思いますよ。


さて、今度の休みには地元のフィットオフ会に参加してきます。
フィット全シリーズのオフ会はなかなかないので楽しみです。
ちなみに河川敷の公園なので周辺はなにもなく、昼食は各自で
予め用意してくること、とあります。
何気にドキドキですw

2016/10/4 11:42  [1498-4921]   

 京香っちさん  

ケルル侍さん、ねこさん

やっぱ仕様じゃないんですかぁ…(>_<)
中に入り込んだシャンプーの泡がなかなか切れなくて水を沢山使いましたね。
自分で洗車したの初めてだったから、なかなか気付かなかったです。

ついでにテールランプ下を押すと、ベコベコ凹みますか?


もうすぐオイル交換なので、その時に聞いてみますね。ついでに、窓が開かなくなる対策もしてもらおうとも思ってます。

2016/10/4 15:31  [1498-4922]   iモードからの書き込み   

 ケルル侍さん  

猫さんは水入らないんですか&#8265;
自分は水入っても泡入ってもそのまま放置してます。だってどうにもならないし。まっ、フィットだしって諦めてました

2016/10/4 19:25  [1498-4923]   

私のには、水は入ったことはないです。
社外フォグランプ内部によく結露することはあります。
中国製ですからw

リフレクターの取付なんかでテールランプのユニットをよく外してましたが、
水の侵入とか水漏れとかは、いまのところ確認されてないです。
ちなみに配線がへたくそで、リフレクターの片方がよく光らないことがありましたが、
現在はきっちりピッカリ点灯するようになってます。

ディーラーに強く言えば交換とかしてもらえると思いますよ。
拒否されたら、その場で「やだやだやだー!交換してくれなきゃやだー!」
と泣きながら駄々をこねればきっとやってくれますw
(その後ブラックリストに載るかもですが)

2016/10/5 09:48  [1498-4924]   

 京香っちさん  

昨日、座ってて突然の腰痛と呼吸困難みたいな状態になり、座ってても寝てても立ってても激痛。自力では運転無理な状態で旦那に電話したら、救急車を呼んだみたいで、そのまま病院へ行きました。


総合病院→別の婦人科と、いろいろ検査しましたが、原因は解りませんでした。

血圧が、異常に高い数値(200越え)
極度の貧血状態、中性脂肪も異常な数値
右の卵巣が肥大化(5p)


前日、焼肉食べ放題に行ったのと、帰宅後に飲酒、病院に運ばれる直前に食事したばかりだったので、昨日の血液検査はあてにならないとは思いますが、かなり不安です。去年の12月に血液検査した時は、貧血のみしか言われなかったんですけど。


なので今日は、別の病院で血液検査(検査結果は後日)、胃カメラも飲みましたが、そこまでの大きな異常は見つからず。血圧は、それでも180‐100でした。

残すは整形外科です。


とりあえず、今日は激痛はありませんでした。


皆様も、お身体大切になさってください。


2016/10/6 23:39  [1498-4925]   iモードからの書き込み   

京香っちさん

お久しぶりです。

卵巣の肥大による腰痛じゃないですかね?

また、血圧も高い状態だと糖尿病も考えられます。

と言っても自分は医者じゃないのでわかりませんが、卵巣の肥大5cmは結構大きい気もします。

血液検査ではヘモグロビンA1C(HbA1c)「血糖の月平均値」で糖尿病かそうじゃないかがわかりますのでその辺もチェックしてみてください。

ともあれ、心配ですね。

不安をあおるつもりではないですが、もし結果が出ても不明と回答があったら病院をかえて再検査した方がいいと思われます。

何事もなければ良いですが。

お大事に。

2016/10/7 02:53  [1498-4926]   

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すこし有給をとれば、今年のゴールデンウイークは10連休!

そんなキャッチコピーを見て「いいね、そういうリア充は」とふてくされていたが、
連休のはじまる数日前に会社から「仕事がないから10連休にする」と言われた。
うっわ。
リア充と対極に位置するやつでも10連休になるんだ。

ならば貧乏は貧乏なりに、有意義な旅をしようではないか。
そう思い立った。
四国など南へ向かう旅というのも考えた。
四国も酷道さえ気をつければ素晴らしい大地である。

しかしだ。新潟から高速を使って四国へ渡ろうとすると、片道約2万円かかる。
さらにガソリン代もけっこうかかる。遠くて疲れるし。心の底から疲れるし。

新潟から北海道へフェリーにクルマを載せて行くほうが、むしろ安い。
ガソリンもかからない。じぶんで走らないから疲れないし。
これだ。
今年のGWは北海道へ行くことに、なんとなく決定!

ネットで新日本海フェリーのHPを見てみると、たいていの日はまだ空席がある。
5月1日往路(行き)、7日復路(帰り)のフェリーを予約した。

道内5泊の旅か。これならたいていの「行きたいところ」を紡ぐ旅ができるだろう。
行きたいところへ行くのはいいが、車中泊の旅を原則としよう。
貧乏である、というのが主な原因ではあるが、車中泊=貧乏旅という図式は必ずしも成り立たない。
朝起きて即出発、という瞬発力の高さ、宿を目的地にする必要がない、など一人旅で
「無駄を省く」行為を突き詰めると、車中泊を選択することが多いのだ。

道内の1日目は基本的に「初めて北海道を旅した原チャツーリング」の思い出の地を巡り、
2日目は富良野・美瑛を遊びつくし、3日目以降は道東を巡る旅、という感じで行くことにした。
また、ヘビーデューティーシスターズという自作の小説の舞台となった様々な場所も必然的に
巡ることになるだろう。

10連休と言われてわずか数日の猶予しかなかったので、充分な現地の情報の収集や準備が
できなかかった。
それでも、情報に関しては行く前に収集するのではなく、行く途中で、もしくは現地で収集する
といったスタイルにしてみようと「お気に入り」のシステム化を重点的に行った。
道の駅をはじめとする車中泊に適した場所、最寄りの名所などをまとめたサイトを見つけては
お気に入りに登録しておく。
装備品に関しても、無駄なものはできるだけ省き、可能な限りシンプルな装備にした。

これで、いいのだ。
というより、そうすることが精一杯だった。

2016/5/12 00:20  [1498-4491]   

旅するソングライター さん  

2018/12/5 07:05  [1498-4492]  削除

車内の様子 助手席の様子 新日本海フェリーターミナル フェリー搭載待ちのクルマ群

出発の朝がきた。
小雨の降るあいにくの天候だが、現地では晴れの予報なので気にしない。

準備作業も大詰め、というかもうアディショナルタイムだ。
天気予報を見ると、北海道のいまどきの最低気温は氷点下なのだと。
そういえば昨日まで雪がドサドサ積もっていたとか話題になってた。
5月になってまで降雪とか積雪とか信じられないわ。

毛布を余分に持っていこうか迷う。
迷った末に電気毛布を積んだ。
ふつうに毛布として使え、イザというときにはクルマのコンセントに繋いで
あったかぽかぽかになれる優れモノだ。これは使えるだろう。

また、カセットコンロとヤカンも積んだ。
寒い朝とか、湯を沸かしてコーヒーやインスタント味噌汁が飲めると嬉しいはずだ。

さあ、いよいよ出発だ。

8:30ジャージ姿で自宅を出発。
どうせフェリーの中ですぐ着替えるのなら、今からジャージになっておいてもよかろう。
途中、スーパーで弁当と惣菜パンをゲット。
フェリーの食事は予め買っていくのが費用削減の第一歩だ。

新日本海フェリーのターミナルに到着。
ターミナルの奥には主役のフェリー「らいらっく」がスタンバイしている。
全長200メートルの大型旅客フェリーだ。

誘導係に従って船内搭載用の駐車場の最後尾に続いてクルマを止める。
ざっと見て100台以上のクルマが停車している。これら全てがあのフェリーに乗るわけだ。

受付を済ませると、いよいよ乗船だ。

2016/5/13 00:19  [1498-4494]   

車両甲板 ステートB ツインルーム さらば新潟 船内のようす



前のクルマに続いて走り、タラップを上ってフェリー内の車両甲板へ。
「サイドミラーをたたんで、サイドブレーキしっかり引いておいてください」
係員の指示に従い、クルマを停める。
トレッキングシューズを脱いでサンダルに履き替え、荷物を持って階段を昇る。
大きくて実感が湧かないが、もう船の中だ。

フロントに乗船券を見せ、船室のカギを受け取る。
「お客様はステートBのいちばん奥のお部屋になります」
言われた通りに進むと、のぼるの部屋はすぐ見つかった。
ステートBハンディキャップツインルーム。
これは車椅子の人が優先して利用できる部屋で、通常よりもひとまわり広い間取りとなっており、
ひとりで利用するにはかなりの優越感に浸れる。

そもそも、こんないい部屋を利用するつもりはなかった。
しかし、5月1日出発の便はなぜか繁盛期外であり、少しだけフェリー代が安く、
しかも個室を一人で利用するのに優遇されていたのだ。
そんなわけで今回は「行きだけ」ではあるが、個室を利用することにした。

ふつうの雑魚寝部屋は毛布と枕だけしかないが、この個室は空調完備、テレビ、湯沸かしポット、
洗面用具、ハンガーなど至れり尽くせり。
ベッドもふかふか。
この上のグレードとなるとデラックスルームとスイートルームになるが、どんな部屋なのか
ちょっと見てみたい気がする。

10:30 ほたるの光が流れ、新潟港を出港する。
雨と風がややあるので、船内はけっこう揺れる。
扉の開かないエレベーターに延々と乗っている感じだ。
酔う人とかいそう。

出港してしばらくすると携帯の電波が圏外になる。
それはネットも不通になることと同義であるため、ネット依存症ののぼるは陸に上がった河童と化す。

ひまつぶしに船内を見てまわる。
映画などを上映するシアタールームで、ちょうど参加無料のビンゴ大会が開催されていたので
参加してみるも、ビンゴならず。
特賞は船内2000円利用権だった。いいなぁ。豪華な夕食が食べられるじゃん。

部屋に戻り、お昼ごはん。
朝買っておいた「炭火焼の焼き鳥丼」とインスタント味噌汁。
半熟卵が真ん中にのっかっており、少し崩して黄身を鶏肉にからめて食べると
うまさのあまり「ウホっ! これ以上ワシを泣かさんといてやー」とか言いそうになる。
ひとりでメシ食ってるときにそんなことを声に出したりしたら、それはそれで変態ではあるが。

昼過ぎになると、雲の切れ目からいよいよ太陽が顔を出し、青空が広がっていった。

2016/5/13 23:17  [1498-4498]   

人気の「プロムナード・ソファー」 いい天気になったけど寒っ! スペシャルディナー 極上の晩酌

午後からはいよいよヒマになった。
甲板に出て海風にあたったりしたが、この時期はまだ寒く長時間外にはいられない。
レストランのメニューを見て、上陸したらアレ食べたいコレ食べたい、と妄想したり
ゲーセンに行ってセガラリー2など大昔のアーケードゲームの現役稼働に感動したり
自分なりに楽しんだ。

部屋に戻り、テレビをみながらお茶をしたり。
テレビではNHK−BSでアニソンライブの番組をやっており、意外と面白い。

それでもひまで、ついには昼寝。
夕方目覚め、船内アナウンスでレストランで夕食開始の案内が流れたところでディナー。

カップめんと惣菜パン。
もちろんそんなもので満足できるはずはない。
だが、今はそれで良しとする。上陸したら安くてうまいものを食べられるのだから、ガマンガマン。

夕食後に風呂に入り、日が暮れたそのあとでとっておきのビールとつまみで晩酌。
ビールは「風味爽快ニシテ」という新潟限定。かなりうまい。
つまみの貝の缶詰とウニ味のポテチも美味。

部屋の外では子供が騒ぎながら駆け回っている声が聞こえる。
子供の頃からこういった船旅ができるのは幸せだ。子供心に船旅が幸せに思えるかどうかは知らんが。

持ってきた北海道の情報誌をパラ見しつつベッドで横になる。
明日は早朝5時に小樽に到着の予定なので、早めに寝よう。
そう思って明かりを消す。

・・・・・。
なかなか思い通りに眠れないんだこれが。

現在の心境を吐露すると、実は今までにないくらい落ち着いていたりする。
むかしの自分なら神経ぶち切れるくらいハイテンションになっていて武者震いが止まらず
ワクワク感とか半端なかったのに、現在は非常にクールな感じになっている。
もちろん上陸はとても楽しみだし、道内をこんな長期間走っていられることにこの上ない幸せを
感じているのだが、前から計画していた旅でなく、いきなり思い立った旅であることから
心がまだ実感できていないのだろう。
まあ、いろいろ旅をしてきた経験から、少し落ち着けるようになったのもあるだろう。

とはいえ、眠れない。
たまねぎスープを作って身体を温め、改めてベッドにもぐる。

明日の予定は、小樽→積丹半島→ニセコ→洞爺湖→支笏湖 を巡る。
車中泊の場所は未定。支笏湖畔の過ごしやすい駐車場があればそこに泊まる感じ。

2016/5/14 10:26  [1498-4500]   

早く出発したい気持ちを抑える いよいよ上陸! 小樽のすき屋 毎度おなじみ、まぜのっけ

真夜中の丑三つ時。3時くらい。
目が覚める。

まさかの超早起き。
もし到着が5時であるならば、その1時間前にアナウンスが流れて起床となるのだが
それよりも早く、しかも目覚ましとか頼らずに目が覚めるとか、ありえん。

目覚めてしまったのなら仕方ない。中途半端に二度寝するよりもこのまま起きてしまえ。
というわけで、準備をはじめる。
ジーンズとシャツに着替え、荷物をまとめた。

ようやく起床を促すアナウンスが流れたところで準備が終わり、お茶を沸かして身体を温めた。
テレビの天気予報を見ると、道内は概ね晴れ。4日頃に北から天気がグズつくらしい。
まあ、5泊もするなら多少の雨に降られてもおかしくないか。雨男だし。

自動車乗りの客に対して車両甲板への通路が開放された。
多くのドライバーとともに階段を下りて甲板のクルマのところへ戻る。
さっそく荷物をきっちりまとめる。
フェリー生活の入ったデイバッグの中身を、日帰り温泉セットに換え、
車内の後部寝室フロアにブログ更新用タブレットを設置、助手席に通信・閲覧用タブレット、
そしてナビ脇にスマホを配置し、それぞれ充電コードをクルマ側とつなぐ。

あとはナビの準備。
本日これから向かう行先の電話番号やマップコードを次々と入力していく。
いまどきのドライブは、「目的地入力」にまごつくと多大な無駄が生じる。
だから、電話番号やマップコードを予めメモに書いておいたり、タブレットで素早く検索できるよう
お気に入りを整理しておくことが重要になる。
また、移動順に複数の目的地を並べ替えるナビ操作手順も、パパっとこなせるようになると快適。

一連の準備がだいたい終わると、前方のクルマが発進していく。
いよいよ発進だ。

のぼるの愛車、FIT3ハイブリッド。
後部座席をダイブダウンさせることにより、巨大な平面ラゲッジルームが生まれ、
なんとそこに人ひとりが楽に足を伸ばせて寝ることができる。
車中泊のできるコンパクトカーというのが、FITシリーズにおける最大の特徴。
このクラスのクルマで車中泊が楽にできるのは、このFITだけだ。

そして、荷物や人をたくさん載せてもパワフルに走るDCTエンジンは快適なドライブを
約束してくれる。
このクルマで今までいろんなところに連れていってもらったが、今回も頼りにしてるぜ相棒。

係員の指示に従って、発進、タラップを下って船の外へ。
鮮やかな朝焼けに照らされた港町・小樽の街中へ。
「っしゃー! やってやるぜ!」

上陸してすぐにすることがあった。
朝めしだ。
5時という早朝で開いている店など限られているが、ちょうどすき屋の朝食タイムが
始まる時刻ではないか。
というわけで、小樽のすき屋に駆け込んでパっと「まぜのっけごはん定食」320円を食べた。
やはりすき屋はどこへ行っても味は一緒。
北海道だからといって道内産牛肉など使ってはいない。

2016/5/15 09:58  [1498-4502]   

祝津パノラマ展望台 遠くに小樽の街が見える セタカムイ道路防災記念公園 慰霊碑

朝のカロリーを摂取したところで、本格始動。

小樽の市街地を走る。
6時にもなっていないのに、意外と車通りがある。
やっぱ港町だけあって朝は早いのだろう。

海沿いを走ると、ものの数分で祝津パノラマ展望台に到着。
おたる水族館と遊園地を過ぎた丘の上から見下ろす小樽の街と朝日に照らされた日本海。

そう、ここは何年も前に来たことがある。
原チャで初めて北海道に来たときだ。
キャンプツーリングも、ソロのロングツーリングも、北海道も、全てが初めてだったあのとき。
期待と不安と寒さで身体が震えていたのをよく覚えている。
懐かしいものだ。

今はどうだ。
それを思い出して懐かしむ余裕、何が起ころうとも揺るがぬ自信。
そんなものが心を落ち着かせてくれている。

この展望台は、海から昇る朝日と海に沈む夕陽が同じ場所にいながら見られる所。
沈む夕陽は見たことないけどね。
小樽は、この旅を終えたときに帰りのフェリーに乗る場所でもある。
スタート地点にしてゴール地点なのだ。
北海道を思い切り楽しんで、無事にこの地に帰って来よう。
そう誓いをたて、のぼるは再び出発した。

余市を過ぎ、海沿いのいくつかのトンネルを抜けると「セタカムイ道路防災記念公園」に到着した。
トンネル同士に挟まれた、わずかばかりの土地に建てられた海沿いの公園だ。
ここは、旅をするにあたり個人的にどうしても来たかった場所だ。

ここは1996年に起きた、豊浜トンネル崩落事故の慰霊碑がある公園なのだ。
バスに乗っていた20名の尊い命が、巨大な岩石の崩落によって失われたという忌まわしい事故。
のぼるは、それを小説HDSの設定のひとつに取り上げた。
重要で真面目な設定として、仮に遺族がその小説を読んでも気を悪くすることのないよう
細心の注意を払って書いたつもりだ。

だからといって素通りのできる場所ではない。

目の前に豊浜トンネルの圧倒される岩盤がそびえ立つ、そんな地にある慰霊碑。
黙祷。
慰霊碑の後部には、亡くなった方の名前が刻まれていた。
黙祷。
犠牲になった方のご冥福を、ただただ祈る。

気をとりなおして、出発した。

2016/5/15 19:02  [1498-4504]   

遠くの山はまだまだ残雪たっぷり 神威岬の駐車場 さあ丘の上へ歩き出そう 女人禁制の門

少し走ると、港町の傍らにセイコーマート(以下セイコマ)を見つけたので休憩。
店員の若いおねーさんは朝の入荷を棚に並べるのにてんやわんやしているところだった。
変わったモノの物色もロクにできず、とりあえず寒かったので86円のホット缶コーヒーを買って外に出た。

本当は、淹れたてのコーヒーが欲しかったところだが、まあ仕方ない。
だがセイコマでEdyが使えるのには驚いた。
新潟でよく見かけるセーブオンでは、2016年春現在まだ導入していないのに。

セイコマで更に驚くことがまだまだあるのだが、それはまたもうちょっと後の話になる。
さて、先に進む。
次の目的地は積丹半島の神威岬。
積丹半島の先端から、更に突き出た絶壁の岬。
そこも小説の舞台になった場所だが、実は行ったことがなかったので、この機会に
見てみたかったのだ。

積丹半島の海沿いの道路には多くの食堂や民宿が並ぶ。
ほとんどの店のウリは、ウニである。
積丹のウニは極上であると言わしめるほどの美味さだ。
一度だけ、開店と同時に食堂に入ってその日の朝採れたてのウニを使ったウニ丼を
食べたことがあるが、甘くて濃くてまろやかでとろける。今までのウニを軽く凌駕する美味さだった。
ここより美味いウニが食べたいならば、もはや礼文島へ行くしかないだろう。

とはいえ、あいにくGWの季節はまだウニ漁が解禁していないので地元産ウニを食べることはできない。
だからスルー。
朝だからどこも開店してないし、いきなり一食3000円クラスとか出せないし。

しばらく進むと、神威岬への入口のゲートが見えた。
だが、ゲートは閉じられており「8:00開門予定」という看板が。
えー。マジかよ。

一瞬、スルーして次の目的地を目指そうか、と思ったりしたが、せっかくここに来たのだから
開門を待つことにした。どうせあと20〜30分ってとこだ。
近くの草原の空地に駐車し、運転席からラゲッジルームに移動。
ネット用タブレットを起動。
ニュースをチェックしたり、ラインしたり、本スレのクソレスに釣られカキコしたり。
30分程度のひまつぶしはネットをやっていればあっという間だ。

神威岬へのゲートに戻ると、オープンしていたので、岬へ進む。
広く整備された駐車場にクルマを停める。
すでに何台か観光客のクルマが停まっており、みんな次々と岬の先端に向かって歩き始めていた。
ここから徒歩で20分ほど進むと神威岬の先端まで行けるというので、のぼるも負けずと
プチトレッキングの準備。
左右が海風吹きさらしなので絶対寒いだろう。長袖の春ジャケットに冬用のフリースを着こんで
安心装備となった。

丘の上に「女人禁制の門」がある。
かつて女性がこの地に来ると海が荒れるという伝説があり、長い間女人禁制の地となっていたが
現在はそういった制限はないので、女性でも安心して来れる。

2016/5/17 09:04  [1498-4508]   

遥か彼方に神威岬灯台が 神威岬灯台 海上に立っているのが神威岩 また戻るのかよー

左右が切り立った断崖の上を歩く。
安全を考慮して手すりが設置されていたり、足場の悪そうなところはグレイチングが設置され、
基本的には老人でも安全に歩行することができる。
とはいえ、なかなかの高所なのでカリオストロ城の屋根を歩くようなスリルを味わうことができる。

いい天気。青空に青い海。
この海は積丹ブルーと呼ばれ、その澄み切った青色が訪れる人を魅了する。
海がキレイだからウニも美味いわけだ。

先端の神威岬灯台に到着。
駐車場から770m、約20分歩いてきた。ここがゴール、というか折り返し地点。
灯台はやや背が低いものの海抜そのものが高いので無問題。

さらにその先端から見下ろすと、海の上に突き出たような高さ41mの岩礁があった。
それが神威岩。
神威岩は、源義経との悲恋で命を絶ったアイヌの酋長の娘チャレンカの生まれ変わった姿と
言われている。
その呪いに引き寄せられるように多くの自殺者が後を絶たなかったという。

その伝説こそが、HDS真子編の重要なポイントとなるファクターだ。
失恋した真子が自殺するためにこの地を訪れたのは偶然ではなかったわけだ。
そしてこの地で出会った男性から託された手紙。
その手紙の秘密が解き明かされたとき、信じられないような真実が、浮かび上がるのである。
詳しくは本編を読んでほしい。

さて、来た道を再び戻る。
風が少なく、気温がどんどん上昇してきて、2枚の上着を脱いでTシャツ1枚にした。
どんどん観光客が押し寄せてきており、次々とすれ違っていく。
ほんとうに人気スポットなのだな。

駐車場に無事戻った。
ベンチに腰掛け、ペットボトルの水を飲んで一休みした。
9:00か。
これからニセコのふもとの京極の吹き出し公園、そして洞爺湖へ向かおう。
だいたいそのあたりで昼食になることだろう。
洞爺湖ではお楽しみ温泉タイムが待っている。いやほんと楽しみだ。

そんな感じで、神威岬を後に出発した。
しばらく海沿いの気持ちのいい道路を走る。
たしか原チャで来たときはこの道路は開通していなかったので、比較的新しい道路だ。
それもそのはず、いろんな岩場を縫うような道路なので、その工事の大変さが伺える。

2016/5/18 09:47  [1498-4510]   

蝦夷富士・羊蹄山 羊蹄山吹き出し公園 きれいな水が湧き出ている 給水所は芋の子を洗うにぎわい

岩内を過ぎると、今度は内陸の道路となる。
小樽から函館を結ぶ幹線道路、国道5号にぶつかると、さすがににぎやかになってくる。
このへんから林の隙間から雪をかぶった霊峰アンヌプリの姿が見えてくる。

倶知安の街ではリゾート地ニセコが近いこともあり多くの店が道路沿いに立ち並んでいる。
そういえば大切なことを忘れていた。
ガスコンロとヤカンを持ってきたのはいいが、屋外でそれを使う場合に風防が必要になるだろう。
困る前に買っておこう。
ホームセンター、ホーマックで台所のガスコンロ用のレンジグリルガード152円をゲット。
ペラペラの素材だが、石などを置いて自立させれば立派に風防になるはずだ。

倶知安の街を過ぎると、再び田舎道になる。
蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山を右手に、広大な畑が彼方まで広がっている。
初めて北海道に来たとき、この羊蹄山の雄大さに感激したっけな。
あれから何年経っても、この山はいつもここにある。

道の駅 名水の郷きょうごく「吹き出し公園」に到着した。
その名の通り、湧き水の名所だ。
羊蹄山に染み込んだ雪や雨が何年も経って天然のフィルターにろ過されて地下水となり、
この地に湧き出ているのだ。
地元の人はもちろん、道内中からこの水を求めて人が訪れるという。

そんな名水のスポットということもあり、かなり人気。
駐車場には次から次へとクルマが押し寄せ、緑あふれる施設内にはたくさんの人でにぎわっている。

なにはなくとも水を汲まなくては。
こんこんと湧き出る水を汲む場所があり、みんながこぞって水を汲んでいた。
とりあえずその水を飲んでみる。
Tシャツだけでも汗ばむような気温なのに、ひんやりと冷たくておいしい。
天然の氷水って感じだ。
真夏にここで流しソーメンやったら、ぜったい流行るわ。

とりあえず、持ってこれるだけのペットボトルに水を入れ、車内に置いておく。
これで旅の間の水は、いつでも好きなだけ飲むことができる。

施設の露店ではいろんなものが売られていた。
名水のコーヒー、かき氷、いもあげ、ザンギ(唐揚)などなど。
レストランも併設されていて、地元の食材を使った食事なんかもできる。
もうね。水が美味しいとなんでも美味いんだろうな。

もうお昼か。
露店のザンギに心惹かれつつも、なにも食べずに先に進む。
経費節減である。

2016/5/19 09:12  [1498-4514]   

ルスツの芝生公園 贅沢ランチターイム 洞爺湖に到着 かつてこのへんでキャンプしてた

洞爺湖へ向かってすこし進むとルスツの街に着いた。
夏は遊園地や別荘、冬はパウダースノーのゲレンデで1年中楽しめるリゾート地である。

オシャレなレストランや喫茶店があちらこちらにある中で、のぼるはセイコマに直行する。
焼うどんとナポリタンミートボール、計246円を購入。
なんという安さ。
セイコマのコスパは、いかなるリゾートをも凌駕するのだ!

すぐ近くの道の駅「230ルスツ」の裏手にある広大な芝生の広場で、ベンチテーブルに座って
優雅なランチタイム。
誰も歩いていない広場。この広場全体を貸切状態。なんという贅沢♪

間違っても、ベンチでひとり侘しくコンビニパスタ食ってる、とは思わない。絶対にだ。

さて。午後からもがんばろう。
ルスツから少し走ると、やがて洞爺湖に到着。
初めて北海道に来たときにベースキャンプにした地である。
湖の真ん中に島のある特徴的な湖であり、かつて世界中の国の首脳が一堂に集まって会談した
「洞爺湖サミット」が開催された地としても有名だ。

湖畔のふもとに下りて、かつてキャンプした箇所を探索した。
あれからそうとうな年月が経っており、いろんな建物ができたり湖畔が整備されたりしてたが、
今もなお無料キャンプ地として続けられていた。
そうだ、ここだ。
松の木の下、ダンロップのテントを張って、ヌッシーとイクラちゃんたちと一緒にキャンプを
したっけな。
なんとも懐かしい。

今の時期はまだシーズン前なので静かだが、がんばってテントを張っているオートキャンパーも
少しいた。
このご時世に無料のキャンプ施設など、なかなかないからな。

懐かしついでに、当時よく行ってた温泉施設に行ってみた。
丘の上に佇む平屋建ての日帰り温泉「いこいの家」だ。
そのとなりには、当時ヌッシーとイクラちゃんがバイトをしていた洞爺サンシャインホテルが
建っていたが、朽ちて廃墟と化していた。
当時あれだけ客が入っていたのに、なんてこった。

いこいの家に入った。広い休憩場には家族連れが2組ほどしかいない。
入場料440円。
あまりの懐かしさに、受付のおばちゃんと話し込んだ。
おばちゃんは昔からここで働いていたようで、当時の思い出なんかを語ってくれた。
むろん、のぼるのことなど覚えていないが。
今では撤去された食堂、そのカレーのうまさを語ったら「そうそう、あのカレーは評判でねぇ♪」
と微笑んでいた。

さっそく温泉に入る。
やった、誰もいない。貸切だー!
露天風呂もサウナも無く、室内風呂のみではあるが、とにかく絶妙な湯加減なのだ。
熱くもなく、ぬるくもなく、長く浸かるのにちょうどいい。

大きなガラスからは洞爺湖が一望できる。
そうそう、バイクで来たときは丸1日雨で、ここに来て雨宿りしてたときがあった。
せっかくのツーリングなのに雨でどこにも行けず、1日中この温泉で浸かったり
休憩場で甲子園の中継を見たりしてたっけな。
あの雨の灰色モノトーンの洞爺湖の姿を忘れることはできない。
はやく晴れろ、くそったれ。そう何度も心の中で叫んだものだ。

2016/5/20 07:49  [1498-4517]   

廃墟と化した洞爺サンシャインホテル 懐かしきいこいの家 いこいの家から洞爺湖を一望できる 昭和新山でFIT3オフ会?

運転の疲れを癒し、さっぱりしたところで広い休憩室へ。
利用客が少なくて、より広く感じられる。
まあ、いまの時代に内風呂ひとつだけ、というのはいささか寂しいかもしれないが
小高い丘の上に施設とあって、そこからの眺めは最高だと思う。

まあ、一口にリゾートと名高い洞爺湖といえど、賑やかなのは反対側の岸で
リゾートホテルや土産物屋が乱立し、夜は毎日のように花火が打ち上げられる。
それに対してこちら側はあまり人気が少なく、アウトドアでのんびりと過ごす人向けの地だ。
もう少し暖かくなれば、こちら側も賑やかになるのではなかろうか。

さて、もうすぐ夕方。
再び出発し、洞爺湖の湖畔の道路を走る。
今日は、できれば支笏湖のあたりまで走って車中泊したいところなので、もうひとがんばりだ。

洞爺湖を半周すると、リゾートホテルの乱立する地域にたどり着く。
そこから少し南へ行くと、昭和新山がある。
小高い山の中腹からモクモクと噴煙があがる、観光名所だ。

そこでちょっと土産を買っていこうかと思い、駐車場に停めようとしたときのこと。
目の前に自分と同じFIT3が4台も連なって並んでいるではないか。
なんつー偶然。
なんかFIT3のオフ会をしてる気分になる。
仕切るぜぇー。超仕切るぜぇ〜!
ただし、そのうちの2台はリヤハッチのとこにレンタカーのステッカーが貼ってあった。
なんだ、借り物だったか。

この昭和新山も原チャで来たことがある。
この施設内にある「昭和新山ガラス館」という、ガラス細工の土産物屋でマンボウのガラス細工が
とても気に入ったのだが、バイクで持っていくことが困難だったため、泣く泣く諦めたことがあった。

今回はクルマなので、そんな心配はなかったが、値段がけっこうする。
ここはひとつ、交渉してみるとしよう。
店員のおねーさんに、招き猫のガラス細工を根気よく値引き交渉してみたら5%引いてくれた。
ラッキー♪

さて、また出発。
洞爺湖へ戻り、今度は東を目指す。
山間部の国道をひたすら走り、支笏湖を目指す。
ほとんど手付かずの原生林が果てしなく広がり、キツネや鹿の姿がときどき見える。
そのシチュエーションも新鮮なのだが、しだいに飽きてきて眠くなった。
まあ、今日は朝早くから走っていたから仕方ない。

睡魔に勝てず、クルマを道路脇の駐車スペースに停めて、仮眠をとった。
もうちょっとで支笏湖なのだが、居眠り運転で事故るわけにはいかない。

2016/5/21 06:48  [1498-4518]   

きのこ王国 きのこ汁ときのこカレーパン 支笏湖に到着 支笏湖休暇村

1時間ほど経って目が覚めた。
まだ明るいのでがんばって走ろう。

山沿いの国道をひた走る。
意外と車通りがあり、あまり疎外感はない。
ただし前にトロいのが走ってると、自分のペースで走れずにイラっとする。
見通しの良い直線になると同時に・・・
「ブースト・オン!」
ステアリングにあるボタンを押す。
エンジン音がひときわ甲高く吠え、一気に加速して前のクルマを追い越す。
FIT3HVの必殺技、Sモードである。
本来はシフトノブの前方にその起動ボタンがあるのだが、プチ改造で
ステアリングにスイッチを配置してあり、操作性を向上させているのだ。

長流川に沿って走っていると、そのうち「道の駅 フォーレスト276」に到着した。
コンビニもなく、休憩施設の少ないこの国道における数少ないオアシスであり、
多くのドライバーの憩いの場所だ。
建設当時から世界一大きなログハウスをうたっているが、いまだにそうなのかちょっと疑わしい。

その施設のとなりには「きのこ王国」という大きな建物がある。
食事処と土産物屋、地元採れたての新鮮野菜売場なんかがあるところだ。
ここのウリはなんといってもきのこ。
山あいの土地で年間を通じて降水量が多く湿気にも恵まれているので、きのこ天国なわけだ。

ここで売られているのがきのこ汁で、一杯なんと100円。
これはぜひ戴かなければ。
もうすぐ日暮れの時間とあって、閉店間際のようだったがなんとか買えた。
一緒に売られていた「きのこカレーパン200円」もゲットし、テーブル席で食べた。
きのこ汁は100円にしては充分なボリュームで、身体も温まっていい感じ。
カレーパンも、きのこの食感が残って歯ごたえが面白い。味もグッド。

なんかいいタイミングで栄養を補給できた感じ。
再び出発したが、もう眠気はどこへやら、集中力がみなぎる感じだ。
今の「道の駅 フォーレスト276」で車中泊することも想定していたが、
もうちょっと先に進めるのでスルーとした。

30分も進むと、ようやく支笏湖が見えてきた。
林に囲まれたでっかい湖。

大きさ的には洞爺湖を同じくらいだが、こちらはあまりリゾート化はされていない。
実際に湖畔を走ると、どこかに必ずビューポイントやらがあってよさそうなのだが、
支笏湖はそれが「全く」ない。
なのでどこかで湖の写真を撮ろうと思っていても、道路と湖の間には林が生い茂っており、
どこか開かれた撮影ポイント、という場所はマジで無い。

間もなく日が暮れる、というところで「支笏湖休暇村」という施設に到着した。
支笏湖の中の数少ないリゾート施設で、ホテル、土産物屋、食事処、そして遊覧船や
貸しボートなんかが楽しめる複合施設だ。

とはいえ、今の時期はまだシーズン前で、閑散としている。
日暮れ時なので当たり前なのかもしれないが、そのへんを散策してみても人の姿もクルマも少ない。

だが、24時間利用できる駐車場とトイレがあるので、車中泊の場所としては申し分なしだ。
まわりにクルマがいないぶん静かに眠れそうではないか。

2016/5/22 22:23  [1498-4519]   

人気のない休暇村 ほんとに人気のない休暇村 道の駅 サーモンパーク千歳

本日の車中泊会場は、この「支笏湖休暇村」にする気まんまんになっていた。
駐車場の中でいちばん平坦で静かでトイレに近い場所をチョイスしたり、周辺を散策したりした。
あたりはすっかり暗くなった。
まわりに停まっていたクルマは同じ車中泊組かと思っていたら、次々と出ていってしまい、
駐車場にはのぼるのクルマ1台だけとなってしまった。

ま、それはそれで別にいい。
さて、どこかで酒とツマミを仕入れてきますか。それで今日はもう終わりだ。
そう思っていた。

しかし、現実は非常なものだった。

酒とツマミ。
ふつうならそのへんに店があって、ふつうに買えるもののはず。
だが、ここでは周辺の店などは閉店されてどこも営業していない。
ナビでいちばん近いコンビニを検索してみるが、ここから25キロも離れた千歳にしかない。
25キロって・・・片道30分かよ。往復1時間かよ!
フザけるな。

完全にお手上げ状態となった。
車内にビールは1缶だけクーラーボックスの中にあるが、ツマミはなにも無い。
そんなんで明朝まで約12時間、あとは水だけなんてイヤですよ。
車中泊のなにが楽しいって、酒とツマミで楽しく(ひとりでも)過ごすのが醍醐味だろー?

ここはダメだ。あらかじめどこかで食材を買ってからここへ来るべきだった。
ならば、コンビニのあるところへ行こう。
千歳か。千歳だな。千歳へ行こう。
でかい空港があるから開けてるはずだ。そこへ行けばなんとでもなる。

かくして支笏湖休暇村を後にして、暗がりの中千歳へ向けて発進。
途中、いきなり雨が降ってきやがった。
うそだろ。
今朝フェリーのテレビで見た天気予報だと降水確率は0%だったはず。
オレは現代科学の数値を覆すほどの雨男だというのか。あんまりだ。

30分ほどでJR千歳駅周辺の都市部に着いた。
さすがにビジネスホテルや商店街が並ぶアーバンシティ。
繁華街から少し離れたところにあった「道の駅 サーモンパーク千歳」へ行ってみた。

道の駅というからには24時間使えるトイレがあるのは当たり前だが、
そこはなんとローソンが併設されていた。
なんと便利。素晴らしい。全ての問題が一挙に解決されたではないか。

ルンルン気分で駐車場に停める。
雨もほとんど止んだし、運がツイてきたな。
まわりに停まっているクルマは、そのほとんどが車中泊スタンバイ状態だった。
ウインドウにカーテンかけてるクルマや、キャンピングカーも数台いた。

エンジンを切る前に、いちおういちばん近いセイコマの場所を検索してみた。
するとここから約300mのところにあるのだ。おお、素晴らしい。さっそく歩いて行こう。

リヤハッチ・リヤウインドウにぴったりに切った黒ボードをはめ込む。
それだけでカーテンのかわりになる。今回から導入した新兵器だ。
カーテンよりも圧倒的なスピードで設置できる。
そしてジャージに着替え、財布を持って外へ。

寒い! とてつもなく寒い!
雨が降ったあとで、夜で、つい先日まで雪が積もっていた北海道。
寒いっての。
セイコマを諦めて目の前のローソンで用を足せばよかったのに、どうせなら北海道限定の
コンビニで買いたいって思ったわけだ。

で、その300mの間に3件のラーメン屋があって、最後の1件の誘惑に負け、吸い込まれるように
のれんをくぐった。
「らーめん 時来也」にーちゃんとねーちゃんの2人で営んでいるこじんまりしたラーメン屋だ。
みそラーメンを食べてみる。
鳥白湯系の味噌スープというのも珍しく、あっさりした中に独特のコクがある。
麺もコシのある中太縮れ麺でスープとの相性もいい。
うまかった。身体もぽかぽかだ。ごちそうさま。

セイコマでツマミを買ってクルマに戻る。
ツマミだけ買って戻るはずが、なにラーメン食って780円払ってるんだよ。
いくら寒いからって贅沢してるんじゃねーぞコラ。

そんな後悔をしながら車内で晩酌。
そして23時には布団に入った。
電気毛布を使おうとしたら、電圧異常で使用不能。なんでだよ!
仕方なく「着る毛布」を上掛けして寝た。

ギリギリ暖かかった。これより寒かったら最終兵器のシュラフを出すところだった。
おやすみなさーい。

2016/5/22 23:49  [1498-4520]   

みんな車中泊組だった あさごはん しばらくずーっと田園風景 道の駅三笠の名物やきとり

バンバン!
近くでクルマのドアを閉める衝撃音がして目覚める。
見てみるとのぼるのクルマの両隣に車中泊のワゴンが停まっており、親子連れが
そこから出入りしていた。
くっそー、うるせー。
いつの間にこんなにたくさんクルマがひしめいていたのか。寝てるときは気づかなかったわ。
ねこバンバンに反応した猫がボンネットの中から出ていくように、おずおずと外に出た。
朝7時だ。

いい天気。太陽が出ている。
昨晩は雨だったのでどうなることか心配したが、朝日と青空が見れて安心。
今日はいい天気になりそうだ。

ローソンでおにぎり2つを買い、ついでにポットからお湯をもらう。
保冷・保温のできるマグボトルにインスタント味噌汁を作った。
そしてFITのリヤハッチを全開にし、そこに腰かけて食べた。
車内の換気も兼ねた朝ごはんだ。

さて、出発準備。
敷布団はそのままに、掛布団だけ畳み、着替えた後に黒ボードを取り外す。
運転席に座り、ナビを起動して本日の目的地を次々と入力していく。
本日の予定は、札幌の少し北の美唄へ行って憧れのソウルフードをゲットし、
そこから富良野・美瑛エリアを攻略するのだ。
富良野・美瑛では時間の許す限り絶景スポットを巡りたい。

てなわけで、出発。
昨晩の雨でクルマが見事に汚くなっていたので、近くのスタンドで洗車した。
潮の汚れとかもキレイに洗い流し、さっぱりしたところで改めて出発。

千歳の市街地を過ぎると、いきなり広大な田園風景となった。
もう、地平線の彼方まで畑やら牧草地帯やら花畑やら。
昨日の山間部の道路もそうだったが、こういう雄大な田園風景もまた北海道らしい景色だ。

しばらくそんな風景を楽しむ。
岩見沢に入ると、また市街地っぽくなるのだが、4車線の道路なのでかなりスムーズに流れる。

10時に「道の駅 みかさ」に到着した。2時間も走っていると肩が凝るわ。
この道の駅のウリは、露店のザンギと焼き鳥。
とにかく焼き鳥の香ばしいにおいにやられてしまう。
大きなもも肉のねぎまが一本120円。その大きさを見ると「安いな」と思えてしまい
2本くらいテイクアウトしてもいいか、と思った。
しかし、みんな同じことを考えており、かなりの行列ができていた。

まあ、もうちょっとすれば美唄に着くから、そこでうまいもんが食える・・・はずだ。
そこまでガマンしよう。
ザンギも、いちおう明日の夕方に弟子屈のうまい店を探しておいたので、そこで食べる予定。
だから今はガマンなのだ。

2016/5/23 23:11  [1498-4521]   

角屋 店というより工場と事務所だ

美唄に到着した。
ここで売られている「うまいもん」とは果たして何なのか。
ナビに従って美唄病院を過ぎたあたりで「目的地に到着しました」というアナウンスが。
しかし付近にはべつに食堂やスーパーなどは見当たらない。
仕方なくそのへんをブラついてる地元のおじさんに聞いてみると「すぐそこだよ」という。

見てみると、平屋の民家に大きめのシャッターが設置されたような、そんな建物で
看板も何もない。
見た感じ誰もいない。
ほんとうにここは店なのか。

恐る恐るシャッターの内部へ入ってみると、奥の窓の向こう側で4人ほどのおばちゃんが
クリーンスーツを着て何かを袋詰めする作業をしているのが見えた。
ああ、どうやらここで間違いなさそうだ。
この店が、目的地の「角屋」だ。

作業をしていたおばちゃんの一人が外に出てきた。
「いらっしゃい」

2016/5/24 21:20  [1498-4523]   

角屋のやきそば 美唄の桜並木 山間部を富良野へ向かう 犬がかわいいw

のぼるは勇気を振り絞って注文した。
「やきそばください」

なんと、この「角屋」はやきそば屋だったのだ。
しかも、食べる場所なんてない。テイクアウト専門だ。
それもそのはず、ここのやきそばはソフトめんタイプの、いつでもすぐに食べられるやきそばなのだ。

定番のソース味、塩味、そしてイカスミを使っているのか、真っ黒な「石炭やきそば」という
3種類があるようなのだが、GW期間中はソース味と塩味しか作っていないということだった。
では2つずつ、合計4袋をゲット。1袋100円ポッキリというのが激安だ。

要冷蔵ということなので3袋はクーラーボックスに仕舞っておく。
そして、運転しながら塩味のやきそばを食べてみた。
袋から麺を引っ張り出して、そのままかぶりつく!
麺はもちもち、塩ダレのオリーブオイルっぽい油がからんでなかなか美味。
いいねえ。これで100円はコスパ最高でしょ。
ただし、上手に食べないとかみ切った麺がバラバラと落下してしまうので、注意が必要。
運転しながらエレガントに食べるのは、難易度かなり高いわ。

さて。
北へ向かう国道12号。
美唄からその北にある滝川へ続く約30kmの道路は、日本一長い直線道路として有名だ。
単純計算、30分走りっぱなしとして延々真っすぐの道路。
意外と景色はバリエーションが多彩で、街あり農園ありで単調ではなく飽きることはない。

だが、夜になると爆走するやつが多く、2015年ではこの道路で壮絶な死亡事故が起こり、
連日のようにニュースになっていた。
http://matome.naver.jp/odai/214338191285
1695801


途中で右に曲がり、今度は山間部の道路を富良野へ向かって走る。
気温もどんどん上昇し、Tシャツ1枚だけでも汗が出てくる。
ドアバイザーまで窓を下げ、微風が肌に当たるくらいにするとちょうどいい感じだ。
今からだと富良野に到着するのはお昼を少し過ぎるくらいだろう。

富良野で食事といえば、個人的にはカレーライス一択。
駅前に「唯我独尊」というカレー屋があるのだが、スパイシーで激ウマなのだ。
今ではいろんなテレビで紹介されて、たくさんの人が知っている店になってしまったが、
味が落ちていないことを祈る。

2016/5/24 22:08  [1498-4525]   

行列のカレー屋「唯我独尊」 メニュー 2階の様子 自家製ソーセージ付カレー

富良野にだんだん近づいていくと、脇道から合流するクルマがどんどん増えていき、
しまいには渋滞となってしまった。
目の前に信号、その先に橋、さらに信号。
渋滞になるわけだ。

ようやく渋滞を抜け、富良野の市街地に入る。
市街地もたくさんの人でにぎわっている。
いい天気で絶好の行楽日和とくれば、この富良野に来る道民も多いのだろう。
ということは、人気のカレー屋も・・・・

カレー屋「唯我独尊」に到着。
その予想は悪い意味で大当たり。店の前には行列ができていた。
トムソーヤに出てくるハックルベリー・フィンの木の家のような、アメリカンな
木造2階建の、小ぢんまりした店だ。
かれこれ20年以上営業しているこの店も、繁盛していて何よりだと思っていたが、
いざ自分もその行列に並ぶという実害を被ると、トホホな気分になる。

行列の最後尾に並ぶが、のぼるの後に並んだ親子連れが、とにかくうるさい。
子供を静かにさせられないならば、こういった行列には並ばないでほしい、というのが本音だ。

屋外の庭先にもテーブルがあり、そこに座る客に運ばれたカレーを見てギョっとした。
オムレツがトッピングされているのだ。
半熟とろとろタイプオムレツ、以前はなかったものだ。
最近の新しいメニューのようだが、うまそう。マジでうまそう。
ここのウリはなんといっても自家製ソーセージを乗せたカレーなのだが、
そこにさらにオムレツトッピングしたら、もう昇天必至のウマさに違いない。

いくらするのだろう、とメニューを見てみると、カレーライス+ソーセージ+オムレツで1490。
ぬふぁ。高すぎる。いいとこ1200円だろー?

ようやくのぼるが席に案内された。
2階のテーブル席で、若い夫婦との相席だった。
1階も2階もかなり狭いが、テーブルの配置が絶妙なのか、ひしめくような雑多感はないし
となり同士でヒジとかがぶつかったりすることもない。
注文は、オムレツ無しの、カレーライス+ソーセージにした。それでも1130円。
待ってる間に喉がカラカラで、水がうまい。

となりの夫婦がうまそうに食べているのを横目でチラチラ見てたら、いよいよのぼるのカレーが到着した。
ソーセージは長さ10cm、太さ2cmほどのものが一口大に切られて、ライスのてっぺんに鎮座している。

ターメリックライス、カレー、ソーセージを咀嚼し味わう。
以前食べたときの記憶が鮮明によみがえる。
カレーはとにかくスパイス命。こってりしたヨーロピアンカレーで舌にピリっと刺激のある
辛さなのだが、クドさがなく辛みも後を引かずにスっと消える。
ソーセージはスーパーで売られているのと訳が違い、歯ごたえのある固さで噛めば噛むだけ
肉汁があふれ出てくる。まったくもっていつまでも噛んでいたくなるソーセージなのだ。
そうそう、この味だ。昔と変わらない味に安心した。

ちなみにルーは若干量が少ないが、ルーがなくなったら1階の厨房に皿を持っていって
「ルールルルー♪」と言うと無料でルーを追加してくれる。
自分のときだけ「いい大人がなにバカ言ってんの?」とか言われたら再起不能になりそうで、
ちょっとだけドキドキする。

お腹いっぱいになって店を出た。
14時。
次は山奥の白金温泉に向かおう。

2016/5/25 22:21  [1498-4527]   

あの山を目指していくのだー 大渋滞の中にティンテッドFIT3がいたのだー 白髭の滝なのだー 白金四季の森ホテルパークヒルズなのだ



富良野の市街地を抜け、田園ののどかな風景の中を富良野岳と十勝岳の雄大な山脈へ向かって走る。
春の富良野ドライブの醍醐味ってやつだ。

むかし十勝岳温泉の超ボロっちい宿に泊まったことがある。
木造2階建で2階が客の寝室なのだが、壁が一切なく、布団が大雑把に敷かれていて
好きなところで寝ろ、という超絶アバウトな宿であった。
しかしすぐ近くの温泉は標高があるせいかすごく気持ちがよかった。

今回はそのもう少し北になる「白金温泉」へ行くことにした。
山間にあるホテルの日帰り入浴が割引になるクーポンがあったので、それを使おうかと。

山間部のワインディングロードも快適。
昔はもっと狭くてアップダウンとコーナーの連続で大変な道だったが、かなり道路を改修したようだ。

しかし。

美瑛に繋がる道路に合流したとたん、信じられないほどの大渋滞が。
なんだこれ。こんな山奥で大渋滞とかありえないだろ。
いったいこいつら、なにが目的でこんなとこ来てるんだ。

彼らの目的はただ一つ。
「青い池」である。
美瑛の山奥にひっそりと広がる池。アルミニウムの粒子が光に乱反射して池がコバルトブルーに
見えることから「青い池」と呼ばれている。
マッキントッシュのアップル純正壁紙のひとつに採用されたり、いろんな旅番組で紹介されたりして
かなり爆発的なブームになったのだろう。

のぼるも、時間があれば寄っていこうかと思っていた名所であったが、こんなに混雑してるなら
風情もあったもんじゃないので、今回は見送ることにした。

青い池の駐車場への道を過ぎると、ようやく渋滞が解消された。
まったく、1km進むのに1時間とかフザけすぎだっての。

目的地のホテルはそこからすぐに見つかった。
白金四季の森ホテルパークヒルズ。やたら長い名前のホテルだ。
この近辺には似たようなホテルが数件立ち並んでおり、山間のリゾート地になっている。
陽気に誘われるようにそのへんを散策している観光客もちらほら。

ホテルの駐車場にクルマを停め、入浴セットをデイバッグに準備する。
ホテル内に入る前に、すぐ近くにあった「白髭の滝」を見学した。
絶壁から何本もの糸が流れ落ちるような繊細で優雅な滝。
よく見ると岩の隙間から流れている箇所もある。
そう。ここは湧き水の噴出口が同時に滝となっている、かなり珍しい滝なのだ。
いいね。いいですね。もう滝マニアにはたまらない場所ですよ。

即席の滝マニアになりきったところで、ようやくホテルに入る。
けっこう近代的できらびやかなホテル。一泊15000円くらいしそう。
フロントで「とほ宿」を見せると日帰り入浴1000円のところ600円で入ることができた。
2階の大浴場へ。
意外と人が少なくていい感じだ。

内湯はちょうどいい湯加減で、いつまでも入っていたくなる。
スルスルと肌になじむ湯がとても気持ちがいい。
サウナもあって、じっくりと汗を出したあと、露天風呂へ。
涼しい山の風がなんと心地いいことか。
ああ・・・天国ってこんなとこにあったんだぁー・・・
ハハハハ・・・ティファもはやくおいでよ〜♪



ティファって誰。

2016/5/26 21:50  [1498-4530]   

三愛の丘からの眺め 反対側は十勝岳の雄大な景色 牧場の少女カトリの舞台のよう ホクレンショップ

さっぱりした。
湯上りの天然水が冷たくて素晴らしく美味。
この水はホテルのすぐ近くにある湧き水らしく、そこに行けば誰でもいくらでも汲めるという。
飲み水は昨日「吹き出し公園」で汲んだが、冷たい水がもらえるならば、汲みなおすのも
やぶさかでない。

美瑛に向かってクルマで5分くらいのところに「美郷の霊水」というところがあり、
そこで水を汲むことができた。
神聖な神が宿る地の湧き水とあって、小さな神社のような建物があった。
とりあえずお参りをして、湧き水をいただく。

さて。
16時を過ぎた。まだまだ明るいがのんびりもしていられない。
美瑛に来たならば、やはり雄大な田畑の景色を楽しんでみたいものだ。
ここから近い展望公園は「三愛の丘」という所で、10分ほどのところにあるらしい。
ではさっそく行ってみよう。

山間部から美瑛の市街地に向かって走る。
だんだんと平地が多くなってくるが、べつに景色がいいとは思わない。
新潟にいれば基本どこにでも見れるような風景だ。
しかし、ナビに従って道を折れ、小高い丘を上り詰めると・・・

言葉を失うとはまさにこのこと。
丘の上から緩やかな下りに沿って広大な畑が連なり、そこからさらに上り坂に沿う畑が
彼方まで広がっている。
まさにパノラマ。
畑はまだ開墾中で何も植えられていないところがほとんどだったが、それでも見応えは充分。

尾根に沿った道路を走ると、間もなく三愛の丘に到着。
クルマ数台ぶんの駐車場とトイレ、そして丘の上からの展望台。
美瑛の田畑の広がる展望、その逆には十勝岳の雄々しい山脈が連なってそびえている。
なんとも美瑛らしい風景だ。
写真を撮ろうを思っていたところで、展望台のカップルが自撮り棒片手に写メをこれでもかと
撮っていて、なかなか場を譲ってくれない。
気持ちはわかるが、そのへんの雑草を引っこ抜いて投げつけたくなる。

とりあえず景色を堪能したところで、いよいよ本日の車中泊会場の選定をしよう。
いや、その前に今晩のメシと酒とつまみの買い出しだ。

美瑛の市街地へ行くとホクレンショップという農協ストアのようなスーパーがあったので
そこで買うことにした。
晩メシは昼間に買ったやきそばを主食として、必要なのは野菜系の何かだな。
いろいろ迷いながら、ごぼうと豆のサラダ、ポテトチップス、あと明日の朝食用に
たまねぎパンなるものをチョイス。
あとは酒。サッポロクラシックという北海道限定ビールの、さらに春限定のやつがあったので
迷わずそれを購入。

よし。
あとは車中泊の場所を決めるだけだ。

2016/5/27 22:17  [1498-4533]   

ジェットコースターの道 なんというアップダウン 景色も申し分なしだ 公園駐車場(高感度撮影)

直近の道の駅を検索すると、まったくもって目と鼻の先に「道の駅 びえい丘の倉」があった。
こんな簡単に車中泊できる場所に巡り合えるとは、今日は昨日と違ってラッキーかな。
そう思っていたが、現実は違った。
その「道の駅 びえい丘の倉」に行ってみると、まず駐車場が狭く日当たりがやけに悪く
さらに車中泊しようとするクルマでかなり溢れていた。
極めつけは、JRの線路のすぐ近く、という車中泊する場としては最悪の立地。

ここはダメだな。
そう思って別な場所を探した。

国道沿いだが穴場的な公園駐車場があるとのことで、行ってみた。
公園と地産農作物の直売所の併用駐車場だが、この夕方の時間では公園で遊ぶ人もおらず
直売所も閉店していて百台ほどの駐車場はほとんど利用者がいなかった。
トイレはすぐ近くにあるからOK。
少し奥まっているからかなり静かでOK。
舗装が水平なところが多いので安心して寝られる。
そして、目の前にローソンがある! これはポイント高い!
これはもう決定。というよりここ以上の場なんてちょっとやそっとじゃ見つからないわ。

文句なしに、この公園駐車場を車中泊会場にすることに決定。

しかし。
まだ日は暮れていない。
あと1時間くらいは遊べるだろう。
せっかく来たのだから、日が暮れるまでめいっぱい遊んで、それからまたここに帰ってこよう。
そう決断し、再び出発した。

たぶんあと一箇所だけしか巡れないので、美瑛でいちばん行ってみたい所へ行こう。
それは・・・「ジェットコースターの道」である。
真っ直ぐの道路ながらアップダウンの激しい道で、そう呼ばれているところがあるのだ。

JR美瑛駅の次の駅「美馬牛」のすぐ近く。
国道から脇に入ると、そこがジェットコースターの道のスタート地点だ。
いきなり視界が開け、見渡す限りの田園風景。
そこに一本の道路が突き抜けているのだ。
丘陵に沿っていくつもアップダウンを繰り返す。
少しスピードを出すと、下り坂になる瞬間に心臓だけがもっていかれる感覚を覚える。
いや、たしかにジェットコースターみたいだ。
しかもすげえ景色の良さ。

夕方だというのに、ここを目当てに訪れてきたクルマもたくさんいて、坂のてっぺんに
駐車して撮影している人もいた。
ヘタすると、すれ違う瞬間にストロボたいてのぼるのクルマを撮ってる人までいた。

いやぁ、堪能した。
美瑛のビューポイントはたいていの所は「行ってよかった」「来てよかった」と思える場所
ばかりだというが、ホント外れナシだな。
この道を往復したところでぽっくりと日は暮れた。

さて、さっきの公園駐車場に戻ろう。

2016/5/28 00:20  [1498-4534]   

ねこフィットV(さん) さん  

2016/5/28 09:43  [1498-4535]  削除

今日の夕食 ビールうまー!



公園駐車場に戻った。
相変わらず閑散としていて、車中泊しようとしているクルマは2〜3台程度。
静かなものだ。

とりあえずいつでも寝れるように準備をする。
まず、黒ボードをリヤハッチガラス、後部ウインドーにはめこむ。
次にカーテンを前座席に取り付ける。
これでだいたい後部ラゲッジルームは外部から見えなくなる。
あとはそこで明るいランタンを照らしても大丈夫。

ランタンは楽天で買った安物を後部突っ張り棒に引っ掛けて光源を安定。
あとは助手席のヘッドレスト後部のランチトレイにクルマのカギなどの重要な小物を置いておく。
ジャージに着替え、モバイルの準備もOK。タブレットのバッテリーも昼間に充電しておいたので
これから数時間思いっきり使っても大丈夫。仮にバッテリーが切れても100Vの常時電源が
使えるので問題なしだ。

あえてひとつだけ問題があるとするならば、テレビが観れないことだ。
ナビを起動すれば見れるのだが、そのためだけに運転席に移動するのもめんどい。
車中泊環境のラゲッジルームで観たいのだけど、タブレットでは観れないし、スマホだと
画面小さくてストレスだし。
そう思ってDVD付ポータブル液晶テレビを買おうかと思ったものだが、安物はイマイチそうだし
良さげなものは高額なので現状は断念。
やはり今買うならフルセグがいいしなぁー。

車中泊準備が整ったところで、ひまつぶしに隣のローソンへ行った。
すると、リヤに大荷物を載せたオフロードのライダーがやってきた。中年のおじさんだ。
もう日が暮れたというのに、これからキャンプ場や宿に向かうのだろうか。
そう思って聞いてみたら
「いやいや、私は富良野に住んでいる者で、これから帰るところだよ」
との事。
地元の人だったのか。大荷物を積んでいるからてっきり道外の旅人かと思った。
今日は天気がよかったので、旭川へ遊びに行ってきたのだそうだ。

おじさんライダーと世間話をしたあと別れ、クルマに戻った。
さあ夕食にしよう。お腹ぺこぺこだ。
クーラーボックスからやきそばを取り出し、さっき買ったサラダもテーブルに並べる。
ソース味のやきそばも美味。別添の紅ショウガもいいアクセントになっている。
サラダもゴボウがシャキシャキと歯ごたえあって、野菜食ってる感がちゃんとある。

夕食後はネットで動画を見ながらビール。
近頃はモバイル環境でも遅延なしで動画が見れるので嬉しいわ。
そんな感じで有意義に過ごし、23時に就寝。

昨晩と比べてかなり暖かい夜で、風もないおかげで過ごしやすかった。
さて、明日は天気が下り坂になる予報だが、どうなることやら・・・

2016/5/28 09:43  [1498-4536]   

朝食 ローソンおにぎり100円セールは嬉しい 朝の駐車場 静かでのんびり やっぱり雨 旭川紋別自動車道

完全ぐっすり熟睡で6時起床。
なんともさわやかな気分で朝を迎えた。
しかし空は昨日とうってかわってどんよりとした雲が一面を覆っている。
これは早めに行動しないとやばいような気がする。

朝食は昨日買った「たまねぎパン」があるが、それと水だけではわびしい。
なので、ローソンでおにぎりをひとつ買い、お湯をもらってオニオンスープを作った。
これでまともな朝食になった。
たまねぎパンは生地にたまねぎを練りこんだパンらしく、ほのかにオニオンの甘さがある。
これがオニオンスープとベストマッチ。まいうー。

朝食後、すぐに準備を整え、7時前には出発した。
すぐ近くにけっこう安い24時間営業のスタンドがあったので給油。
この旅で最初にして最後の給油であった。

走りはじめて10分も経たずに雨が降ってきた。
しかも本降りで当分やむ気配がない。
早めに出発して大正解だ。雨の中車内撤収作業とかけっこうめんどいからな。

本日の目的地はふたつ。
最初は「うきうきランドキャンプ場跡地」
むかしそこのバンガローに泊まって、その晩に幽霊を見たり翌朝クマの足跡が地面に無数に
刻まれていたりと、七転八倒の体験をした思い出の場所だ。
いろんなオカルトめいたウワサばかりで近年閉鎖されてしまったのだが、近くを通るので
その跡地を見に行くのもよかろう、ということだ。

もうひとつは屈斜路湖と摩周湖。
今日は弟子屈でザンギのうまい店で夕食を食べる予定。その付近の見どころといえば
なんといってもその2つの湖なのだ。
以前3度ほど来たことはあるが、快晴だったのは初めて来たときだけだった。
あとは雨やら霧やらでダメ。
なんとなく、今回もダメそうな予感がするが、道東エリアのほうが天気がまだ良いとのことなので
そっちへ吸い寄せられるわけだ。

旭川をかすめ、愛別から旭川紋別自動車に入る。
この道路は無料の自動車専用道路で、かなりのショートカットができる。

2016/5/28 16:44  [1498-4537]   

浮島トンネル うきうきランドキャンプ場跡地 なにもない更地になっていた・・ 道の駅 まるせっぷ

旭川紋別自動車の途中「浮島IC」で降りる。
降りるといっても料金所はない。

ここから北へ伸びる国道273号を走る。
けっこうな標高らしく、道路脇に残雪がある。
道路そのものに雪はないがけっこうビビる。だがその雪の中にフキノトウが顔を覗かせている。
いま降ってる雨も雪を溶かすスピードを早めるから、このへんの春の訪れも、もう目と鼻の先だろう。

途中の「浮島トンネル」を通る。
まずここが問題のポイント。このトンネルは全長が3km以上ある道内屈指の長さのトンネルだ。
トンネルの出口直後は急カーブになっており、緩やかな下り坂でスピードが出ていることに
気づかずに曲がり切れず事故るケースが多い、まさに魔のトンネルである。
そこで死んでしまった人が幽霊となってトンネルやその先のキャンプ場に出没するのだ。
これは冗談なんかじゃない。
http://trust-me-swan.cocolog-nifty.com/s
wan/2005/08/post_dfc4.html


うきうきランドキャンプ場はその浮島トンネルの出口直後にある。
いや、あった。
道路脇の駐車スペースに停めて外に出てみる。
まだ雪が残って雪原になっている平地に、円柱状のログハウス「ロッジ273」が閉鎖された状態で
一棟だけ残されているだけだった。
むかしはその他に、無料で泊まれるログハウスが3棟と炊事場などがある立派なキャンプ場だった。
だが、そういった心霊スポットとして冗談にならない状況として閉鎖されたのだ。

懐かしいとは思ったが、その昔見たクマの足跡のトラウマが脳裏をよぎる。
周辺にはのぼるの他には誰もいない。ほんとうに山奥にひとりぼっちという感じなのだ。
そんな状況でまたクマが出没したら、もうほんと軽く死ねる。
専門学校時代に修行した昇龍拳ですら、奴には太刀打ちできないだろう。

憂鬱に降り続く雨の雰囲気も手伝って、だんだん怖くなってきたので、そそくさと出発した。
玉子危うきに近寄らずっていうだろ。え? 言わない?

浮島ICに戻り、また旭川紋別自動車に乗って進む。
丸瀬布ICから先はまだ工事中につき開通しておらず、下道の国道に降りることになった。
そこからすぐのところにあった「道の駅 まるせっぷ」で休憩した。

そういや以前この丸瀬布に来たときも雨だったっけな。
JR丸瀬布駅で雨宿りして、チャリダーとかとお話ししたね。
懐かしいところだ。

2016/5/28 20:59  [1498-4538]   

国道333号のなんてことない風景 もうすぐ美幌峠

国道333号をひたすら東へ。
手つかずの山路とのどかな田園風景のコラボが美しい道路だが、天気は降ったり止んだりの
中途半端な状態。

今日はこんな天気で、回復しないまま終わりそう。
小腹がすいて、運転しながら朝のたまねぎパンの残りをパクつきながらいろいろと考える。

今日で3日目。
タイミング的には今日か明日に一度洗濯をしなくてはならない。
特にこんな天気で湿気天国になると、車内がカビに侵されたりしそう。
だが、車中泊会場の付近にコインランドリーがあるなどムシのいい話はそうはない。
北海道の旅でいちばん難しいのはコインランドリーを探し当てることといっても間違いではない。
あったとしても洗濯だけに時間を割くとか、無駄がいろいろ生じる。
ある程度の期間の旅をするときは、こういったシャラくさい悩みも解決しないとならないのだ。

散々悩んだ挙句、本日は宿で泊まることにした。
雨降りの中ではできれば車中泊したくない、とほ宿ならたいていの宿で洗濯はさせてもらえる、
といった様々な問題を一挙に解決できる。
単純にお金の力で解決するように見えるが、実はもうひとつ理由がある。

弟子屈にはのぼるの小説HDSの舞台となる「ペンション・セントラルアイランド」の
モデルとなるペンションが実在するのだ。
チャンスがあればそこに泊まりたいと思っていたが、今がまさにそのチャンスだったわけだ。

じぶんで書いた小説の舞台の聖地巡礼とか間抜けにも程があるかもだが、そういう旅も楽しいものだ。

その宿は「ペンションましゅまろ」。弟子屈では昔からある人気のとほ宿だ。
電話で本日の予約をしてみるとあっさりOKだった。
GW真っ只中の期間だから混雑し満室の恐れもあったのだが、ひと安心だ。
危惧するとしたら、男女別相部屋で他人と同室となるわけで、同室の人がいい人かどうかだ。
まあ、そればかりは運頼みとしか言いようがない。

本日の宿が決まると、それだけで気が楽になった。
さあ、気が済むまで遊んで、それからペンションましゅまろへ行こう。

2016/5/29 10:57  [1498-4539]   

道の駅 ぐるっとパノラマ美幌峠 さんまかば焼き定食 いきなり晴れた!と思いきや・・・ ←ポスターでしたw

細かい、霧のような雨が続く。
だんたんと緩やかな上り坂を進み美幌峠に近づいていくにつれて、本物の霧が立ち込めてきた。

美幌峠の名所「道の駅 ぐるっとパノラマ美幌峠」は、晴れているときは
眼下に屈斜路湖の全容を見下ろすことができる、誰もが感動する最高の景観が楽しめる場所だが、
ちょっと天気がぐずつくとすぐに霧に囲まれ、10m先も見えなくなってしまうのだ。
霧の摩周湖の近くなので、霧とは縁深い地形なのだ。

そんなふうに言い聞かせながら、その道の駅に到着したが、案の定雨と霧で何も見えなかった。
くそっ 霧を観に来たんじゃねっての。
まあ、道の駅やそこで働く人が悪いわけではない。
とりあえず施設の中に入って一休みしよう。

道の駅の施設内には軽食レストランと土産物売場があり、多くの客で賑わっている。
賑わっているが、単純に霧で景色が楽しめないから施設内に来ているだけだ。
のぼるがそうであるように。

もうお昼過ぎか。
カルく何か食べていくとするか。
なにが美味そうか物色する。あげいも、ザンギ、麺類、定食類など。
あげいもは道内たいていのところで食べれるもので、じゃがいも2個をアメリカンドックの
衣で揚げたもの。素朴な味わいでけっこう小腹を満たすのに丁度いい。
だが、ここの値段は300円。ふつうなら200〜250円レベルだろ。高いよ。
ザンギは今晩食べる予定だからダメ。うまそうだけどダメ。がまんがまん。

というわけで、定食類のなかでいちばんコスパの安い「さんまかば焼き定食700円」にした。
秋刀魚を開いて甘辛いタレにつけてどんぶりの上にのせたものだが、ことのほか美味だ。
骨はあらかじめ取って食べやすいし、照り焼き風で食べごたえもあった。
さんまのかば焼きというと先入観で缶詰のやつを思い出し、それが使われているのかと思ったが
きちんと焼いてあるやつだったのでよかった(当たり前だろう)

施設の2階はガラス張りの展望施設になっているが、案の定なにも見えない。
またこの施設から徒歩で更に丘の上へ行くこともできるが、誰も行こうとはしていなかった。

このまま出発するのももったいないので、天候の回復を望みつつ1時間ほどここで
時間を潰したが、結局どうにも回復せず。
諦めて出発することにした。

2016/5/29 21:57  [1498-4544]   

屈斜路湖の湖畔 強風のためスカートを抑えるのに必死 いもあげ200円

高度が下がるにつれて、ようやく湖面と屈斜路湖のど真ん中にある中島がぼんやりと
見えるようになった。

屈斜路湖。
火山によってできたカルデラ湖としては日本でいちばん大きい湖だ。
湖畔を掘り返すと暖かい温泉が出てきて即席の露天風呂「砂湯」が楽しめたり、
釣りやカヌーなんかが楽しめるアウトドアのリゾート。
クッシーと呼ばれる大型の首長竜(?)も生息しており、話題性も抜群だ。

湖畔まで高度が下がり、てきとうな土産物売場と休憩所のある施設に立ち寄った。
小雨が降っているが、それでも砂湯を掘って遊んでいる親子連れもいた。
晴れていれば手漕ぎボートなんかで賑わっていたのだろうが、そういうのもほとんどおらず
湖面は静かなものだ。
霧も依然として立ち込めてはいるが、中島は見える程度だ。

土産物売場を物色していると、木彫りの職人と思えるオヤジに話しかけられた。
「どこから来なさった」
「新潟です」
「おお、私も新潟出身でな」
「そうなんですか〜」
「記念に木彫りの彫刻でも買っていかんか。これなんて12000円するところ8000円にまけとくよ」
言い換えると12000円はボッタクリで、8000円でも儲けになる、ということだよな。
また今度にするよ、と断ると、そのオヤジはすぐに別のカップルに話しかけていた。
「どこから来なさった」
「和歌山です」
「おお、私も和歌山出身でな」
そういうことかよ!

クッシーのぬいぐるみ1000円を記念にひとつ買う。
軽食コーナーでは、いつものいもあげやザンギが売られていたが、ここのいもあげは
今まででいちばん安い200円で売られていた。
さっきさんまのかば焼き定食を食べたばかりなのであまりお腹は空いていないが
200円なら食べる価値があると思い、ゲット。
衣付きで揚げたじゃがいもが2個。
美味しいが、けっこう腹にたまる。

さて。これからどうするか。
晴れていれば行きたいところはたくさんある。
湖畔に点在する温泉のどれかに入ったり、摩周湖、神の子池、裏摩周展望台なんかを巡って
ザンギのうまいレストランで夕食、というパターンを想い描いていたのだが、
こんな天気ではそのすべてがパアだ。
レストランで夕食するにも、腹が減るであろう3〜4時間後までどこで何をして時間を潰せば
よいやら。

雨により完全に行き詰ってしまったので、仕方なしでこのまま宿へ向かうことにした。

2016/5/30 10:27  [1498-4546]   

ペンションましゅまろ 食堂兼居間 掘りごたつのあるリビング 寝室の二段ベッド

屈斜路湖の湖畔を走ると、川湯温泉という開けた温泉街に出た。
その一角に今晩の夕食に行こうと思っていた「三三五五(さんさんごご)」という店を見つけた。
居酒屋ふうな食堂で、一番人気の「どでかザンギ定食1300円」は鶏肉丸1枚を豪快に揚げる
という超ボリュームで有名なのだという。
すこし値は張るが、唐揚系の食べ物には目がないので今晩を楽しみにしておこう。

国道391号、通称「摩周国道」をすこし南へ下ると美留和という地区に着く。
屈斜路湖と摩周湖の中間ほどの位置だ。
JR美留和駅の近くに「ペンションましゅまろ」はあった。
自然と民家がバランスよく調和された閑静なところだ。

宿の全容は当時のまま。なんとも懐かしい。
チェックインは15時からで、いまはその30分前なのだがお邪魔してしまおう。
玄関のドアを開けると、オーナーのおじさんが迎えてくれた。
「予約したのぼるです。雨で行くあてがなくなってしまいチェックインより早く
到着してしまったのですが」
オーナーは笑顔で「大丈夫だよ、中へどうぞ」
居間兼食堂で宿帳に必要事項を記載する。

本日の客は誰もまだ到着しておらず、のぼるが第一号だ。
寝室は2階で、2段ベッドが二つ置かれた部屋。偶然だが昔泊まったときと同じ部屋だった。

リビングでお茶をしたいところだが、まずはやることをやらねば。
クルマの中から洗濯物を持ってきて、洗濯機を動かす。
洗濯機・乾燥機は1台ずつしかないので、さっさと使ってフリーにしておかねば。
これさえやっておけば、あとはフリーだ。

ジャージに着替え、掘りごたつのリビングでタブレットPCを準備し、コーヒーを飲みながら
過ごした。
モバイル用のキーボードとマウスもテーブルに広げ、コンセントを使わせてもらい、充電もOKだ。
一泊朝食付きの夕食ナシにしたので、日が暮れ始めたらさっきの食堂に行ってザンギ定食を
食べにいこう。

とりあえずネットでやることを終え、今日の新聞を読む。
北海道の新聞はすげえ。コンビニであるセイコマの広告が「新聞内」にも「折り込みチラシ」にも
載っているのだ。
新聞内には新商品のお知らせ、折り込みチラシには今週のお買い得品が載っていた。
それを見ると、冷やし系カップのうどん・そば・ラーメンが面白い。
なんと容器が、クルマのカップホルダーにぴったりフィットする形状になっているらしい。
これはナイスアイデアだ。クルマで麺類を食べるときの容器の置場を解決している。
よし、こんど食べてみることにしよう。

ノートパソコンで作業をしていたオーナーのおじさんが、ぼそりとつぶやいた。
「今日のお客はきみ一人だけになりそうだ。ほかに誰からも予約が入らないわ」


・・・・・・・・・は?

2016/5/31 12:55  [1498-4551]   

脱衣所 清潔な洗面所

本日の日付は、5月4日。
誰もが心躍らせるゴールデンウイークの真っ只中である。
多くの人が「っしゃ! どこか出かけるぜ」と屋外に飛び出す楽しい連休だ。

それなのにだ。
そんな日なのに宿泊客がほかに1人もいないって、予約がないって・・・どういうこと。

原因となったのは、この雨だ。
GWで北海道を旅する人は、比率も実人数も北海道民が圧倒的に多い。
なので、天気次第で宿泊するか帰るか、をその日に判断する人がけっこういるのだそうだ。

昨日は天気が良かったので、外に出る旅人が多く宿泊客もたくさんいたのだが、
一転して本日は雨で旅行者も減少。というわけらしい。

まさかの一人ぼっち! 部屋どころか宿すべて独占状態!
いや、個人的には旅人同士のトークや情報交換なんかを期待していたのだが。
予約の電話をしたときなんて女性の声で「男女別相部屋になりますが、よろしいですか?」
と念をおすように聞かれたので、今日は客が多いんだろうな、って思っていたものだ。
満室に近い客がいるのだろう、と覚悟して来てみたら、すっからかんとは、これ如何に!

まあ、客がのぼる一人だけとはいえ、オーナーは気遣って話しかけてくれるし、
漫画本もたくさんあって読み放題だし、テレビもチャンネル自由だし、掘りごたつのテーブルに
モバイルグッズ散乱させっぱなしでも誰にも迷惑かからないし。
べつに寂しいと思うことなどひとつもない。むしろ千載一遇のチャンスとしてこの状況を
楽しもうではないか。

まずは、夕食の外食のザンギの予定を却下とし、ペンションで食べることにした。
いまからでも夕食を追加できるか聞いてみると、快くOKしてくれた。

1時間ほど仮眠したあと、17時にお風呂。
仮眠の間にオーナーの奥さんが外から戻っていて、夕食の支度をしていた。

風呂はふつうに一般家庭のものだが、次に入る人のことを考えて早めに上がったりしなくていいのが
気分的にとても楽だ。

風呂から上がると、雨が止んでおり晴れ間も見えた。
それなら、とクルマの全ドアを開放し車内の空気を一新させた。
車内の布団も外に出して埃を払い、短時間ながら車内の清掃を行った。

それが終わると、いよいよお待ちかねの夕食だ。

2016/6/1 16:51  [1498-4552]   

玄関 2階のフロア 清潔だ

肉の焼ける匂い、スープの美味そうな匂いに誘われてリビングに向かうと
ちょうど夕食の支度が整ったところだった。
メインディッシュはアツアツのチキンステーキ。
別皿には、大きめのホタテの刺身、ポテトサラダときゅうりの酢味噌和え、サケのほぐし身など
手作りの料理が並んだ。
オーナー、オーナー奥さん、のぼるの3人でテーブルを囲む。
「いただきます!」

いやぁ、うまい。
他のとほ宿は何件か泊まったことがあるが、ましゅまろの料理のクオリティはかなり高い。
他のところはヘタすると冷凍食品をチンしたやつがそのままメインディッシュとして
出たりしてちょっとがっかりすることもあった。
まあ、そういう宿は決まって奥さんに逃げられた、という所が多い。

ましゅまろのオーナー夫妻は仲が良く、奥さんは陽気で、旦那さんは自然が好きな性格もあってか
旅人を心からもてなしてくれる。
そういう心遣いが料理にもあふれているわけだ。

ごはんもおかわり自由。炊きたてふかふかの白米はやはりうまい。
外食のザンギ定食を諦めた選択は間違いではなかった。
ちなみにここは1泊2食で5300円。
男女別相部屋ということを割り切れば、ヘタなビジネスホテルよりかなりお得である。

そしてのぼるは痛恨のミスをした。
もうすぐ食べ終わろうとするときになって、料理の写真を撮り忘れていたことに気付いたのだ。

2016/6/2 17:09  [1498-4553]   

問題のディナーの写真

急いでカメラを持ってきて撮影をしたが、時すでに遅し。
豪華な食事てんこもりのイメージの片鱗もない。
まあ、写真のことを忘れるほどうまそうな料理で、早く食べたい一心だった、ということだ。

旅行中はこんなことがしょっちゅうだ。
旅先の写真はけっこうマメに撮るのだが、食事のときは空腹が勝ってすぐに食べ始めて
しまうことが多い。
同行の仲間とかに「撮らねーの?」と言われることもしばしば。
今回のようにソロだととにかく危険だ。

食後はお茶を飲みながら、オーナー夫妻と旅や宿のトークで盛り上がった。
ここでようやくのぼるの自作の小説「ヘビーデューティーシスターズ」をwebでお二人に
紹介してみた。

むかし、このましゅまろに泊まったことがきっかけでこの小説を書いた。
中に出てくるキャラはぜんぜん別の架空のものだが、舞台であるペンションは
この「ましゅまろ」がモデルになっている。

という説明をすると、オーナー夫妻はたいそう感激していた。
時間のあるときにじっくり読ませてもらいます、とおっしゃっていたが、
楽しんでもらえたなら何よりだ。

21時になると、100円カンパで「手作り果実酒飲み放題」というパーティが開始された。
近くの野生の木の実を蒸留して作った果実酒。
さっそく水割りでいただく。
おお、さっぱりとした味わいで口当たりもいい。

オーナーの子供は現在大学生で大阪に住んでいるという。
小学校は全校でも数人程度、高校からは釧路に一人住まいという大変さ。
北海道で暮らすのはとても大変なことだ。
冬は特に厳しく、道路のどこかで自動車が立ち往生なんてしたら、かなりの確率で
死んでしまうという。それほど寒く、過酷。
憧れだけで暮らしてはいけない。

考えてみたらのぼるの小説では冬のシーンは直接書いてはいない。
実子の仕入れとか、冬場はどうしているのだろうか。

などなど、たくさんの話で盛り上がり、消灯の23時はあっという間だった。

2階の寝室に戻り布団にくるまる。
雨はもう止んでいた。
明日は晴れる。また、新たな1日が始まるのだ。

2016/6/2 17:40  [1498-4554]   

あさごはん。今度は撮り忘れない 朝の弟子屈

7:30に目覚めた。
旅をしてるときにしては寝坊だ。
カーテンを開くと、太陽が出てる。青空がまぶしい。
今日は文句なしで晴れだぜ。ヒャッハー!

朝食は、パンとハムエッグ、コールスローにわかめスープ。
いちごジャムは自家製でとても美味。
食後に淹れたてコーヒーまでいただき、大満足。

「今日はきっと摩周湖の霧は晴れてるよ」
奥さんがそう言ってくれたので、まずは朝イチに見学するとしよう。

顔を洗い、着替えて、荷物を車内に運び込む。
タブレットなどを車内に固定し充電コードを繋ぐのがいちいち面倒だ。
Qi(チー)の充電技術が発展し、もっともっと身近になるといいなぁ。

準備完了したところで、オーナー夫妻に見送られながらゆっくりと出発。
いい宿だ。また泊まりに来たいね。

さて、洗濯もできたし、広い布団でのびのびと寝れたし、気分一新だ。
残る日数もあと2日。明後日の朝にはフェリーに乗ることになるので、やり残しのないように
徹底的に遊んでやるさ。

まずは摩周湖を目指す。
ふつうなら第一展望台や第三展望台を目指すところだが、あえてマイナーな裏摩周展望台を目指す。
訪れる人が少ないので落ち着いた雰囲気の摩周湖を眺めることができるのだ。
ただし、ましゅまろから直線距離にして10km足らずのポイントなのに、えらく遠回りな道でしか
行けず30分はかかる。

鬱蒼と茂った山間部のワインディングロードを走っていると、途中で「→神の子池」という
案内看板が見えた。
神の子池とは摩周湖の水が地下水路でここに湧いている、といわれている池で、
濁りがなく底までくっきり見え、プランクトンが少ないことから水中の倒木が腐食しにくく
倒れた木が原型を留めたままうっすらと苔だけが付着している感じで
コバルトブルーの湖面もあって「ここだけものすごい特別な霊域」であるかの雰囲気を
漂わせているのだ。
ただ、実際の水源は摩周湖ではなく、周辺の山からの伏流水らしい。

神の子池はむかし見学してたいへん感動したものだが、今回はパスすることにした。
有名になりすぎて水質汚染が問題になり、池に近づけないよう遊歩道ができたそうで、
それを考えると一度見たなら、あとはそっとしておくのがいいのかな、と。

ここを過ぎると、だんだん上り坂になっていき、裏摩周展望台へはもう少しで到着する。

2016/6/4 13:22  [1498-4567]   

裏摩周展望台に到着 歩道にはまだ雪がびっしり 摩周湖 カムイヌプリ

裏摩周展望台に到着。
山奥のてっぺんという感じの所で、整備された駐車場とトイレと土産物売場がある。
以前来たときは展望台以外なにもない質素なところだった。
道路もきっちり整備され、誰でも来れるところになっていた。
駐車場には10台ほどのクルマが停まっていた。朝早いのに人気スポットなのだな。

展望台へは丘の上まで歩いてすぐだが、残雪が歩道を覆っており、スニーカーの女性とか
ギャーギャー言いながら歩いていた。

展望台に上がると、ようやく摩周湖の全容が眺められた。
予想通り霧は晴れて、湖がキレイに見れた。
外周を崖で覆われ、何者の侵入も侵されず、湖内生物もほとんど認められない。
そんな不思議な湖だからこそ、すこし前まで世界一の透明度を誇る貴重な湖だった。
環境が整備され、観光客が押し寄せるようになると水質は悪化し、透明度世界一はバイカル湖に
譲ることになったが。

左前方には800m級の山、摩周岳(カムイヌプリ)がそびえ、その斜面がそのまま湖に直結している。
この山の噴火によってカルデラ湖である摩周湖が形成されたのだ。

やはり何度見てもここは不思議な湖だと思える。
アイヌ人が「神の湖・神の山」と崇めていた気持ちがよくわかる。

さて、摩周湖を堪能したところで次に進もう。
今日の目的地はふたつ。
一つ目はライダーの聖地、開陽台。見渡すかぎり地平線という北海道らしい展望が楽しめる地だ。
いままで一度も行ったことがない。行けるチャンスはあったものの、すべて雨で諦めていたのだ。
二つ目は帯広。小樽へ戻る道の途中で車中泊するタイミングになりそうな地。
夕食は有名な名物「豚丼」を堪能するのだ。

そんなわけで出発。
山道を下ると、今度は平坦な牧草地帯を東へ走る。
とにかく何もない道路。

眠気防止用に持ってきたひまつぶし兵器「録画済DVD」をナビのスロットに入れる。
いまどきのナビは録画したCPRM−DVDの再生ができるので便利。
ジブリアニメの大傑作「紅の豚」がはじまる。金曜ロードショーで撮ったやつだ。
音声だけでも楽しめ、眠気なんてどこへやら。
ちなみにラストでポルコはジーナと結ばれます。フィオの飛ぶプレーンのシーンで
ジーナの島にポルコの飛空艇が停泊してるシーンがチラっと見えるんですよ。
ま、フィオ推しとして見ても良い結末だったと思えますな。

遮るものがなにもない平地なら、北海道のラジオとか受信して楽しめばいいのに。

2016/6/5 08:27  [1498-4570]   

開陽台にとうつきー 無料展望施設 ブッシュベイビーのアフリカサバンナを思わせる ランチはW炭水化物で決まり!

中標津の田園をナビに沿って林を抜け小高い丘を登っていくと、開陽台に到着した。
駐車場からは階段を登って丘の上へ進むと、無料の展望施設がある。
天気はなかなか良いのだが、風が強くて観光客もまばらだ。

展望施設の1階には軽食のできる喫茶店があり、ここでしか味わえない「はちみつソフトクリーム」
なんてものがあって、かなりそそられる。

屋上に上がってみると、もう圧巻。
農地、牧場が地平線まで広がる大パノラマで見れる。
ガンダムmk−Uのコクピットの全天周スクリーンをリアルで見ているようだ。
見下ろすと手前にはキャンプ場があり、その向こうには牧草地には牛がまばらに放され、
草を食べている様子が見れる。更にそのずっと彼方には北根室地方まで見渡せる。
もっと条件がいいと北方領土の島まで見えることもあるらしい。
ああ。すげえ眺め。ムスカがはっちゃけて「ハハハ、人がゴミのようだー」と言ってた気持ちが
すこし理解できる気がした。

佐々木譲のツーリング小説「振り返れば地平線」で開陽台が有名になり、ライダーの聖地として
崇められるようになったらしい。
のぼるの小説も有名になって、うきうきランドキャンプ場が聖地として復活してくれたらなぁ。
でも来てよかった。

さて、この地がこの旅の最東端だ。
ここからは基本的にゴール地点の小樽への復路となる。
がんばって行こう。

弟子屈まで戻り「道の駅 摩周温泉」で休憩。
なんかいろいろな屋台が並んでクレープやいもあげ、ジェラートなどB級グルメが揃っている。
だが、我慢。我慢ったら我慢。

そういえばもうお昼か。
ランチにするにしてもここは高くてだめだ。

ということで近くのセイコマへ。
食べたかった憧れの「ドリンクホルダーに置ける蕎麦」を買ってみた。
味は、まあふつうのコンビニのぶっかけそばだ。でも食べれてよかった。
なんてことないそばなのに、なんだこの満足感は。容器の形状が便利に変わってるだけで
こんなに満足したのは生まれて初めてかもしれない。

食べ終わった容器を捨てに外に出たとき。
なにか強烈な既視感を覚える。
ここは別に一度も来たこともない場所のはず。
一体ここに何があるというのか・・・!?

2016/6/5 11:39  [1498-4572]   

弟子屈高等学校 阿寒湖 カヌーを楽しむカップル ニジマス、ゲットだぜ!

セイコマのすぐ近くにあったのは、学校だった。
まあ、学校なんて珍しいものでもないが、その学校はのぼるにとって特別なところだった。

ここは、小説ヘビーデューティーシスターズの三女、萌子の通う「道立弟子屈高等学校」だったのだ。
小説を書いていた当時、萌子が自宅(ペンション)から通える実在の高校をネットで探していたのが
まさにここだったのだ。
なんてこった。書いた自分が忘れていたとは。

萌子は新潟から弟子屈へ転校してきたわけだが、同時期に転校してきたもう一人のイケメン男子
「岸里透(キシリトール)←岸里百合香(真子編に出てきた高飛車な女)の弟)」に
情熱的に告白されて困っている、というエピソードがあったりする。書いてないけど。

初めて見た学校なのに懐かしいと感じるデジャヴも非常に特殊な体験だわな。

さて、先に進もう。
西に向かってしばらく走る。
曲がりくねった峠のワインディングロードが楽しいが、トロい車の後ろだとえらく退屈になる。
登坂車線も少なく、追い越しどころがなかなかないのが辛い。

いいかげん幻が見え始めた頃に大きな湖が見えた。
マリモで有名な阿寒湖だ。
ちょうどいい、どこか湖畔で休憩しよう。
リゾートホテルとかがひしめいているところはイヤなので、誰もいなそうなひっそりとした
林のあたりを探した。
ちょっとした砂利道を発見し湖に向かって進むと、いい感じの湖畔に出た。

夏にはキャンプとかできそうな少し開けた場所。
阿寒湖が一望でき、ちょうどいい休憩場所だ。
湖にはカップルが楽しそうにカヌーを漕いでいるのが見える。

ふと見ると、岸から釣りをしている人もいた。
阿寒湖はニジマス、イワナ、イトウなどが生息しスポーツフィッシングが楽しめるのだ。
みんなアウトドアを楽しんでいるのねえ。
などと横目で見ていたら、釣り客のひとりがなにやら慌てながらジタバタしている。
何があったのだろうか。

近づいてみると、なんかすごく大きな魚を釣り上げていたところだった。
リールを巻き、ある程度のところで網を使ってすくい上げてゲット。
「やったぁ、こりゃでけぇな!!」
隣の釣り人もはしゃいでいた。
体長50cmオーバーのニジマスだ。これだけ大きなものはなかなかお目にかかれないという。

その大物を両手で持ち上げたところを一枚撮らせてもらうと、その釣り人は湖にリリースしてやった。
べつに食べないし、釣るのだけが目的なので、自然に返してあげるとの事。
魚の口を傷めないようなルアーを使っていて、そのへんも考慮しているのだろう。

いやぁ、なかなか面白いタイミングで通りがかったものだ。
気分もリフレッシュしたところで、先に進む。

2016/6/5 23:13  [1498-4575]   

昼過ぎの山沿いのワインディングロードはとにかく睡魔との闘いだ。
単調な景色、狭い道路、前を走るトロいクルマ。
なんかこう、盛り上がる曲でもかけて一人カラオケでもしようかと思っても、
胃が消化をはじめるときってのはイイ声が出ず、気持ちよくない。

なにやってもダメなときは、てきとうな空地にクルマを停めて仮眠をするに限る。
だがしかし。
夕食に最高の豚丼を食べることに妥協はしたくない。
せっかく行ったのに品切れで食べることができなかった、なんてラーメン激戦区ではよくある話。
めったに来れない北海道なのだから、そういうトラブル要因は可能な限り避けたいところだ。

阿寒湖から帯広まで、約100km。
時間にして約2時間。
豚丼のために走り続けた。

いや、正確には豚丼のためだけではない。
帯広のもう少し先の芽室という地域で「コーンチャーハン」なるものがある。
たぶん想像する通りの、スイートコーンたっぷりのチャーハンだ。
この地域は全国一のとうもろこし生産量を誇っており、それを活かしたB級グルメなのだ。
それもできれば食べたい。なんかうまそうだから食べたい。

北海道を巡るスケジュールとして、いくつかの基準点がある。
例えば「オンネトーが見たいのだー」という観光名所を紡ぐポイント。
もちろんそれはとても重要かつ外せない要点である。
だが、うまいものを巡るポイントもそれと同じくらい重要なファクターになる。

のぼるがこの旅の2日目に千歳から富良野へ行こうとしたとき、実はもっと最短の
ルートはあった。
しかしながらやきそばを食べたい一心で、最短ルートどころかたっぷりの回り道を
することとなった。たかだかひとつ100円程度の袋入やきそばのためだけに。

だが、苦労してそれを食べることができたときの達成感はひとしおなのだ。
ドラクエでいうところの、はじめて洞窟のドラゴンを倒して王女を助けたとき
「やったぜー」とガッツポーズしたときの嬉しさに等しい。
小さくても「がんばった」「うまかった」「感動した」など一つ一つの思い出が積み重なり
あとになって「あの旅は楽しかったなぁー」としみじみ思えるときがくるのだ。

話がすこし逸れたが、とにかくグルメを楽しむことは卑しいことではない。
立派に旅を楽しむためのファクターということなのだ。

つまり。
いま真剣に大真面目に走っているのが「豚丼」「コーンチャーハン」のためだけというのは
決して愚かでも恥ずかしいことでもないのだ。
帯広にも温泉や展望台、公園など見どころもたくさんあるのに、その全てをスルーする価値を
その「豚丼」や「コーンチャーハン」に見出しているという我に幸あれ!

2016/6/15 13:54  [1498-4647]   

すげえ行列・・・ この店の前のポジになるまで1時間以上 店内の様子 豚丼 バラ 並盛 とても美味でした♪

やっとのことで帯広に突入。
ここまで「道の駅 ピア21しほろ」という所で休憩しただけで、あとは延々走り続けて
きたのだから、なかなかがんばった。

けっこう栄えている都市で、その路地を縫うように進んでいくと、目的の店を発見した。
「ぶた丼のとん田」というお店。
ミシュランガイドにも載ったこともある、評判の豚丼が味わえるらしい。

だが。
店の前には20mほどの行列が。
おいおいおいおい。
いまは夕方の3時。昼食にも夕食にもならん時間帯だろ。
あえてそういうパーシャルな時間に来てみたのに、なにこの行列っぷりは。

話は後だ。
近くのパチンコ屋の駐車場にクルマを停め、急いで行列の最後尾に並んだ。
20mの行列か。今から食べるまでどのくらいの時間がかかるのだろうか。

10分経過。
5mも進んでいない。客ハケがイマイチのようで、店から出ていく客とかほとんどいない。
これはいよいよ覚悟を決め、本腰を入れて待たないとならないようだ。
前方の客で、歩道の幅を狭めるような並び方をするマナーの悪い奴らがいて、
地元の自転車乗りの女性が迷惑そうにそいつらを避けて走っていった。
そいつらを注意しようかと思ったが、冷静に考えると自転車は歩道でなく車道を走るべきだった。

30分経過。
大して状況変わらず。
いつの間にかのぼるの後ろにも行列が伸びている。
後ろのあんちゃんと話をしたりしてヒマをつぶす。
あんちゃんは仙台から単身赴任で富良野に越してきた人で、今日は天気がいいので
帯広に来てみたのだそうだ。羨ましい。

1時間経過。
店員が外まで来て、客一組ずつ今から注文を聞いてまわっていた。
のぼるは「バラ肉の並」を注文。
ここは「バラ」「ヒレ」「ロース」の3種の部位の肉丼を楽しめるが
一番人気は「バラ」と食べログに書いてあったのでそれを信じた。

1時間30分経過。
ようやく店の前まで来た。
一人客なのでカウンターに案内され、出された茶にほっと一息。

2時間、ようやく着丼!
長い。ほんとに長かった。
芸術的なまでにキレイに盛られた豚の切り身。
初期段階はあえてやや薄味で仕上げられており、一緒に運ばれてきた「タレのツボ」から
秘伝のタレを好みで好きなだけぶっかけるシステムになっていた。
小さな柄杓でタレをひとすくいし、豚丼の上からかけてみた。

いや、これは確かにうまい。
厚みのあるバラ肉は、噛むごとに「ぞぶり」と柔らかな歯ごたえなのに沈みこむような
重圧な肉質が楽しめる。
うんうん、国産の上質なポークを使ってますな。
2時間も待つ価値は、あるといえよう。

2016/6/16 10:36  [1498-4648]   

完売いま、きみは人生の・・・ 6箱叩き出してやったぜ! 遅い夕食



カウンターの席で、もう少し食後の余韻に浸っていたいところだが、
後がつっかえているので、早めに外に出た。どうもごちそうさまでした。

外の行列は10mほどで、その最後尾の人は「本日 完売のため終了させていただきました」
という看板を背負っていた。
なんと。まだ18時にもなっていないのに閉店とは。
予想をはるかに上回る人気っぷりであった。

さて。
ここの豚丼は大盛にしてもイケるのだが、今日はもう一食「コーンチャーハン」を
食べる予定なので、抑え気味にするのが賢い食べ方だ。
現にもう少しなにか食べることができるくらいの余裕はある。
コーンチャーハンを提供するお店はここからクルマで20分ほどのところにある。
さっそく行ってみようか。

と駐車場に戻る。
パチンコ屋の駐車場である。
むずむず、と身体がうずくのを感じる。
そう、旅先のパチンコは得も言われぬほどの魅力がある。麻薬的といってもいい。

いまは18時。
コーンチャーハンの店は21時閉店なので、2時間は余裕で打てる。
そして、その店の近くの温泉は22時までなので、コーンチャーハンを食べた後に温泉という
鉄板ルートも難なくこなせる。

よし。ではこのパチンコ屋で2時間ほど稼がせてもらおう。

なかなか広い店内。
気分的にはパチスロを打ちたいところだが、20円スロットは負けると額がハンパないからダメ。
旅行中なんだから、旅に影響のない程度に投資するのが正しい遊び方なのだ。
ふと見ると「2.5円スロット」なるシマがある。
これだと投資がえらく少なくて済みそう。よし、ここでやろう。

「パチスロ アステカ 太陽の紋章」という台に座る。
比較的新しい台なのにもう5スロとかに追いやられてるのか。ご愁傷さま。
ポチポチ打ってると、2千円で大当たりを引き当てる。
単発で終わるが、そのあと50回転ほどで再び大当たり。
しかも「チャレンジタイム」に突入し、さらに「スーパーチャレンジタイム」なるものに突入。
それらの繰り返しでゲーム数が500Gオーバーとなり、無双状態に。

「はっ!」
2時間遊ぶつもりが、気づくと閉店まで居座ってしまった。

6箱も出したのに、換金率が低いので7千円の勝ち。
これがもし20円スロットだったら、数万円勝ちコースだったのに、軽く旅費が浮いたろうに。

外に出てみると、当然あたりは真っ暗。
コーンチャーハンの店も、温泉も、すべて閉店。

がーん。

仕方なく芽室公園の駐車場で車中泊の準備をする。
ほかに1〜2台くらいしか車中泊している人がいないので静かなものだ。
歩いて2〜3分のところにセイコマ。
ハンバーグ弁当とサラダ、そしてビールを買い、クルマの中で勝利の美酒を一人祝う。

ていうか、せめて温泉に入りたかった。

2016/6/17 11:21  [1498-4649]   

芽室公園の駐車場 スーパー銭湯 鳳乃舞 ゴージャスな朝食 さあ、でっぱーつ!

あさー
あさだよー 
あさごはんたべて、学校へいくよー

6時に起床。
快晴で清々しい朝だ。
カラリと晴れているので、リヤゲートを全開にして布団を干した。

明朝のフェリーに乗って新潟に帰ることになってるので、今日はまる1日遊べる最後の日となる。
やり残しのなきよう、悔いの残らないよう、有意義な1日で締めくくろう。

まずは昨日入れなかった温泉だが、そこは早朝から営業しているので早速向かう。
スーパー銭湯 鳳乃舞というところ。
410円と安いのでどんなところかと身構えて行ったのだが、かなり真新しい施設で
電気風呂、サウナ、露天風呂など完璧だし、洗い場は広くて使いやすい。
朝から地元の人達がけっこう多く入っていたが、納得だね。

うーむ、朝イチでさっぱりするのも悪くない。
車中泊の翌朝って髪型がスーパーサイヤ人みたくなってるからな。

全身さっぱりしたところで朝食。
近くのセイコマでパンといもあげと挽きたてアイスコーヒーを買う。
セイコマは店舗によって挽きたてコーヒーを扱っているところがあるようだ。
ちなみに「ちぎりパン ピザチーズ 108円」はすごいボリュームでびっくりした。
ほんとさ、こういうのを庶民派コンビニっていうんだよな。
大手も見習ってほしいわ。マジで。

・・などと思いながらクルマの車内で食べていると、その横のガソリンスタンドで
朝から洗車をしている人を見かけた。
洗車か。
弟子屈の雨にやられ、昨日も少し小雨にやられ、またドロだらけになってたっけ。
北海道ファイナルデーに相応しく、輝くクルマにして今日1日走るのが極上の幸せ。

などと思い、急きょ洗車を慣行。
高圧洗浄で外観とタイヤハウスの汚れを取り除き、トドメにコイン洗車のシャンプー洗車で
すっかりピカピカに。
よっしゃー。
温泉といい、洗車といい、朝からスピーディーでいい仕事をしまくったぜ。

2016/6/18 12:42  [1498-4650]   

日勝峠展望台 石勝樹海ロード メロリーナとユメロン 夕張メロン熊

8時に帯広を出発。
今日の目的地は、スタート地点にしてゴール地点である小樽。
できれば早めに到着して、小樽運河とかメジャーな名所を散策したいところだ。
また、昼くらいに札幌らへんを通過するだろうから、回転寿司でランチを楽しみたい。
せっかく昨晩スロットで買ったのだから、少しだけなら贅沢ができるのだ。

国道274をひたすら西に進むと、だんだん山道になっていく。
上り坂の途中で「日勝峠展望台」なるパーキングがあったので立ち寄ってみた。
丘の上から十勝平野が一望できる、非常に眺めのよい所だ。
天気もよく、ガスがかっていないのでいいときに来れたものだ。

しかし、上から下界を見下ろす所に立つと、決まってムスカ思考になってしまう。
「見ろ、人がゴミのようだー」とか「見せてあげよう、ラピュタの雷を!」なんてセリフを
つい絶叫したくなる。

まあ、それはともかく気持ちのいい展望施設であった。
近くを通った際にはぜひ立ち寄りたい場所である。

さて、先に進む。
このへんからこの国道274は「石勝樹海ロード」と看板に書かれるようになる。
確かに、見るからに手つかずの樹海が長々と連なり、そのへんで一度迷ったりなんかしたら
生きて戻って来れない気がする。
逆にいえば、自殺目的で山に入れば誰からも見つけられずに死ねるので、もしかしたら
そういう人には都合がいいのかもしれない。
いやぁ、怖いねえ。怖い怖い(棒読み)

朝のアイスコーヒーが祟ったのか、トイレに行きたくなった。
どこか道路わきに停めて立ちションでもすれば済む話なのだが、そんな無防備状態で
クマなんかに襲われ殺されたりしたら、下半身まる出し状態で発見されるわけで、
「クマに欲情した変態が返り討ちにされる」なんて見出しで北海道新聞の一面の見出しに飾られ
末代までの恥さらしになってしまうだろうから、とてもそんな真似はできない。

しばらく進むと、夕張市に突入した。
夕張メロンの里として、また経営破たんした市として広く知られる。
「道の駅 夕張メロード」という所で休憩。
一息ついた。

地元の農産物が豊富に売られている施設なのだが、まだメロンは収穫時期外なので
売られておらず、少し物足りなさがある。
そのかわりというわけではないが、夕張メロンをモチーフにしたゆるキャラがいる。
代表的なもので3体いるのだが、そのうち二つはユメロン(男の子)とメロリーナ(女の子)
でなかなか可愛らしいキャラで愛嬌もある。

だが、もう一体は「夕張メロン熊」というもので、夕張メロンをかぶったリアルな熊、
めっちゃ怖い。
夕張メロンの筋が血管みたく見えて、クマの獰猛さを意図的に表現しているように見える。
ゆるキャラが、ぜんぜんゆるくない。しかもパフォーマンスは「噛む」ことらしく
子供たちを涙目にさせることがその存在価値とすら思えてならない。ほんと怖いから。
そのメロン熊が書かれたポスターに「ちびっこ集まれ」とか書いてあるが、
「ちびっこ」と書いて「生贄」と読むのでは、とすら錯覚してしまう。

2016/6/18 23:43  [1498-4652]   

かにみそとイクラ 北寄貝 まいうー 伝家の宝刀 雲丹! 寿司食ったあとに見たもの

さて、先に進む。
いくつかの峠を越えると、だんだん民家が多くなってきた。
都市部にありがちな、郊外の閑静な高級住宅街のような所があったかと思うと、
そこから民家やアパートが立ち並んでいき、そしていろんな店が立ち並ぶところに出た。
ああ、ここらへんから札幌市街地に突入するんだな、とわかる。

いきなり信号も増え、ストップ&ゴーが多くなる。
札幌はホントに信号が多いのだ。

札幌の郊外に位置する回転寿司をネットで検索する。
あまり中心部の店だとクルマを停めるのに苦労したり渋滞に巻き込まれたりするので
郊外の店のほうがいいのだ。

その条件に当てはまったのが「回転寿司トリトン」という店。
安くてネタも新鮮で大きい、とレビューされている。
じゃあそれを信じて行ってみよう。
店はすぐに見つかり、ちょうどお昼で腹も空き始めたところだった。

店内は、板前さん5人ほどを360度取り囲むカウンターと、家族連れ用の窓側のテーブル席が
いくつか。のぼるは当然ながらカウンターに案内される。
かなり多くの客でにぎわっている。
評判の店ってのは伊達じゃないようだ。
緑茶を作りながら、まずはレーンを回っている寿司群を眺める。
新潟のかっぱ寿司よりも若干大きめのネタ。だが値段は120円からなので、値段相応ってやつだ。

サーモン、かにみそ、甘海老あたりを食べてみる。
サーモンはうまい。北海道だけあるね。かにみそと甘海老は新潟とさほど変わらず。
あとは北海道ならではのネタを片っ端から食べる。
サンマのにぎりも、北寄貝も、いけるじゃないか。

そしてトドメに生ウニの軍艦巻を注文する。
これ、時価って書いてありますけど。スロットで勝ったりしなけりゃ基本食べれませんよ。

満足したところで清算。
ぜんぶで2019円。レシートを見ると、ウニ皿530円と書かれてあった。
えっ、あのちっこいの二つが530円だと?
ホゲー。
自腹だったら血涙ものだぞ。
でもまあ、うまかったからいいか。ネタによって当たり外れがあるので気をつけよう。

さて、小樽へ向かう。
その途中の信号待ちで何気なくステーキ屋の外観を見てたら張り紙で次のようなことが書かれていた。
「黒毛和牛ステーキランチ 1000円」
こっちにすればよかった。後悔先に立たず。

2016/6/19 21:13  [1498-4653]   

メロンバニラパフェ300円 丘の上に連なる住宅街 色内埠頭公園 公園からの景色は、ちょっと微妙w

札幌と小樽は目と鼻の先だと思われるかもしれないが、実際はクルマで1時間はかかる。
けっこう遠いんだ。

途中のセイコマで休憩。
なにかおやつを食べたい気分で店内を物色する。
惣菜系よりも、あっさりさっぱり系がいいなあ。

ふとアイスコーナーを見ると、メロンフェアなるものをやっている。
メロン味のソフトクリーム、メロン味のモナカアイス、そしてメロン味のパフェ。
もちろんコンビニアイスなので喫茶店なんかのパフェとは全く違うものだろう。
しかしながら、うまそう。
とてもなくうまそう。

思い切ってメロンバニラパフェを買ってみた。
クルマの中でさっそく食べてみる。
メロンソフトにメロン味のジャム(ピューレ?)が濃厚でうまい。
その下のバニラアイスもまた新鮮でうまい。
まあ、いつものパターンで、半分くらい食べるとけっこう飽きるんだけどね。

長い木のスプーンでアイスを懸命にすくいながらパクパク食べていると、
ふと、セイコマ前の国道を通り過ぎる白のフィット3の女性運転手と目が合った。
なんか、すげえこっ恥ずかしかった。
いい歳こいた男ひとり、運転席ででけえアイスをすくってる姿。ドン引きだろ。

さて、海沿いの4車線の国道をスイスイ走ると、やがて小樽の市街地が見えてくる。
丘の急斜面に段々畑のように連なる特徴的な住宅街。
坂が多い地域なので、そんなふうにムリヤリ土地を開拓したんだろうなぁ。
でもそういう見た目不便な土地にかぎってなんかゴージャスな家が建ってるんだよな。
海が見えて、広い道路があって・・・ああ、モナコみたいなイメージなのか。納得だ。

さて、ついに小樽に到着した。
この旅のスタート地点であり、ゴール地点というわけだ。
特にトラブルもなく、事故も病気も怪我もなく、クルマも身体も健康体で終われたのが
何よりですな。
おつかれさまでした。

いや、まだだ。まだ終わらんよ。
これから最後の車中泊準備をして、小樽運河周辺を散策するんだからな。
ここからはふつーの観光客になるのだ。

まずは車中泊会場。
初日にちょっと目をつけていたのが、街はずれにあったローソン。
駐車場が広いので、奥のはじっこに停めていれば迷惑にもならんだろう。
だが、それは最後の手段としておこう。

海の近くの公園駐車場。基本的にはそれが都市部の車中泊会場としてよく使われる。
公園なので駐車場が閉鎖されることはなく、トイレも整備されているからな。
ネットでそういう公園を検索してみると「色内埠頭公園」がヒット。
そこへ行ってみる。

駐車場スペースはやや狭いが、それゆえに利用者も少なく、夜間は静かに過ごせそう。
よし、ここで車中泊することに決定だ。

2016/6/20 23:03  [1498-4654]   

旭橋を渡りまーす 小樽運河に到着〜(早っ) 観光用ボートが通りまーす 北一硝子でございまーす



車内に黒ボードとカーテンを張り、車中泊モードにしておいた状態で、
さっそく市街地へ向かった。
この公園からすぐ目の前にある旭橋を渡ると、すぐに小樽運河とぶつかる。
車中泊会場から徒歩5分、いい立地条件ではないか。

小樽運河は大正12年に完成され、海運を支えた運河だ。
運河の両サイドには倉庫が立ち並び、海からの魚介類を揚げ、陸からの資材を積み込む。
そんな海路の要所として栄えたが、時代とともに運河の役割を終え、一時は運河全てを
埋め立てて道路や商業施設にしてしまおう、という計画があったが、市民の猛反対によって
その計画は中止。散策路や外園が整備され、小樽を代表する観光施設となったのだ。

レンガでできた倉庫、橋、散策路、夜になればガス灯が運河を輝かせたりして
古き良き時代のノスタルジックな雰囲気を存分に楽しめる。

いまはまだ15時。運河沿いをブラブラと散策して楽しもう。
運河に沿って整備された石畳の遊歩道を歩く。
運河をゆっくりと走る数人乗りの観光案内船がときどき見れる。
大きなトランクを引きずりながら歩く旅人も多い。
50mおきくらいに橋があるのだが、その橋の上のちょっとした広場では記念撮影や人力車の
客引きの姿もあった。
「よう、おねーさん。小樽運河の人力車、乗ってかね? 運河のまわりを案内したげるよ」
残念だったな、オレは男だ。

しばらく進み、内陸側に行くと「北一硝子三号館」があった。
石油ランプ製造に始まった北一硝子。今では小樽を代表するガラス工芸品の土産物として
お手軽な価格なのに手作り感たっぷりで、とても人気が高い。

館内は、それこそもうガラス製品一色。
コーヒーカップとか、日本酒の徳利、花瓶、風鈴など。どちらかというと風情あるものが多い。
のぼるは日本酒が好きなので、徳利を買おうかと思ったが、考えてみると
四合瓶からそのままお猪口やぐい&#21534;みに注ぐので、徳利なんて使わないのだ。
だったらお猪口かぐい&#21534;みにしようか、とも思ったが、微妙に安定感のないものばかりで諦めた。
100円ショップのセトモノかヤマダ電機のもらいものを普段使いのデフォにしてると、
こういう場で「美の良さ」を感じるセンスが薄れてしまうのよね。

この建物の一角に、小樽の地酒の試飲コーナーがあった。
今日はもう運転はしないので、ここぞとばかりに試飲。
日本酒はもちろん、リキュールの「飲むヨーグルト酒」というのも美味。
買わないけどね。

外に出て少し歩くと「北菓楼」という洋菓子のお店があった。
小樽で洋菓子といえば北菓楼と言われるほど有名なお店。
「ご試食いかがですか〜」
と超薄切にしたバームクーヘンを道行く人に提供していたが、すげえ人だかりができている。
よく見ると、そのほとんどが中国人。
うわっ。こんなとこにも中国人が来てる。

2016/6/21 23:10  [1498-4656]   

小樽を歩く 雑貨屋でみつけたステッカー 街でみかけたラーメン屋 スープカレーラーメン

小樽の観光街をウインドウショッピングしながらブラつく。
品のいいオルゴール店、美術館、喫茶店、ファンシーグッズ店・・・
いろいろあって面白いが、欲しいものアレもコレも買ってるとお金がいくらあっても
足りないので「コレは欲しい!」と物欲センサーが反応する直前で店を後にする。

妙な雑貨屋で見つけた「ねこが乗ってます」と書かれたステッカーは妙にどストライクだった。
300円程度なので買ってもいいとは思ったが、この程度のデザインなら自分で
パソコンを使って同じものを作り、マグネット仕様にすることもできるので、やめておいた。

さて、夕方になって少し腹が減った。
小樽でうまいものというと、まあなんでもいいのだが、今は妙に「ほっけ焼き定食」が
無性に食べたい気分。
北海道のほっけ焼きは本州のそれと比べて1.5倍ほどもある大きく脂がのりまくったもので
かなりうまいらしい。
旅をしていてこういうのを食べる機会ってのは意外と少ないもので、北海道に何回か来ていながら
一度も食べたことがなかった。

というわけで、繁華街へ歩みを進めて定食屋を探した。
しかしながら、探し方が悪いのか、ほっけ焼き定食のある店は「まったく」なかった。
たいていが寿司屋とか居酒屋で、ほっけ焼きはあっても一品料理であり、定食として
売ってはいないのだ。
なんなんだよ小樽。
困るんだよ小樽。

30分ほども彷徨って、けっこうヘトヘトになった。
そんなとき、目の前にうまそうなラーメン屋を見つけた。
JRの高架橋の直下にある、雰囲気のある店だ。
「右衛門(うえもん)」というお店で、スープカレーラーメンがオススメらしい。
そういえば最近小樽ではスープカレーラーメンなるものが流行っているようで
まあ、食べてみるのも悪くなかろう。ていうかもう歩きたくない。

のれんをくぐって店内に入る。
黒を基調とした和風の佇まいで、開店直後らしく客はまだ誰もいなかった。
最初に食券自販機でチケットを買うのだが、醤油・塩・味噌も一通り揃っていてけっこう迷う。
結局スープカレーラーメンを注文した。
若いあんちゃんが一人できりもりしており、なんだか全霊をかけてラーメンを作っていた。
いいね。命かけて作るラーメンにまずいものなしだ。

カレーのスパイシーな香りが店内に立ち込めてきたかと思ったころ、
「お待ちどうさまでしたー!」
とカレーラーメンが到着。
おお、いい香り。
サラリとしたスープではあるが、一口飲んでみるとけっこう濃厚。
ああ、これはアリだな。そう思えるカレー味のラーメンだ。

しかしだ。
トッピングにネギとメンマが入っているのが減点。
ふつうのラーメンには入っていて当たり前の具ではあるが、カレーラーメンには合わない。
せっかくのカレースープに雑味が混じっている感じになるのだ。
なので、どうせやるならチャーシューと、コーンでも浮かべたらいかがだろうか。

最初に余計なネギとメンマを食べて、そのあとじっくりとラーメンを味わう。
もっちり麺にこのカレースープがよく合っている。
いいね。うまい。けっこうやみつきになる味だわコレ。
座布団みっつあげよう。

・・・星じゃねーのかよ。

2016/6/23 22:26  [1498-4657]   

旧国鉄手宮線の公園 なんだ、食いもんくれんのか? なんだなんだ、メシか? メシなのか? ほっけ焼きと熱燗♪

ラーメン屋を後にする。
あたりはまだ明るいが、もうすぐ薄暗くなるころだ。
もう少し街を散策してから公園に帰ろうか。

ふと、縦にだだっ広い公園があった。
その真ん中には鉄道の線路跡がある。
今は廃線となった旧国鉄手宮線の名残の線路跡だ。
むかし石炭をここまで運び、運河から全国に輸送していたという。
なかなかロマンあふれる公園だね。

その終点まで歩き、路地裏を歩く。
そのときだ。
道路をなにかがササっと横切った。
ねこだ。
白黒のブチの野良猫。

ほう、小樽の野良猫か。
ヤツは民家の間の隙間の、ちょっとした空地に入っていった。
その後を追って、その空地を覗いてみる。
「にゃー」
のぼるの声に反応して、ヤツが影から顔を出した。
なでさせてはくれないが、けっこう近くに寄ってくる。

小樽の野良猫はザンギや寿司の残りを食べて暮らしているのだろうか。
グルメなやつめ。
などと見ていたら、その奥から5匹くらいわらわらと出てきた。
みんな同じ白黒ブチなので、きっと親兄弟だろう。
「なんだなんだ、人間だ。食いもんくれるのか。はやくよこせ」
みたいな顔でじーっとこちらを見ている。
「悪いな、なにも食いもんは持ってねーよ」
と言うと、理解したのかのそのそと退散していった。
煮干しでもあげたらモフらせてくれたのだろうか。

さて、そろそろ日が暮れる。
どうしようか。
実はもうちょっと何かを食べたい気分。

どうせクルマは運転しないのだから、居酒屋とか行ってほっけ焼きに熱燗ってのも悪くないな。
いや、むしろそれかなり上等な選択肢ではないか。
すっかり酒飲みの血がうずいてきた。

たーべるんだ、たべるんだ ほっけを焼いたやつ〜♪
日本酒 熱燗 ほっけ焼き ゴールドコンビ〜♪

面白そうな居酒屋は、先ほどのラーメン屋の付近に何軒もあったのだがそこへ戻る気力はない。
運河のほとりの大通りを歩くと、ホテルの1階の寿司屋があり、一品料理もやってるところを
見つけたのでそこに入った。

「いらっしゃいませー」
ホテルの制服を着たウエイトレスに案内され、カウンターに腰かける。
カウンター内では割烹着の板前さんが2名。寿司職人だ。
客は数組、みんなこのホテルの宿泊客のようで、夕食の寿司を食べながらビールを飲んでいる。

「ほっけ焼きと、あと熱燗」
そう注文した。
数分待って、まず酒が出てきた。
手酌でまずはぐいっと。
むう、うまい。
いつもは冷酒ばかり好んで呑むが、熱燗も悪くないね。

それから10分ほどして、ほっけ焼きが到着。
2本目の酒を注文させるためにわざと焦らしたのだろうが、甘いな。
酒はぬる燗のほうが好きなんでね。半分以上とっておいたのさ。

ほっけ焼き。
とりあえず中骨を剥がしてそこにこびりついたやつを食べる。
貧乏臭いが、この骨に付いた白身が極上にうまいんだ。
さて、メインの白身に箸を入れと「じゅわり」と脂がにじむ。
ほくほくと湯気が立つところをパクつく。
うほっ。うま!
醤油をちょっとかけるが、脂で分散してしまう。
いや、これは酒が進む。たまりませんなぁ。

新規のカップル客が入店し、板前さんは忙しそうに寿司をにぎっていた。
その脇で、のぼるは独りこの旅の終焉を祝っていた。

2016/6/24 23:57  [1498-4658]   

日暮れの小樽運河 夜桜(夜景モードの撮影は激ムズ)

さて、帰ろう。
レジでお支払い、1500円。
熱燗一本とほっけ焼きで、その値段?
お通しも出さずにその値段?

外に出ると、小雨がパラついていた。
くっそ、最後に雨かよ。

少しだけ夜の運河を眺める。
ガス灯が光ってキレイだ。晴れてれば夜の運河をゆっくり散策するのもムードがあって
いいかもしれない。

近くのローソンで何かのための非常食としてスティックタイプ5本入りのメロンパンを買って帰る。
帰り道に満開の夜桜が一本ライトアップされているのを見た。
夜の小樽も、昼間と違った景色が楽しめていろいろ面白いものだ。

クルマに戻り、すぐにジャージに着替える。
ジーパンとか少し濡れてしまったが、クルマの天井のゴムロープに干しておけば
朝には乾くだろう。

雨はだんだんと本降りになってきた。
もう外には出ないのでナンボ降っても構わないが、クルマの中に閉じ込められた気分というのは
あまりいいものではない。
せっかく公園で車中泊してるというのに、夜の公園を散歩することもできやしない。

仕方なく明かりを消して横になった。

明日はいよいよ帰りのフェリーに乗船だ。
道内5泊、やれることはやったが、もっともっといろんなところに行きたかったね。
やっぱ1ヶ月くらいゆっくりと旅したいと思う。
まあ、それをいいはじめたらキリがないか。
今回はいきなり降って沸いたチャンスを最大限に活かしきったのだから、よしとしようじゃないか。

結局のところ、せっかく持ってきたコンロやヤカンは全く使わなかった。
こんなことなら持ってくるんじゃなかった。
ニセコで買った風防のアルミも、持ち腐れだったね。
まあ、道の駅とかで火を使うのは基本的にマナー違反になることが多いので、
使わないに越したことはない。
ゆえにコンビニがすぐそこにある場所でばかり車中泊をしていたわけだし。

それにしても、朝晩がオニのように冷え込んだのは初日の千歳で車中泊したときだけだった。
翌日からは普通にグッスリと気持ちよく寝れたし、朝も気持ちよかった。
なので寝袋もまったく使わなかった。
だが、寝袋は基本的に車内に常備しており、何かあったときのために必要となるので
まったく使わなかったからといって次回置いていくつもりはない。
使わなくとも、無いと不安になるものなのだ。

さあ、寝よう。
最後の夜も、グッスリ寝るのだ。

2016/6/26 01:12  [1498-4659]   

鱗友朝市 ザンザス時代に入った玉の湯 セイコマの焼きうどん

いよいよ最後の朝がやってきた。
6時に目が覚める。
昨日は小樽の街をたくさん歩いたので、かなり深い眠りであった。

だが。
雨は止んでいない。
止んでいないどころかパワーアップしている。
土砂降りとまではいかないが、ここから100m先にある公衆トイレまで傘をさして
サンダル履きで行っても、確実に足などびしょ濡れになるレベルだ。
ていうかまずはトイレに行きたいのだよ。
どうしよう。

仕方なく外に出ることなく車内からクルマを動かせる状態にする。
室内から黒ボードとカーテンを外し、ラゲッジルームから運転席にムリヤリ移動。
耐久性に乏しいセンターアームレストや運転席の愛用ホット&クール座席カバーを壊さないように
移動するのは非常に難しいのだ。
なんとか発信準備が整い、急いで100mだけ移動し、用を足すことに成功。

車内に戻り、もとの駐車場に戻って再びラゲッジルームに移動。
とりあえず、朝食として昨日ローソンで買ったスティックメロンパンを食べる。
スープやコーヒーはなく、水だ。

なんとかこれで落ち着いた。
とりあえずフェリーの中に持ち運ぶ手荷物の準備だけした。
着替えと小物類、洗顔セットをデイバッグにきっちりまとめる。
だが、これではフェリーの中では快適に過ごすことはできない。
食料が何もないのだ。
どこかコンビニで弁当やらカップ麺やらを買っておかなければならない。

というわけで、Tシャツとジーンズに着替え、すぐ近くのローソンへ行ってみた。
「おや」
ローソンの駐車場のすぐそばに、営業している食堂がある。
マジか。まだ7時にもなっていないのに、こんな早くからやってる食堂があったのか。
3件ほどの食堂がひとつの建物にまとまって「鱗友(りんゆう)朝市」と書いてある。

たしか聞いたことがある。小樽で朝早くからやっているうまい食堂がある、と。
ここのことか。
しかも朝4時から営業していると? どこにそんな朝っぱらから食堂に入るニーズがあるのか。
あ・・・フェリーから降りた人が来るのか。しまった・・・上陸のときここに来ればよかった。
まあ、フェリー客だけでなく、港の漁師とかの朝は早いからな。

外にメニュー一覧があったので見てみると、昨日あれだけ必死に探していた「ほっけ焼き定食」も
あるではないか。くそー、最初からここに来ればあんな苦労しなくて済んだのに。

だが料金改定されたのか、値段はちょいと高くなっている。
さきほどメロンパンを食べたばかりだし、今は定食とか食べるほど空腹ではないのでスルー。

ローソンの店内に入り、フェリー内で食べるものを物色する。
だが、高い。セブンもローソンも基本的に値段が高い。
そのかわり、ローソンの店の前に弁当屋の「ほっともっと」を発見。
8時から開店らしく、フェリー出港まで間に合うので、昼飯はほっともっとで買おう。

クルマに戻り、ナビでいちばん近いセイコマを検索。
ここからクルマで5分ほどのところにあるので行ってみよう。

少し入り組んだ道路を進む。
その途中、偶然だが昔バイクで来た銭湯「玉の湯」を発見した。
ずいぶん昔のことなのですっかり忘れていたが、今も現役でやってるんだな。
えらく懐かしくて涙出そう。

セイコマはすぐに見つかり、そこで100円のカップめん2つと焼きうどんを買い、
クルマの中で焼きうどんだけ食べた。
うん。これで昼まで腹は減らないだろう。

8時になり、先ほどのほっともっとに行き、北海道限定の十勝豚丼弁当を買った。
これでフェリーの準備は終わった。

小樽でやるべきことは、これで全て終わった。
さあ、フェリー乗場へ行こう。

2016/6/26 21:44  [1498-4660]   

乗船待ちのエアロ集団 のぼるの寝場所 さらば小樽、さらば北海道 カモメ「また来いや」

小樽港のフェリー乗り場へはクルマで5分ほどで到着。
その瞬間に、なんと雨が晴れた。
みるみる雲が消えていき、太陽までも顔を出した。
てめチキショー! 帰るときに晴れるとか、フザけんな。

係員の案内に従ってフェリー搭載待ちの駐車場に進む。
帰りのフェリーは雑魚寝部屋なので、早めにいい部屋を確保したくて早めに来たわけだが
すでに20台ほど先客のクルマが並んでいた。

「あー、お客さんのクルマはエアロだからフェリーに上るときに下をこするかもね。
エアロ専用の乗船口があるから、そちらに行ってもらえる?」
駐車場の案内のおやじがそう言って別の駐車場に誘導する。
いや、違う。リップ付けてるだけでエアロじゃねーっての。
そう言っても仕方ないので誘導に従う。

乗船が開始されると、エアロ系のクルマは最後の最後に搭乗となってしまい、
雑魚寝部屋速攻確保計画は水の泡となった。

フェリー内の車両甲板にクルマを乗り入れ、客室への階段を上がる。
雑魚寝部屋は10帖ほどの部屋が10部屋ほどあるのだが、そのほとんどはいいポジションが
陣取りされていた。
諦めかけていたら、酒呑みオヤジたち4人ほどが乾杯している部屋の奥、窓側のすみっこが
空いているのを見つけ、そこを自分の寝場所にすることにした。
これでまずは一安心だ。

間もなくフェリーは港を出港。
デッキに出て、離れゆく小樽の街を眺めながら、旅の終わりを感じていた。

6日間、あっという間に終わってしまった。
バイクツーリング時代の思い出の場所を紡いだり、行ったことのない地を走ったり、
貧乏なりに工夫して名物料理を食べたり、そして連日の車中泊。

まさにこのフィット3ならではのパフォーマンスを駆使した旅であったといえる。
30km/Lの高燃費、楽勝で車中泊ができるフルフラットで大容量の荷室、たくさん荷物を
載せてもパワフルに走るスポーツハイブリッドDCTのエンジン。
日常でも旅でも、やりたいことを「やれるよ」と受け止めてくれるいいクルマだ。

そんな相棒とだからこそ、自分の知恵と勇気を如何なく発揮できるというもの。
今回の旅は時間がなくて準備がきっちりできず、ちょっと行き当たりばったりな旅に
なったりもしたが、そういう旅もまた楽しいものだ。

さらば北海道、またいつか来よう。
そのときはまた、格別の景色と味と「風」で楽しませてくれよな。




The End of Files....

2016/6/29 08:01  [1498-4667]   


あとがき

少し趣向を変えて「北海道を旅するにはいくらかかるか」というのを、今回の旅を基に
検証してみたいと思います。
みなさんの旅行の目安にしてもらえれば、と思います。

まず、フェリー。
じぶんの乗りなれたクルマで北海道を旅するのは、やはり格別です。
まあ、中には「限られた休暇で有意義な旅をするなら飛行機で行ってレンタカーだろ」
という方もおられますが、とりあえずフェリーにクルマをのっけて行く、というスタイルで
検証します。

新日本海フェリーの新潟・小樽の片道は、FIT1台+運転手1人の雑魚寝部屋で19030〜25200円。
価格にひらきがあるのは、行く日によります。夏休みとかに行くと高額になります。
往復を一緒に購入すると、復路が1割引になります。
お盆休暇を利用して行こう、と考えると往復5万円が目安になります。
で、ちょっといい部屋にしたい場合は、そのぶんの料金が加算されます。
ベッドで寝たい、となるとプラス5000円。個室がほしい、となるとプラス10000円ほどが
目安になります。

今回の私の旅では、行きのフェリーだけ個室(ステートB)をとって行ったので、
行き25510円、帰り18430円の合計43940円となりました。

次に、道内の交通費や飲食代、そして宿泊代等を検証します。
基本的に車中泊、食事はコンビニ、たまに外食、なんてことをするとかなり安上がりになります。
上陸初日の支出だけ詳細に分析してみましょう。

すき屋 まぜのっけ朝食320円
セイコマ 缶コーヒー86円
カムイ岬 管理費100円
セイコマ デミソースチキンパスタ108円
homac レンジグリルガード152円
セイコマ 和風焼うどん、ナポリタンミート計246円
洞爺いこいの家 温泉 440円
昭和新山 駐車場代500円
きのこ王国 きのこ汁、きのこカレーパン計324円
らーめん 時来也 みそラーメン780円
セイコマ ツマミ かぼちゃポタージュ、ザンギ、プチポテト計301円

合計3357円。安いでしょ。
では最終日まで通して、道内で全部でいくらかかったかを計算してみます。
詳細は省きますが、唯一泊まった「ましゅまろ」の宿泊代や道内で給油した額も
コイン洗車代も全て加算します。

25002円でした。
ちなみにスロットで7000円勝ってますので、総支出的には18000円というところ。

これにフェリー代と合わせると、旅費総額61942円です。
仮にスロットで勝負しなかったとしても7万円までかかっていません。
どうです。道内5泊でそのうち1泊をとほ宿で泊まってもこの価格。
けっこう遊んで好きなもの食べてるわりに、すげえ格安じゃないですか。
なんか、現実的に「それくらいなら無理すれば行けるんじゃないか?」って思えてきませんか。

小型車フィットだからフェリー搭載も安く、しかも車中泊ができる高燃費ハイブリッドカー
だからこそ実現が可能であるわけです。
こういう数字を見せられると、私がこのクルマにぞっこんである理由がよくわかると思います。

お金の話ばっかりして下世話なことこの上ありませんが、憧れの北海道で、楽しい旅をして
いい思い出を作るのに、これくらいの価格で行けるんです。
まとまった休暇がとれたのならば、チャレンジする価値は充分あると思いますよ。

それでは、みなさんの旅の熱を思い切り煽りながら、今回は閉幕とさせていただきます。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。

2016/6/30 10:07  [1498-4668]   


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